検索用復元版テキスト


 トロンコードから出力された文字の中で、UTF-8にないものは&T形式のまま残した。これらはPDF版で確認されたい。
なお、台湾コードに変換したものは、ブラウザでの表示は出来るが、エディタその他で呼び出すと、文字が壊れる。
トロンコードはやはり便利であるし、非常に使い勝手が良い。他のコードでは、そうはいかない。表示に問題が出る
原因は分からないが、Windowsの文字コード変換テーブルにバグがあるという指摘があるので、そのせいかもしれない。
 旧漢字を使うユーザーは、世界的に見ればごく僅かである。マイクロソフト社も、そう多くの人員を漢字コードの
ために割くわけにはいかないはずである。その点、超漢字にせよ、一太郎シリーズにせよ、かゆいところに手が届く
作りになっていて、学術用途にパソコンを使うには、やはり便利である。
 なぜ、Windowsが良いのか、なぜワードが良いのか、私には分からない。大勢が使っているからというのであれば、
それはビジネスの世界では必要な条件であろうが、だからといって、学術用途に適しているとは限らない。いや、適
していないのである。
 やはり、日本人の舶来もの信仰には、根深いものがあるのだと思わざるを得ない。

【 注 意 】

梅園は、「所以」を「ゆえん」と読むことはありません。すべて「以て・・する所」というふうに読んでいます。
もし、この資料に「ゆえん」と読んでいるところがあれば、それはデータ作成上の間違いです。


    九             玄 語
   一〇  
   一一        日本 鎮西 三浦晉 安貞 著
   一二            本宗
   一三         侌昜
   一四 [一二] 物は性を有し〉性は物を具す〉性は物と混成して〉而して罅縫無し〉故に其の一や全なり〉
   一五      性は體に偶し》物は氣に偶す》物は性と粲立して》而して條理有り》故に其の二や偏なり》
   一六      性は物に性す
   一七      物は性に物す》故に
   一八      一卽一一〉
   一九      一一卽一》
   二〇      氣は天を成す〉
   二一      物は地を成す》
   二二      性は一を具す〉
   二三      體は一を闕く》
   二四      具一體二 剖して經を爲す〉                        (PB 283) 
   二五      一氣一物》對して緯を爲す》
   二六       分るれは則ち二 粲立す〉
   二七       合すれば則ち一 混成す》
   二八       一は徒らに一なれば則ち分合せず〉
   二九~三〇    二は徒らに二なれば則ち剖對せず》一二は徒らならず。 
   三一       立てば則ち各なり〉
   三二       成れば則ち全なり》是を以て
   三三       剖を以て一を分つ〉
   三四       對を以て二を合す》
   三五       剖けば 則ち經なり〉
   三六       對すれば則ち緯なり》
   三七       之を經し之を緯す。條理は自から分る。錦を以て之を言うに。
   三八       爲物は經緯朱緑なり》
   三九       成物は鸞鳳華卉なり
   四〇       其の神は則ち巧婦の意匠なり。是を以て錦は必ず一經一緯なり。       (Iwa 389a)
   四一       神は用し物は成る。是に於て
   四二       一緯の經と分れざる無し〉
   四三       一經の緯と合せざる無し》
   四四       合すれば則ち龍起鸞舞す。
   四五       龍起鸞舞すと雖も。而も
   四六       分るれば則ち經は自から經と比す〉
   四七             緯は自から緯と比す》
   四八~四九    是を以て一匹の錦。性は表裏の二體を具す。
   五〇~五一    巧婦は神を運す。蠶絲は物を立す。
   五二~五三    人巧知らず。天造の薀に至る。
   五四~五五    蓋し大物の氣物爲るや。經緯は以て通塞す〉
   五六                  精麁は以て没露す》
   五七       經通は時を爲し 而して神は事を此に用す〉
   五八       緯塞は處を成し 而して物は物を此に體す》
   五九~六〇    是を以て一匹の錦。 經緯は物す〉
   六一                    紡績は事す》
   六二       龍をして斯に起たしめ鸞をして斯に舞わしむ。
   六三       表の燦爛を弄して〉而して
   六四       裏の隠幽を窺う》
   六五       經緯は相い反す。
   六六       類類は相い比す。
   六七       以て對待の道を察す。
   六八       全錦一匹。
   六九       表裏兩面。
   七〇       以て剖析の所を察す。是を以て
   七一       錦は則ち本一〉故に全なり〉
   七二       表裏は則ち二》故に偏なり》
   七三       全なれば則ち表裏混成し〉罅縫を没す〉
   七四       偏なれば則ち表裏粲立し》條理を見す》是に於て
   七五       一匹の錦は。條理整然たり。
   七六       鸞羽龍鱗。巧婦苟くもせざるなり。
   七七       爰に龍起鸞舞を經緯に繹ぬれば。
   七八       則ち髣髴に龍を起し鸞を舞わさん。
   七九      二の一に於るは。亦た                           (PB 284)
   八〇      一の一に於るなり。
   八一      是か非か。元氣の玄。明を開き幽を閉ず。
   八二       混は則ち一にして而して粲は則ち二か。
   八三       粲に對すれば則ち混も亦た粲と竝立す〉竝立すと雖も〉而も
   八四       混は則ち粲中に没して〉能く一を全にす〉
   八五       混は有すれば則ち粲も亦た混成を爲す》混成すと雖も》而も
   八六       粲は則ち混中に露して》能く二を偏にす》故に
   八七       全は亦た偏と對して〉而して二は能く一に合す〉是に於て
   八八~八九    二の一に於るは。亦た一の一に於るなり。故に
   九〇       一にして二に伍する。勢は一一を成す。
   九一       痕を著くれば則ち隻を見すなり。故に
   九二~九三    性は一を具すと雖も。體の一を闕くと竝立す。
   九四       竝立は則ち痕を著す。一と自から間有り。間有りと雖も。
   九五       性は能く一を具す〉故に其の才は能く融し能く通ず〉
   九六       體は能く一を闕く》故に其の用は能く分ち能く隔つ》            (I 389b)
   九七      性は已に物に性す〉何ぞ亦た體有る〉具闕にして後〉剖析盡きず〉
   九八      物は已に性に物す》何ぞ亦た氣有る》精麁にして後》對待變を盡くす》
   九九      配すれば則ち性體の氣物に竝ぶを觀る〉
  一〇〇      合すれば則ち性體の氣物に入るを觀る》是に於て
  一〇一      二闕は反して〉
  一〇二      一具に合す》分合共に一にして。而して
  一〇三      一は則ち昜〉
  一〇四~〇五   一は則ち侌》一一の各名を得るなり。 
  一〇六      闕は能く物に體す 而して其の二を立す 
  一〇七      具は能く物に性す 而して其の一を露す 
  一〇八      剖して散ず
  一〇九      對して合す 是に於て 
  一一〇      具性は侌昜に走る
  一一一      闕體は天地を立す 
  一一二      侌昜は絪縕し 神は其の天を活す
  一一三      天地は没露し 物は其の地を立す                    (PB 285)
  一一四      立する者は神の鬱浡に活す
  一一五      活する者は物の混淪に立す 故に
  一一六      其の一を混成して 全偏に統散し 一二の經を用す
  一一七      其の二を粲立して 剖對し反比し 一一の緯を體す 故に         (而を欠くか。)
  一一八      之に遡れば 則ち條理に從う 而して偏偏は全に歸す
  一一九      之を望めば 則ち對待を反す 而して偶偶は皆な合す 
  一二〇      一を以て居を同くす
  一二一      二を以て道を異にす 
  一二二      分を以て氣を均す
  一二三      合を以て物を反す 
  一二四       本は一にして。而して一氣一物相い分る
  一二五                 一性一體相い合す 
  一二六       試みに筆を援きて一畫を下すに。
  一二七       纔かに一点を露せば。則ち上下既に立す。
  一二八       上露せば則ち下成る。表成り裏從う。
  一二九       表裏は上下の中に居る。
  一三〇       上下は表裏の中に居る。
  一三一       上下表裏は混成す。而して一畫は其の中に立つ。
  一三二       是れ以て居は同じく道は異にして。
  一三三           氣は均しく物は反する所なり。
  一三四       物の反するを以て 而して露没自から異なるなり
  一三五       氣の均しきを以て 而して對に軒輊無し 
  一三六       且つ小を以て之を言うに。人 兩岸に立ちて各おの相い望めば。
  一三七       其の近遠隠見を爲すは 則ち各おの相い同じきなり
  一三八       其の近遠隠見する所は 則ち互いに相い異なるなり 是を以て
  一三九       物の没露と
  一四〇       氣の隠見と 
  一四一       其の道を異にすと雖も 而も
  一四二       其の居を同くす 故に
  一四三~四四    物の没する所は 乃ち氣の見るる所なり
  一四五~四六    氣の隠るる所は 乃ち物の露する所なり
  一四七       侌昜は物に非ず。而して能く物に體す。故に
  一四八       物は没露すれば 則ち
  一四九       氣は隠見す 二の態なり。故に
  一五〇       氣物は物を爲せば則ち没露す
  一五一       侌昜は物を爲せば則ち隠見す
  一五二       氣は精にして没す                            (PB 286)
  一五三       物は麁にして露す
  一五四       麁なれば則ち氣も亦た見る
  一五五       精なれば則ち物も亦た没す 故に                     (I 390a)
  一五六       麁なれば則ち性物を見して華液を爲す 
  一五七       精なれば則ち天地を没して天神を爲す 
  一五八       氣は物を得て而して侌昜は粲立す
  一五九       物は氣を以て而して天地は混成す 
  一六〇       天地の混成するを以て 而して侌に具する者は 必ず昜に具す 
  一六一       侌昜の粲立するを以て 而して侌に具する者は 必ず昜に反す 
  一六二       侌昜は具を同するを以て 其の居を異にすること能わず 
  一六三       侌昜は具を反するを以て 其の道を同くすること能わず 
  一六四       粲立すれば則ち一一平分す 
  一六五       混成すれば則ち一一相融す 
  一六六       平分すれば則ち彼此の發は同からず 
  一六七       相融すれば則ち彼此の有は異ならず 是を以て
  一六八       地は結に成り 
  一六九       天は散に成ると雖も 然れども
  一七〇       地は結に專らならば 則ち長じて天を盡さん 
  一七一       天は散に專らならば 則ち消して地を盡さん 是を以て
  一七二~七三    散結は苟くも徒らなれば。則ち上は散を繼ぐ者無し 
  一七四                     下は結を置く地無し 
  一七五~七六    之を桔槹に移すに。止れば則ち持にして直なり 無意以て動の用を具す 
  一七七                動けば則ち轉にして圓なり 自ら靜の復するを竢つ 
  一七八~七九    之を碓に移すに。前を抑うれば則ち後ろ昂がる 天昂は人の抑うるに從う 
  一八〇               前を揚ぐれば則ち後ろ低がる 人揚は天の低ぐるに期す 故に
  一八一       進むを貪れば則ち忽ち退く  
  一八二       退くを欲せば則ち冥に進む 
  一八三       此に長ずれば則ち彼に消す  
  一八四       東を傾くれば則ち西が欹つ 
  一八五      混成すれば則ち一の有に非ざる無し   
  一八六      粲立すれば則ち二の開に非ざる無し 
  一八七      一は有し二は隠る 
  一八八      二は開き一は移る 
  一八九      剖くるや分れて二に之く 
  一九〇      對するや合して一に歸す 
  一九一      對すれば則ち侌昜は以て絪縕す 
  一九二      剖すれば則ち天地は以て給資す 
  一九三      絪縕に非ざれば 則ち侌昜を爲ること能わず                 (PB 287)
  一九四      給資に非ざれば 則ち天地を爲ること能わず 是に於て
  一九五      立する者は氣物を露す 
  一九六      活する者は本神を痕す  
  一九七      氣なる者は天なり 之を活する者は神氣なり 
  一九八      物なる者は地なり 之を立する者は本氣なり  
  一九九      性體は氣物に和し 本根精英 以て一を成す 
  二〇〇      本根精英 既に立すれば 神は用を保營運爲に於て爲す 
  二〇一      性體は氣物を隠し 本神天神 以て二を成す 
  二〇二      本神天神 既に活すれば 天は用を造化天命に於て成す 
  二〇三~〇四   是に於て一は一一を散ず。而して。萬有は没露す 
  二〇五                      萬機は動止す 
  二〇六      萬機は態を異にするも 唯だ鬱浡たり 
  二〇七      萬有は體を變にするも 唯だ混淪たり 
  二〇八      混淪を立する者は 廼ち本氣なり 本根精英は 神に於て身す         (I 390b)
  二〇九      鬱浡を活する者は 廼ち神氣なり 保營運爲は 物に於て神す 
  二一〇      之を爲する者は神なり 
  二一一      是れ成する者は天なり 故に
  二一二      性體氣物は 爲具なり 
  二一三      侌昜天地は 成具なり                           (PB 288)
  二一四      剖析は盡きず 成する者も亦た爲す 
  二一五      對待相い合す 爲する者も亦た成す 蓋し
  二一六      一の立する所 其の物を幹立し 其の神を活運す 廼ち本と神となり 
  二一七      二の活する所 一以て之を爲し 一以て成すなり 乃ち天と神となり 
  二一八      一は有し二は居す 
  二一九      一は活し一は立す 
  二二〇      性體は氣物を貫す 
  二二一      氣物は性體を割す 
  二二二      有せずんば爭でか居らん 
  二二三      活せずんば孰れか立たん 
  二二四      二を有すを以て 而して一移り二に居る 
  二二五      一の移るを以て 而して二は各一を全す 是に於て
  二二六      侌は猶お昜の如し 
  二二七      小は猶お大の如し 
  二二八      猶如は遞いに反す。其の變は無窮なり。
  二二九       氣を本と爲す。
  二三〇       物を根と爲す。
  二三一       體を精と爲す。
  二三二       性を英と爲す。
  二三三       若し氣物體性の本根精英を爲すに非ずんば。
  二三四       則ち豈に相い依りて一を成せんや。
  二三五       人は麁物。麁に通じて精に泥す。
  二三六       故に但だ植の 本根精英を有するを見て。
  二三七       而して動も亦た本根精英を具するを見ず。
  二三八       但だ動植の本根精英を有するを見て。
  二三九       諸を大物に資るを識らず。
  二四〇       氣物性體を以て成らざる者無ければ。
  二四一       則ち往くとして本根精英を具せざる者無し。
  二四二       至大は小を遺さず 
  二四三~四四    至精は麁を外にせず 一の徳なり。
  二四五~四六    人は渺たる麁小の智を以て。精没する者を探らんと欲するも。難し。
  二四七~四八    然りと雖も精麁は混一して。没露は居を同じくす。我何ぞ天地に外れん。    (PB 289)
  二四九~五〇    故に合して一を成す。以て男女感じて而して子 其の中に成る所なり。
  二五一       條理は男女に於て立す。
  二五二       罅縫は所生に於て没す。
  二五三~五四    分れて各おの立す。以て衆くの兄弟の體を一父母に分つ所なり。
  二五五       衆くの兄弟にして散ず 
  二五六       一父母にして統ぶ 是の故に
  二五七       物 立し 神 活する者は 此の天地を成す所なり 
  二五八       性體合し 氣物分るる者は 此の天地を爲す者なり 
  二五九       成は則ち爲に於て成し 
  二六〇       爲は則ち成に於て爲すと雖も 
  二六一       而も爲成は自から別なり。而して
  二六二       爲は成に先だち。成は爲に後るるに非ず。                  (I 391a)
  二六三~六四    故に天地に觀ること有らんと欲する者は須らく條理に繹ねて。以て混成に居るべきなり。
  二六五 [剖對] 流に沿うて下れば 則ち一昜二侌なり 
  二六六      岸を隔てて望めば 則ち一昜一侌なり 故に
  二六七      剖けば 則ち分分分分 零に至り碎に至る 末は猶お本のごとし 
  二六八      對すれば則ち合合合合 二に歸し一に歸す 本は猶お末のごとし  
  二六九      反して隻を執る 往く所に從いて而して反反對立す  
  二七〇      比して偶に伴う 往く所に從いて而して類類相竝ぶ 
  二七一      性の具するを以て 氣は能く之を有す  
  二七二~七三   才の能するを以て 物は能く之を行う 以て徳の有を觀る。
  二七四      有すれば則ち物として宅せざる靡し  
  二七五      往けば 則ち事として路せざる靡し 
  二七六      行けば 則ち微として爲せざる靡し  
  二七七      有すれば則ち一として成せざる靡し 是を以て                 (PB 290)
  二七八      鬱浡は能く活し  
  二七九      混淪は能く立す 
  二八〇      性剖き體偶し  
  二八一      氣有し物開きて 而して
  二八二      一は萬有を含んで。而して
  二八三      動植は其の中に物す  
  二八四      本神は其の中に氣す 
  二八五      植は物に資るを以て 而して能く本に厚し 
  二八六      動は神に資るを以て 而して能く神に厚し 
  二八七      分れて隻を爲すと雖も 亦た能く合して一を成せば 則ち
  二八八      物に資る者も亦た其の神を有し  
  二八九      神に資る者も亦た其の本を有す 
  二九〇~九一   故に成れば則ち各おの執る有りと雖も。而も眇忽亦た能く大物と勢を張る。
  二九二      勢を張れば則ち天地と分立す  
  二九三      給資すれば則ち天地と混一す 
  二九四      才は活して而して性は侌昜を見す  
  二九五      體は立して而して物は天地を露す 
  二九六      絪縕は神の運なり  
  二九七      没露は物の立なり 
  二九八      本根精英の物  
  二九九      保營運爲の活 
  三〇〇      活成り物成るは 乃ち二なり  
  三〇一      活を成し物を成すは 二に非ず 故に
  三〇二~〇三   有は有り無は無し 是を以て没露は皆な有り 
  三〇四~〇五   隻と隻は相い闕く 是を以て反合は全を成す                  (PB 291)
  三〇六       有せずして無なり  
  三〇七       具せずして闕なり 
  三〇八       闕くる者は其の具を具せずして闕く  
  三〇九       具する者は亦た其の闕を具して具す  
  三一〇       無は 其の有 有らずして無し  
  三一一       有は 無無きを以て而して有る  
  三一二       闕なる者は唯だ没なり  
  三一三       無は則ち直ちに無なり 
  三一四       有するを以て而して其の徳を一にす  
  三一五       具するを以て而して其の道を二にす 是を以て
  三一六       其の無き所は則ち無し  
  三一七       其の闕く所は則ち闕く 是を以て
  三一八       有中は無無し  
  三一九       具中は具闕す  
  三二〇       有は 有中に有り 無を有せば則ち有中に非ず 
  三二一       具は 闕中に具す 闕を闕けば則ち其具に非ず 故に
  三二二       無は有に非ず。有して闕くるは則ち具中に在り。故に
  三二三       闕闕相い得れば則ち全 闕は有中に在るを以てなり              (I 391b)
  三二四       有は無を以て竝立せず 有は能く有を有すればなり 
  三二五       蓋し氣に精没麁露の態有り。
  三二六       露して有有り  
  三二七       没して無有り 
  三二八       無なる者は無にして後 無なり  
  三二九       如し無にして有るは 則ち有の没なり 
  三三〇~三一    同聲にして異主。之を闕と謂いて可なり。
  三三二~三三    混成は相い食すと雖も。之を相いと謂えば。則ち已に吐す。故に
  三三四       没する者は遂に露せず。
  三三五       無なる者は遂に有せず。
  三三六      條理の見るるは則ち一の分なり  
  三三七      罅縫の没するは則ち二の合なり 
  三三八      反を以て而して彼此没露す  
  三三九      比を以て而して彼此偕に有り 故に
  三四〇      麁中。相い吐せば 則ち天は虚にして氣 地は實にして物なり 
  三四一         相い食せば 則ち虚體も物を實し 實體も氣を虚す 唯だ
  三四二      其の没は物の天を爲す  
  三四三      其の露は氣の地を爲す 
  三四四      罅縫を没し  
  三四五      條理を見す                                (PB 292)
  三四六      剖析 之に沿えば則ち散ず 之に遡ぼれば則ち統ぶ 
  三四七      對待 之を分てば則ち反す 之を合すれば則ち一す  
  三四八      剖析は親疏を生ず  
  三四九      對待は反比を成す 
  三五〇      親疏は疏を同すれば   之に資る者は一なり          (則ちを欠くか。)
  三五一      兒孫の愈よ衆ければ 則ち之に給する者は滋し  
  三五二      親親は相い偶すれば 則ち其の反する者は合す  
  三五三      疏疏は相い向かえば 則ち其の比する者は依る 
  三五四      大は小に之けば 則ち小は大に資る 故に大の具する所 小も亦た之を具す  
  三五五      類類は比すれば 則ち彼と此は依る 故に此の乏しき所 彼れに仰ぐ有り 夫れ
  三五六      氣物は元と性體を有す 
  三五七      性體は終に氣物と剖す  
  三五八~五九   四にして二。二にして一。      
  三六〇      是を以て一元の氣。鬱浡の神を活す 
  三六一               混淪の物を立す  
  三六二      混淪は處を全す 本神は一を成す  
  三六三      鬱浡は時を分つ 天神は二を成す 
  三六四      氣は能く神を用して 而して宇宙能く容れ 轉持能く動く 
  三六五      神は能く物に體して 而して天地能く立ち 水火能く著る           (PB 293)
  三六六      物能く神を活す 而して本神能く活し 造化能く通ず  
  三六七      天能く物を成す 而して本神能く一し 事物能く雜す 
  三六八      神は本神を以て而して神す  
  三六九      物は天地を以て而して體す  
  三七〇      體體隔りて而して物す  
  三七一      神神交りて而して事す 
  三七二      物は條理整齋の中に立す 
  三七三      事は變化錯雜の間に行わる  
  三七四      宙通宇塞 轉動持止 天散地結 華火液水 物以て成す 
  三七五      神活本立 神爲天成 物定事變 造來化往 神以て爲す            (I 392a)
  三七六      事物の間 鬼神は感應す 
  三七七      造化の中 天命は當遇す 
  三七八      活中 神の變は測られず 其の玅を觀る  
  三七九      立中 天の常は揜われず 其の誠を觀る 是に於て
  三八〇      物は性中に居る  
  三八一      性は物中に遊ぶ                              (PB 294)
  四〇九      天地
  四一〇 [天地] 神は爲成に活す  
  四一一      物は氣物に立す 
  四一二      爲成は則ち天神なり 
  四一三      氣物は則ち天地なり 
  四一四      天神は則ち鬱浡の活 以て其の天を窺う 
  四一五      天地は則ち混淪の立 以て其の地を觀る
  四一六      性は一一を剖く 
  四一七      物は精麁を開く 
  四一八      一一は分合混粲を爲す 
  四一九      精麁は没露隠見を成す 是に於てか。
  四二〇      氣は能く精没す 
  四二一      物は能く麁露す 
  四二二      精没は則ち神の體なり 
  四二三      麁露は則ち物の體なり 
  四二四      麁露すと雖も亦た没露す 
  四二五      精没すと雖も亦た隠見す 
  四二六      見わる者は没を以て其の地と爲す  
  四二七      露する者は隠を以て其の天と爲す  
  四二八      神にして見る 
  四二九      物にして露す 
  四二九1  (復元)露は其の没に宅し 見は其の隠に路す
  四三〇~三一   神は本と氣にして。而して氣なる者は天なり
  四三二                     物なる者は地なり 
  四三三      神と物は共に物にして。而して
  四三四      天は其の宅路を爲せば。則ち天は亦た地にして。               (PB 319)
  四三五      而して地は其の開く所の戸  
  四三六             閉る所の室を并せ食めば 則ち終に萬有を食んで盡くす。
  四三七      盡る處に就きて強いて漠然無朕たる者を勾す。其の勾す可からざる者を勾して。
  四三八      以て之を觀れば。舊に仍りて氣にして天なり。仍りて天境に入る。
  四三九      結を解き聚を散ずれば。則ち藐焉の中。氣を觀て物を觀ず。
  四四〇      以て天の地を食み盡くすを觀る。是に於て彼と此は各おの隻を爲す。
  四四一      隻は互いに隻を吐す 
  四四二      隻は互いに隻を食す 
  四四三      遂に天の混成を觀  
  四四四        地の混成を觀 以て一に混成するを觀る。
  四四五 [四界] 故に萬有は皆な麁なり。精は麁中に居る。
  四四六      食めば則ち氣ならざる靡く 物ならざる靡し  
  四四七      吐けば則ち物は氣ならず  氣は物ならず  
  四四八       氣は一一を開きて。精没麁露す。
  四四九       人の覆載に在るや。麁を以て麁に居る。
  四五〇~五一    麁に慣れて而して精に慣れず。麁を獲て而して精に遺す。
  四五二       分るれば則ち天は能く地を容る  
  四五三             地は能く天に居る                     (I 392b)
  四五四             天は地より大なり
  四五五~五六          地は天より小なり 是を以て地ならざるの處は乃ち天なり 
  四五七                          天ならざるの處は乃ち地なり
  四五八       合すれば則ち天も亦た地に居る
  四五九             地も亦た天に居る  
  四六〇             天は地より大ならず  
  四六一~六二          地は天より小ならず 是を以て地ならざる所莫し 
  四六三                           天ならざる所莫し            
  四六四      一にして二  
  四六五      二にして一                               (PB 320) 
  四六六      通隔の間。端倪す可からず。
  四六七      鬱浡は行わるれば則ち路を開く
  四六八      混淪は居れば  則ち宅を有す  
  四六九~七〇   宅路は麁中に没し。精は天機を見す
  四七一               麁は氣物を露す 
  四七二      没すと雖も 而も袞袞の通。
  四七三              坱坱の塞。宇宙を成す
  四七四      機は既に動止の轉持を見す 
  四七五~七六   形は能く直圓の形理を成す 是に於て動靜の天地を没成す 
  四七七      體は能く氣物の天地を立す  
  四七八~七九   性は能く華液の侌昜を活す 是に於て體性の天地を露成す 
  四八〇~八一   蓋し清を以て濁を望めば。氣は清にして散ず 
  四八二                  物は濁にして結ぶ  
  四八三      火は發して懸る  
  四八四      水は收めて湛う  
  四八五      火は發すと雖も 而も終古升らざるは 覆う者の有るに由る  
  四八六      水は收むと雖も 而も終古沈まざるは 載る者の有るに由る 
  四八七~八八   故に通塞散結して。幽玄の界に入る。
  四八九~九〇   上覆下載の際は。日月星辰は懸る 
  四九一              山嶽河海は列す  
  四九二      晝夜冬夏は以て成る  
  四九三~九四   東西南北は以て紀す 文章燦爛。                     (PB 321) 
  四九五                萬彙鬱郁。
  四九六      神は遊ぶ  
  四九七~九八   物は居る 是に於て天なる者は氣なり 本を成す 
  四九九               地なる者は物なり 根を成す  
  五〇〇      物 其の氣を見すは   性なり 英を成す  
  五〇一~〇二   天 其の物を形にするは 體なり 精を成す 覆載は以て混成す。
  五〇三[二説四界]機は動す 靜を以って實を置く  
  五〇四      體は實す 虚に由りて機を發す 
  五〇五      虚にして其の色を物にす  
  五〇六~〇七   實にして其の性を質にす 天地は發収の偶を得る。 (發収は安永本からの復元)
  五〇八      是に於て精中は通塞す 
  五〇九~一〇        麁中は轉持す 以て其の天地を體を没するに於て成す  
  五一一                實中は散結す 
  五一二~一三       虚中は發收す 以て其の天地を物を露するに於て成す         (PB 322)
  五一四[三説四界]經は通じて時し 來る者を生じ  
  五一五              往く者を化し 神通の路を爲す 此の天を宙と爲す  
  五一六       緯は塞して處し 乘る者を載せ  
  五一七               居る者を容れ 物立の地を爲す 此の地を宇と爲す       (I 393a)
  五一八       宇は能く物を容れ  
  五一九~二〇   宙は能く神を通ずれば 則ち宇宙は隠没し 能く神物を容る 
  五二一      物は能く宇に居り  
  五二二~二三   神は能く宙に通ずれば 則ち神物は見露し 能く宇宙に居る 是に於て
  五二四       隠没は物を吐して而して地と爲す  
  五二五       見露は氣を吐して而して天と爲す  
  五二六       神物は活立せざる靡し  
  五二七      經緯は通塞せざる靡し  
  五二八~二九   巧婦は機杼を執りて。斯の貝錦を織る。燦爛たる文章。龍は飛び鳳は翔く。
  五三〇       鬱浡は機を含む  
  五三一       混淪は體を立す  
  五三二       天は定り神は變ず  
  五三三      天は動き地は止る 
  五三四        蓋し混然の一。性は一一の體を具す。
  五三五        其の體は則ち一氣一物なり  
  五三六       其の態は則ち精没麁露なり  
  五三七       相い比し相い反す  
  五三八        相い食し相い吐す  
  五三九        粲立して條理を有す 
  五四〇       混成して罅縫を没す 故に
  五四一~四二    坱坱は處を敷く 而して物は此に居る 而して物の此に居るや 中を得て之に乘る 
  五四三                                    外を得て之に居る  
  五四四        中や則ち其の微は内無し 天地を載せて而して重とせず           (PB 323) 
  五四五        外や則ち其の廣は際無し 天地を容れて而して大とせず  
  五四六~四七    袞袞は時を引く 而して期は此に從う 而して期の此に從うや 今を得て之を見す 
  五四八                                    端を得て之を没す  
  五四九       今や則ち其の間 倏忽 事物を露して而して遺さず 
  五五〇       端や則ち其の長 攸遠 事物を藏して而して示す無し 
  五五一       神は亦た此の途に行く  
  五五二       天は亦た此の宅に居る  
  五五三       夫れ性は體を開く。而して一侌一昜なり。
  五五四       昜は則ち其の體を虚し 其の氣を發す 神機は活動す  
  五五五       侌は則ち其の體を實し 其の氣を收む 物體は定立す 
  五五六       天地は此を以て分る  
  五五七       水火は此を以て成る 是を以て
  五五八       宅を成して物を有する者は靜なり 靜なる者は没す 
  五五九       散結する者は 以て虚實の體を露す  
  五六〇       路を爲して機に由る者は動なり  動なる者は見る 
  五六一~六二    發收する者は 以て色性の氣を見す 是に於て靜なる者は虚實す 
  五六三                            動なる者は往來す 
  五六四       中は止まること有りて而して能く維す 諸動は游移すと雖も 而も 
  五六五       守る所有りて  以って地を定め天を定む 
  五六六       止の在る所は 乃ち地なり    
  五六七       動の行る所は 乃ち天なり       
  五六八       今は見るること有りて而して能く走る 諸靜は凝立すと雖も 而も
  五六九       率いる所有りて 而して時を變じ物を變ず  
  五七〇       體の成る所は 乃ち天なり  
  五七一       爲の變す所は 乃ち神なり                         (I 393b) 
  五七二      宇宙は氣なり  
  五七三      天地は物なり  
  五七四      天は天機を剖す  
  五七五      物は物體に分る  
  五七六      天機は已に分る 而して宇宙轉持は相い成る 
  五七七      物體は已に分る 而して天地水火は竝び立つ 是に於て 
  五七八      虚實の天地 
  五七九      水火の侌昜  
  五八〇      時處の宇宙  
  五八一      動止の轉持                                (PB 324) 
  五八二      偶偶相い合して。一天地を成す。
  五八三[四説四界]氣は宇宙を開き 而して轉持を容る  
  五八四~八五   隠然の天は 立つ所の位 行く所の方 設け  
  五八六~八七         氣を運ぶの理 物を成すの形 立す  
  五八八      物は天地を開く 而して水火を見す  
  五八九~九〇   粲然の地は 容る所の虚と 居る所の實分れ  
  五九一~九二   縕する所の華 絪する所の液 見る    (自筆は陽、陰。華と液に訂正されている。)
  五九三      其の合するや、宇宙は隠る 而して虚實の體を露す  
  五九四             轉持は没す 而して華液の性を見す  (陰陽。華液に訂正されている。)
  五九五      動く者は神にして變ず 
  五九六      止る者は天にして定る 是の故に
  五九七      地は止りて定る 而して其の地は磅礴を以て界を爲さず  
  五九八      天は動きて變ず 而して其の天は穹窿を以て界を爲さず 故に
  五九九~〇〇   坱坱は常に靜にして 轉動は其の中に遊ぶ 運轉は守有り  
  六〇一                          升降は中有り  
  六〇二~〇三   袞袞は常に走りて  靜止は其の中に居る 囘復は期を悛す  
  六〇四                          游動は態を變ず 是に於て
  六〇五~〇六   動は變ずと雖も 而も靜を得て而して紀を有す 天は定り地は定る       (PB 325) 
  六〇七~〇八   靜は定ると雖も 而も動を得て而して能く活す 氣は變じ物は換る 是を以て 
  六〇九      天は物に變じて 而して期に定る  
  六一〇      地は物に定りて 而して期に變ず  
  六一一      天神の天地に於て爲成する所なり。
  六一二      天地は輕虚 以て没す  
  六一三         重實 以て露す  
  六一四       質を以て氣を言えば 質は實なり 氣は虚なり  
  六一五       氣を以て質を言えば 氣は精なり 質は麁なり  
  六一六       氣に精なる者は 質に虚す 
  六一七       氣に麁なる者は 質に實す 是を以て
  六一八       氣は層層を出でて而して漸みて精す  
  六一九       質は重重に入りて而して愈いよ實す 
  六二〇       之を火は體の虚を以て而して出でて升り  
  六二一         水は質の密を以て而して降りて入るに徴す  
  六二二       氣は闃として聲臭の窺う可き無し 而して
  六二三       地をして能く其の中に在らしむれば 則ち精なり 虚なり 
  六二四       質は密にして罅隙の指す可き無し 而して
  六二五       氣をして能く其の中に在らしむれば 則ち麁なり 實なり 
  六二六       天は能く地に在る  
  六二七       地は能く天に居る                             (I 394a)
  六二八       麁ならざれば 則ち精は其の間に在ること能わず   
  六二九       虚ならざれば 則ち實は其の中に居ること能わず  
  六三〇       精は麁中に通ず  
  六三一       實は虚中に塞る  
  六三二       氣象は轉中の物を爲す  
  六三三       氣質は持中の物を爲す  
  六三四       天象は猶お地質のごとし 精たらんとするを以て而して實すること能わず  
  六三五       地氣は猶お天氣のごとし 實せんとするを以て 而して精たること能わず  
  六三六       無質は 有質の氣なり  
  六三七       有質は 無質の質なり 故に
  六三八       塵埃は氣の爲めに揚げらると雖も 而も質有れば則ち終に降る 
  六三九       雲煙は氣を以て而して升ると雖も 而も質結べば則ち必ず降る 
  六四〇       升る者は動  
  六四一       降る者は靜なり  
  六四二       動なる者は氣にして然ら使む                       (PB 326) 
  六四三       靜なる者は質にして自ら然る 故に
  六四四       質なる者は地の體 外出を拒みて 而して之を内に保つ  
  六四五       氣なる者は天の體 内入を拒みて 而して之を外に送る 故に
  六四六       煙火雲霧 氣に勝る者は疾く升る  
  六四七       土石雨雪 質に勝る者は先に降る  
  六四八~四九    持を推し轉を察するに。象は猶お質のごとし 東は猶お下のごとし 
  六五〇                  轉は猶お持のごとし 西は猶お上のごとし  
  六五一      天神は 變動 以て活す  
  六五二          定常 以て成る 是を以て
  六五三      坱坱の中 物體は 濁實重凝して而して下に結ぶ  
  六五四~五五        物氣は 清虚輕融して而して上に散ず 故に地體は沈結す 
  六五六                               愈いよ密に愈いよ堅し  
  六五七      堅密は中に依れば 則ち麁輭は精に之きて而して天を成す  
  六五八      袞袞の間 神性は 運轉嘑噏して而して斯に率ゆ 
  六五九~六〇        物期は 循環鱗比して而して退き逝く 故に天氣は轉動す 
  六六一                               愈いよ疾に愈いよ剛なり  
  六六二      疾剛は表を保せば 則ち運緩は靜に之きて而して地を成す  
  六六三      轉は袞袞を紀す  
  六六四~六五   地は坱坱を紀す 是を以て 轉は物を拒みて而して容れざるの内なり 
  六六六                   地は物を載せて而して沈まざるの間なり  
  六六七      景影は處を布きて 星辰は上に環る  
  六六八      水燥は物を容れて 動植は下に立つ                     (PB 327) 
  六六九      循環鱗比。期は競いて時を追う。
  六七〇       天氣は動なり 
  六七一       地體は靜なり 
  六七二       動は能く象を率いて轉ず  
  六七三       靜は能く質を容れて持す  
  六七四       地は端を天に於て寓す  
  六七五       天は中を地に於て寄す  
  六七六       天は中を守る 故に動して&T233831;せず  (PDF版を参照のこと)
  六七七~七八    地は端を奉ず 故に靜して躍せず 故に地は靜と雖も 而も氣は其の中に活す 
  六七九                         天は動と雖も 而も位は其の中を守る (I 394b) 
  六八〇       地は天を載す  
  六八一       天は地を覆う 
  六八二       其の間は。乃ち日月星辰は行く。
  六八三              山嶽河海は列す。
  六八四              推遷轉持は成る。
  六八五              風雨雷霆は旋る。
  六八六              水火艸木は生化す。
  六八七              毛羽鱗介は出没す。故に
  六八八       其の象を目して。其の機を臆せば。則ち天は亦た度る可きなり。
  六八九       其の物を摩りて。其の體を踏めば。則ち地は亦た知る可きなり。
  六九〇~九一    夫れ黒白の棊子。勝敗相い成る者は。諸を局に託すればなり。
  六九二       今 氣と體は何に物し  
  六九三         天と神は何に事す  
  六九四       人の天地に於るや、亦た其の幕席のみなり。
  六九五       堂に囿せらる者は幕席の由來する所を知らず。
  六九六~九七    幕席の由來する所を知らざれば。則ち幕席を知らざるなり。
  六九八       故に天地に囿せらる者は。則ち天地を知る能わざるなり。
  六九九      天神は宙通の間に運す  
  七〇〇      天地は宇塞の中に居る  
  七〇一      天地を除きて而して其の容者の坱坱を觀る  
  七〇二      坱坱に充てて而して其の混淪の立を觀る  
  七〇三      粲立を以て之を觀れば 氣は氣なり  
  七〇四                 物は物なり  
  七〇五      混成を以て之を觀れば 物も亦た氣なり 
  七〇六                 氣も亦た物なり 
  七〇七      是を以て氣は體を露せずと雖も。物を容れて之を居く。故に
  七〇八      燥は燥の處を天に假りて 水と相い拒む  
  七〇九      轉は轉の處を天に假りて 持と相い拒む 故に                (PB 328)
  七一〇~一一   容る者は其の處を施さざれば 則ち居る者は其の宅を得ず 
  七一二~一三   居る者の其の宅を得るは   則ち容る者の其の處を施せばなり 
  七一四      然り而して容る者は坱坱たれば 則ち
  七一五           居る者は無垠なり 是を以て
  七一六      居る者は容る者より小ならず  
  七一七      容る者は居る者より大ならず 故に 
  七一八      氣は物に之けば 則ち氣ならざる所莫し  
  七一九      體は天に之けば 則ち物ならざる所莫し 
  七二〇     歳時を除きて而して其の率いる者の袞袞を觀る  
  七二一     袞袞に從いて而して其の絡繹の盡きざるを觀る  
  七二二      直往は標本を見ず  
  七二三      圓轉は首尾を得ず 果たして端緒有らば。則ち
  七二四      始に前なる所 終に後なる所を以て 將に何をか置んとす  
  七二五      内に内なる所 外に外なる所を以て 將に如何か觀んとす 故に
  七二六      我れ北なれば則ち南は邊を爲す          (書き損じを正す。) 
  七二七      我れ南なれば則ち北は邊を爲す 是を以て 
  七二八      世世相い望めば 則ち既往を今に於て觀る  
  七二九      時時相い繼げば 則ち將來を今に於て觀る  
  七三〇      時は始終を得可くんば                          (I 395a)
  七三一      處は其れ際涯有らん  
  七三二      往けば則ち從いて之を送る  
  七三三      來れば則ち逆いて之を迎う  
  七三四      高ければ則ち登りて之を望む  
  七三五      深ければ則ち入りて此を度る  
  七三六      竊竊として宇宙を疑う者の爲なり。
  七三七     此に融して而して天の洋洋を觀る  
  七三八     此に活して而して神の浡浡を觀る  
  七三九     天は散じ地は結ぶ  
  七四〇     氣は動き物は止る  
  七四一     没する者は虚す  
  七四二     露する者は實す  
  七四三     見わる者は濁  
  七四四     隠るる者は清  
  七四五     之の間。清虚止散する者は精なり  
  七四六      有痕は則ち麁なり  
  七四七      無痕は則ち精なり  
  七四八~四九   有痕を以て無痕を推せば。則ち無痕も痕を成す。而して精も亦た麁なり。    (PB 329)
  七五〇      故に露を以て没を索れば 則ち没も亦た露す  
  七五一        麁を以て虚を推せば 則ち虚も亦た實す 
  七五二      精の極は精を失す 而して精の麁なる者は 麁と相居る 
  七五三      虚の極は虚を失す 而して虚の實なる者は 實と粲立す 
  七五四~五五   清濁動靜。聚散解結。往く所 皆な然り。故に
  七五六      動實濁結 
  七五七      靜虚清散 
  七五八      麁なる者は各各露す  
  七五九      精なる者は盡く没す 然りと雖も
  七六〇~六一   散は虚に混せず。清は靜に混せず。
  七六二      靜は動の爲に推さる  
  七六三      虚は實の爲に推さる 
  七六四      以て相い融せず。終に粲立を爲す。
  七六五      粲立は混成に隔たる  
  七六六      混成は粲立に別たる 是を以て
  七六七      一一竝び見れて、而して精も亦た同じく露す。
  七六八      一なり難き者は 乃ち二の條理なり     (條理を粲立に訂正傍記。)
  七六九      二なり難き者は 乃ち一の混成なり  
  七七〇~〇七  濁實動結は 麁なり 精は麁中に隠る    
  七七二               麁は精中に居る 是に於て 
  七七三     坱坱は中を得て 而して天地は虚實を以て之に居る  
  七七四     袞袞は今を得て 而して象質は歳運を以て之に行く 
  七七五     神は物と反すと雖も。而も能く一を合す。故に
  七七六     其の性は融して此に通ず  
  七七七     其の道は爲して此に成す 故に
  七七八     天地は位を開きて 而して
  七七九     水火は物を分つ  
  七八〇     天は虚なり 虚中は虚を以て見る可きの形を成す   (七八二と対。)
  七八一     或いは象と曰い 或いは火と曰い 或いは昜と曰う 今 新たに命じて華と曰う  (PB 330)
  七八二           實外は實を以て弄す可きの體を成す  (行頭、地は實なり を欠くか。)
  七八三     或いは質と曰い 或いは水と曰い 或いは侌と曰う 今 新たに命じて液と曰う 
  七八四~八五  宜しく其の對を弄して。其の物を初にすべし。
  七八六     聲を以て其の主に眩まされんことを要す。                   (I 395b)
  七八七      象質と曰い。水火と曰い。侌昜と曰う。
  七八八      既に專主有れば。華液の新名。以て專稱す可し。
  七八九      水火の本名。地に著く者を以て主と爲す。
  七九〇~九一   故に日を以て火の宗と爲すは。其の實に獲て。而して其の名に失す。
  七九二      象なる者は其の體を虚にして。見る可き者有るの名なり。
  七九三      質なる者は其の體を實にして。把る可き者有るの名なり。
  七九四~九七   而して水は猶お氣類にして。未だ定質を成さず。則ち質の專主に非ず。
  七九八      故に天地に合して之を謂えば。水は地上に在り  
  七九九                    日は天中に在り 然れば則ち
  八〇〇      天火は影を得て而して偶す 
  八〇一      地水は燥を得て而して偶す 故に
  八〇二      火の水と地上に於て偶するは。固より疏偶なり。
  八〇三      水火は天地に於て望んで。而して後 親偶を爲す。
  八〇四      然れども名を親偶に於て正せば。則ち天日地火。還って其の主を失す。
  八〇五      侌昜はもと一一の體なり。
  八〇六      今 大物は天地を露す  
  八〇七        一氣は侌昜を見す 
  八〇八      本づく所に推して。以て華液を言う。
  八〇九      華液は自から其の偶有り。
  八一〇      偶の素に就きて 氣象氣質を曰う  
  八一一      其の成に就きて 日影水燥を曰う 故に
  八一二      之を天地に通じて之を觀るに。
  八一三      日 昜にして噏えば 則ち露を天間に結ぶ 之を命じて月と曰う  
  八一四      水は侌にして排せば 則ち星を地際に生ず 之を命じて火と曰う  
  八一五      天地は本と一物 故に華液は侌昜を爲す  
  八一六      天地は既に境を分つ 故に
  八一七      華は氣象の日影に偶す  
  八一八      液は氣質の水燥に偶す  
  八一九~二〇   人目は素より麁なり。物を視て氣を視ず。見るに從いて其の疏偶を獲る。
  八二一      天に日月と曰う。地に水火と曰う。故に
  八二二      世人は未だ日に對するを以て地水便ち是れ月と曰わざると雖も。
  八二三      水に對して宜しく天日便ち是れ火と曰うべし。
  八二四      華液は則ち天地に合するの水火なり。
  八二五~二六   聲に依りて聽を誤るは。未だ其の主を知る者と爲さざるなり。
  八二七~二八  是れ一大全物を以て言う者なり。其の剖析する所を觀れば。則ち兩圏相い容る。
  八二九     轉ずる所の圏は 卽ち地圏なり 
  八三〇     運する所の圏は 卽ち天圏なり  
  八三一     轉圏は則ち天地と巓趺を合す  
  八三二     運圏は則ち天地と巓趺を反す  
  八三三     運轉環守は理を同じくせず。
  八三四     地趺は 乃ち天巓なり  
  八三五     天趺は 乃ち地巓なり  
  八三六     運軸は節を有す。以て日月の弧を繋ぐ。                   (I 396a)
  八三七     弦弧は既に設く。地は轉弦の中に居る  
  八三八             日は日弧の中に繋る  
  八三九     物體は天地に於て結ぶ 
  八四〇     性氣は侌昜に於て發す  
  八四一     性體相い下らず。節は以て枝を出だす。
  八四二     同胞孿胎は。天地一球なり  
  八四三           華液連環なり  
  八四四     華圏は圓を天地に於て分つ  
  八四五     液圏は圓を天地に於て合す  
  八四六     合すと雖も天地は自から天地の一球なり 
  八四七          華液は自から華液の二圏なり 
  八四八     天地一球は路宅を合す  
  八四九     華液雙圏は歳運を交う 蓋し
  八五〇     天地の大分。没中は宇宙轉持を有す  
  八五一           露中は天地華液を有す  
  八五二     宇宙は通塞を爲す。而して宙は宇中に通ずれば。
  八五三~五四  則ち宇は邈たり混たり一を混成す。宇中 天地の體               (PB 332)
  八五五                        轉持の機 二圓相い合して、宇に居り宙に行く。
  八五六     華液兩圏と雖も。液圏は則ち天地に合す。
  八五七     液は天地に洽せば。則ち日影は自から規矩を出でて。
  八五八     以て中外を成す。己れ其の天に居る。影を以て其の地と爲し。
  八五九     抗然として天地と弦弧の勢を張る。
  八六〇     運轉は巓趺を反す。其の圓は合す。
  八六一     日影は圏を分つ。巓趺は運轉と同じからざるなり。
  八六二     蓋し物の成。形體色氣を以て全なり。
  八六三     是を以て形體得ざれば。則ち物成る能わず。                 (PB 333)
  八六四     色氣得ざれば、則ち物は没露する能わず。而して
  八六五~六六  色氣の成る所は。華液に於て濃を爲す。華は日影を開く 
  八六七                       液は水燥を開く 以て虚動實靜の中に充つ。
  八六八     我 已に地を履み天を載く。我を以て順逆を定む。
  八六九~七〇  地の磅礴は土石を結んで拗突を爲す。以て散虚の天に居る。
  八七一     拗處は水占む  
  八七二     突處は燥占む 
  八七三     天文は上に懸る  
  八七四     地章は下に捧ぐ  
  八七五     發收の際 寒熱 明暗 溫涼 行わる 
  八七六     水燥の間 原野 山嶽 河海 成る  
  八七七     俯立の諸質は地上に依りて立つ 
  八七八     重竝の諸曜は運巓を奉じて環る  
  八七九     地は弦中に止って而して處を移さず 
  八八〇     日は弧中に在って而して暫も住まず  
  八八一     轉趺は 其の止を實す 
  八八二     運巓は 其の動を虚す  
  八八三     一常一變、何ぞ東線の一たび轉輪に合し。
  八八四               一たび守極に横たわらざるを知らんや。故に
  八八五 (削除) ・・・この行の文、甚だ粗略な傍記のため削除・・・      
  八八六     地上一層 廼ち水の處なり                          (PB 334) 
  八八七     水上一層 廼ち燥の處なり  
  八八八 (削除) ・・・この行の文、甚だ粗略な傍記のため削除・・・      
  八八九     日表一層 廼ち景の處なり 
  八九〇     景表一層 廼ち影の處なり 
  八九一     色界は日を巓とす 景影は處を爲す 而して                  (I 396b)
  八九二     星辰は其の下に羅る 是に於て巓小地廣なるを覺ゆ      
  八九三     體界は地を趺とす 水陸は處を爲す 而して
  八九四     動植は其の上に立す 是に於て地狹天大なるを覺ゆ 
  八九五     天なる者は清 故に星辰は乾燥光明を含む  
  八九六     地なる者は濁 故に動植は潤湿重暗を含む                  (PB 335)
  八九七     故に萬物の遊ぶ所は天にして景影なり  
  八九八     至大は容れざる所莫し   
  八九九     至小は載せざる所莫し  
  八〇〇     容れざる所莫ければ 則ち物は其の内に沈む   
  八〇一     載せざる所莫ければ 則ち氣は其の外に浮く 
  九〇二     沙を淘して金を取る 重き者は必ず沈む  
  九〇三     物を漬けて粃を去る 輕き者は必ず浮く 故に
  九〇四     氣象は轉中に浮く  
  九〇五~〇六  氣質は持中に沈む 夫れ天なる者は無象にして虚なり 
  九〇七                地なる者は有質にして實なり 
  九〇八     無象は浮べば 則ち有象も亦た從いて浮く  
  九〇九     諸質は沈めば 則ち本質更に    沈む 故に
  九一〇     無象は更に有象より浮く   
  九一一     本質は更に諸質より沈む 故に
  九一二     天は象を有するに麁なり   
  九一三       象を失するに精なり   
  九一四     地は質を有するに實なり 
  九一五       質を失するに虚なり 蓋し夫れ
  九一六     天なる者は精大なり 而して
  九一七~一八  日なる者は麁小なり 麁小は以て精大に居る 
  九一九     月表一層 景 之を環る 
  九二〇     景表一層 影 之を容る 
  九二一     地は堅重 而して
  九二二~二三  水は輭輕 輭輕は以て堅重を抱く 
  九二四     地上一層 水 之を環る  
  九二五     水上一層 燥 之を環る  
  九二六     燥影は天の一圓中に在る。而して天は坱坱の中に居る。
  九二七     辰は景を以て其の處と爲す 其の物は侌にして而して能く光を假る   
  九二八     星は影を以て其の處と爲す 其の物は昜にして而して能く光を發す 然り而して
  九二九     日は黄道を行く。
  九三〇     星は黄極に管す。
  九三一    地にして水燥なり  
  九三二     景影なる者は 天中萬物の散ずる所 其の物は乾燥光明 輕くして浮き鋪く 
  九三三     水燥なる者は 地中萬物の聚まる所 其の物は潤湿黯濁 重くして下に就く 
  九三四     動植の二。水陸同じく有り。
  九三五     水には則ち鱗倮藻樹の二  
  九三六     陸には則ち禽獸艸木の二                           (PB 336)
  九三七    運轉の圏。巓趺を反す。動植も亦た此に資る。
  九三八    植は地を本とす  
  九三九    動は天を本とす 故に
  九四〇    景影に居る者は 象質の分有りと雖も 而も總て天の象に歸す 
  九四一    其の體を虚にし 其の物を色にし 聚散の跡を示さずして 以て其の物を常にす   (I 397a) 
  九四二    循環は已まず 以て東西す  
  九四三    水燥に居る者は 天地の分有りと雖も 而も總て地の物に歸す 
  九四四    其の體を實にし 其の物を液にし 常に解結の跡を露して 以て其の物を變にす 
  九四五    鱗比は断たず 以て升降す 
  九四六    是に於て天地は能く立す  
  九四七        天神は能く活す 
  九四八    天にして日影 氣を得て東西す  
  九四九    地にして水燥 氣を得て升降す 以て大物を全す。
  九五〇[散] 其の一は已に分れ。
  九五一    昜は縕し侌は絪し。
  九五二    大は給し小は資り。而して大は能く小を剖く。
  九五三    剖きて零碎に至りて 末は猶お本のごとし  
  九五四    合して諸を一に歸す 本は猶お末のごとし 是に於て
  九五五    物は各 絪縕給資す。亦た散小の天地を含む。                (PB 337)
  九五六    日影の星辰に於る。
  九五七    水燥の動植に於るより。
  九五八    以て散じ以て變じ。窮極する所莫し。是に於て
  九五九    蔦は生を木杪に寄せ。蛆は體を肉中に化すと雖も。
  九六〇    亦た末は猶お本のごとし。是を以て
  九六一    精を没し麁を露す  
  九六二    時を經し處に居る 
  九六三    神本は物を成す 
  九六四    生化は通を爲す 
  九六五    大に資りて以て成る  
  九六六    各に依りて以て立つ 
  九六七    天に在る者は 乾燥清明なり  
  九六八    地に在る者は 潤湿黯濁なり 
  九六九    天地の有する所 我 廼ち之を具す  
  九七〇    我の 具する所 天地廼ち之に應ず 
  九七一      小に成る者は大に資る  
  九七二      地に成る者は天に應ず 
  九七三~七四   天は運轉環守の方を定めて 而して地も亦た中線兩極の位定まる 
  九七五~七五   天は嘑噏升降の地を更にし 而して地も亦た發收肅舒の氣變ず 
  九七七      地體は一圓塊 其の用は一一を更にす 
  九七八      天は則ち 日は照らし影は蔽い  日は煦め影は肅す 
  九七九      地は則ち 照を晝にし蔽を夜にし 春は煦め秋は肅す 
  九八〇      天氣は清浄なり 
  九八一      物體は濁穢なり 
  九八二      萬物は成壊し。火發し水收むるの中に遊ぶ。故に
  九八三      氣 肅すれば則ち天清く水涸る 霜雪は凝閉し 植は枯れ動は蟄す 
  九八四      氣 煦すれば則ち天濁り湿動く 雨露は蒸騰し 植は榮え動は出づ 
  九八五      物の煦肅に應ずるなり。
  九八六      日照せば 則ち天は明に彩は見る 
  九八七      植にして花 咲く                            (PB 338)
  九八八      動にして神 旺す 
  九八九      影蔽えば 則ち天は暗に彩は没す 
  九九〇      植にして華 合す 
  九九一      動にして神 藏す 
  九九二      物の照蔽に應ずるなり 
  九九三      天動は東西す 
  九九四      地動は升降す 
  九九五      天動は循環す 
  九九六      地動は鱗比す 是に於て
  九九七      天象は則ち、日月 東西に運轉す                    (I 397b)
  九九八      地象は則ち、水火 上下に升降す 
  九九九      地昜は蒸騰して侌液を噴けば 則ち雲を發して升り 雨を結んで降る 
 一〇〇〇      天侌は肅凝して地昜を収れば 則ち電を閃きて出で 雷を發して撃つ 
 一〇〇一      天は 動きて變ずるの體なり 而して
 一〇〇二      其の行は則ち整齋す 攸遠にして天は轉じ象は運す 
 一〇〇三                     日は交し月は食す 
 一〇〇四                     晝夜は度を定む 
 一〇〇五                     冬夏は氣を序す 
 一〇〇六      地は 靜にして定まるの體なり 而して
 一〇〇七      其の行は則ち錯綜す 倏忽として風は起り雨は至る 
 一〇〇八                     霖旱は常ならず 
 一〇〇九                     侌晴は常無し 
 一〇一〇      是れ則ち天は定り 
 一〇一一          神は變じ 
 一〇一二          歳は天に成り 
 一〇一三          運は神に爲す 是れ卽ち反比の間なり。
 一〇一四      地は一水土塊なり。天の守軸に資りて 南北を爲す 
 一〇一五               天の中線に資りて 東西を爲す 
 一〇一六      天は景影の處を開く 
 一〇一七      地は水燥の場を開く 自から剖して相い偶するに至りては、則ち
 一〇一八      水の高き者は雨を爲す 
 一〇一九        卑き者は水を爲す 
 一〇二〇      土の突する者は陸を爲す 
 一〇二一        陥する者は壑を爲す 
 一〇二二      燥は山を領す 
 一〇二三      水は壑を領す 
 一〇二四      山は水中に居りて島嶼を爲す 
 一〇二五      水は陸中に居りて江湖を爲す 
 一〇二六      人の取りて以て居る者は山なり。水に對して陸と呼ぶ。
 一〇二七      土の山を爲す者は大壌二つにして。而して其の散は數を知らざるなり。
 一〇二八      神は活し物は立す。生を以て經を爲す 
 一〇二九               身を以て緯を爲す 
 一〇三〇               肅して冬を爲す 
 一〇三一               舒して夏を爲す 
 一〇三二               神旺は我が晝を爲す 
 一〇三三               氣睡は我が夜を爲す 
 一〇三四      我れ亦た任督中界を分つ。而して
 一〇三五      左右前後は。東西南北に應ずる有り。
 一〇三六      如し數えて之を盡くさんと欲せば。則ち
 一〇三七      大物を數え盡くして便ち乃ち始めて盡くさん。
 一〇三八     麁を以て露すと雖も。而も唯だ一 混として萬有を含む。            (PB 339)
 一〇三九      天地の物を露するや。地は塊焉として中に立す。
 一〇四〇                天は藐焉として外に居る。
 一〇四一      混淪たる一球。實に天神の體にして。而して一は此を以て成る。
 一〇四二~四三   一の成る所。卽ち二の合する所なり。
 一〇四四      物は虚實を以て而して没露す 
 一〇四五      氣は清濁を以て而して隠見す 
 一〇四六      分れて勢を張るなり。夫れ
 一〇四七~四八   處は 坱然として物を容る者なり 中は不偏に於て定る
 一〇四九                      外は無垠に於て成る 
 一〇五〇~五一   物は 塊焉として處に居る者なり 無内の中に乘る 
 一〇五二                      無外の外に充つ 故に
 一〇五三      物は虚を以て天體と爲す                          (I 398a)
 一〇五四        實を以て地體と爲す 
 一〇五五      氣は轉を以て天機と爲す 
 一〇五六        持を以て地機と爲す 
 一〇五七      理は以て氣を布く 
 一〇五八      形は以て體を成す 
 一〇五九      内は諸を中に託す 
 一〇六〇      外は諸を處に寄す 
 一〇六一      火は天に華す 
 一〇六二      水は地に液す 
 一〇六三      坱坱に宅す 
 一〇六四      袞袞に路す 
 一〇六五      天地は 物 體を露す 
 一〇六六      水火は 性 體を見す 
 一〇六七      天地は 至大の物 形位は没し 機體は露す 
 一〇六八      水火は 至著の物 性氣は隠れ 象質は見る 故に
 一〇六九      形體は物を天地に於て露す 
 一〇七〇      象質は性を侌昜に於て見す 
 一〇七一      形體は能く物に合す 
 一〇七二      象質は能く物を分つ 是を以て
 一〇七三      實體は結を得て而して堅なり 
 一〇七四      虚氣は動を得て而して剛なり 
 一〇七五      剛は麁を容れず 
 一〇七六      堅は清を停めず 
 一〇七七~七八   轉持は處を分つ 而して天地は位を定む 
 一〇七九~八〇   清濁は氣を布き 而して象質は處を得る 是を以て
 一〇八一      散するや 處と其の氣を合す 
 一〇八二      結ばるや 物と其の性を成す 
 一〇八三      氣物性體は。相い得て全す。是を以て
 一〇八四~八五   質實は結を收む 堅重は地を爲す 
 一〇八六~八八   虚象は聚發す 柔輕は象を爲す 是に於て 正偶は相い反す 
 一〇八九                          斜偶は相い比す 
 一〇九〇      一反一比。文章を織るが如し。
 一〇九一      我れの居る所は。則ち水燥の偶する所なり。
 一〇九二      煦嘘滋液。以て絪縕を認む。
 一〇九三      象の天に懸る者は。則ち日月なり。
 一〇九四      日は本と明體 影と明暗を地上に於て更にす                (PB 340)
 一〇九五      月は本と暗體 日と明暗を天中に於て更にす 
 一〇九六      日は燥と性を同じくす 故に燥は日の南北に從いて肅舒す 
 一〇九七      月は水と性を同じくす 故に水は月の晦望に從いて消長す 
 一〇九八      日月は上に旋轉す 
 一〇九九      水陸は下に羅列す 是に於て
 一一〇〇      日月は周囘して 而して朔望冬夏は歳を爲す 
 一一〇一      水燥は交錯して 而して雲雷雨雪は運を爲す 
 一一〇二      神は其の中に鬱浡として。絪縕摩盪し。
 一一〇三      各 其の本根精英を具し、萬の動植を成す。
 一一〇四      人は動中の一物。之を大に資り。以て己の天地を成す。
 一一〇五      已に其の天地を成して。而して其の境を開けば。則ち
 一一〇六      佗の天地萬物を并せて。我と對す。故に
 一一〇七      物を分ちて人物と曰う 
 一一〇八      氣を分ちて天人と曰う 
 一一〇九      人より天地に溯れば。則ち一は大物を開きて。境に露没有り。
 一一一〇                  我は小中に立ちて。境に人物有り。       (PB 341, I 398b)

【五〇一~〇二と五〇三の間の抹消部分の復元。割り注を●で消している。】

    既曰氣物性體。又曰氣者性也。何謂。蓋氣物既立則性體以配氣物。
    性體合氣物分則氣物各具性體。故神者氣也。又曰物。物者質也。
    又曰氣。列本根精英。觀其由性發英。物□偶氣。則性乃氣□。故
    宇宙而没其體轉持□成其形。又地露其物陰陽見其氣 故本根自氣
    物。體隠然運中。性挻然發其外。故曰本□。以氣物而□□而□。
    隠然見其精英。妙合玅分。混然唯見其一之立焉。 (□は黙視による判読困難)


