【玄語\小冊\人部\天人】74.txtの検索用訓読。 総ルビ訓読版  検索用原文



09732: 天地は若く立す〉

09733: 天神は若く成す》

09734: 大は能く小に散す〉

09735: 小は能く大に居す》

09736: 神本は気物に合す〉

09737: 動植は神本を分す》

09738: 神気は則ち性は情感に通し〉

09739: 本気は則ち精保し力立すに至れば》

09740: 則ち大小彼此は同じく相い有すと雖も。

09741: 然れども既に其の物を分して之に並ぶれば。則ち

09742: 彼れは本気に専らなり〉

09743: 此れは神気に専らなり》蓋し

09744: 植なる者は〉艸木なり〉水にして藻樹を為す〉

09745: 堅なれば則ち土石〉余生は則ち菌寓なり〉

09746: 動なる者は》鳥獣なり》水にして魚龍を為す》

09747: 堅なれば則ち甲介》余生は則ち虫豸なり》蓋し

09748: 動中感通の運は。是れ之を意と謂う。

09749: 感通は彼此を隔せずと雖も。

09750: 態を意に於て為すに至りては〉

09751: 則ち動は之を有し植は之を没す》

09752: 意を有すれば〉則ち其の為や〉卒に意を用いざるを獲ず〉

09753: 意を没すれば》則ち其の為や》卒に意を舍てざるを獲ず》

09754: 無意の為は則ち神〉成にして誠なり〉直に之を為と謂う〉      (直に=ただち)

09755: 有意の為は則ち人》成にして偽なり》亦た之を作と謂う》

09756: 虫豸甲介。魚龍鳥獣。偕に同じく意を有す。則ち其の境や人なり。  (偕=とも)

09757: 然りと雖も。意為の妙を極むるに至りては。

09758: 則ち変化鼓舞すること。孰れか人に優れん。故に

09759: 物よりして之を観れば〉則ち大は小を有す〉而して小中は動植並立す〉

09760: 人よりして之を観れば》則ち我は意為の妙技を有す》以て天神の為成に敵す》是に於てか。

09761: 含霊は人に属す〉

09762: 艸木は天に帰す》夫れ

09763: 人なる者は〉万物中の一物なり〉

09764: 意なる者は》万気中の一気なり》

09765: 大は能く小に給す〉故に

09766: 小は以て大に応す〉

09767: 一は能く二に之く》故に

09768: 散は終に専らにする所有り》是を以て。

09769: 小は大に応す〉

09770: 植は動に反す》

09771: 人は天地を開して〉而して本気を生と為す〉

09772:             神気を意と為す》

09773: 天は   感通の神〉営養の為を有す〉

09774: 人は資して心性の意》為技の作と為す》故に

09775: 意なる者は〉人の心性なり〉

09776: 作なる者は》人の為技なり》

09777: 情欲の天は〉感求を運す〉

09778: 意智の神は》智通を運す》故に

09779: 天なる者は〉神為天成す〉

09780:  有なれば則ち有り〉

09781:  無なれば則ち無し》

09782:  生すれば則ち生す〉

09783:  化すれば則ち化す》

09784:  廼ち天なり。

09785:  執りて隔する者は。則ち有に拘わり無に泥す。生に執し死に惑う。

09786:  智に舞い物を弄ぶ者は。有を無にし無を有にす。

09787:  生を不生とし。化を不化とし。抂げて模索を費す。     (抂げて=まげて)

09788:  常を以て度すれば〉則ち変に差う〉

09789:  己を以て比すれば》則ち物に違う》蓋し

09790:  気の物に於けるは。各成り各足らざる莫し。是れ物物の全なり。

09791:  耳目を有して視聴す〉

09792:  手足を有して舞踏す》

09793:  意を有して思弁す〉

09794:  技を発して営作す》

09795:  是れ人の全なり。

09796:  他の含霊の如き。似たりと雖も。而も思弁営作に拙し。

09797:  拙しと雖も。而も彼に於て足る。

09798:  其の佗は則ち耳目鼻舌。神霊機智を假らずして足る。故に

09799:  腸胃無くして活す。

09800:  根株無くして生す。

09801:  気息を有せずして存す。

09802:  心思無くして動す。而して

09803:  ※を見て蛇の行くを異む。                (異む=あやしむ)

09804:  鳥を見て魚の潜むを訝る。                (訝る=いぶかる)

09805:  己を以て物を窺うなり。

09806:  営せずして為す者は〉神なり〉

09807:  為して意無き者は》 天なり》

09808:  人に在るの一気は。精華にして神を為す。

09809:  是れ惟だ人のみ有する者なり。

09810:  彼の執りて拘わる者は。

09811:  以為らく己れ已に意を有す。而して視聴知弁す。      (以為らく=おもえらく)

09812:  天も亦た必ず意を有して。而して視聴知弁せん。

09813:      己れ已に意を有す。而して愛憎黜陟す。

09814:  天も亦た必ず意を有して。而して愛憎黜陟せんと。

09815:  生時の情態は已に是の如し〉

09816:  死後の情態も亦復是の如しと》              (亦復=また)

09817:  猶お瞽の文彩を思想し。

09818:    聾の律呂を思想するがごとし。

09819:  人の動物に於ける。同じく生の類なり。

09820:  而して猶お且つ己れを以て物に比す可からざるがごとし。

09821:  況んや天をや。故に羅網を下して漁する者は。

09822:  獲る所 失する所に勝らず。※※を引きて弋する者は。   (※※=そうしゃく。弋=よく)

