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「小物成于絪縕図」は「持中天地図」と並んで「小冊物部」の中で傑出した図です。 図の上には「天」という文字が半円の中に書かれています。この「天」は青空・夜空・天球の星々を示しています。 しかし、それは地球環境の大規模構造としての天空であって、我々の生活に直接関係しないはるか彼方の天体や銀河・ 銀河団を意味してはいません。 梅園は、外宇宙が広大に広がっていることは知っていましたが、それらを観察することは出来ませんでしたし、 彼の考察対象が「天地」つまり地球環境に限定されていた以上、広大な外宇宙は考察の外にあるものでした。それを 半円の図で示しています。 同様に、地球の内部も環境世界には直接関与しないものです。ときに火山の噴火などありますが、 それは環境世界に対しては破壊的なものです。しかし、それも長い年月のうちに富士山のような美しい景色に成っていきます。 そのことを梅園は「造来化往」という言葉で示しています。私たちが眺める美しい景色も、かつては荒々しい創造のエネルギーが 噴出したものです。しかし、その後、千年・二千年と経つうちに地球の環境世界の一部に成っていきます。 そのようにしてできた岩石は、長い年月に渡って太陽の光や熱、風や雨によって徐々に砕かれ、小石と成り土になり、 微生物が繁殖して地上の生物を生むようになります。 岩石は、ミネラルとして植物の中に取り込まれ、私達の身体の中にも取り込まれて骨格を形成します。左端の「本」は 持続性を意味しますから植物は寿命が長くなります。右端の「神」は活動性を意味しますから、動物や鳥や昆虫などは 活発に活動するようになります。その中の変種のひとつとして、我々人類が居ます。 左の図は、動物と植物の存在様態の違いを書いています。円の上の中央には「天」と書かれています。下の中央には「地」と 書かれています。「天」の下の「性」は正確のことです。動物は、「神」つまり活動性に富んでいて活発で軽く、鳥は空を飛び、 動物は大地を走ります。つまり空中に浮くことができるわけです。 それに対して、植物は「本」つまり持続性に富んでいて重く、一箇所にじっと立っています。根を地面の下に沈め、 そこにとどまります。 動物は、雌雄に分かれて交配して子孫を残しますが、それを「通/偶」と書いています。「偶ありて通ず」ということです。 「気」の左側に書かれている「寒/恃」は、植物が冷たく、動物や昆虫によって交配したり、種を遠くに運んだりすることを 意味しています。 その下の「竪/実」は、植物が重力線に沿って縦に伸び、内部まで詰まっていることを意味しています。右の「横/虚」は、 動物が重力線を切るように横に移動することと、内臓が空気・水・食べ物を入れられるように空虚になっていることを 意味しています。つまり、この図は、動物と植物の存在様態が排反事象を構成していることを示しています。なお、図の「堅」 は、誤入力です。「竪」の下が滲んでいたので読み誤りました。「横-竪」で対語になります。 |