 一一三〇      玄語

 一一三一       天冊 活部天神

 一一三二        道徳 有徳は勢に走りて之を成す    並びに圖

 一一三三        天神 居宅は路に上りて之を成す    並びに圖

 一一三四        事物 物没し氣露して之を成す     並びに圖

 一一三五        天命 體隠れ性見れて之を成す     並びに圖
 
 一一三七      玄 語
 一一三八          日本 鎮西 三浦晉 安貞 著
 一一三九       天冊 活部天神
 一一四〇      道徳      徳
 一一四一~四二 一は二を有す 故に芒芴の間 喪うが如し 而して能く浡浡として萬開を有す者は 徳なり 
 一一四三~四四 二は一を開く 故に鬱浡の中 得る有り  而して能く歷歷として一有を開く者は 道なり 
 一一四五    故に。徳なる者は 天なり 一の有なり 貌跡は自ら成る 
 一一四六       道なる者は 神なり 二の開なり 機狀を爲さ使む 
 一一四七    一を剖し二を對す 經の態なり 
 一一四八    一は分れ一は合す 緯の態なり 
 一一四九    徳に非ざれば 則ち萬開を混有して 罅縫を没すること能わず           (PA 151)
 一一五〇    道に非ざれば 則ち一有を粲開して 條理を見わすこと能わず 故に。
 一一五一    徳は 萬緯の得て宅を爲す所なり 
 一一五二    道は 萬經の由て路を爲す所なり 是を以て。                  (I 399a)
 一一五三    分れて分る 融せざる所莫し 一の徧なり 
 一一五四    合して合す 通ぜざる所莫し 二の貫なり 蓋し。
 一一五五    性體なる者は 氣物に託する者なり 
 一一五六    氣物なる者は 性體を有する者なり 
 一一五七    性體なる者は 性は活し體は立す 
 一一五八    氣物なる者は 氣は没し物は露す 夫れ。
 一一五九    活立は本と一なり  一なれば則ち交接を須いずして 而して己に於て足る 故に
 一一六〇    精は奉じ力は立つ 
 一一六一    靈は知り神は感ず 
 一一六二    一體一用 機を以て造化す 
 一一六三~六四 氣立てば已に二なり 二なれば則ち交接を用いて   而して他に由る有り 故に
 一一六五    性を活し體を立す 
 一一六六    道を得て徳に由る 跡は天と命に成る 故に。
 一一六七    本は以て物を幹す 
 一一六八    神は以て活を運す 天は以て之を有す 
 一一六九    神は以て之を發す 
 一一七〇~七八 (元筆復元によって生じた空白)
 一一七九    神は徒なる能わず 本は體を物に於て立す                    (PA 152)
 一一八〇    物は死する能わず 神は性を氣に於て活す 
 一一八一    徳は以て之を有す 
 一一八二    道は以て之を開く 是を以て。
 一一八三    有して之を行う 道徳の一なる所なり 
 一一八四    宅して之に路す 道徳の二なる所なり 
 一一八五    道なる者は 神なり 是を以て。
 一一八六~八七 本神に非ざれば 則ち二を混成して活立する能わず 活立せざれば 則ち物を神にする能わず 
 一一八八    徳なる者は 天なり 是を以て。
 一一八九~九〇 天神に非ざれば 則ち一を粲立して剖對する能わず 剖對せざれば 則ち物を事にする能わず 
 一一九一    剖するや條理を示す 
 一一九二    對するや反比を并す 
 一一九三~九四 剖對は已まず 萬路は無窮なり 
 一一九五~九六 混合は已まず 一有は混然たり 
 一一九七~九八 故に本神は。大物に於ては 則ち大物を活立す 
 一一九九          散小に於ては 則ち散小を活立す 
 一二〇〇    精なる者は 有して遺さず 
 一二〇一    麁なる者は 融して一なり 
 一二〇二    一の徳は 有して遺さず 故に其の道や 開きて已まず 
 一二〇三    二の徳は 融して一なり 故に其の道や 通じて貫す 
 一二〇四    諸を一有に資りて  剖析は萬露す                       (PA 153)
 一二〇五    諸を一活立に資りて 萬生は萬活立す 
 一二〇六    各物各性體 
 一二〇七    各神相い發接す 
 一二〇八    親なる者は反反混合して 相い得て一を成す 
 一二〇九    疏なる者は相い持し相い隔て 精神接せず 然りと雖も。             (I 399b)
 一二一〇~一二 之を條理に得て。其の歸する所に歸し。比類して相い合すれば。疏も猶お親のごときなり。
 一二一三    居は物を有す 
 一二一四    行は事を有す 故に
 一二一五    之を緯に置けば 則ち絪縕の用は 感應向背す 而して鬼神を見す 
 一二一六    之を經に置けば 則ち往來の活は 往來生化す 而して造化を示す 
 一二一七    宅なる者は 處なり 神は物を得て而して之に居る 
 一二一八    路なる者は 時なり 物は神を得て而して之に遊ぶ 
 一二一九    既已に之に居るは 居れば則ち其の有に非ざる靡し 
 一二二〇~二一 既已に之を行けば 行けば則ち其の道に非ざる靡し 是に於て。有開は徳を爲す 
 一二二二                                 爲成は動を爲す 
 一二二三    有する者の貌は 則ち自ら然る 其の狀は則ち跡を成す 
 一二二四    開する者の貌は 則ち若く使む 其の狀は則ち機爲なり              (PA 154)
 一二二五    徳に就きて天と曰う 
 一二二六    道に就きて神と曰う 
 一二二七    天も亦た道を具す 
 一二二八~二九 神も亦た徳を具す 故に有開は則ち天神の徳なり 
 一二三〇               爲成は則ち天神の道なり 
 一二三一    故に天神は。則ち道徳の主名なり。
 一二三二~三三 分れて各おの道徳を具す。侌昜の盡きざる所なり。
 一二三四     合すれば則ち混然たり 
 一二三五     分るれば則ち粲然たり 
 一二三六     其の自を觀らんと欲すれば 則ち須らく其の故を觀て 其の理を繹ぬべし 
 一二三七     其の使を知らんと欲すれば 則ち須らく其の勢を察し 其の力を審かにすべし 
 一二三八     理なる者は昭昭なり 
 一二三九     故なる者は冥冥なり 
 一二四〇     勢は以て能く走る 
 一二四一     力は以て能く持す 
 一二四二~四四  是を以て事物は。理を挑げて之を炤せば 毫厘も逃るる所無し 而して
 一二四五~四六          其の故を繹ぬれば   則ち其の跡を冥没す 
 一二四七~四八  神は以て己の分と爲さず。況んや人の聡明をや。
 一二四九     若し自然を以て本然と爲さば 則ち孰れか之をして然ら使めん。 
 一二五〇     若し使然を以て本然と爲さば 則ち奚れか自然を容れん。 
 一二五一     使なる者は 神の貌なり 
 一二五二     自なる者は 天の貌なり 
 一二五三~五四 有すれば則ち之を外にする者有ること能わず 有の有を知りて 而して無の無を知る 
 一二五五~五六 行なえば則ち之を遺す者  有ること能わず 行の行を知りて 而して活の活を知る 
 一二五七     天地は活物  故に死なず 
 一二五八     天地は物有り 故に無ならず 
 一二五九~六〇  有は則ち無に偶して而して有なり。是の故に。有なる者は則ち有り 
 一二六一                          無なる者は則ち無し 
 一二六二~六三  夫れ才に能不能有り。以て相い偶す。
 一二六四     是の故に。有なる者は則ち無なる能わず                 (PA 155, I 400a)
 一二六五          無なる者は則ち有なる能わず 
 一二六六     是を以て。具中は 則ち闕も 亦た之を具す 
 一二六七~六八       能中は 則ち不能も亦た之を能す 全の全たる所なり。
 一二六九~七〇  而して其の散じて萬物を爲すに至りては。則ち性は物に随いて 而して一具一闕なり 
 一二七一                          才は運に随いて 而して一能一拙なり 
 一二七二     是を以て。天に具する者は 地に闕くるなり 
 一二七三~七四       昜に能くする者は 侌に拙きなり 是を以て。翅を具すれば則ち手を闕く 
 一二七五                               能く飛べば則ち潛むに拙し 
 一二七六     諸を小に試みるに。亦た大と同じ。
 一二七七~七八 故に天融神通は。其の剖くる者よりして言うなり。
 一二七九~八一 噫 有の宅。芒芴喪うが如しと雖も。昭昭の理を以て之を示す 
 一二八二                     冥冥の故を以て之を没す 
 一二八三    明を以て其の戸を開けば 則ち
 一二八四    幽を以て其の室を閉ず 
 一二八五~八六 神の得て窺わざる所なり。人は豈に敢て之を視んや。
 一二八七~八八  之を技に言わんに。譬えば囲棊の如し。未だ對して局を奩に依らざるの中。
 一二八九     高下勝敗。千萬變化は。其の宅に有り。
 一二九〇     已に諸を宅に有すると雖も。然れども宅に歸して其の半を閉れば。
 一二九一     神は運し機は動き。而して後 高下勝敗。千萬變化。始めて其に途に露す。
 一二九二     是を以て。物成れば則ち各おの其の道徳を具す。
 一二九三~九四  道徳 已に具すれば。則ち各おの其の宅を有し。其の路を有す。故に
 一二九五     爲は 則ち各おの其の戸を開き 而して其の途に上る 
 一二九六     成は 則ち各おの其の宅に歸し 而して其の室を閉ず 
 一二九七    道なる者は經通す 此に走らざる能わず 
 一二九八    宅なる者は緯塞す 此に容れざる能わず 故に
 一二九九    往けば則ち來る者に當る 
 一三〇〇    來れば則ち往く者に遇う 
 一三〇一    彼の天徳を觀て 
 一三〇二    此の天命に甘んず                               (PA 156)
 一三〇三     徳なる者は 其の有する所なり 
 一三〇四     道なる者は 其の行く所なり
 一三〇五     天徳は自然にして 而して其の道や成なり 
 一三〇六     神徳は使然にして 而して其の道や爲なり 故に
 一三〇七     馬なる者は 遠くに行くを有す者なり 
 一三〇八     牛なる者は 重きを負うを有す者なり 
 一三〇九     馬なる者は 遠きに行くを行う者なり 
 一三一〇~一一  牛なる者は 重きを負うを行う者なり 乃ち牛馬の道徳なり。是の故に。
 一三一二     神と本は 則ち然るに幹運す 
 一三一三     天と神は 則ち然るに爲成す 
 一三一四~一七  牛に走る 馬に走る 牛に持す 馬に持す 牛馬の勢力なり 
 一三一八     牛なる所 馬なる所 以て牛し 以て馬す 牛馬の故理なり
 一三一九     没中に牛馬を有して 而して牛馬は露中に出づ 
 一三二〇     此を以て之を推すに。天地の有する所は 則ち
 一三二一               萬物も有する有り 蓋し
 一三二二~二三  神物の成る所は。則ち徳性の爲す所なり。
 一三二四     性なる者は 物を一にする者なり 
 一三二五     物なる者は 體を二にする者なり 
 一三二六     之を二にする者は   有して開く 
 一三二七     之を一にする者は 則ち具して能す 
 一三二八     性才道徳の分るる所なり。
 一三二九     居る者は宅す 故に之を徳と謂う 
 一三三〇     行く者は路す 故に之を道と謂う 
 一三三一     故に徳は諸を事に行えば則ち道なり 
 一三三二       道は諸を物に有せば則ち徳なり 是を以て。
 一三三三     車は  旋轉を未だ旋轉せざるの中に有せば 
 一三三四~三五  則ち機触れ勢走り 以て其の旋轉の事を其の物に於て行う 
 一三三六     桔槹は 低昂を未だ低昂せざるの中に有せば 
 一三三七~三八  則ち機触れ勢走り 以て其の低昂の事を其の物に於て行う 
 一三三九     車と桔槹とは。人造なり。
 一三四〇     旋轉低昂は 人造に非ざるなり。
 一三四一     旋轉低昂を有し 以て
 一三四二     旋轉低昂を行なうは 則ち其の器の道徳なり。
 一三四三     旋轉低昂を具し                     (以てを欠くか。)
 一三四四     旋轉低昂を發するは   規矩の性才なり。        (則ちを欠くか。)
 一三四五     具するに由りて之を有す 
 一三四六     發するに由りて之を行う 
 一三四七     具を有し發を有するは則ち徳なり 
 一三四八     之を具し之を發するは則ち神なり 
 一三四九     分ると雖も而も混成す。
 一三五〇     聲音に就きて之を言うに。
 一三五一     發すれば 則ち聲は有外に行わる 
 一三五二     發せざれば則ち聲は闃中に有す 是を以て。                  (PA 157)
 一三五三     一聲は音韻を未發に具す 
 一三五四     而して後發する者は聲中に能く音韻を具す        
 一三五五           (編集による空白)
 一三五六    蓋し理は其の一を一一にし。剖析は無窮なり。
 一三五七    故に爲成の具は相い絪縕し。萬物は此の如く擾擾たり。
 一三五八~五九 萬物此の如く擾擾たれば。則ち道徳も亦た之に從う。是を以て。
 一三六〇    精は没し麁は露す 天地は此の如し 
 一三六一     天氣は動く 
 一三六二     地質は止る 
 一三六三     動は能く象を率いて轉ず 
 一三六四     止は能く物を載せて持す 
 一三六五     地は端を天に於て寓す 
 一三六六     天は中を地に於て寄す 
 一三六七     天は中を守る 故に動きて靜す 
 一三六八     地は端を奉ず 故に止りて動く 
 一三六九     徒動は則ち圓無し 
 一三七〇~七一  徒靜は則ち直無し 故に。地は止ると雖も 而も雲雨は則ち止中に動く 
 一三七二                 天は動くと雖も 而も諸象は則ち動中に止る 
 一三七三     勢は天をして圓轉せしむ 而れども猶お地の中に違わず              (I 401a)
 一三七四     力は地をして直持せしむ 而れども猶お天の端に差わず 
 一三七五     地は外に向いて天を載す 
 一三七六     天は中に向いて地を裹む 
 一三七七~七八  其の中間や。日月星宿の行る所なり。
 一三七九           山壑河海の列ぶ所なり。
 一三八〇           推遷轉持の成る所なり。
 一三八一           風雨雷霆の旋る所なり。
 一三八二           水火艸木の生化する所なり。
 一三八三           羽毛鱗介の出没する所なり。
 一三八四~八五   其の之を貫する者に至りては。則ち大小有無も。之を形にする能わず。
 一三八六~八七   智慮思索も。之に至る能わず。孰れか能く之を容れん。
 一三八八                    孰れか能く之に居らん。
 一三八九      天は 其の象を目し 其の機を臆し 以て之を度る 
 一三九〇      地は 其の質を摩り 其の體を踏み 以て之を知る 
 一三九一~九二   度れば則ち得て逃れざると雖も 而も之を窮むること能わず 
 一三九三~九四   知れば則ち以て數う可しと雖も 而も其の物を爲すを知るに病む        (PA 158)
 一三九五      今夫れ黒白の棊子。勝敗相い成る者は。諸を局に託すればなり。
 一三九六      今氣物は何の中に物し 
 一三九七      天神は何の中に事するや 
 一三九八~〇〇   空と曰い無と曰う 局を舍てて棊を譚ずるなり 妄に非ずして何ぞや 
 一四〇一~〇三   實と曰い有と曰う 氣物を除きて物を索るなり 僞に非ずして何ぞや 
 一四〇四~〇五   人の天地を觀るや。其れ猶お幕と席とを觀るがごときか。
 一四〇六      幕席に囿わるる者は。堂を知らざるなり。
 一四〇七      天地に囿わるる者は。天地の以て然る所を知らず。
 一四〇八      天地の以て然る所を知らざれば。則ち天地を知らざるなり。
 一四〇九~一〇   僞妄に駕して以て往く。辨は千人を屈すと雖も。通に於ては則ち未だなり。
 一四一一     清濁隠見して 象質は此の如し 
 一四一二~一三   日影なる者は虚體にして。明暗なる者を以て物を露す。
 一四一四      明は定象有り 無體の天に託す 
 一四一五      暗は定象無し 有質の地に依る 
 一四一六      日なる者は昜象なり 
 一四一七      影なる者は侌氣なり 是に於て。
 一四一八~一九   物の暗中に在る者は 象にして光なり 
 一四二〇~二〇   物の明中に在る者は 質にして影なり 故に
 一四二二      天象は能く明なり 
 一四二三      地質は能く暗なり 
 一四二四      如し明をして盡くす可からしめば 則ち暗は卽に絶えん 
 一四二五      若し暗をして絶える可からしめば 則ち明は卽に盡きん 
 一四二六~二七   蓋し明暗の相い追うや。明は則ち秋毫を折つ                  (I 401b)
 一四二八                 暗は則ち江山を藏す 
 一四二九      明暗なる者は 天地の氣なり 
 一四三〇      睡覺なる者は 物の明暗に從うなり 
 一四三一      唯だ諸動は意を具す。故に
 一四三二      色を通ずるの竅を目に開く。故に
 一四三三~三四   明暗なる者の氣は 睡覺の應ずる所なり 
 一四三五~三六   見不見なる者は 色を通ずるの竅にして 明暗に忤わざるなり 
 一四三七~三八   夫れ室の明に於るや 明の如し外より至れば 則ち其の暗は奚んか去らん 
 一四三九                暗は舊より已に充たば 則ち明は何に由りて入らん 
 一四四〇~四一   表の影に於る 已に其の有する所なれば 則ち日の爲に横斜せられず 
 一四四二~四三   若し其の有する所に非ずんば 則ち奚れに自りて來らんや 
 一四四四      明暗なる者は。麁なり。
 一四四五~四六   而れども猶お其の跡を窺い難し。是の故に轉ずれば則ち轉ず。         (PA 159)
 一四四七      持すれば則ち持す。 
 一四四八      明なれば則ち明なり。
 一四四九      暗なれば則ち暗なり。
 一四五〇      精は麁と隔てず。没して其の間に露す。
 一四五一     若く以て絡繹として往來す 
 一四五二      經一 緯一 
 一四五三      處は坱然として塞せば 則ち萬物は擾擾として 聚散解結す 
 一四五四      時は袞然として通せば 則ち萬期は憧憧として 往來生化す 
 一四五五      若く以て倏忽として聚散す 
 一四五六      聚まる者は必ず聚まる 
 一四五七      散ずる者は必ず散ず 
 一四五八      聚まる者は必ずしも聚まらず 
 一四五九      散ずる者は必ずしも散ぜず 
 一四六〇      以て常なるに非ず 
 一四六一      以て變なるに非ず 
 一四六二      以て自なるに非ず 
 一四六三      以て使なるに非ず 
 一四六四      聚まる可く 散ず可き者は 乃ち機なり 
 一四六五      以て聚まらざる能わず 以て散ぜざる能わざる者は 乃ち勢なり 
 一四六六      聚散を爲す者は 神の機に入るなり 
 一四六七      聚散を成す者は 天の跡を收むなり 
 一四六八~六九   入機と收跡とは。精と雖も猶お測る可きなり。
 一四七〇      唯だ聚まれば則ち聚まる 
 一四七一~七二   散ずれば則ち散ず 孰れか得て端倪せん。
 一四七三     若く布置整齋す 
 一四七四     若く更互錯綜す 
 一四七五     若く懸けて之を列ぶ 
 一四七六     若く陳べて之を羅ぬ 
 一四七七     之に沿い之に泝 る 
 一四七八     唯だ其れ然り。然れば則ち然らざる莫し。
 一四七九     然らざる莫ければ。則ち然るに遺す莫し。唯だ
 一四八〇     其の室を幽に閉ず 
 一四八一     其の戸を明に開く 
 一四八二     其の故に泝り難し 
 一四八三     其の理に沿い易し 
 一四八四~八五  戸を開きて理に沿えば。居る者は以て路に上る。
 一四八六     路は其の勢に走る 
 一四八七       其の力に回る 
 一四八八     往く者は後に向う                            (PA 160, I 402a)
 一四八九     來る者は前に向う 
 一四九〇     開閉は異なりと雖も 而も幽明は居を同くす 
 一四九一     往來は反すると雖も 而も當遇は會を一にす 
 一四九二     居を同くすと雖も 而も幽は則ち明の開く所に非ず 
 一四九三     會を一にすと雖も 而も來は則ち往の鬼に異なり 
 一四九四~九五  事は理故を有す 麁 資れば則ち通塞す 
 一四九六~九七  宅は幽明を有す 麁 資れば則ち明暗す 是を以て。
 一四九八~九九  一なる者は一を一一にすと雖も。而も混は亦た粲と。明中に竝び立つ。
 一五〇〇     明なれば則ち幽ならず 
 一五〇一     幽なれば則ち明ならず 是を以て。
 一五〇二     幽明なる者は。徳の室戸なり。
 一五〇三     暗は蔽うこと能わず 
 一五〇四     明は照すこと能わず 
 一五〇五     其の中に入る能わず 
 一五〇六     其の外に出る能わず 
 一五〇七     終に能く之を一にす 
 一五〇八     徳の有するや 
 一五〇九~一〇  終に能く然るを貌にす 一の貌なり 故に
 一五一一~一二  一の有す所なれば 神も違う能わず 
 一五一三~一四  二の行う所なれば 天も拒む能わず 
 一五一五~一八   天なる者は虚なり 地なる者は實なり 地は天を食んで 而して天も亦た實す 
 一五一九      而して後 其の虚する者は稍や精なり 
 一五二〇      天なる者は動く  地なる者は止まる 天は地を食んで 而して地も亦た動く 
 一五二四      而して後 其の靜なる者は稍や精なり 蓋し
 一五二五      形の正斜 
 一五二六~二七   色の清濁 麁の對する所なり。
 一五二八~二九   精は遂に痕を没するに至る。精は遂に痕を没するに至ると雖も。
 一五三〇      而も猶お且つ麁と竝び對す。是を以て。                   (PA 161)
 一五三一      其の謂う所の精も亦た明中に粲立して。
 一五三二      遂に麁を爲すなり。是を以て。
 一五三三      幽なれば則ち精は入る能わず。
 一五三四~三五   入る能わずと雖も。而も神は之をして明と粲立せしむ。故に
 一五三六      一天一神。物反し力均し。
 一五三七     此に走らざること能わざるは則ち勢なり 
 一五三八     能く此に維持する者は 力なり 是を以て。
 一五三九     其の理は沿う可し 
 一五四〇     其の故は泝り難し 
 一五四一     泝り難くして而も冥焉の故は遁れず 
 一五四二     沿う可くして而も照然の理見る可し 故に
 一五四三~四四  昭昭は見る可しと雖も  而も冥冥見る可からず 
 一五四五~四六  冥冥見る可からずと雖も 而も亦た太だ昭昭たり 蓋し
 一五四七     故なる者は其の然る所なり 
 一五四八     理なる者は其の以て然るなり 
 一五四九~五〇  蓋し一一の分合。體用は則ち能く隠る 
 一五五一             天地は則ち能く露す 
 一五五二~五三  宙は通し宇は塞す 而して天は容れ物は居る 
 一五五四~五五  居る者も亦た容る 而して大は遂に小に之く 
 一五五六                 小は則ち大に資る 
 一五五七                 大は則ち小に給す 
 一五五八~五九  本は幹し神は運す 而して天は體し神は用す                   (I 402b)
 一五六〇~六二  用する者も亦た體す 而して爲は遂に作に之く 是に於て。大物は小物を散ず   
 一五六三                                無意は有意を散ず 
 一五六四                                有意を人と爲す 
 一五六五                                無意を天と爲す 
 一五六六                                大物を天と爲す 
 一五六七                                小物を物と爲す 
 一五六八                                人なる者は各物中の一物なり 
 一五六九                                意なる者は各神中の一神なり 
 一五七〇     人は眇たる此の神物を有す。
 一五七一     勢を彼の神物に張る。
 一五七二~七三  故に。天なる者は。爲して思わず。分ちて計えず。
 一五七四     之を計え之を思うは 人の能なり 
 一五七五     計えて盡くさず 思うて失する有るは 人の拙なり 是の故に。
 一五七六     故なる者は其の然る所なり                          (PA 162)
 一五七七     理なる者は其の以て然るなり 是の故に。
 一五七八~七九  以て然るは則ち昭昭なり 暗の蔽う所に非ず 
 一五八〇~八一  然る所は 則ち冥冥なり 明の照す所に非ず 
 一五八二     冥冥の中は 既にする所有り 
 一五八三     昭昭の中は 以て當たる有り 是を以て。
 一五八四     然る所の者は冥焉 
 一五八五~八六  以て然る者は昭焉 是れ廼ち 故は未發に在り 
 一五八七                   理は已發に在り 
 一五八八     已に然る者は跡なり 
 一五八九~九〇  然るに當るべき者は理なり 是れ廼ち 故は已發に在り 
 一五九一                       理は未發に在り 是を以て。
 一五九二~九三  理は昭昭たりと雖も 而も然る所に溯ぼれば則ち冥なり 
 一五九四~九五  故は冥冥たりと雖も 而も然るに當るに推ば則ち昭なり 
 一五九六~九七  故は冥を以て體と爲す 是を以て 跡は必ず随いて没す 
 一五九八~九九  理は昭を以て體と爲す 是を以て 機は必ず随いて顯る 
 一六〇〇     徳は。是の自から然るの天を有す 
 一六〇一        彼の然ら使むるの神を用す 
 一六〇二     爲は則ち素 
 一六〇三     成る者は則ち文なり 
 一六〇四     氣物性體は爲具を爲す 
 一六〇五     侌昜天地は成具を爲す 
 一六〇六     成具は則ち全を成す 未だ全ならざれば則ち 各 其の天地を有す 故に
 一六〇七     成具は亦た小物なりと雖も 
 一六〇八     小物は則ち大に資る 資れば則ち小も亦た全なり 故に
 一六〇九     成具は則ち其の天地を對有す 
 一六一〇~一一  小物は則ち其の天地を竝有し 全物と勢を張る 
 一六一二~一三  故に一一の道。分れて 各 勢を張る。 各 勢を張ると雖も。
 一六一四     而も彼此は相い反す。彼此相い反すれば。
 一六一五     則ち一の有する所 
 一六一六~一七  乃ち一 之を亡う 是を以て。體なる者は 氣能く之に體するに由りて 而して體なり 
 一六一七~一八                用なる者は 體能く之を用するに由りて 而して用なり 
 一六一九~二一  物は體し神は用す。全の成る所なり。是を以て火は焔焔を體にす 而して燔灼を用う 
 一六二二                          水は溶溶を體にす 而して滋潤を用う
 一六二三     火は焔焔の灼を露す 而して溶溶の潤を没す                  (I 402b)
 一六二四     水は溶溶の潤を露す 而して焔焔の灼を没す 
 一六二五    地は一大全物。
 一六二六    全は偏を分つ                                 (PA 163)
 一六二七    大は小に之く 
 一六二八    小は能く大に居る 
 一六二九    偏は能く全を成す 
 一六三〇     物は則ち神の物なり 
 一六三一     神は則ち物の神なり 故に
 一六三二~三三  天は則ち物を没す。袞袞たり 
 一六三四              坱坱たり 
 一六三五              經通は時を爲す 
 一六三六              緯塞は處を爲す 
 一六三七     處なる者は 物を容るる者なり 中 定りて物は位す 
 一六三八     時なる者は 神を運する者なり 今 見れて神は游す 
 一六三九~四〇  天なる者は精なり 宙は以て自から通ず 
 一六四一              宇は以て自から塞す 
 一六四二~四三  物なる者は麁なり 神は斯の中に活す 
 一六四四              物は斯の中に立す 故に
 一六四五     宙は袞袞として引きて經す 神は得て之に路す 
 一六四六     宇は坱坱として容れて緯す 物は得て之に宅す 
 一六四七     徳は能く之を含む 
 一六四八     衜は能く之を開く 故に。
 一六四九~五〇  物は自から大小長短を有す。長大は能く天地を成す 
 一六五一                  短小は能く天地を爲す 故に。
 一六五二                  長大は全物中に居る 
 一六五三                  短小は長大中に散ず 故に。
 一六五四                  成る者は全に歸す 
 一六五五~五六               散ずる者は瑣を爲す 全は以て瑣を統ぶ。其の歸するや一なり。
 一六五七     故に。全物は 大に遺さず 長に出でず 
 一六五八~五九     小物は 皆大に居り 長に從がう 是を以て。
 一六六〇     萬物は我と同じ。運轉する所の氣象を通中に經歷して 以て歳日を期す 
 一六六一     彼此する所の氣質を塞中に交接して 以て天地を成す 故に。
 一六六二     其の意を神に於て資る 
 一六六三     其の身を物に於て資る 
 一六六四     宇は神を容る 
 一六六五     宙は物を率ゆ 
 一六六六     宙は神に路す 
 一六六七     宇は物に宅す 
 一六六八     性は神を活す 
 一六六九     物は體を立す 
 一六七〇     神は宙に行く 
 一六七一     物は宇に居る 夫れ
 一六七二     精なる者は 精にして神を見す 
 一六七三     體なる者は 麁にして物を露す 
 一六七四     物は神に體す 
 一六七五~七六  神は物に用す 故に宙は以て宇を運す 
 一六七七              宇は以て宙を維す 
 一六七八              本は以て神を護す 
 一六七九              神は以て本を活す 
 一六八〇     天は融して神は通ず 
 一六八一     天は運して地は立す 
 一六八二     唯だ其の混焉 體として性ならざる莫く 性として體ならざるは莫し 
 一六八三     唯だ其の粲然 氣は能く物を没す 物は能く氣を隠す 是を以て。
 一六八四     物は坱坱の宇に塞す                             (PA 164)
 一六八五     神は袞袞の宙に通ず 
 一六八六     剖析の至る所 散じて已まず 
 一六八七     混一の成る所 統べて垠無し 
 一六八八     統ぶれば則ち各散は歸一す 
 一六八九     剖すれば則ち一物は瑣碎す 
 一六九〇     性は隠れて體は露す 
 一六九一     體は没して性は見る 是を以て
 一六九二     一一の各一一を有するは。                          (I 403b)
 一六九三     一の一一を有するに同じ。
 一六九四~九六  有すれば則ち之を發す 一の二なる所なり 一は以て統ぶ 二は以て散ず 
 一六九七~九九  發すれば則ち之を有す 二の一なる所なり 散は以て偏す 統は以て全す 
 一七〇〇~〇一  依資して一に歸する所なり 是を以て。麁なれば則ち物 露す 
 一七〇二                       精なれば則ち跡 没す 
 一七〇三                       立てば則ち粲として條理を有す 
 一七〇四                       成れば則ち混として罅縫を没す 
 一七〇五    故に成具は全物に成る。
 一七〇六     爲成の分は如何。
 一七〇七     緯に於ては則ち天地 氣物性體し 爲具を爲す 
 一七〇八     天は覆い地は載す 而して
 一七〇九~一〇  日月景影は 袞袞に從いて循環すれば 則ち晝夜成り 冬夏成る 
 一七一一~一二  水燥土石は 坱坱に居りて布列すれば 則ち雲雨成り 山海成る 
 一七一三     經に於ては則ち天神 活立幹運 爲具を爲す 
 一七一四     神は爲し天は成す 而して
 一七一五     往來解結は 袞袞に從いて競い走れば 則ち循環成り 鱗比成る 
 一七一六     感應當遇は 坱坱に居りて相い交れば 則ち事物成り 當命成る 
 一七一七     成らざれば則ち爲さず 
 一七一八     爲さざれば則ち成らず 
 一七一九     姑く小物に就きて之を言うに。
 一七二〇~二一  松柏檜杉は 屋の爲具なり 而して屋の成るは則ち榱題柱桷なり 
 一七二二~二三  氣液骨肉は 人の爲具なり 而して人の成るは則ち耳目手脚なり 是を以て。
 一七二四     其の爲す者は卽ち其の成る者と雖も 
 一七二五       成る者は卽ち其の爲す者に非ず 是を以て。
 一七二六     通塞没露は 宇宙天地を成す 
 一七二七     清濁乾潤は 日影水燥を成す 
 一七二八     而して後 日影水燥。轉に從いて持に居る。而して交錯すれば。則ち
 一七二九     成る者も爲すこと有りて。而して又た爲中に成を有す。是を以て。        (PA 165)
 一七三〇~三一  日月景影は 東西の轉を會して 而して順逆の行を爲す 氣象は地持に轉じて 而して
 一七三二     面背遠近すれば 則ち晝夜冬夏は 地上に成る 
 一七三三~三四  水火湿燥は 升降を地に依りて 而して發收の氣を爲す 氣質は地持に運して 而して
 一七三五     聚散升降すれば 則ち雨暘雷雪は 持中に成る 而して
 一七三六     土石は虚動に居り。水と燥とを載す。
 一七三七     水土は地を爲す 
 一七三八     燥氣は天を成す 
 一七三九     水は土を抱けば 則ち島嶼を成す 
 一七四〇     土は水を抱けば 則ち江湖を成す 
 一七四一     高くして山嶽を成す                              (I 404a)
 一七四二     深くして潭渦を成す 
 一七四三     既已に其の物を成さば。
 一七四四     彼の爲する者と。終に別有るなり。
 一七四五    侌昜は對偶す 
 一七四六    大小は容居す 
 一七四七    侌昜は相對すと雖も 
 一七四八    大小は容居すと雖も 
 一七四九    既已に各を爲せば。則ち彼此の間。
 一七五〇    隔てざる者は相い融す 
 一七五一    隔を爲す者は相い通ず 
 一七五二    融するを以てして天なり 
 一七五三    通ずるを以てして神なり 融すれば則ち終に一なり 
 一七五四    二を有するを以て然り  通ずる者は 猶お二なり 
 一七五五    體の隔つるを以て然り 
 一七五六    通ずれば則ち 對偶に於ては 則ち昜は縕し侌は絪す 
 一七五七           容居に於ては 則ち大は給し小は資る 故に
 一七五八    其の隔たるに互して 事物は交接し 鬼神は感應す 
 一七五九    其の通ずる所に   生化は往來し 天命は當遇す 
 一七六〇~六一  夫れ萬物の用は。大に資り各に依る 
 一七六二             偶を反し類を比す 
 一七六三     大に資るを以て 而して天に應ぜざる莫し 
 一七六四     各に依るを以て 而して事に通ぜざる莫し 
 一七六五     反するを以て 而して偶に有らざる莫し                   (PA 166) 
 一七六六     比するを以て 而して類に有らざる莫し 蓋し
 一七六七     大物は一體にして 
 一七六八     各體は相い隔つ 
 一七六九     大氣は一用にして 
 一七七〇     各氣は相い依る 
 一七七一~〇二  體は各を爲すに由りて 而して物物相い隔つ 
 一七七三~〇四  用は反を爲すに由りて 而して氣氣相い通ず 
 一七七五~七六  一資一應は 大小の間なり 
 一七七七~七八  一交一接は 彼此の道なり 
 一七七九     接する者は 體の往來なり 
 一七八〇     交わる者は 氣の往來なり 故に
 一七八一     大小は各おの天地を有す 故に其の勢は各に張る 
 一七八二     各各は互いに天地を有す 故に其の用は體に依る 故に
 一七八三     天は則ち天にして天の天地體用を具す 
 一七八四     地は則ち地にして地の天地體用を有す 
 一七八五     著にして日月水火なり 
 一七八六     小にして艸木禽獸なり 
 一七八七     其の事は同じ。此の故に。
 一七八八~八九  天地日影の體を立て 而して轉持照蔽の用を有す 
 一七九〇~九一  東西上下の位を成す 而して晝夜冬夏の跡 定る 
 一七九二     彼此の相い依りて成る所 然るなり。故に
 一七九三~九四  萬物の各神物を具するは。大物の絪縕に由る。蓋し
 一七九五     大物なる者は體なり 而して
 一七九六     絪縕なる者は用なり 
 一七九七~九八  體を隔てて神物を有す。而して用を竝立の間に於て通ぜんと欲す。
 一七九九~〇〇  是に於てか。氣は交わり體は接す 艸木の雨露寒暄に於る 
 一八〇一~〇二  鳥獸の飮啄營窟に於る 皆な通隔の事なり。
 一八〇三     用なる者は 經中に行き 機に爲し 跡に定まる 
 一八〇四     體なる者は 緯中に居り 天は之を容れ 物は之に居る            (I 404b) 
 一八〇五     物を隔て氣を通ず 彼此同じからざるなり 
 一八〇六     緯に居り經に行く 小大亦た一なり 是の故に。
 一八〇七     其の體は立ち用は行わるなり。
 一八〇八     神は往來に爲す 
 一八〇九     天は當遇に成す 
 一八一〇     往けば則ち來る者に當る 
 一八一一     來れば則ち往く者に遇う 
 一八一二~一三  物は往來に通ず 之を生化と謂う 
 一八一四~一五  事は當遇に定る 之を天命と謂う 
 一八一六    終に此に走らざるを得ず 
 一八一七    終に此に維せざるを得ず 然り而して                     (PA 167)
 一八一八    以て能く冥冥なり 
 一八一九    以て能く昭昭なり 
 一八二〇    以て然る者は昭なり 
 一八二一    然る所の者は冥なり 
 一八二二    然る所の者は故なり 
 一八二三    以て然る者は理なり 是に於て。
 一八二四    已に然る者も亦た故と曰う 
 一八二五    當に然る者も亦た理と曰う 
 一八二六    人は。當然なる者を觀て 未だ以て然るの條理を知らず 
 一八二七    已に然る者を察し 未だ然る所の故を考えず 
 一八二八    故を統べ理を統ぶ。見るれば則ち未と已は交互す。
 一八二九    今の理を譚ずる者は。則ち理を以て氣に易う。
 一八三〇    氣は没する可からず。故に理氣の説有り。
 一八三一    理なる者は 天なり 事物の以って然るなり 
 一八三二    氣なる者は 神なり 事物の然るを爲すなり 故に。
 一八三三    轉じて當に圓なるべく 持して當に直なるべきは 則ち理なり 
 一八三四    轉じて圓を爲し    持して直を爲すは    則ち氣なり 
 一八三五       (編集による空白。)
 一八三六~三七 況んや其の理とする所の者は。未だ條理の故を得ず。
 一八三八~三九 理非の理に局するをや。是に於て。死底の理を以て 
 一八四〇~四一                 活底の氣に抗す 是に於てか。氣は活し理は死す。
 一八四二    理は氣を生ぜず 
 一八四三    氣は則ち理を有す 
 一八四四~四五 氣の到る所 理は有らざる無く 
 一八四六~四七 理の在る所 氣は必ずしも随わず 
 一八四八    理を譚ずる者は 將に之を以て事物を盡くさんとす 
 一八四九    理を排する者は 將に之を除きて事物を説かんとす 
 一八五〇    偕に未だ理を得ざる者なり。
 一八五一    理なる者は 一一の條理を示すなり 
 一八五二    故なる者は 混成の罅縫を没すなり 
 一八五三    罅縫を没すれば 則ち冥冥として示さず 
 一八五四    條理を立すれば 則ち昭昭として能く燭す 故に
 一八五五    條理に由りて。以て事物の以て然る所を照せば。
 一八五六    事物は逃るるに地無し。
 一八五七    然りと雖も。理も亦た故の偶なり。
 一八五八    照なる者は 暗を得て照すを得る 
 一八五九    暗なる者は 明を待て暗きを得る 故に                    (I 405a)
 一八六〇    理は冥冥の地を得て 而して昭昭を施す 
 一八六一    故は昭昭の物を得て 而して冥冥を布く 是を以て。
 一八六二    氣は事物の然るを爲す 
 一八六三    理は事物の然るを照す 蓋し
 一八六四    理なる者は 能く照す者なり 
 一八六五    氣なる者は 能く爲す者なり 是を以て。
 一八六六    人造は則ち理先んず 
 一八六七    天造は則ち氣先んず 
 一八六八    譬えば舟車を造るが如し。                          (PA 168)
 一八六九~七〇 舟に先んじて舟の理を照し 之を以て此を造る 果たして載泛の用を爲す 
 一八七一~七二 車に先んじて車の理を照す 之を以て此を造る 果たして轉持の用を爲す 
 一八七三~七四 輕虚は 理 當に載せて泛ぶべし 然れども載せて泛ぶことを爲す者は 氣なり 
 一八七五~七六 直圓は 理 當に轉じて持すべし 然れども轉じて持すことを爲す者は 氣なり 
 一八七七    是れ人造の 理を先んじ 
 一八七八      天造の 氣を先んずる所なり 
 一八七九    輕虚の載泛する所なり 
 一八八〇~八一 直圓の轉持する所なり 已に其の故を有するなり。
 一八八二    當に載泛すべきを輕虚に於て照す 
 一八八三    當に轉持巣べきを直圓に於て照す 是の故に。
 一八八四    載泛轉持に勝る者は 其の力なり 
 一八八五    載泛轉持に走る者は 其の勢なり 
 一八八六    當然の理は 已に然るの 故に由りて論ず可し 
 一八八七    已然の故は 然るを爲すの氣に由りて觀る可し 是の故に。
 一八八八    露する者は昭灼なり 
 一八八九~九〇 没する者は溟涬なり 理を以て知る可からず。
 一八九一              數を以て推す可からず。
 一八九二              象を以て狀す可からず。
 一八九三              神を以て測る可からず。蓋し。
 一八九四    天なる者は能く定る 
 一八九五    地なる者は能く變ず 故に
 一八九六~九九 天に於ては 則ち日月の道 運轉の行 勢は理に随うなり 
 一九〇〇~〇一 地に於ては 則ち寒熱の運 風日の行 勢理各おの行わる 是の故に。
 一九〇四    理は 則ち子 當に孝なるべく    臣 當に忠なるべし 
 一九〇五    氣は 則ち子 未だ必ずしも孝ならず 臣 未だ必ずしも忠ならず 故に
 一九〇六~〇七 勢の走るに至りては。則ち理の當然なる者を壓す。
 一九〇八    當然なる者は。其の然らざるを得ざる者を如何ともする能わず。故に
 一九〇九    勢は理に會えば 則ち事物は和順す 
 一九一〇    勢は理に忤えば、則ち事物は乖戻す 故に
 一九一一~一二   (欄外上段追記につき削除)
 一九一三    理を知りて勢を知らざれば 必ずや誣る 
 一九一四    勢を知りて理を知らざれば 必ずや眩む 
 一九一五~一六 或るひと曰く照す者は智なり。理に非ず。是れ未だ盡くさざるなり。
 一九一七~一八 夫れ理なる者は。分れて條理を有す。故に
 一九一八    昭昭は以て照す。
 一九一九~二三       (編集による空白)
 一九二四    然れば 則ち照す者は 燭なり 目は以て之を見る 
 一九二五          照す者は 理なり 智は以て之を知る 
 一九二六~二七 故に燭を秉りて行く者は 顚倒の患無し 是れ理の以て晦ます可からざる所なり   (PA 169)
 一九二八~二九 燭を失いて顚倒すと雖も 而も尚お倀倀として已む可からざる者は 勢なり 故に
 一九三〇~三一 天地を假りて以て之を牽けども。而も勢は則ち停む可からざるなり。
 一九三二    是を以て。勢の走る所を知りて 而も以て事に處す可し 
 一九三三         理の在る所を知りて 而も以て物を暁る可し 
 一九三四         圓轉は首尾を見ず 
 一九三五~三六      直推は標本を獲ず 没と露と。孰れか其の一を執らん。
 一九三七    已然なる者は 則ち顧みて之を視る 
 一九三八    當然なる者は 則ち望みて之を推す 
 一九三九~四〇 今 一理を溟涬無朕の前に懸けて。 盡く事物を此に繋ぐ。
 一九四一    是れ固より天地は廢す可からざる者と雖も。
 一九四二    亦た偏重の任を擔うこと能わず。
 一九四三    故は理を含む 
 一九四四    理は故に由る 
 一九四五    其の覆載する所を觀て 而して覆載を推す 
 一九四六    其の往來する所を觀て 而して往來を推す                   (PA 170) 
 一九五七      天神
 一九五八    精麁狀貌。有に遺す所莫し。
 一九五九    有に遺す所莫くして。而して精麁狀貌。開かざる所莫し。
 一九六〇    開けば則ち一有は 之を含む 
 一九六一    有せば則ち二は能く之を發す 
 一九六二    開くに由りて 居る者の宅を有し 行く者の路を有するを見す 
 一九六三    有すに由りて 宅の居る者を有し 路の行く者を有するを見す 
 一九六四    神なる者は 活して能く爲す 
 一九六五    物なる者は 立して能く成る 
 一九六六    二は一に有せられ 
 一九六七~六八 一は二に居る 是に於て。經は没し緯は露す 
 一九六九                物は體し氣は用す 
 一九七〇~七一 剖析は二に之けば 則ち物 各 にして氣反す 
 一九七二~七四 活立は相い用うれば 則ち氣交わり體接す 是に於て。爲す者は狀を見す 
 一九七五                             成る者は貌を露す 
 一九七六~七七  神爲は則ち事 其の然ら使むるに當りて狀を見す 
 一九七七     狀 見れて而して其の然ら使むる者 見る可し 
 一九七八~八〇  蓋し其の狀は 機を以て發す 跡を以て收む 
 一九八一     天成は則ち物 其の自から然るに由りて貌を露す 
 一九八二     貌なる者の露して而して其の自然なる者を察す可し               (I 406a)
 一九八三~八五  蓋し其の貌は 戸を開きて明なり 室を塞ぎて幽なり 
 一九八六~八八  機なる者は 活の柄なり 變を以て往く 則を以て立つ             (PA 183) 
 一九八九     變なれば則ち定�の測る所に非ず 
 一九九〇     識らざる者は 尚お��として有意を以て説く 
 一九九一~九三  成なる者は 立の體なり 然を以て立つ 自を以て住す         
 一九九四     然は則ち神爲の運ぶ所に非ず 
 一九九五     識らざる者は 祇だ芒芒として有體を見て説く 故に。
 一九九六     機なる者は 發して已まず 
 一九九七~九八        變じて住せず 但だ其の天なる者は意無し 
 一九九九                    其の人なる者は意有り 
 二〇〇〇~〇一  有意は無意の天を觀て 動輒すれば禍福災祥を以て之を擾す 
 二〇〇二     跡なる者は 收めて已まず 
 二〇〇三           定りて換らず 但だ其の神なる者は爲する有り 
 二〇〇五                    其の天なる者は成する有り 
 二〇〇六~〇七  有爲は無爲の天を觀て 動輒すれば意知機巧を以て成を窺う 
 二〇〇八     狀は貌を以て往く 
 二〇〇九~一〇  貌は狀を以て立つ 故に狀は使然に爲す 
 二〇一一                貌は自然に成す 
 二〇一二     自と使とにして 而して狀は貌に分る 
 二〇一三     自使は然に合し 而して狀は貌に合す 
 二〇一四     祇だ然に得て貌を見す 
 二〇一五~一七  然に失して自使に堕す 
 二〇一六     如何ぞ其の然とするは。則ち
 二〇一七     之を混に於て然とすれば 則ち其の混を貌とす 
 二〇一八     之を粲に於て然とすれば 則ち其の粲を貌とす 故に
 二〇一九     然なる者は。如なり。若なり。此の如きなり。
 二〇二〇     有意は窺窬して 意を其の正貌に容る 
 二〇二一     有意は窺窬して 意を其の正狀に容る 
 二〇二二     之を天命に失う 
 二〇二三     之を天物に誤つ 
 二〇二四~二五 蓋し大物の成は。一神一物なり。物は天地を開く 
 二〇二六                   神は天神を開く 
 二〇二七    天地なる者は 地は物にして而して天は氣なり 
 二〇二八    天神なる者は 神は物にして而して天は氣なり 
 二〇二九    地は 物なり 故に天の爲に容れらる 
 二〇三〇    神は 物なり 故に天の爲に有せらる 故に
 二〇三一    天地は 則ち氣を没し物を露し 性を隠し體を見す               (PA 184)
 二〇三二    天神は 則ち氣を露し物を没す 體を隠し性を見す 故に
 二〇三三    天地は 其の物を結びて 而して其の氣を散ず 
 二〇三四    天神は 其の物を貌にして 而して其の事を狀にす 
 二〇三五    活せずして爲さずんば 孰れか氣の神を認めん 
 二〇三六    立せずして成らずんば 孰れか物の天を認めん 
 二〇三七    爲成なる者は 神の行う所なり 
 二〇三八    戸室なる者は 神の居る所なり                        (I 406b)
 二〇三九    自なる者は天の貌なり 
 二〇四〇    使なる者は神の態なり 
 二〇四一    天は先んぜず 
 二〇四二    神は後ならず 
 二〇四三    天命の狀 
 二〇四四    天物の貌 
 二〇四五    若し自なれば則ち使を如何にせん 
 二〇四六    若し使なれば則ち自を如何にせん 
 二〇四七    此に走る 
 二〇四八    此に維す 
 二〇四九    理は沿う可し 
 二〇五〇    故は泝り難し 
 二〇五一    一は居る 
 二〇五二    一は行く 
 二〇五三    其の有は幽なり 而して
 二〇五四~五五 其の發は明なり 是に於て。事物の狀貌は乃ち此の如し。
 二〇五六    道は 則ち其の路に上りて 而して其の宅に歸る 
 二〇五七    徳は 則ち其の室を閉じて 而して其の戸を開く 
 二〇五八~六〇 其の戸を開きて 而して其の途に上る 則ち萬有は畢く露す 萬態は畢 く見る  (PA 185)
 二〇六一~六二 其の宅に歸して 而して其の室を閉ず 則ち一有は寂たり  鬱浡は痕 を没す 是の故に。
 二〇六三    行けば則ち露す 
 二〇六四    止れば則ち宅す 
 二〇六五    歸れば 則ち宅に止らざる莫し 
 二〇六六    行けば 則ち路に上らざる莫し 
 二〇六七    行く者は止れば 則ち路は卽ち宅なり 
 二〇六八    居る者は行けば 則ち宅は卽ち路なり 
 二〇六九    道は二に由りて而して其の路を爲す 
 二〇七〇    徳は一を以って而して其の宅を爲す 
 二〇七一    一は以て混成す 
 二〇七二    二は以て粲立す 
 二〇七三    一なる者は 粲立の居る所なり 
 二〇七四    二なる者は 混成の行く所なり 
 二〇七五    居に止り 
 二〇七六    行に動く   居れば則ち其の宅なり 
 二〇七七    其の室を閉じ 
 二〇七八    其の戸を開く 行けば則ち其の路なり 
 二〇七九    其の機を爲す 
 二〇八〇    其の跡を成す 
 二〇八一    道は 其の戸を開きて而して行けば 則ち斯の路に上る 
 二〇八二    徳は 其の宅に歸りて而して止れば 則ち其の室を閉ず 
 二〇八三     宅路に就きて之を言えば 則ち麁露の物なり 
 二〇八四     道徳に就きて之を言えば 則ち精没の氣なり 故に
 二〇八五     行く者は從う者を率いる 而して從う者に緩急有り 
 二〇八六     容るる者は居る者を得る 而して居る者に廣狹有り 是に於て。
 二〇八七     從う者は絡繹として 先後會違す 
 二〇八八     居る者は參差として 大小錯雜す 故に
 二〇八九     爲す者は機發す 
 二〇九〇     成る者は跡收む 
 二〇九一     發する者は 變じて窮まらず 
 二〇九二     收むる者は 定りて揜わず 
 二〇九三     不窮は玅を爲す 
 二〇九四~九六  不揜は誠を爲す 窮まらず揜わず。以て事物を鼓舞す 
 二〇九七                     以て事物を検束す             (PA 186)
 二〇九八     不窮の變 有意は之を得る能わず 而して以て測る可からざると爲すなり 
 二〇九九     不揜の定 有爲は之を得る能わず 而して以て揜う可からざると爲すなり 
 二一〇〇    是を以て。一の立する所 物は其の宅に居る 
 二一〇一         二の活する所 事は其の路に上る 
 二一〇二~〇三 路上に就きて之を分かてば。地は以て此に宅す 
 二一〇四                 天は以て此に路す                 (I 407a)
 二一〇五    氣象は天に行く 
 二一〇六    氣質は地に居る 
 二一〇七    天行けば則ち地は必ず居る 
 二一〇八    地居れば則ち天は必ず行く 故に
 二一〇九    鳥は水に潛まず 
 二一一〇    魚は天を翔けず 
 二一一一~一二 之を人造に移して言わんに。舟は推す可からず 
 二一一三                 車は浮く可からず 
 二一一四    是を以て。天地は一全物なり。
 二一一五    室を開き戸を閉ず  (室は閉じ戸は開く と訂正あり。)
 二一一六    路は通じ宅は容る 
 二一一七    天は自然に成り 
 二一一八    神は若く爲さしめて 
 二一一九    神爲は態 變じ 
 二一二〇    天成は態 常なり 
 二一二一    爲すを以て而して成る 
 二一二二    成るを以て而して爲す 
 二一二三    爲せば則ち以て居り以て行く 
 二一二四    成れば則ち以て宅し以て路す 蓋し。
 二一二五    理は其の一を一一にして。剖析は窮り無し。故に
 二一二六    爲成の二具は相い絪縕す。萬物は此の如く擾擾たり。故に天地は一大圓物なり。 (PA 187)
 二一二七    天は日月を懸けて 而して晝夜朔望を代う 
 二一二八~二九 地は雲雨を運びて 而して雲雷雨雪を旋す 侌昜の文章を天に成すや 
 二一三〇    天は方位を定めて 而して東西南北を分つ 
 二一三一~三二 地は山水を定めて 而して湖海島嶼を爲す 氣物の文章を地に成すや 
 二一三三    天地は乘載す 
 二一三四    侌昜は絪縕す 
 二一三五    動植は擾擾として。種を無數に分ち。人は其の中に在る。
 二一三六    物に資りて以て身と爲す 
 二一三七    神に資りて以て意と爲す 
 二一三八~三九 終に有意の神を以て。以て萬物に勝る。能く萬物を使令す。
 二一四〇    是に於て。我れは已に使令の天地なり。
 二一四一    �矩の方位に資り 而して東西南北を定む 
 二一四二    分至の歳時を觀て 而して子午丙寅を準す 
 二一四三    山に梯し海に航し 方域の盡くす所を探り 
 二一四四    主に聲し聲に字して 經歷の久近を紀す 
 二一四五    聲を以て主を被う 
 二一四六    意を以て物を索む 
 二一四七    聲主は會違す 
 二一四八    意物は錯綜す 
 二一四九    意匠の經營は 則ち同じきこと能わずと雖も 而も             (PA 188)
 二一五〇    實測の所驗は 則ち異なる可からず 
 二一五一    故に。陸は曼然として水に居る 
 二一五二       水は邃乎として海を爲す 
 二一五三    海は 中線の南に渺瀰とす 
 二一五四~五六 壌は 中線の北に洪曠とす 大壌は兩堆し。一堆は北に竪す 
 二一五七                        一堆は中に横す 
 二一五八    川谷は陸に撩亂として 
 二一五九    島嶼は水に擁簇す 
 二一六〇    南瞑は最も洪渺たり。其の中に壌有り。
 二一六一    探索は猶お審かを闕く。
 二一六二    日月東西は。嘑噏に從いて南北す。
 二一六三    南北の極は 晝夜を 更 す 
 二一六四    中線の地は 冬夏を 再 す 
 二一六五    東西は運轉す 以て晝夜を成す                      (I 407b)
 二一六六    南北は嘑噏す 以て冬夏を成す 
 二一六七    中線の下は熱勝る 
 二一六八    兩極の下は寒勝る 
 二一六九    其の間は。則ち南北兩帯。春夏秋冬を更にす。
 二一七〇    而して寒熱溫涼は交ごもに行わる。
 二一七一    地球は一塊。半面を見せば。則ち半面を隠す。
 二一七二    故に晝夜は一半。冬夏は竝び行わる。
 二一七三    人は眇小の地に立ちて。半面の天地を見る。而して            (PA 189)
 二一七四    持中升降の間に居りて。
 二一七五    東西の運轉を察せず。
 二一七六    圓を觀て平と爲し 
 二一七七~七九 直を觀て方と爲す 故に未だ實測を審かにせざれば。則ち條理繹ぬ可からざるなり。
 二一八〇~八二  宙は經し宇は緯す。天地と萬物と。皆な其の容率の間に在り。
 二一八三~八四  而して神と物とは。神は活して宙に路す 
 二一八五              物は立ちて宇に居す 
 二一八六~八七  物は。氣物なり。氣なれば則ち侌昜なり 物を性に成す 而して機を活して經に行く 
 二一八八             物なれば則ち天地なり 物を體に成す 而して物を立して緯に居る 
 二一八九     是を以て。天地は宇宙より巨なり 
 二一九〇          象質は天地より著なり 
 二一九一     象質は機を神にし 而して歳運を上下に行す 
 二一九二     氣物は體を立して 而して天地を内外に爲す 是に於て。
 二一九三     元氣は經緯を分ちて。而して經緯は物を分つ。
 二一九四     氣物は天地を成す 
 二一九五     侌昜は象質を露す 
 二一九六     天地は剖對す 
 二一九七     侌昜は絪縕す 
 二一九八     萬物は以て其の間に化す 
 二一九九~〇〇  萬物は萬に非ず。惟だ動植有り。動植は。居を水陸に分つ 
 二二〇一                        類を剛柔に剖く 
 二二〇二     剖析は盡きず。則ち啻に萬の盡す所に非ざるなり。
 二二〇三     夫れ天地侌昜なる者は。其の已に成る者なり。而れども
 二二〇四~〇五  動植に於ては。則ち爲具なり。蓋し天地侌昜の成は。一氣一物の爲す所に成る。
 二二〇六     其の體は 則ち天虚地實 轉剛持柔なり 
 二二〇七     其の形は 則ち地直天圓 轉�守矩なり 
 二二〇八     體は則ち形に成る 地下天上轉外持内 
 二二〇九~一〇  物は則ち位に立つ 是に於て。明暗寒熱は 時を其の上に刻す    (而してを欠くか。)
 二二一一                   發收嘑噏は 氣を其の下に運す 
 二二一二                   水燥�火は 物を持中に布く 而して
 二二一三                   雲雷雨雪は 其の間に變化す 
 二二一四                   天は 清虚にして動く             (PA 190)
 二二一五                   地は 土石にして止る 
 二二一六     水は地を環し 燥は水を環し 水燥は地と圓を合して 而して地質の天地を開く 
 二二一七     日は轉を循り 影は日を循り 日影は轉と�を分ちて 而して天象の天地を開く (I 408a)
 二二一八     天地は混淪し 坱坱は洪荒を極む 
 二二一九     象質は絪縕し 袞袞は攸久を爲す 
 二二二〇     體は虚實を爲す 
 二二二一     性は散結を爲す 
 二二二二     散ずる者は 虚に歸りて天に之く 
 二二二三     結ばる者は 實に從いて中に歸す 故に
 二二二四     彌いよ結んで彌いよ實し 彌いよ實して彌いよ重し 
 二二二五     沈下して動かず 嶷然として其の中に立つ 
 二二二六     彌いよ散じて彌いよ虚し 彌いよ虚して彌いよ輕し 
 二二二七     浮升して停まらず 精は以て其の外を成す 
 二二二八     結ばる者は猶お下る所有れば 則ち中より重きは莫し 
 二二二九     散ずる者は猶お上る所有れば 則ち外より輕きは莫し 
 二二三〇     虚實は清濁と相い得て。而して物は皆な見露す。
 二二三一     色は象質を著にして 而して水火は照蔽通隔す 
 二二三二     體は氣物に成りて  而して天地は虚實剛柔す 
 二二三三     地壌は一圓塊を中央に點して。
 二二三四~三五  氣を浮かべ象を載す。夫れ地なる者は堅密なり 
 二二三六                 壌なる者は麁輭なり 
 二二三七                 突する者は山を成す 
 二二三八                 拗する者は壑を成す 
 二二三九                 下は則ち地なり 
 二二四〇                 上は則ち天なり 
 二二四一~四二  水は解中に結ぶ 而して拗中の天に居る 鹹は則ち海を爲す 
 二二四三                        淡は則ち水を爲す 
 二二四四~四五  土は結中に解く 而して突處の天に居る 平なれば則ち原を爲す 
 二二四六                        高ければ則ち山と成る 
 二二四七     山原を合せて陸と曰う 
 二二四八     淡鹹を并せて水と曰う 
 二二四九     陸は曼然として燥に居る 
 二二五〇     壑は邃乎として水を積む 故に。
 二二五一~五二  山は突起して燥に入る 本は合して末は分る 
 二二五三~五四  水は拗陥して壑に充つ 本は分れて末は合す 
 二二五五     陸の水中に在るは 呼んで島嶼と爲す 
 二二五六     水の陸中に在るは 名して湖押と曰う 蓋し
 二二五七     日月の照蔽を更える所なり。
 二二五八~五九  地 受けて冬夏晝夜の文を成すは地の天に和するなり。
 二二六〇~六二  然りと雖も。地の持中に居る。持を以て天と爲す 天中に風恬有り 
 二二六三~六四                地を以て地と爲す 地中に山水有り     (PA 191)
 二二六五     是に於て。風恬山水は。持中に天地を開く。而して動植は此に居る。
 二二六六     壌なる者は麁實なり 
 二二六七~六八  水なる者は密實なり 實する者は 則ち能く氣を發す 
 二二六九     天なる者は精虚なり 
 二二七〇~七一  燥なる者は麁虚なり 虚する者は 則ち能く物を拒む 是に於て。
 二二七二     天なる者は精清なり 
 二二七三     燥なる者は麁濁なり 
 二二七四     地は麁濁を以て之を發す 
 二二七五~七六  天は精清を以て之を拒む  其の發の 拒に會いて結ぶや 
 二二七七     天を化して雨と爲す 
 二二七八     地を化して水と爲す 
 二二七九     拒む所は則ち卑きに之かざるを得ず 水の行なり            (I 408b)
 二二八〇     天なる者は侌を畜う 
 二二八一     地なる者は昜を畜う 
 二二八二     地は昜を畜うるを以て之を發す 
 二二八三~八四  天は侌を畜うるを以て之を鬱す 鬱の 發に會いて解るや  (其のを欠くか。)
 二二八五     天に於て燥を爲す 
 二二八六     地に於て潮を爲す 
 二二八七     鬱すれば則ち高きに發せざるを得ず  燥の行なり 
 二二八八     天は輕くして無際に浮く 
 二二八九     地は重くして有極に沈む 
 二二九〇     夫れ物や。天地なる者は大 萬物を得て之を容る 
 二二九一          萬物なる者は小 大物を得て之に居る 
 二二九二     大物なる者は 自から立ち自から行く 
 二二九三     小物なる者は 依りて立ち依りて行く
 二二九四~九五  輕重は相い動けば 則ち輕き者は浮く 
 二二九六                重き者は沈む 
 二二九七~九八  大小は相い居れば 則ち大なる者は容る 
 二二九九                小なる者は居る 此の故に。
 二三〇〇     天にして星沫 
 二三〇一     地にして雲雨 小物の性成りて 共に虚中に居る 
 二三〇二     地にして土石 
 二三〇三     天にして動植 小物の體成りて 共に實中に居る 而して
 二三〇四     星沫は精に由る 土石は實に由る 共に其の體を長しくする者なり 
 二三〇五     雲雨は麁に由る 動植は虚に由る 共に其の體を換うる者なり 
 二三〇六     天は緯具を設け 諸を坱坱に塞ぐ 以て
 二三〇七     夫の經具は 諸を袞袞に通ずる者に合す 
 二三〇八     侌昜は相い得る 
 二三〇九     天地は正に全し 是を以て。
 二三一〇     天は。緯中に物を成す 
 二三一一~一三     經中に跡を成す 其の道を觀る 而して
 二三一三                其の徳に至る 
 二三一四     出づれば則ち戸を開く 
 二三一五     歸すれば則ち室を閉ず 
 二三一六     不揜の誠を奉ず 
 二三一七     不明の室を仰ぐ 
 二三一八     神は。經中に氣を活す 
 二三一九~二〇     通中に機を發す 其の機を觀る 而して
 二三二一                其の路に依る 
 二三二二     往けば則ち成る 
 二三二三     來れば則ち變ず 
 二三二四     不測の玅を仰ぐ                              (PA 192) 
 二三二五     鬱浡の途に伴う 
 二三二六    是の故に。其の爲は 機に活し 變に神す 
 二三二七~二八      其の成は 跡に認め 常に定す 故に氣は活して物は立す。
 二三二九    氣は神にして物は天なり 
 二三三〇    機は神にして跡は天なり 
 二三三一    跡は成り物は成る 共に貌なり 
 二三三二    機を發し跡を成す 共に狀なり 故に
 二三三三    事なる者は 神の經通の間に爲す者なり 機を發し跡を收む 以て其の形を狀にす 
 二三三四    物なる者は 體の緯塞の中に成る者なり 氣は活し物は立ち 以て其の物を貌にす 故に
 二三三五    其の戸を開けば 則ち千狀萬貌は  畢く其の路に上り 流れに順いて往く 
 二三三六~三七 來たる者に會えば 則ち常定の天を成す 
 二三三八    其の宅に居れば 則ち爲成没露は 同じく其の室を閉じ 機に触れて發す 
 二三三九~四〇 有する者を開けば 則ち變換の神爲す                 (PA 193, I 409a)
 二三四七          事物
 二三四八    一者は痕 無し 
 二三四九    剖析は痕を著す 
 二三五〇    痕 著れて而して物は露す 
 二三五一~五二 物 露して而して貌は成る 貌の成るは則ち天地の成功なり。
 二三五三~五四 蓋し其の痕を著し物を露す。以て此の如き者を有す 
 二三五五~五六              以て此の如き者を立す 此の如き者は。必ず隻立せず。
 二三五七~六〇 必ず其の反を得て偶す。故に。露中は 則ち氣は没し物は露す 性は隠れ體は見る 
 二三六一~六三               没中は 則ち物は没し氣は露す 性は見れ體は隠る 
 二三六四~六五 蓋し氣の物を開く。一よりして二なり。
 二三六六~六七 二 分れて相い隔つれば 則ち一は移りて二に居る 
 二三六八~六九 二 交りて相い合すれば 則ち二 融して一を成す 故に。
 二三七〇~七一 一にして二を有すれば 則ち全中に偏を有す 
 二三七二~七三 一中に隻を雙ぶれば 則ち一は能く二に移る 故に
 二三七四    箇箇は。能く隻中に自から偶す 
 二三七五          偏中は自から全す 
 二三七六    是に於て。一毫を擧げて 而して天地に遺す無し                  (PA 201)
 二三七七         天地を擧げて 而して一隻に觀る有り 
 二三七八~七九    夫れ剖對なる者は。經緯なり。剖すれば則ち對す 
 二三八〇                  分るれば則ち合す 
 二三八一    彼此は相い織らざるを獲ざるなり。
 二三八二    既已に彼此は相い織り。
 二三八三~八四    正傍は更互す。親疏有り 
 二三八五           客主有り 
 二三八六           相い繼ぐ有り 
 二三八七           相い竝ぶ有り 
 二三八八           箇箇は繼ぎて竝ぶ 
 二三八九           氣氣は交錯す 
 二三九〇           竟に其の氣を露す 
 二三九一~九二          其の性を見す 蓋し物は各體を剖く。
 二三九三    而して各物は各氣を有す。體は析ければ則ち氣は分る。氣は分れて而して物は小なり。
 二三九四    之を派に分かつ 
 二三九五~九六 之を源に同くす 故に物は。之を地の幹立に資る 而して幹持は竝び立つ 
 二三九七                 之を天の活爲に資る 而して活運は相い交る 
 二三九八    分るれば則ち隔つ 隔つれば則ち竝び立つ 
 二三九九~〇〇 合すれば則ち通ず 通ずれば則ち相い交る 是に於て。體體は相い接す 
 二四〇一                             氣氣は相い交る 
 二四〇二                             體體の竝び立つは 廼ち物なり 
 二四〇三                             氣氣の相い交るは 廼ち事なり 
 二四〇四    物は惟だ此の如し 是れ之を貌と謂う 
 二四〇五    氣は能く才を運す 是れ之を狀と謂う 
 二四〇六    物は能く其の體を露す 而して其の貌を没す                   (PA 202)
 二四〇七~〇八 氣は能く其の性を隠す 而して其の狀を見す 是に於て。物は條理整齋の中に立つ 
 二四〇九                              事は各體紛雜の間に行わる (I 409b)
 二四一〇    條理整齋する者は 天成の定貌なり 
 二四一一    各體紛雜する者は 神爲の變狀なり 
 二四一二    神は機を以て變ず 人は其の變を測ること能わず 
 二四一三    其の主を贊して 以て神と爲す 
 二四一四    其の態に名して 以て玅と爲す 
 二四一五    天は跡を以て定る 人は其の定を揜うこと能わず 
 二四一六    其の主を贊して 以て天と爲す 
 二四一七    其の貌に名して 以て誠と爲す 
 二四一八    機變の神爲は 感應に就て 而して其の性を認む 
 二四一九    跡定の天成は 當遇を觀て 而して其の體を認む 
 二四二〇     經なる者は 神の遊ぶ所なり 而して
 二四二一     緯なる者は 天の成る所なり 
 二四二二     若し之を經緯の中に剖析すれば。則ち
 二四二三     緯中。其の天は。物 本氣を以て立す 而して易わらず 
 二四二四             神 神氣を以て活す 而して定まらず 
 二四二五     經中。神は 機 變じて測られず 
 二四二六        天は 跡 定りて揜われず 
 二四二七    各物各形 
 二四二八    各氣各態 
 二四二九    各氣は各おの其の態を定む 
 二四三〇    各活は各おの其の機を變ず 
 二四三一    爲成は機を變ず 
 二四三二    天神は態を定む                                (PA 203)
 二四三三    事物は 其の天地なり 
 二四三四    機態は 其の天神なり 
 二四三五    變とは何ぞ 天は常中に變す 
 二四三六          神は成中に爲す 
 二四三七    定とは何ぞ 天は動中に常す 
 二四三八          神は爲中に成す 是を以て。
 二四三九    天は能く物を立し 神は能く天に於て體す 
 二四四〇    天は物を立するを以て 而して
 二四四一~四二 天態は能く常し 物態は能く定る 
 二四四三    神は能く氣を活す 氣は能く神に於て用す 
 二四四四    神は氣を活するを以て、而して
 二四四五~四三 神態は能く變じ 物態は能く換る 
 二四四七     天は成を以て其の道と爲す 
 二四四八     神は爲を以て其の道と爲す 
 二四四九     物なる者は 天成なり 
 二四五〇     神なる者は 神爲なり 是を以て。
 二四五一~五二  中は止り外は靜す 而して地は定り天は定る 故に天は能く其の天を常にす 
 二四五三                            地は能く其の地を常にす 
 二四五四     機は活し運は發す 而して神は變じ物は換る 故に神は能く其の神を變ず 蓋し
 二四五五~五七  其の常なる者も亦た變ず 變ずと雖も 而も始まる者は則ち終りて能く始まる 
 二四五八                         起こる者は則ち滅して又た起こる 
 二四五九     變じて常中を出でず 
 二四六〇~六二  其の變なる者も亦た定る 定ると雖も 而も逝く者は再び返らず 
 二四六三                         化す者は復び蘇らず 是を以て。
 二四六四     各活は天中に運動すれば 則ち其の態は變ずと雖も 而も常中に居る        (I 410a)
 二四六五     各體は神中に幹立すれば 則ち其の態は定ると雖も 而も變中に行わる 
 二四六六    之を小に言いて。以て之を大に徴するに。蓋し
 二四六七    身の身を爲す。惟だ我の一身のみ。
 二四六八    親子は愛を以て交る                              (PA 204)
 二四六九    男女は感を以て交る 
 二四七〇    喜に於て笑う 
 二四七一    憂に於て泣く 
 二四七二    酒には則ち酔う 
 二四七三    舟には則ち注す 
 二四七四    餌には則ち能く肥ゆ 
 二四七五    毒には則ち能く死す 
 二四七六    其の交る所の異なれば。則ち其の應ずる所は變ず。
 二四七七    故に天地は正反にして。散を以て結に偶す。而して
 二四七八    日地は正比 熱を以て寒に偶す 
 二四七九    日水は傍比 潤を以て乾に偶す 
 二四八〇    日影は上に於て反して 明暗の偶する有り 
 二四八一    水燥は下に於て反して 滋煦の偶する有り 
 二四八二    交接の感應に從いて。而して
 二四八三    性の見るる所は同じからず。
 二四八四    又た之を聲味に言うに。
 二四八五~八六 鐘鼓の懸 桴梃は同じく一物にして 而して洪繊は則ち其の叩に從う 
 二四八七~八八 鼐鼎の設 水火は同じく一性にして 而して苦甘は則ち其の和に從う 故に
 二四八九    其の性は異なるに非ざれども。而も物に當りて狀を見す。
 二四九〇    交る所に從いて。而して變化は同じからざるなり。是れ所謂
 二四九一    各物各形 
 二四九二    各氣各態 事物の條理整齋の中に於て紛擾錯雜する所なり。           (PA 205)
 二四九三~九五  山に艸木土石有り 人に飢寒疾病有り 相い得て溫飽藥毒有り 
 二四九六~九八  物に聲色臭味有り 人に耳目鼻舌有り 相い得て視聽聞味有り 
 二四九九     絪縕感應し。變化千萬す。是を以て。
 二五〇〇     其の己を以て物に會うや。
 二五〇一     父に會し子に會し。
 二五〇二     君に會し臣に會し。
 二五〇三     雨に會し日に會し。
 二五〇四     夷に會し険に會す。
 二五〇五     會して絪縕感應す。
 二五〇六     會を異にして才運は別す。是を以て。
 二五〇七~〇八  各各境を分ち。天地を爲す所と異なるなり。是の故に。
 二五〇九     陸物は水に死す 
 二五一〇     水物は陸に死す 故に。
 二五一一     鐵は 物を斫るに剛なり 而して鹽に接するに柔なり 
 二五一二     水は 口に入るに柔なり 而して火を滅するに剛なり 
 二五一三~一四 是を以て。本と是れ一元の氣。一氣は其の性を活す 
 二五一五                  大物は其の體を立す 
 二五一六    氣物は剖析す 
 二五一七    體用は交接す 
 二五一八    露する者は没す 
 二五一九    没する者は露す 
 二五二〇    物は各おの其の氣物を有すれば。
 二五二一    則ち態は其の物に從いて異なるなり。
 二五二二    異なると雖も而も常と變とを外にせず。
 二五二三    常なる者は 天の態なり 
 二五二四    變なる者は 神の態なり 是に於て                       (I 410b)
 二五二五    機を活し能く變ず 
 二五二六    物の態は能く定る 
 二五二七~二八 物なる者は體なり。氣は其の體を用う。
 二五二九    各體は相い隔つ 
 二五三〇    各氣は相い交る 
 二五三一    體體に接と曰う 
 二五三二    氣氣に交と曰う 
 二五三三     各體は相い隔ち 自佗は客主を分つ 
 二五三四     各性は相い交り 剛柔は雌雄を分つ                      (PA 206)
 二五三五     體は相い隔たるを以て 而して接して交らず 故に
 二五三六     金石は相い入らず 
 二五三七     水火は能く相い滅す 
 二五三八     氣は相い通ずるを以て 而して交りて隔てず 故に
 二五三九     機形は能く相い容る 
 二五四〇     聲色は互いに相い居る 
 二五四一~四二  之を人に移して言わんに。手の器を執り 
 二五四三                 足の地を踏み 
 二五四四                 飮食の内に入り 
 二五四五~四六              衣服の外を被うは 共に體の接なり 
 二五四七                 憂喜の心を發し 
 二五四八                 愛憎の情を感じ 
 二五四九                 聲音の耳に於ると 
 二五五〇~五一              文彩に目に於るは 皆な氣の交なり 
 二五五二~五四  氣物の交接。其の定度有る者は 則ち寒熱の冬夏を爲す 
 二五五五                      明暗の晝夜を爲す 
 二五五六                      誠に違う所莫し 
 二五五七~五八        其の定期無き者は 則ち突然として雷起り風生じ 
 二五五九                      倏乎として山崩れ海涌く 
 二五六〇                      變に認むる所莫し 是の故に。
 二五六一     勢の走る所 主は以て客を轉ず 
 二五六二     機の變る所 雌は以て雄に勝る 
 二五六三    故に。動けば 則ち往來運轉す 
 二五六四       止れば 則ち居止環守す 
 二五六五    日月は轉に會すれば 則ち順逆交蝕の事有り 
 二五六六~六七 水陸は象に會すれば 則ち凝融開閉の事有り 故に。體は物の貌と成る 
 二五六八                            用は事の狀を爲す 
 二五六九                            事狀は神 之を用す 
 二五七〇                            物貌は天 之に體す 
 二五七一    爲すに天神有り 
 二五七二~七三 成るに氣物有り 物は 則ち成りて而して其の體變せず 
 二五七四~七五         氣は 則ち成りて而して其の跡は定む 體に天地の成體有り 
 二五七六                              跡に天命の成跡有り 蓋し (PA 207)
 二五七七~七八 爲すに神物有り。物は交りて而して其の事は變ず 
 二五七九~八〇         神は通じて而して其の事は換る 換に造化の通氣有り 
 二五八一                           變に鬼神の活態有り 
 二五八二            天地は物を坱坱として塞がるの中に成す 
 二五八三            造化は事を袞袞として通ずるの中に爲す 
 二五八四            鬼神は氣物交接の變化を盡す 
 二五八五            天命は往來當遇の成功を遂ぐ 是を以て。
 二五八六~八七 氣物性體は。天物氣機を以て爲せば。則ち天地は物に成る 
 二五八八                       歳運は氣に成る 是の故に。
 二五八九                       通塞は事を用す 
 二五九〇                       宇宙は物に體す 
 二五九一                       動止は事を用す             (I 411a)
 二五九二~九三                    轉持は物に體す 往く所 皆な然るなり。故に。
 二五九四~九五 一氣一物は。廼ち天地侌昜なり。其の活は廼ち神なり 
 二五九六                   其の立は廼ち物なり 
 二五九七                   之を有するは廼ち天なり 
 二五九八                   之を發するは廼ち神なり 
 二五九九                   有するを以て而して物は體を立す 
 二六〇〇                   發するを以て而して氣は用を活す 
 二六〇一                   體成りて而して物 露す 
 二六〇二~〇三                用成りて而して事 露す 一剖けて而して各立つ。
 二六〇四    各の立を以て而して隔つ 
 二六〇五    一の剖を以て而して通ず 故に。
 二六〇六    天地は相い隔つ                               (PA 208)
 二六〇七    造化は相い通ず 
 二六〇八    動植は相い隔つ 
 二六〇九    生育は相い依る 
 二六一〇     隔を以て之を觀れば 則ち火は發して物を盡す 
 二六一一                 水は收めて物を生ず 
 二六一二     通を以て之を觀れば 則ち火は水を以て立つ 
 二六一三                 水は火に由て存す 是を以て。
 二六一四     通ずれば 則ち天地萬物を 我と隔てず 
 二六一五     隔てれば 則ち耳目鼻舌を 各 其の用に隔つ 
 二六一六    故に。天地萬物の竝立するや 皆な其の隔たるを以てなり 
 二六一七       天地萬物の給資するや 皆な其の通ずるを以てなり 蓋し。
 二六一八    天なる者は 定常の宅なり 故に事は定まる 
 二六一九    地なる者は 變化の藪なり 故に事は變わる 
 二六二〇    定常は則ち數を以て之を推す 
 二六二一    變化は則ち其の機は不測なり 
 二六二二    會違し親疏す 
 二六二三    順逆し成敗す 
 二六二四    大物は給う有り 
 二六二五    小物は資る有り 
 二六二六    資る者は 天地に遺さず 
 二六二七    給う者は 小に盡くさず 
 二六二八    植は 則ち冷止無意 堅剛竪立の生なり 
 二六二九    動は 則ち溫動有意 柔輭横動の生なり 
 二六三〇    一一を平分す 
 二六三一    予奪は相反す 而して我は則ち有意の境に遊ぶ。
 二六三二    溫動の體                                    (PA 209)
 二六三三    神靈の用 
 二六三四    爲技は以て能く萬物に伸ぶ。
 二六三五    是を以て。上下内外。前後左右。應酬 最も廣し。
 二六三六    天行に暦す 
 二六三七    人事に史す 
 二六三八    守れば 則ち城郭宮室 衣服飮食 法度戒嚴なり 
 二六三九    禦せば 則ち干戈兵革 祈禳鍼藥 關門藩鎮なり 
 二六四〇    惡めば 則ち賊害殺奪なり 
 二六四一    愛せば 則ち予活施譽なり 
 二六四二    海を航り山には棧 す 
 二六四三    土を墾やし海に煮る 
 二六四四    其の事は。則ち數の盡くす所に非ず。
 二六四五    天有れば 則ち天命有り 
 二六四六    神有れば 則ち感應有り 
 二六四七    意匠は終に天人酬醋の事有り 
 二六四八    物有れば 則ち通隔有り 
 二六四九    事有れば 則ち開閉有り 
 二六五〇    意匠は能く信否奉覆の事有り 是を以て。
 二六五一    定常の宅 誠は其の中に旺す 
 二六五二    變化の藪 神は其の中に旺す                        (I 411b)
 二六五三     各各の剖析する所。條理井然たりと雖も。
 二六五四     彼此の交接する所。運爲變錯を致す。
 二六五五     剖析は體性を條理に於て成す 
 二六五六     交接は事物を變錯に於て成す 
 二六五七     藁は本と艸中の一種。
 二六五八     鹽は亦た水中の一味。
 二六五九     水鼠は水蟲。                              (PA 210)
 二六六〇     蛞蝓は陸蟲。
 二六六一     條理は自から其の分有り。而して
 二六六二     水鼠は藁を見れば則ち藁 水鼠に勝りて流る 
 二六六三     蛞蝓は鹽を見れば則ち 爛る 
 二六六四     各性は感應し。雌雄は相い分る。夫れ
 二六六五     物は立ち神は運し。事は會違を有す。
 二六六六~六七  今姑く之を日に言うに。月と會違するに當りては 則ち明晦 事を爲す 
 二六六八                水物は其の事に随いて 以て盛衰を爲す 
 二六六九                地と會違するに當りては 則ち照蔽 事を爲す 
 二六七〇                陸物は其の事に随いて 以て動息を爲す 
 二六七一                氷は以て此に澌く 
 二六七二                水は以て此に涸る 
 二六七三                膏は以て此に融く 
 二六七四                肉は以て此に壊す 
 二六七五     彼此錯雜し。千萬變狀す。是を以て。
 二六七六     人は遇する所の夷険順逆に随いて。
 二六七七     絪縕は以て喜怒憂樂し。千萬の變狀を出だす。是に於て。
 二六七八     酬醋黜陟の間に。
 二六七九     殺活予奪の事有り。是を以て。又。
 二六八〇     雨に遇いて 而して後其の事は雨に接するに千萬なり 
 二六八一     風に遇いて 而して後其の事は風に交わるに千萬なり 是を以て。
 二六八二     物は條理を以て立す 
 二六八三     事は運爲を以て變ず 故に。
 二六八四     事を以て物を觀れば 運爲變錯は 條理整齋の中に在り 
 二六八五     物を以て事を觀れば 條理整齋は 運爲變錯の中に在り 是を以て。
 二六八六     條理整齋の中 亦た自から天地有り
 二六八七     運爲變錯の中 亦た自から天地有り 
 二六八八    一徳は彼此に融す 
 二六八九~九〇 二徳は彼此に通ず 是に於て。爲は則ち一氣の業なり 
 二六九一                  成は則ち大物の功なり 
 二六九二    業立ち功成りて。狀貌没露す。
 二六九三     一分 
 二六九四     一合 
 二六九五     合せざれば則ち分れず 
 二六九六     分れざれば則ち合せず 
 二六九七     侌に非ざれば則ち昜に合すること能わず 而して侌は則ち昜と反す 
 二六九八     地に非ざれば則ち天に合すること能わず 而して地は則ち天と反す 
 二六九九     合する者は則ち一なり 
 二七〇〇     分れる者は則ち二なり 
 二七〇一     分るれば則ち彼此は相い隔つ                         (PA 211)
 二七〇二     二なれば則ち彼此は相い隔つ 
 二七〇三~〇四  蓋し一大全物の中。成具は 則ち竝び立ちて天地を成す 
 二七〇五              萬物は 則ち竝び成りて天地を立す 
 二七〇六              是を以て。成具は 一有を分ちて 彼此を對す        (I 412a)
 二七〇七                   萬物は 一有に資りて 彼此を對す 
 二七〇八     是の故に。剖析の道は。一は一一を剖く。一は能く二に移る。
 二七〇九     一は能く二に移れば。則ち末猶お本のごとし。
 二七一〇     末猶お本のごときを以て。剖析は盡きる所を見ず。是を以て。
 二七一一~一二  體は析して彼此は分る。彼此の體は隔つ 
 二七一三                彼此の氣は反す 
 二七一四                反を以て而して合す 
 二七一五                隔を以て而して通ず 
 二七一六~一七  彼此は相い立す。各おの其の氣を活す。是の故に。
 二七一八     一中に竝び立つ者は。各おの其の氣物を活立す。
 二七一九     偶を得て而して相い合す 
 二七二〇     與を得て   相い伴う 
 二七二一     紛紛擾擾。共に其の間に居行すれば。則ち一の交接せざる無し。
 二七二二     接は客主を有す。 
 二七二三     交は雌雄を有す。 
 二七二四     此に客なる者は 彼に主なり 
 二七二五     此に雄なる者は 彼に雌なり 
 二七二六     本は彼此の體を立す 
 二七二七     神は交接の用を活す 
 二七二八     其の體は則ち物なり 
 二七二九     其の用は則ち事なり 
 二七三〇     各體は各才を運す。
 二七三一     與と偶と。同じく相い交接す。是れ之を事物と謂う。
 二七三二     蓋し。條理は。經緯なり。交接は以て之を織る。
 二七三三     其の物の體を立てて 
 二七三四     事の跡を收める者は 
 二七三五~三七  經緯は相い織りて。狻猊鵷鸞。華卉烟霞。以て錦文を成すなり。
 二七三八     是を以て。物は各自に其の體を立て。
 二七三九~四〇            其の用を行えば。則ち立つ者は相い群る。
 二七四一                         行う者は相い交る。是を以て。
 二七四二     剖析して 而して各氣各物 井然として整齋たり 
 二七四三     交接して 而して各事各物 雜然として文を爲す 
 二七四四     蓋し。各物は各の體性す 
 二七四五~四六     各才は相い發接す 是に於て。米麹の才は酒を醸す 
 二七四七                      金石の才は火を生ず 
 二七四八     水は寒に遇いて 而して氷雪を結ぶ 
 二七四九     燥は熱を鬱して 而して雷霆を激す 是を以て。
 二七五〇     山島湖澤は 水土相い接するよりして成る 
 二七五一     雲煙雨露は 水燥相い交わるよりして起る 
 二七五二     交接すれば。則ち隔通は反合す。                       (PA 212)
 二七五三     感應は以て絪縕す。
 二七五四     動植の成具の中に成る所にして。而して
 二七五五     其の雜糅は。條理の結ぶ所なり。
 二七五六     絪縕の態。時通は塞がる者を率ゆ 
 二七五七          處塞は通ずる者を容る 
 二七五八     地質は止りて而して天氣を轉ず 
 二七五九     天氣は轉じて而して地質を持す 
 二七六〇     火は地の侌澤を噏う 
 二七六一     水は天の昜華を噏う 
 二七六二     牡は能く牝に給す    
 二七六三     子は能く母に資る 
 二七六四     此れは則ち。物の偶を得て而して其の用を行うなり。
 二七六五     金にして人に遇うや 水火の煉淬を歷て 而して木を斫り石を穿つ        (I 412b)
 二七六六     麻にして人に遇うや 績繅の事を歷て  而して人に衣し魚に網す 
 二七六七     此れは則ち。物の與を得て而して其の用を爲すなり 
 二七六八     蓋し其の性の類する者は相い親しむ 狗は人門を守り 鶏は鶩卵に伏す      
 二七六九         性の反する者は相い疏んず 蛞蝓は蛇に伏し 礜石は鼠を殺す 是の故に。
 二七七〇     日月星辰なる者は 物の 各 天に立するなり 
 二七七一     各體各行 循環は期を爲し 會違は時に變ず 
 二七七二     山川水火なる者は 物の 各 地に立するなり 
 二七七三     各體各立 交接は事を爲し 感應は體を運す 
 二七七四~七六  是に於て。亦た絪縕は物を化す。保營は物を護る。故に地日は晝夜を爲す 
 二七七七                              日月は朔望を爲す 
 二七七八     地物は日に交りて 而して肅舒の事有り 
 二七七九     水物は月に交りて 而して盈虚の事有り 
 二七八〇     艸木は日に遇いて 而して華葉子苗を事す 
 二七八一     鳥獸は日に遇いて 而して孳尾氄毛を事す 
 二七八二     故に物は。偶に會えば則ち偶に於て事す 
 二七八三          與に會えば則ち與に於て事す 
 二七八四     其の間に絪縕せざる靡し。
 二七八五     夫れ物は已に 各 其の物を成す。
 二七八六~八七  物 成りて而して此に己すれば。則ち此は主を爲す。
 二七八八                      佗は客を爲す。己れ已に成る有れば。
 二七八九     則ち天地は大と雖も。
 二七九〇       萬物は衆と雖も。己を此に成す有れば。
 二七九一     則ち之を合して己と主客の勢を張るなり。
 二七九二     張れば則ち一彼一此なり。
 二七九三     一彼一此は。分れて其の勢を張ると雖も。而も
 二七九四     彼は則ち大衆なり 
 二七九五     此は則ち小孤なり 
 二七九六~九七  小にして且つ孤なりと雖も。而も衆大に應ずるに乏しからず。          (I 412b)
 二七九八     故に物は他物に遇う毎に。能く其の物と對して。而して感應絪縕す。
 二七九九     其の間に爲す有るなり。是に於て。
 二八〇〇     各物は 各 體性す。各才は感應絪縕す。
 二八〇一     夫れ物は已に 各 其の體を立つ。 各 其の才を發す。
 二八〇二~〇三  反と無く與と無く。偕に能く感應絪縕する者は。
 二八〇四     同じく一に於て有せらるるを以てなり。
 二八〇五     知は通ずれば則ち感應す。
 二八〇六     氣は同異を等くす。
 二八〇七     才は能拙を區にす。
 二八〇八     雌雄の向背。交接は益ます廣し。
 二八〇九     其の事は 益 無窮なり。條理の正を著にせず。
 二八一〇     錦文は狻猊鵷鸞。華卉煙霞に絢爛として。而して
 二八一一     經緯の巧。其の中に隠隠たるに等しきなり。
 二八一二     姑く之を人に移すに。己れ已に此の天地を成すに。
 二八一三     大物の洪曠。
 二八一四     萬物の紛擾。
 二八一五     佗を己に爲して。而して己と二を爲すなり。
 二八一六     大物よりすれば。則ち動植は天地の中に竝立す。                (I 413a)
 二八一七     植は本氣に資る 而して體に立する者多し 
 二八一八     動は神氣に資る 而して氣に立する者多し 
 二八一九     人なる者は。動中の一物なり。
 二八二〇     意爲の巧を以て。天地の情を髣髴に觀る。故に。
 二八二一     其の物を二にして 人物と曰う 
 二八二二     其の氣を二にして 天人と曰う 
 二八二三     是に於て。己能く物と勢を張る。
 二八二四     我と勢を張る者を取りて。
 二八二五     以て己の用と爲す。則ち
 二八二六     物を皆な己の有と爲す。故に。
 二八二七     日月星辰を暦象す 
 二八二八     山原河海を疆域す 
 二八二九~三〇  死生通塞に資り 而して殺活予奪に施す 
 二八三一~三二  保營奉役に資り 而して服食使令を設く 
 二八三三     天は則ち爲の痕を露せず 
 二八三四     人は則ち諸を心思に運す 諸を言行に施す 
 二八三五     故に袞袞の通に値えば 則ち漏を置き表を立つ 
 二八三六       坱坱の塞に値えば 則ち方を建て位を定む 
 二八三七     理を觀て道を建つ 
 二八三八     居に由り徳を成す 
 二八三九     榮茂に時なって耕耘正し 
 二八四〇     方穎を相して收穫を爲す 
 二八四一     土石の結を察し 造化を竊んで陶瓦を造る                    (PA 214)
 二八四二     滋味の成を考え 絪縕を假りて酒醴を醸す 
 二八四三     是を以て。其の遇する所は。遠ければ則ち水火動植なり。
 二八四四                  近ければ則ち君臣父子なり。
 二八四五     勢力を轉じて 而して權柄を爲す 
 二八四六     知通を修めて 而して禮教を爲す 
 二八四七     各各は本と隔體なり。
 二八四八     隔體は本と一有なり。
 二八四九     隔たれば則ち通ぜず 
 二八五〇     一なれば則ち隔てず 是を以て。
 二八五一     通ずれば則ち天地は一を爲す 
 二八五二     隔たれば則ち目は背を視ず 
 二八五三     隔は本と粲立の狀なり 
 二八五四     一は是れ混成の體なり 
 二八五五     人は人の地に偏立して。
 二八五六     意爲の能を以て。
 二八五七     意爲の祟を受く。
 二八五八     隔たれば則ち通ぜず 
 二八五九     合すれば則ち相い淆る 是を以て。
 二八六〇     體は通じて天地と一に融す 
 二八六一     執は隔ちて天地と間を爲す 
 二八六二     之を心思に旋せば 則ち悟惑す 
 二八六三~六四  之を設施に旋せば 則ち慕斁す 是を以て。物は條理に随いて分る 
 二八六五                         事は交接を以って合す 
 二八六六     偶を以て合する者は 其の素より合する者を合す 
 二八六七     與を以て合する者は 其の素より分るる者を合す 
 二八六八     故に錯雜變化す。事は物より多し。
 二八六九     與と雖も而も相い合すれば。則ち彼此の體性は。感應絪縕す。
 二八七〇     猶お天地の感應絪縕に反合するがごとし。                (PA 215, I 413b)
 二八七四          天命
 二八七五    運爲の狀は 廼ち一氣の業なり 
 二八七六    幹立の貌は 廼ち大物の功なり 
 二八七七    體なる者は 二を成する者にして 條理整齋す 
 二八七八    性なる者は 一を成する者にして 通隔紛雜す 
 二八七九    紛雜を以て 而して條理整齋の體を隠す 
 二八八〇    整齋を以て 而して通隔紛雜の用を見す 是を以て。
 二八八一    神は經に爲し 變化は此に路を假る 
 二八八二    天は緯に成り 定常は此に宅を占む 
 二八八三    爲中は 則ち機發變化し 跡收定常す 
 二八八四    成中は 則ち物露立體し 物没成貌す 
 二八八五    體貌成立 以て天を觀る 
 二八八六    變化定常 以て命を立つ 故に
 二八八七    天命なる者は。一氣の所業なり 
 二八八八           大物の成功なり 是の故に。
 二八八九    氣物は成りて而して天地は立す 
 二八九〇~九一 一一は立ちて而して侌昜は成る 是に於て。天は其の動を定む 而して運轉環守す   (PA 221)
 二八九二                        地は其の靜を定む 而して虚實覆載す 
 二八九三    侌昜は物を成し 日月水火し 文章絪縕し 動植は其の間に成り 天の物を立つるなり 
 二八九四    經緯は分れて而して往來 成る 
 二八九五~九六 各各は運して而して當遇 定る 經は其の行を變ず 而して往來生化す 
 二八九七                   緯は其の居を變ず 而して將迎會違す 
 二八九八    各各は當遇し  消長失得し 神靈活運し 體跡は其の間に定り 命の跡を收むるなり 
 二八九九    是を以て天命の成る所。各各竝び立つ。氣物相い交る。
 二九〇〇    之を分てば。則ち氣物相い交る 廼ち其の事なり 
 二九〇一            性才相い運ぶ 廼ち其の態なり 
 二九〇二    神爲の機を將來に於て變化する者は 廼ち其の狀なり 
 二九〇三    天成の跡を既往に於て定止する者は 廼ち其の貌なり 是を以て。
 二九〇四    狀は變化測る無しと雖も。終に貌の本然に立つ。
 二九〇五    本然は則ち一有の徳なり。能く自と使との然を有す。故に             (PA 222)
 二九〇六~〇七 物は其の體に非ざる莫し。而して其の體は 天地に塞りて 天地に盡きず 
 二九〇八                        往來に通じて 往來に盡きず 
 二九〇九                        目に充ちて 而して視る可からず 
 二九一〇                        耳に盈ちて 而して聽く可からず 
 二九一一                        之を無測に變ずるも 亦た此の如し 
 二九一二                        之を不揜に定むるも 亦た此の如し 
 二九一三    此の如きにして而して後。物體 立つ。
 二九一四    蓋し往來なる者は。當遇の成る所なり。
 二九一五             命の立つ所なり。
 二九一六    命中。之を分てば。當は則ち天なり                        (I 414a)
 二九一七             遇は則ち命なり 
 二九一八     機は來りて窮まらず 
 二九一九     跡は定りて揜われず 
 二九二〇~二一  各神各體は。往來交接し。向背會違す。常變は一ならず。是の故に。
 二九二二     時處は通塞す。
 二九二三     運轉は升降す。
 二九二四     反偶の絪縕と 
 二九二五     與偶の感應とは 
 二九二六     往來せざる者有ること莫し。
 二九二七     往けば則ち必ず遇う 
 二九二八     來れば則ち必ず當る 
 二九二九     當れば則ち天なり 
 二九三〇     遇えば則ち地なり 
 二九三一     天當は避く可からず     故に天の名有り 
 二九三二     地遇は從いて受けざるを獲ず 故に命の名有り 蓋し
 二九三三     處する者は 地なり 
 二九三四     來たる者は 時なり 
 二九三五     來たる者は 去る 
 二九三六     處する者は 往く 
 二九三七     來れば則ち當る 
 二九三八     往けば則ち遇う 故に。
 二九三九     來當は時なり 成るに就きて天と爲す 
 二九四〇     處遇は地なり 受るに由りて命と爲す 
 二九四一     成る者は 天なり 
 二九四二     處する者は地なり 故に
 二九四三     成と處は亦た天と地なり 故に。
 二九四四     日月旋轉する者は 成中に爲を有すなり 
 二九四五     晝夜冬夏する者は 爲中に成を有すなり 故に。
 二九四六     殺活予奪は 人の爲なり 
 二九四七     死生窮達は 天の成なり 是に於て。
 二九四八~四九  天命の當遇は。天人一なり。往きて遇う                  (PA 223) 
 二九五〇~五二               來りて當る 神靈の用 見わる。生化天命の事を成す。
 二九五三     生化は 往來なり 神の運用する所は 機す 跡す 
 二九五四     天命は 當遇なり 天の成立する所は 通す 塞す 
 二九五五     之を合して罅縫無し 
 二九五六     之を分ちて條理有り 
 二九五七~五八  條理有るを以て。其の本は。體なり 性なり 
 二九五九                  氣なり 物なり 是に於て。
 二九六〇     各物は各の體性す 
 二九六一     各氣は相い發接す 是に於て。
 二九六二     氣は事を爲す 
 二九六三     物は物を爲す 
 二九六四     事に往來有り 
 二九六五     物に天命有り 
 二九六六    當に順逆有り 
 二九六七    遇に會違有り 
 二九六八     神は往來を爲す 
 二九六九     天は當遇に成る 
 二九七〇     往けば則ち遇う 
 二九七一     來れば則ち當る 然りと雖も。
 二九七二     往來は當遇と同じからざるなり。蓋し
 二九七三     萬の事物は。 神爲に非ざる莫し。
 二九七四     神の爲す所は。天收に非ざる莫し。
 二九七五     言の人事に於ける。越人の胡に之き。胡人の越に之くが如し。           (I 414b)
 二九七六     蓋し其の之くや。各神の爲なり。
 二九七七     而して其の會違は則ち神爲に非ざるなり。是を以て。
 二九七八     一なる者は精なり。而して其の神は未だ窺う可からざるなり。
 二九七九     一一は剖對す。各神は各おの相い用す。是の故に。
 二九八〇     氣は轉じ象は運す 而して東西南北を成す 
 二九八一     日は動き影は追う 而して晝夜冬夏を成す 
 二九八二     東西は日月を得て 而して歳月を成す 
 二九八三     拗突は水燥を得て 而して水陸を成す 
 二九八四     氣象は上に鼓す 
 二九八五     氣質は下に應ず 
 二九八六     而して動植の榮枯啓蟄は。其の中に成る。
 二九八七     故に人は。善惡に悦怨を成す 
 二九八八          是非に榮辱を成す 是の故に。
 二九八九     活運變化は。其の績に非ざる者無しと雖も。而も
 二九九〇     其の功を成す者に至りては。則ち神は與らざるなり。
 二九九一     大なる哉。天の道爲るは。
 二九九二     神は變化の玅を盡くして。而して其の功を收む。
 二九九三     無爲にして成る。氣も亦た天中に居る。
 二九九四     且つ人は一小氣物を以て。                           (PA 224)
 二九九五         精大天地に臨む。
 二九九六     動輒すれば神爲の玅に眩む 
 二九九七          天成の誠に矒し 
 二九九八    神は往來す 而して
 二九九九    天は當遇す 
 三〇〇〇    往來せざれば。則ち當遇する所無しと雖も。
 三〇〇一    其の天成は。神爲與らず。
 三〇〇二~〇三 神爲與らずして。而して氣も亦た天中に居るを觀る。
 三〇〇四    當遇は痕を著して。天も亦た神と伍を爲すを觀る。
 三〇〇五    天は神と伍を爲して。而して氣用の行わるるを觀る。蓋し
 三〇〇六    人の境を開くや。意を執りて作を事とす。
 三〇〇七    其の氣を爲すや麁なり 
 三〇〇八    其の物を爲すや小なり 
 三〇〇九    麁小を執りて 
 三〇一〇    精大を窺い 
 三〇一一    己に有するの爲技を以て 
 三〇一二    我に非ざるの天命を弄す 
 三〇一三    頑嚚は祟を爲す者多し。故に。
 三〇一四    物體は立ち 事狀は定る 
 三〇一五    往來は爲し 當遇は成る 
 三〇一六    能く此に達せずんば。天地に肖ずと言わんも。可なり。           (PA 225, I 415a)


