29.四界図(しかいず)

 この「四界図」は中心が「物」になっていますから「地冊」つまり物質界の「四界」です。つまり、「地冊・没部」の「天界」と「機界」、「地冊・露部」の「体界」と「性界」です。簡単に説明しますと、

 天界・・・時間と空間。
 機界・・・宇宙と地上の運動軌道。
 体界・・・宇宙空間と地上からみた世界。
 色界・・・宇宙空間における太陽光と、大気圏と水圏における太陽光。

概略このような区分で地球環境を構成する要素を論じています。小規模構造である生命圏から見ればこれらは地球環境の大規模構造です。

 さて、図を一語ずつ見ていきましょう。上半分の象限は「精」になっていますから、ここは「地冊・没部」つまり精緻なものの領域です。右の第一象限は「地冊・没部」「天界の冊」の「宇宙」と「方位」に対応しています。「方位」は「宇宙方位図」「転持方位図」「中外方位図」「大小方位図」「転持方位図」などがあります。このうちの「宇宙方位図」を見てみます。


 第2象限が「方」の領域(domain)で、「今」(こん)と「端」(たん)に分かれています。「今」は現在の一瞬のことで変化の中心として推移します。表現を変えれば発動因子たる「鬱浡の神」の活動に従って推移していきます。何度も書きましたが、私は「鬱浡の神」を素粒子の活動と推測しています。

 もし、「鬱浡の神」が素粒子の運動だとしたら、今の一瞬には素粒子が活動するために必要な僅かな幅が必要になることになります。いわゆるプランク時間について調べてみたのですが、これ以上短い時間を考えることには物理学的な意味がないという以外は、私には分かりません。ともかく、時間には最小の幅があり、そこが「鬱浡の神」のつまりは素粒子の活動の場であろうと思います。

 「端」は、「今」の排反事象ですから、一瞬の現在に対して過去と未来の延長を意味します。「鬱浡の神」の活動する場は現在だけです。ということは、全空間で活動しています。その活動は、物に変化を与え、その変化の痕跡は現在から過去に向かって後退していきます。「今」は不断に活動することで現在を生成しますから、その変化の痕跡は言わば後ろへ、つまり過去へ絶え間なく押し流されます。

 私たちは、過去や未来を固定的なものとイメージしがちですが、それらは、現在が生成されることによって生成されています。今日が昨日になるのは、現在が1日分生成されたからです。それは同時に、明日が今日になることです。いかに長大な過去であろうと未来であろうと、それは現在の生成が生み出すものです。

 上にある「端」は、過去と未来の延長のことで、現在の直前の未来から無限に遠い未来まで含みますし、直後の過去から無限に遠い過去まで含みます。「違」という文字は、現在の一瞬から離れていることを意味します。「長」は延長を意味します。

 『玄語』は一語一義で書かれていますから「方位」は、(方/位)です。その上が「塞」ですから、p|(q/r) つまり、pはqとrを論理的に包含する(あるいは包摂する)、という論理式と同じです。図はグラフ表示にしているわけです。したがって、塞|(方/位)となります。「方」は、現在から過去方向と未来方向への時間の流れを示しています。

 「位」は位置のことで、地球の経線と緯線・天球の経線と緯線がその代表です。南半球と北半球も「位」が決定しています。光が何処かに向かうとき、その方向と位置は一体不可分です。梅園の時代なら、飛脚が向かう方向と位置は一体不可分です。

 左の第二象限は「地冊・没部」「機界の冊」の「転持」と「形理」に対応しています。それぞれ対応した図があります。これらを詳細に対応付けて考察しないとわからないのが『玄語』という本です。そこまで丹念に解読した人がこれまでの研究者の中には居ませんでした。

 動|(転/持)は、地球環境を構成する基本運動が天体類の回転運動と地上付近の昇降運動しかないことを示しています。左下には「静」が「形」と「理」に分かれると書いています。つまり、グラフ表示なら図のとおりですが、論理式で書くと、静|(形/理)となります。「形」は「円」(図では圓)という字が外に書かれていますが、これは平面の円ではなく球体のことです。この一文字(形)が意味するのは天球および地球です。その排反事象と成る「理」には「直」という字が添付されています。これは地軸のことです。

 天球や地球という言葉は、梅園の時代にはありませんでした。地軸という言葉もありませんでしたので、もっとも近い漢字を一文字あてたのです。

 下半分の象限は、「麁(=粗)」になっていますから、ここは「地冊・露部」つまり天文気象現象の領域です。左下の第三象限は「地冊・露部」「体界の冊」の「天地」と「覆載」に対応していて、それぞれ「天地図」(図番26)と「覆載図」(図番28)があります。


 右下の第四象限は{色界/(華/液)}/{華(日/影)}/{液(水/燥)}となっていますが、本文ではここが「性界」に成っています。この不整合は、図が宇宙的視点で書かれているのに対して、本文が生命圏に視点をおいて書かれていることによります。宇宙から見ると、大気圏も水圏も地球のごく近くにありますが、生命圏から見ると太陽や月、宇宙の暗さは、生命圏の近傍にあります。図と本文の概念配置の不整合は、宇宙から見るか地上から見るかの違いによるものです。

 「色界」は、太陽の光と宇宙の闇の領域を意味します。「液」は水圏と大気圏を意味しますが、それは光を通すからです。この図では、水圏と大気圏を通す光の領域を意味しています。従って大地は含まれません。  


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