99b.天地圏一合(裏)(てんちずいちごう) 拡大図(校異あり)
100.転図(てんず) 拡大図(校異あり)

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 右は「地圏」の図です。「天圏」では、太陽と月が地球を周回していましたが「地圏」では、「燥」(大気圏)と「水」(水圏)が 地球を取り巻き循環しています。その循環は、太陽や月ほど規則的ではないのですが、太陽によって大気が生まれ、氷が溶けて水になり、 地球の表層を覆います。月は地球に近いのでその引力で潮汐が生まれ、また、珊瑚などの産卵のリズムを創ります。

 左は、地球中心系の惑星の配列を描いた「転図」です。日周運動図のことです。西洋では、太陽と地球のどちらが宇宙の不動の中心かで 一大神学論争が起きました。科学的な論争ではなく神学論争だったということが重要です。

 私たち日本人はキリスト教世界の神学論争とは無縁のはずですが、現在は西洋位相ニッポンですので、西洋が正しいと思うものが正しい という思い込みをほぼすべての日本人が持っています。そのため学校の授業でも天動説は間違いで地動説が正しいと教えられます。

 しかし、それは西欧のキリスト教世界に固有の神学論争であって、私たち日本民族には日本民族に固有の世界観があります。しかしながら、 江戸中期から長崎の出島経由で西洋の天文学が日本に紹介されるにつれ、日本そのものを西洋化するように時代が動き始めました。

 ことに明治維新以後、武士は刀を捨てて髷(まげ)を落とし、着るものは、庶民ともども和服から洋服に変え、 和魂洋才の時代を切り開いていきました。それは現代でも変わっていません。江戸時代はひたすら中華文明を尊んだ時代で、 朱子学を国学とし、各藩では四書五経の素読・解釈を行っておりましたが、一世紀も経たないうちに、現代日本語を創り、 歩き方を西洋式に変え、国家体制も憲法も法律もイギリスやドイツを模範として変え、西洋式軍隊まで造りました。

 これからは、世界を日本化する時代が来ます。江戸時代に中華文明を咀嚼し完全に日本化したように、西洋文明を咀嚼して 日本化することに成功したからです。今後10年のうちに、日本の基礎技術が地球全体を覆うようになります。

 その時、三浦梅園が地球中心系と太陽中心系を「転図」「運図」に描き、「転図」を表、「運図」を裏に書いたことの 意味が世界的に知られるようになるでしょう。

 梅園は、「ルビンの壺」のツボと顔が決して同時に見えないように、地球中心系と太陽中心系は決して同時には見えないことを このふたつの図を表裏に配置することで示しています。ガリレイの裁判は、壺と人の顔のどちらが正しいかと 言っているようなものです。これはヨーロッパの思想が自我哲学であることに由来します。ルネ・デカルト(1596- 1650)は、

 # 我思う、故に我在り。

という有名な命題を生みましたが、これは非自我中心思考と言える日本型思考とはまったく異なる自我中心思考です。

 自我中心思考Aが太陽中心系こそ正しいといい、自我中心思考Bが地球中心系こそ正しいと言えば、争いになるに決まっています。 私たち日本民族は、非自我中心の思考体型をすみずみまで持っています。では中心はなにかといえば「空気」と答えるしかありません。

 「空気」は「状況」のことです。状況はAとBが共有するものです。空気は共に吸うものです。状況判断の極地は、相撲に見られます。 行司が「待ったなし」と言えば、後は力士同士が立会いの瞬間を決めます。西洋の闘いは、ピストルを鳴らしたり、ゴングを鳴らしたりして、 合図を送ります。自我中心だから合図が要るのです。日本の武道には合図はありません。間合いが決めるのです。 この間合いは日本語のあちこちに潜んでいます。ことに、和歌や俳句は、間合いのほうが大きな意味を持っています。


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