76.中外方位図(ちゅうがいほういず)
この図の中心の点は、地球の中心で、外の円周は宇宙の果てです。大切なことは、「方」が時間概念で、「位」が空間概念だということです。こんにち我々は「方位」を一語として理解していますが、現代日本語としての「方位」は"direction"の訳語として明治維新以降に作られた言葉です。『玄語』では「方」と「位」は排反事象となります。「宇宙方位図」の左半分の象限を見るとよく分かります。
ただし、この中は、地球の中心に限定するひつようはなく、例えば月の中心、太陽の中心などと一般化出来ます。梅園は、月に身を置けば、月の地平線から地球が昇るのが見えると、第二主著『贅語』に書いています。どこを中心にしても、そこから広がる宇宙、あるいは世界が見えるわけです。ただし、私たちにとっては、地球の中心として考察することが第一義的に重要です。地球環境はそこからしか考察できませんから。
梅園は、地動説を知った時に、太陽中心の宇宙で地球環境を構成しようとしましたが、無理でした。それで「構思百端、条理に得ず」として地動説を退けています。もともと、地球が中心か太陽が中心かという議論は、西欧キリスト教世界における神学論争ですから、日本の思想の脈絡とは無縁のものです。ただし、梅園は、そこから最晩年の「同胞孿胎」の思想に到達したのですから、地動説が条理学にとって大きな刺激になったことは確かです。
|
|