81.形理正斜図(けいりせいしゃず) 校異なし

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 これは「形理正斜図」です。

 「形」は物のかたちのことを意味しているのではありません。物のかたちは「体」と言います。この図の「形」は球体のことです。「理」は直線のことです。「正」は基本形のことで、「斜」は部分形のことです。「斜」にナナメという意味はありません。

 図の第一象限は、正×形=円となっています。正かつ形なるものは球体だということです。これは天球のことを意味しています。

  第二象限は、正×理=直となっています。「直」は上に書いた地軸・黄軸のように、地球環境世界を構成する回転運動の中心軸を意味しています。 『玄語』では、地軸を「北軸」と言い、黄軸を「南軸」と言います。

 第三象限は、斜×理=矩となっています。「矩」はコンパスで言えば軸に当たります。当時は和製コンパスである分廻しを使っていましたが、西洋コンパスでも同じことです。円を描くための中心軸です。その円が、地球上では緯線になります。緯線は無数に存在しますが、地球儀では、15度おきくらいに描かれているようです。

 この緯線が右の第四象限の「規」です。その中で最大のものは、地軸が地球の中心に一致する点をコンパスの針に見立てて描いた円で、これが赤道になります。これらを天球規模に拡張すると天球座標系を得ることが出来ます。

 とにもかくにも、現在のような天文学の用語がなかったので、最も近いと思われる文字を当てたのです。しかも、使用できる文字は一文字に限っていました。『玄語』が著しく難解になった理由は、誰にとっても外国語のような書物だからです。地球環境というのは、大地は四角で、青空・夜空はドームのように大地を覆っていると誰もが信じていた時代には、誰ひとり見たことがない世界でした。

 それを厳格な語法と論理構成で写像したのですから、誰からも理解されませんでした。戦後日本の『玄語』研究では、弁証法的解釈が、学問を押し倒してしまいました。また、近現代の西欧の自然科学、ことにガリレイ以後の西欧天文学が研究と教育の中心に据えられ、江戸中期の学問は、最初から時代遅れとみなされました。

 実は、梅園は、西欧に全く引けを取らない学問体系を構築していたのですが、まだ誰もそれに気づいていません。痛恨の極みです。

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