09823:  中る所 逸する所に勝らず。

09824:  有意は以て之を得れば〉則ち

09825:  無意は従して之を失す》

09826:  天の成する所なり。故に

09827:  耳目を以て視聴す。

09828:  心志を以て窺Eす。亦た難き哉。

09829:  惟だ無意にして為す〉故に涓埃の微も為せざる莫し〉    (涓埃=けんあい)

09830:  惟だ作無くして成す》故に覆載の大も成せざる莫し》

09831:  天は能く容す〉孰れか得て之を逃れん〉

09832:  誠は能く成す》孰れか得て之をIわん》

09833:  天なる者は〉為して意無し〉

09834:        成して有せず〉故に為せざる莫し〉

09835:                 成せざる莫し〉

09836:  人なる者は》之を為に於て謀る》

09837:        之を成に於て営む》故に為せざれば則ち息む》

09838:                   成せざれば則ち敗る》

09839:  天は人に異なるに非ず〉

09840:  人は天に分るる者有り》

09841: 人なる者は》意を運し営を為す》

09842: 意為を用いる者は〉其の向う所に於て神巧なりと雖も〉

09843:          而も向わざる所に於ては則ち遺す〉

09844:          其の為す所に於て鼓舞すと雖も〉

09845:          而も為せざる所は則ち失す〉

09846: 意為を舍つる者は》神巧を事とせずと雖も》

09847:          而も成せざる所莫し》

09848:          鼓舞を用いずと雖も》

09849:          而も為せざる所莫し》

09850:  禽獣魚鼈なる者は〉有意の物なり〉

09851:  惟だ神巧の通を旋す所に於て少し〉故に

09852:  為す有りと雖も而も為せざること多し〉

09853:  艸木土石なる者は》無意の物なり》

09854:  運営の為技を假らず》

09855:  而して神誠の天神に任す》故に              (任す=まかす)

09856: 人なる者は〉智は能く物に通す〉

09857:       力は能く物に役す〉

09858: 天なる者は》通せざる所無し》

09859:       役せざる所無し》

09860: 天なる者は〉無意にして成す〉

09861: 人なる者は》有意にして作す》

09862:  物に在れば〉則ち神を以て天に対す〉

09863:  人に在れば》則ち人を以て天に対す》

09864:  其の分や如可。蓋し天地より万物に至りて物に非ざる者無し。

09865:  而して物中に物有り。

09866:  有意は其の神を為す〉

09867:  発作は其の技を為す》

09868:  是れ之を人と謂う。

09869:  人は物中に在りて。

09870:  以て人に非ざるを者を観れば。

09871:  則ち皆な無意を以て物と為す。

09872:  是に於て彼の天神を合す。而して以て天を為す。

09873:  人なる者は〉物中の一物なり〉

09874:  意なる者は》神中の一神なり》是の故に。

09875:  天神の分を以てすれば〉則ち人意も亦た神中の事なり〉

09876:  天人の分を以てすれば》則ち神為も亦た天中の事なり》故に

09877:  大分よりして之を言えば》則ち

09878:  性を以て徳を為す〉

09879:  才を以て道を為す》

09880:  人よりして之を言えば》則ち

09881:  我の有意の神を以て徳を為すを以て》

09882:  彼の無意の天の徳を為すを観》

09883:  以て我の不測の為を以て道と為すを以て》

09884:  彼の無作の成の》天の道と為すを観る》

09885:  天人は同じからずと雖も。而も其の気を為すは則ち同じ。

09886:  気を為すは則ち同じと雖も。意の有無を反す。故に

09887:  天なる者は〉無意にして為す〉

09888:        無作にして成す〉

09889:  人なる者は》有意にして為す》

09890:        作にして成せず》

09891:  物を以て之を分す〉

09892:  天地山海〉

09893:  艸木土石〉

09894:  意を具せざる者は〉天の属なり〉

09895:  鳥獣魚鼈》

09896:  介蝦虫豸》

09897:  意を具する者は》 人の属なり》

09898:  事を以て之を分すれば》

09899:  無意にして成すは〉天の事なり〉

09900:  有意にして作すは》人の事なり》

09901:  人は此を以て為す〉

09902:  天は此を以て成す》

09903:  死生通塞なる者は〉天なり〉

09904:  殺活与奪なる者は》人なり》

09905:  殺活与奪の為は。死生通塞の成に遇す。

09906:  然り而して殺活与奪の人なる者は。亦た彼と我とを隔す。

09907:  我なる者は。我の之を如何ともす可き者なり。

09908:  我に非ざる者は。我の之を如何ともす可き所の者に非ず。

09909:  我の之を如何ともす可き者は〉     我より致せば〉則ち我の人なり〉

09910:  我の之を如何ともす可き所に非ざる者は》彼より至れば》則ち我の天なり》

09911:  且つ一身の立する所も。亦た神本のみ。

09912:  神気は有意を以て発す〉

09913:  本気は無意を以て立す》

09914:  是に由りて之を観るに。天人に大段四有り。

09915:  意を具する者を挙げて意を具せざる者に対する。一なり。

09916:  人を以て天に対する。二なり。

09917:  彼を以て我に対する。三なり。

09918:  本を以て神に対する。四なり。

09919: 無意なる者は〉天徳〉人を以て之を観れば則ち公なり〉

09920:  無意なる者は〉天徳なり〉人は之に法らざる可からず〉

09921:  有意なる者は》人徳なり》人は之を修めざる可からず》故に

09922:  人は其の人徳を修すれば〉則ち善に意有り〉

09923:    其の天徳に荒すれば》則ち善に意無し》

09924:    其の天徳に法れば》 則ち不善に意無し》

09925:    其の人徳に荒すれば》則ち不善に意有り》故に

09926:  聖も亦た人なりと雖も。運用して以て物に体す。故に

09927:  其の徳や天なり。

09928:  若し女の有意を舍てて〉以て事に無意に従い〉         (女=なんじ)

