【 校 異 】
朱で図名と長い注記が書かれている。朱の訂正は梅園のものである。図の中の訂正も
朱のものは梅園のものである。ただし、老齢のゆえの衰えであろうか、思考が混濁してい
るように思われる。墨の訂正はおそらく広角のものであろう。
自筆稿本を見ると、下図のように訂正されている。
「行」の字は棒線で消されているが、「動転」を「爲成」に変更するのは間違いである。
これは三浦広角の無理解による誤解であろう。
左の「技」は○で消されてもとの字に戻されている。ここは雌雄の交わりを言うのであ
るから「交接」のままでよいのであるが、訂正の仕方からしても、迷いのあることが分か
る。この図の訂正は、訂正と言うよりも「混乱の記録」と言った方がよい。
岩波版では、P592, 図番125で、訂正文字が採用されて以下のようになっている。
この図を見ただけでは、上記のような訂正の過程は分からない。この訂正が間違いなく
梅園のものだとする証拠はないが、訂正前の図は間違いなく梅園の筆である。しかし、概
念の整合性から推理すれば、訂正を採用するのはどうかと思う。ことに、