99a.天地圏一合(表)(てんちけんいちごう)      98. 性成象質二物図(せいせいしょうしつにぶつず)



 「性成象質二物図」は「性は象質の二物を成すの図」と読みます。この意味での「性」は地球生命圏のことで、それが「象」と「質」に分かれるということを示しています。「象」は光や闇・乾燥・炎のように水(H2O)を含まないもののことで、「質」は水を含むもののことです。日常ありふれたものが、生命世界を構成する要素としては極めて重要です。ありふれたものをありふれたものとして感じるのは、そもそも天地を達観していない証拠です。

中央の「色」(しき)は、太陽の光のことで、現代的に言えば太陽の電磁波です。光が反射しないところは暗いので「影」とされています。梅園や剛立は、月の光や太陽系惑星の光が太陽の光の反射であることは知っていましたので、光の反射がないところは暗いということも知っていたようです。

 その他の語は、前のふたつの図の解説から推測して下さい。

 左は「天地圏一合」です。これは表裏一合図です。図名の下に文が二行ほど分かち書きで書かれています。

 天圏は則ち日月の毬、其の趺上に居る
 地圏は則ち水燥の毬、其の趺上に居る

と書かれています。「毬」は「球」と同じで、梅園は「地球は則ち地毬なり」と書いています。現代では、 地球が地毬であることを実感しているのは宇宙飛行士でしょう。

 さて、表の図は「天圏」を描いています。右の「麁」は「粗」の異体字です。反対側に「見」と書いていますから天球のことだと思います。その天球が「趺」(ふもと)と書いています。これはその内側に描かれた「日」「月」の本来の存在の場所という意味ではないかと思っています。「規」は円軌道のことですから「中」は地球の中心のことです。「巓」は山の頂上のことですから、地球環境を山に例えて、地球環境を構成する天文現象が、地球環境から最も遠いものだと考えたのだと思います。

 「精」は「隠」と書かれていますから、大気圏の最上層と月までの宇宙空間を意味していると推測しています。

 その点では、ガリレイ以降の西欧の考え方とは正反対です。ガリレイ以降の西欧は、アリストテレスが月下界と呼んだ地上の世界から 遠い宇宙を見ようとしました。ガリレイは、数学的な、また自然科学的な理念の衣によって地球環境までをも覆ってしまおうとしました。 それはニュートン力学を応用することによって生まれた科学技術文明によって現実のものと成りました。 それはガリレイの次の言葉によく現されています。

 # 自然という偉大な書物は、数学という言語で書かれている。

人類史は、ガリレイ以後、数学的な整合性を通して世界を見るようになり、数学的な計算から生み出されたものによって 埋め尽くされるようになりましたが、梅園は、逆に地球の生命世界こそが自然の創造の目的であると考えていました。 こういう梅園の発想は、アリストテレスの天上界・月下界に近いので、『天経或問』や『物理小識』から、そのことを 知った可能性があります。



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