 三〇二三        玄語

                 日本 鎮西 三浦晉 安貞 著

 三〇二四        天冊  立部本神

 三〇二五        本神 精奉じ氣保して之を成す    並びに圖

 三〇二六        鬼神 性通じ情感じて之を成す    並びに圖

 三〇二七        體用 體立ち性具して之を成す    並びに圖

 三〇二八        造化 氣營し物養して之を成す    並びに圖




 三〇二九    玄語
 三〇三〇      日本 鎮西 三浦晉 安貞 著
 三〇三一     天冊  立部本神
 三〇三二      本神     本
 三〇三三    鬱浡は混淪を以てせざれば 則ち歸する所靡し 
 三〇三四    混淪は鬱浡を以てせざれば 則ち運する所靡し 
 三〇三五    以てせざれば則ち成る所莫きは 則ち一なり 
 三〇三六    之を以てすれば則ち歸運するは 則ち二なり 
 三〇三七    一なれば則ち恃む可きの佗無し 故に其の然る者は自なり 
 三〇三八    二なれば則ち待つ所の一有り  故に其の然る者は使なり 
 三〇三九    是を以て。二なれば則ち 鬱浡は能く活し  混淪は能く立す 
 三〇四〇         一なるを以て 鬱浡は混淪を活し 混淪は鬱浡を立す 
 三〇四一    鬱浡は氣なりと雖も 物は之を吐せず                     (PA 239)
 三〇四二    混淪は物なりと雖も 氣は能く之を食す 故に
 三〇四三    鬱浡も亦た之を有するの天有り  
 三〇四四    混淪も亦た之を容るるの地有り 故に 
 三〇四五    混淪は之を開けば 則天則地 
 三〇四六    鬱浡は之を開けば 則神則天 
 三〇四七    天は則ち没して而して通塞す                         (I 415b)
 三〇四八    地は則ち露して而して覆載す 
 三〇四九    神は則ち麁にして而して活立す 
 三〇五〇    天は則ち精にして而して有開す 
 三〇五一    有せざる所莫し 開かざる所莫し 是を以て 天貌は此の如し 
 三〇五二    活せざる所莫し 立せざる所莫し 是を以て 地體は此の如し 
 三〇五二1復  故に物の立する所は則ち神 是を以て 神は爲せざる所莫し 
 三〇五二2復    神の活する所は則ち天 是を以て   有せざる所莫し    (天はを欠くか。)
 三〇五三    立するや則ち天も亦た地なり 
 三〇五四    活するや則ち地も亦た天なり 
 三〇五五~五六 合處は罅縫を没す 故に天は精没して其の神を有す 
 三〇五七               地は麁露して其の天を開く 
 三〇五八~五九 分處は條理を見す 故に天は其の徳を有開す 
 三〇六〇               神は其の道に爲成す 
 三〇六一    天中は神を物にす 
 三〇六二    物中は神を氣にす 
 三〇六三    物中 神を氣にする者は 本神の活立なり                   (PA 240)
 三〇六四    天中 神を物にする者は 天神の爲成なり 
 三〇六五    地も亦た天なれば 則ち神神卽一なり 
 三〇六六    天も亦た地なれば 則ち天なる者は卽ち本なり 
 三〇六七~六八  本と一なり 故に宇宙も亦た天地 
 三〇六九             本神も亦た天神 
 三〇七〇~七一  能く二なり 故に宇宙轉持 
 三〇七二             天地水火 
 三〇七三             天神道徳 
 三〇七四             本神體用 
 三〇七五~七六  剖析盡きず。物にして條理整齋す 
 三〇七七           事にして交接錯雜す 故に
 三〇七八~七九  一天一地。天は神を有す 
 三〇八〇          地は天を開く 
 三〇八一          之を有し之を開く 
 三〇八二          之を活し之を立す 是に於て。
 三〇八三     天神は本神を歧す 
 三〇八四     天地は宇宙を歧す 
 三〇八五     天は氣にして而して神物を有開す 
 三〇八六     地は物にして而して神物を活立す 故に
 三〇八七     本は立ち神は活すよりすれば 則ち物は物にして而して神は氣なり 
 三〇八八     天は有し神は開くよりすれば 則ち天は氣にして而して神は物なり 
 三〇八九     神を物にするの天は 精にして有せざる所莫し 
 三〇九〇     精と雖も已に有せざる所莫ければ 則ち天も亦た地に於る地なり 
 三〇九一     神を氣にするの本は 麁にして立せざる所莫し 
 三〇九二     麁と雖も已に立せざる所莫ければ 則ち本も亦た神に於る神なり 是に於てか。
 三〇九三     一卽一一 
 三〇九四     一一卽一 
 三〇九五     天は有せざる所莫し 
 三〇九六     神は露せざる所莫し 
 三〇九七~九八 故に天は神本を有す。活を開き立を開く。其の體は則ち一一なり 
 三〇九九                       其の性は則ち分合なり 故に
 三一〇〇    大物は一を全す 故に活立は自ずから成る 
 三一〇一~〇二 侌昜は二を立す 故に活立せしむるを爲す 是を以て混淪は能く立す 
 三一〇三                            鬱浡は能く活す 
 三一〇四                            大は能く小を含む 
 三一〇五                            小は能く大に資る 故に    (PA 241)
 三一〇六    小物と雖も。已に其の一を成せば。則ち鬱浡混淪。資りて己の有と爲す。      (I 416a)
 三一〇七    一の二を分つ 反を以て偶と爲す 
 三一〇八~〇九 小の大に資る 應を以て己を成す 故に己に有す者は 天より資る者なり 
 三一一〇                      己に在る者は 天に反する者なり 
 三一一一    本氣は混淪の物を立す 
 三一一二    神氣は鬱浡の活を運す 
 三一一三    本氣は。天地侌昜を以て體と爲す 之を天に奉じ 之を己に保する者は 其の性なり 
 三一一四        絪縕給資を以て用と爲す 之を己に知り 之を佗に運する者は 其の才なり 
 三一一五    一體一性。體は用を具す 
 三一一六         性は才を活す 故に
 三一一七    本氣の立は。能く其の神を奉ず 
 三一一八          能く其の物を立す 
 三一二一    活すれば則ち爲す 
 三一二二~二四 成すれば則ち立す 蓋し其の立するや。内は能く持を有す 
 三一二五                      外は能く保を有す 
 三一二六    保なる者は 天の用なり 
 三一二七    持なる者は 地の用なり 
 三一二八    外より保すれば  則ち内より護す 
 三一二九    外に於て持すれば 則ち内に於て守す 
 三一三〇    成る所に保護持守するは。則ち天と萬物と同じ。故に。
 三一三一    大物は 則ち天轉は外より地を保す                      (PA 242)
 三一三二          地持は内より天を護す   (護に營と傍記あり。) 
 三一三三          地止は内に於て守す 
 三一三四          天容は外に於て持す 
 三一三五    人は  則ち氣は外より身を保つ 
 三一三六          質は内より外を持す    (持に營と傍記あり。) 
 三一三七          精は内に於て守す 
 三一三八          皮は外に於て持す 
 三一三九    營なる者は 天に絪縕し  人に運爲す 
 三一四〇    養なる者は 天に相い給し 人に飮食す 
 三一四一    氣は保すれば 則ち營養に用有り 
 三一四二    精は奉ずれば 則ち知感に運有り 
 三一四三    混淪の體は 其の神を運せずんば 體具して用せず  偶人の機關を失するが若し 
 三一四四    鬱浡の神は 其の物を體せずんば 氣動きて託す無し 大虚の風飆を起こすが若し 
 三一四五    保營なる者は 氣の物を守るなり 
 三一四六    奉運なる者は 物の氣を出すなり 
 三一四七    奉ずる者は 一精一力なり 精は奉ずる有り 力は役する有り 
 三一四八    運する者は 一神一靈なり 靈は知る有り  神は通ずる有り 
 三一四九    臣は以て君を奉ず。其の奉ずる者は外 以て保する有り。
 三一五〇                    内 以て護する有り。
 三一五一~五三 之を持し。之を守す。是に於て其の君なる者は。外は藩屏の保有り。      (I 416b)
 三一五四                          内は傅保の教有り。
 三一五五                          鎮重は以て之を持す。
 三一五六                          法度は以て之を守る。故に
 三一五七    君の明は。蔽う所無く。其の聡は塞ぐ所無し。
 三一五八    君民一體。士は事に勤む。
 三一五九         農は耕に力す。
 三一六〇         工は職に走る。
 三一六一         商は交に走る。
 三一六二         此れ之に給す。
 三一六三         彼れ之に資る。則ち其の養なり。
 三一六四         意は以て思う。
 三一六五         技は以て爲す。則ち  營なり。       (其のを欠くか。)
 三一六六     人事の然る所は。廼ち天の給する所なり。
 三一六七     應ずる所有るに慣れて。資る所を探らざるは。                (PA 243)
 三一六八     流れを渉りて原を知らざるが若きなり。
 三一六九     既已に其の資る所を得る。
 三一七〇     此に君民と言うは。其の一端を擧ぐるのみ。
 三一七一    夫れ混淪は實體を以て立す 
 三一七二    之に幹する者は 其の實體の立を營して 而して以て經に行く 
 三一七三    鬱浡は精氣を以て活す 
 三一七四    之を運する者は 其の鬱浡の活を運して 而して以て緯に立つ 
 三一七五    之を保し之を奉ず 
 三一七六    之を營し之を養す 
 三一七七     地なる者は侌結なり 
 三一七八~七九  日なる者は昜聚なり 是を以て。地は 昜を天より噏いて 而して地に噴く 
 三一八〇                    天は 侌を地より噏いて 而して天に噴く 
 三一八一     是を以て。景なる者は 日の侌の氣を噴く所なり 
 三一八二          水なる者は 地の昜の質を噴く所なり 
 三一八三     是を以て。水は燥中に生ず 
 三一八四          火は水中に生ず 
 三一八五     火は噏えば則ち湿を生ず 
 三一八六~八七  水は噏えば則ち乾を成す 是の故に日は近づけば 則ち雨澤浮潤す 
 三一八八                     日は遠ざかれば則ち水液枯涸す 
 三一八九     是を以て。水を以て火に灌げば 則ち火は水を噏う 
 三一九〇          火を以て水を煮れば 則ち水は火を噏う 
 三一九一     水の火を噏うや 其の可に適えば 則ち其の體を養う 
 三一九二             其の量を過れば 則ち其の體を失う 
 三一九三     火の水を噏うや 其の可に適えば 則ち其の體を養う 
 三一九四             其の量を過れば 則ち其の體を失う 
 三一九五     火山熱池 雨を得て燃ゆ 
 三一九六     炭火油燈 水を含みて存す 
 三一九七     給資は以て相い養うなり。
 三一九八     是を以て。動植は同じく保營を有するなり 而して
 三一九九     動は則ち牡に發して 而して牝に收む 
 三二〇〇     植は則ち華に發して 而して實に收む 
 三二〇一     絪縕の營は。進む者は生ず 
 三二〇二           去る者は化す 
 三二〇三     天地は給資す 
 三二〇四     侌昜は絪縕す 
 三二〇五     本は能く其の體を保す 
 三二〇六     神は能く其の氣を運す 
 三二〇七    保は以て之を洪曠に立つ                           (PA 244)
 三二〇八    奉は以て之を悠久に行う
 三二〇九    之を保し之を奉ずる者は。精なり。                      (I 417a)
 三二一〇    精なる者は。物中に隠るる者なり。氣物は已に立つ。而して
 三二一一    其の神を奉じて 之を知運せ使む 
 三二一二    其の物を保して 之が性體を成す 
 三二一三    一なるや以て之を奉ず 
 三二一四    二なるや以て相い役す 
 三二一五    經を行く 
 三二一六    緯に立つ 
 三二一七    動靜通塞す 
 三二一八    絪縕給資す 
 三二一九    一の爲に其の才力を伸ばして役を執るに非ざる莫し。而して
 三二二〇    其の權は全く精に在り。蓋し
 三二二一    一なる者は自から成る 
 三二二二    散ずる者は依りて成る 故に
 三二二三    混淪の體 
 三二二四    鬱浡の神 
 三二二五    洪曠に窕せず 
 三二二六    悠久に疲れず 
 三二二七    轉換の體 
 三二二八    倏忽の神 
 三二二九    小天地に畫す 
 三二三〇    小天地に盲す 
 三二三一    小と雖も 而も鱗比は断たず 
 三二三二~三三 小と雖も 而も天地を悉く具す 則ち神は洪曠に通ずる 
 三二三四                     體は悠久に傳わる 
 三二三五                     給する者は閟さず 
 三二三六                     資る者は何ぞ盡さん 
 三二三七    精は立ちて而して力は役す。外は保して内は持す。
 三二三八    絪縕給資して。萬物は竝び出づ 
 三二三九           萬事は竝び起る 
 三二四〇           起る者は斯の中に居る 
 三二四一           出る者は斯の中に隠る 
 三二四二    物は大なりと雖も 而も之が爲に保せられて立す                 (PA 245)
 三二四三    神は玅なりと雖も 而も之が爲に奉ぜられて活す 且つ
 三二四四~四五 我の資る所を以て之を言わんか。夫れ意なる者は 我の神の活なり 
 三二四六                     身なる者は 我の體の立なり 
 三二四七    精は其の間に隠る 
 三二四八    華は其の表に見る 
 三二四九    保持は以て我の生を保つ 
 三二五〇    給資は以て我の生を養う 
 三二五一    奉運は以て我の物を成す 
 三二五二    絪縕は以て我の後を繼ぐ 
 三二五三    物を保ちて其の神を奉ず 
 三二五四    神を運びて其の物を役す 
 三二五五    心は此の權を以て肢體を役す 
 三二五六    身は此の力を以て肢體を保つ 
 三二五七    國家の君を奉じ 
 三二五八    君上の下を役する 
 三二五九~六一 善觀すれば。則ち精麁は本と一なり 
 三二六二     氣物は體用を爲す 
 三二六三     性體は性才を爲す 
 三二六四     氣の用は廼ち天なり 
 三二六五     物の體は廼ち物なり 
 三二六六     性 之に體する者は廼ち精なり 
 三二六七     性 之を運する者は廼ち神なり 
 三二六八~六九  天物精神は。本根精英に於て合す。故に本は氣なり 
 三二七〇                       根は物なり 
 三二七一     乃ち天地なり。天地の外。豈に佗有らんや。
 三二七二     隠れて之に體する者は 廼ち精なり 
 三二七三~七四  見れて此に出づる者は 廼ち華なり 故に見露は華に非ざる莫し 
 三二七五                        隠没は精に非ざる莫し 
 三二七六     精に非ざれば則ち神は依る所莫し 
 三二七七     神に非ざれば則ち精は奉ずる所莫し 
 三二七八     蓋し夫れ。一なる者は外無し 
 三二七九          散ずる者は外有り                         (PA 246)
 三二八〇          外無き者は自立す 
 三二八一          外有る者は竝立す 
 三二八二          自立する者は 自ら能く保營奉運す                 (I 417b)
 三二八三          竝立する者は 能く相い保營奉運す 是を以て。
 三二八四     保營奉運する者は同じく有して。而して自と相と則ち相い隔つ。
 三二八五     之を火に移して之を言わんか。夫れ一点の燈火は。
 三二八六     篭は以て之を保す 臺は以て之を持す 
 三二八七     神は以て之を營す 膏は以て之を養す 
 三二八八     其の知ること無きや 乾を擇んで之に就く 
 三二八九               湿を擇んで之を避く 
 三二九〇     其の運する所無きや 明を燃に運す 
 三二九一               熱を燒に運す 是を以て。
 三二九二~九三  近くは則ち葛裘飮食 遠くは則ち宮牆器貨 以て己を保營するを爲すなり 
 三二九四~九五  近くは則ち思惟營作 遠くは則ち使令習學 以て己を奉運するを爲すなり 是を以て。
 三二九六     内は保營奉運を用すれば 則ち
 三二九七~九八  外も亦た保營奉運を有す 故に知は天下の故に通ず 
 三二九九                   力は天下の物を役す
 三三〇〇     之を天地に背ける有らば。則ち天地に業を拡め。
 三三〇一     世を無窮に傅えんも。天地は奚んぞ之を拒まん。
 三三〇二     給う所を知り 而も資る所を觀るに 本は猶お末の如きなり 
 三三〇三     資る所を觀て 而も給う所を察すに 末は猶お本の如きなり 
 三三〇四     本末は共に同じ。自相何ぞ隔てん。
 三三〇五     是を以て。象質なる者は 發收の物なり 
 三三〇六          嘑噏なる者は 發收の氣なり 
 三三〇七     之を保する者は精力なり 
 三三〇八     之を運する者は神靈なり 
 三三〇九     靈は知り神は通ず 
 三三一〇     精は奉じ力は役す 
 三三一一     天象は滾滾として運轉す 
 三三一二     地質は擾擾として往來す 
 三三一三     運轉する者は 其の定期を知る 
 三三一四     往來する者は 其の變化に通ず 
 三三一五     芸芸たり 
 三三一六     擾擾たり 
 三三一七     各 氣物の相い立するは。
 三三一八     各 神靈の之を運するに非ざる莫きなり。                (PA 247)
 三三二六        鬼神  神
 三三二七    性は剖して而して體は二なり 
 三三二八    體は合して而して性は一なり 是を以て。
 三三二九    一能一一  
 三三三〇    一一能一 
 三三三一    二は反して一に合す 
 三三三二    一は移りて二に居る 夫れ
 三三三三    物は能く神を奉ず 
 三三三四    神は能く物を役す 
 三三三五    物を役する者は 活して運す 
 三三三六    神を奉ずる者は 保して持す 
 三三三七    是の故に。神の玅は。感通に在り。蓋し
 三三三八    一は二なれば則ち體を分ちて竝び立つ 
 三三三九    二は一なれば則ち性を反して一に歸す 
 三三四〇    若し感通の運無くんば 孰れか歸一の痕を見さん                  (I 418a)
 三三四一    若し竝立の體無くんば 孰れか條理の分を認めん 
 三三四二    竝び立ちて體は相い隔つ 
 三三四三    相い交りて性は相い通ず 
 三三四四    通ずれば則ち知る。
 三三四五    知れば則ち感ず。
 三三四六    感ずれば則ち欲す。
 三三四七    通は則ち性 
 三三四八~四九 感は則ち情 然り而して通は知に偶して 神靈の別有り 
 三三五〇               感は欲に偶して 情欲の分有り 
 三三五一    通は蔽を待たざる能わず                             (PA 265)
 三三五二    知は冥に因らざる能わず 
 三三五三    感は應無きこと能わず 
 三三五四    欲は惡無きこと能わず 
 三三五五    神靈情欲は相い得て。而して其の活する者は始めて運す。夫れ
 三三五六    性は其の一を全すれば 則ち其の才は二なること能わず 
 三三五七    體は其の二を立すれば 則ち其の才は一なること能わず 
 三三五八    二なること能わざるを以て 物に遇いて而して通ぜざる所莫し 
 三三五九    一なること能わざるを以て 物を剖きて而して隔てざる所莫し 
 三三六〇    通じて運す 乃ち神の活なり 
 三三六一    隔てて立す 乃ち物の立なり 
 三三六二    一能一一 一は移りて二に居れば 則ち其の散ずる所盡きず 
 三三六三    一と不盡と 物の立つ所は 乃ち神の活する所なり 
 三三六四    一一卽一 二は反して一に合せば 則ち其の合する者態を變ず 
 三三六五    變態合一  異の立つ所は 乃ち一の居する所なり 故に
 三三六六    自から成る者も 亦た立ちて運する有り 
 三三六七    依りて成る者も 亦た立ちて運する有り 
 三三六八    活立は在らざる所無しと雖も。其の態は則ち處に随いて異なり。故に        (PA 266)
 三三六九~七〇 神は活し物は立す 宙は通じ宇は塞す 
 三三七一~七二 神は爲し天は成る 天は動き地は止る 
 三三七三    水火の發收より 
 三三七四    冬夏の嘑噏 
 三三七五    一氣の絪縕 
 三三七六    小物の生化 微秒倏忽に至りて。活立を遺さず。
 三三七七~七八 故に一の通ずる所よりして之を觀れば。則ち神運卽本立 
 三三七九                        本立卽神運なり 然り而して
 三三八〇    物を立る者は精なり 能く物中に隠る 
 三三八一    氣を運ぶ者は神なり 能く物表に見る 夫れ
 三三八二~八三 神なる者は 爲を以て道と爲す 天なる者は 有するを以て徳と爲す 
 三三八四~八五 天なる者は 成を以て道と爲す 神なる者は 活するを以て徳と爲す 故に
 三三八六    天は成りて揜わず 
 三三八七    神は爲して測らず 
 三三八八    揜われざる者は定常の地なり 
 三三八九    測られざる者は變化の氣なり 是に於てか。                   (PA 267)
 三三九〇    神は物に玅なり 
 三三九一    物は神に誠なり 是を以て。
 三三九二    神なる者は物の主 誠を以て範を爲す 
 三三九三    物なる者は神の器 活を以て立を爲す 是を以て。
 三三九四    通動は本氣に活す 
 三三九五    感通は神氣に活す 
 三三九六    神なる者は物を没す 
 三三九七    物なる者は物を露す 
 三三九八    各各物を立て。氣物交接す。                          (PA 267)
 三三九九    通蔽知冥は 才の巧拙なり 自立に由りて而して此の運有り 
 三四〇〇    感應好惡は 情の酬醋なり 佗に交わるよりして此の運有り 蓋し
 三四〇一    經は能く剖析す 
 三四〇二    緯は能く對待す 
 三四〇三    剖析は變化を盡す 
 三四〇四    對待は氣物を反す 是を以て。
 三四〇五    相い通蔽するは則ち性の才なり 
 三四〇六    相い知冥するは則ち性の靈なり 
 三四〇七    感應好惡の酬醋は。則ち情の運態なり。
 三四〇八    大物は此の神靈情欲を有す 
 三四〇九    小物は意智情欲を有す 
 三四一〇     物に資りて身と爲す 
 三四一一     神に資りて心と爲す 
 三四一二     人の境の開く所なり。故に
 三四一三     天人の性情は。其の態を反す 
 三四一四            其の聲を同す 
 三四一五     聲なる者は 人の作る所なり 而して
 三四一六     主なる者は 天の成る所なり 
 三四一七     故に聲の同と異は。天與らず。
 三四一八     故に神靈情欲。我に於て意智情欲を爲す。
 三四一九     性の一なるを以て 而して能く通じ能く知る 
 三四二〇     體の隔たるを以て 而して能く蔽い能く冥し 
 三四二一     天地 通蔽せざれば 則ち人は蔽悟を何に於てか資らん 
 三四二二     天地 知冥せざれば 則ち人は智愚を何に於てか資らん 
 三四二三     感應好惡は同じく然り。
 三四二四     物を異にするを以て 而して意の有無を反す 
 三四二五     性を一にするを以て 而して氣の感通を同す 
 三四二六    蓋し物の異は 反より異なるは莫し                       (PA 268)
 三四二七      物の一は 合より一なるは莫し 故に
 三四二八    其の至って合する者は 
 三四二九    便ち至って反する者なり 
 三四三〇    體を反して能く相い隔つ 
 三四三一    氣を合して能く相い通ず 是に於てか。
 三四三二    隔てざるの物莫し 
 三四三三    通ぜざるの才莫し 
 三四三四    其の才も亦た之を謂いて神と爲す 
 三四三五    蓋し神の通は 其の靈とする處を能く知る 
 三四三六    通ぜざる所莫しと雖も 
 三四三七    知らざる所莫しと雖も 而も體に於て剖きて見れば 則ち
 三四三八    蔽を以て而して偶せざる能わず 
 三四三九    冥を以て而して偶せざる能わず 一有の中 此の如く相い反す 
 三四四〇    二ならざるの體莫し 
 三四四一    一ならざるの性莫し 
 三四四二    蓋し情の感は 其の親とする處を求むる有り 
 三四四三    分れざる所無きと雖も 
 三四四四    反せざる所無きと雖も 而も性に於て合して見れば 則ち
 三四四五    感に於て應ぜざること能わず 
 三四四六    求に於て惡まざること能わず 對待の間 此の如く酬醋す 
 三四四七    夫れ人は。眇たる一氣物。
 三四四八    大物の給する所に資る 
 三四四九    與物の依る所に立つ 
 三四五〇    體は歧然を以て 彼の混淪に換う                      (PA 269, I 419a)
 三四五一      耿耿を以て 彼の鬱浡に擬す 
 三四五二    天に反して而して後。以て人を得る。
 三四五三    既に能く天に反す。
 三四五四    是に於て天に合す。
 三四五五    故に天は無意の神靈情欲を以て給す 
 三四五六      人は有意の意智情欲を以て資る 
 三四五七    有意を無意に於て反して。而して彼此の神物。一有の中に活立す。
 三四五八    反する者 能く合すれば 則ち人は天に通ず可し 
 三四五九    合する者 能く反すれば 則ち天も亦た人に冥たり 且つ
 三四六〇    感應なる者は。各氣の酬醋なり。
 三四六一    欲惡なる者は。感應の知辨なり。
 三四六二    人に有る者を以て 天に無きと爲す者は 則ち一有の徳を知らざるなり 
 三四六三    己に有る者を以て 人に同じと爲す者は 相い反すの道を知らざるなり 
 三四六四     夫れ二は反して一に合す。合すれば則ち相い通ず。
 三四六五     之を小物に移して之を言わんか。
 三四六六     水を以て炭に灌ぐに 炭は能く水を噏う 
 三四六七     火を以て水を煮るに 水は能く火を噏う 
 三四六八     其の相い噏うや。相い入るなり。
 三四六九     其の相い入るや。反の合する所なり。
 三四七〇     反して隔たる者は。通じて知る。
 三四七一     通は則ち二の一なり 
 三四七二     知は則ち活の靈なり 
 三四七三     夫れ物の散じて各を爲す。其の氣も亦た各なり。
 三四七四     氣物は各おの別れて。而して感通は相い異なる。故に
 三四七五     火の通る所にして水塞がる                         (PA 270)
 三四七六     水の好む所にして火惡む 
 三四七七     物の知る所にして而して我冥し 
 三四七八     我の知る所にして而して物冥し 故に
 三四七九     磁は南を知るに靈なり 
 三四八〇     火は高きを知るに靈なり 
 三四八一     狗は鼻を用いるに巧なり 
 三四八二     人は舌を鼓するに巧なり 
 三四八三     通ずれば則ち知る。
 三四八四     知れば則ち感ず。
 三四八五     感ずれば則ち親す。故に
 三四八六     能く其の反を通じて合すれば 則ち枘を鑿中に置くが若し 
 三四八七       其の同を執りて合すれば 則ち枘を枘中に置くが若し 
 三四八八    神にして而して物に向う。其の才は感通す。是を以て
 三四八九    天地は竝び判れ。
 三四九〇    運轉は升降す。
 三四九一    天日東西して 而して地は跡を晝夜に成す 
 三四九二    天日南北して 而して地は跡を冬夏に成す 
 三四九三    日 感して而して燥物は應ず 
 三四九四    月 感して而して水物は應ず 
 三四九五    動は晝夜に作輟す 
 三四九六    植は冬夏に榮枯す 
 三四九七    知通は 性なり 
 三四九八    感求は 情なり 
 三四九九    感通は本と一なり。
 三五〇〇    天地は反合す。
 三五〇一    是を以て。天地は 則ち鬼神の能を伸るの地なり                 (I 419b)
 三五〇二         鬼神は 則ち天地の活を致すの物なり 蓋し對に偶與有り。
 三五〇三    以て親疏を分つ。是に於て。知通感求。物に随いて態を變ず。
 三五〇四     夫れ人なる者は。一なり。男を分ち女を分つ。
 三五〇五     男女絪縕より。兄弟姉妹。父祖子孫。
 三五〇六     姻婭妯娌の疏を結ぶ 
 三五〇七     叔姪姑姪の親を遠ざく                            (PA 271)
 三五〇八~〇九  其の變は盡きず。天地の給する所は。我資る有りて然り。蓋し
 三五一〇     性は一にして其の二を具す 
 三五一一     體は二にして其の一を成す 故に
 三五一二     一漸みて一一を開く。而して
 三五一三     一移りて一一に居れば。則ち
 三五一四     綱は目を繋ぐ 
 三五一五     目は綱を成す 故に
 三五一六     二は反して一に合すれば 則ち真の偶なる者は 之を親と爲す 
 三五一七     絪縕給資は 以て能く合する有り 
 三五一八     布散して傍らより望めば 則ち偶の與なる者は 之を疏と爲す 
 三五一九     感應酬醋は 以て能く相い依る 是の故に 
 三五二〇     反偶は則ち絪縕し 以て造化を成す 以て天地と經緯を爲す 
 三五二一     與偶は則ち感應し 以て變化を盡す 以て佗偶と參差を爲す 是を以て。
 三五二二     反偶は則ち氣物反す 
 三五二三     與偶は則ち性類傍す 夫れ
 三五二四     各物は各の性體す。
 三五二五     各才は相い交接す。
 三五二六     反と與と同じく隔つと雖も。條理に別有り。親疏の道を異にす。
 三五二七     鬼神は佗無しと雖も。而も感應參差す。夫れ
 三五二八     體なる者は 氣の幹なり 乃ち物の立する所なり 
 三五二九     性なる者は 物の神なり 乃ち體の活する所なり 
 三五三〇     幹立は神に應ずるの地を爲す 乃ち體物の天なり 
 三五三一     神活は物に感ずるの氣を爲す 乃ち運物の神なり 
 三五三二     神なる者は 變幻出没 靈にして玅なり
 三五三三     物なる者は 凝立定常 靈ならず玅ならず 蓋し
 三五三四     天は有せざる所莫し 有せざる所莫ければ 則ち隔と雖も而も能く融す 
 三五三五     神は貫せざる所莫し 貫せざる所莫ければ 則ち疏と雖も而も能く通ず 
 三五三六     鬼ならざれば 則ち神を活する所莫し 
 三五三七     神ならざれば 則ち鬼を起こす所莫し 
 三五三八     且つ夫れ同じく一鬱浡なり。或いは物に對し。
 三五三九                  或いは天に對し。本に偶し鬼に偶するは。何ぞや。
 三五四〇     猶お一縣の長。民も亦た之を長と謂い。其の佐も亦た之を長と謂うがごとし。
 三五四一     其の物に對する者は 天神を具して  而して變常を有す 
 三五四二       鬼に對する者は 定息を鬼にして 而して變化に神す            (I 420a)
 三五四三     物は各各を成す。而して活も亦た各各なり。
 三五四四     活する者は。自から活するなり。
 三五四五     通ずる者は。己の通を佗に達するなり。故に
 三五四六     天は活して地を保す                             (PA 272)
 三五四七     地は活して天を奉ず 
 三五四八     日は活して物を煦む 
 三五四九     影は活して物を肅す 
 三五五〇     擾擾紛紛。往くとして活の運に非ざる莫し。是を以て。
 三五五一     自ら活する者は 活して運す 
 三五五二     佗に通ずる者は 感じて通ず 
 三五五三     彼此は自から活運すれば 則ち
 三五五四     天の運する所 地は能くせず 
 三五五五     地の運する所 天は能くせず 
 三五五六     一一は相い感應すれば。則ち
 三五五七     昜は能く侌に感ず 
 三五五八     侌は能く昜に通ず 
 三五五九    蓋し條理の態は。此に予うれば則ち彼に奪う 
 三五六〇            一に能なれば則ち一に拙なり 是を以て。
 三五六一    物なる者は緯露 物に止まり 氣に動く 
 三五六二    神なる者は經通 力に支えて 勢に走る 
 三五六三    支えて鬼 應ず 
 三五六四    走りて神 感ず 
 三五六五    勢力は乃ち鬼神の車馬なり。
 三五六六    物に露すれば則ち動く 
 三五六七    神に見るれば則ち變ず 是を以て。
 三五六八    精麁は態を異にするも。其の機は佗無し。是を以て。
 三五六九    天は其の精を痕す 
 三五七〇    地は其の情を見す 故に
 三五七一    感應の常は 天感地應なり 
 三五七二    感應の變は 一向一背なり 
 三五七三    常なる者は跡を没す 天なり 
 三五七四    變なる者は跡を露す 地なり 
 三五七五~七六 精麁に由りて。隠見然らしむ。是を以て。
 三五七七    轉の西線に依り   象の東線に依る 一轉一運 整齋は毫厘を差えず      (PA 273)
 三五七八    地物は之に應じて 晝夜を爲し 冬夏を爲す 
 三五七九    地の倏忽は風を生じ 驀地は火を出し 一出一没 參差其の處を知らず 
 三五八〇    萬物は是に於いて 相い生化し 相い戕賊す 是を以て。
 三五八一    天は地の變化に異なるなり 
 三五八二    地は天の定常に異なるなり 是を以て。
 三五八三    天は定常に支えて 而して運轉に走る 
 三五八四    地は持守に支えて 而して變化に走る 
 三五八五    故に鬼神の跡は。萬物に於て熾んに。人に於て甚しと爲す。
 三五八六    小にして喜怒愛憎。
 三五八七    大にして予奪奉棄。
 三五八八    鬼神の事を用うるに非ざる莫きなり。
 三五八九    天事は暦なり。諸を前後に推して。而して數を知る者は其の彷彿を獲る。
 三五九〇    地事は史なり。倏忽の間。地は震え天は鳴る。
 三五九一     (追記により削除)
 三五九二    風は起り霆は撃ち。
 三五九三    炎熱は爇くが若くにして。而して雹は其の中に結ぶ。
 三五九四    沍寒は劽くが若くにして。而して雷は其の間に解く。
 三五九五    衝いて轉の 際に至り。彗孛諸象は妖を爲す。                   (PA 274)
 三五九六    而して小物の變化に至りては。則ち愈いよ益ます百出す。              (I 420b)
 三五九七     氣は體を以て居る 
 三五九八     體は氣を以は立つ 
 三五九九     天は神を以て成る 
 三六〇〇     神は天を以て爲す 故に
 三六〇一     天は天地を以て體と爲す 
 三六〇二       天神を以て用と爲す 
 三六〇三     天道は動きて復す 動けば則ち變ず  復すれば則ち定まる 
 三六〇四     地道は靜して往く 靜すれば則ち持す 往けば則ち易わる 是の故に。
 三六〇五     天に在る者は 變を以てして定まる 
 三六〇六     地に在る者は 持を以てして易わる 
 三六〇七     定まれば則ち常なり 
 三六〇八     易われば則ち變なり 
 三六〇九     易わりて變なる者は 爲なり 
 三六一〇     定まりて常なる者は 成なり 
 三六一一     天は東西に往來すと雖も 動きて變ずるの機は素より定る 整齋は以て常を成す 
 三六一二     地は内外に上下すと雖も 靜にして持するの機は紛擾す  錯雜は以て變を爲す 
 三六一三     體は充たざる所莫ければ 則ち聚散せざる者莫し 
 三六一四     氣は通ぜざる所莫ければ 則ち生化せざる者莫し 而して
 三六一五     天に在る者は 緯中に聚散して 而して其の體を常にす 
 三六一六     地に在る者は 經中に解結して 而して其の體を換える 故に
 三六一七     天に在る者は 生化の跡を没す 
 三六一八     地に在る者は 生化の體を換う 蓋し
 三六一九     感應なる者は 變化紛若の爲なり 
 三六二〇     知運なる者は 素定整齋の事なり 是の故に。
 三六二一     天は則ち其の道や定る 其の運や常なり 感應の道は微なり 是を以て。
 三六二二     地は則ち其の爲や變ず 其の交や各なり 其の各なる者は以て感ず 
 三六二三     其の變なる者は以て應ず 是を以て。知運の用は定まらず 
 三六二四     定まらざる者は 才 感應に露す 
 三六二五     定まる者は   徳 知運に具す 是を以て。
 三六二六     天に在るの感應は 知運と相い伴う 
 三六二七     地に在るの知運は 感應と相い用す 然りと雖も。
 三六二八     其の感應を分てば。則ち榮枯の春秋を期す 
 三六二九                潮汐の朔望を期す 
 三六三〇                悲歓の吉凶を期す 
 三六三一                情欲の男女を期すが如きは 感應の常なり 
 三六三二                雲雨風雷の機 
 三六三三                生化聚散の發 
 三六三四                喜怒愛憎の意                     (PA 275)
 三六三五                酬醋黜陟の爲は      感應の變なり 
 三六三六    是の故に。苗は水土を得て茂る 
 三六三七         人は芻豢を食して肥ゆ 
 三六三八    牡は牝に感じて子 應ず 
 三六三九    種は土に感じて苗 應ず 
 三六四〇    水は火に感じて其の質 盡く 
 三六四一    物は水を畜えて其の體 壊る 
 三六四二    其の跡は反すと雖も。亦た同じく一感應なり。故に
 三六四三    柔は剛に勝れば 則ち錫は汞に和して融し 鐵は鹽を見て壊る 
 三六四四    小は大を制せば 則ち蛞蝓は蛇を伏し 短狐は人を射つ              (I 421a)
 三六四五    氣氣は錯雜し。其の用は無窮なり。是を以て。
 三六四六    戛撃は聲を異す
 三六四七    榮枯は彩を轉ず
 三六四八    香臭相い移る 
 三六四九    苦甘相い轉ず 故に
 三六五〇    鐘鼓は侌晴を以って清濁を同じくせず 
 三六五一    諸肉は鮮腐に由りて毎に腥臭を殊にす 
 三六五二~五三    (編集による空白)
 三六五四    呉藍は未だ紅ならず 醋は未だ紅ならず 呉藍は醋を得て 紅は其の中に成る 
 三六五五    麹は未だ酸ならず  米は未だ酸ならず 米麹は相い得て 酸は其の中に成る 
 三六五六~五七 知らず其の孰れか之を有し 孰れか之を與うるを 唯だ感應は此の如くならしむ    (PA 276)
 三六五八                             感應は此の如くならざらしむ 
 三六五九     空甕は聲無し 耳を掩うれば則ち滂湃 聲を起こす 
 三六六〇     朝露は色無し 日に映ずれば則ち金碧 彩を殊にす 
 三六六一     臭穢。人は則ち嘔吐を催す 
 三六六二        狗鳥は則ち之を嗜む 
 三六六三     嗜苦の人は 甘に勝らず 
 三六六四     嗜甘の人は 苦に勝らず 
 三六六五     同一の彩聲臭味は。交接相い轉ずれば。則ち感應自から別なり。是の故に
 三六六六     老幼は嗜を同じくせず 
 三六六七     病健は味を異にす 
 三六六八     水は溺る可きが如くにして 而して水族は水を常にす 
 三六六九     氣は餒えを愈さずして 而して蟄蟲は氣を含む 
 三六七〇     鳧雁は暖を以て去る 
 三六七一     昆蟲は寒を以て蟄す 
 三六七二     蛇は無足にして行く 
 三六七三     蟣は無翼にして飛ぶ 
 三六七四     狐は則ち人を魅す 而して人の畜う所の狗に啖わる 
 三六七五     人は則ち鵞を食す 而して鵞の食う所の蜮に中てらる 
 三六七六     動は 偶せざれば則ち成らず 
 三六七七     植は 偶する無くして種す 
 三六七八     不定は則ち神の爲す所なり 
 三六七九     不變は則ち天の成る所なり 
 三六八〇     不定感應を知りて 各氣の本と相い通ずるを知る 
 三六八一     各氣の相い通ずるを知りて 不定の定まる所を知る 
 三六八二     晝夜なる者は 日影の色より成る 
 三六八三     寒暑なる者は 日影の氣より成る 
 三六八四     有意無意は。其の色氣に從いて。
 三六八五     而して動息は肅舒す。物は聲彩臭味を畜う。而して
 三六八六     無意なる者は 通じて其の竅を開かず 
 三六八七     有意なる者は 通じて各其の竅を開く 
 三六八八     意を用いざる者は 竅を以て通ずるを用いず 
 三六八九     意を用いる者は  竅を以て通ぜざるを得ざるなり 
 三六九〇     而して後 營養行居には。求と去と有りて。而して態を親疏好惡に爲す。     (I 421b)
 三六九一     日は 東する者を求めて運して 其の西する者を厭いて去る 
 三六九二     水は 卑き者を求めて流れて  其の高き者を厭いて去る 
 三六九三     磁は南を求めて指す 
 三六九四     人は安きを求めて就く 
 三六九五    夫れ天なる者は 清を爲す者なり 
 三六九六      地なる者は 濁を爲す者なり                        (PA 277)
 三六九七    清中は廼ち定常の府なり 
 三六九八    濁中は廼ち變化の藪なり 
 三六九九    濁中は則ち風恬山海 天地を爲す。
 三七〇〇    而して氣は彩聲臭味を醸す。動植は其の間に竝び立つ。而して
 三七〇一    其の形を塊歧にす 
 三七〇二    其の氣を神本にす 
 三七〇三    居を水陸に分ち。類を以て各おの分處す。
 三七〇四    氣を天に用す 
 三七〇五    質を地に持す 
 三七〇六    經通に相い繼ぐ 
 三七〇七    緯塞に相い竝ぶ 
 三七〇八    竟に己 意を有して。人の境を開く。
 三七〇九    體は配嗣器地に接す 
 三七一〇    氣は彩聲臭味に交る 
 三七一一    其の爲作を運爲して。感物の最を爲す。其の感應する所は。
 三七一二    順は以て之を得る 
 三七一三    逆は以て之を失う 
 三七一四    向えば則ち之に會す 
 三七一五    背けば則ち之に違う 
 三七一六     向う者は 耳目の律呂黒白に於てし 
 三七一七          鼻舌の香臭甜苦に於てするが如し 
 三七一八     背く者は 耳目の香臭甜苦に於てし 
 三七一九          鼻舌の律呂黒白に於てするが如し 
 三七二〇     或いは向い或いは背く。往くとして感應せざる無きなり。故に
 三七二一     向えば則ち接す  雷は耳を驚かす 
 三七二二              熱は汗を發す 
 三七二三              磁は鐵を引く 
 三七二四              琥珀は芥を噏う 
 三七二五     背けば則ち接せず 雷は聾者を怖れしめず 
 三七二六              熱は痁人を煦めず 
 三七二七              磁は芥を引かず 
 三七二八              琥珀は鐵を引かず  (引に噏と訂正傍記。) 
 三七二九     彼此互いに向背す。錯綜は章と成る。
 三七三〇     以て天地の用を爲す所なり。何となれば。                   (PA 278)
 三七三一     其の呼ばざれば則ち應ぜず 惡めば則ち親しまざる所の者は 
 三七三二     乃ち呼べば則ち之に應じ  愛せば則ち之に親しむ所の者なり 
 三七三三     艸木は日を逐いて傾く 
 三七三四     潮汐は月に随いて起る 
 三七三五     鱗介は陸に死す 
 三七三六     羽毛は水に困しむ 
 三七三七     禾黍は霜に枯る 
 三七三八     牟麦は暑に熟す 
 三七三九     魚は先に感ずるを以て 而して雨前に噞す 
 三七四〇     雉は後に應ずるを以て 而して震後に雊す 
 三七四一     結の未だ應ぜざるや 雲霧は空散す 
 三七四二     達の未だ感ぜざるや 崩芽は徒らに屯す 
 三七四三     喜は色に引く 
 三七四四     怒は怨に發す 
 三七四五     此に疏なれば 則ち彼に親し 
 三七四六~四七  此に向かえば 則ち彼に背く 其の向う者は 合に感ずるなり        (I 422a)
 三七四八                     背く者は 分に感ずるなり 
 三七四九     惟だ其の道を爲すこと邃然たり。
 三七五〇     今 其の邃然たる者を指して。之を無に委せば。則ち可ならんや。故に
 三七五一     意の通るや 或いは天涯の情實を夢寐に傳う 
 三七五二     氣の奨むや 或いは偶人の靈威を祭禱に致す 
 三七五三     鬼は忽爾として來る 
 三七五四     神は隠然として現る 
 三七五五     災は肅乎として消ゆ 
 三七五六     魅は悚然として走る 
 三七五七     精は以て引く 
 三七五八     誠は以て感ず 
 三七五九     未だ盡く誣いる可からず。是を以て。
 三七六〇     冤憤の鬱して未だ伸びず 
 三七六一     忿怒の動きて未だ散ぜざるが如し 
 三七六二     魑魅は氣を使う 
 三七六三     厲鬼は毒を含む 
 三七六四     事の非常に出づる者は。未だ怪しむに足りず。惟だ
 三七六五     好んで之を常にする者は 誕なり 
 三七六六     思うて之を無とする者は 褊なり 
 三七六七     既に其の姦を照せば 老精邪鬼も 枝を伸ばす能わず 
 三七六八     方に其の惑を抱けば 枯木朽株も 能く其の怪を爲す 
 三七六九    是の故に。地は則ち鬼神の。用を伸ぶるの地なり。
 三七七〇    地上の萬物は。乃ち感應の物なり。
 三七七一    人は其の境を開けば。意爲は萬物に當る。
 三七七二    終に之を以て己の有と爲す 
 三七七三    終に之を以て己の用と爲す 是を以て。                     (PA 279)
 三七七四    己を以て人を統べ。感應を以て勢力を操る。
 三七七五    萬里を控掣す 
 三七七六    大衆を鼓舞す 
 三七七七    隣と比べて戒嚴を分かつ 
 三七七八    國を隔てて絃歌を同くす 
 三七七九    智を以て天地に通ず 
 三七八〇    感を以て萬物を役す 
 三七八一    徳行は奉戴を致す 
 三七八二    術智は人情を御す 然りと雖も。
 三七八三    物の通ずる所 我は却って此に塞がる 
 三七八四    物の能なる所 我は却って此に拙なり 故に
 三七八五    我は天の不能とする所を能とし 天は我の不能とする所を能とし 
 三七八六    我は物の不通とする所を通とし 物は我の不通とする所を通とすれば 則ち
 三七八七    己を以て物を瞞し 
 三七八八    人を以て天に爭う 癡かなるかな人。
 三七八九     陸産は冬夏を以てして日に應ず 
 三七九〇     海水は潮汐を以てして月に應ず 
 三七九一     萬物は其の間に擾擾として。體を隔ち氣を通じ。相い隔て相い交わる。
 三七九二     體は會違を爲す 
 三七九三     氣は感應を爲す 
 三七九四     鳥飛び獸走り 苗生じ子結ぶは 則ち其の各自に相い動くなり 
 三七九五     雄唱え雌和し 人灌ぎ穀登るは 則ち其の各自に相い感ずるなり 
 三七九六     各物は各おの性體す。各才は相い發接す。
 三七九七     金石は火を生ず 
 三七九八     米麹は酒を醸す 
 三七九九     寄生は蜷を得て生く
 三八〇〇     鴨は 鶏を得て伏す 
 三八〇一     神は爲す 
 三八〇二     天は成る 
 三八〇三     爲す者は貫す 
 三八〇四     成る者は統ぶ                                (I 422b)
 三八〇五~〇六  故に人造を以て之を言うに。抑を此に爲せば 則ち揚は彼に成る 
 三八〇七                  益を此に爲せば 則ち損は彼に成る 故に
 三八〇八     呼べば則ち應ずるを   順感應と爲す                    (PA 280)
 三八〇九     呼ばざれば則ち應ぜざるを背感應と爲す 
 三八一〇     或いは呼びて應ぜず 
 三八一一     或いは呼ばずして應ず 
 三八一二     其の變や。感應と會違す。共に氣物の往來なり。
 三八一三     往來當遇して。而して事は天命に成る。
 三八一四     神爲は之を使む 
 三八一五     天成は之を自からにす 
 三八一六     自なるか 
 三八一七     使なるか 
 三八一八     能く昭し能く冥くす。
 三八一九     奚を以てか此の若く昭昭たる 二 條理を有す 
 三八二〇     奚を以てか此の如く冥冥たる 一 罅縫を没す 
 三八二一     昭昭は 理なり 
 三八二二     冥冥は 故なり 
 三八二三     惟だ其れ然るなり。是を以て其れ然るなり。是の故に。
 三八二四     神徳は活通なり
 三八二五     天徳は幽邃なり                               (PA 281)