09929:    彼の無意を舍てて〉以て事に有意に従えと曰わば〉則ち失す〉

09930: 有意なる者は》人徳なり》天を以て之を考えれば則ち私なり》

09931:  意なる者は。人の得て有する所の徳なり。

09932:  之を呼びて無意と曰うと雖も。

09933:  機を含み智を使う。惟だ

09934:  有意に執る者は〉天を知らざるなり〉

09935:  無意に任す者は》人を忘るるなり》

09936:  善に意を有すれば〉則ち不善に意無し〉

09937:  殺に意を有すれば》則ち活に 意無し》

09938:  択びて宜しきに従う。是れ之を修と謂う。

09939: 成する者は天道なり〉人を以て之を観れば則ち誠なり〉

09940:  斐然として章を天地に於て成す〉

09941:  粲然として跡を往来に於て成す》

09942:  微も之を隠さず〉

09943:  久も之を舍てず》

09944:  原原として来る〉

09945:  常常として継ぐ》

09946:  天の道なり。

09947:  今涓滴を海に棄つ〉

09948:  海水増すと曰わば〉 人信ぜずと雖も〉 而も誠の道なり〉

09949:  海水増さずと曰わば》人之を信ずと雖も》而も欺の事なり》

09950:  冥冥は見難し〉

09951:  昭昭は知り易し》

09952:  日月の明は〉繊毫も暗を容れず〉 是を以て穿鍼の隙も〉明を通せざる莫し〉

09953:  造化の行は》須臾も休息の間無し》是を以て弾指の頃も》逝く者を駐めず》

09954:  宇宙万分芥子の一も。誠亡くんば則ち之が為に尽きん。

09955:  薫は薫をIわず〉

09956:  蕕は蕕をIわず》

09957:  宇宙に充てて足らざる無し〉

09958:  忽微に入りて贏余無し》是れ

09959:  無意の公は〉無為の誠なり〉

09960:  有意の為は。則ち然らざるなり。

09961:  之を顕せんと欲すれば〉則ち微を以て大を為す〉

09962:  之を隠せんと欲すれば》則ち大を以て微を為す》

09963:  内は東を求めて〉而して外は則ち西す〉

09964:  為は進を為して》而して意は則ち退く》是を以て。

09965:  若し天地の転持をして。人の有意の如くならしむれば。則ち

09966:  時有りて之を作す〉

09967:  時有りて之を廃す》

09968:  之を転して已まず〉

09969:  之を持して息わず》                 (息わず=いこわず)

09970:  之を為すに悦ぶ〉

09971:  之を継ぐに倦む》

09972:  天人の反を観る可し。

09973:  故に無意の吉凶を観て。

09974:  以て有意の酬醋と為す。

09975:  誠偽の分を知らざるなり。

09976:  若し夫れ善を為して尽く福有らば〉利者先んじて為さん〉

09977:     不善を為して尽く禍有らば》怯者先んじて避けん》

09978:  那ぞ君子を待ちて以て之を為さん。

09979:  不善を為して福多く〉

09980:  善を為して禍多ければ》

09981:  人 将た何んか適かん。蓋し         (何んか=いかんか。適かん=ゆかん)

