OpenAI_"ChatGPT"の感想


 「天人道徳図」は、一言で言えば、地球環境と生物が持つポテンシャルとその現れの図、ということになります。「人」は、感覚と作為によって自然界を改変して自分の環境世界を作る生物のことです。「人部」の「人」の意味をよく考察せずに「人類」の意味に理解していたのがこれまでの梅園研究でした。先の図でも書きました通り、梅園の「人」は、ユクスキュルの「環世界」の主体を意味します。

 つまり、蟻であっても、蜂であっても、鳥であっても「人」なのです。そのなかに私たち人類という変種が居ます。梅園が描いた絵に「鰈左右図」と表題のあるものがあります。鰈の絵を描いて、右上に「人は華麗が左右を上下にしていると言って笑っているが、そういう人間は上下を前後にしているから人間もおかしいのだ」という意味のことを書いています。つまり、四足動物ならば、地面に向かっているはずの腹部を前にし、天に向かっているはずの背中を後ろにしているのは動物の中で人間だけなのだから、鰈と同じくらい人間だったて変なのだという意味です。

 梅園の「人」が、「環世界」の主体を意味することは、前図で紹介した文から容易に理解できます。

 09756: 虫豸甲介。魚龍鳥獣。偕(とも)に同じく意を有す。則ち其の境や人なり。

   もともと中国では動物のことを「含霊」と言い、人間を「含霊の長」と読んでいました。「天人道徳図」の「人」は「含霊」を意味するのですが、これまでの梅園研究者でそのことを指摘した人は居ませんでした。この「含霊」を私は「環世界主体」(environmental world subject)と訳しました。ユクスキュル(Jakob Johann Baron von Uexküll, 1864-1944)が提唱した「環世界」(Umwelt。環境世界とも訳される)を生み出す主体だからです。

 左の「天人反合図一合」は、天(先天的に定まったもの)と人(環世界主体)が、ルビンの壺の顔と壷のように、決して同時に見えない存在であるがゆえに、隙間なく密着することを示した図です。磁石のN極とS極、昼と夜、凹と凸なども同様の例です。

この図は少し複雑で、表裏一合図はそのままでは解説しづらいので、見開きの状態、つまり梅園が両方の図を作図し終えた状態を下に示します。このように左右に描いたあと真ん中で折って糸綴じするわけですから、左の図が裏になります。左陰右陽の規則に従って左に陰の図、右の陽の図が配置され、和綴じで製本すると陽の図が表、陰の図が裏になります。すでに解説した地球中心の「転図」と太陽中心の「運図」では、生命圏を育む「転図」が右(つまり表)に、物質世界では陽であるはずの「運図」が左(つまり裏)に配置されています。私たちに現前化しているのは物質世界そのものではなく生命世界なのだということを図の配置で示しているわけです。物質世界は裏の世界だということを意味しています。しかし、近現代の自然科学は、物質から生命世界を説明しようとしていました。



上図の左の中心の「天」から解説します。

 天・・・「天人」の「天」ですから、先天的な世界です。「人」が裏にあるということは、先天的な世界からは「人」つまり、生活世界や環世界(環境世界)は見えないということです。具体的に説明しますと、生物には寿命があり、生まれれば必ず死にます。動物には意識があり、樹木は意識を持たず長寿です。これはそれらの「天」です。動物は、長生きするものでも約100年です。短いものだとはたらき蜂のように10〜20日程で寿命を終えます。それらはそれらの「天」です。空を飛ぶもの、陸を走るもの、海を泳ぐものは、それぞれその「天」が定まっています。

 性・・・この「性」は'nature'を意味します。自然に存在するものがが本来的に持っている性格です。それに「才」と「性」があります。

 才・・・「才」は生成を意味します。英語で言えば、'creation'、'prosesing'、'generation'、'forming'などが該当するでしょう。この図は「小冊人部」つまり「地上の生命圏の環世界主体を論じるところ」に所属していますから、この生成(才)は世代交代を通じて生命あるいは種が存続することを意味します。

 情・・・「情」は「求」と「感」に分かれます。「情」は野生生物の行動を記録した動画を見ると、求愛行動などによく現れています。私たちは「情感」という語をよく使いますが、梅園は、情|(求|感)と考えていたことが分かります。

 性・・・「性」は「通」と「知」に分かれています。「通」はおそらく感覚器を通じて外界を認識することで自然界と通じることを意味していると思われます。野生動物はみな外界を認識して生活していますが、そこには共有している環境があり、それを感じ取って暮らしています。

 第二象限に移ります。

 性・・・第一象限の「才」に対応する概念ですが、「才」が世代の交代・生命の存続を意味するのに対し、「性」は生命体の種、つまり類型や範疇を意味すると考えられます。世代交代による種の存続は、どの種であるかによってまったく異なります。魚類・鳥類・哺乳類・爬虫類・両生類・昆虫その他、種を存続させるために生きているのですが、その存在・存続の様態はまったく異なります。