 三八二九      體用   體
 三八三〇    精天麁地は 混成の大物なり 
 三八三一    一侌一昜は 混成の一氣なり 
 三八三二    一なれば則ち大に贏らず 
 三八三三    大なれば則ち一に遺す莫し 
 三八三四     一は能く二を剖きて 一統一散す 
 三八三五     一は能く一に對して 一分一合す 
 三八三六     人は擾擾の中に居りて。將に其の各立の纍纍を用いんとす。
 三八三七     是に於て。計紀の法有り。
 三八三八     計する者は 曲にして之を序す 
 三八三九     紀する者は 輯にして之を統ぶ 
 三八四〇     曲にして序する者は 一より十に至て 而して奇偶代りて位す 
 三八四一     輯にして統ぶる者は 十百千萬にして    細巨漸みて積む (而してを欠くか。)
 三八四二     計して進む 之を乘と謂う 
 三八四三     計して退く 之を除と謂う 
 三八四四     乘ずれば則ち倍蓰什佰なり 
 三八四五     除すれば則ち毫厘秒忽なり 
 三八四六     長短は則ち之を度る。多少は則ち之を量る。
 三八四七     輕重は則ち之を衡る。久近は則ち之を暦る。
 三八四八     皆な計の事なり。蓋し
 三八四九~五〇  天數なる者は 一統二散なり 統ぶれば則ち遺さず 
 三八五一                   散ずれば則ち盡きず 
 三八五二                   盡きず遺さず 以て其の天を觀る 
 三八五三~五四  人數なる者は 一奇二偶なり 奇は則ち自立せず 
 三八五五                   偶は則ち待つ所有り 
 三八五六                   立せずして待ち 以て其の人を觀る 是を以て。
 三八五七     乘ずれば則ち進むと雖も 而も遺さざるを窮る能わず              (I 423a)
 三八五八     除すれば則ち退くと雖も 而も盡さざるを破る能わず 
 三八五九    一を以て二と爲す 故に大物は没露して 而して天地を分つ 
 三八六〇    一一は相い合す  故に一氣は絪縕して 而して侌昜を見す            (PA 285)
 三八六一    天地侌昜なる者は 其の成具なり 
 三八六二    氣物體性なる者は 其の爲具なり 