09982:  天なる者は〉愛憎酬醋に意無し〉

09983:  人なる者は》愛憎酬醋に意有り》

09984:  不善人と雖も〉而も積めば則ち富せざるを得ず〉

09985:  善人と雖も》而も散ずれば則ち貧せざるを得ず》

09986:  暴戻なりと雖も〉而も強ければ 則ち力争い難し〉

09987:  方正なりと雖も》而も覆わるれば則ち勢支え難し》

09988:  事は両全なること難し〉

09989:  勢は平を持すること難し》

09990:  惟だ誠の所在に於て成る。

09991:  有意を以て之を矯むる可からず。

09992:  善なる者は〉 人は偕に之を欲す〉

09993:  不善なる者は》人は偕に之を悪む》

09994:  偕に欲す所の者は〉衆 之に帰す〉

09995:  偕に悪む所の者は》衆 之を棄つ》

09996:  理は勢を以て之を晦ます可からず〉

09997:  心は力を以て之を服する可からず》

09998:  邪は之を屏けんと欲す〉

09999:  正は之を挙げんと欲す》

10000:  仇は之を酬いんと欲す〉

10001:  徳は之を報いんと欲す》

10002:  意の向かう所。天は之を如何ともする能わず。是に於て。

10003:  人為の天成に遇するも。其の遇の參差すること。市人の迭いに面するが如し。

10004:  竊鈎の人にして〉而して竊鈎の禍を獲る〉

10005:  分飯の人にして》而して分飯の福を獲る》

10006:  有司の察察たる者と雖も。尚お堪えざるなり。

10007:  縦い能く察察として之に堪うるも。

10008:  而も豈に有徳者の為す所ならんや。

10009:  人の徳有りてすら。猶お且つ為さず。

10010:  而るを之を天に望んで。

10011:  一善を行いて〉 而して一報を求むる〉

10012:  一不善を拾いて〉而して一報を指さす》

10013:  天は豈に交易を以て道と為さんや〉

10014:  繊毫の善不善に於ては》則ち之を省みず》

10015:  其の大なる者を以て之を禍福すとならば》

10016:  則ち苟安を以て謀と為すなり》

10017:  天は豈に苟安を以て謀と為さんや》

10018:  然り而して其の一毫の功過も。遂にIう可からず。

10019:  猶お千鈞の衡。錙銖を増減して。人未だ覚らず。

10020:  衡未だ移らざるが如しと雖も。而れども冥冥として移る者は。

10021:  竟にIう可からず。是に於て。

10022:  海に棄つるの涓滴は。終に之を没す可からず。

10023:  知らざる者は〉以て冥冥と為す〉

10024:  知る者は》  以て昭昭と為す》

10025:  智愚の以て分るる所なり。是を以て

10026:  其の有力者は〉進みて権を移し〉

10027:    無力者は》退きて権を移す》

10028:  賢否の以て分るる所なり。

10029: 作なる者は人道にして》天を以て之を考えれば則ち偽なり》

10030:  已に一物を為す〉

10031:  已に一気を為す》

10032:  己を有するの気物なり。

10033:  別して混有する者を観れば。

10034:  則ち己を有する者は。各自に私す。

10035:  己を有するの私よりして。而して

10036:  混有する所の者を観れば。則ち彼や公なり。故に

10037:  我の有意よりして。而して無意を天に於て謂う。

10038:  有意の私よりして。而して公を彼に於て謂う。

10039:  私とは〉人意の謂なり〉

10040:  偽とは》人為の謂なり》故に

10041:  意は天下を安んずるに在ると雖も〉而も天より之を観れば〉則ち私なり〉

10042:  修めて聖人に至ると雖も》    而も天より之を観れば》則ち偽なり》

10043:  既已に人なり。私偽は公誠に反して。人の賊を為す。是を以て

10044:  人の公誠や〉天に法るなり〉

10045:  其の私偽や》人に任すなり》

10046:  故に人に対して天を言う者は。則ち人を除けば則ち其の対を失す。

10047:  神に対するの天。機に対するの誠の如きは。人を假らずして存す。

10048:  意智情欲なる者は〉我の意なり〉

10049:  運用言動なる者は》我の作なり》

10050:  分すれば。則ち運用は為を為す〉

10051:         言動は技を為す》夫れ

10052: 内に有する者は〉徳なり〉

10053: 外に発する者は》道なり》

10054: 神は内具の心性を運用して。

10055: 以て言動の為を外に於て発す。

10056: 人は有意にして殺活与奪を為す〉

10057: 天は無意にして死生通塞を成す》

10058: 天人の交接。其の事は無窮なり。此の故に

10059: 修する者は則ち志し〉

10060: 治する者は則ち業し〉人為を立す〉

10061: 往する者は則ち当し》

10062: 来する者は則ち遇し》天命を成す》

10063: 人為は則ち天準の在する所なり〉

10064: 天命は則ち人事の帰する所なり》

10065:  人事の重きは。生化天命なり。

10066:  生化なる者は。聚散解結の往来なり。故に

10067:  生化は天命の外に非ず。是を以て。

10068:  生化なる者は〉神為なり〉

10069:  天命なる者は》天成なり》

10070:  神為を以てすれば〉則ち往来は主にして〉而して当遇は客なり〉

10071:  天成を以てすれば》則ち当遇は主にして》而して往来は客なり》

10072:  此の故に。感応往来の生化〉

10073:       当遇会違の天命》以て分し以て合す。

10074:  常変は無窮なり。是を以て。時の没体〉

10075:               物の露体》則ち異なると雖も。而も

10076:  来すれば則ち之を生し〉往すれば則ち之を化す〉往来は主なり〉

10077:  来すれば則ち之に当し》往すれば則ち之に遇す》当遇は主なり》

10078: 人は神を以て躯を御して。自佗を隔つ。

10079: 而して各おの其の神を運す。故に

10080: 内に具する者より択べば〉則ち善悪是非存す〉

10081:  枝幹有り〉栄枯有るは〉木の同じくする所なり〉

10082:  曲直疎密》寿夭肥瘠は》木の独りする所なり》

10083:  

