校 異




 図の名称がこのように訂正されている。下の2文字は右から「属體」である。
これを「水燥図」とするのは無理である。「水燥」(海と大気)は、地球とその
近傍にしか適用できない。地球を中心とした惑星の配列と恒星とさらにその外ま
でを描いたこの図を「水燥図」として良いわけがない。これは黄鶴の訂正と判断
して良いであろうが、それにしても乱暴である。              

 梅園は、「転図-属體-」とし、次を「運図-属色-」としたのである。つま
地球中心の世界を「体」、太陽中心の世界を「色」として条理的に2分化してい
る。この意味での「色」を図からことごとく消し去ったのが、こんにち流布して
いる『玄語』である。「天機性体」の「性」とこの「色体」の「色」は概念の位
相が異なるのである。                          

 当サイトでは、これを黄鶴の無理解による誤解と判断しているが、後世の研究
は黄鶴の誤解に従っている。版下や写本をそのまま研究用底本としたが故の大失
敗である。この失敗の原因は黄鶴にあるのではない。黄鶴の校訂・版下製作は偉
業であると言って良い。それを無反省に踏襲してこの失敗を繰り返している現今
の学者たちが犯している失敗である。                   

 ちなみに「転図」は「日周運動図」という意味である。これを「海洋大気図」
という意味の「水燥図」に置き換えて良いはずがない。           

 岩波版(P584, 図番99)は、梅園の思考ではない。こちらへ。       

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