 三八六三    體は物を天地に託す 
 三八六四    性は態を分合に爲す 
 三八六五    是を以て。性は體を具す 
 三八六六         體は性を用す 故に
 三八六七         體は用を有す 
 三八六八         性は才を有す 
 三八六九    神の活を體に用す 
 三八七〇~七一 物の立を性に體す 是を以て性は氣に活して神なり 
 三八七二                 體は物に立ちて物なり 
 三八七三    其の物に體する者は性なり 性を以て體を觀る 
 三八七四      神を用する者は才なり 才を以て性を觀る 
 三八七五    性は能く物に體す 物は之を幹として立す 之を本氣と謂う 
 三八七六    性は能く神に用す 神は之を運して活す  之を神氣と謂う 
 三八七七    立すれば則ち攸久定常なり 
 三八七八    活すれば則ち倏忽變化なり 
 三八七九    氣物は此の如く没露す 
 三八八〇    性體は此の如く隠見す 
 三八八一    此に有せらるる者は 之を有し之に走る 
 三八八二    此に道せらるる者は 之に居り之に上る 
 三八八三    絪縕は造化を爲す 
 三八八四    機跡は天命を成す 
 三八八五    蓋し性は其の體を分つ。一氣一物。一一相い乘じて。二二卽四なり。        (PA 286)
 三八八六    分かてば則ち氣物性體なり 
 三八八七    合すれば則ち本根精英なり 
 三八八八    本氣根物。
 三八八九~九〇 精體英性。本根は是れ物なり 
 三八九一         精英は是れ神なり 
 三八九二~九三 合は能く一を成す。物は其の體を幹立す 
 三八九四             神は其の性を活運す 而して
 三八九五    其の活立を營養する者は。廼ち體の用なり。夫れ物は大小を有す。
 三八九六    大は小を統ぶ 
 三八九七    小は大に散ず 
 三八九八    天地は相い給資す 
 三八九九    侌昜は相い絪縕す 
 三九〇〇    小なる者は。其の絪縕に化し。其の給する所に資る。
 三九〇一    是を以て。大小は神本の活立するに同じ。
 三九〇二    體 成りて侌昜なり 侌は絪し昜は縕す 
 三九〇三    物 立ちて天地なり 天は没し地は露す 
 三九〇四    是を以て。侌昜に非ざれば 則ち氣物の其の體を一一にすること能わず 
 三九〇五         天地に非ざれば 則ち一一の其の性を氣物にすること能わず 
 三九〇六    是を以て。性は體に由りて立つ 
 三九〇七         體は性を以って成る 
 三九〇八    成れば則ち一は鬱浡として而して神なり 
 三九〇九         一は混然として而して物なり 
 三九一〇    活すれば則ち經は運して其の性を見す 
 三九一一    立すれば則ち緯は立ちて其の物を露す 故に侌昜は絪縕す。            (PA 287)
 三九一二    分は剖きて罅縫を没す 
 三九一三    合は對して條理を示す 
 三九一四    融は其の麁を化す 
 三九一五    通は其の精を貫す 
 三九一六~一七 是を以て。其の物に於るは。一機一體なり。機は動靜を以て活す         (I 423b)
 三九一八                        體は没露を以て立す 
 三九一九~二〇 動靜は有せざる所莫し 本氣は物を立するに於て 經緯に通塞す 
 三九二一                           内外に轉持す 
 三九二二                           南北に嘑噏す 
 三九二三                           水火に發收す 
 三九二四~二五 没露は有せざる所莫し 大物は體を成するに於て 天物に聚散す 
 三九二六                           地物に解結す 
 三九二七                           氣象に清濁す 
 三九二八                           氣質に乾潤す 
 三九二九    是に於て。氣に本す 
 三九三〇         物に根す 
 三九三一         質に精す 
 三九三二         象に華す 
 三九三三    是を以て。一經一緯 神は其の經に行く 
 三九三四              物は其の緯に居る 
 三九三五    經緯通塞 宇宙は其の中に成す
 三九三六     宇宙は 則ち經緯の氣の通塞する所より成る 
 三九三七     天地は 則ち精麁の物の没露する所より成る 
 三九三八     成る者は爲すに由る 
 三九三九     爲す者は成るに由る 
 三九四〇     爲せば則ち通塞没露なり 
 三九四一     成れば則ち宇宙天地なり 蓋し
 三九四二     其の成るや。地體は則ち水燥土石を成す 
 三九四三           天體は則ち日影運轉を成す 
 三九四四           宙は率いて歳月を刻す                       (PA 288)
 三九四五           宇は容れて方位を定む 
 三九四六     姑く天物に就きて之を言わんに。
 三九四七     經緯なる者は 宇宙を爲す者なり 故に經緯は 則ち宇宙に盡きず 
 三九四八     精麁なる者は 天地を爲す者なり 故に精麁は 則ち天地に盡きず 故に
 三九四九     成を推して爲を知る 
 三九五〇     爲に由りて成を分つ 
 三九五一    一精一麁 神は其の精に活す 
 三九五二         物は其の麁に立す 
 三九五三    精麁没露 天地は其の中に成る 
 三九五四     身の居り 足の立ち 目の視え 耳の聽く所は      則ち麁露の成る所なり 
 三九五五~五六  居りて其の天を知らざる所は 立ちて其の地を覺えず 
 三九五七                   色にして之を視る可からず 
 三九五八                   聲にして之を聽く可からず 則ち精没の爲す所なり 
 三九五九     天神は 其の物を没す 而して其の性を見す 
 三九六〇     天地は 其の性を隠す 而して其の物を露す 
 三九六一     體に非ざる者莫し。而して體は則ち一虚一實なり。而して
 三九六二     實する者は 天地の物を露して 而して經緯に居る 
 三九六三     居る者は  宇宙の天を見して 而して精麁を容る 
 三九六四     宇宙は能く其の體を没す 
 三九六五     天地は能く其の物を露す 夫れ
 三九六六~六七  宇宙は奚を以てか之を天と謂う 時と處と偶すれば 則ち時なる者は天なり     (I 424a)
 三九六八                               處なる者は地なり 
 三九六九     處は能く物を容る 則ち容る者は天なり 而して
 三九七〇                居る者は地なり 故に
 三九七一     時處を合して    其の天と爲す             (而してを欠くか。)
 三九七二~七三  天地は奚を以てか之を地と謂う 氣と物と偶すれば 則ち氣なる者は天なり 
 三九七四                               物なる者は地なり 
 三九七五     地は能く天に居る 則ち居る者は地なり 故に
 三九七六     天地を合して 而して其の地と爲す 
 三九七七     又た進みて之を食めば。則ち
 三九七八     神は能く物を爲すれば 則ち此の天も亦た地なり 
 三九七九     成る者は天を成すれば 則ち此の地も亦た天なり 
 三九八〇    體なる者は 氣物體性を本根精英に於て物にす                  (PA 289)
 三九八一    用なる者は 天地侌昜を給資絪縕に於て事にす 
 三九八二    本氣は此に幹す。神氣は此に運す。之を性才と謂う。
 三九八三    之を有し之を開く。天神は之を道徳に於て認む。
 三九八四    本は以て根に託す 
 三九八五    根は以て本に依る 依託は其の物を以て立つ 
 三九八六    精は體中に隠る 
 三九八七    華は物表に見る  隠見は其の神を以て活す 是に於て。
 三九八八    大の一を混成するも 亦た此の本根精英なり 
 三九八九    小の一を混成するも 亦た此の本根精英なり 
 三九九〇     經緯の中に在れば。則ち諸を經緯に資る。
 三九九一     造化は經を爲す 
 三九九二     天地は緯を爲す 故に
 三九九三     物の成る所は。氣物を生化し。經に從い緯に居る。故に
 三九九四     物生れて未だ化せざるの間 之れ己の有する者に於る經なり 
 三九九五     己成りて他の中に非ず   之れ己の有する者に於る緯なり 
 三九九六     彼に經緯有りて 此れ之を彼に資らずんば 則ち焉んぞ此れ有らん 
 三九九七     經緯豈に本に非ざるを得んや 
 三九九八     氣 聚りて己を活する者は 之を我に於て天にする者なり  
 三九九九     物 結びて己を立する者は 之を我に於て地にする者なり 
 四〇〇〇     彼に天地有りて 此れ之を彼に資らずんば 則ち焉んぞ此れ有らん 
 四〇〇一     氣物 豈に根に非ざるを得んや 
 四〇〇二     本は則ち體 體に於て體する者は性 幹立して活運す 
 四〇〇三     體に體するを以て 而して能く體中に隠る 豈に物の精に非ざるを得んや 
 四〇〇四     物は則ち根 根に英する者は氣なり 神は有して英は發す 
 四〇〇五     物に華するを以て 而して能く物表に發す 豈に物の英に非ざるを得んや 故に  (PA 290)
 四〇〇六~〇七  物無ければ則ち已む。有すれば則ち本根は相い依る 
 四〇〇八                     精英は隠見す 
 四〇〇九                     本は精を具す 
 四〇一〇                     根は華を發す 
 四〇一一               闕くれば則ち具に非ず                  (I 424b)
 四〇一二               無ければ則ち有に非ず 
 四〇一三    物は。則ち地を根と爲す 
 四〇一四         天を本と爲す 
 四〇一五         機に精す 
 四〇一六         氣に英す 
 四〇一七    天地は具を設け。侌昜は絪縕す。
 四〇一八    萬物は羅列し。而して其の間に竝立す。
 四〇一九    既已に其の物を竝べ。偏偏は一に合す。是を以て。
 四〇二〇    動は則ち神氣に專らなり 
 四〇二一    植は則ち本氣に專らなり 
 四〇二二    動は神氣に專らなるを以て 而して偏に神の用を見す 
 四〇二三    植は本氣に專らなるを以て 而して偏に物の體を立す 
 四〇二四    其の 各 專らなる所は則ち異なりと雖も。而も
 四〇二五    本根精英を具するに於ては。則ち一なり。惟だ
 四〇二六    麁なる者は見易し 
 四〇二七    精なる者は見難し 
 四〇二八    見易きを推して。而して見難きを察す。精麁は終に一に歸す。
 四〇二九    一は則ち全成す 
 四〇三〇    二は則ち偏立す 
 四〇三一    偏偏は分散し。一は移りて散に居る。故に
 四〇三二    偏なれば則ち相い依り、
 四〇三三    散ずれば則ち相い給すると雖も 而も亦た
 四〇三四    偏にして全す 
 四〇三五    散にして成す 蓋し。
 四〇三六    氣は 物の本なり 
 四〇三七    物は 氣の根なり 
 四〇三八    之に體する者は精なり                             (PA 291)
 四〇三九    之を用うる者は英なり 故に
 四〇四〇    精は物中に隠る 而して物を保營す 
 四〇四一    英は物表に發す 而して神に知運す 
 四〇四二    神は物を露す 
 四〇四三    物は神を見す 
 四〇四四    神は精英と雖も 而も没中も亦た本根の託す可き有り 
 四〇四五    物は本根と雖も 而も露中も亦た精英の發を爲す有り 
 四〇四六    剖析の盡きざる所なり。
 四〇四七     天地は能く有す 故に之を萬物に給す 
 四〇四八     萬物は給せらる 故に之を天地に資る 
 四〇四九     本根精英の見易き者は。其れ艸木か。
 四〇五〇~五一  其の見易きと見難きとは。蓋し見る者の通塞にして。物は則ち與らず。
 四〇五二     己の知の通じ易きに依りて。其の知の難き所に通ず。觀物の法なり。
 四〇五三     艸木は。種子を根に託し。根は能く枝幹に給すれば。
 四〇五四     則ち枝幹を并せて根なり。夫れ物の成るは。
 四〇五五     絪縕せられて 其の天を立す 
 四〇五六     保運する有りて其の地を成す 故に
 四〇五七     本なる者は 物の絪縕に得て 己 奉じて以て天と爲す所の者 廼ち
 四〇五八     松にして松を爲し 栢にして栢を爲す者なり 
 四〇五九     精なる者は 物の得る所の天を保し 得る所の神を運し 
 四〇六〇     己 之を以て開き 己 之を以て闔じる所の者 廼ち
 四〇六一     松にして松と成り 栢にして栢と成る者なり 
 四〇六二~六三  英なる者は。其の天の精華にして。根に畜え。精に運し。             (I 425a)
 四〇六三     終に之を物表に發する者なり。
 四〇六四     種子を相い繼ぎて。鱗次を爲す者も。亦た此に在り。
 四〇六五     諸を鳥獸に移して之を言わんに。
 四〇六六     絪縕の間。馬の天無くんば 世 豈に馬なる者有らんや 
 四〇六七          牛の天無くんば 世 豈に牛なる者有らんや 
 四〇六八     已に各おの其の天を奉じて立つ。                        (PA 292)
 四〇六九     各おの有する所の本根精英有り。以て其の一を爲す。
 四〇七〇     精は其の骨肉の根を奉立して。情欲意智は。其の神を運し。
 四〇七一     英を物表に發して。天人勢を張る。
 四〇七二     氣物體性を以てすれば 則ち猶お其の分有るがごとし 
 四〇七三     本根精英を以てすれば 則ち相い依りて一を成す 是を以て。
 四〇七四     氣物體性は。各おの其の天を得て以て其の本根精英を合するに至れば。
 四〇七五     則ち天地水火より。散小萬物に至りて。異なる所有る莫し。
 四〇七六     而して難易なる者は。人の私なり。
 四〇七七     易なる者は 資りて麁なる者なり 
 四〇七八     難なる者は 給えて精なる者なり 
 四〇七九    是を以て。没にして本根は 徳なり 體なり 
 四〇八〇         露にして精華は 機なり 象なり 
 四〇八一    是を以て。物なる者は 神を奉じて己を持す 
 四〇八二         神なる者は 物に居りて己を運す 
 四〇八三    是を以て。神なる者は 英なり 物を爲して奉ぜらる
 四〇八四         物なる者は 根なり 神の資る所を爲す 
 四〇八五    神は其の各を貫す 
 四〇八六    天は其の一を融す 
 四〇八七    性は具して才は活す 
 四〇八八    體は體して用は用す 
 四〇八九    物に體する者は 廼ち本氣 天地を保持す 
 四〇九〇    氣を用うる者は 廼ち神氣 造化を活運す 
 四〇九一    體は則ち天地なり 
 四〇九二    用は則ち營養なり 
 四〇九三    立する者は則ち物 之を立する者は則ち本なり 
 四〇九四    用うる者は則ち氣 之を用うる者は則ち神なり 
 四〇九五     物は風日に曝せば 則ち持する者は保せられず 日に漸みて消ゆ          (PA 293)
 四〇九六     生は戕賊に遇せば 則ち持する者は營と絶し  漸みて化に向う 惟だ
 四〇九七     小物は短期 保せず營せず 其の物を換る有り 
 四〇九八     大物は長期 保營交通して 長く其の物を持す 
 四〇九九    處は洪曠にして 物は坱坱の中に體す 
 四一〇〇    時は攸遠にして 神は袞袞の中に用す                    (PA 294, I 425b)
 四一〇五     造化  用
 四一〇六    神は精靈を活して 此の若く鬱浡たり 
 四一〇七    物は天地を立して 此の若く混淪たり 
 四一〇八    是を以て。一經一緯。混淪は天地を立して 而して體を緯に物す 
 四一〇九              鬱浡は造化を行いて 而して用を經に事す 故に。
 四一一〇              氣物は給資して 天地は立す 
 四一一一              一一は絪縕して 造化は行わる 是を以て。
 四一一二    居として天地に非ざる靡し 
 四一一三    行として造化に非ざる靡し 蓋し。
 四一一四    混淪の體 
 四一一五    鬱浡の用 
 四一一六    氣は以て之を營す 
 四一一七    物は以て之を養す 
 四一一八    營する者は 昜縕侌絪なり 
 四一一九    養する者は 一給一資なり 
 四一二〇    神に非ざれば則ち之を爲すること能わず 
 四一二一    天に非ざれば則ち之を成すること能わず 
 四一二二    爲に機する者は神なり 
 四一二三    成に跡する者は誠なり 
 四一二四    本に隠れ 物に露す 
 四一二五    神に隠れ 跡に見る 
 四一二六    跡を推して機に入る。營養の用は。逃るる所莫し。
 四一二七    大物は精なるを以て 其の營養を見難し                     (PA 305) 
 四一二八    動植は麁なるを以て 其の營養を見易し 
 四一二九~三〇  孰れか一孰れか一。大物も亦た絪縕を以て成る 
 四一三一              小物も亦た絪縕を以て成る 
 四一三二     華と實とは 苗を繼ぐに絪縕す 
 四一三三     牝と牡とは 子を繼ぐに絪縕す 
 四一三四     子苗は絪縕を閉じて。將に其の天地を開かんとす。開閉は相い追う。
 四一三五     進めば則ち旺する在り 
 四一三六     退けば則ち謝する有り 
 四一三七     子苗は華實牝牡に絪縕す 
 四一三八     動植は日影水燥に絪縕す 
 四一三八1(復元)日影水燥は動植に於て絪縕の具を爲すと雖も。
 四一三九     通塞覆載。本神道徳。皆な一一に絪縕して成る。
 四一四〇     是を以て。保持を以て立つ者は 天地なり 
 四一四一          絪縕を以て行う者は 造化なり 
 四一四二     造化は以て經を引く 
 四一四三~四四  天地は以て緯に立つ 而して保持は絪縕に外ならず 
 四一四五                  絪縕は保持に外ならず 
 四一四六     之を萬物に移して。其の絪縕の跡を認むるに。
 四一四七     寒暑は令に從う 
 四一四八     水旱は常を失す 
 四一四九     麹蘖は酒を醸す 
 四一五〇     金石は火を出す 
 四一五一     飮食は營養す 
 四一五二     思慮は變錯す 
 四一五三~五四  絪縕の各態に非ざる莫くして。機に入り跡を著す。人は惟だ其の神を認む。
 四一五五    見に難易有りと雖も。而れども造化を經に引くは。則ち一なり。是を以て。
 四一五六    天は地に縕す                                 (I 426a) 
 四一五七    地は天に絪す 
 四一五八    地も亦た天に絪す 
 四一五九    天も亦た地に縕す 
 四一六〇~六一  天昜地侌にして。而して天も亦た侌昜を平分す 
 四一六二                地も亦た侌昜を平分す 故に
 四一六三     天も亦た地に縕す 
 四一六四     地も亦た天に絪す 
 四一六五     天物は天中に竝び居る 
 四一六六     地物は地中に竝び居る 
 四一六七     然れば則ち豈に翅に子苗の動植に於るのみならんや。
 四一六八     動植の立つ所も。亦た一絪一縕の間のみ。                  (PA 306)
 四一六九    天は以て地に給す 地は以て天に給す 天は以て地に資る 地は以て天に資る 
 四一七〇    蓋し物は分るれば則ち 各 其の偏に依る。
 四一七一    偏は偏を待ちて。而して始めて其の全を爲す。是を以て。
 四一七二    水は火に資る 火は水に給す 
 四一七三    火は水に資る 水は火に給す 
 四一七四     天は能く地に給す 
 四一七五     地は能く天に給す 
 四一七六     是を以て。地は天に資るを以て 其の地も亦た天なり 
 四一七七          天は地に資るを以て 其の天も亦た地なり 故に
 四一七八     侌逼りて火 發す 
 四一七九     昜噴きて水 涌く 
 四一八〇     是の故に。火は必ず侌湿を以て熾んなり 
 四一八一          水は必ず昜熱を以て溢るなり 
 四一八二     今 一勺の水。一星の火。
 四一八三     勢を繼がざるの者の相い賊するを觀て。以て造化を察す。亦た兒童の見のみ。
 四一八四    剖くれば則ち一二なり 
 四一八五    分るれば則ち一一なり 
 四一八六    一一は相い資る 
 四一八七    一二は相い給す 
 四一八八    是を以て物の成る。大と無く小と無く。同じく其の神物を活立す。
 四一八九    成るに反有りと雖も。而も彼此は同じく其の本根精英を全す。
 四一九〇    彼に資る無んば 能く此に成らん 
 四一九一    此に給せずんば 焉んぞ能く彼に給せん 是の故に。
 四一九二    露は没に資る 
 四一九三~九四 見は隠に資る 而して隠も亦た見に資る 
 四一九五              没も亦た露に資る 此に於て。
 四一九六    絪縕は相い依る                                (PA 307) 
 四一九七~九八 給資は相い立つ 故に精に非ざれば則ち本根に給する無し 
 四一九九              英に非ざれば則ち本根を發する無し 
 四二〇〇    本根に非ざれば 則ち精英を有すること無し 
 四二〇一     一は萬を有す 散は統に居る 
 四二〇二     一に統ぶる者は 自から給し自から資る 
 四二〇三     分れ散ずる者は 彼此相い依る 
 四二〇四~〇五  依に親疏有り。疏は則ち疏に資る 
 四二〇六            親は則ち親に資る 
 四二〇七~〇八  姑く水火に就きて之を言うに。水 給して火 能く燃ゆ 
 四二〇九                   火 給して水 能く成る 故に
 四二一〇     火の能く炭に居る 薪の乾く者は火の化すこと早し               (I 426b) 
 四二一一              薪の湿る者は火の持すこと久し 
 四二一二     水の天地に於ける 冬寒に値えば則ち涸る 
 四二一三              夏熱に値えば則ち溢る 
 四二一四     雷を發して雨 滂沱たり 
 四二一五     雨 甚しくして火山燃ゆ 
 四二一六     水を以て火に灌ぐ 
 四二一七     火を以て水を煮る 
 四二一八     養賊は相い居る。是の故に。
 四二一九     生する者は化する有り 
 四二二〇     養する者は賊する有り 
 四二二一     水火のみ獨り然るに非ず。是の故に。
 四二二二     水は能く舟を浮べ 亦た能く舟を覆えす 
 四二二三     臣は能く君を奉じ 亦た能く君を覆えす 
 四二二四     春煦秋肅。一生一賊。
 四二二五     生と賊と同じく絪縕す。
 四二二六     諸を艸木の榮枯。鳥獸の代謝に觀て。而して知る可きなり。
 四二二七     是を以て。絪縕なる者は 造化の營なり 
 四二二八          給資なる者は 相依の養なり 
 四二二九     雨暘燠寒。嘑噏飮哺。
 四二三〇     皆な天地に資ること有り。
 四二三一     以て我を養う可し。
 四二三二     以て我を賊す可し。
 四二三三     此を以て彼を推す。
 四二三四     麁を以て精を推す。具して佗無きを爲すなり。
 四二三五     若し之を反觀せずして。而して以て諸を一に合すれば。則ち
 四二三六     天地は隔絶し。水火は相い乖き。而して終に物に融通すること能わず。
 四二三七    統らるれば則ち之に資る 
 四二三八    竝び立てば則ち相い依る 
 四二三九    養えば則ち賊する有り 自佗は竝び立てば則ち然り。故に
 四二四〇~四一 成りて營せざれば 則ち通ずる者は繼がざるに断たん              (PA 308) 
 四二四二               塞がる者は充たざるに盡きん 
 四二四三~四四 成りて養わざれば 則ち立つ者は斃る 
 四二四五               行く者は覆える 是の故に。
 四二四六    率從は齢を同じくして 而して能く攸遠を行く 
 四二四七    望みて其の闔るを視ず 
 四二四八    顧みて其の闢くを視ず 
 四二四九~五〇 闔闢する者は塞がる 塞がれば則ち通に非ず 惟だ其の通を以て 絪縕給資の功を觀るのみ 
 四二五一    容居は量を同じくして 而して能く洪曠を立す 
 四二五二    歸して其の中を盡さず 
 四二五三    出でて其の外を窮めず 
 四二五四~五五 窮盡する者は畫す  畫すれば則ち塞に非ず 惟だ其の塞を以て 保護持守の立を觀るのみ 
 四二五六     來りて生ず 
 四二五七     往きて化す 
 四二五八     化化は收める有り 
 四二五九     生生は給する有り 
 四二六〇     袞袞の精と雖も 而も生化を出ること能わず 
 四二六一~六二          已に生化を出ること能わざれば 則ち給資は麁と同じ 
 四二六三     物にして居る 
 四二六四     氣にして容る 
 四二六五     容る者は中を示す 
 四二六六     居る者は止を有す 
 四二六七     坱坱の精と雖も 而も中外無きこと能わず 
 四二六八~六九          已に中外の無きこと能わざれば 則ち保持は物と同じ 
 四二七〇     率從は齢を同じくす                             (I 427a) 
 四二七一     容居は量を同じくす 
 四二七二~七四  經緯は同じく然り。夫の萬物の如く。物は麁にして跡は顯なり。生化は精しからず 
 四二七五                                  居行は跡を有す 
 四二七六     依りて立つ者は 疲るれば 則ち殪る 
 四二七七     從いて走る者は 及ばざれば則ち覆える 
 四二七八     殪るれば則ち從いて而して立つ者繼ぐ 
 四二七九     覆えれば則ち起ちて而して行く者出る 
 四二八〇     殪覆は跡を示すも 亦た天地と久遠なり                    (PA 309) 
 四二八一     坱袞は痕を没すも 亦た殪覆と畫せず 
 四二八二    散よりして天地を觀れば 則ち天地も亦た萬物なり 
 四二八三    一よりして萬物を觀れば 則ち萬物も亦た一なり 
 四二八四    有痕と無痕と相い隔つるが如きなれども。
 四二八五    而も彼此相い有するは則ち一なり。
 四二八六    精は體に隠る 
 四二八七    英は物に發す 
 四二八八    天は没し地は露す 
 四二八九    神は爲し天は成る 是を以て。
 四二九〇    經緯没露は 有せざる所靡ければ 則ち
 四二九一    宇宙天地は 立たざる所靡きなり 
 四二九二    鬱浡は爲さざる所靡し 
 四二九三    混淪は成らざる所靡し 是を以て。
 四二九四    天地は保持を以て立つ 
 四二九五    造化は營養を以て行わる 
 四二九六    二は一に資る 
 四二九七    一は二に移る 
 四二九八    稍や相い移れば則ち其の保持營養は。
 四二九九    經を引きて緯に居る。散統は一なり。蓋し
 四三〇〇    星辰なる者は天物なり 精清明輕にして 景影を以て居る 
 四三〇一    動植なる者は地物なり 麁濁臭穢にして 水燥を以て居る 故に
 四三〇二    我は我の與と。穢濁に境を開きて。
 四三〇三    境を清浄に開く者と。天地を分つ。是を以て。                  (PA 310)
 四三〇四    其の境は  清濁動止を以て剖く 
 四三〇五    其の物は則ち乾潤明暗を以て分る 
 四三〇六    之を合すれば。則ち
 四三〇七    輕清重濁を反して 同じく其の天地を緯に置く 
 四三〇八    循環鱗比を反して 同じく其の造化を經に運す 故に
 四三〇九    星辰動植は。物を天地に同じくす。而して水燥日影の中に絪縕す。
 四三一〇     天は宙に從う 
 四三一一     地は宇に居る 
 四三一二     神は氣に遊ぶ 
 四三一三     本は物を結ぶ 故に
 四三一四     短は長を追い小は大に居る 
 四三一五     其の神は其の氣に遊ぶ 
 四三一六     其の本は其の物を結ぶ 
 四三一七     彼も亦た本根精英を具す 
 四三一八     此も亦た本根精英を具す 是の故に。
 四三一九~二〇  動植は同じく身生を有す。而して生は 其の天を經通に遊ばしむ 
 四三二一                       其の地を緯塞に立たしむ 是れ乃ち本なり 
 四三二二                    身は 其の天を虚動に於て爲す 
 四三二三                       其の地を實靜に於て成す 是れ乃ち根なり 
 四三二四     精は 實なり 
 四三二五     英は 華なり 
 四三二六~二七  本根は立すること有り。精を中に收む 
 四三二八                英を表に發す                     (I 427a) 
 四三二九~三〇             英は則ち神氣なり 物は立ちて事を感應に交う 
 四三三一~三二             實は則ち本氣なり 本は保して營を絪縕に事す 
 四三三三~三四  絪縕は鱗比繼承に於てする者なり。植は則ち華實なり 
 四三三五                     動は則ち牝牡なり 
 四三三六                     植は苗に繼ぐ 
 四三三七                     動は子に繼ぐ 
 四三三八     之を生ずる者は則ち生ぜらるる者に非ずと雖も。而も
 四三三九     其の胚胎種子も亦た同じく本根精英を畜えれば。
 四三四〇     則ち精の實を爲すや識る可し。
 四三四一     蓋し物なる者は。能く天地に資り。萬物に依る。
 四三四二     侌昜に絪縕す。
 四三四三     子苗に繼承す。
 四三四四     内外に保護す。
 四三四五     上下に持守す。
 四三四六     是に於て。植は養を水土雨暘に資る                     (PA 311) 
 四三四七          動は養を嘑噏飮食に資る 
 四三四八          動は營を有意の思辨に爲す 
 四三四九          植は營を無意の知感に爲す 
 四三五〇     是を以て。大小は。有する所 異ならず 
 四三五一              開く所  相い反す 
 四三五二              異を同中に具す 
 四三五三              同を異中に成す 
 四三五四    一を反中に融し 
 四三五五    反を一中に隔てて 絪縕給資す。
 四三五六    本は以て體に幹し 
 四三五七    神は以て性に運し 侌昜大小す。
 四三五八    給資すと雖も其の情を異にす。
 四三五九    本根精英の一を成するに至りては。則ち融して有す。
 四三六〇     天地は物を全すれば 則ち己れに足らざる所莫し 
 四三六一     萬物は天地に居れば 則ち天地に資らざる者莫し 
 四三六二     既に已に散じて萬物を爲す。是に於て萬物の天地に資るは。
 四三六三     厚薄偏周。萬にして同じからず。蓋し天地は一大全物なり。
 四三六四     上は日月星辰を懸く 
 四三六五     下は水火土石を布く 
 四三六六     其の物は成具を爲す 
 四三六七     絪縕給資。動植は其の間に成るなり。
 四三六八     植は偏りて本氣に資る 故に其の物を冷止無意に立つ 
 四三六九     動は偏りて神氣に資る 故に其の物を溫動有意に立つ 而して
 四三七〇     動中は反を得て 鳥と爲し獸と爲す 
 四三七一     植中は反を得て 艸と爲し木と爲す 
 四三七二     彼此は同じく天地に在る。共に天地に資る。則ち
 四三七三     其の物に就きて。其の物を求む。
 四三七四     末は猶お本のごとし 
 四三七五     彼は猶お此のごとし 
 四三七六     其の各を以てすれば。則ち萬物萬天地。奚んぞ獨り此に盡くさん。
 四三七七     然りと雖も。我は已に我が境に居る。
 四三七八     我の資りて以て此の天地を爲るを觀れば。
 四三七九     則ち佗の天地に有る者は。盡く我に具す。                   (I 428a)
 四三八〇     天地は我に給せざる所莫ければ。則ち天地に有る者は。盡く我に應ず。
 四三八一     我に應ずる者は。盡く天地に有る。故に
 四三八二     但だ一二を摘みて之を言わんに。夫れ                     (PA 312)
 四三八三     天は道徳性才を有す 故に我も亦た道徳性才を有す 
 四三八四     天は天地天神を有す 故に我も亦た天地天神を有す 是を以て。
 四三八五     天の宇宙天地 人は資りて死生身生を爲す 
 四三八六     天の保營知運 人は資りて營衛意爲を爲す 
 四三八七     天は東西南北を成せば 則ち
 四三八八     人は前後左右を成す 
 四三八九     天は轉持動止を成せば 則ち
 四三九〇     人は行居睡覺を成す 
 四三九一     大物は則ち侌絪昜縕なり 
 四三九二     小物は則ち牡縕牝絪なり 
 四三九三     大物は則ち天没地露なり 
 四三九四     小物は則ち生没身露なり 
 四三九五     動なる者は植の偶なり。
 四三九六     同じく諸を天地に資ると雖も。而れども諸を彼此に反す。故に
 四三九七     有意を無意に於て反す 
 四三九八     横行を竪立に於て反す 
 四三九九     反を以て一に合す 
 四四〇〇     合を以て依るを爲す 是を以て。
 四四〇一     人は則ち牆屋なり 
 四四〇二     物は則ち營窟なり 
 四四〇三     艸は則ち冬に枯る 
 四四〇四     木は則ち冬に凋む 
 四四〇五~〇六  事は異なりと雖も  而も之を保に於て資るは則ち同じ  
 四四〇七     植は則ち水土に食す 
 四四〇八     人は則ち水穀に食す 
 四四〇九     蛆は穢を食す 
 四四一〇     蟬は露を食す 
 四四一一     水は則ち氣を食す 
 四四一二     火は則ち水を食す 
 四四一三~一四  食する所は異と雖も 而も之を養に於て資るは則ち同じ 是の故に。
 四四一五     天は則ち時を以て通ず 
 四四一六     我は則ち壽を以て通ず 
 四四一七     天は則ち物を以て塞がる 
 四四一八     我は則ち身を以て塞がる 
 四四一九     天は則ち侌昜の絪縕を以て物を生ず 
 四四二〇     人は則ち男女の絪縕を以て子を生ず 
 四四二一     天は則ち本神の保營を以て繼持す 
 四四二二     人は則ち息食の保營を以て繼持す 是を以て。
 四四二三       (行外追記につき削除)
 四四二四     神は則ち爲して跡を見さず 
 四四二五     人は則ち作るに肢體を用う 
 四四二六     天は則ち行くに足を用いず 
 四四二七     人は則ち行くに足を用う 是の故に。
 四四二八     天地は 聲色臭味を内に有す 故に外より取るの門無し 
 四四二九     物は則ち聲色臭味を外に有す 故に外より取るの門有り 
 四四三〇     動は外より取るの門を開く 
 四四三一     植は外より取るの門を閉ず                         (PA 313) 
 四四三二     用と不用とを反するなり。而して
 四四三三     魚は耳を目に并す 
 四四三四     蛇は足を腹に兼ぬ 
 四四三五     同じく之を天地に資る 
 四四三六     還りて之を彼此に反す                           (I 428b) 
 四四三七    侌昜は絪縕す 彼此は給資す 
 四四三八    内は衛り外は護う 以て立ち以て行う 物は是に於てか幹立す 
 四四三九    華は發し子は結ぶ 物を立て他を役す 
 四四四〇    外は統べ内は實す 以て知り以て通ず 神は是に於てか活運す 
 四四四一    幹立して物は混淪たり 
 四四四二    活運して神は鬱浡たり 蓋し
 四四四三    精麁は物を分つ 天物精神は各を立す 
 四四四四    幹運は物に體す 本根精英は一を成す 故に
 四四四五    物の各立する所は。則ち本根精英。一を成して相い随う。夫れ
 四四四六    絪縕なる者は 侌昜の用なり 
 四四四七    造化なる者は 絪縕の痕なり 
 四四四八    天地は 其の戸を開きて 之を途に上す 
 四四四九    天神は 其の機に入りて 之を跡に成す 
 四四五〇    絪縕は痕無し。
 四四五一    神玅は機に入る 
 四四五二    天誠は跡を成す 
 四四五三    人は其の見を罩め。其の蘊を窺う。
 四四五四    揜う可からざるの天に蒙し 
 四四五五    測る可からざるの神に眩す 
 四四五六    窺窬百端。賊を捉えて子と爲す。                        (PA 314)
 四四五七    機は途に上れば 則ち往かしめ來らしむ 
 四四五八    跡は物に成れば 則ち以て生じ以て化す 
 四四五九    施よりして造化す 
 四四六〇    受よりして天命す 夫れ
 四四六一    一二なる者は沿いて剖く 
 四四六二    一一なる者は竝びて對す 
 四四六三    跡を着れば則ち認む。侌昜絪縕。其の神や玅なり。
 四四六四    機に入り機を出づ。誠は以て之を認む。故に
 四四六五    天にして運轉變化す 
 四四六六    人にして意念情態す 
 四四六七    水旱沴祥 
 四四六八    殺活予奪 
 四四六九    事として絪縕の機に入り機を出るに非ざる莫きなり。
 四四七〇     物は動止を有すると雖も 而も形體を以てせざれば 則ち見れず 
 四四七一     氣は絪縕を以てすと雖も 而も機跡を以てせざれば 則ち認めず 
 四四七二     能く見れ能く認む。事物の以て此の如き所なり。
 四四七三     然ら使むる者は 神の精靈なり 機に入り機を出す 
 四四七四     自から然る者は 天の形貌なり 神を收め跡を成す 
 四四七五     神運は態有り 
 四四七六     天成は貌有り 
 四四七七     變態定貌にして。絪縕錯雜す。
 四四七八     蓋し二は一を剖きて。一侌一昜なり。
 四四七九     侌は侌に專らなり 
 四四八〇     昜は昜に專らなり 
 四四八一     一移りて二に居れば。則ち
 四四八二     昜も亦た一を全す 
 四四八三     侌も亦た一を全す 然りと雖も。
 四四八四     昜境は侌境の全に非ず 
 四四八五     侌境は昜境の全に異なり 故に
 四四八六     絪縕すれは則ち造化す。機に入り機を出づ。
 四四八七     入る者は則ち神なり 
 四四八八     出る者は則ち跡なり 
 四四八九     跡にして天命成る。
 四四九〇     天命の成る所は。之を一に於て貌にして。
 四四九一     而して本然を觀る。既已に本然は。                      (PA 315)
 四四九二     自に歸し使に歸す。有意の私する有り。                    (I 429a)
 四四九三    是に於て。天地は緯に宅す 
 四四九四         造化は經に行わる 
 四四九五         體は以て天地を立つ 
 四四九六         用は以て造化を行う 蓋し 
 四四九七    一一の道。物は相い隔てば 則ち其の體は相い隔たる 
 四四九八         氣は將に合せば 則ち各の氣は相い交わる 
 四四九九    氣物は物を立つ 
 四五〇〇    交接は事を行う 
 四五〇一    一一の剖きて相い竝ぶや。反を偶して合す。
 四五〇二    竝ぶ者は 與にして疏す 
 四五〇三    反す者は 偶にして親す 
 四五〇四    親疏は絪縕して。機は感應に入る。
 四五〇五    造化は便ち鬼神を役使す。夫れ
 四五〇六    物は容載の間に塞がる 
 四五〇七    氣は往來の經に通じる 
 四五〇八    天地は佗無し 塞の物なり 
 四五〇九    造化は佗無し 通の氣なり 
 四五一〇    神は變ず 故に移りて不窮なり 
 四五一一    天は定る 故に常にして攸遠なり 
 四五一二     夫れ一盞の燈。徹夜其の觀を變ぜずと雖も。
 四五一三       一條の水。終古其の流れを改めずと雖も。
 四五一四     而れども前火は後火に非ず。後水は前水に非ず。是を以て。
 四五一五     天地と萬物と。常に生生化化す。
 四五一六     生化なる者は 造化の 物に在るなり 
 四五一七     造化なる者は 生化の 氣に在るなり 
 四五一八     氣に在る者は。一団の鬱浡なり。
 四五一九     氣を以て物に屬す。機に入りて跡に着く。
 四五二〇     始まる者は終るに繼ぐ 
 四五二一     來たる者は往くを逐う 
 四五二二     闢かず闔じず                                (PA 316) 
 四五二三     故ならず新ならず 
 四五二四     往と來とは。氣物の相い通ずるなり。是に於て。
 四五二五     往く者は住する者を率いて移る 
 四五二六     來る者は未なる者を以って至る 蓋し
 四五二七     天物の精と 地物の實なる者とは 共に生化の端を没す 
 四五二八     水火の麁と 動植の虚なる者とは 共に生化の端を露す 
 四五二九     露すと雖も而も端緒無し 
 四五三〇     没すと雖も而も端倪有り 
 四五三一     見露は自から異と雖も 而も
 四五三二     居れば則ち同じく其の宅を有す 
 四五三三     行けば則ち同じく其の路を行く 
 四五三四     宅は則ち緯塞なり 塞する者は容居す 
 四五三五     路は則ち經通なり 通ずる者は往來す 
 四五三六     來れば則ち生じ  往けば則ち化す者は 廼ち造化なり 
 四五三七     來る者は則ち當り 往く者は則ち遇うは 廼ち天命なり 
 四五三八     緯體經用は。爲に造化す 
 四五三九           成に天命す 
 四五四〇    緯體は經用の行を要すれば 則ち 各 起りて事に從う 
 四五四一    經用は緯要の體に託すれば 則ち 各 居りて物を住す 
 四五四二    蓋し神通は。往來なり。
 四五四三    往來の麁なる者は 方を緯に立す 
 四五四四    往來の精なる者は 方を經に立す                        (I 429b)
 四五四五    經は前後を方にす 
 四五四六    緯は内外を方にす 
 四五四七    往來なる者は 行なり 而して行く者は方を用う 
 四五四八    容居なる者は 居なり 而して居る者は位に由る 故に
 四五四九    行く者は則ち駸駸たり 其の動に從わざる者莫し 
 四五五〇    居る者は則ち洋洋たり 其の止に住せざる者莫し 故に              (PA 317)
 四五五一    行く者は居中に住す 
 四五五二    居る者は行中に行く 
 四五五三     東西して已まざるも 亦た此の中に住す 
 四五五四     幹立して去らざるも 亦た此の中に行く 是の故に。
 四五五五     通じて窮まらざるも 亦た此の天地を維す 
 四五五六     塞して能く住ざるも 亦た此の前後を走る 是を以て。
 四五五七     人と物と。體を以て天地に居る 
 四五五八          壽を以て日月を追う 
 四五五九    是に於て。物は來りて後に向う 
 四五六〇         時は往きて前に向う 故に
 四五六一    時は則ち前に向いて生じ 後に向いて從いて化す 
 四五六二    物は則ち後に向いて生じ 今を過ぎて化す 故に
 四五六三    精よりすれば則ち化は後に在り 
 四五六四    麁よりすれば則ち生は後に在り 
 四五六五     緯に涯り無き者は 經に涯り無し 
 四五六六     緯に涯り有る者は 經に涯り有り 是を以て。
 四五六七     處は則ち坱坱にして 天地は則ち中外有り 
 四五六八     時は則ち袞袞にして 造化は則ち前後有り 
 四五六九     中に中無く 外に外無く 
 四五七〇~七一  前に前無く 後に後無ければ 則ち其の物を爲すや大なり 
 四五七二                     其の期を爲すや長なり 
 四五七三     日月は 則ち無前の前よりして 而して袞袞を追う 
 四五七四     天地は 則ち無外の外を盡して 而して坱坱に居る 是を以て
 四五七五     之を經し之を緯す。洋洋滾滾。及ばざる所莫し。
 四五七六     麁小の物は。天地の爲に絪縕せらる。
 四五七七     感應の在る所。有涯の身生を化す。
 四五七八     身生は既に涯り有り。是に於て
 四五七九     物に居りて物に及ばず 
 四五八〇     時を追いて時に及ばず 
 四五八一     孰れか此の境を執りて。而して彼の境を窺う。終に思いに泥む。何となれば則ち
 四五八二     有意は。此の體を得るを以て生と爲す 
 四五八三         此の體を失うを以て化と爲す 
 四五八四     是れ有限の起滅なり。之を得て自から私す。終に生化の故に通ぜず。       (PA 318)
 四五八五     精麁は則ち生化の態を異にす。生化は則ち精麁長短を隔てず。
 四五八六~八七  有限と無く。無限と無く。今を得て 見るる者は皆な生ず 
 四五八八                 今を失して没する者は皆な化す            (I 430a) 
 四五八九    絪縕は氣物を解結聚散に役す。
 四五九〇    緯に解結聚散する者は 其の體は恒久なり 
 四五九一    經に解結聚散する者は 其の物は倏忽なり 
 四五九二    其の物は倏忽と雖も 而も相い繼ぐ者は断たず 
 四五九三    其の體は恒久と雖も 而も往復する者は端を換えれば 則ち
 四五九四    此れも亦た猶お彼のごとし 
 四五九五    彼れも亦た猶お此のごとし 是を以て。
 四五九六    時なる者は 往きて生す 生は將にせんとするに向かい 化は既にするに退く 
 四五九七    物なる者は 來りて生す 生は將にせんとするより來る 化は既にするに去る 
 四五九八    將にせんとするに向う者は。既にするに去る者に會す。故に
 四五九九    前後を没して。而して會を今に於て露す。
 四六〇〇    體を持し跡を成す者は。皆な斯の中に生化す。
 四六〇一     天地なる者は 緯なり 
 四六〇二     往來なる者は 經なり 
 四六〇三~〇四  緯は物なり 而して經は氣なり 
 四六〇五~〇六  氣は活す  而して物は立す 
 四六〇七     物は宅を得て居る 
 四六〇八     神は路に由て遊ぶ 
 四六〇九     物は能く緯に立つと雖も 而も
 四六一〇     神は能く經に遊ぶ 
 四六一一     緯は則ち容居の物なり 
 四六一二     經は則ち造化の氣なり 
 四六一三     造は則ち活す 
 四六一四     化は則ち死す 故に
 四六一五     神は活を將にせんとするに畜う 而して
 四六一六       死を既にするに送る 
 四六一七     將にせんとする者は未だ活せず 
 四六一八     既にする者は終に化す 
 四六一九     將既は端を爲す 而して
 四六二〇     今に當りて活す 
 四六二一     今に當りて萬有は皆な露す。
 四六二二     造は前に隠る 
 四六二三     化は後に没す 
 四六二四     是の故に。循環鱗比は。鬱浡として。盡く萬有を露す。
 四六二五    是を以て。氣 聚りて物 結ぶ 
 四六二六         物 解けて氣 散ず 
 四六二七    聚結して物 生す 
 四六二八    散解して物 化す 
 四六二九    天地と萬物と。同じく物なるのみ。
 四六三〇    其の體を結持す 
 四六三一    其の氣を散通す 
 四六三二    絪縕の跡する所なり。夫れ
 四六三三    生する者は 神爲の發なり                          (PA 319)
 四六三四    化する者は 天成の收なり 
 四六三五    緯に於ては 則ち動靜に活息す 
 四六三六    經に於ては 則ち生化に活息す 
 四六三七    神物經緯の用は然り。是を以て。
 四六三八    緯は散結を張りて宇に横わる 
 四六三九    經は生化に引きて宙に竪す 
 四六四〇    成具は 則ち常に一體を持す 
 四六四一    散物は 則ち毎に其の體を換う 
 四六四二    常に一體を持する者は 精にして生化を示さず 
 四六四三    毎に其の體を換る者は 麁にして生化を露す 
 四六四四    有せざるして無なる者は 廼ち無なり 
 四六四五    明ならずして幽なる者は 廼ち幽なり 故に
 四六四六    露して有り  没して無きは     則ち有中の没露なり 
 四六四七    起れば則ち明 滅すれば則ち幽なるは 則ち明中の幽明なり 
 四六四八    是を以て。幽明は則ち神の地なり 
 四六四九         没露は則ち物の用なり 故に
 四六五〇    没するや 氣に幽にして 而して物に無し 
 四六五一    起するや 氣に明にして 而して物に有り 
 四六五二    故に。萬物は聚散解結して。而して
 四六五三    無は幽に之き 幽は明に之く 
 四六五四    明は幽に之き 有は無に之く                         (PA 320) 
 四六五五     氣にして體を結ぶ 故に物なり 
 四六五六     物にして體を解く 故に氣なり 
 四六五七     是を以て。物は。結べば則ち有り 
 四六五八             解れば則ち無し 
 四六五九     人にして華を發す。故に神なり。
 四六六〇     是を以て。神 發すれば則ち明なり 
 四六六一          神 没すれば則ち幽なり 
 四六六二     是を以て。我の天地に居るや。
 四六六三     物を結びて神を發す 
 四六六四     神を没して物を解く 
 四六六五     故に明有るの間。没露起滅す。
 四六六六     天は幽明有無を具す 
 四六六七     物は幽明有無に遊す 
 四六六八     具する者は 之を兩つながら全くす 
 四六六九     遊ぶ者は 明の有るを以て其の分と爲す 
 四六七〇          幽の無きを以て分の外と爲す 
 四六七一     無なる者は有せず 
 四六七二     幽なる者は明ならず 
 四六七三     幽を察して明に入る 
 四六七四     無を説きて有に入る 
 四六七五     噫。無にして説く可くんば 豈に無と云わんや 
 四六七六       幽にして知る可くんば 豈に幽と云わんや 
 四六七七    常體は則ち無窮なり 
 四六七八    換體は則ち有窮なり 
 四六七九    共に一氣の通なり。
 四六八〇     虚實は 體の塞なり 
 四六八一     生化は 氣の通なり 故に
 四六八二     燈を密器の中に點ずる 化化すること能わざれば 則ち生生を繼がず 
 四六八三     穀を豊艸の際に蒔ゆ  艸茂れば則ち穀は瘁る 
 四六八四     一氣の所通を觀る可きなり。是の故に。
 四六八五     樹は長じて子 結ぶ 
 四六八六     子は隕ちて樹 生る 
 四六八七     樹中は子を有せず 
 四六八八     子中は樹を有せず 
 四六八九     雨露も之を有せず 
 四六九〇     水土も之を有せず  
 四六九一     若し無は物を生ずと曰わば 則ち腐種は能く生じ 枯樹は更に榮せん 
 四六九二     若し有りと曰わば 則ち當に素より之を有すべし 奚んぞ必ずしも生ずる者を竢たん 
 四六九三     生生の頤いは邃し 無は如し有なる可くんば 則ち天地は塞らん 
 四六九四     化化の道は微なり 有は如し無なる可くんば 則ち天地は竭きん 
 四六九五     無は生ずること能わず 
 四六九六     有は變ずること能わず 
 四六九七     有無は那ぞ造化の蘊を開かん。
 四六九八     之を煦すれば 則ち氣を爲し神を爲す 
 四六九九     之を液すれば 則ち津を爲し體を爲す 
 四七〇〇     之を火にすれば 則ち烟と爲り燄と爲り 光と爲り熱と爲る 
 四七〇一     之を水にすれば 則ち苔と爲り菌と爲り 臭と爲り穢と爲る 
 四七〇二     一氣は通じて然るなり。是の故に。                     (PA 321)
 四七〇三~〇四  火は木を以て薪と爲す 木は盡きず 則ち火も亦た盡ざれば 地に在る者の生化なり 
 四七〇五~〇五  日は影を以て薪と爲す 影は盡きず 則ち日も亦た盡ざれば 天に在る者の生化なり 
 四七〇七     故に水は無體の火に依りて命を爲す 
 四七〇八       影は有象の日に依りて命を爲す 
 四七〇九     山は艸木の多きが爲にして高きを加えず 
 四七一〇     海は沙石の降るが爲にして淺きを加えず 
 四七一一    是を以て。經は緯に居る 
 四七一二         緯は經を行く 
 四七一三    没跡と露跡と 精麁を分つ 
 四七一四    無窮と有窮と 生化を同す 
 四七一五     聚まりて生じ散じて化す。聚散生化する者は。一氣の通なり。
 四七一六     聚散は 氣なり 
 四七一七     生化は 物なり 
 四七一八     氣は 昜なり 
 四七一九     物は 侌なり 
 四七二〇     聚まる者は 昜の侌に之くなり 
 四七二一     散ずる者は 侌の昜に之くなり 
 四七二二     氣は象無し 
 四七二三     物は體有り 
 四七二四     生する者は 無の有に之くなり 
 四七二五     化する者は 有の無に之くなり 
 四七二六     聚は 侌なり 
 四七二七     生は 昜なり 
 四七二八     散は 昜なり 
 四七二九     化は 侌なり 
 四七三〇     侌昜の道は。端倪し難きなり。夫れ
 四七三一     日月水土の類は。常有にして生化に與らざる者の如しと雖も。而も生生化化す。
 四七三二     惟だ端倪を爲し難きのみ。
 四七三三     山は水を發す 而して生生は盡きず 
 四七三四     海は氣を噴く 而して化化は息まず 
 四七三五     燭光の宛然として動かざる者は。油氣の下より生生するなり。
 四七三六     其の遂に大ならざる者は。外に向いて化化するなり。
 四七三七     化すると雖も 生すれば則ち盡きず 
 四七三八     生すると雖も 化すれば則ち大ならず 
 四七三九     是れ之を常と謂う。常にして無窮。生生に與らざる者の如し。
 四七四〇     故に天地と雖も。亦た生化は已まず。
 四七四一     若し夫れ天地 生化せずんば。則ち天地の間の物。何ぞ獨り生化せん。
 四七四二     天地 生化せずんば。則ち
 四七四三     古の天地 更に新にして 
 四七四四     今の天地 更に故ならん 
 四七四五     人は皆な曰く。氣は至りて生す                         (PA 322)
 四七四六            氣は盡きて化す 氣は豈に盡きる可けんやと。
 四七四七     生する者も氣なり 
 四七四八     化する者も氣なり 
 四七四九     生氣 病めば則ち化氣は動く 
 四七五〇     生氣 盡れば則ち化氣は旺す                          (I 431b)
 四七五一    夫れ物の成りて天に應ずるは 給に資るなり 
 四七五二      神の活して通に運するは 絪に縕するなり 
 四七五三    故に諸味の鼎中に在るは。
 四七五四    其の執りて貫徹せざる無くして而して各各能く其の味を成す。故に
 四七五五    盈縮消長。
 四七五六    闔闢旺衰。
 四七五七    天變地動。
 四七五八    世態人情。
 四七五九    經緯全散。
 四七六〇    紛紛若若。
 四七六一    皆な我と。一鼎中に在り。同じく薫蒸せらるる者なり。
 四七六二    同じく薫蒸せらるると雖も。剖きて其の物を各にすれば。則ち其の氣も亦た各なり。
 四七六三    故に至精の得て其の跡を窺う可からざるより。
 四七六四    天地の解結。
 四七六五    轉持の運動。
 四七六六    日影の精。
 四七六七    水燥の麁。
 四七六八    金石の久。
 四七六九    雲雨の忽。
 四七七〇    鳥獸艸木の其の跡を揜わざるに至りては。各態一氣なり。
 四七七一    昜は縕し侌は絪し。機に入り跡を著す。
 四七七二     夫れ物は各おの諸偶を有す。絪縕に非ざる無しと雖も。
 四七七三     與は則ち疏なり。
 四七七四     偶は則ち親なり。故に                            (PA 323)
 四七七五     天散地結 日發影收なる者は 則ち相い竝びて緯に成る 
 四七七六     神爲天成 時往物來なる者は 則ち相い重りて經に成る 
 四七七七     夫れ萬物の此の間に於る。體は散じ氣は麁にして。
 四七七八     天氣地質の中に居り。
 四七七九     水燥日影の氣を受く。
 四七八〇     天は地を抱く 
 四七八一     地は天を奉ず 故に
 四七八二     日影は往來す 
 四七八三     水燥は發收す 而して
 四七八四     日燥は則ち煦して發達す 
 四七八五     影水は則ち肅して閉藏す 是に於て。
 四七八六     春夏は則ち煦煦 鳥獸は孳尾し 艸木は榮茂す 
 四七八七     秋冬は則ち肅肅 諸動は閉蟄し 艸木は實枯す 
 四七八八     昜煦侌肅は。絪縕の痕なり。其の成る所よりするなり。
 四七八九     動は牝牡を以て生ず 
 四七九〇     植は華實を以て生ず 
 四七九一     魚龍は水に生ず 
 四七九二     鳥獸は燥に生ず 
 四七九三     艸木は土に生ず 
 四七九四     藻苔は石に生ず 
 四七九五     五&T22F257;の蠹  木に生す (PDF版を参照のこと)
 四七九六     寄生の生 佗木に託す 
 四七九七     水は火に由りて化す 
 四七九八     火は水に由りて化す 
 四七九九     其の事は無窮と雖も。其の實は一氣の通なり。
 四八〇〇     或いは往來を露す 
 四八〇一     或いは始終を示す 
 四八〇二     造なる者は 侌絪の痕なり 活して爲す 
 四八〇三     化なる者は 昜縕の痕なり 運して變ず 
 四八〇四     生化なる者は。秒忽 相い換る。
 四八〇五     麁にして一始終を爲すに至りて。而して始めて循環鱗比を分つ。
 四八〇六     盈縮消長。榮枯老壯。触るるに從いて態を異にすと雖も。
 四八〇七     通氣の旺衰なり。而して生化なる者は。旺衰の端なり。             (I 432a)
 四八〇八     生化なる者は一始終なり。世と曰い。代と曰い。壽と曰い。歳と曰う。
 四八〇九     之を通ずれば則ち佗に非ず。故に
 四八一〇     彼に在りては生化と爲す 
 四八一一     此に在りては死生と爲す 
 四八一二     物に在りては。起滅と曰う。成壊と曰う。興廢と曰う。云云と曰う。
 四八一三     無意に任すを 死生と曰う 
 四八一四     有意に任すを 殺活と曰う 
 四八一五     同じく神爲の絪縕なり。
 四八一六     生生の保養は 生氣以て物を育む 
 四八一七     虐癘の戕害は 賊氣以て生を傷う 
 四八一八     生化を爲する者は 則ち形跡を得ず                      (PA 324)
 四八一九     生化を成する者は 則ち形跡を示す 
 四八二〇     動にして保營す 
 四八二一     結にして持守す 
 四八二二     來りて生に入る 
 四八二三     往きて化に入る 
 四八二四     生來して今の宅に居る 
 四八二五     死去して既にするの途に就く 
 四八二六     天地は此に活す 
 四八二七     天神は此に生す 
 四八二八     萬露は此の宅に來りて湊らざるを得ず 
 四八二九     萬没は去りて此の途に就かざる能わず 
 四八三〇     宅に會す 
 四八三一     路に違す 
 四八三二     會違の經を爲す者なり。蓋し
 四八三三     萬物は布列す 
 四八三四     萬事は絪縕す 
 四八三五     天徳は則ち自ら然る 其の道は則ち成 天態は則ち常 天體は則ち立なり 
 四八三六     神徳は則ち然ら使む 神の道は則ち爲 神態は則ち變 神體は則ち活なり 是を以て。
 四八三七     物は則ち自から常立の體を成す 
 四八三八     神は則ち變活の用を爲さ使む 
 四八三九     是の體は則ち天地なり 
 四八四〇     是の用は則ち造化なり                         (PA 325, I 432b) 
 四八六〇[四界]鬱浡の活 
 四八六一    混淪の立 
 四八六二    神に在れば則ち神は變じ天は定る 
 四八六三    物に在れば則ち機は動き體は實す 
 四八六四    實は虚と偶す 動は靜と偶す 而して
 四八六五    靜は實と伴う 動は虚と伴う 故に
 四八六六    其の精は通塞す 而して方位を地とす 
 四八六七    其の麁は轉持す 而して虚實を物にす                   (PB 363)
 四八六八    體は 散結して玄界に入り 覆載して文章を具す              (I 433a)
 四八六九    性は 色を以て日影を成し 性を以て水燥を成す 
 四八七〇[通塞]經緯なる者は條理の大綱なり。
 四八七一    没中は則ち能く剖對す 
 四八七二    露中は則ち能く通塞す 
 四八七三    通は以て時を爲す 
 四八七四    塞は以て處を爲す 是れ乃ち
 四八七五    物の宅する所なり 
 四八七六    期の路する所なり 
 四八七七    時は則ち宙なり 袞袞として移る 
 四八七八    處は則ち宇なり 坱坱として住す 
 四八七九    住する者も亦た移る 
 四八八〇    移る者も 亦た住す 
 四八八一    鬱浡混淪の中。
 四八八二    神は爲し天は成す 
 四八八三    宇は容れ宙は率ゆ 
 四八八四    宇は容れ宙は居る 
 四八八五    宙は率い期は從う 
 四八八六    期なる者は物の經なり 
 四八八七    物なる者は期の緯なり 故に
 四八八八    物は其の體を緯に寓す 
 四八八九    氣は其の期を經に引く 故に
 四八九〇    處は物を得て體を託す 
 四八九一    時は期を得て神を見す 
 四八九二    物なる者は。神と物となり。
 四八九三    神は袞袞に爲成す 
 四八九四    物は坱坱に散結す 
 四八九五    爲成は能く始終を循環す 
 四八九六    散結は能く大小を布列す 故に                         (PB 364)
 四八九七    散結の間 大小は竝び立つ 
 四八九八    始終の間 長短は競い走る 
 四八九九    坱坱に居りて窕せず 以て天地の大を見る 
 四九〇〇    袞袞に從いて窮らず 以て運轉の長を觀る 
 四九〇一[今中]處は以て中を含む 中なる者は處に幹たる者なり 
 四九〇二    時は以て今を開く 今なる者は時に活する者なり 故に
 四九〇三    坱坱は物を容れ 中 能く之を維す 
 四九〇四    袞袞は期を率い 今 能く之を運す 而して
 四九〇五    維する者は能く没す 
 四九〇六    運する者は能く見る 故に
 四九〇七    宇容は其の坱坱を露さず 
 四九〇八    宙率は其の袞袞を見さず 
 四九〇九    物 立ちて中を認む 
 四九一〇    時 運して今を見す 
 四九一一    既已に物を露すれば 則ち小の小と雖も 猶お破る可きなり 唯
 四九一二~一三 中は則ち破る可からざるなり 破る可からざる者に非ざれば 
 四九一四    奚んぞ天地を載せて撓まざるを得ん 
 四九一五    既已に頃を刻すれば 則ち短の短と雖も 猶お剖く可きなり 唯
 四九一六~一七    今は則ち剖く可からざるなり 剖く可からざる者に非ざれば 
 四九一八    奚んぞ萬露を湊めて遺さざるを得ん 
 四九一九    神は用いざる所莫し 故に時期は 各 通じて                  (PB 365)
 四九二〇    時は往き期は來る 來る者は將に當らんとす 
 四九二二~二三          往く者は既に違す  而して今は則ち將既の會する所なり 
 四九二四    物は體せざる所莫し 故に處物は 各 立して 
 四九二五    處は容れ物は居る 居れば則ち之に乘る 
 四九二六~二七          容れば則ち之を載す 而して中は則ち乘載の所在なり 故に
 四九二八    時に隠見有り 
 四九二九~三〇 處に没露有り 没處は 則ち萬根の託する所なり                (I 433b)
 四九三一               氣を發して給するに疲れず 
 四九三二               質を收めて容るるに充たず 
 四九三三           見時は 則ち衆神の遊ぶ所なり 
 四九三四               來るを迎えて當るに遺さず 
 四九三五               往くを送りて違うに停らず 故に
 四九三六~三七 時は神物に路す 而して今は當遇の天を爲す 
 四九三八     塞がる者は 通に待たざる能わず 
 四九三九     通ずる者は 塞に偶せざる能わず 
 四九四〇     塞がる者は維して住す 故に通ずる者は當りて移る 
 四九四一     通ずる者は進みて率ゆ 故に塞がる者は追いて從う 是を以て
 四九四二     塞がる者は直ちに通ずる 
 四九四三~四七  通ずる者は直ちに塞がる 故に一塞中に住移有り 
 四九四五                   一通中に率從有り 
 四九四六     從がう者は 氣 來る有り 
 四九四七     率いる者は 氣 往く有り 
 四九四八     氣は來を以て生し 往を以て化す 故に
 四九四九     塞氣 來るを以て常に活するは 神の爲なり 
 四九五〇     通氣 往くを以て常に通ずるは 天の成なり 
 四九五一     來る者は能く去る 
 四九五二     往く者は能く住す 故に
 四九五三     坱坱の間は 往住せざる莫し                         (PB 366)
 四九五四     袞袞の中は 來去せざる莫し 
 四九五五     往く者は來る者に當りて 往く 
 四九五六     來る者は往く者に遇いて 去る 
 四九五七     當遇の會。時は則ち今を爲す 
 四九五八          事は則ち命を成す 
 四九五九     今の既に過ぎたるを 前と曰う 
 四九六〇     今の未だ及ばざるを 後と曰う 
 四九六一     送迎の囿する所を除けば。則ち均しく今なり。
 四九六二     神機は來るに活す 
 四九六三     天跡は往くに成る 故に
 四九六四     今を以て前後を觀れば。猶お中に居りて左右を觀るがごとし。
 四九六五     精は窺い難し 
 四九六六     麁は知り易し 是を以て
 四九六七     縱い神の來る有るとも 而も物の往く無く 
 四九六八~六九  物の往く有るとも 而も神の來る無くんば 則ち何を以てか當遇の今を得ん 
 四九七〇     天地は今を得て見る 
 四九七一     事物は今を得て成る 故に
 四九七二     機跡は始終を見し。時處は無窮を成す。
 四九七三     性は物外に立たず 
 四九七四     物は性外に成らず 
 四九七五    處は神物に宅し 而して中は乘載の地を爲す 
 四九七六    今なる者は 往くを送り來るを迎え 將にする者を前にす 
 四九七七                     既にする者を後にす 
 四九七八     時なる者は 彼此 相い向う 
 四九七九     彼の前とする所は 我の後とする所にして 而して
 四九八〇     我の前とする所は 彼の後とする所なり 是の故に
 四九八一     往く者は將にせんとするに向いて既にするに背く 
 四九八二     來る者は將にせんとするを離れて既にするに就く               (I 434a)
 四九八三     地なる者は 彼此 相い背く 
 四九八四     午の上とする所は 子の下とする所にして 而して
 四九八五     子の上とする所は 午の下とする所なり 是の故に
 四九八六     午なる者は午を上にして子を下にす 
 四九八七     子なる者は子を上にして午を下にす 
 四九八八     其の事は則ち反す 
 四九八九     其の理は則ち同じ 故に
 四九九〇~九一  來る者よりして之を謂えば 則ち既往を前にす 而して
 四九九二                    將來を後にす 
 四九九三~九四  往く者よりして之を謂えば 則ち率いて往く所を前にす 而して
 四九九五                    遇いて去る所の者を後にす 
 四九九六    故に來る者は迎うを見て去る 
 四九九七      往く者は送るを見て伴う 
 四九九八    來りて將に去らんとするの頃にして見る                     (PB 367)
 四九九九~〇〇 將來既去なる者は則ち隠る 故に生する者は將にせんとするに居る 
 五〇〇一                   化する者は既にするに去る 
 五〇〇二     通に非ざる者莫ければ 則ち往くとして生化に非ざる莫し 
 五〇〇三~〇四  往くとして生化に非ざる者莫しと雖も。而も精麁没露は物を異にす。
 五〇〇五     則ち其の跡は 各 同じからざるなり。故に
 五〇〇六     期の有る者は 生化に跡有り 
 五〇〇七     期の無き者は 生化に跡無し 故に
 五〇〇八     將にせんとするに生ずれば則ち來りて化に向う 
 五〇〇九     既にするに化すれば則ち去りて生より遠ざかる 
 五〇一〇     既に生すれば則ち起りて往くに從う 
 五〇一一     化を爲せば 則ち及ばずして息む 故に
 五〇一二     物に中外有り 
 五〇一三     期に始終有り 
 五〇一四~一五  既に生ずる者は    則ち送るを見て伴う 伴ないて及ばず 以て其の化を觀る 
 五〇一六~一七  始まりは既にするに在り 終わりは將にせんとするに在り 
 五〇一八~一九  將に生ぜんとする者は 則ち迎うを見て來る 來りて停まらず 以て其の化を觀る 
 五〇二〇     始まりは將にせんとするに居り 終わりは既にするに當る 
 五〇二一~二三 中なる者は氣を吐き質を噏う 虚に遠く實に近し 故に氣は吐を見て發す 
 五〇二四                             質は噏を見て收む 
 五〇二五    吐に遠く噏に近きの地にして没す 
 五〇二六~二七 之を吐し之を噏する者は則ち露す 故に解る者は外に遊ぶ 
 五〇二八                      結ぶ者は中に依る 
 四九〇一[今中]處は以て中を含む 中なる者は處に幹たる者なり 
 四九〇二    時は以て今を開く 今なる者は時に活する者なり 故に
 四九〇三    坱坱は物を容れ 中 能く之を維す 
 四九〇四    袞袞は期を率い 今 能く之を運す 而して
 四九〇五    維する者は能く没す 
 四九〇六    運する者は能く見る 故に
 四九〇七    宇容は其の坱坱を露さず 
 四九〇八    宙率は其の袞袞を見さず 
 四九〇九    物 立ちて中を認む 
 四九一〇    時 運して今を見す 
 四九一一    既已に物を露すれば 則ち小の小と雖も 猶お破る可きなり 唯
 四九一二~一三 中は則ち破る可からざるなり 破る可からざる者に非ざれば 
 四九一四    奚んぞ天地を載せて撓まざるを得ん 
 四九一五    既已に頃を刻すれば 則ち短の短と雖も 猶お剖く可きなり 唯
 四九一六~一七    今は則ち剖く可からざるなり 剖く可からざる者に非ざれば 
 四九一八    奚んぞ萬露を湊めて遺さざるを得ん 
 四九一九    神は用いざる所莫し 故に時期は 各 通じて                  (PB 365)
 四九二〇    時は往き期は來る 來る者は將に當らんとす 
 四九二二~二三          往く者は既に違す  而して今は則ち將既の會する所なり 
 四九二四    物は體せざる所莫し 故に處物は 各 立して 
 四九二五    處は容れ物は居る 居れば則ち之に乘る 
 四九二六~二七          容れば則ち之を載す 而して中は則ち乘載の所在なり 故に
 四九二八    時に隠見有り 
 四九二九~三〇 處に没露有り 没處は 則ち萬根の託する所なり                (I 433b)
 四九三一               氣を發して給するに疲れず 
 四九三二               質を收めて容るるに充たず 
 四九三三           見時は 則ち衆神の遊ぶ所なり 
 四九三四               來るを迎えて當るに遺さず 
 四九三五               往くを送りて違うに停らず 故に
 四九三六~三七 時は神物に路す 而して今は當遇の天を爲す 
 四九三八     塞がる者は 通に待たざる能わず 
 四九三九     通ずる者は 塞に偶せざる能わず 
 四九四〇     塞がる者は維して住す 故に通ずる者は當りて移る 
 四九四一     通ずる者は進みて率ゆ 故に塞がる者は追いて從う 是を以て
 四九四二     塞がる者は直ちに通ずる 
 四九四三~四七  通ずる者は直ちに塞がる 故に一塞中に住移有り 
 四九四五                   一通中に率從有り 
 四九四六     從がう者は 氣 來る有り 
 四九四七     率いる者は 氣 往く有り 
 四九四八     氣は來を以て生し 往を以て化す 故に
 四九四九     塞氣 來るを以て常に活するは 神の爲なり 
 四九五〇     通氣 往くを以て常に通ずるは 天の成なり 
 四九五一     來る者は能く去る 
 四九五二     往く者は能く住す 故に
 四九五三     坱坱の間は 往住せざる莫し                         (PB 366)
 四九五四     袞袞の中は 來去せざる莫し 
 四九五五     往く者は來る者に當りて 往く 
 四九五六     來る者は往く者に遇いて 去る 
 四九五七     當遇の會。時は則ち今を爲す 
 四九五八          事は則ち命を成す 
 四九五九     今の既に過ぎたるを 前と曰う 
 四九六〇     今の未だ及ばざるを 後と曰う 
 四九六一     送迎の囿する所を除けば。則ち均しく今なり。
 四九六二     神機は來るに活す 
 四九六三     天跡は往くに成る 故に
 四九六四     今を以て前後を觀れば。猶お中に居りて左右を觀るがごとし。
 四九六五     精は窺い難し 
 四九六六     麁は知り易し 是を以て
 四九六七     縱い神の來る有るとも 而も物の往く無く 
 四九六八~六九  物の往く有るとも 而も神の來る無くんば 則ち何を以てか當遇の今を得ん 
 四九七〇     天地は今を得て見る 
 四九七一     事物は今を得て成る 故に
 四九七二     機跡は始終を見し。時處は無窮を成す。
 四九七三     性は物外に立たず 
 四九七四     物は性外に成らず 
 四九七五    處は神物に宅し 而して中は乘載の地を爲す 
 四九七六    今なる者は 往くを送り來るを迎え 將にする者を前にす 
 四九七七                     既にする者を後にす 
 四九七八     時なる者は 彼此 相い向う 
 四九七九     彼の前とする所は 我の後とする所にして 而して
 四九八〇     我の前とする所は 彼の後とする所なり 是の故に
 四九八一     往く者は將にせんとするに向いて既にするに背く 
 四九八二     來る者は將にせんとするを離れて既にするに就く               (I 434a)
 四九八三     地なる者は 彼此 相い背く 
 四九八四     午の上とする所は 子の下とする所にして 而して
 四九八五     子の上とする所は 午の下とする所なり 是の故に
 四九八六     午なる者は午を上にして子を下にす 
 四九八七     子なる者は子を上にして午を下にす 
 四九八八     其の事は則ち反す 
 四九八九     其の理は則ち同じ 故に
 四九九〇~九一  來る者よりして之を謂えば 則ち既往を前にす 而して
 四九九二                    將來を後にす 
 四九九三~九四  往く者よりして之を謂えば 則ち率いて往く所を前にす 而して
 四九九五                    遇いて去る所の者を後にす 
 四九九六    故に來る者は迎うを見て去る 
 四九九七      往く者は送るを見て伴う 
 四九九八    來りて將に去らんとするの頃にして見る                     (PB 367)
 四九九九~〇〇 將來既去なる者は則ち隠る 故に生する者は將にせんとするに居る 
 五〇〇一                   化する者は既にするに去る 
 五〇〇二     通に非ざる者莫ければ 則ち往くとして生化に非ざる莫し 
 五〇〇三~〇四  往くとして生化に非ざる者莫しと雖も。而も精麁没露は物を異にす。
 五〇〇五     則ち其の跡は 各 同じからざるなり。故に
 五〇〇六     期の有る者は 生化に跡有り 
 五〇〇七     期の無き者は 生化に跡無し 故に
 五〇〇八     將にせんとするに生ずれば則ち來りて化に向う 
 五〇〇九     既にするに化すれば則ち去りて生より遠ざかる 
 五〇一〇     既に生すれば則ち起りて往くに從う 
 五〇一一     化を爲せば 則ち及ばずして息む 故に
 五〇一二     物に中外有り 
 五〇一三     期に始終有り 
 五〇一四~一五  既に生ずる者は    則ち送るを見て伴う 伴ないて及ばず 以て其の化を觀る 
 五〇一六~一七  始まりは既にするに在り 終わりは將にせんとするに在り 
 五〇一八~一九  將に生ぜんとする者は 則ち迎うを見て來る 來りて停まらず 以て其の化を觀る 
 五〇二〇     始まりは將にせんとするに居り 終わりは既にするに當る 
 五〇二一~二三 中なる者は氣を吐き質を噏う 虚に遠く實に近し 故に氣は吐を見て發す 
 五〇二四                             質は噏を見て收む 
 五〇二五    吐に遠く噏に近きの地にして没す 
 五〇二六~二七 之を吐し之を噏する者は則ち露す 故に解る者は外に遊ぶ 
 五〇二八                      結ぶ者は中に依る 
 五〇二九[期物]夫れ處なる者は物を容れ 物は處に居る 
 五〇三〇      時なる者は期を率い 期は時に從う 故に
 五〇三一    處と時と經緯を偶す 
 五〇三二    物と期と經緯を偶す 故に
 五〇三三    今は能く事を見すと雖も 而れども諸を物に立てざれば 則ち將た奚んか爲さん 
 五〇三四    處は能く物を露すと雖も 而れども諸を期に移さざれば 則ち將た奚んか成らん 
 五〇三五    期は物に因りて事を成す                         (PB 368) (I 434b)
 五〇三六    物は期に因りて功を畢う 
 五〇三七     處なる者は坱然たり 物にして後 紀する所有り 
 五〇三八     時なる者は袞焉たり 期にして後 紀する所有り 
 五〇三九~四〇  其の物は則ち天地なり 天は規矩を有し 東西南北を成す 
 五〇四一                地は拗突を有し 湖海山野を成す 
 五〇四二~四三  時なる者は時氣なり 期に往來有り 緩急盈縮を見す 
 五〇四四               時に會違有り 明暗寒熱を示す 故に
 五〇四五     湖海山野は 東西南北に依りて 方處を紀す 
 五〇四六     明暗寒熱は 緩急盈縮に依りて 節序を成す 
 五〇四七     天地は物を成す 
 五〇四八     節序は期を成す 是に於てか。
 五〇四九     物は事を成す 
 五〇五〇     期は功を畢う 
 五〇五一    袞袞は窮まらず 期は則ち始終す 始終なる者にして 而も長有り短有り 
 五〇五二    坱坱は無垠なり 物は則ち天地す 天地なる者にして 而も大有り小有り 
 五〇五三    大物は坱坱に居りて窕せず  故に其の物たるや大なり 而して
 五〇五四    小物は天地を分ちて竝び居る 故に其の物たるや小なり 