10084:  人は其れ、孰れか独りする者無からん〉 独りする者 同じくする者に勝てば〉則ち小人なり〉

10085:       孰れか同じくする者無からん》同じくする者 独りする者に勝てば》則ち君子なり》

10086:  同じくする者無くんばある可からざるなり。故に

10087:  其の為に未だ尽く善に出でざれども〉

10088:  其の大なる者 立すれば〉則ち令名を失わず〉

10089:  其の為に未だ尽く不善に出でざれども》

10090:  其の大なる者 誤まれば》則ち醜名を免れず》

10091:  不善者と雖も〉豈に細行の拾う可き無からんや〉

10092:  善者と雖も》亦た豈に瑣事の貶す可き無からんや》故に

10093:  其の美を拾いて之を誉むれば〉  則ち以て其の不美を掩う可し〉

10094:  其の不美を挙げて以て之を毀れば》則ち以て其の美を掩う可し》

10095:  叱咤は〉戻声なり〉而れども愛する者〉豈に叱咤の声 無からんや〉

10096:  唯喩は》和声なり》而れども戻る者》 豈に唯喩の声 無からんや》

10097:  巧に美を衒えば〉則ち固に不善と雖も〉而も世は必ず沾沾として以て相い誉む〉

10098:  不幸にして不美を為さば》則ち固に善と雖も》而も世は必ず※※として以て※※す》

10099:  密に窺い陰に謀り〉富を致し貴を致す〉之を見れば則ち秩然として序有り〉

10100:  之を望めば則ち厳然として儀有り〉

10101:  之に就けば則ち敬にして恵なり〉

10102:  之を去れば則ち愛にして思う〉

10103:  之を訟うれば則ち能く折る〉

10104:  之を諌むれば則ち能く聴く〉

10105:  孰れか其の不善を知らん〉

10106:  微を知り機を見て》悪を未萌に截し》乱を未発に誅す》

10107:  慮ること有りて 或いは恕せず》

10108:  憂うること有りて或いは假さず》

10109:  言いて時好に投ぜず》

10110:  立して時勢に趨かず》

10111:  孰れか其の善を知らん》

10112:  声主 慎しむ可し。

10113:  豈に軽がるしく毀誉を為し易からんや。

10114:  豈に軽がるしく毀誉を聴き易からんや。

10115:  瑜は瑕を掩わざる有り〉然れども玉は則ち玉なり〉

10116:  文は以て質を飾る有り》然れども石は則ち石なり》

10117:  噫 玉は  相し易からず〉

10118:    石も亦た弁じ易からず》

10119: 外に発する者に就きて観れば》則ち守禦虚実作る》

10120: 動の事は〉守禦より出す〉

10121: 言之事は》虚実より出す》

10122:  戯調すれば則ち己に誇り〉

10123:  抗衡すれば則ち他を察せず〉

10124:  争えば則ち競う〉

10125:  妬めば則ち忌む》

10126:  之を内にすれば則ち護る〉

10127:  之を外にすれば則ち訐る》             (訐る=そしる)

10128:  守禦の間。声主は參差す。此の故に。

10129:  名を正して実を正さず〉 正声を以て人を欺くなり〉

10130:  実を抂げて名を直す》  直声を以て自ら売るなり》

10131:  実を務めずして名を張る〉虚声を以て天を欺くなり〉

10132:  実を有して名を悪む》  実声を以て人を尤めるなり》  (尤むる=とがめる)

10133:  世に未だ主を知らずして謾に之を呼ぶ者有り〉    (謾=いつわり)

10134:  主に遇いて未だ名を得ざる者有り》

10135:  同主にして異声なる者有り〉

10136:  同声にして異主なる者有ち》是を以て。

10137:  激言は実を過ぐ。

10138:  ※言は実を遷す。

10139:  暴言は実を傷つく。

10140:  佞言は実を溢す。

10141:  惑言は実を失す。

10142:  盗言は実を偸す。

10143:  淫する者は其の言 私す。

10144:  窮する者は其の言 遁る。

10145:  忌む 者は其の言 沮む。

10146:  畏るる者は其の言 縮む。

10147:  毀誉褒貶は〉声なり〉

10148:  善悪美醜は》主なり》

10149:  主は能く声を為すと雖も》声も亦た能く主を移す》

10150:  声主称えば則ち可なり〉              (称えば=かなえば)

10151:  称えざれば則ち冤憤忿怒〉誤謬過失〉此れに由りて興る。故に

10152:  自ら蔵する所の者は〉石なり〉而して

10153:  諛人は其の名を玉にして以て媚を献ず〉       (諛人=ゆじん)

10154:  眩者は知りて自ら強いる〉

10155:  愚者は知らずして之を宝とす〉

10156:  其れ惟だ智者や〉之を聞きて懌ばず〉

10157:  是れ声の美を悪むに非ず〉

10158:  虚名の主に益無きを悪むなり〉

10159:  自ら蔵する所の者は》玉なり》而して

10160:  妬者は其の名を石にして以て之を排す》

10161:  褊者は知りて慍る》

10162:  愚者は知らずして棄つ》

10163:  其れ惟だ智者や》之を聞きて自若たり》

10164:  是れ名の不美を愛するに非ず》            

10165:  虚名の主を累わすに足らざるを知るなり》       (累わす=わずらわす)

10166:  苟くも声は主に称わざれば。

10167:  則ち美醜は同じく不智に帰す。

10168:  褒揚貶抑。実と乖馳す。               (乖馳=かいち)

10169:  君子は豈に爾く為さんや。是を以て          (爾く=しかく)

