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右は「没露陰見図一合」の裏です。 上の黒の象限は、粗にして現れるもの、の領域です。手で触ることが出来、目で見ることが出来ます。下の白の象限は、それらが存在する場や、それらを内部から動かす発動因子が存在する場です。 左は、「宇宙」という白紙の図です。空間と時間のことです。これをユニバースとかスペースと訳したら誤訳になります。"universe" や"space"の訳語として「宇宙」が明治維新以降に作られたのです。だから、江戸中期に書かれた『玄語』の中の「宇宙」は現代日本語の宇宙とは意味が違います。『玄語』は一語一義を原則とします。例外は、「同胞」「孿胎」「循環」「鱗比」だけです。ですから、「宇宙」も、"宇/宙"という排反事象を意味しており、図ではふたつの小円に「宇」と「宙」が書き分けられています。そのことに注目せずに、文の中の「宇宙」を今日的な意味での宇宙と捉えるのは、いかにも早計です。 また「宇宙」という白紙の図が「宇宙図」とされていない点に梅園の厳格さが現れています。「体は精にして未だ図に上らず」という注は、時間と空間は精妙なものなので図示できないという意味です。だから「宇宙図」ではなく「宇宙」なのです。 以下、以前、大分市での講義の前置きとして話した「日本における西洋の受容と明治維新:東京遷都から現代まで」をコピーします。 1.現代日本語が人工言語であることの説明と、古代ギリシャの自然界の伝来 1-1. 明治日本における英語の大翻訳は、人類史上の唯一、外国語(漢語)を使って外国語(英語)を翻訳した稀有の例。日本人は辞書作りマニアではないかと思われるくらい、各国語の辞書を造っている。。 ※台湾・中国はその翻訳をそのまま使っている。 Steam engine⇒蒸気機関⇒蒸汽機⇒蒸汽机 Electricity⇒電気⇒電力⇒电力 Politics⇒政治⇒政治⇒政治 Capital⇒資本⇒資本⇒资本 Industry⇒工業⇒工業⇒工业 Company⇒会社⇒公司⇒公司 Socialism⇒社会主義⇒社會主義⇒社会主义 Industrial revolution⇒産業革命⇒工業革命⇒工业革命 People⇒人民⇒人民⇒人民 Country, State⇒国家⇒國家⇒国家 中華・人民・民主・主義・共和国は、明治時代の翻訳語ですから日本語です。 1-2.古代ギリシャの自然界の伝来 古代ギリシャ語で書かれたアリストテレスその他の著作のアラビア語への大翻訳事業(イラクの首都バクダッドの知恵の館に保管) 1-3. アリストテレスその他の古代ギリシャの思想はアラビアの科学・哲学に大きな影響を与えた。 1-4. その後、アリストテレス哲学は、1150年から1210年にかけてアラビア語からラテン語に徐々に翻訳され、ヨーロッパに再導入され、スコラ神学・スコラ哲学に大きな影響を与えた。 1-5. 従って、地球を中心とした天動説がキリスト教神学の中心に位置したのは当然のことであった。 2. 豊後大分に布教に来たフランシスコ・ザビエルの後輩、マテオ・リッチが、明代の中国に直接布教に行って、アリストテレスの自然学、特に地球が球体であること、地球が全宇宙の中心であることを伝えた。 これは、地球は四角であると考えていた当時の中国人の自然観とは全く異なるものだった。リッチに影響されて游子六が『天経或問』を書き、日本にも伝わった。梅園は、『天経或問』を持っており、其の天球図を元にして立体の天球儀を創っている。古代ギリシャから実に2000年後に、両子の里にアリストテレスの自然観が伝わったのである。 2-1. キリスト教は、早くから日本に伝わっていたが、中国に伝わったネストリウス派キリスト教であり「景教」と言われた。 「景教」は唐代三夷教のひとつであり、他に、マニ教(摩尼教・明教)とゾロアスター教(拝火教・祆教-けんきょう-)があった。 したがって、キリスト教は「景教」として中国に早くから伝わっていたことになる。摩尼教は天台密教となって伝わっている。ただし、「景教」はネスリウス派の教えであり、ヨーロッパに広まった使徒パウロの教え、つまり、イエス・キリストが人類の罪を一身に背負い、十字架上で死ぬことによって人間が罪を許され、神と和解できるよう道を開いたという教えとは全く異なる。ヨーロッパで広まったキリスト教は、使徒パウロの教えだった。劇作家のバーナード・ショー(1856-1950)はその教えを「十字教」と言って揶揄していた。 ネストリウス派キリスト教は景教として遣唐使の時代にはすでに日本に伝えられていたが、日本に渡来したヨーロッパに伝わったアタナシウス派キリスト教(三位一体説を教義の中心に置く)の伝道師たちは、このことを知らなかったと思われる。このとき信長は、ヨーロッパの存在を知り、それが日本の脅威になることを悟り、秀吉に大阪(上方)の開拓を、家康に関東の開拓を託して身を隠した。本能寺の変は忠臣蔵と同じで後世を騙すための作り話だった。(以下略) 江戸時代は、中華位相ニッポンでしたが、現代は西洋位相ニッポンです。そろそろ世界をニッポン化する時が近づいています。その先陣を切っているのが漫画とアニメです。マンガ卑弥呼・マンガ古事記・漫画アマテラスなどが英訳されて日本の神話を欧米に伝えており、ドラえもんは世界68カ国で放映されて笑いを振りまいています。鉄腕アトム以来、ロボットの時代が始まりましたが、これも世界の日本化の現れだと思っています。 学問の世界では、「地球環境のシステム理論」を構築した三浦梅園の思想が世界に知られる必要があります。梅園の世界観は、ジェームズ・ラブロックの地球生命体理論(ガイア理論)を包みこむ大きさを持っていますし、基本の論理がNANDであることから、コンピュータとの親和性が非常に高いという特性を持っています。また、梅園の思想はニュートン力学の欠点を補完するために作られ、相対性理論や量子力学を先取りしています。量子エンタングルメントが起きる場として「天虚」(非時間・非空間・無軌道の場で、量子もつれのみが起きると考えられる場)を想定しています。 左の図は「宇宙」と書かれています。空間と時間です。空間と時間は不並立によって分離された排反事象です。したがって文中の「宇宙」を"universe"や"space"と訳したので、英語の翻訳語としての「宇宙」を英語に戻すだけの作業に成ってしまい、江戸時代の文献の翻訳にはなりません。『玄語』は英語の翻訳後である現代日本語から見ればまるで外国語、それも辞書も手引きも何も無い外国語です。 『玄語』の解読には、杉田玄白がオランダ語のターヘル・アナトミア(Tabulæ Anatomicæ)の翻訳を試みたときと同じ苦労を強いられます。私は五十年以上の歳月をかけ、ほぼ独力で読み解きましたが、その苦労を理解してくれる人は誰一人いませんでした。 |