 五〇五五    長期は袞袞に從いて已まず  故に其の期たるや長なり 而して
 五〇五六    短期は歳月を追いて及ばず  故に其の期たるや短なり 而して
 五〇五七    大小長短。亦た自から統散有り。                        (PB 369)
 五〇五八    統中は 則ち天は大にして  而して地は小に  轉は長にして運は短なり 
 五〇五九    散中は 則ち天地は大にして 而して萬物は小に 運轉は長にして衆期は短なり 
 五〇六〇[人境]夫れ人は一小物を以て 一短期を得る 
 五〇六一    弾丸の如く實結する者を得て之を踏む 
 五〇六二    瑠璃の若く清虚する者を見て之を仰ぐ 
 五〇六三    明暗は相い換る 寒暑の相い推す者を時にして之を經る 
 五〇六四    乾潤は相い生ず 動止の相い立つ者を侶にして之に依る 
 五〇六五    我の麁體を以て。而して物の麁露を認む。故に
 五〇六六    日月山海は 我の天地なり 
 五〇六七~六八  天は瑠璃の若く 地は弾丸の若くなるに由りて 之を觀れば。覆う者は天を爲す 
 五〇六九                                 載る者は地を爲す 
 五〇七〇     然りと雖も。天なる者は 氣の名なり 而して
 五〇七一           地なる者は 物の名なり 
 五〇七二     故に處を以て時に對すれば。則ち
 五〇七三     時なる者は氣なり 天を爲す 
 五〇七四~七六  處なる者は物なり 地を爲す 同じく此れ處なり。或いは天と呼ぶ 
 五〇七七                            或いは地と呼ぶ 
 五〇七八     猶お是れ此の一身。父に對して子と呼び。
 五〇七九     子に對して父と呼ぶがごとくなり。 各 會する所有るなり。故に        (I 435a)
 五〇八〇     瑠璃の如き天 
 五〇八一~八二  弾丸の如き地は 則ち天地を物中に開きて有り。
 五〇八三~八五  次第に相い開く。則ち天地は愈いよ有り。而して氣物は愈いよ瑣なり。
 五〇八六    晝夜冬夏は 我の期紀なり 
 五〇八七    水燥の中に於て絪縕す 
 五〇八八    動植の物に於て相い依る                            (PB 370)
 五〇八九~九〇 天地は坱坱に物す 而して萬物は其の中に竝び立つ 
 五〇九一~九二 歳月は袞袞に期す 而して衆期は其の間に競い走る 
 五〇九三    時は處に時す 
 五〇九四    處は時に處す 
 五〇九五    期は物に期す 
 五〇九六    物は期に物す 
 五〇九七(次行)
  [覆載の經緯]蓋し宇宙は精を以て没す 
 五〇九八      天地は麁を以て露す 
 五〇九九    天は動止の機を畜う 
 五一〇〇    地は虚實の體を有す 
 五一〇一    天は虚と雖も而も動を以て其の體を剛にす。
 五一〇二    何ぞ地の實を以て其の體を堅くにするに異ならん。故に
 五一〇三    麁露の天地は。堅ならざれば則ち剛なり。故に
 五一〇四    地の物を立つると 
 五一〇五~〇六 天の物を浮ぶると 堅剛は同一なり。
 五一〇七    剛處は 日影の象 之を占む 
 五一〇八    堅處は 水燥の物 之を占む 是に於て
 五一〇九    象質は天地を隔てて居る 
 五一一〇    歳運は轉持を分ちて行く 
 五一一一    象と質と 各 其の氣を得て配す。
 五一一二    氣象は時節を紀すの物を爲す 
 五一一三    氣質は生化を爲すの物を爲す 故に
 五一一四    虚動は 經具なり 
 五一一五    實靜は 緯具なり  
 五一一六    實靜は天地を成す 而して                          (PB 371)
 五一一七    虚動は轉持を成す 
 五一一八    轉中は 則ち萬象運轉す  期は往復循環に在り 
 五一一九    持中は 則ち萬質相い換る 期は生化鱗比に在り 故に
 五一二〇    轉物は常に一體を持す 
 五一二一    持物は毎に其の體を換う 
 五一二二     大物は小物を容る 
 五一二三     有窮は無窮に居る 
 五一二四     小物なる者は有窮なり 體體 相い換る 引きて之を無窮に致す 
 五一二五     大物なる者は無窮なり 其の體を常に持す 生化は一體なり 
 五一二六     生化一體なる者は 生化すと雖も 而も其の跡を露せず 故に無窮と曰う 
 五一二七     體體相い換る者は 亦た無窮を致すと雖も 
 五一二八     前體は後體に非ざるを以て 生化の跡は顯なり 故に有窮と曰う         (I 435b)
 五一二九     前體は後體と一なれば 則ち生化は其の中に行わる 而して其の物は無窮の若し 
 五一三〇     前體は後體と別なれば 則ち彼は化し此は生す   而して其の物は有窮の若し 
 五一三一     無窮なる者は 終りて始まる 
 五一三二     有窮なる者は 始まりて終る 
 五一三三     其の道を同せずと雖も。而れども生化の通に於ては。則ち一なり。
 五一三四     人なる者は。麁物なり。小體なり。
 五一三五     身は畫する所有り 
 五一三六     生は盡きる所有り 
 五一三七     盡きる有るの生を以て 
 五一三八     畫する所の身を有す 
 五一三九     混成を以て。其の智は囿する所有り。
 五一四〇     麁小を以て精大を推す。大物に窒す 
 五一四一                長期に眩む 而して
 五一四二    蓋し萬物は大物に居る 
 五一四三      衆期は長期に從う 
 五一四四~四五 地は 塊焉たる一圓物なり 故に下は能く上を爲す 西は能く東を爲す 
 五一四六     時は氣を以て通ず 
 五一四七     處は體を以て塞る 
 五一四八     塞中 天は動き地は靜る 
 五一四九     通中 事は移り物は住す  
 五一五〇     住する者は止に定まる                            (PB 372)
 五一五一     移る者は行に通ず 
 五一五二     中なる者は 止の主 物は之に居る  位は之に立つ 
 五一五三     今なる者は 移の主 事は此に行わる 物は此に換る 
 五一五四     事は此に行わる 
 五一五五     物は此に換わる 
 五一五六     中は 立ちて移らず 
 五一五七     今は 移りて居らず 
 五一五八     立つ者は 中外に位有り 
 五一五九     移る者は 來去に方無し 
 五一六〇     氣質は坱中に物す 
 五一六一     氣象は袞中に跡す 
 五一六二     氣質は物ならざれば 則ち焉んぞ處を露するを得ん 
 五一六三     氣象は跡ならざれば 則ち焉んぞ時を紀するを得ん 
 五一六四     氣は西し象は東す 動を以て時の紀を成す 
 五一六五     天は外し地は中す 靜を以て處の位を立つ 
 五一六六     坱坱の立にては 中は破る可からず 而して外は邊無し 
 五一六七     體は一なりと雖も 而も一面一背の二用有り 
 五一六八     袞袞の移にては 今は剖く可からず 而して時は界無し 
 五一六九     行は一なりと雖も 而も一往一來の二跡有り 
 五一七〇     圓中は一心を點して 外は際涯無し 
 五一七一     直中は一頃を見して 外は前後を隠す 
 五一七二     中なるや 南に中す 
 五一七三          北に中す 
 五一七四          西に中す 
 五一七五          東に中す 
 五一七六     無際涯に中して      而して能く移動する者を維す 
 五一七七     今なるや 前に今す 
 五一七八          後に今す 
 五一七九     去るを積みて後を厚くせず 
 五一八〇     來るを奪いて前を薄くせず 而して能く靜立する者を移す 
 五一八一~八二 時は 悠焉たる一直氣 前を轉じて後と爲す 生を收めて化と爲す         (I 436a)
 五一八三~八四  彼の水車を觀るに。一邊は水を載せ 仰ぎて來る 
 五一八五              一邊は水を潟し 俯して往く 
 五一八六     水車は有體の往來なり 猶お且つ端を見ず 
 五一八七~九〇      (編集による空白)
 五一九一     前後なる者は 無象の往來なり 
 五一九二     孰れか逆えて其の首を見ん 
 五一九三     孰れか將って其の尾を見ん 蓋し
 五一九四     時なる者は 往來を以って前後と爲す者なり 
 五一九五     期なる者は 生化に由りて始終と爲す者なり 
 五一九六     時に往來有り 物は當りて前後を分つ 
 五一九七     期に始終有り 時は移りて新故を成す 是を以て
 五一九八     天地に前後有り 
 五一九九     萬物に新故有り                              (PB 373)
 五二〇〇     人は始終新舊の質を以て。駸駸たる者を追う。
 五二〇一     是に於て。將迎の間。智の畫する所有り。
 五二〇二     以て疑いを天地に爲す。今を以て故を觀れば。則ち鴻濛たり。
 五二〇三~〇四  後を以て今を觀れば。則ち今は胡ぞ鴻濛たらざらんや。 
 五二〇五     既往將來は 典籍の傳る所 事跡の推す所を除く 而して智の至らざる所なり 
 五二〇六     四方上下は 見聞の及ぶ所 思慮の至る所を除く 而して智の至らざる所なり 
 五二〇七     塞がる所に於て。而して強いて之を通ぜんと欲す。故に
 五二〇八     其の知る所は愈いよ廣くして 而して其の知らざる所は愈いよ遠し 
 五二〇九     其の知る所は愈いよ皦にして 而して其の知らざる所は愈いよ矒し 
 五二一〇     混混たる者をして粲粲たらしめんと欲す 
 五二一一     粲粲たる者をして混混たらしめんと欲す 
 五二一二     理を誣るに非ざれば。則ち自から蔽うなり。
 五二一三     過ぐれば 則ち後なり 
 五二一四     及ばざれば則ち前なり 
 五二一五     天は此の間に往來す 
 五二一六     物は此の間に生化す 
 五二一七     知運感應の爲す所 
 五二一八     當遇會違の成る所 
 五二一九     人に於ては。則ち治亂興廢。酬醋黜陟。皆な此に於てす。
 五二二〇    我は此に生化し。自から此に起滅す。
 五二二一    無際の有際を容れ 有窮の無窮に通ずるを知らず 
 五二二二    此の無窮を有窮に於て窮めんとするは。難し。
 五二二三(次行)
   [循環鱗比]萬物は成壊し 給資を用う有り 
 五二二四    衆期は始終し 旺衰を爲る有り 
 五二二五    循環する者は氣象なり 
 五二二六    鱗比する者は氣質なり 
 五二二七    循環する者は 各期 相い定まる 故に之を推すに 會違は數を出でざるなり 
 五二二八    鱗比する者は 各期 定まる無し 故に之に從うに 變化は豫す可からざるなり 
 五二二九     氣象は運轉し 天を周り地を周る 其の機は違わず 參差の中に整齋す 
 五二三〇     日を爲し年を爲し 章を爲し紀を爲す者は 歳なり            (PB 374, I 436b)
 五二三一     象質は升降し 天を行き地を立つ 其の機は定らず 整齋の中に參差す 
 五二三二     風雷雲雨 木壽豊倹なる者は 運なり 
 五二三三    是を以て循環する者は精なり 
 五二三四        周周は端無きなり 
 五二三五    生化は相い接す 
 五二三六    始終は相い依る 
 五二三七    鱗比する者は麁なり 
 五二三八    一過して跡を顯にす 
 五二三九    起滅して始終を爲す 
 五二四〇    旺衰して新故を爲す 而して
 五二四一    生化の天地に通ずるに於ては。則ち隔てざるなり。故に
 五二四二    各體は竝び立つ 
 五二四三    衆期は相い追う 
 五二四四    各體を大體に比するに 大體は無垠なり 
 五二四五    人は數を立て 而して后 物體の廣狹小大を比方す 
 五二四六    衆期を長期に比するに 長期は無際なり 
 五二四七    人は數を立て 而して後 經歷の久近長短を比方す 
 五二四八     人は已に立つ所有り。彼の循環鱗比を觀る。
 五二四九     循環は定度常期有れば 則ち
 五二五〇     各行を計えて而して會離を定めんと欲す 暦の起こる所なり 
 五二五一     鱗比は定度常期無くば 則ち
 五二五二     歳月を係けて而して長短を比べんと欲す 壽の用うる所なり 
 五二五三     天に長短の各期有り 
 五二五四     人は奇偶の數を設け 乘除して之を計う 
 五二五五     物に參差の變化有り 
 五二五六     人は書數の技を設け 連綿として之を記す 蓋し
 五二五七     天なる者は測る可からず。
 五二五八     人巧は接物の方を窮めんと欲す 故に
 五二五九     衡を立てて輕重を辨じ。
 五二六〇     量を立てて多少を知り。
 五二六一     度を立てて長短を測り。                          (PB 375)
 五二六二     漏を立てて久近を分つは。人の設なり。蓋し
 五二六三     處なる者は 天動地止の處なり 
 五二六四           虚する者は遠く浮く 
 五二六五           實する者は近くに沈む 
 五二六六           遠浮近沈は共に露す      而して
 五二六七           立つ者は能く容れ能く載す   而して
 五二六八           載の微は 此の廣大を露す 
 五二六九     時なる者は 神爲天成の時なり 
 五二七〇           前なる者は將に來らんとす 
 五二七一           後なる者は引て去らんとす 
 五二七二           將來引去は共に隠る      而して
 五二七三           當る者は随いて見れ随いて隠る 而して
 五二七四           當の忽は 此の攸久を成す 
 五二七五     物は 中を守りて立ち 外に向いて通ず 
 五二七六     神は 今に當りて活し 後に向いて息む 
 五二七七     物は通じて體を失う 
 五二七八     神は息して跡を留む 
 五二七九     跡を留めて神は息む 
 五二八〇     機を發して神は活す 
 五二八一     統散して各おの神を有す。而して小は則ち大に資る。故に
 五二八二     機は發して絶えず 之を生生と謂う 
 五二八三     跡は收して已まず 之を化化と謂う 
 五二八四~八六  循環なる者は 往復して期を爲す 始まる者は終る 終る者は始まる      (I 437a)
 五二八七~八八  鱗比なる者は 生死して期を爲す 死する者は息む 生する者は繼ぐ 
 五二八九     天物は長存の體なり 
 五二九〇     地物は毎換の體なり 
 五二九一     存換は同じからずと雖も。彼此は同じく通中に生化す。故に
 五二九二     體を存する者に於ては 則ち歳と曰い 暦と曰う 
 五二九三     體を換うる者に於ては 則ち場と爲し 壽と爲す 蓋し一なり。故に
 五二九四     循環する者に於ては 漏を置きて時を刻す 
 五二九五~九七  日の一周地の頃を 一百と爲す 月は天を周る 日は天を周る 
 五二九八     東西兩線の相い旋るは 頃を此に資る 故に
 五二九九     會離の紀は 亦た此に成る 
 五三〇〇     鱗比する者に於ては 則ち歳を定め日を立つ 
 五三〇一~〇二  日の一周天の頃を 歳と爲す 歳中は明暗を會す 月を置き日を置く 
 五三〇三     長短夭壽の經歷は 此に於て資る 故に
 五三〇四     今 循環する者は 人の資る所に就きて之を言えば 則ち
 五三〇五     日の一周地は一百刻 
 五三〇六     月の一周地は一百三刻 
 五三〇七     日の一周天は 三萬六千五百二十三刻にして贏る 
 五三〇八     月の一周天は 二千七百五十五刻にして贏る                 (PB 376)
 五三〇九     天の成る所を以て之を言えば 
 五三一〇     各各一期にして 期は定まるに由りて 推す所を逃れず 
 五三一一     鱗比する者は 人の資る所に就きて之を言えば 
 五三一二     長壽は千萬歳にして 
 五三一三     短期は夕を崇めず 
 五三一四     或いは數十歳 或いは十數日なり 
 五三一五     天の成る所を以て之を言えば 
 五三一六     各各一期 歳月の定期に比す 
 五三一七     此の長短を察するを得る 故に
 五三一八     奇偶を相い畳ねて。十を紀し百を紀す。皆な天の數に非ざるなり。
 五三一九    蓋し天地は大にして全  
 五三二〇      萬物は散にして小 
 五三二一~二二 全なれば則ち神本は力 敵す 敵すれば則ち持す 
 五三二三                  持すれば則ち久し 
 五三二四~二五 散ずれば則ち神本は力 偏す 偏すれば則ち傾く 
 五三二六                  傾むけば則ち顚る 
 五三二七    衆期の壽を天地に於て爭うこと能わざる所なり。
 五三二八     天地なる者は物を以て成る 
 五三二九     象質なる者は性を以て成る 
 五三三〇     象なる者は色を爲して見る 
 五三三一     質なる者は性を爲して露す 故に
 五三三二     日月景影は 色を虚中に於て見す 
 五三三三     水火湿燥は 性を實中に於て示す 
 五三三四     天地侌昜の物立ちて。星辰は上に散ず 
 五三三五               動植は下に聚る 而して
 五三三六     星辰は循環の物なり                            (I 437b)
 五三三七     動植は鱗比の物なり 
 五三三八     循環する者は其の期 攸久なり 
 五三三九     鱗比する者は其の期 斯須なり 
 五三四〇     鱗比の中にも亦た神本に長短有り。
 五三四一     本氣に富める者にして 而して能く久なり 
 五三四二     本氣に乏しき者にして 而して能く短なり 
 五三四三     神氣に富める者にして 而して能く變化す 
 五三四四     神氣に乏しき者にして 而して變化に拙し 
 五三四五     其の錯綜に至りては。則ち
 五三四六     實物攸久と雖も 而も鹵輭動植と壽を爭う能わず 
 五三四七     雲雨倏忽と雖も 而も朝菌蜉蝣は 旦夕を持せず 夫れ            (PB 377)
 五三四八     地は止り天は行く 
 五三四九~五〇  天は令し地は奉ず 是に於て天は日月を率いて  明暗照蔽す 
 五三五一                  地は從い天は行きて 寒熱肅舒す 
 五三五二     人は其の事を紀して暦と曰う 乃ち晦望會離 晝夜冬夏の事なり 
 五三五三     時は移りて物は換り 人は運し事は變ず 是に於て
 五三五四     萬物變動の事 人世換革の態は 其の事を紀して史と曰う 乃ち
 五三五五     日月山河 人物鳥獸の事なり 是を以て
 五三五六     各周・各轉・各期を爲す者は 天の暦なり 
 五三五七     各周を相い比し 其の久近を方べ 
 五三五八     止地に立ちて轉天を觀 規矩を建てて 會違を正す者は 人の暦なり      (PB 378)
 五三六七      方位
 五三六八[方位]坱然たる其の處。物は之を得て居る。然り而して
 五三六九    物は則ち神を得て活す 
 五三七〇    神は則ち物を得て立す 
 五三七一    坱坱は位を得ざれば 則ち爭でか能く  物を容れん 
 五三七二    活動は方を得ざれば 則ち焉んぞ能く其の神を行わん 故に
 五三七三    位なる者は 立つ所の地なり 
 五三七四     物は處を得ざれば則ち居らず 
 五三七五       位を得ざれば則ち立たず 
 五三七六     植は地に著きて立つ 
 五三七七     動は地に依りて立つ 
 五三七八     依著は異なると雖も。而も之を立つるに地に由るに於ては則ち同じきなり。
 五三七九     我と物と。已に位に由りて立つ。小に由りて大を察するに。
 五三八〇     天地は位を得ざれば則ち立たず。故に
 五三八一     天は地を得て居る 
 五三八二     地は中を得て立つ 故に
 五三八三     外は容れざる所莫し 
 五三八四     中は載せざる所莫し 
 五三八五    方なる者は 行く所の路なり 
 五三八六     車を置けば則ち箱 舟を泛かぶれば則ち水 故に
 五三八七     上に在らざれば則ち下なり 
 五三八八     左に在らざれば則ち右なり 居る者は位を以てせざること能わず         (I 438a)
 五三八九     車を行れば軌に從う 舟を行れば風に從う 故に
 五三九〇     東に方せざれば則ち西なり 
 五三九一     從いて行かざれば則ち衡う 行く者は方を以てせざる能わず 
 五三九二    位は基を爲して 物は以て此に立つ 
 五三九三    方は路を爲して 氣は以て此に行く 故に
 五三九四    宇宙なる者は。經緯の通塞なり。
 五三九五    時の袞袞は 前後 方を爲す 
 五三九六    處の坱坱は 中外 位を爲す 
 五三九七    共に其の精なる者なり。
 五三九八    神は轉持を見す 
 五三九九    物は天地を露す 
 五四〇〇    愈いよ其の方位に由る。
 五四〇一[形體]天地なる者は物なり。
 五四〇二    物なる者は虚實の體 
 五四〇三~〇四      正斜の形 を以てして其の位に處す 
 五四〇五                   其の方を行く 故に
 五四〇六    氣は動くと雖も 而も其の形は靜なり 
 五四〇七    時は通ずと雖も 而も其の位は立つ 
 五四〇八    位は形の靜を以て定る 
 五四〇九    形は位の立を以て成る 是に於て
 五四一〇    形は位に由りて理を布く 
 五四一一    位は理に由りて中を定む 
 五四一二    形位は相い成ると雖も。而も未だ虚實の體を得ざれば。
 五四一三    物は何を以てか立たん。故に
 五四一四    物は形を舍てて存せず 
 五四一五    形は物を除きて成らず 然り而して
 五四一六    物體は形に依らずして立つこと能わず。
 五四一七~一八 中は地を無内に占む 而して其の外は垠り無し 故に位は立ちて圓 成る 
 五四一九~二〇 守は中を兩頭に見す 而して其の縫は腹を爲す 故に矩は立ちて規を成す 此の故に
 五四二一    位は以て其の地を定む 
 五四二二    形は以て其の體を成す 
 五四二三    大物なる者は。動氣實體なり。                         (PB 386)
 五四二四    實體は位を得ざれば 則ち居ること能わず 
 五四二五    動氣は方を得ざれば 則ち行く可からず 而して
 五四二六    其の實體の立は。動氣の活を以てなり。是を以て
 五四二七    持中に在ては 則ち嘑噏に動く 
 五四二八    轉中に在ては 則ち運轉に動く 故に
 五四二九    位なる者は 體の立つ所なり 
 五四三〇    方なる者は 氣の向う所なり 
 五四三一    體立ちて神其の中に活す 
 五四三二    方定りて氣其の中に運す 
 五四三三[四紀]蓋し體なる者は立す 
 五四三四      神なる者は運す 
 五四三五    體は乃ち形を外に成す 形を成す者は 能く内なる者を統ぶ  (形の右に外と傍記。)
 五四三六    神は乃ち理を内に成す 内を成す者は 能く外なる者を貫く 故に
 五四三七    發する者は氣を中に資る 
 五四三八    收むる者は體を中に歸す 
 五四三九    中外なる者は坱坱の位なり。
 五四四〇    時今の古今を行くと偶するなり。故に
 五四四一    大小は體を有す 而して
 五四四二    中外は體を没す 
 五四四三     持際は内を爲す 
 五四四四     轉際は外を爲す 故に
 五四四五     内は能く輻持す 
 五四四六     外は能く輪轉す 
 五四四七     中なる者は 無内の一點なり 
 五四四八     外なる者は 無垠の坱坱なり 故に
 五四四九~五〇  地持なる者は小なり 小なる者は猶お容るるの内有り 
 五四五一     容るるの内無き者にして  而して後
 五四五二     物として載せざる者莫し 物として載せざる者莫きが故に天地之に乘りて止る 
 五四五三~五四  天轉なる者は大なり 大なる者は猶お容らるるの處有り             (PB 387)
 五四五五     容らるるの處無き者にして 而して後
 五四五六     物として容れざる者莫し 物として容れざる者莫きが故に天地之に居りて立つ 
 五四五七    天地は一圓體なり。
 五四五八    氣は見れ體の露するよりして之を分てば。則ち
 五四五九    地は中を地心に於て占む 
 五四六〇    天は中を轉心に於て占む 
 五四六一~六二 轉心は中を兩端に貫く 外なる可き者は縫を半の地に合す 
 五四六三~六四 地心は中を無内に占む 外なる者は無垠に位す 故に
 五四六五    天地より之を言えば 山壑水燥を載するの地は 中の一點に乘る 
 五四六六              日月景影を容るるの天は 外の無垠に居る 
 五四六七    覆載より之を言えば 覆おう所の日月景影は外を成す 
 五四六八              載する所の山壑水燥は内を成す 
 五四六九              轉持は内外を爲す 
 五四七〇              轉守は中端を爲す 是を以て
 五四七一              轉内は持を裹む 
 五四七二              持外は轉を載す 
 五四七三    斜より之を言えば。規中は能く守る 
 五四七四             守外は能く轉ず 
 五四七五             轉じて西を爲す 
 五四七六             守って北を爲す 
 五四七七             西面は象に逆う 
 五四七八             北外は守を環る 
 五四七九             逆を東と爲す                       (PB 388)
 五四八〇             環を南と爲す 
 五四八一    西北は則ち天の定方なり 
 五四八二    上下は則ち地の靜位なり 
 五四八三    東南は則ち轉の動方なり 
 五四八四    内外は則ち持の動位なり 
 五四八五~八七  氣は動靜を分ちて 動は轉じ靜は持す 外を轉處と爲す 
 五四八八                       内を持處と爲す 
 五四八九~九〇  物は虚實を分ちて 虚天實地は 下を地體と爲す 
 五四九一                    上を天體と爲す 
 五四九二     内下は則ち本なり 本なれば則ち中に歸して止る 
 五四九三     外上は則ち末なり 末なれば則ち坱坱に之きて際涯無し 
 五四九四     轉は運を分つ。而して背馳を爲す。是に於てか。
 五四九五     氣は東西南北を運す。
 五四九六     混焉たる大物は 中を以て其の依と爲す 
 五四九七     上下内外の位の本づく所は 散結發收の由る所なり 
 五四九八     滾焉たる轉氣は 極を以て其の依と爲す 
 五四九九     東西南北の方の成る所は  嘑噏運轉の資る所なり 是に於て
 五五〇〇     動は其の形を斜にす 而して以て方を行く                    (I 439a)
 五五〇一     靜は其の形を正にす 而して以て位に居る 
 五五〇二     車は輪を有すると雖も 而も輪は軸に依りて旋らざること能わず 
 五五〇三     軸は旋に幹たりと雖も 而も軸は輪を用いて行かざること能わず 是を以て
 五五〇四     西に向いて旋る者は 氣なり 
 五五〇五     正立して之を西に向わしむる者は 氣の幹なり 故に之を西軸と爲す 
 五五〇六     東に向いて旋る者は 運なり 
 五五〇七     斜側して之を東に向わしむる者は 氣の幹なり 故に之を東軸と爲す 
 五五〇八     西軸は止りて其の位を守る 
 五五〇九     東軸は動きて西軸を環る 故に
 五五一〇     東西なる者は。 各 輪旋すれば。則ち
 五五一一     東西に指點の地無し。唯だ
 五五一二     運輪は其の一規に通じて 東せざる所莫し 
 五五一三     轉輪は其の一規に通じて 西せざる所莫し 
 五五一四     已に一規に通じて 西せざる所莫ければ 則ち其の軸を爲して守る者は 
 五五一五     兩端に通じて 而して北せざるを得ず         (其のを欠くか。)
 五五一六     已に一規に通じて 東せざる所莫ければ 則ち其の軸を爲して環る者は      (PB 389)
 五五一七     其の兩端に通じて 而して南せざるを得ず 是の故に
 五五一八     西北の方なる者は竪なり 
 五五一九     東南の方なる者は横なり 
 五五二〇     人は天地の半を以て。己の天地と爲す。
 五五二一     其の中央に立ちて。衡從 之を望む。是に於て守軸は兩端を爲す。
 五五二二     一を北と爲す 
 五五二三     一を南と爲す 
 五五二四     日去るの方を西行中線の向う所に取りて 以て西と爲す 
 五五二五     日來るの方を西行中線の背く所に取りて 以て東と爲す 是を以て
 五五二六     靜を言いて動を遺す者は。未だ全を言うに足らず。
 五五二七     然りと雖も竪は兩向を爲して。而して人は半體の天地に在り。
 五五二八     動なる者は定まらざれば。則ち定まる者に就きて方を取る。
 五五二九     定まる者に就きて方を取れば。則ち靜規矩に從う。
 五五三〇~三一  東西南北を定めるは。亦た人の以て廢す可からざる者なり。是を以て
 五五三二     全方なる者の 動靜の規矩に成るは 天なり 
 五五三三     偏方なる者の 十字の衡從に成るは 人なり 
 五五三四    是を以て升降は内に輻持す 
 五五三五~三六     運轉は外に輪轉す 運すれば則ち東す 
 五五三七~三八              轉ずれば則ち西す 西は則ち北を守る 
 五五三九                          東は則ち南を守る 故に
 五五四〇    上下内外は 圓を以て其の中に成る 之を心と謂う 
 五五四一    東西南北は 矩に由て其の中に成る 之を極と謂う                (I 439b)
 五五四二~四三  一は必ず二を具す。是を以て靜圓は中外を得れば 則ち
 五五四四                  動直も亦た中外を得る 唯だ
 五五四五~四六  靜圓は中を得て以て無内を成す 外を得て以て無外を成す 
 五五四七~四九  動直は中を得て以て至狹を爲す 外を得て以て至廣を爲す 極の成る所なり。
 五五五〇     形なる者は圓にして直を成す 故に直圓は正形を爲す 
 五五五一     理なる者は直にして圓を成す 故に規矩は斜形を爲す              (PB 390)
 五五五二     規矩は理を經緯に分つ 
 五五五三     直圓は形を内外に混ず 故に
 五五五四~五五  中外の成る所は。直圓 各 有り。之を平にすれば則ち中邊なり 
 五五五六~五七                  之を長くすれば則ち中端なり 剖析の成る所なり。
 五五五八[中外]物なる者は中を得て立つ 
 五五五九         外を得て居る 是を以て
 五五六〇    機は止を中に得ざれば 則ち動く可からず 
 五五六一    體は居を外に得ざれば 則ち實す可からず 
 五五六二    天地は物を同じくせず 故に 各 其の位に立つ 
 五五六三    象質は動を同じくせず 故に 各 其の方に行く 是を以て
 五五六四    位は靜を以て立つ 
 五五六五    方は動を以て見る 
 五五六六    中は坱然の外を貫く 實する有りて氣を給す 
 五五六七    外は眇焉の點を藏す 剛を以て物を保す 
 五五六八    物は則ち之を給するの氣に資る 
 五五六九    氣は則ち之を保するの氣を養す 
 五五七〇    資給養保は。此の間に居る 
 五五七一~七二       此の間に行く 故に物立は中外に由る 
 五五七三                   事行は向背を爲す 故に
 五五七四    氣象なる者は 時の物 動きて其の居を常にせず 是を以て方を有す 
 五五七五    氣質なる者は 處の物 止りて其の居を變えず  是を以て位を有す 故に     (PB 391)
 五五七六~七二 行く者は氣なり 路は乃ち其の方 隠然たりと雖も 而も行く者は由らざるを得ず 
 五五七八~七八 居る者は物なり 宅は乃ち其の位 邃然たりと雖も 而も居る者は立たざるを得ず 此の故に
 五五八〇    機なる者は見氣 動止の麁跡は都べて動に入る 
 五五八一    體なる者は露物 虚實の麁體は同じく靜を爲す 是を以て
 五五八二    方位は。處を物に於て定め。事を物に於て立つ。
 五五八三    物は外を得て居り 中を得て立つ 
 五五八四    氣は外を得て行き 中を得て止る 
 五五八五    居る者は移る 
 五五八六    行く者は復す 
 五五八七    止りて定まる 
 五五八八    立ちて靜なり 夫れ
 五五八九    處は物を容る 
 五五九〇    物は處に居る 
 五五九一    處は方位を容る 
 五五九二    物は方位を成す 而して
 五五九三    物に大小有り。小處は小方位を成す。                      (I 440a)
 五五九四     素にして塊なり 
 五五九五~九六  文にして歧なり 物形の態然り。
 五五九七     塞體なる者は 正圓正直なり 
 五五九八     質は内に在り 
 五五九九     氣は外に在り 
 五六〇〇     下は内に合す 
 五六〇一     上は外に合す 
 五六〇二     通體なる者は 斜圓斜直なり 
 五六〇三     南北は相い背く 
 五六〇四     東西は相い面す 
 五六〇五     日影の照蔽する所と 
 五六〇六     兩極の隠見する所は 
 五六〇七~〇八  必ず地の半を分つ。人は地の半に倚りて。以て輿地を平望す。
 五六〇九     日の出入に從いて 而して東西 成る 
 五六一〇     極の隠見に由りて 而して南北 分る 
 五六一一     縄は上下を生ず 
 五六一二     身は中邊を定む                              (PB 392)
 五六一三     規矩を衡從して。東西南北を定む。是れ人の地面の條理に從いて。而して
 五六一四     方位を定むる者なり。人は又た其の形に就きて方位を分つ。則ち
 五六一五     前後左右。本末内外。以て紀す。此を以て彼に比す。
 五六一六     天に合する所の上下内外は 我に於て本末内外を分つ 
 五六一七     地に有する所の東西南北は 我に於て前後左右を爲す 
 五六一八    小物は小天地を成す 
 五六一九    小大は同じく天地を有す 
 五六二〇    小大は 各 方位を具す 
 五六二一    衡從横竪の條理は。上下内外の位 
 五六二二             東西南北の方 之を四紀と謂う。
 五六二三    上下は中外に合す 
 五六二四    表裏は内外に合す 
 五六二五    衡從は東西南北に合す。
 五六二六    小物は本末内外の位 
 五六二七       前後左右の方を資りて爲す 
 五六二八    動植は又た其の中に反す。
 五六二九    動本は上に在り     
 五六三〇    植本は下に在り 
 五六三一        (編集による空白)
 五六三二    外は則ち表皮なり 
 五六三三    内は則ち裏肉なり 
 五六三四    前後左右を。動は身の面背手足に於て分つ 
 五六三五          植は葉の面背中邊に於て見す 
 五六三六    彼此は類を異にするを以て。而して其の氣を異にす。氣の異なるを以て。      (PB 393)
 五六三七~三八 理形方位は同じからざるなり。故に日月星辰の其の行を經緯にする 
 五六三九                    雲雷水火の其の行を升降する 
 五六四〇                    山壑の拗突  
 五六四一~四二                 水潮の流遡は 理に随いて變化す。
 五六四三    天地は已に成器を得。已に其の物を全す。
 五六四四    成器は絪縕し。物は其の中に生ず。 
 五六四五    動植は形を塊歧に於て分つ 
 五六四六       理を邪曲に於て爲す                           (I 440b)
 五六四七     植は地に著きて竪立す 
 五六四八     動は地を離れて横行す 
 五六四九     動植の竝立は。塊歧に随う。次第に其の文を開く。
 五六五〇~五一  金石も亦た植なり 其の形を塊然とす 而して艸木は則ち歧然として文を開く 
 五六五二~五三  介甲は亦た動なり 其の形を塊然とす 而して禽獸は則ち歧然として文を開く 故に
 五六五四~五五  金石は僅に内外有り。未だ本末を得ず。艸木鳥獸にして。漸く本末有り。而して
 五六五六     艸木は 本を下にし末を上にす 
 五六五七     鳥獸は 本を上にし末を下にす 
 五六五八     植なる者は質物 養を下より資る 
 五六五九     動なる者は天物 養を上より受く 
 五六六〇     動に首尾と曰う 
 五六六一     植に根幹と曰う 
 五六六二     首尾根幹。上下は同じからずと雖も。而も
 五六六三     艸木は 精華を末に發し 
 五六六四~六五  鳥獸は 精華上に在れば 則ち終に一本末に歸す。
 五六六六    亦た 各 其の分に随う。 各 其の方位を具す。
 五六六七     内外なる者は皮肉の分なり 
 五六六八     本末なる者は首尾の位なり 
 五六六九     人の前後左右有るは 猶お
 五六七〇     地の東西南北有るがごとし 而して
 五六七一     頂の前後より。竝び下りて臗に至るを中界と爲す。
 五六七二     人の此の界を有するは 猶お
 五六七三     天の中線を有するがごとし 
 五六七四     人は地上に在りて。半天地を以て全天地と爲す。
 五六七五     圓體を觀て。而して平體と爲す。其の見界に從いて。四方を定む。        (PB 394)
 五六七六     是れ以て能く見界の條理を正すと雖も。而も直圓の眞を遺す。
 五六七七     身に中界有りて左右を分つは 
 五六七八     地に中線有りて南北を分つに同じ 
 五六七九     南北は則ち同様なり 
 五六八〇     彼れ寒ければ則ち此れ熱し 
 五六八一     彼れ動けば 則ち此れ止る 
 五六八二     左右は則ち同形なり 
 五六八三     左持すれば則ち右轉ず 
 五六八四     右行けば 則ち左止まる 
 五六八五     南北は迭互の序有り 
 五六八六     左右は迭互の用有り 
 五六八七     天行は東より進み   東に向きて退かず
 五六八八     人行は前に向いて進み 後に向いて退く能わず 是を以て
 五六八九     左右は南北に應ず 
 五六九〇     前後は東西に應ず 而して
 五六九一     南北は則ち其の用を均しくす 
 五六九二     左右は則ち利鈍有る者なり。蓋し
 五六九三     我は半天地を以て。全天地と爲す。
 五六九四     又た中線を分ちて 各 處を分つ。故に
 五六九五     北人は身を西線の北に於て偏にして 偏北を其の正地と爲す 
 五六九六     南人は身を西線の南に於て偏にして 偏南を其の正地と爲す 然れば則ち
 五六九七~九八  北人左右の利鈍は。南人の反を爲すか。
 五六九九     或いは佗に反する者有りて我未だ識らざるか。                 (I 441a)
 五七〇〇     姑く存して他日を待たん。
 五七〇一    故に人は方を得て行かざれば則ち躓く 
 五七〇二        位を得て立たざれば則ち顚る 
 五七〇三~〇四  天は則ち方位と立行と一なり 故に其の位有れば則ち立つ 
 五七〇五                     其の方有れば則ち行く 
 五七〇六     人は則ち方位と立行と別なり 故に 
 五七〇七     能者は其の位を安じ 其の道に由る 
 五七〇八~〇九  不能者は則ち顚躓に至る 是を以て人位は則ち安危有り 
 五七一〇                     人道は則ち淑慝有り 
 五七一一     内に情欲意智を畜うるに由る。是を以て
 五七一二     人生は天の自然に及ばず。
 五七一三     人情は天則を得て之に法らんと欲す。
 五七一四~一五  故に以て道を修するなり。若し能く之に法れば。則ち徳を以て其の位に居る 
 五七一六                             道を以て其の方に由る   (PB 395)
 五七二二[動靜]神本に在りては則ち活立す 
 五七二三    天神に在りては則ち機跡す 
 五七二四    宇宙に在りては則ち通塞す 
 五七二五    天地に在りては則ち動止す
 五七二六    徳に居る 
 五七二七    道に行く 
 五七二八    物に定む 
 五七二九    事に變ず 
 五七三〇    轉に轉ず 
 五七三一    持に持す 
 五七三二    華に發す 
 五七三三    液に收む 
 五七三四    往くとして動靜に非ざる莫し。動靜は是れ機。廼ち本根の精なり。
 五七三五    此の氣は以て華液を發收す。故に
 五七三六    靜なる者は其の精 以て隠る 
 五七三七    動なる者は其の麁 以て見る 
 五七三八1   靜を以て。神に路す 
 五七三八2        物に宅す 
 五七三八3   已に能く路宅を爲す。故に物の露する。虚天實地。皆其の中に在り。
 五七三九    其の運轉升降。拗突高下。芸芸擾擾。皆な靜に由りて紀す。是を以て
 五七四〇    動に非ざれば見る可からず 
 五七四一    靜に非ざれば位す可からず 故に                        (PB 399)
 五七四二    動なる者は止地を得て 變擾 以て紀する有り 
 五七四三    靜なる者は動天を得て 蘊奥 以て發する有り 
 五七四四    中なる者は止の宗なり。
 五七四五    止なる者は靜の位に就きて言うの辭なり。
 五七四六~四七 氣物は天地を結びて。其の質は地に實す 
 五七四八              其の氣は轉に達す 故に
 五七四九~五〇 天地は動止を分ちて。止まる者は天を散じ地を結ぶ 
 五七五一              動なる者は天を轉じ地を持す 
 五七五二    轉中は以て運轉環守す                             (I 441b) 
 五七五三    持中は以て嘑噏發收す 故に
 五七五四    靜は則ち天の體 混淪の物の宅する有り 
 五七五五    動は則ち神の用 鬱浡の氣の活する有り 故に
 五七五六    塞する者は靜なり 天は容れ物は居り 動の跡を見さず 
 五七五七    通ずる者は動なり 時は率い期は從い 靜の物を見さず 
 五七五八    止まる者は動かず 
 五七五九    位は立ちて物は居る 
 五七六〇    形は成りて體は立つ 
 五七六一    動なる者は止まらず 
 五七六二    象は旋り歳を爲す
 五七六三    質は動き運を爲す 
 五七六四    轉ずる者は轉守す 
 五七六五    持する者は持止す 
 五七六六    發する者は鬱發す 
 五七六七    收むる者は肅結す                               (PB 400)
 五七六八    剖に從いて機有り。
 五七六九(次行)
  [本通塞神物]蓋し體は天地を成す 
 五七七〇      性は天神を成す 
 五七七一~七二 相い得て物の神を含むや。坱坱に居る 
 五七七三                袞袞に行く 
 五七七四                坱坱は處を爲す 
 五七七五                袞袞は時を爲す 
 五七七六     坱坱は未だ方位を見ず 象質 動きて方位を見す 
 五七七七     袞袞は未だ歳運を見ず 象質 交りて歳運 成る 
 五七七八     坱坱は其の處なり 内外は散結を容る 
 五七七九     袞袞は其の時なり 往來は歳運を成す 
 五七八〇     散結は能く塞る 
 五七八一     往來は能く通ず 
 五七八二     塞する者は以て居る 
 五七八三     通ずる者は以て行く 
 五七八四     通じて行く者も亦た塞りて住す 
 五七八五     塞りて居る者も亦た通じて移る 
 五七八六     居る者は其の體を常にす 
 五七八七     行く者は其の體を移す 
 五七八八     昨の天地は 今に收む可らず 以て住の移を觀る 
 五七八九     今の事物は 昨に遺す所無し 以て移の住を觀る 
 五七九〇     是を以て通塞は精なりと雖も。亦た一動一靜の間なり。
 五七九一    時處は 天なり 
 五七九二    神物は 物なり 
 五七九三    天は能く物を容る 
 五七九四    物は能く天に居る 是を以て       (安永本からの復元。)
 五七九五    天地は天神を用う 
 五七九六    天神は天地に體す 是を以て
 五七九七    住して處を爲す者と雖も而も移る 
 五七九八    逝きて通を爲す者と雖も而も住す 
 五七九九    處は容れて物は居る 
 五八〇〇    天は有して神は發す 
 五八〇一    時は通じて神は運ぶ 
 五八〇二復元1 是を以て處なる者は靜なり 
 五八〇二復元2     物なる者は止なり 
 五八〇三    止る者は中を得て 而して止る                         (PB 401)
 五八〇四    運ぶ者は外を得て 而して居る 是に於て
 五八〇五    處は塞して物は居る 
 五八〇六    時は通じて期は從う 
 五八〇七    常なる者は歳を以て而して成る 
 五八〇八    變する者は運を以て而して成る    (成るを爲すに訂正傍記。)
  [歳運轉持] 蓋し率いる者は袞袞なり 行く者は緩急を爲す 
 五八一〇      容るる者は坱坱なり 居る者は動止を爲す 
 五八一〇復元1 緩急なる者は經の機なり 
 五八一〇復元2 動止なる者は爲の機なり 
 五八一一    經通は發收の物に由りて 而して歳運を成す 
 五八一二    緯動は散結の物に從いて 而して轉持を成す                   (I 442a)
 五八一三     神なる者は物を用いる者なり 
 五八一四     物なる者は神に體する者なり 故に
 五八一五     袞袞坱坱。氣は動き物は止る。
 五八一五復元1  一は統べ而して二は分る。故に
 五八一六     各體は物を爲す 
 五八一七     各神は事を用う 
 五八一八     物は虚に 非ざれば則ち實す 
 五八一九     用は居るに非ざれば則ち行く 故に
 五八二〇     天動地止は 居りて動く 
 五八二一     神爲天成は 立ちて行く 故に
 五八二二     運轉環守  嘑噏發收なる者は  動止なり 
 五八二三     歳運の消長 象行の盈縮なる者は 緩急なり 是を以て
 五八二四     體に居り氣に行く。以て事物成る。
 五八二五     没露體用。往くとして然らざる無きなり。
 五八二六    大小の間は。則ち大は天地を以て動止す 
 五八二七~三三   (欄外加筆につき削除。)
 五八三四    大は天地を以って動止す 
 五八三五    小は天地に由りて動止す 
 五八三六    天地を以ってする者は 行居 方位を露せず 
 五八三七    天地に由りてする者は 行居 各方位に由る                   (PB 402)
 五八三八(次行)
  [入形理]  蓋し物の没露は。體の虚實に由る。
 五八三九    體は形に由りて成る 
 五八四〇    形は理に由りて成る 
 五八四一    理なる者は氣の道路なり 
 五八四二    形なる者は體の容貌なり 
 五八四三    氣 運ばざれば則ち形成らず。
 五八四四    形 見れざれば則ち物立たず。
 五八四五    體は氣物性體。全偏大小を有す。
 五八四六    性 異なれば則ち物も異なり。
 五八四七    物 異なれば則ち理も異なり。
 五八四八    理 異なれば則ち形も異なり。
 五八四九    各氣は各理に随う。
 五八五〇    各理は各物に成る。是を以て
 五八五一    天地は止を以て主と爲す 圓は直を含む 
 五八五二    轉持は動を以て主と爲す 矩は規を成す 
 五八五三    靜に直圓と謂う 
 五八五四    動に規矩と謂う 
 五八五五    規に動西有り 氣は從いて運轉す     (動を東に訂正傍記。)
 五八五六    矩に南北有り 氣は從いて嘑噏す 而して
 五八五七    圓は内外を成し 氣は此に轉持す 
 五八五八    直は上下を有し 氣は此に發收す 
 五八五九    内外なる者は圓の位なり 
 五八六〇    上下なる者は直の位なり 
 五八六一     轉持なる者は 氣なり 轉位は外を占む 持位は内を占む 
 五八六二     天地なる者は 體なり 天位は上を占む 地位は下を占む             (PB 403)
 五八六三     天は圓を以て形と爲す 
 五八六四     地は直を以て理と爲す 
 五八六五     轉は規を以て形と爲す                             (I 442b)
 五八六六     持は矩を以て理と爲す 
 五八六七     天なる者は動なり 
 五八六八     地なる者は止なり 
 五八六九     天は動を以て運轉し東西を分つ 
 五八七〇     地は止を以て環守し南北を分つ 故に
 五八七一     天は運轉を以て動き 環守を以て止る 
 五八七二     地は土石を以て止り 嘑噏を以て動く 
 五八七三     運轉は東西に在り 
 五八七四     嘑噏は南北に在り 
 五八七五     天地は理を圓中の直に於て共にす。而して以て規矩を爲す。
 五八七六     圓を以てして 而して氣は轉じて西に面す 
 五八七七               象は運して東に面す 
 五八七八     直を以てして 而して侌は噏いて昜は嘑く 
 五八七九               南北は代がわる面す 是を以て
 五八八〇     天氣は南に噏えば 則ち
 五八八一     地氣は北に發す 而して
 五八八一1(復元)其の用は半面に在り。
 五八八二     而して其の間は則ち水燥の遊ぶ所なり。
 五八八三     下より發して升る 
 五八八四     上より結んで下る 蓋し
 五八八五     地體なる者は止る 萬質は皆な親しんで此に著く 
 五八八六     天氣なる者は動く 萬象は皆な親しんで此に之く 
 五八八七     天を親しんで氣に之けば 則ち其の勢は輕を爲す 
 五八八八     地を親しんで質に著けば 則ち其の勢は重を爲す 此を以て
 五八八九     輕浮の勢 勝れば 則ち重と雖も沈むこと能わず 
 五八九〇     重沈の勢 勝れば 則ち輕と雖も浮くこと能わず 
 五八九一     人造を以て之を言うに。彼の舟の如し。
 五八九二     虚は以て輕浮の氣を盛る。輕浮を盛るを以て。而して
 五八九三     重沈も之が爲に擧げらる。而して浮くを得る。故に。
 五八九四     沈實の重は 其の輕に輸れば則ち沈まず 
 五八九五     輕浮の勢は 其の重に輸れば則ち浮かず 
 五八九六     是を以て輕浮重沈の勢は。もと胡越に非ざるなり。
 五八九七     何となれば則ち今試みに氣中より縄を以て石を繋ぎて 而して
 五八九八     諸を千仞の岸に下せば 
 五八九九     重は下に援きて 而して力は復た擧ぐ可からず 
 五九〇〇     又た試みに姑く身を水底に潛め 
 五九〇一     空器に氣を盛り 
 五九〇二     綸して諸を千尋の上に上ぐれば        (安永本より復元。)
 五九〇三     輕は上に引きて 而して力は復た潛む可からず 蓋し
 五九〇四     勢は反し。力は侔しく。事は殊にして意は同じ。                 (PB 404)
 五九〇五~一〇       (編集による空白。) 
 五九一一(次行)
  [天地水火] 轉持なる者は 動の天地を爲す 
 五九一二    虚實なる者は 靜の天地を爲す 
 五九一三    體は形を得て成る 
 五九一四    氣は性を得て成る 
 五九一五    氣物は體なり 
 五九一六    侌昜は性なり 
 五九一七1復元 體は物を爲せば則ち天地なり 
 五九一七2復元 性は物を爲せば則ち水火なり 
 五九一八    天地は能く運轉嘑噏す 
 五九一九 復元  天に気象有り。氣は動き象は靜なり。氣は則ち一東一西なり 
 五九二〇     西なる者は北を以て守る 
 五九二一     東なる者は南を以て環る 
 五九二二     象は則ち一聚一散なり 
 五九二三     聚まる者は明にして熱なり 
 五九二四     散ずる者は暗にして寒なり 
 五九二五     氣は能く東すと雖も 而も東する者は象を主と爲す                (I 443a)
 五九二六     象は能く西すと雖も 而も西する者は氣を主と爲す 
 五九二七     若し西行を以て 象 之に随うと爲さば 則ち
 五九二八     何を以てか日月星辰は相い南北せん 
 五九二九     若し東行を以て 專ら象の行と爲さば 則ち
 五九三〇     恒星は何を以てか齋しく東西せん 然り而して
 五九三一     日は轉じ影は移り 月は疾く星は遲きに由りて之を觀れば 則ち
 五九三二     象中に緩急有り 
 五九三三     西する者は守り定まりて疾く 
 五九三四     東する者は守り環りて遲きに由りて之を觀れば 則ち
 五九三五     氣中も亦た緩急有り 故に
 五九三六     分ちて之を言えば 則ち氣は西し象は東す 
 五九三七     合して之を言えば 則ち氣象は各おの東西す 蓋し
 五九三八~三九  西轉の一周は則ち攸遠 西する者の軸は 北を爲して立なり 
 五九四〇     北する者の輪は 西を爲して横なり 
 五九四一     其の中線の一規は 卽ち西中なり 
 五九四二~四三  東運の一周は則ち遠し 東する者の軸は 南を爲して立なり 
 五九四四     南する者の輪は 東を爲して横なり 
 五九四五     其の中線の一規は 卽ち東中なり 
 五九四六     故に北軸は常に守る 
 五九四七       南軸は常に環る 
 五九四八     環る者は其の行遲し 
 五九四九     守る者は其の行疾し 且つ
 五九五〇     西する者は氣を轉ず 
 五九五一     東する者は象を運す                            (PB 405)
 五九五二     象は東旋に由りて運すと雖も。亦た各自に行を爲す。
 五九五三     日なる者は。象の主なり。路は東中に縁る。故に
 五九五四     參差の間。準を日行に於て取る。蓋し
 五九五五     西する者を以て正と爲れば。則ち東する者は斜なり。
 五九五六     猶お舟の將に行かんとして。而して正しく風に對す可からずして。勢を避けて斜に走るがごとし。
 五九五七     蓋し天地の機は。一動一止なり。
 五九五八     動は外に在れば則ち東西す 
 五九五九       内に在れば則ち嘑噏す 
 五九六〇     東西と嘑噏と同じく氣なり。
 五九六一~六二  天の轉を爲す 東 明なれば則ち西は暗なり 
 五九六三            西 明なれば則ち東は暗なり 
 五九六三1(復元)故に一線東行すれば則ち一線西行す 
 五九六四     物は之に從いて一動一息す 
 五九六五~六六  地の持を爲す 南 寒ければ則ち北は熱す 
 五九六七            北 寒ければ則ち南は熱す 
 五九六七1(復元)故に一邊の氣嘑すれば則ち一邊の氣噏す 
 五九六八     物は之に從いて一長一消す 故に
 五九六八1(復元)地氣なる者は燥なり 此に從いて升る 
 五九六八2(復元)天質なる者は水なり 此に從いて降る 故に
 五九六九     日影は東西の中に在りて東西す 
 五九七〇     水燥は上下の中に在りて上下す 
 五九七一     上升下降 上面始めて轉ず 
 五九七二     東運西轉 下面始めて持す 
 五九七三     天の偏覆する無きは 西するを以てなり 
 五九七四     日の偏照する無きは 東するを以てなり 故に
 五九七五     氣に東西の轉有り 
 五九七六     象に順逆の行有り 
 五九七七     西轉は日をして逆行して以て年を成さしむ 
 五九七八     東轉は日をして順行して以て歳を成さしむ 是に於て
 五九七九     氣は東西南北すれば 則ち
 五九八〇     象は明暗寒熱す 
 五九八一     明暗は東西を得て晝夜を成す 
 五九八二     寒熱は南北を得て冬夏を成す 
 五九八三    華液は能く鬱發凝融す                              (I 443b)
 五九八四     天地なる者は體物 處を 得て居る 
 五九八五     華液なる者は性物 天地を得て居る 是を以て
 五九八六     天地は運轉嘑噏有り 
 五九八七     華液は鬱發凝融有り 其の事は同じ。
 五九八八     鬱昜は發して火を爲す 
 五九八九     凝侌は融けて水を爲す 
 五九九〇     天地なる者は長持の物 解結聚散は緯に於て成る                 (PB 406)
 五九九一     水火なる者は相換の物 解結聚散は經に於て成る 而して
 五九九二     鬱する者は止る 
 五九九三     發する者は動く 
 五九九四     凝する者は收む 
 五九九五     融する者は發す 
 五九九六(次行)
  [運轉嘑噏] 夫れ天なる者は圓にして端無し 
 五九九七         地なる者は直にして端有り 
 五九九八    直にして端有る者は長なり 
 五九九九    體の天圓に有せらるるを以てなり 而して地は一小圓塊を爲す 
 六〇〇〇    圓にして端無き者は大なり 
 六〇〇一    氣の地直に持せらるるを以てなり 而して轉は一平長線を爲す 
 六〇〇二    圓にして端無し 
 六〇〇三    運轉は行を中に分つ 
 六〇〇四    運轉は唯一の圓線なり 
 六〇〇五    一線は西轉し 一線は東運するは  圓の道なり 
 六〇〇六    東して盡きず 西して窮まらざるは 直の道なり 
 六〇〇七    長逝を以てして東運は盡きず 西轉は窮まらず 
 六〇〇八    循環を以てして西轉し東運し 往復は輪を爲す 
 六〇〇九    氣は運轉を爲す 
 六〇一〇    物は順逆を爲す 故に 
 六〇一一    日行は月を逆えて朔を爲す 
 六〇一二     日行は月の去るを送りて望を爲す 
 六〇一三    月と日は行を天中に於て通ず 
 六〇一四       東西は順逆し〉以て上下を分つ   (六〇一〇~一四はD資料31左を採る。)
 六〇一五     日行は天の舊位に會するの頃を 一歳と爲す                   (PB 407)
 六〇一六     轉行は地の舊位に會するの頃を 一轉と爲す 
 六〇一七     日は東して遲し 
 六〇一八     西に轉じて疾し 
 六〇一九     緩は疾中に在り。東する者は西す。
 六〇二〇     東する者は天を周る 
 六〇二一     西する者は地を周る 故に
 六〇二二     日の周天は歳を爲す 
 六〇二三       周地は日を爲す 轉の數に非ざるなり。
 六〇二四    直にして端有り
 六〇二五    嘑噏は氣を中に於て分つ 
 六〇二六    嘑噏は唯一の直氣なり 
 六〇二七~二八 半邊は内に噏う    半邊は外に嘑す    直の道なり 
 六〇二九~三〇 嘑は極まれば則ち噏う 噏は極まれば則ち嘑す 圓の道なり 
 六〇三一    長逝を以てして 而して此に噏し 彼に嘑す 
 六〇三二    循環を以てして南北は嘑噏し 往復は輻を爲す 
 六〇三三    氣は嘑噏を爲す 
 六〇三四    物は發收を爲す 故に
 六〇三五    氣嘑は物發を得て夏を爲す 
 六〇三六    氣噏は物收を得て冬を爲す                            (I 444a) 
 六〇三七    日と地と 同じく物を爲す 是に於て地氣は南北嘑噏し 日と轉持を分つ 
 六〇三七1(次行)
  [天象運行] 是を以て同じく是れ一日月 以て東行を爲し 以て西行を爲す 
 六〇三七2   是を以て同じく是れ一日月 以て南煦を爲し 以て北煦を爲す 
 六〇三八~六九 ・・・削除・・・  (欄外上段追記)
 六〇七〇    地質は止物なり 
 六〇七一    天象は動物なり 
 六〇七二    天行は地を周る 
 六〇七三    象行は天を周る 
 六〇七四    天行は象を囘し。象は翻えって地を周る。 (D資料34左冒頭△印)
 六〇七五     日は西線を環って一點を成し 一盈一縮を示す 而して一周天は其の中に在る 
 六〇七六     而して其の間は 星は東に移り 天は西に移る 
 六〇七七     月は月道を環って一轉を成し 一遲一疾を示す 而して一周天は其の外に出づ 
 六〇七八     而して其の間は 日は東に往き 交西に後る 故に
 六〇七九     周天の會期は。各天の成紀に非ざるなり。
 六〇八〇    日月の天を周るを順行と爲し 
 六〇八一       地を周るを逆行と爲すは  神爲なり。
 六〇八二    天の日に會すれば則ち一歳成り 
 六〇八三    日の地に會すれば則ち一日成るは 天成なり。是を以て
 六〇八四    日月の體は 會して朔成り 違いて望成る 
 六〇八五    運轉の線は 會して分成り 違いて至成る 
 六〇八六     分なる者は春秋の中なり 
 六〇八七     至なる者は冬夏の端なり 
 六〇八八     混地二面。一面一背。故に                           (I 444b)
 六〇八九     我の居る所を面と爲し。居らざる所を背と爲す。
 六〇九〇     面する所は觀る可し 
 六〇九一     背する所は察す可し 故に
 六〇九二     面北の人は南を背にす 故に
 六〇九三     日は北すれば則ち夏なり 
 六〇九四       南すれば則ち冬なり 
 六〇九五     北向の衢に當れば則ち春なり 
 六〇九六     南向の衢に當れば則ち秋なり 
 六〇九七     面南の地は北を背にす 
 六〇九八     日は北すれば則ち冬なり 
 六〇九九       南すれば則ち夏なり 
 六一〇〇     北向の衢に當れば則ち秋なり 
 六一〇一     南向の衢に當れば則ち春なり 故に
 六一〇二~〇三  混地の經用は。一邊は雪を降らせば 
 六一〇四            一邊は雷を發す 是を以て
 六一〇五     面背を分てば 則ち晝夜冬夏有り 
 六一〇六     混地を以てすれば則ち夏卽冬なり 夜卽晝なり 
 六一〇七~〇八 ・・・削除・・・  (小字傍記につき削除。)
 六一〇九    是を以て會違交錯の狀は。日は天を周りて東し 西線を依違して西す         (PB 411)
 六一一〇                月は天を周りて東し 東線を依違して西す 
 六一一一    月の東線を一周するを 一章と曰う      (安永本から復元。)
 六一一二    日の西線を一周するを 一紀と曰う      (同前。)
 六一一三    順逆の數う可き者成る。
 六一一四     地道は靜にして易わる 
 六一一五     天道は動にして定まる 故に
 六一一六     地物の往來は 亂れて變ず 
 六一一七     天物の往來は 錯りて定す 
 六一一八     日月運轉の會違は。人 之を止地に驗し。而して其の紀を認む。
 六一一九     日の一周地は。之を一百に刻す。
 六一二〇     日月一會。三十日に儉す。故に
 六一二一     日一周天の頃は。天を爲して轉ぜらる。周地すること三百六十五にして贏る。
 六一二二     月と相い會すること。一十二にして贏る。贏るを得て閏を立つ。故に
 六一二三     日と曰い。月と曰い。歳と曰い。閏と曰うは。
 六一二四     交錯の會に成る者なり。若し芸芸の數を以て。
 六一二五     實日月の紀なりと爲さば。則ち亦た焉んぞ神爲の運を知らん。夫れ
 六一二六     天の數。能く無數を積むと雖も。而も亦た一なるのみ。故に
 六一二七     奇偶は計を以て之を紀す。皆な人爲に出づ。
 六一二八     成る者は。天なり。成る者の天に出づるを知りて。而して
 六一二九     爲す者の天に非ざるを知らず。人の數に眩するなり。
 六一三〇     運する者は唯だ運す。各行は運轉し。引きて其の極を見ず。
 六一三一     人は天行の神爲を觀んと欲す。
 六一三二     故に彼の百刻二十九日。十二月。三百六十五日等の數を置きて。而して
 六一三三     各各の一轉。會否は其の間に成るを知る。此れ                  (I 445a)
 六一三四     囘りて復する者の常に始終を成し。
 六一三五     引きて行く者の竟に始終無き所なり。唯だ人は。
 六一三六     得て此の坱坱を度す                             (PB 412)
 六一三七     得て此の袞袞を刻す 此の故に
 六一三八     長逝する者は 紀す可き者無し 
 六一三九     往復する者は 以て數う可きなり 
 六一四〇     日月星辰は。各運遲疾を成す。一轉の間を觀るに。歩に緩急有り。
 六一四一     各各一轉。其の時に違う無し。
 六一四二     故に常に平行に歸す。歸すと雖も而も各各相い與せず。
 六一四三     相い與せずと雖も。而も計は日の轉に遇いて一周地するより肇まる。故に
 六一四四     其の氣轉象運は。氣は一に象は各なり。日の頃。
 六一四五     計りて一百と爲さば。則ち轉の一周地は。則ち九十九刻の餘なり。
 六一四六     日一百刻 月一百零三刻餘   是れ日月の逆行なり 
 六一四七     日の周天 三萬六千五百二十三刻餘 
 六一四八     月の周天 二千七百三十二刻餘 是れ日月の順行なり 
 六一四九     月道の西して東線を一周すること 六十八萬數百餘刻 
 六一五〇     順行一周すれば 則ち逆行六千五百七十七囘餘 
 六一五一     日道の西して西線を一周すること 凡そ若干億 
 六一五二     順行一周すれば 則ち逆行の日は其の刻に應ずるなり 故に
 六一五三     西する者を逆行の日月と爲す 
 六一五四     東する者を順行の日月と爲す 
 六一五五     其の會違を説けば。則ち月は  半周天にして。而して日と望せず。
 六一五六     更に百十刻餘を進めて朔と爲す。一周天にして。而して日に及ばず。
 六一五七     又た二百二十刻餘を進めて朔を爲す。日は三百六十五周にして。
 六一五八     而して轉は三百六十六周なり。蓋し
 六一五九     天道は常に成る 故に其の會は差わず 人は之を計るを得る 
 六一六〇     地道は變を爲す 故に會否は常無し    之を計る可からず 故に
 六一六一     暦紀を以て之を計れば。則ち
 六一六二     日の地を一周す 之を一日と爲す 
 六一六三     日の月を一周す 之を一月と爲す 
 六一六四     日の天を一周す 之を一歳と爲す 
 六一六五     日は月に十二會す 之を一年と爲す                       (PB 413)
 六一六六     年なる者は。歳の餘を得て閏を置く。
 六一六七     之を循環の間に均しくして。寒暑を差わざらしむる者なり。是の故に
 六一六八     天を以て之を言えば。轉ずる者は西轉一始終して。而して復た相い積む。      (I 445b)
 六一六九     暦の紀する所の日は 則ち其の逆行の地の舊位に復するの期なり 而して
 六一七〇     月の逆行は則ち標せず 
 六一七一     一歳は則ち其の順行して天の舊点に復するの期なり 而して
 六一七二     月の順行は則ち日の合を數う 故に
 六一七三     一月の紀なる者は 日に及ぶの時なり 
 六一七三1(復元)而して月の自行は 遲疾に見わる 遲疾は一月の紀に及ばず 
 六一七四     一歳の紀なる者は 日の舊点に復するの時なり 而して
 六一七五     日の自行は。盈縮に於て見る。盈縮は還りて一歳の經を過ぐ 故に
 六一七六     今の暦は。日月の會期を紀して。其の周紀を謂うに非ず。故に
 六一七七     月は常に明魄を半にす。朔望は。地より望むに成る。
 六一七八     日月は各一周。閏餘は則ち會を以て紀するに成る。
 六一七九    是を以て地なる者は一圓塊。長線に繋りて止まる。
 六一八〇    天は地と反す 
 六一八一    日は地と比す 
 六一八二    故に日の逆行する者は 東西に由る 晝夜の成る所 群動の動息は之に率う 
 六一八三        順行する者は 南北に由る 冬夏の成る所 萬物の發收は之と與にす 
 六一八四     烟起り氣湿り 雷發し雪結び 
 六一八五     鳥獸の氄革し 艸木の榮枯するは 物の發收に從うなり 
 六一八六     風狂い雨旋り 地震え天鳴るは  物の鬱發を爲すなり 
 六一八七[小物]華なる者は 一氣の英華なり                           (PB 414)
 六一八八    液なる者は 大物の滋液なり 
 六一八九(復元)液無ければ則ち體成らず 
 六一九〇(復元)華無ければ則ち氣見れず 
 六一九一(復元)是を以て華なる者は昜氣の發する所なり 
 六一九二(復元)    液なる者は侌體の融する所なり 
 六一九三    是を以て天地轉持と。水燥日影とは。性體相い合す。
 六一九四    天地轉持は物を開く 
 六一九五    日影水燥は氣を交う 
 六一九六    小物は以て其の間に生化す。是を以て
 六一九七    大小の物は。同じく聚散解結す。
 六一九八    聚散解結は。緯に露すれば則ち靜なり 
 六一九九          經に露すれば則ち動なり 
 六二〇〇    氣聚り質結んで 物能く生ず 
 六二〇一    氣散じ質解けて 物能く化す 
 六二〇二    生化は何爲れぞ廼ち一動一植せん。是れ之を小物と爲す。
 六二〇三     大は小を容る 
 六二〇四     常は變を容る 
 六二〇五     小なる者は麁なり 往來して體を換える 
 六二〇六     大なる者は精なり 生化して體を一にす 
 六二〇七     麁を以て精を徴す 
 六二〇八     常を以て變を察す 
 六二〇九     此れ猶お彼れのごとし 
 六二一〇     彼れ猶お此れのごとし 
 六二一一     是を以て散結して常を持する者は 生化の端を没す 
 六二一二         散結して體を換える者は 生化の端を露す 
 六二一三     是を以て金石は攸久に成壊す                         (I 446a)
 六二一四         雲雨は倏忽に聚散す 
 六二一五     皆な道は異にして居は同じ。
 六二一六    動なる者は有意なり 
 六二一七    植なる者は無意なり                              (PB 415)
 六二一八    有意なれば則ち能く動なり 
 六二一九    無意なれば則ち能く靜なり 而して
 六二二〇    動は能く作止す 
 六二二一    植は能く榮枯す 故に
 六二二二    其の之に成る在るや 氣は聚散し 物は解結す 
 六二二三    其の之に成る在るや 動は作止し 植は榮枯す 
 六二二四    作止の變に至りては。則ち
 六二二五    剖くに随いて體 各 性を具す。
 六二二六    體性は愈いよ分れて。而して態は愈いよ同じからざるなり。
 六二二七    是を以て植は靜を以て形體の變を極む 
 六二二八        動は動を以て動作の變を極む 
 六二二九     天行は持に於て止る 
 六二三〇     地行は轉に於て止る 
 六二三一     氣轉象運は 圓を以て行く 
 六二三二     雲騰雨墜は 直を以て行く 
 六二三三     水は斜に流る 潮は斜に遡る 
 六二三四     鳥は氣を御す 魚は水に游ぶ 
 六二三五     獸は地を走る 龜は水に泳ぐ 
 六二三六     蚤は能く跳ぶ 虱は能く跂う 
 六二三七     蟹は横行す  蝦は郤飛す 
 六二三八     人は立行す  螺は倒行す 
 六二三九     蛛は絲を走る 鼹は土を穿つ 
 六二四〇     水母は唯だ浮く 海參は唯だ轉ず 
 六二四一     蜈蚣は多足を得て行き 反鼻は無足を以て行く 
 六二四二     獸は四脚にして行く 人は雙脚にして歩く 行の變を極むるなり 
 六二四三     日月は轉に居り 雲烟は持に居る 
 六二四四     植は土に居し  動は氣に居す 
 六二四五     魚龍は水に居し 藻苔は石に居す 
 六二四六     獸は伏し 人は臥す 
 六二四七     鳥は枝を掴み 蛾は壁に點す 
 六二四八     鳧鷖は能く浮び 魚鼈は能く潛む 
 六二四九     物は正しく處して 伏翼倒懸す 
 六二五〇     物は夜休みて 鴟鵂は晝睡る 止の變を極むるなり 
 六二五一~五二  故に生生の跡は。金石は自から凝し 變化の由る所を隠す 
 六二五三             螺蛤は交わらず 感應の跡する所を没す            (PB 416)
 六二五四             華實は已に見る 牝牡最も著るし 
 六二五五~五六  跡に就き其の變を極むるに。動に牝牡有り 
 六二五七                  植は華實有り 
 六二五八                  動は卵胎を分つ 
 六二五九~六〇               植は子根を分つ 而して動植に氣化有り 
 六二六一                                體化有り 是を以て
 六二六二     植は或いは實を結ぶ。
 六二六三       或いは子無し。
 六二六四       或いは瓤を肉中に生ず。
 六二六五       或いは實を皮中に成す。
 六二六六     或いは根より生ず 
 六二六七     或いは華より結ぶ 
 六二六八     麻は華と子を分ち。
 六二六九     紫檀は葉と子と一にす。
 六二七〇     水物の薄感。羽族の薄交。
 六二七一     魚は一胎數萬。人は數交一孕なり。
 六二七二     鳥は能く卵に伏し。魚は卵に伏せず。
 六二七三     蟷螂は子を螵蛸に結び。蜘蛛は兒を嚢中に畜う。
 六二七四     細に之を觀れば則ち或いは子を抱く者有り。或いは卵を負う者有り。        (I 446b)
 六二七五(次行)
  [委曲入機] 是を以て。其の行止する所は。
 六二七六    天に在るの氣象は 則ち東西南北す 
 六二七七    地に在るの氣質は 則ち嘑噏發收す 
 六二七八~七八 然り而して萬物に至りては。則ち或いは正順 
 六二八〇                   或いは乖忤 
 六二八一                   或いは滑通 
 六二八二                   或いは澀&T233831; (PDF版を参照のこと)
 六二八三    是を以て人は。死生老少は經動す 
 六二八四           營爲言施は緯動す 
 六二八五           徳は善惡を分つ 
 六二八六           道は邪正を分つ                         (PB 417)
 六二九三[形理]一氣は通塞す 
 六二九四    大物は活立す 
 六二九五~九六 大物は已に立てば。則ち小は其の中に散ず。蓋し
 六二九七    物は體に依る。
 六二九八    體は形に成る。
 六二九九    形は位に依る。
 六三〇〇    位は物に成る。
 六三〇一     外を圓にして内を虚にすれば 則ち以て物を煮る可し 
 六三〇二     實を内にして外を鋭にすれば 則ち以て甲を刺す可し 
 六三〇三     同じく是れ鐵なりと雖も 形 異なれば則ち用 同じからざるなり 
 六三〇四     外を圓にして内を虚にすると雖も 而も之を造るに木を以てすれば 則ち
 六三〇五     水を受く可くして 火に當てる可からず 
 六三〇六     内を實にして外を鋭にすると雖も 而も之を造るに土を以てすれば 則ち
 六三〇七     弄す可くして 而も兵と爲す可からず 
 六三〇八     其の形を同じくすと雖も 而も
 六三〇九     體 異なれば則ち用は同じからざるなり 故に
 六三一〇     同一の土泥は 之を瓦にすれば則ち風雨を覆う可し 
 六三一一            之を甕にすれば則ち酒漿を盛る可し 
 六三一二     同一の木片は 神を模せば而して後に蘋蘩の敬を致す可し 
 六三一三            屐を削りて而して後に土泥の汚を避く可し 
 六三一四     人造に因りて以て天造を窺う。
 六三一五     其の轉持を爲すや 形の直圓に分る 
 六三一六     其の山水を爲すや 形の拗突に由る 是を以て
 六三一七     體は必ず形を成すと雖も 而も形は體に非ざるなり。
 六三一八     形は必ず體に由ると雖も 而も體は形に非ざるなり。
 六三一九    氣なる者は活するに依りて動なり 
 六三二〇    物なる者は立するに依りて靜なり 
 六三二一    立すれば則ち中外は位を成す 
 六三二二          氣體は物を爲す 
 六三二三    其の理は靜に於て立す 
 六三二四~二五 其の氣は動に於て活す 是を以て氣は理に由りて布く               (PB 423)
 六三二六                   形は氣に由りて成る 
 六三二七    理を以てせざれば 則ち鬱浡の活を運する所莫し 
 六三二八    形を以てせざれば 則ち混淪の體を成する所莫し                 (I 447a)
 六三二九    混淪は坱然を得て居る 
 六三三〇    鬱浡は袞然を得て行く 
 六三三〇1復元 而して形中も亦た自から氣物有り。形は理に依りて物を爲す 
 六三三〇2復元                 氣は理に依りて形を布く 
 六三三一    故に通經袞袞 
 六三三二      塞緯坱坱 形理の祖なり。
 六三三三    形理は痕を見して。物に從いて正斜を成す。
 六三三四    正中 直圓は正を爲し 規矩は斜を爲す 
 六三三五    斜中 塊歧は正を爲し 邪曲は斜を爲す 
 六三三六    直圓は正にして形理を混成す 
 六三三七    規矩は斜にして形理を粲立す 
 六三三八    直矩は理を爲す 
 六三三九    圓規は形を爲す 然り而して
 六三四〇    散ずる者は其の理を邪曲にす 
 六三四一         其の形を塊歧にす 
 六三四二    坱なる者は圓の地なり 
 六三四三    袞なる者は直の本なり 
 六三四四    塊歧は則ち直圓の變なり。故に
 六三四五    直矩の理 散の邪曲 
 六三四六    圓規の形 散の塊歧 
 六三四七    動なる者は理に循わざる能わず                        (PB 424)
 六三四八    靜なる者は形を成さざる能わず 
 六三四九[正形]夫れ物の物を爲すや。神は體に於て活す 
 六三五〇              體は神に於て立す 
 六三五一    活は 没中に見るれば則ち通ず 露中に見るれば則ち動なり 
 六三五二    立は 没中に隠るれば則ち塞る 露中に隠るれば則ち靜なり 
 六三五三    其の塞靜は罅縫を没す 
 六三五四      通動は條理を露す 
 六三五五    通動塞靜は。理に由りて形を成す。
 六三五六    理は道路を通じて。而して氣は必ず此に從いて布く。
 六三五七    氣の布く所は。正斜自ずから形を成す。
 六三五八    時は經通す 
 六三五九    處は緯塞す 
 六三六〇    體は自ら靜す 
 六三六一    氣は能く動く 
 六三六二~六三 之を均しくすれば則ち通なる者は天の動なり 
 六三六四              塞なる者は天の靜なり 
 六三六五              動なる者は物の通なり 
 六三六六              靜なる者は物の塞なり 
 六三六七    物中。體は天地を成す 故に靜なり 
 六三六八       氣は轉持を成す 故に動なり 
 六三六九    氣體相い得て。而して天地は動靜す。故に
 六三七〇    靜なれば則ち天圓地直なり 
 六三七一     處は止りて終に圓なり 
 六三七二     時は行きて終に直なり 
 六三七三~七四  圓は以て直を持し 中より表裏を分つ 表裏分ち難くして 而して一圓物を混成す 
 六三七五~七六  直は以て圓を運す 今より前後を分つ 前後分ち難くして 而して一逝時を滾成す 
 六三七七     環守は南北を爲す                              (PB 425)
 六三七八     運轉は東西を爲す 
 六三七九     逝く者は前後を爲す 
 六三八〇     旋る者は歳日を爲す 故に
 六三八一     圓象の旋りて復するは 譬えば循環して走り 往けば則ち復り 復れば則ち往き 
          終に端緒無きが若し 
 六三八二     直象の往きて返するは 譬えば縄を以て之を矩し 縄盡きて直盡きずに 
 六三八三     引きて其の止る所を見ざるが若し。                      (I 447b)