10170:  名を以て主を蔽う者は〉不肖なり〉

10171:  名を以て主を疑う者は》不明なり》

10172:  名を以て主を蔽う者は〉又た名を以て主を浮す〉

10173:  名を以て主を疑う者は》又た名を以て主を信ず》

10174:  以て人に上り難し〉

10175:  以て人に下り難し〉

10176:  以て事に通ず可からず〉

10177:  以て物に体す可からず》

10178:  人を以て人を誤るも。其の失は猶お斯くの如し。

10179:  況んや人を以て天を誤る者をや。

10180:  声主は称わざれば。則ち以て事物を正すに足らず。

10181:  豈に天人を語る可けんや。夫れ

10182: 質の有無なる者は〉天地の分する所なり〉

10183: 意の有無なる者は》天人の分する所なり》故に

10184: 天なる者は〉無意にして為す〉作さずして成る〉

10185: 人なる者は》有意にして作す》作さずして成らず》

10186:  質の有無なる者は〉天地の分なり〉

10187:  意の有無なる者は》天人の分なり》

10188:  天人は気を同じくす。而して

10189:  人なる者は〉有意にして作す〉

10190:  天なる者は》無意にして為す》

10191:  其の為すこと豈に同じからんや。

10192:  夫れ自使なる者は。勢力の分なり。

10193:  水火を挙げて之を言うに。

10194:  之をして水にして卑きに就かしむ〉

10195:  之をして火にして高きに之かしむ》

10196:  是れ神為の力の使然なり〉

10197:  水の卑きに就かざるを得ず〉

10198:  火の高きに之かざるを得ず〉

10199:  是れ天成の勢の自然なり》

10200:  人なる者は。気物なり。気なる者は必ず為す。

10201:  然り而して有意の気為は。無意の気為と。同じからざるなり。故に

10202:  混言すれば則ち同じく之を為と言うと雖も。

10203:  為 自ら殊なる有り。故に之を分して。

10204:  無為の為は〉之を為と為す〉

10205:  有意の為は》之を作と為す》

10206:  分ちて人作と為すと雖も。元と神為中の事なり。故に

10207:  或いは為作を通じて言えば。

10208:  夫れ気為天成は。事 会違に属す。

10209:  其の間や。譬えば越人の胡に之き。胡人の越に之くが如し。

10210:  其の之くは〉気為なり〉而して

10211:  其の会違は》天成なり》

10212:  天成とは何ぞ。

10213:  其の会するや〉或いは江に於てす〉或いは河に於てす〉

10214:  其の違するや》或いは江に於てす》或いは河に於てす》是を以て。

10215:  天成は気為に外ならずと雖も。而れども

10216:  天成は気為と同じからざるなり。是を以て。

10217:  為せざれば則ち成せずと雖も。而も成は則ち為ならず。故に

10218:  明暗寒熱なる者は〉気なり〉為を以て言う〉

10219:  昼夜冬夏なる者は》天なり》成に由て言う》

10220:  為せざれば則ち成せず〉  故に天は気に於て一なり〉

10221:  成するは則ち為するに非ず》故に気は天に非ざるなり》是の故に。

10222:  天人を分して之を言えば〉則ち気為は天中の事なり〉

10223:  天神を分して之を言えば》則ち人為は気中の事なり》

10224:  是れ各主各声の統する者有る所なり》故に

10225:  通塞生化は〉気 之を為す〉

10226:  与奪殺活は》人 之を為す》

10227:  而して其の成なる者は為に非ず。故に

10228:  気道なる者は為す〉

10229:  天道なる者は成す》

10230:  或ひと曰く成る有れば則ち敗有り〉

10231:  天道は独り成る有りて敗無きかと。

10232:  曰く。天成なる者は。人為と対する者なり。

10233:  成敗は経営中の事なり。

10234:  猶お地に対するの天と。人に対するの天と同声にして。

10235:  而して主を同じくせざるがごとしと。

10236:  且つ成れば敗るる有り。為の已むこと有ると同じ焉。夫れ

10237:  人なる者は〉意を以て度る〉

10238:        作を以て営む》

10239:  其の生ぜんと欲するに方りてや〉                (方りて=あたりて)

10240:  生を以て成と為し〉死を以て敗と為す〉

10241:  死せんと欲するに方りてや》

10242:  死を以て成と為し》生を以て敗と為す》

10243:  意の向う所に因りて。而して主転じて声換る。

10244:  之を活すれば則ち活成る。

10245:  之を殺すれば則ち殺成る。

10246:  是れ殺活同じく成るなり。是を以て。

10247:  天の成は為と居を同じくす。故に成らざる莫きなり。

10248:  夫れ人の成は。敗と対を為す。

10249:  故に成有り不成有り。

10250:  故に不成と曰う。是を以て。

10251:  天より之を観れば〉人為と気為とは〉同一事にして〉以て天成に対す〉

10252:  人より之を観れば》則ち気は之を為し》而して天は之を成す》

10253:  我が作中の成敗と対を為す》

10254:  気為の天成と対する〉

10255:  譬えば猶お東西は〉天なり〉

10256:       升降は〉地なりと曰うがごとし〉

10257:  正当平分を以て言う者なり〉

10258:  気為天成を合して天成なり》而して人為と対する者は》

10259:  譬えば猶お雲雨も亦た東西する者と同じく天なりと曰うがごとし》

10260:  我よりして分するなり》

10261: 物は分し体は備す。

10262: 人は天に交す〉

10263: 我は彼に接す》

10264: 天人物我の間。

10265: 心性の神霊は〉為技に感運す〉

10266: 天神の為成は》彼我に交接す》

10267: 意智は〉情の適否なり〉

10268: 智弁は》事の当否なり》故に

10269: 虚実守禦の間。   善悪是非を生ず。故に

10270: 人は虚実守禦を以て。善悪是非に当る。故に

10271: 殺活与奪の事有り。成功を天に帰す。

10272: 夫れ天なる者は。万物往来す。而して吉凶失得す。

10273: 其の為は不測にして〉   其の変は無窮なり〉  故に神なり〉

10274: 其の成は辞ず可からずして》其の誠はIう可からず》故に天なり》

10275: 物なる者は〉天の体を以て整斉して成するなり〉

10276: 事なる者は》神の用を以て為して変錯するなり》此の故に。

10277: 天人は物〉而して

10278: 為成は事なり》

10279: 物は〉則ち性を有し才を発す〉

10280: 事は》則ち気を交し体を接す》

10281: 其の無意を有意にして》以て作を天に望む》

10282: 趨舍を己に同じくして》以て成を人に求む》

10283: 望みて遂げざれば則ち怨む〉

10284: 求めて得ざれば 則ち尤む》                 (尤む=とがむ)