 ここで想起すべきは凡例に当たる「例旨」(れいし)の「附言」の冒頭に書かれた、

16141: 天冊の天は性なり。鬱浡の活なり。
16142: 地冊の地は体なり。混淪の立なり。

です。生命は無形の活動力です。それは地球上の至る所に現れますが、必ず何かの形態を伴って現れます。鳥類であったり、獣類であったり、魚類であったり、昆虫類であったりと様々ですが、それらは生命が環境に適応した生命体に成ったものです。『玄語』ではそれらを「小物」と言います。むろん生物のことです。

 生物の最大の共通性は、世代交代によって存続するということです。『玄語』の用語では「鱗比」(りんぴ)と言います。ひとつの世代を一枚の鱗に対応させますと、世代交代は鱗が並んでいるように見えます。それで「鱗比」と言ったのです。

 「例旨・附言」の上の二行と「天人反合図一合」の「天」を重ね合わせてみますと、この「天」の図の上半分の象限と下半分の象限が16141:の「性」に符合していることが分かります。同様に、下半分の象限は、16142:の「体」に符合していることが分かります。この図は、「小冊」に所属していますから、

16141': 小冊の天は性なり。鬱浡の活なり。
16142': 小冊の地は体なり。混淪の立なり。

とすれば、分かりやすくなります。

 「混淪」(こんりん)は、自然が区別されることなく、入り混じってひとつになっている状態であり、宇宙規模の存在群も地球規模の存在群も、ともに「存在の混沌とした波」であることでは同じです。それを「条理」つまり排反性の原理によって秩序立て、文(命題)と図(グラフ)によって写像したのが史上に類例のない『玄語』という書物です。

 力・・・支える力、動かす力など、物に備わった力を意味します。鳥は飛ぶ力を持っていますが、それは空気を押し下げると同時に後ろに押す力です。それによって鳥は空中に浮かびます。飛び立つときにはその体勢を取り、滑空するときにはその体勢を取ります。体勢を取ることを「立」で示し、それによる飛行を「役」で示しています。動物が大地を走るのも、蟻が身体より遥かに大きな物を運ぶのも、それを可能にする足や爪があるからですが、それらはすべて種の存続に帰結します。すべてが種の存続に帰結することが生命体の必然、つまり「天」です。

 精・・・生命体を形成し維持する精密な機構のことです。物理的・力学的な精密さと化学的・生理学的な精密さの両方が必要です。

 保・・・生命体の精密さを保つために必要な事象すべてを含みます。給餌・消化・排泄・休息・活動・遊び・戯れなど。生命体は危険から本能的に遠ざかりますが、それは身体の物理化学的精密さを保つためです。

 持・・・生命体の精密さを保つために必要な内的事象すべてを含みます。いわゆる動的平衡が「持」に近い概念です。
以上で、上半分の象限の説明が終わりました。下半分は、生命体の身体に関するものです。

 次は第三象限を説明します。

 体・・・図では正字の「體」を使っています。生物の身体のことです。人間から見るとまことに不思議な形をしているものが多々ありますが、それぞれ環境に適応して多様な形になっています。ときに奇妙な姿に見えることもありますが「体」を成していることにおいてはすべて同じです。

 物・・・「体」を形作る物質のことです。

 天・・・その「物」は、種によって定まった形になります。内部の機構も種によって定まっています。それを「天」と書いています。個体は生命を維持するための様々な行為を行いますが、それが上に述べた精|(保|持)です。何かを食べるのは固体の行為ですが、それを消化して代謝する機構は、それぞれの種にあらかじめ備わっています。

 気・・・「物」は石像や銅像のような均質な物質の塊ではありません。内部には外気から取り入れられ、血液に溶け込み、細胞の内部に取り込まれ、代謝されて外部に排出されます。またそれらを行う生理学的機構が備わっています。それは陸上で生きる生物と水中で生きる生物とでまったく異なりますが、生命を維持するための組織があることにおいては同じです。

 精・・・生命を維持するための組織が精緻・精密なものであることを意味していると考えています。

 神・・・精妙な組織を活動させる生命の活動であろうと思います。私は「発動因子」"triggerring facter"と訳しましたが、最終的には量子の振る舞いに帰着する生命の活動であろうと思っています。

 03268:に「天物精神は、本根精英に於て合す。」という文があります。「天物精神」は、第三象限の外周の四語に一致しています。訳しますと「存在の諸類型とそれに応じた身体と精緻な内的機構とそれを作用させる生命力は、同一性の保持と存在の基礎としての物質と精緻な内的機構と、存在者の個性の発現というかたちで融合する」という意味だろうと思います。

 重要なことは、一個の生物でも地球環境全体でも、つまり、存在の小規模構造にも大規模構造にも、この命題が成立するということです。

 第四象限を解説します。

 中央の「天」の下にある「体」が「体」と「用」に分かれています。体|(体|用)となっており、第四象限の「用」は「栄」「養」に分かれ、「営」は「絪縕」に、「養」は「給資」に分かれます。「絪縕」は種の存続のための行為を意味し、「給資」は育み育てることを意味しています。鳥の生態を観察していますと、「絪縕給資」の様子がよく分かります。




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