 六三八四    動なるや則ち轉規守矩なり 
 六三八五~八六  上下 虚實を以て分つは 體の天地なり 虚實相い分てば 則ち直圓は混成す 
 六三八七~八八  内外 轉持を以て分つは 氣の天地なり 轉持相い分てば 則ち規矩は粲立す 是を以て
 六三八九     轉持の間。轉は外を爲し 天は其の處を成す 而して象は其の中に居る 
 六三九〇          持は内を爲し 地は其の物を爲す 而して質は其の上に居る 
 六三九一     混成より之を觀れば 則ち持直は外に向いて圓なり 
 六三九二     粲立より之を觀れば 則ち竪矩は中を貫いて規なり 
 六三九三     天地を分てば 則ち轉持は合す 
 六三九四              天體は自から虚なり 
 六三九五              地體は自から實なり 
 六三九六              轉を貫いて直なり 
 六三九七              持に徹して圓なり 
 六三九八              動を以て形と爲さず 
 六三九九              直圓は混成す 
 六四〇〇     轉持を分てば 則ち天地は合す 
 六四〇一              轉氣は自から精なり 
 六四〇二              持氣は自から麁なり 
 六四〇三              地を貫いて矩を爲す 
 六四〇四              天を轉じて規を爲す 
 六四〇五              靜を以て形と爲さず 
 六四〇六              規矩は粲立す 
 六四〇七     靜は動中に塞す 
 六四〇八     動は靜中に通ず 
 六四〇九     動を容るるの靜は 靜にして跡無し 故に
 六四一〇     之をして動かしむれば 則ち東西を碍てず  升降を妨げず 
 六四一一     靜を用うるの動は 動きて處を守る 故に
 六四一二     之をして止らしむれば 則ち南北は軸を爲し 内外は位を守る 
 六四一三    天地の性。二は能く合す 
 六四一四         一は能く分つ 
 六四一五    天地は靜を成す 
 六四一六    轉持は動を成す 而して
 六四一七    動靜は。 同じく其の形を圓にす 
 六四一八         同じく其の理を直にす 唯だ                     (PB 426)
 六四一九    其の理は。動すれば則ち斜なり 
 六四二〇         靜すれば則ち正なり 
 六四二一    然らざること能わずして然り。
 六四二二     圓なる者は形なり 而して動の體を成す者なり 故に
 六四二三1    塊然として能く物に於て形す 故に其の内は包んで以て容るに足る 
 六四二三2(復元)                其の外は循いて以って環る可し 
 六四二四     塊歧方扁は 種種の異形と雖も  而も
 六四二五~二六  居る者を内に統べ 行く者を外に環らす可きに於ては 
 六四二六     則ち同じく塊然の體を圓に歸するを失せず 
 六四二七     直なる者は理なり 而して氣の路を成す者なり 故に
 六四二八1    邃乎として能く物に於て理す 故に
 六四二八2(復元)其の中は 湊まるに足り路するに足る 其の外は 轉ず可し持す可し 故に 
 六四二九     横竪邪曲は 千萬の態有りと雖も 而も
 六四三〇     活を本に畜え 氣を末に施せば  
 六四三一     則ち   邃乎の理を直に歸するに失せず 此の故に  (六四二六の対の文。)
 六四三二     直は氣を體に於て運す可し                          (I 448a)
 六四三三     圓は形を體に於て成す可し 是を以て
 六四三四     道は理に由りて有る 道卽理なるに非ざるなり 
 六四三五     體は形に由りて成る 體卽形なるに非ざるなり 
 六四三六     姑且 小を以て大を喩えんか。夫れ
 六四三七     動の身首羽毛に於ると 
 六四三八     植の根幹華葉に於ると 
 六四三九     體は則ち相い似たり。
 六四四〇     禽を爲し獸を爲す。艸を爲し木を爲す。散じて萬品と爲るに至りては。
 六四四一     則ち何を以てか分つを爲さん。蓋し形の異を爲すや。
 六四四二     氣の布に從う。氣の布く所は。乃ち理の在る所なり。
 六四四三     理は。動に於ては脈と曰う。
 六四四四        植に於ては文と曰う。
 六四四五        玉に理と曰う。
 六四四六        石に砌と曰う。
 六四四七        山水に脈と曰う。
 六四四八        轉持に規矩と曰う。
 六四四九        活性は此より運す。
 六四五〇        形體は是に於て成る。
 六四五一    氣は動に依りて通じ 體は實するを以て露す 
 六四五二    位は靜に依りて立ち 形は虚するを以て成る 
 六四五三    既に是れ靜虚なれば。形位は奚れを以てか見る。                (PB 427)
 六四五四    夫れ行路の人の若き。高下は其の地に由る。而して
 六四五五    路 圓なれば則ち行も圓なり。路 直なれば則ち行も直なり。
 六四五六    是に於て圓は運轉の爲す所に非ず。
 六四五七        直は升降の爲す所に非ざるを觀る。
 六四五八    理は則ち正直斜矩なり 
 六四五九    形は則ち正圓斜規なり 故に
 六四六〇    形なる者は理の成る所なり 
 六四六一    理なる者は形の立つ所なり 
 六四六二    是を以て理 正なれば形も正なり 直は圓を成す 
 六四六三        理 斜なれば形も斜なり 矩は規を成す 故に
 六四六四    天地は圓 以て直を含む 
 六四六五    轉守は規 以て矩を抱く 
 六四六六     圓なる者は圓にして圓 其の形は毬の如し  無垠は以て其の大を極む 
 六四六七     直なる者は直にして圓 其の形は栗毬に比す
 六四六八     規なる者は圓にして扁 其の形は輪の如し  運轉は以て其の横を成す 
 六四六九     矩なる者は直にして立 其の形は車軸に比す 幹守は以て其の竪を成すなり 
 六四七〇~七一  持は垠る所有るを以て 而して直動の路は 轉に至りて盡る 而して其の精靜は轉持と隔てず 
 六四七二     轉は止る所有るを以て 而して平運の路は 持に至りて無し 而して其の麁動は能く横竪を分つ 
 六四七三     圓は能く直と混成す 精にして靜なり 
 六四七四     矩は能く規と粲立す 麁にして靜なり 
 六四七五     直は中より外を貫ぬけば 則ち止りて靜なり 
 六四七六     矩は端より中に徹すれば 則ち旋りて動なり 故に
 六四七七     矩は軸を爲す 
 六四七八     規は輪を爲す 
 六四七九     規と矩と 同じく其の理を直にす 
 六四八〇     圓は外を爲す                                 (I 448b)
 六四八一     直は内を爲す 
 六四八二     圓と直と 同じく其の形を圓にす                        (PB 428)
 六四八三    其の形を混成すれば 則ち經は袞として緯は坱たり 未だ直圓の痕を見さず 
 六四八四    其の物を粲立すれば 則ち弥いよ規矩の體を變ず 
 六四八五[入斜]體は以て虚實す 
 六四八六    機は以て動靜す 
 六四八七    機體の間は。性は水火を成す 
 六四八八          體は山壑を成す 
 六四八九    星辰は其の上に横して 而して其の行を衡從にす 
 六四九〇    動植は其の下に立ちて 而して其の體を本末にす 
 六四九一    山なる者は塊然の體なり 其の形を拗突にす 
 六四九二    壑なる者は歧然の體なり 其の理を邪曲にす 夫れ
 六四九三    物の成る所は。性は活して氣は運す 
 六四九四           體は充ちて形は成る 
 六四九五    氣は徒らに運せず。理に由りて運す。
 六四九六    理なる者は。氣運の通路。理に随いて氣を布き形を成す。
 六四九七    大物 混然として圓を爲す者は 其の理の直を以てなり 
 六四九八    合すれば則ち圓成す 而して直は其の中に立つ 
 六四九九    分かてば則ち直理す 而して圓は其の表に成る 
 六五〇〇~〇一 運する者は活の性なり 資りて始まる所 有り 
 六五〇二               給して繼ぐ有り 故に  (有と給の間に朱で所と書き入れあり。) 
 六五〇三    本は中に歸す 
 六五〇四    中は外に之く 是を以て地は塊然たる一毬なり 其の氣は發収す          (PB 429)
 六五〇五    發收は代るがわる用して 一嘑一噏す 
 六五〇六    發收は圓に從う 
 六五〇七    嘑噏は直に從う 
 六五〇八    嘑噏に從いて南北の用を見す 
 六五〇九~一二  全物 上下は中外と伴う 而して能く圓を成す 故に之を下に資る 以て之を上に發す 
 六五一三     地用は二にして相い闕く 
 六五一四     面背は南北に於て更るがわるして 而して
 六五一五     能く直を爲す 故に之を向う所に用う 
 六五一六            以て之を背く所に廢す 
 六五一六1(復元)一は則ち全す 
 六五一六2(復元)二は則ち相い闕く 是を以て一體は必ず二用を爲す 
 六五一六3(復元)故に同じく是れ一日行。以て經緯の行を分つ。
 六五一六4(復元)經行は 或いは順行し 或いは逆行す          (安永本より復元。)
 六五一六5(復元)緯行は 或いは北行し 或いは南行す 
 六五一七     是を以て一塊の大物。氣の資る所 圓は中外を有す 
 六五一八               用の成る所 直は面背を分つ 
 六五一九     中外なる者は定位なり 能く其の處を定む 
 六五二〇     面背なる者は變用なり 或いは面し或いは背く 故に
 六五二一     其の緯に於て成る者は 半面を北と爲す 
 六五二二                半面を南と爲す 
 六五二三       經に於て成る者は 半面を晝と爲す 
 六五二四                半面を夜と爲す 
 六五二五     其の一直の貫ぬく所は 端を兩極に於て露す 
 六五二六       一平の分かつ所は 界を中線に於て爲す 故に
 六五二六1復元  日は其の道を側てて。而して一南一北す。
 六五二六2復元  一極地 晝なれば 則ち一極地は夜なり 
 六五二六3復元  一邊境 夏なれば 則ち一邊境は冬なり 
 六五二六4復元  一面一背。晝夜冬夏代がわる行わる。
 六五二六5復元  中界兩規。西轉東運。地は止りて動かず。將に東西する者を迎えんとす。
 六五二六6復元  面 日の照を受けて以て晝と爲す 
 六五二六7復元  背 日の照を蔽いて以て夜と爲す 
 六五二六8復元  面背の間に立てば。則ち一以て旦を爲す 
 六五二六9復元             一以て暮を爲す 故に其の體は則ち一なり 
 六五二六10復元                      其の用は則ち一なり 故に圓は中外を成す 
 六五二六11復元                                  直は面背を分つ 夫れ
 六五二七     地の一圓塊にして。萬物は環りて之に居る。
 六五二八     氣は上を爲し 質は下を爲す 
 六五二九     轉は外を爲し 持は内を爲す 此の故に
 六五三〇     升る者は天に之く                            (PB 430, I 449a)
 六五三一     降る者は地に著く 
 六五三二     方を東西を以て定む 
 六五三三     位は上下を以て立つ 
 六五三四     東西は規に於て分る 
 六五三五~三六  上下は直に於て分る 而して圓なる者は直なり 
 六五三七                  直なる者は圓なり 
 六五三八     身を北極下に置けば 則ち南地は背を爲す 
 六五三九     身を南極下に置けば 則ち北地は背を爲す 是に於て  
 六五四〇     背地は倒懸の若し 
 六五四一     中界は側立の若し 
 六五四二     轉環の間に。倒側 相い移り。
 六五四三           倒側 相い成るは。二用有るに由る。
 六五四四     倒側の相い同じきは 體を一にするを以てなり 
 六五四五     圓成れば則ち直は其の中に在りて 圓 能く直を成す 而して形は栗毬を爲す 
 六五四六     直立てば則ち圓は其の外を成して 矩 能く規を爲す 而して理は車輪を爲す 
 六五四六1復元  故に規矩を以て直圓を譬えれば。則ち
 六五四七     直の地を持するは 車輪の外を環りて 而して
 六五四八     輻の 散ずること能わず 
 六五四九        倚ること能わずして 盡とく軸に向うが如きなり 
 六五五〇     直の天を承くるは 輹の 中に在りて 而して
 六五五一     軸の 陥ること能わず 
 六五五二        墊ること能わずして 齋しく輪を承くるが如きなり 故に
 六五五三     天地を以て之を觀れば 氣上質下なり 
 六五五四     己れを以て之を觀れば 頭上足下なり 是を以て
 六五五五     轉なる者は通の體を露すの處 
 六五五六     持なる者は塞の體を示すの處 一一の分るる所なり 
 六五五七     通は持を隔てず 
 六五五八     塞は轉を遺さず 氣物の合する所なり 
 六五五九    一機 粲然として規を爲す者は 其の理の直を以てなり 
 六五六〇    合すれば則ち矩 立ちて 而して規 其の外を成す 
 六五六一    分るれば則ち矩 理して 而して規 其の動に範す 
 六五六二    動なる者は運の露なり 
 六五六三    守する所有りて止る 
 六五六四~六五 轉ずる所有りて循る 故に守は内を持す 
 六五六六~六七             轉は横を爲す 是を以て天は混焉たる一氣なり 
 六五六八    其の氣は運轉す 運轉は互いに用す                       (PB 431)
 六五六九            一守一環なり 
 六五七〇            運轉は規を爲す 
 六五七一            環守は矩を爲す 
 六五七二    運轉に從いて東西の用を見す 故に
 六五七三    天地は靜にして 而して形理直圓なり 
 六五七四    轉持は動にして 而して形理規矩なり 
 六五七五    天なる者は運轉環守 一平一直なり 
 六五七六    地なる者は水燥土石 一俯一立なり 
 六五七七         (書き下ろし後の加筆につき削除。)
 六五七八0(次行。六五八二~八三は訂正後の文を抹消して復元)
  [塊歧邪曲] 然り而して地體は塊然たる一球なり 天行の其の理を歧するに於て異なる 
 六五七八1(復元)    天體は混焉たる一氣なり 地體の其の表を塊にするに於て異なる 故に
 六五七八2(復元)    天なる者は混圓中 歧して其の理を横竪にす 
 六五七八3(復元)    地なる者は一塊表 斜に 其の形を歧歧にす 故に
 六五八四    象質の行は 衡從本末を分つ 
 六五八五    山壑の體は 拗突邪曲を分つ 
 六五八六    天轉地持は 物の體を爲す                          (I 449b)
 六五八七    水燥日影は 性の物を爲す 
 六五八八    體物は露地に居る 
 六五八九    性物は没地に居る 故に
 六五九〇    象も亦た直圓を成す 而して規矩を天地に分つ 
 六五九一    質自から俯立を爲す 而して直圓を天地に合す                 (PB 432)
 六五九二    氣體は直圓を以てして立つ 
 六五九三    象質は横竪を以てして成る 
 六五九四     性は則ち侌昜なり 
 六五九五     體は則ち氣物なり 而して
 六五九六     侌昜と氣物と。各おの同じく天地萬物を具す。
 六五九七     氣物を以て侌昜を統ぶれば 則ち中外を一にして 而して彼此混成す 
 六五九八     侌昜を以て氣物に比すれば 則ち中外を各にして 而して彼此粲立す 是を以て
 六五九九     體に成る者は天地なり 
 六六〇〇     性に成る者は日影なり 
 六六〇一     天地なる者は天轉地持なり 
 六六〇二     日影なる者は氣收象發なり 
 六六〇三     日象影氣 下は水質燥氣と偶す 故に
 六六〇四     日影は天地と勢を張ると雖も。而も
 六六〇五     影は收め日は發し 而して日は弧中に居りて 地外を繞る 
 六六〇六     水は潤い燥は煦め 而して水は弦中に就きて 地表に浮く 
 六六〇七     華は天間に充つ 
 六六〇八     液は地表に漾う 
 六六〇九     象質は 各 其の氣に偶して。侌昜の物を見す。
 六六一〇     然りと雖も水燥は天地に合し 
 六六一一~一二       日影は天地に比すれば 則ち日影は能く天地と勢を張る。是に於て
 六六一三     天中の萬物は 日影を得て繋る 
 六六一四     持中の萬物は 水燥を得て列す 
 六六一五    絪縕摩盪して。上は則ち星辰を懸け 其の行を日影の間に於て衡從にし 以て能く循環す 
 六六一六           下は則ち動植を化し 其の體を水燥の間に於て俯立し 以て能く鱗次す 是に於て
 六六一七    動植の物は 形を塊歧に資り 愈いよ其の塊歧を變ず 
 六六一八          行を邪曲に資り 愈いよ其の邪曲を變ず              (PB 433)
 六六一九    蓋し形位は成具に成る。
 六六二〇    小物は大に資りて。以て別に天地を開く。是を以て
 六六二一    直圓は理形の正に於て出づ 
 六六二二    邪曲は理形の變に於て極す 
 六六二三     正は直圓規矩を有す 
 六六二四     斜は塊歧邪曲を有す 
 六六二五     塊なる者は歧せずして 而も未だ正圓を得ず 
 六六二六     歧なる者は塊せずして 而も未だ正矩を得ず 故に
 六六二七     天の運する所は 其の行を歧にす 
 六六二八     地の立する所は 其の體を塊にす 
 六六二九     星漢は最も高く 其の行は東規に循う 
 六六三〇     日月は最も卑く 其の行は東規に歧す                     (I 450a)
 六六三一     坱坱の間。天形は正圓にして 
 六六三二          水燥は漸之を假る 
 六六三三     地形は拗突を以て文章を爲す 
 六六三四     望遠鏡の窺う所。日月の體は。文章を有すこと地の如し。是に於て
 六六三五     天象と雖も。而も漸みて已に地に近ければ。則ち
 六六三六     日月は其の體を塊にす 
 六六三七        其の行を歧にす 其の體を塊にし 其の行を歧にすと雖も 
 六六三八     地中の塊歧と同じからざる者は。天地の大分なり。故に
 六六三九     輪軸既に設け。方處既に定まる者は。形の斜なり。
 六六四〇     斜中に之を分てば。西規北矩 高を以てして正なり 
 六六四一              東規南矩 卑を以てして斜なり 
 六六四二     日體は塊然として 其の行は又た盈縮の輪を架す 
 六六四三(復元) 月體は塊然として 輪外に遲疾し 輪輪相い架す 
 六六四四(復元) 日に著くの諸辰は。皆輪 輪を架く。
 六六四五     各 自から機軸を持して。星漢の脈絡を通ずるに異なるなり。
 六六四六(復元) 唯だ月の最も歧行の多きは。最も地に近きを以てなり。
 六六四七     斜なる者は地物の形理なり。地中と雖も。
 六六四八     天に親なる者は自から正を含む。人目を以て之を言うに。
 六六四九     四邊茫茫として 視る所は則ち一圓象なり 
 六六五〇     萬里歷歷として 指す所は則ち一直線なり 是を以て
 六六五一     光耀の及と  
 六六五二~五四  聲臭の至は 東西南北に徧徹す。徧なる者は圓の勢なり 
 六六五五                    徹なる者は直の力なり           (PB 434)
 六六五六    是の故に大物は天地なり 
 六六五七        一機は轉持なり 
 六六五八    天氣地體は 同じく其の體を圓にして 而して大小を分つ 
 六六五九    轉軸持輻は 同じく其の氣を直にして 而して長短を分つ 
 六六六〇    運轉同規は 平側を分つ 
 六六六一    環守同矩は 立倚を分つ 
 六六六二    衡從は同じく横にして 而して經緯の別を有す 
 六六六三    本末は同じく竪にして 而して上下の異を有す 
 六六六四    塊歧は同じく物にして 而して俯立の分を有す 
 六六六五    邪曲は同じく理にして 而して直圓の道を有す 故に
 六六六六    大物の成は。小は居り大は容る 
 六六六七          短は止り長は守る 
 六六六八    長矩は其の位を守りて旋る 
 六六六九    大規は其の方を轉じて旋る 
 六六七〇    天圓は裹みて地を覆う      (安永本からの復元。)
 六六七一    地直は立ちて天を載す 
 六六七一1復元 一は能く分る 
 六六七一2復元 一は能く合す 
 六六七一3復元 直は圓を貫く 
 六六七一4復元 圓は直を統ぶ 
 六六七一5復元 直圓は天地の靜形を成す 
 六六七一6復元 規矩は天地の動形を爲す 
 六六七二    内外は分つ 
 六六七三    經緯は立つ 
 六六七四     外の位なる者は 圓にして容る 
 六六七五     内の位なる者は 圓にして居る 
 六六七六     經の方なる者は 直を以て規を爲す 
 六六七七     緯の方なる者は 直を以て矩を爲す                     (PB 435)
 六六七八    直圓は靜にして體を没す 
 六六七九    規矩は動にして形を見す 虚中の形なり 
 六六八〇    横竪の理を成し 
 六六八一    塊歧の形を爲すは 實中の形なり                       (I 450b)
 六六八二    景影は處を爲して 天物は此に居る 
 六六八三    水燥は處を爲して 地物は此に居る 
 六六八四    天物は塊然たり 
 六六八五    地物は歧然たり 
 六六八六    天物は乾燥し 虚中を曲行す 
 六六八七    地物は潤湿し 實中を邪行す 
 六六八八    轉中 守矩は立ちて緯位を定め 平に 西の經紀を轉ず 
 六六八九       環矩は倚して緯位を運し 側して東の經象を紀す 
 六六九〇     經なる者は東西の平圓なり 
 六六九一     緯なる者は南北の守直なり 
 六六九二     統ぶれば則ち竪直は自から定る 
 六六九三           平圓は自から轉ず 
 六六九四     分かてば則ち守りて西轉す 
 六六九五           環りて東運す 是に於て
 六六九六     東西は斜絡す 
 六六九七     南北は出入す 氣象の錯綜する所なり。
 六六九八     守る者よりして 環る者を觀れば 則ち環る者は斜なり 
 六六九九     環る者よりして 守る者を觀れば 則ち守る者は斜なり 而して
 六七〇〇     環りて運する者は卻って遲し 
 六七〇一     守りて轉ずる者は卻って疾し    (安永本からの復元。)
 六七〇二    持中 氣は圓にして 竪は水燥の物を通ず 
 六七〇三       質は平にして 横は山壑の體を列す 
 六七〇四[總論]蓋し天は能く散ず 故に諸象は散布す                  (PB 436)
 六七〇五      地は能く結ぶ 故に諸質は結聚す 
 六七〇六    散布する者は自から成る 故に其の形は直圓なり 
 六七〇七                  其の行は平側なり 
 六七〇八    結聚する者は倚りて成る 故に其の形は塊歧なり 
 六七〇九                  其の行は邪曲なり 
 六七一〇(復元)是を以て轉の内。地の上。人と物とは天地を此に開きて。皆な覆載の間に遊ぶ。
 六七一一    風は俯し恬は立す 
 六七一二    海は拗し山は立す 而して堅生は塊然として體を閉ず 
 六七一三                輭生は歧然として體を開く 
 六七一四    開閉は生を別にし 邪曲は變を盡くす 
 六七一五     一形は正斜を分つ。
 六七一六     正なれば則ち直圓は規矩を含む 
 六七一七     斜なれば則ち塊歧は邪曲を兼ぬ 
 六七一八     正斜は錯綜し。萬形は變を極む。是を以て
 六七一九     植は竪立の正を得ず 以て邪の態を盡くす 
 六七二〇     動は圓轉の正を得ず 以て曲の態を盡くす 然り而して
 六七二一     天物の邪曲は 行に多にして形に微なり 
 六七二二     地物の邪曲は 塊歧と相い配す 夫れ
 六七二三     萬の形は。天に居る者の塊然たる 
 六七二四          地に居る者の歧然たる 何を以てか其れ然らん。
 六七二五     天に在る者は 散中に象を聚めること 猶お水を噴きて許多の圓滴を得るがごとし 
 六七二六     斜と雖も而も諸象は塊を爲す 
 六七二七     地に依る者は 結中に體を凝らすこと 猶お壁を碎きて小大の缺片を得るがごとし  (I 451a)
 六七二八     成と雖も而も歧を極む 
 六七二九~三〇  天に在る者は 塊然として圓を爲す 而して明なる者は高し 一列に平布す 
 六七三一                         暗なる者は卑し 參差に重畳す 
 六七三二~三三  地に在る者は 歧然として變を爲す 而して植なる者は地に著く 平布して位を守る (PB 437)
 六七三四                         動なる者は天に居る 位序して變り易し 是に於て 
 六七三五     地上の萬形は。
 六七三六     峙を爲す。陥を爲す。扁を爲す。頗を爲す。橢を爲す。稜を爲す。
 六七三七     方を爲す。角を爲す。邪を爲す。曲を爲す。以て著く。以て依る。
 六七三八     以て纏う。以て蔓る。以て倒る。以て正す。以て長し。以て短し。
 六七三九     體行の間は。其の變を盡くさざる所莫し。
 六七四〇     正圓は平を用いず 規は能く平を爲す 
 六七四一     正直は竪を用いず 矩は能く竪を立す 
 六七四二     平圓ならず之を曲と謂う 
 六七四三     竪直ならず之を邪と謂う 
 六七四四     地なる者は。體を以て輹と爲す。故に
 六七四五     地は横俯す 
 六七四六     氣は竪立す 
 六七四七     地は拗して水の平布を容る 
 六七四八       突して燥の混圓に居る 
 六七四九     艸木は邪にして立つ 
 六七五〇     鳥獸は曲にして俯す 然り而して
 六七五一     星辰の行は 轉に在りて宛轉す 
 六七五二     渾天の形は 地を裹みて直圓す 
 六七五三     圓なれば則ち地に在る者は皆な天に在る 
 六七五四           天に在る者は皆な地に在る 
 六七五五    是に於て運轉環守 嘑噏發收は 天地の動機を見す
 六七五六        中外上下 東西南北は 天地の靜位を立す 
 六七五七        天地轉持 水火山海は 以て物の 體を成す 
 六七五八        直圓規矩 横竪塊歧は 以て天地の形を成す 
 六七五九~六〇     唯だ風雲水火土石は。體を有すと雖も。而も未だ定形を持せず。是を以て
 六七六一    分かてば則ち斜斜錯綜す 
 六七六二    合すれば則ち直圓混成す 
 六七六三~六四     (傍記に付き削除)
 六七六五     人と物と。同じく情欲意智を具す。而して
 六七六六     思惟分辨の智は。人を最と爲す。是に於て
 六七六七     唯だ人のみ天地を知るに足る。
 六七六八     唯だ人のみ天地を行くに足る。                        (PB 438)
 六七六九     直圓規矩に資ると雖も。歧然の身を以て。邪曲の行に依る。
 六七七〇     天地は正邪を有す。故に人物は正邪に資る。
 六七七一     天地 正を有せずんば 則ち物は焉んぞ正を有せん 
 六七七二     天地 邪を有せずんば 則ち物は焉んぞ邪を有せん 
 六七七三     動は必ず方を有す。人は得て之を道とす。
 六七七四     天地は規矩を有す。人は得て之を則とす。故に
 六七七五     圓は規を爲す 
 六七七六     直は矩を爲す                               (I 452a)
 六七七七     圓の機や動なり 
 六七七八     直の機や止なり 
 六七七九     圓の力や轉なり 
 六七八〇     直の力や持なり 
 六七八一     圓の體や統なり 
 六七八二     直の體や分なり 
 六七八三     圓の用や混なり 
 六七八四     直の用や粲なり 
 六七八五     圓の化や徧なり 
 六七八六     直の化や徹なり 
 六七八七     圓の才や容なり 
 六七八八     直の才や斷なり 是を以て
 六七八九     靜にして圓なる者は湛なり 
 六七九〇     靜にして直なる者は皦なり 
 六七九一     動にして圓なる者は安なり 
 六七九二     動にして直なる者は正なり 
 六七九三     思にして圓なる者は靄なり 
 六七九四     思にして直なる者は敢なり 
 六七九五     交にして圓なる者は愛なり 
 六七九六     交にして直なる者は敬なり 
 六七九七     望にして圓なる者は溫なり 
 六七九八     望にして直なる者は莊なり 
 六七九九     辞にして圓なる者は婉なり 
 六八〇〇     辞にして直なる者は切なり 是を以て
 六八〇一     則を有す。理を有す。紀を有す。章を有す。
 六八〇二     位序粲然たる者は。直の事なり。詰る可からず。捉う可からず。
 六八〇三     動きて愈いよ變じ。出て愈いよ窮まらず。
 六八〇四     之を措きて其の處を知る無し。
 六八〇五     之を置きて其の跡を見さず。
 六八〇六     變化混然たる者は。圓の事なり。是の故に
 六八〇七     直の至は 天も之に違うこと能わず 
 六八〇八     圓の至は 神も之を窺うこと能わず 
 六八〇九     夫の圓行直止を觀るに。
 六八一〇     圓は規を爲す 
 六八一一     直は矩を爲す 
 六八一二     行止の規矩に中るは 聖人の事なり 
 六八一三     圓ならざれば則ち曲なり 
 六八一四     直ならざれば則ち邪なり 
 六八一五     邪曲は則ち小人の事なり 是を以て
 六八一六     智は圓ならざれば 則ち事物に通ぜず 幽明を辨ぜず 
 六八一七     物我を隔てて 是非に惑う 
 六八一八     行 直ならざれば 則ち外は飾り内は疚し 此に縮し彼に躓く  (安永本から復元。)
 六八一九     智 直ならざれば 則ち姦邪放僻 之を謀る 
 六八二〇     行 圓ならざれば 則ち從容として物に役せられざるを得ず 
 六八二一     粲立は痕を著す                               (PB 439)
 六八二二     混成は跡を没す 
 六八二三     混にして能く通じ。活にして能く神し。窮まらずして變ず。痕無くして化す。
 六八二四     混たらざれば則ち通ぜず。通ぜざれば神ならず。神ならざれば變ぜず。
 六八二五     變ぜざれば化せず。化せざれば物を成さず。
 六八二六     物を成さざれば奚れの事物か之れ有らん。                   (PB 440)
 六八四六~四七(次行)
  [同胞孿胎] 錯綜して之を觀れば 則ち天は虚にして動く 
 六八四八                地は實にして止る 
 六八四九                日月は上に通ず 
 六八五〇                水燥は下に塞す 
 六八五一~五二 剖析して之を觀れば 則ち機は以て動止す 
 六八五三                體は以て虚實す 
 六八五四                衡は輕重を持す 
 六八五五                精は乾潤を有す 
 六八五六    條貫して子孫仍雲 孤は以て衆を紀す                       (PB 449)
 六八五七    理析して反比傍斜 多は寡を嫌せず 是を以て                   (I 452b)
 六八五八    天地なる者は氣物の成名なり。
 六八五九    成れば則ち性體は氣物に入る。氣物は以て全す。
 六八六〇    全なれば則ち鬱浡の活は天を爲し 
 六八六一          混淪の立は地を爲すと雖も 而も地中にては。
 六八六二    氣象は動天地に依りて 以て袞袞に通ず 
 六八六三    氣質は靜天地に依りて 以て坱坱に塞す 
 六八六四    動は則ち轉持なり 
 六八六五    靜は則ち天地なり 
 六八六六    機體は相い合して。一球は混然として立す。
 六八六七    靜なる者は能く居る 居る者は位を以てせざること能わず 
 六八六八    動なる者は能く行く 行く者は方を以てせざること能わず 
 六八六九    位は則ち上下内外なり 
 六八七〇    方は則ち東西南北なり 
 六八七一    没は露に由りて認む 
 六八七二    露は没に由りて成る 
 六八七三    山京河海は 内に在りて位を占む 
 六八七四    日月星辰は 外を行りて方を占む 
 六八七五    没露動靜は。相い得て全す。
 六八七六    止なる者は動の止なり。
 六八七七~七八 而して靜と異なるなり。故に動中は動止を有す 
 六八七九                 靜中は虚實を有す 
 六八八〇    氣象なる者は動物 虚に依りて行る                       (PB 450)
 六八八一    氣質なる者は靜物 實を以って止る 
 六八八二    虚實は胞を合して 同胞孿胎なり。
 六八八三~八四 胎中の雙兒は 各 天地を持す。一球は能く連環を容る。
 六八八五    天體は散ず 
 六八八六    地體は結ぶ 
 六八八七    日體は動く 
 六八八八    影性は收む 
 六八八九    運轉と虚實と其の圓を合す。而して孿胎は雙圏なり。
 六八九〇    水燥は本圏に歸す 
 六八九一    日影は別圏を成す 
 六八九二    本圏は則ち直圓山壑なり 
 六八九三    雙圏は則ち日影水燥なり 
 六八九四    日影景月は 靜虚規矩の形中に循行す 
 六八九五    水燥湿火は 山壑拗突の體上に居る 
 六八九六    動止は。内 形理を含む 
 六八九七        外 華液を吐く 夫れ
 六八九八    天地の分。天體なる者は虚なり 
 六八九九         地體なる者は實なり 
 六九〇〇         天機なる者は動なり 
 六九〇一~〇二      地機なる者は止なり 而して天氣なる者は乾なり 
 六九〇三                      地氣なる者は潤なり 
 六九〇四                      天體なる者は輕なり 
 六九〇五                      地體なる者は重なり 
 六九〇六    虚乾は輕動し 物を上に於て成す 
 六九〇七    潤實は重止し 物を下に於て成す 乃ち華液の成る所なり。            (PB 451)
 六九〇八    華液は既に成る。而して性體は氣物と竝び立つ。
 六九〇九    轉持形理は 則ち機を没中に於て痕す 
 六九一〇    天地華液は 則ち物を露中に於て體す 物の成なり。
 六九一一    形體は相い得る 
 六九一二    色性は相い合す 
 六九一三    之を分てば則ち轉持天地は 形體を以て成る 
 六九一四           日影水燥は 色性を以て合す 
 六九一五    色に清濁明暗有り 
 六九一五1復元 明暗は日影に歸す 
 六九一五2復元 清濁は水燥に歸す 
 六九一五3復元 氣に水燥感熱有り 
 六九一五3復元 寒熱は日影に歸す 
 六九一五4復元 温冷は水燥に歸す 
 六九一六~二三     (欄外追記につき削除。)
 六九二四    故に天象は輕乾 虚にして動く 
 六九二五      地質は重潤 實にして止る 
 六九二六    各圏の氣物は。象を天地に於て分つ。
 六九二七    色氣は充塞して。絪縕摩盪成る。
 六九二八[條貫]虚實の間は 上下内外の位を緯に於て序す 
 六九二九    動止の中は 東西南北の方を經に於て成す 而して
 六九三〇    内外は動の爲に位を上に於て分つ 
 六九三一    上下は實の爲に位を内に於て分つ 而して
 六九三二    西北なる者は止方なり                             (PB 452)
 六九三三    東南なる者は動方なり 
 六九三四    内外なる者は動位なり 
 六九三五    上下なる者は靜位なり 
 六九三六    天は地に徹して動なり 
 六九三七~三八 地は天を貫して靜なり 而して動は靜の奉に依る 
 六九三九                  靜は動の保に依る 
 六九四〇    請う。運轉の道を審かにして。以て其の脈を導くを。夫れ
 六九四一    天地なる者は 天を巓にして地は趺なり 而して轉ずる者は此の條理に合す 
 六九四二    運する者は  天を趺にして地は巓なり 而して日影は  此の條理を分つ 是に於て
 六九四三    運轉は巓趺を返して 循環は脈を通ず 
 六九四四    天地は日影を分ちて 剖析は勢を張る 是に於て
 六九四五    昜成は則ち日巓影趺なり 
 六九四六    侌成は則ち天巓地趺なり 
 六九四七~四八 唯だ其の脈を導けば。則ち轉は根よりして上に達し 以て幹を爲す 
 六九四九                運は枝に至りて下に鬱し 以て根に歸す 
 六九五〇    轉巓なる者は廣なり 轉趺なる者は狹なり 
 六九五一    運巓なる者は狹なり 運趺なる者は廣なり 
 六九五二    辰は暗體を以て 而して景中に重ぬ 
 六九五三    星は明體を以て 而して影中に列す 
 六九五四    列星は廣と雖も 而も其の脈絡を一にす                    (PB 453)
 六九五五    重辰は狹と雖も 而も其の脈絡を各にす 
 六九五六~六二    (欄外追記につき削除。)
 六九六三     星なる者は影曜なり 
 六九六四     辰なる者は景曜なり 
 六九六五     運圏の中。星漢日月は。軸を緩急の節に分つ。
 六九六六     圏は乃ち弧なり 
 六九六七     軸は乃ち弦なり 
 六九六八     月弧の弦は短 而して運勢は急なり
 六九六九     日弧の弦は長 而して運勢は稍や緩なるも 亦た同中の異なるのみ。      (I 453b)
 六九七〇     星漢に至れば則ち弧形は最大にして。弦旋も亦た遲なり。
 六九七一     日月 將に根實を結ばんとするの前。侌昜の精は華を著す。
 六九七二     地なる者は持の水燥を以て自から養う。
 六九七三     運勢は持中に入れば則ち無し。
 六九七四     昜蘊は地面に播し。質實の養を爲す。
 六九七五     天なる者は日月を以て其の根を護す。
 六九七六~七七  是を以て其の根は運中に在りて。而して月は其の象を歧せずして。其の行を歧す。
 六九七八                       日は其の行を歧せずして。其の象を散ず。
 六九七九     猶お花蘂の其の辨を多くして以て自から其の心を守るがごとし。而して (PDF版参照のこと)
 六九八〇     日は其の弧中に華し。自から機軸を出だす。
 六九八一     諸辰は其の日を囲繞す。
 六九八二     以て華の天地を開く。
 六九八三     以て實の天地を偶す。是に於て
 六九八四     保根の氣は西轉す 
 六九八五     養花の氣は東運す 而して
 六九八六     諸辰は層層を相い重ねて 機軸を運す 
 六九八七     衆星は点点と平布して  罫面を圍む 是に於て
 六九八八     衆星は脈絡を一にす 
 六九八九     諸辰は脈絡を各にす 
 六九九〇~九一  是に於て運環の成る所は。層層 緩急有り。故に
 六九九二     轉ずる者は 章を地に於て羅ねて 質を轉中に於て没す 
 六九九三     運する者は 文を天に於て繋けて 氣を持中に於て潛む 故に
 六九九四     轉圏は地心より起りて 而して天表に至る 
 六九九五     運圏は天表より反して 而して地心に歸る 
 六九九六     轉は亭亭として幹を爲す。章は持中に具す。
 六九九七~九八  運は文を運中に開きて。節を生じ枝を出だし。華を開き蔓を出だす。
 六九九九     嘑噏は以て日の南北を致す。蓋し日弧以内の動なり。
 七〇〇〇     地は根を以て中を占む。其の華は弧に居らざること能わず。
 七〇〇一     弧は地を周る。日は天地に遍す。                       (PB 454)
 七〇〇二     日月は既に自から節を生じ枝を出だす。
 七〇〇三     以て其の華を開きて根に合して實を爲す。
 七〇〇四     何ぞ其の艸木と能く相い似たる。然り而して
 七〇〇五     日月の物を爲すは 侌昜の性の標に成るなり 
 七〇〇六     水火の物を爲すは 侌昜の物の本に成るなり 
 七〇〇七     水火なる者は麁象 遂に地質に培う 
 七〇〇八     運轉なる者は虚氣 以て日月を醸す 
 七〇〇九     此れは則ち質より氣を結ぶ 
 七〇一〇     彼れは則ち氣より象を發す 
 七〇一一     其の理を通ずるを以て。一球を混成す。是を以て
 七〇一二     水火は地に用有り 
 七〇一三     日月は天に爲有り 
 七〇一四     運の昜を折りて地に向うこと數萬年を經て。而して天を一周す。
 七〇一五     標は日月の偶弧を爲す。其の勢は急なり。                   (I 454a)
 七〇一六     日は轉ずること三百六十有六度の頃を度る 
 七〇一七     月は轉ずること二十七囘の頃を度る 
 七〇一八     轉行は一齋に推去す 下緩上急は 之を自然に於て得る 
 七〇一九     運行は節節に分推す 上緩下急は 之を使然に於て得る 
 七〇二〇     日影なる者は侌昜なり。侌昜は象を著して。天地と相い杭す。
 七〇二一     自から英華を枝頭に於て開きて。根實と勢を張る。是を以て
 七〇二二     日を天と爲す 
 七〇二三     影を表と爲す 
 七〇二四     日は巓を爲す 
 七〇二五     影は趺を爲す 
 七〇二六     日は天を爲す 
 七〇二七     影は地を爲す 
 七〇二八(復元) 明暗大小の辰。其の軸を以て其の輪を轉ず。
 七〇二九(復元) 其の道は黄道に依違す。
 七〇三〇(復元) 亦た月と西轉の游輪を爲す。是に於て
 七〇三一     歧は圏線に在らず。故に星漢は罫を布く。
 七〇三二     日月は其の處を認む。
 七〇三三     日月は東運の線。一西線有りて之を纍ぐ。
 七〇三四     日なる者は其の華英を盛にして。其の依違の歧は微なり。
 七〇三五     月なる者は華英を分たず。其の行を迂邪にして。
 七〇三六     艸木の蔓を出だす者に似たり。
 七〇三七     杳渺たる昊天。星漢は則ち遠し。
 七〇三八     日月は始めて能く地と親しむ。
 七〇三九     是に於て屬物を除けば。則ち日月の二を見る。
 七〇四〇     持は柔境。水燥は以て陸に合す。
 七〇四一     寒熱殺威。日月は此に絪縕す。是に於て
 七〇四二     氣を轉じて表を保す  
 七〇四三     象を運して裏を營す  
 七〇四四    升降條貫は。之を樹の外形 
 七〇四五            獸の内體に比すれば 
 七〇四六    依稀として其の佗ならざるを觀る。
 七〇四七    地なる者は侌實の質なり。天動に由りて而して上に伸ぶ。
 七〇四八    伸ぶる者は垠り有りて。精と融せず。
 七〇四九    達は翻って鬱を爲して。折るるが如くにして降る。
 七〇五〇    昜虚の復勢は降りて下に入る。
 七〇五一    地體なる者は根實なり 
 七〇五二    鱗比する者は根實を分かつ 
 七〇五三    循環する者は根實を一にす 
 七〇五四    地體を根と爲す。轉を幹と爲す。
 七〇五五    運は下垂して。枝を生じ華を結ぶ。
 七〇五六    杪は地に歸して實を爲す 故に
 七〇五七    轉幹は亭亭として。一齋に推去し。能く本根の鬱を漏す。
 七〇五八    運文は地に塌し枝蔓は 各 動き。
 七〇五九    能く華實の精に達す 
 七〇六〇    天體は虚にして外に於て柔なり 故に持は能く柔なり 
 七〇六一    地は土を以て下に於て堅を成す 故に水は能く輭なり 
 七〇六二    能く滋煦の境を開く 
 七〇六三    地體は一圓球なり。嘑噏に中界して。
 七〇六四    運轉の斜と。其の進退を合す。                         (PB 456)
 七〇六五    運轉は相い得て。而して日月は駕す。                      (I 454b)
 七〇六六    水生は水に沈む 
 七〇六七    燥生は燥に浮く 
 七〇六八    諸辰は景中に於て重ぬ 
 七〇六九    衆星は影中に於て列す 
 七〇七〇[象質]天體なる者は清虚なり 
 七〇七一    地體なる者は濁實なり 
 七〇七二    清中は淡濃し 虚體を以て物を成す 
 七〇七三    實中は通隔し 實體を以て物を成す 
 七〇七四    實を以て成る者は 則ち收りて結ぶ 
 七〇七五    虚を以て成る者は 則ち鬱して發す 
 七〇七六~七八 氣を收むるは則ち影なり 物を收むるは則ち水なり 影と水とは 同徳同機なり 
 七〇七九~八一 機を鬱すれば則ち燥なり 物を鬱すれば則ち華なり 華と燥とは 同徳同機なり 
 七〇八二    雙環は竝び成り。脈は反を以て通ず。是に於て
 七〇八三    地なる者は暗濁潤重にして本に歸す 弦中に就きて侌質を結ぶ 質を結べば則ち氣を外に達す 
 七〇八五    華なる者は清明輕乾にして標に發す 弧中に向いて昜象を發す 象を發せば則ち氣を内に鬱す 
 七〇八七    鬱を以て達に之く 
 七〇八八    達を以て鬱に之く 
 七〇八九    相い得て保奉護養す。
 七〇九〇     天地なる者は 昜散侌結に成る 
 七〇九一     日影なる者は 昜發侌收に成る 
 七〇九二     地なる者は物なり 
 七〇九三     天なる者は氣なり                              (PB 457)
 七〇九四     體界に立つ者は 天に居りて侌球を履む 
 七〇九五     色界に在る者は 影に居りて昜球を奉ず 
 七〇九六     侌球は弦中に在りて移らず 
 七〇九七     昜球は弧中に行きて住せず 
 七〇九八     日地は 各 弦弧を持す 而して
 七〇九九     地の兩端は 弦の左右に在る 
 七一〇〇     日地は常に矢勢を爲す 
 七一〇一     車を以て之に比するに。地は軸の如し 
 七一〇二                日は輪の如し 
 七一〇三     日地は環守を異にすれば 則ち 各 輪軸を有す 
 七一〇四     既に之を變と謂えば 則ち變ぜざる所無し 
 七一〇五     始めて能く其の名に副う 條理に由りて之を推すに 
 七一〇六     洪濛の前 
 七一〇七     悠久の後 
 七一〇八     轍跡は天に遍して。而して日の地を射す。 
 七一〇九     將に其の跡を盡くさんとす。而して
 七一一〇     星辰の天に於るも亦た然り。之を天變地常と謂う。而して
 七一一一     其の地を心とし天を外とし 
 七一一二       日を心とし影を外とするは 
 七一一三     二の勢を張るなり。一の成る所より之を觀れば。
 七一一四     轉巓は運趺に歸す 
 七一一五     運巓は轉趺に歸す 是に於て
 七一一六     日の歧運の 屹として一敵を爲すを觀れば 
 七一一七     既已に依りて一天は天地に立ちて且つ運の巓趺を置く。
 七一一八~一九  日影は別に天地を開く。是に於て運轉順逆は一に歸す 
 七一二〇     日の自から機軸を出だすは 
 七一二一     水燥の機軸を天地に於て合するに反するなり。                  (I 455a)
 七一二二~二三  既に天地は其の球を二にす。是に於て衆星は運の輪軸に從う 
 七一二四                      諸辰は日の輪軸に從う 
 七一二五     日月は既に運の小環弧中に居れば 則ち自から衆星の心を爲すこと能わず 
 七一二六     衆星の心は。則ち運巓に歸して止る。
 七一二七     然して則ち日月の歧を爲すを知る可し。
 七一二八     一の統ぶるを以て 日月の弧は環軸に歸し 衆星と重形を爲す 
 七一二九     二の分かつを以て 弧中に心を爲し    暗影と天地を成す 而して
 七一三〇     日通の線は乃ち東中なり。
 七一三一     日は東中に依違し。又た自から圓を爲す。
 七一三二     月は東中に依違し。種種の歧行を爲す。
 七一三三     以て蔓と稱する所なり。
 七一三四     大圏に星漢有り。
 七一三五     小圏に日月有り。
 七一三六     月なる者は日の配なり。                            (PB 458)
 七一三七     諸辰なる者は日の屬なり 
 七一三八     小辰は黯黯たり 
 七一三九     大辰は嘒嘒たり 
 七一四〇     歳塡は又た輪軸を出だして。自から屬辰を領す。
 七一四一     歧は歧を出だして。而して枝椏は益ます繁る。故に
 七一四二     衆星の列布と。諸辰の重畳とは。其の心は同じからず。而して
 七一四三     日月は則ち圏を運心に歸して。而して一統に出でず。但し
 七一四四     諸辰なる者は日表に重居す 
 七一四五     諸星なる者は影中に布列す 
 七一四六     辰なる者は暗物 天の露を爲す 猶お
 七一四七     火の明象の 地の星を爲すがごとし 是を以て
 七一四八     星漢の體は散じて輕なり 
 七一四九     日月の體は聚りて重なり 
 七一五〇     日影水燥なる者は。性の物なり。
 七一五一     絪縕を虚天實地の際に於て爲して。以て生生化化を爲す。故に
 七一五二     其の物は敷き得て間無し。
 七一五三     分かてば則ち兩環 勢を張る 
 七一五四     合すれば則ち運轉 脈を通ず 
 七一五五     既已に脈を通ず。是に於て
 七一五六     轉は内より外に向う 
 七一五七     運は内より内に向う            (内は■で消され、外に訂正。)
 七一五八     東西は反旋するも。
 七一五九     亦た他糾に非ざるに似たり 
 七一六〇    天地なる者は 氣 根上に在り 
 七一六一    氣象なる者は 華 氣中に在り 
 七一六二    水燥の天地は 其の物を合す 
 七一六三    日影の天地は 其の物を分つ 
 七一六四    二圏は又た一球に歸す。而して上下は位を定む。虚實は體を立す。
 七一六五    清濁は色を分つ 
 七一六六~六七 乾潤は性を反す 是に於て靜境は物を定む 
 七一六八                動境は氣を變ず 
 七一六九                其の位は既に立す 
 七一七〇                其の理は既に布す 
 七一七一                運轉は清に在り 
 七一七二                升降は濁に在り                    (PB 459)
 七一七三~七四 濁結する者は質なり 質 成れば則ち實す 實すれば則ち物は地表に居らざるを得ず 
 七一七五~七六 清散する者は氣なり 氣 成れば則ち虚す 虚すれば則ち物は天中に在らざるを得ず (I 455b)
 七一七七    星辰動植は。物の分るる所なり。故に
 七一七八    氣物の活立は 動靜虚實に成る 
 七一七九    侌昜の絪縕は 清濁明暗に分つ 
 七一八〇[眞妄]蓋し宙間に天神は遊ぶ 
 七一八一      宇内に天地は居る 
 七一八二    天は則ち清虚隠没なり 
 七一八三    地は則ち濁實見露なり 
 七一八四    氣は活して機軸を運す 
 七一八五    體は立ちて文章を成す 
 七一八六    天文は璀璨として以て宙を紀す 
 七一八七    地章は鬱郁として以て宇を成す 
 七一八八    覆載は垠る所有り 
 七一八九    無垠は玄界に入る 
 七一九〇    一室の開閉は。明暗の往來を知らず。
 七一九一    烈風の抜樹は。穴隙の明を動かさず。
 七一九二    圓轉は首尾を没す 
 七一九三    直往は標本を失す 
 七一九四    天地は中を以てして立つ 而して中は思う可からず 
 七一九五    天地は外を以てして成る 而して外は知る可からず 
 七一九六    起滅は機に入る。其の神は變を窮む                       (PB 460)
 七一九七            其の天は能く定む 
 七一九八    麁露すれば則ち門を開き途に上る 
 七一九九    隠没すれば則ち室に入り戸を閉すと雖も 
 七二〇〇    妄人は幽冥を模索し。事物を構幻す。
 七二〇一    聽く者は麁心を擾攪して。城郭を結幻す 
 七二〇二    燦爛たる文章は。皆な空濛に入る 
 七二〇三    之に邇くして我は我を閉す 
 七二〇四    之を遐にして物は物を閉す                            (PB 461)  
 七二一四(次行) 
  [色體二界] 罅縫は既に綻び。精麁没露す。
 七二一五    没境は天機の活を見す 
 七二一六    露境は性體の立を露す 
 七二一七    體は形體を以てして成る 
 七二一八    性は色氣を以てして成る 
 七二一九    虚動靜實は 體の物を爲す 
 七二二〇    明暗寒熱は 性の物を爲す 
 七二二一    體物は性物を容る 
 七二二二    性物は體物に居る 
 七二二三    體物は一球にして 條貫 相い通ず 
 七二二四    性物は兩環にして 理析 相い隔つ 
 七二二五    理析は相い隔つと雖も 而も
 七二二六    條貫は一球なり 是を以て
 七二二七    其の分つ者は偶比合一す。
 七二二八    日影は月景を析して 而して上に動く 
 七二二九    水燥は湿火を析して 而して下に遊ぶ 
 七二三〇    日影水燥なる者は其の雄なり 
 七二三一    月景湿火なる者は其の雌なり 
 七二三二~三三 體の一球を爲す者は天地なり 天地を説く者は則ち體の虚實動止に入る 
 七二三四~三五 性の連環を爲す者は華液なり 華液を説く者は則ち性の清濁寒熱に入る    (PB 461, I 456a)
 七二三六    體は同胞を見す 
 七二三七    性は孿胎を見す 
 七二三八    水燥は載を見して地圏を假る 
 七二三九    日影は容を見して天圏を別つ 
 七二四〇    剖析して對を反する者は。一の分なり。
 七二四一    分は能く一に歸すれば。則ち孿胎は一母に成る。
 七二四二    天地なる者は 之を散結に於て用し 之を虚實に於て體す 
 七二四三    華液なる者は 之を發收に於て用し 之を乾潤に於て成す 
 七二四四    華なる者は日影にして 發收を虚體に於て物して 而して明暗寒熱を爲す 
 七二四五    液なる者は水燥にして 解結を實體に於て物して    清濁温冷を成す (而してを欠くか。)
 七二四六(次行)
  [散結發收] 蓋し坱坱の處は。中外 既に立つ。
 七二四七    結は依る所有り 而して質を中に於て成す 
 七二四八    散は向う所有り 而して氣を外に於て充つ 
 七二四九    之を坱坱の 中を併せて結ぶ所無きに比すれば。則ち
 七二五〇    其の散は亦た結なり。
 七二五一    既に散を併せて結を爲す。鬱然の文章。一大結物に成る。
 七二五二    既に一大結物を得る 
 七二五三    又た一坱散氣を餘す 
 七二五四     一の剖析は。侌昜を平分す。                         (PB 472)
 七二五五     平は不平に走り。不平は平を合す。
 七二五六     衡は低昂せず。其の力は相い持す。
 七二五七     昜に走り侌に走る。其の勢は相い傾く。故に
 七二五八     昜物は外に向い 其の虚動に託す 
 七二五九     侌物は内に向い 其の實止に託す 
 七二六〇     日影水燥なる者は性物なり。天地の體に託す。
 七二六一     覆おう者は文を見す 
 七二六二     載する者は章を呈す 而して
 七二六三     天物は體を以て其の虚體を見す 
 七二六四     地物は體を以て其の實體を露す 
 七二六五     其の勢は則ち背きて相い走る 
 七二六六     其の力は則ち對して相い持す 
 七二六七     天は散じ地は結ぶ 
 七二六八     火は發し水は收む 
 七二六九     天地は體を露す 
 七二七〇     水火は性を見す 
 七二七一     體は其の位を立てて覆載す 
 七二七二     性は其の形を活して絪縕す 
 七二七三     人は麁小の身を以て。水火の中間に立つ。
 七二七四     己よりして天地を分つ。亦た未だ盡くさざるなり。
 七二七五     若し一坱散氣を以て。此の一大結物を觀れば。
 七二七六     此の如く大なりと雖も。而も亦た侌なり。小なり。結なり。物なり。故に
 七二七七     天地は本と一なり。之を散物に於て移せば。則ち
 七二七八     植の皮身なり。
 七二七九     動の皮肉なり。故に
 七二八〇     坱坱たる一昜散氣は。此の一侌結物を爲す。
 七二八一     一昜散氣 
 七二八二     一大結物 
 七二八三     結物を開き天地を見す。天地を開き華液を見す。
 七二八四     氣は則ち精物なり                              (I 456b)
 七二八五     物は則ち麁露なり 
 七二八六     天は爾く散虚精清す 
 七二八七     地は爾く結實麁濁す 
 七二八八     人は地上に立ちて。天上の低覆する者を望み。
 七二八九     己以下なる者を以て 結實麁濁と爲す 
 七二九〇     己以上なる者を以て 散虚精清と爲す 是を以て
 七二九一     己の身。曁に偕居する者を以て之を分つ者なり。
 七二九二     若し己の身を精して。日星倒射の地に置き。以て此の天地を觀れば。則ち
 七二九三     水土の核は。日影 之を桴す。
 七二九四     水烟星月は匝聚して。而して同じく結實麁濁に歸す。是に於て
 七二九五     結實麁濁は。散虚精清を食す。
 七二九六     若し散虚精清にして。結實麁濁を吐せば。
 七二九七     則ち散虚精清は。焉んぞ精没を得ん。                     (PB 473)
 七二九八     既已に精没せずんば。則ち相與に勢を張らん。故に
 七二九九     没して方位形理を立て 
 七三〇〇     露して散結通隔を爲す者は 
 七三〇一     没中に見るる有り 
 七三〇二     隠中に露する有り 
 七三〇三     彼此は粲立す。以て覆載を成す。
 七三〇四    故に精麁は食して天地を混成す 
 七三〇五         吐して天地を粲立す 
 七三〇六    粲立すれば則ち一氣大物なり。
 七三〇七    一氣の性は華液に於て見る 
 七三〇八    大物の體は天地に於て露す 
 七三〇九    天地は散結す 
 七三一〇    侌昜は絪縕す 
 七三一一    萬物は此に於て遊ぶ。
 七三一二    侌結べば 則ち結中に昜發す 
 七三一三    昜散ずれば則ち散中に侌收す 
 七三一四    侌は 天中に於て収めて影 地中に於て收めて水なり 
 七三一五    昜は 天中に於て發して日 地中に於て解けて燥なり 
 七三一六    天色は散虚に清通す 
 七三一七    地影は結實に濁隔す 
 七三一八    虚實なる者は没露散結す 
 七三一九    清濁なる者は隠見通塞す 
 七三二〇    天地は之を體境に於て觀る 
 七三二一    華液は之を色境に於て觀る 
 七三二二    體實の物を質と謂う 
 七三二三    體虚の物を象と謂う 
 七三二四    容れらるるの物は 之を容るるの體に從えば。則ち                 (PB 474)
 七三二五    象中も亦た象質を有す。是を以て性體の合する所は。
 七三二六    收めて結ぶ 其の堅は則ち地にして 而して其の輭は則ち液なり 
 七三二七    發して散ず 其の精は則ち天にして 而して其の麁は則ち華なり 
 七三二八    天象なる者は日を盛と爲す 侌影の斂は 散じて天を爲す能わざるに由る 
 七三二九    地質なる者は水を大と爲す 昜氣の噴は 結びて地を爲す能わざるに由る 故に
 七三三〇    昜散の中 侌は昜を發す 
 七三三一    侌結の中 昜は侌を噴く 
 七三三二     細かに條理の貫く所を尋繹するに。
 七三三三     侌は昜散の處より 收めて質を結ぶ 
 七三三四     昜は侌結の處より 發して象を見す 蓋し
 七三三五     地なる者は實す 其の體は密結 其の氣は麁解なり 
 七三三六     密結は入る可からざれば 則ち物は皆な麁解に居る 
 七三三七     天なる者は轉ず 其の轉は剛急 其の運は柔緩なり 
 七三三八     剛急は行く可からざれば 則ち物は皆な運緩に從う 
 七三三九     轉中は則ち 氣は西走し 象は東走す 
 七三四〇     實中は則ち 氣は上行し 質は下行す 
 七三四一     實の極は 土石よりも竪くして 露質の下に潛む 
 七三四二     動の極は 風濤よりも剛にして 没氣の標に急ぐ 
 七三四三     時處は其の物を精没し 經通緯塞 露する所無し 
 七三四四     天地は其の物を麁露し 文質實質 没する所無し 
 七三四五     天は則ち虚にして 而して
 七三四六     地は則ち實なり 
 七三四七     天虚は透らざる所莫し 
 七三四八     地實は隔てざる所無し 
 七三四九     天象は東行して西退す 
 七三五〇     地質は天居りて地立つ 是に於て
 七三五一     火の象は 則ち虚を以てして外に出づ 
 七三五二     以て氣を發し 以て物を食し 物 來りて接すれば則ち食して吐す         (PB 475)
 七三五三     水の質は 則ち實を以てして内に入る 
 七三五四     以て物を容れ 以て氣を拒み 氣 來りて交われば則ち拒みて容る 故に
 七三五五     水は能く火氣を食す 而して火體を養す 
 七三五六     養すと雖も而も火體を容れず    小中分別すれば 則ち膏は能く養す 而して(能を欠くか。)
 七三五七     水は則ち賊す 大物より之を觀れば   膏と水と奚んぞ擇ばん        (則を欠くか。)
 七三五八     火は  水氣を食す 而して水體を養す                   (能を欠くか。)
 七三五九     養すと雖も而も水體を容るる能わず 小中分別すれば 則ち燐は能く親す 而して
 七三六〇     火は則ち疏す 一氣より之を觀れば 則ち燐と火と奚んぞ擇ばん 
 七三六一     天散地結の分にては。氣は聚散する有り 
 七三六二               質は解結する有り 
 七三六三     蓋し一なり。其の用は則ち吐食を見す。
 七三六四     火は湿柴に著けば 則ち湿暗 上に浮く 
 七三六五     火は湿物を煨せば 則ち湿潤 内に結ぶ 是を以て
 七三六六     影體は 日氣の發を以てして散を爲す 
 七三六七     日體は 影氣の斂を以てして聚を爲す 
 七三六八     燥體は 地を水質に占めらるに由りて升り解く 
 七三六九     水體は 地を燥氣に囲まるるに由りて降り結ぶ 是を以て
 七三七〇     水質の收まる所は 火發の本を爲す 
 七三七一     燥氣の解くる所は 水結の原を爲す 故に
 七三七二     火 南地に解くれば 則ち水は北地に凝す 
 七三七三     火 北地に解くれば 則ち水は南地に凝す                    (I 457b)
 七三七四    影は收め地は結びて 而して天地は侌成す 
 七三七五    天は散じ日は發して 而して天地は昜成す 
 七三七六    水は質を結外に融して 而して解くる所の燥に偶す 
 七三七七    日は象を散中に發して 而して收むる所の影に偶す 
 七三七八     轉間に日影有り 
 七三七九     地表に水燥有り 
 七三八〇     水は親しむ可し 而して火は親しむ可からず 
 七三八一     諸を地上の火に試みて。而して水火の用を知る。                (PB 476)
 七三八二     水火の用を知りて。而して後 華液の絪縕。以て窺う可し。蓋し
 七三八三     昜は收結の中より 天間に鬱發すれば 則ち
 七三八四     華を象に於て爲す 華は日を以て其の宗と爲す 
 七三八五     侌は發散の表より 地上に疏收すれば 則ち
 七三八六     液を質に於て爲す 液は海を以て其の宗と爲す 故に
 七三八七     火なる者は天侌を收むの中に於て發す 
 七三八八     水なる者は地昜を解くの中に於て融す 
 七三八九     發收解結する者は。天地の態なり。天地の異なるを以て。天地の態も異なる。
 七三九〇     土石なる者は體成なり 
 七三九一     金水なる者は性成なり 
 七三九二     性に成る者は凝融す 
 七三九三     體に成る者は解結す 
 七三九四     凝融解結は。本と佗に非ず。
 七三九五     唯だ其の性の異なるを以て。而も其の態も亦た異なり。故に
 七三九六     土にして常に解く 
 七三九七     石にして常に結ぶ 
 七三九八     金にして常に凝す 
 七三九九     水にして常に融す 然り而して
 七四〇〇     水なる者は天然の融物なり 
 七四〇一     金なる者は天然の凝物なり 
 七四〇二     氷なる者は水にして凝す 
 七四〇三     汞なる者は金にして融す 
 七四〇四     石なる者は天然の結物なり 
 七四〇五     土なる者は天然の解物なり 
 七四〇六     玉なる者は石にして精なり 
 七四〇七     石なる者は玉にして麁なり 
 七四〇八     土なる者は土にして解なり 
 七四〇九     砂なる者は土にして結なり 
 七四一〇     結なる者は固にして脆なり 
 七四一一     凝なる者は輭にして粘なり 
 七四一二     金は粘り石は脆し 
 七四一三     埴は粘り壌は脆し 
 七四一四     此の性の有らざる所靡ければ。則ち
 七四一五     艸木鳥獸 
 七四一六     萬の事物 
 七四一七     人の性情 
 七四一八     物に從いて名を異にすと雖も。堅輭を有せざる所靡し。
 七四一九     稻の糯粳。禾の梁秫。結ぶ所佗に非ず。
 七四二〇     水火なる者は。侌昜の麁體なり。侌昜の用を綻露する有り。故に
 七四二一     或いは結を解き。又た能く結を固にす。
 七四二二     或いは解を結び。又た能く結を輭にす。之を此に於て試みるに。
 七四二三     水なる者は滋潤を以て物を黏す 
 七四二四     火なる者は乾燥を以て物を固す 
 七四二五     陶瓦なる者は人造の石 水は粘し火は固る                   (I 458a)
 七四二六     氷金なる者は天凝の水 晛は澌き火は融す 是を以て              (PB 477)
 七四二七     土に和すに水を以てし 之を攻むるに火を以てす 其の質は石を爲す 
 七四二八     之に灌ぐに水を以てし 之を攻むるに火を以てす 其の質は終に解く 
 七四二九     體を以てして成る者は 火を見て解く 
 七四三〇     性を以てして成る者は 火を見て融す 
 七四三一     條理は必ず往く所に於て剖す。
 七四三二~三五 而して日は景を吐す 水は湿を吐す 湿は火を含む 景は月を含む     
 七四三六     天なる者は散昜なり 
 七四三七     地なる者は結侌なり 
 七四三八     其の間は則ち日影水燥なり。
 七四三九     影なる者は收侌なり 
 七四四〇     日なる者は發昜なり 
 七四四一     昜發は景を伸ぶれば 則ち露は其の中に結ぶ 
 七四四二     水なる者は結侌なり 
 七四四三       (編集による削除。)
 七四四四     侌湿は昜を發すれば 則ち星は其の表に發す 
 七四四五     月と辰とは 天の露なり 
 七四四六     火と雷とは 地の星なり 
 七四四七     地は侌を弦中に結びて止る 
 七四四八     日は昜を弧中に發して走る 
 七四四九     中に居りて外を觀る。目は際涯を盡くさず。
 七四五〇     地に於て囿せらるるを以てなり。
 七四五一     日景は 昜の一圓物なり 
 七四五二     影地は 侌の一圓物なり 
 七四五三     天は地を包む 
 七四五四     日は地を循る 
 七四五五     混淪たる一圓物。未だ之を坱坱に歸せず。
 七四五六    氣は收れば則ち侌肅す 肅し結べば則ち地なり              (対の文を欠くか。)
 七四五七    質は結べば則ち氣達す 達し屈せば則ち鬱なり 鬱して發すれば則ち日なり 
 七四五八    日表の餘氣は。地に歸して燥なり。
 七四五九    燥は昜にして解く 
 七四六〇    水は侌にして融す 
 七四六一    水は則ち上なれば影に比し日に反す 
 七四六二        下なれば火に反し湿に比す 
 七四六三    日は侌を食す 而して其の發は盡きず 
 七四六四    地は昜を噴く 而して其の融は巳まず 
 七四六五    剖析の盡きざる所然り。                            (PB 478)
 七四六六(次行)
  [象質通脈] 發すれば則ち乾く 
 七四六七    融すれば則ち潤う 
 七四六八    潤は以て水を醸す 
 七四六九    乾は以て火を致す 
 七四七〇    乾なる者は 求めて贍る者なり 
 七四七一    潤なる者は 漏れて慊き者なり 
 七四七二    水は火を以て融け 火を以て枯る 火の吐きて食うを觀る 
 七四七三    火は水に由て燃え 水に由て滅す 水の噴きて噏うを觀る 
 七四七三1復元 侌は噴きて而も昜を盡すと雖も 噏を見るを以て而して又た能く侌に入る 
 七四七三2復元 昜は吐きて而も侌を盡すと雖も 食を見るを以て而して又た能く昜に入る 
 七四七四    條貫の道なり。是の故に
 七四七五    天は散じ地は結ぶ 
 七四七六    侌は收め昜は發す 
 七四七七    收むる者は地に歸す 
 七四七八    發する者は天に之く 
 七四七九    散結は天地を成す                               (I 458b)
 七四八〇    發收は華液を爲す 故に
 七四八一    日影は天に於て照蔽す 
 七四八二    水燥は地に於て滋煦す 是に於て
 七四八三    象は色に於て濃にして性を見す 
 七四八四    質は體に於て實にして物を露す 
 七四八五     天氣なる者は精なり 
 七四八六     地氣なる者は麁なり 
 七四八七     天體なる者は虚なり 
 七四八八     地體なる者は實なり 
 七四八九     吐せば則ち天精は地麁を容れず 
 七四九〇          地麁は天精に居らず 是に於てか精も亦た麁なり 
 七四九一     天體なる者は虚なり 
 七四九二     地體なる者は實なり 
 七四九三          天虚は地實を容れず 
 七四九四          地實は天虚に居らず 是に於てか虚も亦た實なり           (PB 479)
 七四九五     食せば則ち麁を出でずして後精なり 
 七四九六          實を拒みて後虚せず 
 七四九七     没跡と露跡と同じく居る 
 七四九八     没體と露體と同じく居る 
 七四九九     同居は粲立を妨げず。以て能く混成す。
 七五〇〇     混成すれば則ち天を地に於て觀る 
 七五〇一     粲立すれば則ち天を地に於て吐す 故に
 七五〇二     天は地に於て没し 地は天に露すれば  則ち地も天の大の若きなるを觀る 
 七五〇三     地は以て天を吐し 天は以て地を吐せば 則ち天は大にして地は小なるを觀る 
 七五〇四     是に於て此の麁露の天地の地を爲し 
 七五〇五           精没の天地の天を爲すを觀る 是を以て
 七五〇六     體虚の地は。體實の天よりも精なりと雖も。
 七五〇七     其の地を取りて以て是れ天なりと爲す可からず 
 七五〇八     此の天を取りて以て其の地なりと爲す可からず 是に於て
 七五〇九     聲なる者は麁にして 而して
 七五一〇     主なる者の精なるを觀るなり 
 七五一一     主なる者は活す 
 七五一二     聲なる者は死す 
 七五一三     死聲を以て活主を呼ぶ。
 七五一四     其の定まる所を前に指せば。則ち活する所を後に逸す。
 七五一五     其の得るは。實に逸するに勝らず。
 七五一六     苟くも意を聲外に於て活せずんば。則ち言語するに益無し。
 七五一七     已に粲焉として立つ 聲は之を毫厘に於て移す可からず 
 七五一八     本と混焉として成る 以て之を天地に於て盡くす可し 是を以て
 七五一九     虚なる者は虚なりと雖も 而も虚を呼べば則ち實も亦た從う 
 七五二〇     精なる者は精なりと雖も 而も精を呼べば則ち麁も亦た從う 故に
 七五二一     之を侌と呼ぶ者も  昜なり 
 七五二二     之を地と呼ぶ者も亦た天なり 故に
 七五二三     氣は物に非ずと雖も而も其の呼ぶ所の氣は。
 七五二四     或いは氣なり。
 七五二五     或いは物なり。
 七五二六     之を他に移すに。皆な然らざる靡し。是を以て
 七五二七     之を實結と謂う者も。亦た之を散虚と謂う。
 七五二八     之を地體と謂う者も。亦た之を天氣と謂う。
 七五二九     聲を聲とし主を主とす。
 七五三〇     此を以て之を求めずんば則ち將に聲主に泥まんとす。               (I 459a)
 七五三一    天體なる者は散なり 散中に明暗を偶す 
 七五三二    地體なる者は結なり 結中に乾潤を偶す 
 七五三三     昜氣 散ずるの中 侌を收め昜を發す                      (PB 480)
 七五三四~三五  共に象を清虚運轉の氣中に於て成す 
 七五三五     其の中に就きて之を言うに 影收は日を圍むを以て 而して
 七五三六~三七  日は鬱發して以って影を排すれば 則ち影は氣を爲す 
 七五三八                       日は物を爲す 是れ氣象の明暗を以て天中に偶するなり 
 七五三九     侌質 結ばるの中 昜を解き侌を結ぶ 
 七五四〇     共に氣を濁質升降の持中に於て爲す 
 七五四一     其の中に就きて之を言うに 水結は氣を排すを以て 而して
 七五四二     氣は排然として而して水を出せば 則ち燥は氣を爲す 
 七五四三~四四                    水は物を爲す 是れ氣質の乾潤を以て地中に偶するなり 
 七五四六     故に剖析して對持す。則ち天地は各おの其の物を偶す。
 七五四七     一は能く萬を立す。
 七五四八     一は能く萬を立すと雖も。
 七五四九     亦た各おの天地の對を廢せず。
 七五五〇    體の虚する者は則ち神活す 
 七五五一    體の實する者は則ち物立す 
 七五五二    虚にして活するを以て 而して規は轉じ矩は持す 
 七五五三    天體は以て剛なり 
 七五五四    持體は以て柔なり 
 七五五五    實にして立するを以て 而して天は覆い地は載す 
 七五五六    天體は以て虚す 
 七五五七    地體は以て實す 
 七五五八    水火なる者は。氣を以て體を爲す。而して
 七五五九    火は則ち麁なり 
 七五六〇    水は則ち密なり 而して
 七五六一    日影は天に於て偶す 
 七五六二    水燥は地に於て偶す 而して
 七五六三    地體 土は則ち輭なり 
 七五六四       石は則ち堅なり 
 七五六五    動植は體を此に於て資る。                           (PB 481)
 七五六六~六七 水なる者は地の象なり 諸を天象に比すれば 則ち質を解くを以て  而も猶お地質に類す 
 七五六八~六八 月なる者は天の水なり 諸を地火に比すれば 則ち氣の精なるを以て 猶お地象より輕なり 
 七五七〇    轉は剛にして濁を拒む 
 七五七一    持は柔にして質を容る 
 七五七二    地は堅にして質を拒む 
 七五七三    燥は柔にして象を容る 
 七五七四     物なる者は體に成り。形に和し。位に立ち。機に行く。
 七五七五     形は則ち正斜なり 
 七五七六     體は則ち虚實なり 
 七五七七     虚實は正斜を得ざれば 則ち成らず 
 七五七八     正斜は虚實を得ざれば 則ち立たず 
 七五七九     物の體に成るや。神物と雖も。亦た虚實を以てして没露す。故に
 七五八〇     一氣は則ち其の體を虚するなり 
 七五八一     大物は則ち其の體を實するなり 
 七五八二     實は則ち中外を位と爲す 而して上下内外を定むる有り 
 七五八三     天地の物を爲すや 清虚濁實を其の中に於て體す 
 七五八四     虚は則ち正邪を理と爲す 而して升降運轉を變ずる有り 
 七五八五     火の物を爲すや 乾潤焚溺を其の中に於て性す                  (I 459b)
 七五八六     一動一止 動は轉を成す 
 七五八七          止は持を成す 
 七五八八     一虚一實 虚は天を成す 
 七五八九          實は地を成す 
 七五九〇     虚にして動き 動きて旋る 廼ち之を轉と爲す 
 七五九一     靜にして實し 實して立す 廼ち之を地と爲す 故に
 七五九二     虚氣轉象 體は剛柔を爲す 
 七五九三     實體持地 體は堅輭を爲す 
 七五九四     宇宙は則ち以て其の物を精没す 没すと雖も而も經緯は粲然たり 
 七五九五     天地は則ち以て其の物を麁露す 露すと雖も而も方位は隠然たり 
 七五九六     轉持は剛を以て規矩を見す 見すと雖も而も直圓の正を隠す 
 七五九七     水火は柔を以て華液を見す 見すと雖も而も寒熱の形を示さず 故に
 七五九八     清濁寒熱は 物に徹するの力有りと雖も   其の體の柔を以てして碍げず(而もを欠くか。)
 七五九九     轉持水火は 氣に虚するの體有りと雖も 而も其の體の剛を以てして物を拒む 
 七六〇〇     宇宙は精せずんば 何を以てか物を率いて之を移し 而して其の跡を没するを得ん 
 七六〇一     物を容れて之を住わし 而して其の體を没す                  (PB 482) 
 七六〇二     天地は實せずんば 則ち奚れを以てか精麁を透し 
 七六〇三                      堅密を融し 
 七六〇四                      山嶽を起し 
 七六〇五                      河海を畜えん 然り而して
 七六〇六     天虚は礙げず 以て虚を成す 
 七六〇七     地質は容れず 以て實を成す 
 七六〇八     天地なる者は物なり。體は物の成る所なり。是を以て
 七六〇九     氣に對すれば則ち體なり。
 七六一〇     虚に對すれば則ち實なり。
 七六一一     天に對すれば則ち地なり。
 七六一二     體は物を實體の地中に於て開けば。
 七六一三     則ち性も亦た物を其の中に於て爲す。
 七六一四~一五  體性は麁露して。而して天は載す可し。
 七六一六                地は踏む可し。
 七六一七                色は視る可し。
 七六一八                氣は触る可し。
 七六一九     日影は相い追う 
 七六二〇     水燥は相い盪く 
 七六二一     氣は持し風は動く。
 七六二二     山は峙え海は陥る。
 七六二三     皆な其の體なり。是に於て
 七六二四     天體なる者は虚 一精一麁なり 
 七六二五     地體なる者は實 一麁一密なり 其の
 七六二六     精に於て痕を有する者は 未だ麁を出でざる者なり 
 七六二七     虚に於て痕を有する者は 未だ實を出でざる者なり 是を以て
 七六二八     精麁を併せて之を麁にす。
 七六二九     虚實を併せて之を實にす。
 七六三〇     天地の一大結物たる。
 七六三一     麁濁動實は體を結ぶ 而して
 七六三二     精清靜虚は氣を散ず 
 七六三三~三四  地なる者は實質凝重し 降結沈下す 至小は極を爲して 中位を得て之に乘る 故に
 七六三五~三六  涓埃は漏れる所莫し 而して降結は歸する所有り                 (I 460a)
 七六三七~三八  天なる者は虚氣輕融し 升散浮外す 至大は無窮にして 坱坱を得て之に居る 故に
 七六三九~四〇  洪荒は窮まる所無し 而して融散は竟に跡を没す 故に
 七六四一~四二  地なる者は重凝して下に居り 堅密凝結は核を爲す 
 七六四三~四四                輭麁融解は壌を爲す 拗處は水 之を占む 