10285: 天人を知らざる者なり。

10286: 感応は〉気の往来なり〉

10287: 酬醋は〉体の往来なり》

10288: 是を以て。人は作すこと有れば。

10289: 則ち物を取りて己の有と為す。

10290:  人なる者は〉物を身の外に取りて〉以て之を有す〉

10291:  物なる者は》物を身の外に取る有りと雖も》而も之を有せず》

10292:  是れ人と物との分なり。故に

10293:  土地を取りて以て之を有する者は則ち君なり〉

10294:  之を有すること能わざる者は則ち民なり》

10295:  貨財を取りて以て之を有する者は則ち富なり〉

10296:  之を有する能わざる者は則ち貧なり》

10297:  治乱なる者は〉取舍与奪の事なり〉

10298:  興廃なる者は》失得存亡の事なり》

10299:  無ければ則ち之を得るを謀る〉

10300:  有れば則ち之を失うを恐る》

10301:  得て之を有すれば〉則ち意満ちて驕る〉

10302:  求めて得ざれば》 則ち心沮みて苦しむ》是を以て。   (沮みて=はばみて)

10303:  其の取るや人予えて我れ之を取る有り〉

10304:       人惜みて我れ之を奪う有り》

10305:  人護りて我之を竊む有り〉

10306:  人拒みて我之を害する有り》

10307:  或いは欺き或いは劫かす》               (劫かす=おびやかす)

10308:  窮達栄辱は之に繋がる〉

10309:  喜怒哀楽は之に由る》

10310:  治乱興廃は之に本づく〉

10311:  貴賎貧富は之に分かる》而して

10312: 其の物は則ち人に非ざるなり。

10313:  水火艸木なる者は〉皆な天なり〉

10314:  水を飲みて以て渇を医す》

10315:  艸を茹でて以て饑を療す》

10316:  火を鑽りて烹》木を※りて以て巣づくる者は》皆な人なり》 (※りて=けずりて)

10317:  人を以て天を窺う。  

10318:  則ち皆な人の為に之を設くるが如し。

10319:  然れども無意は用を有意に期するに非ず。

10320:  有意は無意の物をして。能く用を己に於て為せしむるなり。

10321:  左足を生ずるは〉豈に右足の為ならんや〉

10322:  右手を生ずるは〉豈に左手の為ならんや〉

10323:  牙※の為にして歯を生ぜず〉

10324:  蟻蜥の為にして膚を生ぜず》是を以て。亦た

10325:  虎狼の為に人を生ぜず〉

10326:  暴主の為に民を生ぜず》

10327:  万物は相い依す。而して足らざる者無し。

10328:  若し人の為にする有りと曰わば。則ち天の人に私するなり〉

10329:  人を以て天を窺うなり》故に

10330: 往来聚散。生化消長。有無小大。美醜強弱を成す者は。天なり。

10331: 喜怒愛憎。欲悪親疏。酬醋黜陟。分別思索。機智変巧なる者は。人なり。

10332: 有意なれば則ち彼の来する者 聚する者〉

10333:          生する者 長する者〉

10334:          有なる者 大なる者〉

10335:          美なる者 強なる者を観れば〉則ち之を喜び之を愛し〉之を欲し之に親しむ〉

10336:        彼の往する者 散する者》

10337:          化する者 消する者》

10338:          無なる者 小なる者》

10339:          醜なる者 弱なる者を観れば》則ち之を怒り之を憎み》之を悪み之を疏んず》

10340: 是れ天人の相い応する所と雖も。而も其の合に非ざるなり。

10341: 応と不応と。吉凶失得出づ。而して

10342: 治乱興廃定まる〉

10343: 賢愚邪正分るる》

10344: 惟れ有意を以て無意なる者を観て。人を以て天を窺うなり。之を窺Eと謂う。

10345:  美醜は物に在り〉天なり〉

10346:  美醜を分かつは我れに在り》人なり》故に

10347:  美物に羨有らず〉

10348:  醜物に不足靡し〉

10349:  本と美醜に意無ければなり〉

10350:  美なれば則ち自ら足る》

10351:  醜なれば則ち満たず》

10352:  已に美醜に意有ればなり》是を以て

10353:  美人は〉之を鑑るに鏡を以てし〉之を方ぶに醜を以てし〉    (方ぶ=くらぶ)

10354:  始めて能く其の美を分かつ〉

10355:  醜人は》之を鑑るに鏡を以てし》之を方ぶに美を以てし》

10356:  始めて能く其の醜を分かつ》

10357:  既已に意を以て之を分かつ。

10358:  則ち美者は其の美に矜り〉醜者は醜を羞づ〉

10359:  未だ意有りて醜を分かたざれば〉

10360:  何を以てか其の美に矜るを為さん〉

10361:  未だ意有りて美を分かたざれば〉

10362:  何を以てか其の醜を羞づるを為さん〉

10363:  美醜は〉物なり〉生に萌し〉形に成す〉

10364:  愛憎は〉人なり〉機に分し〉勢に長す〉是の故に。

10365:  美醜無くんば則ち已まん〉

10366:  美有れば則ち醜無きこと能わず〉

10367:  醜有れば則ち美無きこと能わず〉

10368:  善悪無くんば則ち已まん》

10369:  善有れば則ち悪無きこと能わず〉

10370:  悪有れば則ち善無きこと能わず》

10371:  故に猫狗は食を争うに方りてや〉

10372:  相い嚼みて餘怒無し〉

10373:  是れ未だ始めより彼の親しむ可きを知らざるなり〉

10374:  食らい尽くすに方りてや〉

10375:  相褻して餘愛無きに及ぶも》

10376:  亦た未だ始めより彼の疏んず可きを知らざるなり》

10377:  未だ親に意有らず〉奚んぞ疏を嫌わん〉

10378:  未だ疏に意有らず》奚んぞ親を厭わん》

10379:  美醜は無意に於て成す〉

10380:  善悪は有意に分かる》

10381:  今 其の有意に於て分るる者を以て。

10382:  諸を無意に求む。不通を致す所なり。然り而して

10383:  美醜なる者は〉有形の物なり〉

10384:  善悪なる者は》無象の意なり》

10385:  美は必ずしも善ならず》

10386:  醜は必ずしも悪ならず》

10387:  錯綜は以て章を成すなり。故に

10388: 彼の往来聚散。

10389:   生化消長。

10390:   云云なる者を観て。

10391: 是非善悪を分別し。酬醋黜陟を指示す。

10392: 似たりと雖も。夢思夢語。達者は與らず。

10393:  道傍に一木片有り。

10394:  過ぐる者は以て棄材と為して収めず。

10395:  困者有りて。取りて以て枕と為して憩う。

10396:  重ねて過ぐる者は。取りて以て屐と為す。

10397:  乞児有り。又た余片を拾いて以て之を薪とす。

10398:  棄てて収めざれば。則ち棄材なり。

10399:  臥して之を籍けば。則ち果して枕なり。

10400:  ※りて之を履けば。則ち果して屐なり。

10401:  燧を鑽りて之を火にすれば。則ち果して薪なり。

10402:  片木は棄不棄に意無し〉

10403:     用不用に意無し》

10404:  棄つれば則ち棄材なり〉

10405:  用うれば則ち用材なり》

10406:  有意を以て之を観れば。宛も棄材の如し。        (宛も=あたかも)

10407:             宛も用材の如し。

10408:             宛も供枕の如し。

10409:             宛も供屐の如し。

10410:             宛も供薪の如し。是の故に。

10411:  論弁は苟くも好む所に僻し。従う所に淫すれば。

10412:  果して明拠有りと雖も。亦た夢のみ。

10413: 是の故に。君子は天徳に通ず〉

10414:         天道を奉ず〉

10415:         人徳を修む》

10416:         人道を治む》

10417: 心痼し目盲する所有れば。

10418: 則ち竟に此に出ずる能わず。是の故に。

10419: 人は混混に処し。

10420:   粲粲に応ずれば。則ち之を用いるに尽きる無し。

10421: 粲粲を数えて。而して混混を見ず。智力は将に窮せんとす。

10422: 混として粲たらず〉

10423: 虚を踏み空に駕す〉

10424: 風を捕え影に繋ぐ〉

10425: 事物を贅瘤にす〉

10426: 彝倫を土塊にす〉

10427: 粲として混ぜず》

10428: 死生に惑いて》

10429: 物と我とを隔つ》

10430:  己れ能くせざれば〉則ち人をして之を能くせ使む〉己の能なり〉

10431:  己れ達せざれば〉 則ち人をして之を達せ使む〉己の達なり〉

10432:  己れ能わざれば》 則ち其の不能を護して》人の能を嫉む》

10433:  焉んぞ得て其の不能を護せん》

10434:  己れ達せざれば》 則ち其の不達を悪んで》人の達を妨ぐ》

10435:  焉んぞ己の達を得ん》

10436:  物と我と相い通ずれば〉則ち両手の相護するが如し〉

10437:  隔つれば》則ち痿人の自ら厭うが如し》

10438: 禍福に驚き》吉凶に困しむ》

10439:  一郷に火有り。家家 老を扶け幼を携う。

10440:  蓬累負荷して奔る〉

10441:  貧人有り。佗の室を借りて居す。

10442:  亦た妻子無し。火の起るを熟視し。

10443:  徐に起きて緩に避け。塗に一壷の遺りたるを見て。

10444:  因りて傾けて之を飲み。

10445:  頽然として酔い。

10446:  恬然として観る。

10447:  是の人初め慶賀福沢を積まず。

10448:  是の日に於てか。失も無く憂いも無し。

10449:  是の日に大憂の人は〉

10450:  佗の日に大歓の人なり》

10451:  是の日に少失の人は〉

10452:  佗の日に少得の人なり》故に

10453:  得て失わざるを欲し〉

10454:  生きて死なざるを欲するは》

10455:  愚に非ざれば則ち妄なり。

10456:  知りて之を厭い。吉凶得失の境を出でて。

10457:  高踏して顧みざるも。亦た世と異なるなり。

10458:  知りて惑わず。能く其の間に処す。

10459:  謂う可し 之を得なりと。

10460:  吉凶の相い依り。禍福の相い根ざすは。事の常なり。是の故に。

10461:  辱の道を以てして栄を求め。

10462:  損の道を以てして益を求め。

10463:  死の道を以てして生を求め。

10464:  危の道を以てして安を求むるは。

10465:  哲人の畏るる所にして。衆人の履む所なり。

10466: 之を動かせば則ち纏う〉

10467: 之を転ずれば則ち糊す》故に

10468: 其の象形を熟視す。

10469: 其の声音を熟聴す。

10470: 其の情性を熟識す。

10471: 此れを以て之を呼ぶも。猶お且つ其の主を誤る。

10472: 況んや其の象形。目の洞す可きに非ざるなり。

10473:    其の声音。耳の※す可きに非ざるなり。

10474:    其の情性。模索思量す可きに非ず。

10475: 之を順呼して応ぜず〉

10476: 之を逆呼して戻らず》

10477: 是を以て之を天地の主〉万物の祖と為せども〉而も貴を加えず〉

10478: 之を瓦礫糞壌と為せども》而も賎を加えず》

10479: 之を捨つれば則ち髣髴として手に在り〉

10480: 之を取れば 則ち洪蕩として無垠なり》故に

10481: 玄ならざるに於て玄莫し〉是を以て

10482: 玄なるに於て玄ならざるは莫きなり》




inserted by FC2 system