 七六四五                             突處は燥 之を占む 
 七六四六~四七  天なる者は輕融して上に浮き 精清融散は轉を容る 
 七六四八~四九                麁濁舒解は持を容る 轉處は象 之を占む 
 七六五〇                             持處は質 之を占む 
 七六五一     是に於て物は。或いは天を得て之に居る 
 七六五二     或いは地を得て之に立つ 
 七六五三     天を得る者は虚なり 
 七六五四     地を得る者は實なり 
 七六五五     各おの其の資る所に從うなり。其の散は萬物を爲す。
 七六五六     上は則ち星辰雲雨なり 
 七六五七     下は則ち土石動植なり 而して                         (PB 483)
 七六五八     雲雨は則ち象中の實物なり 
 七六五九     動植は則ち質中の虚物なり 
 七六六〇     天なる者は氣の藏なり 
 七六六一     地なる者は質の府なり 是を以て
 七六六二     質は愈いよ天に寡なり 
 七六六三     象は愈いよ地に寡なり 
 七六六四     天に居り地に立つ。物は絪縕の間に擾擾たりと雖も。亦た唯だ一動一植のみ。
 七六六五     一動一植は。是れ之を生と謂う。生は物を動植に分ち。居を水燥に分つ。
 七六六六     地に資りて以て生するを以て。體は堅輭を有し。體を以て生に乘ず。
 七六六七     堅植と曰い 輭植と曰う 
 七六六八     堅動と曰い 輭動と曰う 
 七六六九~七〇  居を水燥に分てば。則ち堅は水に居る 
 七六七一                輭は燥に居る 
 七六七二     陸は則ち艸木鳥獸なり 
 七六七三         土鹵金石なり 
 七六七四     水は則ち魚龍藻樹なり 
 七六七五         龜介鱗甲なり 
 七六七六[小境]靜にして天地なり   (これ以下、七八六一まで復元困難。傍記を採用する。) 
 七六七七    動にして轉持なり 
 七六七八    風恬水陸は 則ち體 之を持中に於て縮するなり 
 七六七九    轉にして日影なり 
 七六八〇    持にして水燥なり 
 七六八一    晝夜冬夏は 則ち性 之を持中に於て縮するなり 
 七六八二    一は天中より 侌を收め實を結ぶ 
 七六八三    一は地中より 昜を發し氣を散ず 
 七六八四~八五 收むる者は清虚の中に黯黯として 以て能く物を蔽う 結ぶ者 體は堅なり 
 七六八六     地なる者は水土塊中の核子なり 
 七六八七     堅にして至重なり 
 七六八八     止にして不動なり 
 七六八九     解けて土石を爲す 
 七六九〇     融して淡鹹を爲す 
 七六九一     之を天に反す 則ち
 七六九二     轉なる者は運轉す 
 七六九三     核子に於て桴す 
 七六九四     至輕にして柔なり 
 七六九五     動にして已まず 
 七六九六     物は日月を爲す 
 七六九七     氣は景影を爲す 故に
 七六九八     土石を觀て以て地と爲す者は 食して未だ核子に至らず             (I 460b)
 七六九九     之に火して碎す 
 七七〇〇     之に槌して破す 
 七七〇一     豈に堅を語るに足らんや                           (PB 474)
 七七〇二     運轉を觀て以て天と爲す者は 
 七七〇三     見て未だ胞を開かず 
 七七〇四     清は地を拒む 
 七七〇五     剛は物を拒む 
 七七〇六     豈に柔を語るに足らんや 
 七七〇七    力は引く 
 七七〇八     火は輕くして升る 
 七七〇九     水は重くして降る 
 七七一〇     行は其の路を同じくせず。而して
 七七一一     質を食むを以て而して常に地に就かんと欲す。
 七七一二     以て象質の同じく物に歸して而して氣に於て異なる所なり。
 七七一三     日月なる者は。天の水火。其の路の同じからざるは。
 七七一四     彼此一なり。故に
 七七一五     天に於ては則ち東 物の地を爲す 
 七七一六            西 氣の地を爲す 
 七七一七     氣にして輕虚す 
 七七一八     物にして重實す 
 七七一九     日は廼ち火なり。同じく侌を食す。
 七七二〇     故に天行に從うと雖も。
 七七二一     而も侌行を求むる有り。
 七七二二     轉の方は 猶お地の位のごとし 
 七七二三     天の路は 猶お地の處のごとし 故に
 七七二四     水は降りて而して地に就く 
 七七二五     火は升りて而して天に向う 
 七七二五1復元  日は遅行して轉に後る 
 七七二五2復元  月は急行して天に後る 
 七七二五3復元  月は則ち天の水 下りて疾く運す  
 七七二五4復元  日は則ち天の火 升りて遅く運す 
 七七二六~三一    (欄外追記に付き削除)
 七七三二     天は虚にして輕なり 故に天に親なる者は輕くして浮く 
 七七三三     地は實にして重なり 故に地に親なる者は重くして沈む 故に
 七七三四     火は發して天に及ばず 
 七七三五     水は結びて地に透らず 
 七七三六     天火は則ち侌に於て發せられ 而して常持の體を内に於て存す 
 七七三七     地火は則ち地に於て發せられ 而して毎換の體を外に於て滅す 
 七七三八~三九  地水なる者は降る 地は止る 故に地水なる者は 止る所を得て地に聚まる 
 七七四〇~四一  天水なる者は東す 天は西す 故に天水なる者は 止る所無くして天に運す 
 七七四二    濁隔を以てして彩を其の表に於て塞す 
 七七四三    發する者は濁實の表に昭昭として 以て物を能く照す 
 七七四四~四五 散ずる者は氣は麁にして力は浮く 清虚を以て色を其の外に於て通ず 而して    (PB 485)
 七七四六    日は天地に華す 
 七七四七    水は天地に液す                                (I 461a)
 七七四八    華は影を以てして護す 
 七七四九    液は燥を以てして桴す 故に
 七七五〇    日の鬱發は 熱は舒し明は布す 氣は往交すれば則ち乾く 
 七七五一                   象は引接すれば則ち焚す 
 七七五二    水の融盪は 冷は肅し液は滋す 氣は往交すれば則ち湿す 
 七七五三                   質は引接すれば則ち溺す 
 七七五四     天地の物は  其の位を定めて體を接せず 
 七七五五     天地間の物は 其の位を移して體を相い接す 故に
 七七五六     火は水に接すれば則ち水を涸す 木に接すれば則ち木を食す 
 七七五七     水は木に接すれば則ち木を腐す 火に接すれば則ち火を食す 
 七七五八     乾熱は寒に遭いて溫を和し 水を噏いて滋を致す 
 七七五九     燥溫は物を煦す 
 七七六〇     水滋は物を液す 
 七七六一     持中の萬物は。其の滋煦を受く。
 七七六二     是れ絪縕の痕を露する者なり。
 七七六三    影は肅し日は舒す 
 七七六四    燥は煦め水は滋す 
 七七六五    絪縕は以て用を造化に於て成す。
 七七六六    散氣は虚動を伴う 
 七七六七    結質は實止を伴う 
 七七六八    天地は容居す 
 七七六九    水火は絪縕す 
 七七七〇     轉中は氣 剛なり 故に氣は其の力を極む 
 七七七一     持中は氣 柔なり 故に氣力は自から微なり 故に
 七七七二     寒熱明暗は 天に在りては其の甚を極む 
 七七七三     溫冷清濁は 地に在りては其の勢を殺す 
 七七七四     天物は剛を以て自から取る 
 七七七五        柔を以て之を地に推す 
 七七七六     持中の柔輭を知る可し。是に於て
 七七七七     持の物は。常に剛勢に勝らず。其の
 七七七八     大寒大熱に遇いて凍焚す 
 七七七九     大暗大明に遇いて盲羞す 亦た其の徴なり。是を以て
 七七八〇     艸木鳥獸は。皆な柔輭の物なり。                       (PB 486)
 七七八一     彼此を通觀して。以て工夫を此の絪縕に於て下すを得る。
 七七八二~八三(次行) 
     [用] 蓋し其の成る所は。侌は收を以てして結ぶ 
 七七八四             昜は發を以てして散ず 
 七七八五    燥火は同性にして 火は天に走り 燥は地に居る 
 七七八六    水影は同性にして 水は地に浮き 影は地に沈む 
 七七八七    影の常に斂まるや 以て火を束ねる所なり 
 七七八八    火の常に發するや 以て影を排する所なり 
 七七八九     物を發するを以て 而して明は常に暗分に進む 
 七七九〇     物を收むるを以て 而して暗は常に明熱を抱く 
 七七九一    聚散解結は 體成の用なり 
 七七九二    發收排噏は 性成の用なり 
 七七九三    鬱達肅舒。發斂凝融は。其の間に變化するなり。
 七七九四     天なる者は精なり。萬物を容れて有餘を見さず。
 七七九五              萬物を除きて不足を見さず。故に
 七七九六     聚散解結なる者は。其の中に遊ぶ。蓋し
 七七九七     氣は能く聚散す 
 七七九八     質は能く解結す 然り而して
 七七九九     氣は聚らざれば則ち質結ばず 
 七八〇〇     氣は散ぜざれば則ち質通ぜず 
 七八〇一     此の氣や。分明に聚散す。
 七八〇二     若し彼に間無くんば 則ち何ぞ此に聚まらん 
 七八〇三     此に聚まる可くんば 則ち何ぞ彼に間無からん 
 七八〇四~〇五  已に能く聚散す。而して能く聚散する者を容る。精ならざるを得んや。
 七八〇六~〇七  水注を以て水を弄するに。水は出でざれば 則ち氣は入らず 
 七八〇八                 氣は入らざれば 則ち水は出でず 
 七八〇九     毫末の間無きを見るが如し。
 七八一〇     然りと雖も蘆莩を取りて之に風し。
 七八一一     兩端を撚りて之を縮むれば。
 七八一二     則ち其の脹るは小にして堅なり。
 七八一三     之を緩むれば則ち其の脹は大にして輭なり。
 七八一四     是に於て間無き者も亦た活縮脹を有するを觀る。是を以て            (PB 487)
 七八一五     發する者は有餘に噴く 
 七八一六     今 径尺の鼓は 聲を數里に徹す
 七八一七       數寸の燈は 明を百歩に致す 
 七八一八     收むる者は不足に噏う 
 七八一九     一滴の水は 百歩を照すの明を收む 
 七八二〇     鼓に灑ぐの雨は 數里に徹するの聲を鈍らす 故に
 七八二一     發收なる者は 相い資るの道なり 
 七八二二     散結なる者は 體を成すの用なり 是を以て
 七八二三     氣の聚散 
 七八二四     質の解結 
 七八二五     經緯有りと雖も。亦た生化の事なり。
 七八二六     物の將に生ずるや 其の氣は聚る 
 七八二七     物の已に生ずるや 其の質は結ぶ 
 七八二八     物の將に化するや 其の氣は散ず 
 七八二九     物の已に化するや 其の質は解く 故に
 七八三〇     雨は將に結ばんとすれば 則ち侌湿 先に動く 
 七八三一     子は將に結ばんとすれば 則ち感悦 先に動く 是の故に
 七八三二~三三  將に此の物を生ぜんとすれば 則ち此の氣 聚る 聚まれば則ち質 結ぶ 
 七八三四~三五  將に此の物を化さんとすれば 則ち此の氣 散ず 散ずれば則ち質 盡く 
 七八三六     生化の端。水火は其の徴す可き者なり。蓋し
 七八三七     持中は。氣なる者は燥なり 
 七八三八         質なる者は水なり 而して
 七八三九         水氣は好く收む 
 七八四〇         燥氣は好く發す 是れ乃ち
 七八四一     氣の常に升り。
 七八四二     質の常に降る所なり。
 七八四三     收の極や凝なり 
 七八四四     發の極や散なり 故に
 七八四五~四六  甕中の儲水は 凝すること甚だしくして氣を聚斂すれば 終に其の器を碎く    (I 462a)
 七八四七~四八  爆竹の鬱火は 逼ること急にして氣を發出すれば    以て其の質を裂く 故に
 七八四九     收めて之を收むれば 氷の大きさは 水より小なり 
 七八五〇     發して之を發すれば 火の大きさは 薪より大なり 是を以て
 七八五一     氷の體を水よりも小にするは 氣の散ずるに非ざるなり 氣の内に收まればなり 
 七八五二     火の體を薪よりも大にするは 氣の聚まるに非ざるなり 氣の外に發すればなり 是の故に
 七八五三     水を鑵中に置き 火を以て之を煎ずれば 則ち水は鑵中に沸く 
 七八五四     綿を匏内に燒き 之を瘡口に置けば   則ち膿は匏内に入る 
 七八五五     水の鑵中に沸くは 則ち火の其の收物を發散すればなり             (PB 488)
 七八五六     膿の匏内に入るは 則ち水の其の發氣を收斂すればなり 故に
 七八五七     燥は結鬱により成る 
 七八五八     水は解發により融す 故に
 七八五九     充つる者は徒らに充たず 
 七八六〇     結ばる者は徒らに結ばず 
 七八六一     皆な天中に遊ぶ。
 七八六二(次行)
   [一球二圏]一結物の外は。坱坱の虚。唯だ清にして虚す。
 七八六三    日影水燥は。以て其の間に敷くなり。
 七八六四    天地は一胞なり 
 七八六五    華液は孿胎なり 
 七八六六    日圏は天心を占むる能わず 弧中に行くを以て 其の圓を全す 
 七八六七    水圏は地心を占むる能わず 地表に遊ぶを以て 其の圓を全す 是を以て
 七八六八    水燥の圏は。能く天地の球を合すと雖も。而も
 七八六九    其の實は不占心の二圏にして。以て天地の中に於て立つ。
 七八七〇~七一   (欄外追記につき削除)
  [剖析對廣] 天なる者は日華を以て 昜徳を上に於て播く 
 七八七四    地なる者は水液を以て 侌徳を下に於て施す 故に
 七八七五    星辰は皆な昜華を承く 
 七八七六    動植は皆な侌液を含む 
 七八七七    日影なる者は 華の營衛なり 
 七八七八    水燥なる者は 液の營衛なり 
 七八七九    日華と月水と 景燥と影湿と 其の性 類を同じくして 而して其の侌昜を反す   (PB 489)
 七八八〇    日月と水火と 景影と湿燥と 其の位 類を同じくして 而して其の侌昜を反す 
 七八八一    剖する所。愈いよ多し。而して對する所。愈いよ多し。
 七八八二    對する所の多ければ。則ち交態は各おの異なるなり。是を以て (以下五行復元困難。)(I 462b)
 七八八三    天日地水は。則ち一球中に乾潤し。發收を相い貫す。
 七八八四~八五 兩圏は既に相い分てば。則ち日影は明暗寒熱を有す 
 七八八六                 水燥は乾潤滋煦を有す 
 七八八七~八八     (欄外追記につき削除。)
 七八八九    引伸触類。以て推す可し。
 七八九〇     天地は已に相い分る 
 七八九一     萬物は已に竝び立つ 
 七八九二     其の物の竝び立つや。各おの其の氣を用いて。交接する所に從う。
 七八九三     亦た相い對する者有るなり。
 七八九四     姑く徴を人に移して之を言わんに。
 七八九五     己の身は則ち一のみ。
 七八九六     君に對すれば則ち忠を以て交わる。
 七八九七     臣に對すれば則ち禮を以て交わる。
 七八九八     父に接すれば則ち孝なり。
 七八九九     子に接すれば則ち慈なり。
 七九〇〇     男女は相い感ず。
 七九〇一     怨讐は相い嫉む。故に
 七九〇二     物は則ち條理を以て立つ 
 七九〇三     氣は則ち會に從いて變ず 是を以て
 七九〇四     正偶は佗に非ずと雖も。竝び立ちて相い反す。
 七九〇五     對せざる所有ること莫し。故に
 七九〇六~〇七  火なる者は侌を以て燃ゆる者なり 侌の肅寒に會すれば 則ち鬱して熱す 
 七九〇八     金に會すれば則ち之を融す 
 七九〇九     木に會すれば則ち之を燒く 
 七九一〇     暗に會すれば則ち光を増す 
 七九一一     水に會すれば則ち象を收む 
 七九一二~一三  水なる者は昜を以て融する者なり 昜の鬱熱に會すれば 則ち肅して寒す 
 七九一四     金に會すれば則ち之を沈む 
 七九一五     木に會すれば則ち之を浮ぶ 
 七九一六     明に會すれば則ち光を發す 
 七九一七     火に會すれば則ち質を失う 是の故に
 七九一八     地なる者は結物にして 而して結外に於て水融け火發す 
 七九一九     乾は地に交して燥なり 
 七九二〇     水は天に接して湿なり 
 七九二一     天なる者は散物にして 而して散中に於て日發し月收む              (PB 490)
 七九二二     質は日に交わりて影なり 
 七九二三     日は月に交わりて景なり 
 七九二四     天地は覆載す 
 七九二五     侌昜は絪縕す 
 七九二六     天にして星辰なり 
 七九二七     地にして動植なり 
 七九二八     紛縕錯雜として。其の盡くす所を見さず。
 七九二九(次行)
  [一二分合] 是に於て日影は處を天に於て開く 而して星辰は旋る 
 七九三〇        水燥は處を地に於て開く 而して動植は住う 
 七九三一    地著の質は 地の性に從う 故に潤にして暗なり 
 七九三二    天懸の象は 天の性に從う 故に乾にして明なり 故に
 七九三三    月は暗體と雖も 主に從いて明を假る 
 七九三四    火は明體と雖も 主に從いて暗を爲す                       (I 463a)
 七九三五    火なる者は鬱して發す 象にして天に居る            (復元困難。傍記を採用。)
 七九三六    其の質を食すを以て其の尾の上に向うを推して 而して日の首の東に向うを知る    (同。)
 七九三七    水なる者は收めて結ぶ 質にして地に居る 
 七九三八    其の氣に資るを以て其の尾の地に向うを推して 而して月の尾の東に向うを知る    (同。)
 七九三九    火は地を出づる有りて地に入る無し 
 七九四〇    水は天より降る有りて天に升る無し 而して
 七九四一    日月水火。雌雄も亦た勢を張る。
 七九四二    日は以て歳を成す 
 七九四三~四四 月は以て月を成す 天地は隔つと雖も。而も燥物は日に應ず 
 七九四五~四六                     水物は月に應ず 滋煦の正に成るなり。  (PB 491)
 七九四七    水は以て雪を凝す 
 七九四八~四九 燥は以て雷を發す 以て其の極と爲すなり。是に於て
 七九五〇    晝夜冬夏する者は 日影なり 
 七九五一    生化解結する者は 水燥なり 
 七九五二    水燥は持中に塞す 以て水陸の文を爲す 
 七九五三    日影は轉中に通ず 以て歳時の章を爲す 
 七九五四    時は精通して生化を痕する無し 
 七九五五    處は精塞して方位を示す 唯だ
 七九五六    物にして後 生化して袞袞に從う 
 七九五七    物にして後 虚實して坱坱に居る 
 七九五八    孿子は 各 活立を含むと雖も。而も胞中の氣血は。均しく兩胎を養う。故に
 七九五九    華液の二圏は。一胞の中に在りて。同じく其の天地動止を成す。故に
 七九六〇    之を華液と謂う 則ち孿胎は一胞の化育を活す 
 七九六一    之を兩環と謂う 則ち一胞は孿生の天地を立す                  (PB 492)
 七九八五[四界]宇宙は氣なり 本なり 之を天界と爲す 
 七九八六    天地は物なり 根なり 之を體界と爲す 
 七九八七    轉持なる者は 其の氣 能く物に體す 故に精なり 之を機界と爲す 
 七九八八    華液なる者は 其の物 能く性を見す 故に英なり 之を性界と爲す 
 七九八九    四界合して天地を成す。
 七九九〇    條理に從いて之を剖析す。本源末派。多少同じからず。夫れ
 七九九一~九二 宇は能く物を立す。宙は能く其の間に通ず。
 七九九三    通は已に塞中に通ずれば。則ち宇は直一なり。
 七九九四    宇中にては。轉持の機は 正斜の形に依りて 以て其の物を没す           (I 463b)
 七九九五          虚實の體は 華液の性を以って 以て其の物を露す 
 七九九六    露没を合して。以て全物を得る。
 七九九七    然りと雖も機體は能く合す                            (PB 511)
 七九九八~九九      華液は能く分つ 分るれば則ち 各 天地を持す。
 八〇〇〇    機體の有せざる所の色氣を以て。之を虚天實地の間に於て充塞す。故に
 八〇〇一    華液と天地と。其の源を合して。其の派を分つ。
 八〇〇二    形體は相い得て 而して其の體 立す 
 八〇〇三    色氣は相い得て 而して其の性 活す 是に於て
 八〇〇四    宇は能く機體を一球に於て成す 
 八〇〇五    華液は環を  球中に於て分つ 
 八〇〇六    性なる者は水燥の性才に就きて言うなり 
 八〇〇七    色なる者は日影の色氣に就きて言うなり 
 八〇〇八    色なる者は清濁なり 虚實の通隔を爲すよりして成る 
 八〇〇九    氣なる者は寒熱なり 動靜の發收を爲すよりして成る 是に於て
 八〇一〇    色氣なる者は機體の流派なり。以て一胞孿胎の狀を觀る。是を以て
 八〇一一    氣境に入るや 氣ならざる者莫し 
 八〇一二    色境に入るや 色ならざる者莫し                         (PB 512)
 八〇一三(次行) 
   [清濁通隔]夫れ宇なる者は。機體を合して一球と爲す。以て之を容る。
 八〇一四    一球は侌成昜成の兩圏を容る。以て性の物を成す。
 八〇一五    侌成は水燥を以て地球に襲す 
 八〇一六    昜成は日影を以て天轉に駕す 
 八〇一七    日弧の東規は。
 八〇一八    西規の線を絡して。日は其の線に駕す。
 八〇一九    東規と相い糾して。東に之き西に之く。
 八〇二〇    日は既に此に駕す。
 八〇二一    其の日に駕する者は。能く運天を中断す。日に駕する所の者は。
 八〇二二    自から機軸を出だして。中を立て外を布く。
 八〇二三    輪軸は軛を脱して。衆辰は之に駕す。
 八〇二四    日に近き者は疾し 
 八〇二五    日に遠き者は遲し 
 八〇二六    諸を日月の弧に例すれば。節有りて漸むに急を爲す者に似たり。
 八〇二七    諸を人の途に上る者に例すれば。道路に近遠有るに由る者に似たり。既に
 八〇二八    虚を以て物を爲す。
 八〇二九    動を以て行を爲す。
 八〇三〇    色を以て體と爲す。
 八〇三一    性を以て氣と爲す。
 八〇三二    其の色は則ち明なり 而して外氣は暗を爲す 
 八〇三三    其の氣は則ち熱なり 而して外氣は則ち寒す 
 八〇三四    此の物は持中に接して 晝夜冬夏を爲す 
 八〇三五    是に由りて之を推すに。
 八〇三六    月は其の色 暗なり 
 八〇三七    外氣は明を爲す 
 八〇三八    外氣は則ち暄かし 
 八〇三九    其の氣は冷に當り 
 八〇四〇    轉中に漸みて晦朔弦望を爲す 故に
 八〇四一    日月は相い比す。下は水燥と應を爲す。是を以て                (PB 513)
 八〇四二    日は昜化を布きて燥に和す 
 八〇四三    月は侌化を布きて水に和す 是を以て
 八〇四四    水燥滋煦の化は。全く力を日月景影に假る。                  (I 464a)
 八〇四五    色界の氣を有するは 
 八〇四六    猶お性界の才を有するがごとし 而して
 八〇四七    氣の寒熱は 動靜に成る 
 八〇四八    色の明暗は 清濁に成る 夫れ
 八〇四九    虚する者は清にして通ず 
 八〇五〇    實する者は濁にして隔つ 
 八〇五一    神活以上は 清を以て其の體技を見さず 
 八〇五二    物立以下は 濁を以て其の體技を没せず 
 八〇五三     隔は何を以てか隔つ 其の能く彩を呈するを以て隔つ 
 八〇五四     隔てば則ち一白一黒なり 
 八〇五五     通は何を以てか通ず 其の能く色を播するを以て通ず 
 八〇五六     通ずれば則ち明なり 
 八〇五七     變化の成る所は。瑣にして盡きず。
 八〇五八     轉持なる者は清なり 機を以て其の技を伸ばす 
 八〇五九     明暗なる者は濃なり 色を以て其の技を伸ばす 
 八〇六〇    濁中は清濁通隔す。
 八〇六一    通は素色を開く 
 八〇六二    隔は文彩を呈す 而して
 八〇六三    素色文彩は皆な色なり 
 八〇六四    機態勢氣は皆な氣なり 而して
 八〇六五    其の明暗寒熱を以て物を成し。天地と勢を張る者は。日影なり。故に
 八〇六六    明暗寒熱は日影を成す。
 八〇六七    日影は明暗寒熱を有す。是に於て。色氣を徧言して。
 八〇六八    以て人の日影の專ら明暗寒熱を有するを知るを要す。               (PB 514)
 八〇六九(次行)
  [素色文彩] 蓋し物なる者は體に立す 而して
 八〇七〇           色に見る 故に
 八〇七一    天なる者は散虚して 清にして通ず 
 八〇七二    地なる者は結實して 濁にして隔つ 
 八〇七三    素色文彩の體に託する所なり。
 八〇七四    濁は清を食す。復た能く清を吐す。是に於て
 八〇七五    濁物は淡を以て清と爲す 
 八〇七六       濃を以て濁と爲す 
 八〇七七    濁中 清なる者は 日は光り地は侌にして 以て明暗の色を播す 
 八〇七八    濁中 濁なる者は 日は白く地は黒にして 以て青赤の彩を呈す 是に於て
 八〇七九    色    虚没の氣を見す 
 八〇八〇    彩 呈して實露の物を見す 是に於て
 八〇八一    體は色に見る 
 八〇八二    色は體に露す 而して
 八〇八三    天地象質 禽獸羽毛の美 
 八〇八四         艸木華葉の麗 皆な彩色を出づること能わざるなり。
 八〇八五(次行)
  [清濁明暗] 是を以て淡濃は則ち露中の清濁なり。
 八〇八六    天なる者は清なり 
 八〇八七    地なる者は濁なり 
 八〇八八    清は能く明を發す 
 八〇八九    濁は能く暗を起す 
 八〇九〇    明なる者は 其の彩は白 其の文は光なり                    (PB 515)
 八〇九一    暗なる者は 其の彩は黒 其の文は侌なり                    (I 464b)
 八〇九二     清は能く明を發す 故に日は天中に聚る 
 八〇九三~九四  水は亦た地の清物なり 是を以て水氣は明を發す 
 八〇九五                    水體は光を受く 
 八〇九六~九七  濁は能く暗を起す 故に影は地上に散ず 
 八〇九八~九九  日も亦た天の濁物なり 是を以て日體は物を隔つ 
 八一〇〇                    日氣は濁を爲す 
 八一〇一     地火天水も。其の事は同じく然り。影は靜にして日は動く。
 八一〇二     日は追い影は移る。而して晝夜冬夏有り。
 八一〇三     有ると雖も而も日は則ち轉ず。影は則ち移る。
 八一〇四     移る者は 靜なり 
 八一〇五     運する者は動なり 
 八一〇六     動なる者は天に依るなり 
 八一〇七     靜なる者は地に依るなり 
 八一〇八    日影は濃を清中に爲す 故に清と雖も而も彩を隔てず 
 八一〇九    水燥は淡を濁中に爲す 故に淡と雖も而も物を隔て易し 
 八一一〇    天は通ずるを以て 而して光侌は明暗を播す 
 八一一一    地は隔てるを以て 而して黒白は淡濃を呈す 
 八一一二    日は明にして照す 
 八一一三    影は暗にして蔽う 
 八一一四    水は清にして通ず 
 八一一五    燥は濁にして隔つ 是を以て
 八一一六    地なる者は侌體なり 影は侌氣を以て 而して地に依りて天に充つ 然りと雖も 
 八一一七    日は充天の影を排す 而して地をして明中に居らしむれば 則ち
 八一一八    地は常に半面の侌を持す 故に之を分てば 則ち天影を有し 地影を有す 
 八一一九    日なる者は昜體なり 景は昜氣を以て 而して天に依りて地に充つ 然りと雖も   (PB 516)
 八一二〇    地は隔色の濁を以て    日をして半面に當らしむれば 則ち       (而を欠くか。)
 八一二一    日は常に半面の明を播す 故に之を分てば 則ち天景を有し 地景を有す 
 八一二二     昜散地結は 體を虚實に於て露す 散虚は地を覆い 結實は天を載す 
 八一二三     侌收昜發は 體を明暗に於て見す 發明は天を照し 收暗は地を覆う 
 八一二四     天機なる者は清なり 
 八一二五     天象なる者は濃なり 
 八一二六     天機は則ち轉持なり 
 八一二七     天象は則ち日影なり 
 八一二八     氣は以て東西す 
 八一二九     象は以て照蔽す 
 八一三〇     天は東西照蔽を除くの外に見れず。見れざるを以て天の精清を觀る。
 八一三一     精清を觀て。而して氣象の猶お未だ清ならざるを知る。故に
 八一三二     天地は以て通隔す 
 八一三三     日影は以て照蔽す 
 八一三四     天なる者は體にして虚なり 
 八一三五     地なる者は體にして實なり  
 八一三六     影なる者は收めて象なり 
 八一三七     日なる者は發して象なり 
 八一三八     火を中央に點すに 四邊は必ず瞑し 彼の蒼たる者は象光の到らざるの地なり 
 八一三九     火邊に物有れば 一邊は必ず影す 
 八一四〇     地上の晝夜なる者は 明暗の相い轉ずるなり 
 八一四一     能く發昜をして上に聚らしむる者は 影の下に收むるなり            (I 465a) 
 八一四二     能く收侌をして外に散ぜしむる者は 日の裏に發するなり 
 八一四三     明氣なる者は景なり 分れて晝を爲す 
 八一四四     暗氣なる者は影なり 分れて夜を爲す 是を以て
 八一四五     晝夜なる者は 明暗の地に徴す可き者なり 
 八一四六     景影なる者は 明暗の天に觀る可き者なり 蓋し
 八一四七     地を以て天に對すれば 則ち
 八一四八     濁結は地に成る 
 八一四九     清散は天に成る 
 八一五〇~五一  地を以て日に對すれば 則ち明熱は日に寓す                  (PB 517)
 八一五二                  暗寒は地に依る 
 八一五三     景は品彙をして彩を呈せしむ 
 八一五四     影は朱緑をして色を收めしむ 
 八一五五     暗寒は地に依る 故に日は隠れて暗なり 
 八一五六               日は遠くして寒なり 
 八一五七     明熱は日に寓す 故に日は見れて明なり 
 八一五八               日は近くして熱なり 
 八一五九[色界]素は以て彩を呈す 
 八一六〇~六一 文は以て色を播す 故に質に依る者は彩に資る 
 八一六二               象に依る者は文に資る 
 八一六三    合して之を言えば。則ち日は白にして光る 明にして通ず 
 八一六四               地は黒にして侌す 暗にして隔つ 
 八一六五    分ちて之を言えば。則ち彩は則ち黒白にして體に著く 
 八一六六               文は則ち光侌にして體を離る 
 八一六七     體は上下に分れて居る 
 八一六八     氣は前後に分れて行わる 
 八一六九     明暗は亦た寒熱を伴いて其の時に行わる 
 八一七〇     清濁は亦た乾潤を伴いて其の處に居る 故に
 八一七一     天は清にして乾く 
 八一七二     地は濁にして潤う 是に於て
 八一七三     清濁は天地を爲す 
 八一七四     乾潤は象質を爲す 
 八一七五     日は明にして熱す 
 八一七六     影は暗にして寒す 
 八一七七     寒熱は冬夏を爲す 
 八一七八     明暗は晝夜を爲す 
 八一七九    故に素なる者は 色の天なり 
 八一八〇      色なる者は 素の地なり 而して
 八一八一    素色は運爲する所有り 
 八一八二    文彩は變化する所有り 
 八一八三    景明影暗は天清に居る 
 八一八四    水清燥濁は地濁に居る 是を以て
 八一八五    天中の散物は 亦た其の象を明暗にし 其の體を聚散す 以て景影の中に懸る 
 八一八六    地中の散物は 亦た其の氣を乾潤にし 其の體を解結す 以て水燥の中に立つ 故に (PB 518)
 八一八七    月辰の暗は景に於て聚る 
 八一八八    星漢の明は影に於て散ず 
 八一八九     景中に居る者は 其の象は暗なり 明を受けて光る 
 八一九〇     偶する者は月 屬する者は辰 散じて景に居るなり 
 八一九一     影中に居る者は 其の象は明なり 暗に居りて光る 
 八一九二     聚まる者は漢 散ずる者は星 列して影に居るなり               (I 465b)
 八一九三     地は明中に居る 景を爲し映せられて彩を見す 
 八一九四     日は暗中に居る 影を爲し擁せられて光を露す 
 八一九五    雲烟の濁は 自から水解す 
 八一九六    雨露の清は 自から燥結す 
 八一九七     日に景影有り 
 八一九八     地に水燥有り 
 八一九九     地なる者は 精英の根本 體を下に於て爲す 
 八二〇〇     其の居は中を占め 水は地を環し 燥は水を環し 數層を一圓に并す 
 八二〇一     日なる者は 本根の英華 體を上に於て爲す 
 八二〇二     其の行は中を守り 景は日を環し 影は景を環し 數層を一圓に并す 是に於て
 八二〇三~〇四  日と地と勢を張るなり。故に日は景影の主を爲す 
 八二〇五                  地は水燥の主を爲す 
 八二〇六     合すれば則ち皆な一圓に歸す。
 八二〇七     是に於て。月辰は暗にして景に居る 
 八二〇八          星漢は明にして影に居る 
 八二〇九          雲烟は濁にして地を出づ 
 八二一〇          雨露は清にして天を下る 
 八二一一(次行)
    [運爲] 地隔燥濁は 共に濁中に濁す 
 八二一二    日照影蔽は 共に清中に濁す 
 八二一三     地は燥と共に濁す 而して地は濁にして隔つ 燥は濁にして通ず 
 八二一四     日は影と共に濁す 而して日は濁にして隔つ 影は濁にして通ず 是を以て。
 八二一五    日彩なる者は白なり 其の文は光る 明を以てして照を播す 
 八二一六    地彩なる者は黒なり 其の文は侌る 暗を以てして蔽を播す 故に
 八二一七    明なる者は 昜の色なり 其の用は照す 
 八二一八    暗なる者は 侌の色なり 其の用は蔽う 
 八二一九    白なる者は 象の彩なり 其の用は明を持す 
 八二二〇    黒なる者は 質の彩なり 其の用は暗に和す 
 八二二一    暗は明に和して青なり 
 八二二二    黒は白に和して赤なり 
 八二二三     雲霧昏濁の中 皆既の食に遇えば 地の本彩を觀る 
 八二二四     天氣晴朗の夜 無月の天を望めば 天暗の地黒に及ばざるを觀る         (PB 519)
 八二二五     以て青黒を天地に於て辨ず可し 
 八二二六     天氣晴朗の時 正晝の日を望めば 日の本彩を觀る 
 八二二七     雲霧昏濁の中 晦夜の火を望めば 地明の天白に及ばざるを觀る 
 八二二八     以て赤白を天地に於て辨ず可し                        (I 466a)
 八二二九    光は質に在りて澤なり 
 八二三〇    侌は體に在りて影なり 夫れ明暗の照蔽に於る。
 八二三一~三二 照は 能く侌昜を具す 昜氣は 則ち發を以てして他に播す 
 八二三三               侌體は 則ち收を以てして佗を假る 
 八二三四               昜照は 天に在れば則ち日なり 地に在れば則ち火なり 
 八二三五               侌照は 地に在れば則ち水なり 天に在れば則ち月なり 
 八二三六~三七 蔽も 亦た氣物を具す 氣體は 則ち濁を以てして佗を翳す 
 八二三八               物體は 則ち隔を以てして佗を遮る 
 八二三九               氣蔽は 天に在れば則ち影なり 地に在れば則ち燥なり 
 八二四〇               體蔽は 天に在れば則ち食なり 地に在れば則ち夜なり 
 八二四一    是れ明暗の運爲なり。蓋し
 八二四二    清なる者は 昜の素にして 其の用は通なり 
 八二四三    濁なる者は 侌の素にして 其の用は隔なり 
 八二四四    侌隔の中 氣は則ち能く發す 
 八二四五         體は則ち能く隔つ 
 八二四六    氣發は 清なれば則ち物を被う 
 八二四七        濁なれば則ち己に持す 
 八二四八    體隔は 清なれば則ち彩を假る                        (PB 520)
 八二四九        濁なれば則ち彩を見す 
 八二五〇     明なる者は 光を布きて物に被らしむ 
 八二五一     暗なる者は 侌を布きて物に被らしむ 
 八二五二     色にして外に發するなり 
 八二五三     白なる者は 明を含みて物を持す 
 八二五四     黒なる者は 暗を含みて物を持す 
 八二五五     彩にして自から持するなり 且つ
 八二五六     隔たる者は。後を隠して前を見す 是を以て。
 八二五七     清なれば則ち佗色を假りて見る 
 八二五八     猶お鏡の背面の畫圖を隠して 而して前面の物象を冩すがごとし 
 八二五九     濁なれば則ち本彩を以て見る 
 八二六〇     猶お地の下面の天を隠して  而して地面の物彩を見るがごとし 
 八二六一    昜通の間 氣は則ち能く透す 
 八二六二~六三      體は則ち能く受く 氣透は 明は則ち質を透す 
 八二六四                      暗は則ち象を透す 
 八二六五     物の地上に在るや。剛柔動靜に資る 
 八二六六              寒熱明暗に受く 
 八二六七              明暗は事を晝夜に行う 
 八二六八              寒熱は事を冬夏に行う 
 八二六九     明暗は 物 之を受けて 而して動靜に覺す 故に動は能く睡覺を爲す 
 八二七〇     寒熱は 物 之を受けて 而して發收に覺す 故に植は能く榮枯を爲す 
 八二七一     明暗は寒熱と偶を爲す。而して氣を歳日に於て用す。
 八二七二     物の時に路する者は。皆な此の代るがわる旺する者を經す。然り而して
 八二七三     其の體は則ち日に在りて熱し 
 八二七四           地に在りて寒し 
 八二七五           景を以て明す 
 八二七六           影を以て暗す 故に
 八二七七     目の色に於るや。明なれば則ち目の通に覺る 
 八二七八             暗なれば則ち目の塞に覺る                  (I 466b) 
 八二七九     暗の目を塞するに非ず 惟だ暗なれば 則ち地體を隠して 而して天象を見す 
 八二八〇     明の目を通ずるに非ず 惟だ明なれば 則ち天象を隠して 而して地質を見す 且つ
 八二八一     氣にして清なれば 則ち體の隔たる無し 故に
 八二八二     後に通ずるを以て 而して之を前に受くるを得ず 
 八二八三     體にして清なれば 則ち體の隔たる有り 故に
 八二八四     後に隔たるを以て 而して之を前に受けざるを得ず 夫れ
 八二八五~八六  清なれば則ち淡なり。淡にして無體なれば 則ち底に透けざること能わず    (PB 521)
 八二八七               淡にして有體なれば 則ち前に受けざること能わず 透受の辨なり。
 八二八八    體受は 象は則ち之に浮く 
 八二八九        質は則ち之に沈む 
 八二九〇     氣なる者は 能く透く 
 八二九一     體なる者は 能く受く 清の運爲なり。蓋し
 八二九二     天なる者は淡なり 
 八二九三     象なる者は濃なり 是を以て。
 八二九四     明の天に於る 濃を以て象を隠す 淡を以て質を見す 
 八二九五     涓埃の擾擾と雖も 其の彩を遺さず 
 八二九六     暗の天に於る 濃を以て質を隠す 淡を以て象を見す 
 八二九七     熠耀の耿耿と雖も 其の光を餘さず 且つ
 八二九八     有體なれば則ち後に透くる所無し 
 八二九九     清なれば 則ち前に受くる所有り 故に
 八三〇〇     象を浮ぶれば 則ち虹霓と爲し 波光と爲す 
 八三〇一     艸間の露 蚌中の珠 弄するに随いて彩を轉ずる者は   受けて浮くより成る  (落字か。)
 八三〇二     質を沈むれば 則ち海市を爲し 水影を爲す 
 八三〇三     眼中の色 鏡裏の影 見るるに随いて形を現わす者は 皆な受けて沈むより成る 
 八三〇四    是れ清濁の運爲なり。 
 八三〇五(次行)
  [黒白青赤] 色は彩を運爲に於て成す。
 八三〇六    彩は色を運爲に於て依る。
 八三〇七    色運は窮まらず 
 八三〇八    彩變は限り無し 是を以て。
 八三〇九    黒白は體に持す 
 八三一〇    光侌は氣に發す 
 八三一一    日體の白は 地氣の黒に隔たれば則ち赤なり 而して
 八三一二    黄と赤とは 隔の厚薄に由る 
 八三一三    地氣の黒は 日光の照を受くれば則ち紅なり 而して
 八三一四    紅と紫とは 映の正斜に由る 
 八三一五    白なる者は 清體の明彩にして 黒濁に和して赤なり 故に         (PB 522, I 467a)
 八三一六    火の赤は 濁質を食するに由るなり 是を以て 
 八三一七    赤彩は地に成る 而して天に成らざるなり 
 八三一八     質なる者は 暗なり 
 八三一九     象なる者は 明なり 
 八三二〇     水なる者は 氣の質に之くなり 故に氣にして質なり 
 八三二一     火なる者は 質の氣に之くなり 故に氣にして象なり 故に。
 八三二二     水は 深ければ則ち暗なり 
 八三二三        淺ければ則ち淡にして氣の如し 
 八三二四     火は 燻ぶれば則ち暗なり 
 八三二五     燃ゆれば則ち明にして象を爲す 
 八三二六     水は 液を以て體を爲す 
 八三二七        暗を以て氣を爲す 
 八三二八     月は象を以て暗なり 
 八三二九     水は質を以て暗なり 
 八三三〇     月なる者は 侌質の無體に依る者なり 故に能く明を爲す 
 八三三一     水なる者は 侌質の有體に依る者なり 故に能く暗を爲す 
 八三三二     火は 焔を以て體を爲す 
 八三三三        明を以て氣を爲す 
 八三三四     日は白を以て明なり 
 八三三五     火は黄を以て明なり 
 八三三六     日なる者は 昜象の無體に依る者なり 故に其の色や白なり 
 八三三七     火なる者は 昜象の有質に依る者なり 故に其の色や黄なり 
 八三三八     黄なる者は。赤の未だ甚しからざるなり。猶お碧の青に於るがごとし。
 八三三九     赤なる者は 黒白の間に彩す 
 八三四〇     青なる者は 明暗の間に彩す 故に。
 八三四一     昜火は 白なること能わざるを以て黄なり 
 八三四二     侌火は 明なること能わざるを以て青なり 
 八三四三     天影は暗なること能わざるして青なり 
 八三四四     雲烟は暗なること能わざるして黯なり 是を以て。
 八三四五     火は氣と雖も 而も質に依るを以て  而も未だ日の白に若かず 
 八三四六     水は質と雖も 而も氣よりするを以て 而も  地の黒に若かず 
 八三四七    天氣の暗は 日氣の明に透ければ則ち青なり 而して碧と青とは 透の厚薄に由る 
 八三四八    地體の濁は 日光の明を隔てれば則ち黒なり 而して黯と黒とは 隔の正斜に由る  (PB 523) 
 八三四九    黒なる者は 濁氣の暗彩にして 清明に和して青なり 故に
 八三五〇    水の青は清質を結ぶに由るなり 是を以て
 八三五一    青彩は天に成る 而して地に成らざるなり 
 八三五二     天影なる者は大なり 
 八三五三~五四  地影なる者は小なり 而して天影の清暗は則ち青を成す 
 八三五五                  地影の暗濁は 黒を成すの濃に若かず 
 八三五六     天象なる者は大なり                             (I 467b)
 八三五七~五八  地象なる者は小なり 而して地象の濁明は則ち赤を成す 
 八三五九                  天象の清明は 白を成すの濃に若かず 故に。
 八三六〇     黒彩は 地に於て勝る 
 八三六一     青は則ち天に於て勝る 
 八三六二     白彩は 天に於て勝る 
 八三六三     赤は則ち地に於て勝る 
 八三六四     氣 清なれば則ち明は光を放つ 
 八三六五             暗は影を爲す 
 八三六六       濁なれば則ち明は光を含む 
 八三六七             暗は影を受く 
 八三六八(次行)
  [光澤侌影] 光なる者は 象の輝なり 質に在れば則ち澤を爲す 故に
 八三六九    澤は映ずる所有れば則ち 光を假る 
 八三七〇    侌なる者は 質の翳なり 清に在れば則ち影を爲す 故に
 八三七一    影は印する所有りて而して彩を受く 
 八三七二     均しく是れ昜なりと雖も 而も日なる者は光を發し 星は光を含む 
 八三七三     均しく是れ侌なりと雖も 而も月なる者は光を發し 燐は光を含む 
 八三七四     同じく是れ侌なりと雖も 而も夜なる者は日を隔て 影なる者は日を翳す 
 八三七五     同じく是れ影なりと雖も 而も象は則ち之を映し 質は則ち之を写す 是を以て。
 八三七六     月輝と波光とは 之を天光に於て受く 
 八三七七     虹色と露彩とは 之を地澤に於て成す 
 八三七八     靄黯と雲昏とは 之を氣濁に於て得る 
 八三七九     海市と水影とは 之を質清に於て成す 
 八三八〇[色變] 清濁明暗に色せざる者莫ければ 則ち
 八三八一    黒白光侌の彩に居らざる者莫し                         (PB 524)
 八三八二    且つ夫れ天地は各おの物を散じて。而して
 八三八三    天物は其の體を常持す 
 八三八四    地物は其の體を毎換す 
 八三八五    其の體を常持する者は  新陳無し 
 八三八六    其の體を毎換すれば 則ち盛衰有り 
 八三八七    盛なれば則ち色澤膏膩なり 
 八三八八    衰なれば則ち形容枯槁なり 
 八三八九    彩と體と。同じく相い移る。
 八三九〇    動は 内を赤にして外を白にす 
 八三九一    植は 内を白にして外に青にす 
 八三九二    是れ其の大分なり。區にして別つ。
 八三九三             變にして換る。
 八三九四    就きて之を認むれば則ち可なり 
 八三九五    數えて之を論ずれば則ち瑣なり 
 八三九六     彩は變化を盡して 運爲を色に假る 
 八三九七     色は運爲を用いて 變化を彩に盡す 是を以て。
 八三九八     氣は色を以て見る 
 八三九九     體は形に由て成る 
 八四〇〇     光に侌昜有り。
 八四〇一     昜光は 照を以て物を被う 
 八四〇二     昜影は 彩を以て物に印す 是を以て。
 八四〇三     物として形に由らざる者莫し 形に随いて其の影も亦た變ず 
 八四〇四     氣として色に由らざる者莫し 氣に随いて其の彩も亦た變ず 故に         (I 468a)
 八四〇五     圓珠の影を受くるは。直の中心を珠の正中に爲すを以て。
 八四〇六     一絲髪を差えず。而して能く大形を縮す。
 八四〇七     平鏡の影を受くるは。直の直に相い當るを以て。而して
 八四〇八     小大宛然として。左右は位を易う。
 八四〇九     盃の淺にして影を受くるは。
 八四一〇     直の中心。物の後に在るを以て。而して
 八四一一     漸く其の形を大にす。其の深くして影を受くるは。
 八四一二     直の中心。兩間に在るを以て。終に其の影を倒す。
 八四一三     影は一直の中に成れば。則ち數鏡と雖も。而も
 八四一四     物影を多くすること能わず。                          (PB 525)
 八四一五     影は直圓を成すれば。則ち
 八四一六     泡沫累珠は。其の物 愈いよ多し。
 八四一七           其の影 愈いよ多し。
 八四一八     侌影の地に布く者は。景の直に随う。而して隠見轉換の變を爲す。
 八四一九     暗室の隙は。浸や明を通して。而して外邊竹樹の影を写す。
 八四二〇     明の通ずる所。直の中心を孔中に結び。影をして能く倒さしむ。
 八四二一     大明の中。鳥影の空に沖して。而して影 終に盡きる。
 八四二二     之れ直の中心を鳥下に結ぶ者と。其の理を同じくす。而して又た
 八四二三     昜明侌明の分有り。夫れ
 八四二四     物は之を日に暴せば。則ち其の形は小なり。
 八四二五       之を水に漬せば。則ち其の形を大にす。
 八四二六     氣も亦た然るなり。故に
 八四二七     水氣は日月を篭すれば 則ち漸く其の形を大にす 
 八四二八     雨氣は山京を篭すれば 亦た漸く其の形を大にす 
 八四二九     日月は水氣を離るれば 則ち漸く其の形を小にす 
 八四三〇     晴氣は山嶽に満つれば 亦た漸く其の形を小にす 
 八四三一     影の形に依りて運爲するなり。
 八四三二     日白氣黒の間は 紅紫黄赤を成す 
 八四三三     氣暗象明の中は 青碧黯黒を成す 
 八四三四     積侌曖昧 
 八四三五     雨意蒼茫 
 八四三六     露彩璀璨 
 八四三七     霞色燦爛 
 八四三八     紅炭は水に赴して黒なり
 八四三九     金鐵は火に赴して赤なり 
 八四四〇     木葉は秋に變ず 
 八四四一     鬢髪は老に皙す 
 八四四二     焔光赫筍は 晝に遇えば則ち燻にして暗なり 
 八四四三     海濤暗黒は 夜に遇えば則ち爛にして光なり 故に
 八四四四     細雨は日に射られて 而して青紅の暈を爲す 
 八四四五     雲烟は日に照されて 而して種種の霞を爲す 是を以て
 八四四六     氣の運する所は。人面は酒を得て 而して素を紅に運ぶ 
 八四四七             丹砂は火を見て 而して紅を黒に轉ず 
 八四四八     黄を燭に映ずれば則ち素し 
 八四四九     燐を明に望すれば則ち無し                           (I 468b)
 八四五〇     彩の氣に由りて運爲するなり。
 八四五一    是れ色の變化なり。                              (PB 526)
 八四五二(次行)
   [日影成] 氣は氣質動靜の機に起り。
 八四五三      鬱達發結の態に由る。
 八四五四      凝融肅舒の勢を以て。
 八四五五      寒熱溫冷の氣を成す。
 八四五六    之を小に試みるに。
 八四五七    物は相い摩れば則ち火 火は則ち熱 熱は則ち質動に於て成る 
 八四五八    氣は相い扇げば則ち風 風は則ち涼 涼は則ち氣動に於て成る 
 八四五九       氣の動揺を閉ずれば則ち恬 恬は則ち溫 溫は則ち氣鬱に於て成る 
 八四六〇    水は質の融盪を屏ければ則ち氷 氷は則ち寒 寒は則ち質靜に於て成る 
 八四六一    今 水火を以て之を試みるに。水氣なる者は冷なり 
 八四六二                  燥氣なる者は溫なり 
 八四六三                  燥なる者は氣の解なり 
 八四六四                  氷なる者は質の結なり 
 八四六五    其の寒熱を極む。此を以て之を推して。
 八四六六    明暗の虚實の清濁より來り 
 八四六七    寒熱の氣質の動靜より來るを知る 蓋し
 八四六八    虚實通隔の中は 體を明暗の色に於て成す 
 八四六九    動靜發收の中は 氣を寒熱の性に於て成す 
 八四七〇~七二 日影の成る所なり 是を以て明熱の日は虚動に寓す 
 八四七三                              暗寒の影は實靜に寓す 
 八四七四    散中に侌收すれば 昜は其の中に發せざるを得ず                 (PB 527)
 八四七五    結外に昜解すれば 侌は其の下に結ばざるを得ず 
 八四七六    天なる者は散氣なり 火は發象なり 
 八四七七    地なる者は結質なり 水は結象なり 
 八四七八    華液は天地を分ちて日影水燥と成る。故に
 八四七九    収影結水は地を并せて共に結侌なり 
 八四八〇    發日解燥は天を并せて共に散昜なり 
 八四八一    昜にして發すれば則ち其の氣は熱す 
 八四八二    侌にして收むれば則ち其の氣は寒す 
 八四八三    日なる者は發昜 其の體は虚なり 
 八四八四            其の色は白なり 
 八四八五            其の機は動なり 
 八四八六            其の氣は熱なり 
 八四八七    影なる者は收侌 其の體は散なり 
 八四八八            其の色は黒なり 
 八四八九            其の機は靜なり 
 八四九〇            其の氣は寒なり 
 八四九一    收氣結物は 地を擧げて皆な暗寒なり 
 八四九二    發象解氣は 火を擧げて皆な明熱なり 
 八四九三    寒熱なる者は其の極なり 
 八四九四    溫涼なる者は其の微なり 
 八四九五    持する者は解昜して伸びず 故に蘊して溫なり 
 八四九六    轉ずる者は結侌して屈せず 故に達して涼なり 
 八四九七    地なる者は 侌を收めて質を結ぶ 故に寒なり  
 八四九八    日なる者は 昜を發して象を散ず 故に熱なり  
 八四九九    轉は達して涼なり 
 八五〇〇    持は蘊して溫なり 
 八五〇一    天は日發の熱を假る                              (PB 528)
 八五〇二    地は影收の寒を假る 
 八五〇三    其の用を互いにすれば。則ち
 八五〇四    地は發昜を以て寒を 結中に凝す 
 八五〇五    天は收侌を以て昜熱を散内に發す                       (I 469a) 
 八五〇六    日影は已に明暗寒熱を有す 而して
 八五〇七    水燥は清濁溫冷を以て應ず 
 八五〇八    天地は則ち緯居す 
 八五〇九    冬夏は則ち經行す 
 八五一〇    氣物は動靜を交う。
 八五一一    結寒は涼を轉に達す 
 八五一二    發熱は溫を持に蘊す 
 八五一三    景暄影凄 
 八五一四    水冷燥溫 
 八五一五    絪縕は以て滋煦を爲す。
 八五一六~一七(次行)
  [經緯寒熱] 天地の物。既に緯に塞す。亦た經に通ぜざることを得ず。
 八五一八    既已に然らざるを得ず。是を以て
 八五一九    散結の塞は 乃ち天地の體なり 
 八五二〇    發收の氣は 乃ち絪縕の態なり 
 八五二一    運轉嘑噏は。其の理に從う。其の態用を異にするのみ。
 八五二二    發の態は 質を食して氣を吐す 
 八五二三    收の態は 氣を搾して質を結ぶ 
 八五二四    質を食して氣を吐す 有をして無に之かしむ 其の氣は照して熱す        (PB 529)
 八五二五    氣を搾して質を結ぶ 無を以て有に之く   其の氣は蔽いて寒す 
 八五二六    動靜虚實は天地に屬す 
 八五二七    明暗寒熱は日影に屬す 是を以て
 八五二八    日影は 虚を以て體を爲す 
 八五二九        動を以て機を爲す 
 八五三〇    色を以て其の體を見す 
 八五三一    氣を以て其の用を施す 是れ
 八五三二    明暗は以て晝夜を行う 
 八五三三    寒熱は以て冬夏を行う 
 八五三四    晝夜冬夏なる者は 
 八五三五    天の事に非ず 
 八五三六    水燥は地に依りて海陸を爲す。
 八五三七    晝夜冬夏を以て。滋煦の氣候を分つ。是れ之を節物と謂う。
 八五三八~三九 景の氣を吐して暄きと 轉の氣に達して涼きと偶す 
 八五四〇~四一 液の質を融して冷たきと 持の鬱して溫かきと偶す 
 八五四二    天地正圓。動止虚實。發收鬱達は。結中に絪縕す。
 八五四三     覆載の一結物は。地 其の核子を爲す。故に
 八五四四     侌は上に達して 而して轉ずる者は其の外稃を爲す 
 八五四五     昜は下に鬱して 而して持する者は其の内仁を爲す 故に
 八五四六     昜散じて侌結ぶ 
 八五四七     侌結んで昜鬱す 
 八五四八     結べば則ち收まる 
 八五四九     鬱すれば則ち發す 
 八五五〇     發せざれば則ち收を給する者無し 
 八五五一     收まらずば則ち發を給する者無し 
 八五五二     給うれば則ち資る有り。
 八五五三     資れば則ち生生盡きず。
 八五五四     盡きざれば以て造化を觀る。是を以て                     (PB 530)
 八五五五     發と散とは同じからず 散ずるや坱坱として 其の涯を爲さず 
 八五五六     發する者は保中に居る 若し
 八五五七     發する者をして保中に住ましめざれば 
 八五五八     何を以てか聚めて象を爲さん 
 八五五九     象は地を發して天に至る                            (I 469b)
 八五六〇     走を以て其の圓を偏にす 聚散の別なり 
 八五六一     收と結とは同じからず 結ばるや秒忽として 其の形を成さず 
 八五六二     收まる者は結中に向う 若し
 八五六三     收まる者をして結中に住ましめざれば 則ち
 八五六四     何を以てか結びて質を爲さん 
 八五六五     質は天を降りて地に至る 
 八五六六     乘を以て其の圓を徧にす 解結の分なり 故に
 八五六七     天地も亦た一顆の木菓なり。皮肉は盡く核肉に於て營す。
 八五六八                  核肉は盡く皮肉に於て保す。
 八五六九    結びて動く 轉じて圓ならざるを得ず 
 八五七〇    結びて實す 止りて堅ならざるを得ず 
 八五七一    侌にして密結す 搾して昜を排せざること能わず 
 八五七二    昜にして鬱發す 食して氣を吐せざること能わず 
 八五七三~七四 鬱昜を以て達侌に會す 故に日は象を聚めて氣を散じ 竅を東中に得て走らざる能わず 
 八五七五~七六 結侌を以て散昜に偶す 故に地は質を結んで氣を散じ 宅を天中に爲して止らざる能わず 
 八五七七    轉圓の穹隆より 蒼蒼赫赫に至りて 皆な天なり 
 八五七八    拗突の旁磚より 茫茫津津に至りて 皆な地なり 
 八五七九    地結は融して液を爲す 
 八五八〇    天鬱は發して華を爲す                             (PB 531)
 八五八一    華液は則ち水火なり。結實の地に對して象と曰う。
 八五八二    象中は相い分つ。亦た象質と曰う。
 八五八三~八四 水は燥を得て 水陸を地に於て成す 大にして覆載す 小にして水陸す 緯體は既に鋪る
 八五八五~八六 火は影を得て 晝夜を地に於て成す 氣にして冬夏す 色にして晝夜す 經氣は以て通ず
 八五八七    天地は一圓物なり。
 八五八八    中は則ち昜を發して斡旋す 
 八五八九    極は則ち侌を收めて凝結す 
 八五九〇    日熱は散じて而して景は暄を播す 
 八五九一    地寒は融して而して水は冷を持す 
 八五九二    而して陸溫水冷なり。動植は其の地に絪縕す。蓋し
 八五九三    圓行の一東一西は 明暗を旋す 而して晝夜を經に爲す 
 八五九四    直行の一南一北は 寒熱を互す 而して冬夏を緯に爲す  
 八五九五     塊然たる一球。地表は廼ち天裏なり。
 八五九六     日は轉に從いて來照すれば則ち晝なり 
 八五九七       嘑に從いて來煦すれば則ち夏なり 
 八五九八     影は日を追いて來復すれば則ち夜なり 
 八五九九       噏を以て肅に歸すれば則ち冬なり 
 八六〇〇     侌昜は結中に在り。
 八六〇一~〇二  相伴の力と相走の勢を以て。各おの其の技を用す。
 八六〇三     發收の物を爲し事を爲す。然らざるを得ず。
 八六〇四     然り而して侌絪。大給小資の中に。                      (I 470a)
 八六〇五     一鬼一神は。二の通を感應に於て運す。是に於て                (PB 532)
 八六〇六     氣は寒すれば則ち地は肅す 
 八六〇七     氣は熱すれば則ち地は舒す 
 八六〇八     氣は肅すれば則ち物は凝す 
 八六〇九     氣は舒すれば則ち物は融す 
 八六一〇     日は嘑すれば則ち燥は煦す 
 八六一一     影は噏すれば則ち地は寒す 
 八六一二     動植は煦を得て發生す 
 八六一三     肅を得て收閉す 蓋し
 八六一四     天に運轉有り 地は之を奉じて晝夜を成す 
 八六一五     地に嘑噏有り 天は之に從いて冬夏を成す 
 八六一六     日なる者は昜の侌中に發する者 地氣の嘑する處に之く 
 八六一七     影なる者は侌の昜中に收むる者 地氣の噏する處に旺す 故に
 八六一八     動植は。其の嘑に應じて蕃孳す 
 八六一九         其の噏に應じて枯蟄す 
 八六二〇     日は煦すれば則ち地氣は游動し 動は覺め植は開く 
 八六二一     影は肅すれば則ち地氣は收斂し 動は睡り植は閉ず 
 八六二二     嘑するや 天日と地燥は相い應じて 而して
 八六二三     水は融し氣は溫す 是に於て其の間に遊ぶ者は 擧げて發動の用を爲す 
 八六二四     噏するや 天影と地水は相い應じて 而して
 八六二五     氣は沍し水は凝す 是に於て其の間に遊ぶ者は 擧げて收止の用を爲す 
 八六二六     然り而して剖析變化の用を察す。則ち其の錯綜を盡くさざる莫し。
 八六二七     錯綜は變を盡くすと雖も。而も條理井然たり。得て淆す可からず。
 八六二八~二九(次行)
  [地中の物] 蓋し地中の物にては。水燥は雲を爲し雨を爲し。雷を爲し雪を爲す。
 八六三〇    動植は其の間に竝び立つ。
 八六三一    燥は日の暄を迎えて春を爲す 
 八六三二    發は日の熱に應じて夏を爲す 
 八六三三    影は日の暄を送りて秋を爲す 
 八六三四    收は地の寒に和して冬を爲す 
 八六三五    春暄は鼓して煦め 秋涼は驅りて肅す 
 八六三六    夏熱は鬱して蒸し 冬寒は達して凍る                      (PB 533)
 八六三七    煦蒸は起長す 
 八六三八    肅凍は歸復す 
 八六三九    嘑噏は中線を畫す。
 八六四〇    寒暑は嘑噏を追う。
 八六四一    天は運轉環守して地は極と中とを定む。
 八六四二    極の一直は 則ち嘑噏の理なり 
 八六四三    中の一線は 則ち東西の路なり 
 八六四四    熱象は中に循りて走る 
 八六四五    寒氣は極に依りて引く 
 八六四六    極にては日の政を施すの地に遠きを以て 而して聚斂の氣 旺す 
 八六四七    中にては侌の收斂するの地に遠きを以て 而して鬱發の物 占む 
 八六四八    中帯は暄煦にして 生物蕃息の地を爲す 
 八六四九    極下は寒肅にして 萬物閉息の處を爲す 地の寒熱を分つ所なり。
 八六五〇    大物に於ては則ち地侌を天に達すれば則ち涼なり 
 八六五一            天侌を地に收むれば則ち寒なり 
 八六五二            天昜を地に煦むれば則ち溫なり 
 八六五三            地昜を天に鬱すれば則ち熱なり                 (I 470b)
 八六五四    一氣一物 
 八六五五    一動一靜 
 八六五六    物なる者は動に熱し 結に寒す 
 八六五七    氣なる者は達に涼し 鬱に溫す 是に於て                    (PB 534)
 八六五八    天は則ち轉涼にして日を吹きて熱す 
 八六五九    地は則ち持溫にして水を融して冷す 
 八六六〇     精なる者よりして之を觀れば 則ち氣體は二ならず 
 八六六一     麁なる者よりして之を觀れば 則ち氣體は素より別なり 
 八六六二     氣體は各おの動止を有す。發收排噏は。動止の事なり。故に
 八六六三     寒熱溫冷なる者は氣なり。動靜の精よりして見る。故に。
 八六六四     氣は 動なれば則ち達して冷なり 
 八六六五        靜なれば則ち舒して溫なり 
 八六六六     體は 動なれば則ち鬱して熱なり 
 八六六七        靜なれば則ち肅して寒なり 
 八六六八     氣動けば則ち體止まる者は 天地 是れなり 是に於て 
 八六六九     天は動にして冷なり 
 八六七〇     地は止にして寒なり 
 八六七一     動靜の間は 同氣 相い和す 
 八六七二     體動けば則ち氣持する者は 日燥 是れなり 是に於て 
 八六七三     日は動にして熱なり 
 八六七四     燥は靜にして溫なり 
 八六七五     動靜の間は 同氣 相い和す 
 八六七六     地は靜にして寒なり 則ち日は動にして熱なり 
 八六七七     轉は動にして冷なり 則ち持は靜にして溫なり 
 八六七八     錯綜すれば則ち各氣は相い交る。
 八六七九     天なる者は 虚にして動なり 
 八六八〇     地なる者は 實にして靜なり 
 八六八一     虚實に對する者は。動靜なり。
 八六八二     日なる者は 象を以て動く 故に熱なり 
 八六八三     轉なる者は 氣を以て動く 故に冷なり 
 八六八四     地なる者は 質を以て靜す 故に寒なり 
 八六八五     持なる者は 氣を以て靜す 故に溫なり  故に
 八六八六     天動地靜よりすれば 則ち其の氣は寒冷なり 
 八六八七     日動燥靜よりすれば 則ち其の氣は溫熱なり 
 八六八八     動靜の分なり。是を以て。
 八六八九     日は物を鼓すれば 則ち持氣漸恬にして 而して風籟は驚かず 
 八六九〇~九一  其の氣は混濁鬱蒸して浮けば 雲は塞がり雨は湿う                (PB 535)
 八六九二                   水は涌き海は溢る 
 八六九三                   艸木は怒張す 
 八六九四                   花は發し葉は布く 
 八六九五                   鳥獸は孳尾して 
 八六九六                   毛は革まり羽は毨す  (PDF版参照のこと)
 八六九七                   結ばる者は解く 
 八六九八                   聚まる者は散ず 
 八六九九                   蟄する者は出づ 
 八七〇〇                   蛹する者は脱す 故に
 八七〇一     暑候なる者は 質は動にして熱を鬱するなり 
 八七〇二     質動けば則ち氣靜すなり 
 八七〇三     氣動けば則ち物肅すなり 是に於て
 八七〇四     風飆激驕し 混濁浮動する者は肅として收む 
 八七〇五     雲は霏び霖は歇む 
 八七〇六     潦は盡き泉は涸る 
 八七〇七     艸は子を抱きて死す 
 八七〇八     木は葉を脱して童す 
 八七〇九     往く者は復す 
 八七一〇     見わる者は隠る 
 八七一一     流れる者は止る 
 八七一二     融する者は凝す 
 八七一三     寒候なる者は 體は靜にして寒を達するなり                   (I 470a)
 八七一四     溫は 暑の漸なり 
 八七一五     涼は 寒の漸なり 
 八七一六     春秋は。寒暑の交なり。
 八七一七     猶お昏暁の晝夜に於るがごとし 
 八七一八     天氣なる者は烈なり 
 八七一九     地質なる者は肅なり 
 八七二〇     日なる者は焔焔なり 
 八七二一     燥なる者は煦煦なり 故に
 八七二二     寒熱は天に由ると雖も。而も地も亦た之を有す。
 八七二三     惟だ微甚の異なり 
 八七二四     若し熱は惟だ日のみ之を有すと曰わば。則ち
 八七二五     夏至 當に熱すべし 
 八七二六     冬至 當に寒すべし 而るを今
 八七二七     夏至を過ぎて熱すること進む 
 八七二八     冬至を過ぎて寒すること進む
 八七二九     春秋二分して。溫涼は當に均しかるべし。而るに
 八七三〇     春分は寒に勝らず 
 八七三一     秋分は暑に勝らず 
 八七三二     精麁は錯綜す。
 八七三三     變化は參差す。
 八七三四     夏夜は時有りて 晝より熱し 
 八七三五     冬日は時有りて 夜より寒し 故に
 八七三六     其の事は。固より日に從う有りと雖も。專ら日に從わざる者有り。故に
 八七三七     日退きて暑は進む。
 八七三八     日進みて寒は從う。
 八七三九     海なる者は質の動なり 故に海上は則ち氣は靜にして溫なり 
 八七四〇     山なる者は質の靜なり 故に山頂は則ち氣は動にして寒なり 
 八七四一     山は日に近きを以て溫ならず 
 八七四二     海は日に遠きを以て冷ならず 
 八七四三     各自に動靜有るなり。是を以て。
 八七四四~四六  轉の涼と 地の寒とは同じからず 轉は則ち動を以て涼なり 地は則ち靜を以て寒なり 
 八七四七~四九  持の溫と 日の熱とは同じからず 持は則ち靜を以て溫なり 日は則ち動を以て熱なり 
 八七五〇     是の故に煦煦は質動に和して熱なり 
 八七五一         肅肅は氣動に和して寒なり                       (PB 536)
 八七五二     氣體の動靜は。寒熱溫涼の成る所なり。
 八七五三     日は物を鼓して 其の事を肇む 
 八七五四     地は其の事を承けて 物を成す 
 八七五五     猶お夫唱え婦和し。君令し臣奉ずるがごとし。
 八七五六    蓋し地は動くこと能わず 火を以て動く 
 八七五七      日は止ること能わず 地に依て止る 
 八七五八~五九 之を小に於て言わば。灯火は一盞の油を根として 燃えて止まらず 
 八七六〇              陶瓦は罏火の攻るに由りて 結びて彌よ堅し 
 八七六一    緯なれば則ち寒は地に歸す 
 八七六二          熱は日に歸す 
 八七六三    經なれば則ち嘑に從いて熱す 
 八七六四          噏に從いて寒す 夫れ
 八七六五    宙通宇塞 天容地居の間 
 八七六六    日熱影涼 水冷燥溫の中 
 八七六七    上にして雲雨なり 
 八七六八    下にして動植なり 
 八七六九    雨なる者は 結びて地に歸す 
 八七七〇    雲なる者は 解けて天に之く 
 八七七一    動なる者は 動きて天を行る 
 八七七二    植なる者は 止りて地に立つ 
 八七七三    雨露の融 寒は之を收むれば則ち霜雪なり                     (I 471a)
 八七七四    雲烟の醸 熱は之を發すれば則ち雷電なり 是に於てか。
 八七七五    雲は暖かく雨は冷たし 
 八七七六    動は溫かく植は冷たし 
 八七七七    霜雪は寒の極に居る 
 八七七八    雷電は熱の極に居る 
 八七七九     陸なる者は溫處なり 
 八七八〇     水なる者は冷處なり                             (PB 537)
 八七八一     溫中の動植は自から溫なり 
 八七八二     冷中の動植は自から冷なり 
 八七八三     溫中は。動質は溫なり 
 八七八四         止質は冷なり 則ち
 八七八五     冷中も亦た同然ならざること能わず。
 八七八六~八七  猶お之を分てば。則ち鳧雁は寒を好む
 八七八八               燕子は暑を好む 
 八七八九               稻粱は夏に生ず 
 八七九〇               牟麦は冬に生ず 
 八七九一 [人身寒熱]人の造化胎中に居るは、溫を以て我が中を立つ。
 八七九二 全一七二下 鱗比血肉の弱質は、氣 鬱すれば則ち熱す〉熱すれば則ち神を喪う〉
 八七九三 全一七二下          氣 達すれば則ち寒す》寒すれば則ち神を脱す》
 八七九四 全一七二下 以て剛堅天地と同じからざる所なり。
 八七九五[圏帯]性境は動圏に成る 其の物を爲すや虚なり 環りて時を行う 
 八七九六    體境は靜圏に成る 其の物を爲すや實なり 止りて虚を立す 
 八七九七    動中の物は 紀を袞袞に於て爲し 鬼神を其の中に行う 
 八七九八    靜中の物は 章を坱坱に於て爲し 山壑を其の表に立す 
 八七九九    地は水燥を有す 
 八八〇〇    天は日影を有す 
 八八〇一    水燥は乾潤滋煦を爲す 
 八八〇二    日影は照蔽寒熱を爲す 
 八八〇三    兩環は合一して。造化を成す。
 八八〇四    中線下は常に熱す 
 八八〇五    兩極下は常に寒す 
 八八〇六    南北は以て其の節氣を反す                           (PB 538)
 八八〇七    日の到る處は常に明なり 
 八八〇八    影の随う處は常に暗なり 
 八八〇九    東西は以て其の刻分を反す                           (PB 539)
 八八一八[極微]天體なる者は剛なり 
 八八一九    地體なる者は堅なり 
 八八二〇    天は柔を以て持に歸す 
 八八二一    地は輭を以て上に歸す 是を以て
 八八二二    天成は其の極なり 
 八八二三    持成は其の微なり 是を以て
 八八二四    天形は其の正を極む。
 八八二五    天體は其の大を極む。
 八八二六    天動は其の疾を極む。
 八八二七    天壽は其の長を極む。
 八八二八    天色は明暗を極む。
 八八二九    天氣は寒熱を極む。
 八八三〇    地は此れ無きに非ず。
 八八三一    柔輭の境。以て其の微を成す。是を以て
 八八三二    持中は湿燥を分つと雖も 燥の極は乾なり                  (I 472a)
 八八三三       水火を分つと雖も 火の微は潤なり 是を以て
 八八三四    持中は柔潤を以て天地を立すと雖も。是に於て
 八八三五    上は剛の天に上らず 
 八八三六    下は堅の地に陥らず 
 八八三七    斜止溫冷の間は。弱物を生化し。以て其の内を塞ぐ。
 八八三八    夫の正大の體と 
 八八三九      攸遠の壽の 色氣の盛を極むる者と異なるなり。
 八八四〇    天圏に居る者は 循環を爲す                        (PB 549)
 八八四一    地圏に居る者は 鱗比を爲す 
 八八四二    鱗比する者は弱質にして水を含む。
 八八四三    蠢然莽然。擾擾然として。絪縕を爲す。
 八八四四    水燥景影は。滋煦の氣を化醸して。而して萬物を成す。
 八八四五    日影の圏は 中を己に於て爲す 
 八八四六    水燥の圏は 中を地に於て假る 
 八八四七    地なる者は駁然たり。山嶽島嶼を突出す 
 八八四八              川谷湖海を陥入す 
 八八四九    生生の氣は。物を生ぜざること能わず。
 八八五〇    乾虚の中は則ち乾虚の物を爲す 
 八八五一    潤實の中は則ち潤實の物を爲す 
 八八五二~五三 潤實の分は水燥に於て物す。地突は燥の處を餘す 
 八八五四                 地陥は水の處を餘す 
 八八五五    衆生は 各 其の處を得る。條理なる者の巧を觀る。
 八八五六(次行)
  [日影水燥] 持中にては。其の氣は柔にして燥なり 
 八八五七          其の質は輭にして湿なり 故に
 八八五八    持中は則ち水燥 政を爲す。
 八八五九    寒熱明暗は。其の極を殺して。其の微を致す。
 八八六〇    絪縕は天地に合す。
 八八六一    造化は乾潤滋煦に於て成る。蓋し                      (PB 550)
 八八六二    天圏は則ち運の枝頭に華す 
 八八六三    地圏は則ち轉の根頭に幹す 
 八八六四    地勢高下は山壑の章を成す 
 八八六五    象形聚散は星漢の文を成す 
 八八六六    是れ孿圏の地なり 是を以て
 八八六七    天文は 日弧は日に繋り 月弧は月に繋る 
 八八六八    地章は 低處は水を容れ 高處は火を發す 
 八八六九    是れ孿圏の天なり 
 八八七〇    本天は則ち精虚にして。麁實の處に隠没す。 
 八八七一    日なる者は火を發して自から處す 
 八八七二    月なる者は露を含んで相い從う 
 八八七三    水なる者は湿を醸して自から處す 
 八八七四    火なる者は星を吐して相い立す 
 八八七五     月規なる者は小なり 
 八八七六     日規なる者は大なり 
 八八七七~七八  駕して以て運轉す 而して星漢なる者は大規にして 能く靜虚の影に居る 
 八八七九     水球なる者は小なり 
 八八八〇     燥球なる者は大なり  
 八八八一~八二  乘りて以て止住す 而して土石なる者は小球にして 能く動虚の天に居る 而して
 八八八三     星漢なる者は變動の物なり 
 八八八四     土石なる者は實靜の物なり 
 八八八五     星漢は變動の物を以て 靜虚の景に居る 故に其の脈絡を一にす       (I 472b)
 八八八六     月辰は各侌の物を以て 變動の日に賴む 故に其の脈絡を別にす 是を以て
 八八八七     影曜は率從の分無し 
 八八八八     景曜は率從の別を爲す 
 八八八九     地なる者は山壑の方位を定む 
 八八九〇     運なる者は枢機の活動を變ず 
 八八九一     地質は聚結して 其の表に物を置く 
 八八九二     天氣は散敷して 其の中に物を容る 故に
 八八九三~九四  彼の星漢の文は  猶お此の山壑の章のごとし                (PB 551)
 八八九五~九六  彼の日月の繋規は 猶お此の水燥の球に依るがごとし 
 八八九七     各おの依ること有りて然り。
 八八九八~九九  天の日月を比するは 猶お地の水火を比するがごとし 
 八九〇〇~〇一  地の水燥を反するは 猶お天の日影を反するがごとし 
 八九〇二     日影は晝夜冬夏を爲す 而して月の功は微なり 
 八九〇三     水燥は乾潤滋煦を爲す 而して火の功は微なり 
 八九〇四     日月星漢は。天を周り地を周る。
 八九〇五     衆辰は日機軸の中に在り。以て其の所屬と爲す。是に於て
 八九〇六     影曜と日とは昜徳を同じくす 
 八九〇七     景影と月とは侌徳を同じくす 
 八九〇八     日と火と其の物を同じくす 而して地に於ては則ち火は微を爲す 
 八九〇九     水と月と其の物を同じくす 而して天に於ては則ち月は微を爲す 
 八九一〇     月なる者は暗象なり 
 八九一一     暗は日の爲に轉せられ。晦朔弦望を爲す。
 八九一二     而して衆辰は皆な暗象なり。景中に同居す。小なる者は見難し。
 八九一三     或いは日に傍らして繞る。
 八九一四     或いは歳塡に傍して繞る。
 八九一五     僅かに鏡力を假りて之を見る。
 八九一六     顯なる者は塡を爲す。歳を爲す。熒惑を爲す。太白を爲す。
 八九一七     辰は則ち日に近し。日に近きに從いて其の旋を急にす。夫れ
 八九一八     轉ずる者は地氣を達して上る 
 八九一九     運する者は天氣を以って降る 是を以て
 八九二〇     昜華の開きて地に近き者は。
 八九二一     運轉の脈理を其の標に歸す。地なる者は實質の根を託する處なり。
 八九二二     是を以て華は枝頭に發す。故に日圏は極昜の地を爲す。
 八九二三     昜は舒暢の力を盡くすを得る。
 八九二四     舒暢の昜餘と。地解の燥と和す。
 八九二五     鬱發は火を爲す。火井熱池なる者は其の常なり。
 八九二六     時として山を裂き火を出す。
 八九二七     天に入りては霹靂流隕を爲す。
 八九二八     燥の火は。猶お水の氷のごときなり。夫れ
 八九二九     水なる者は氣より來るを以て 而して其の質は密なり 
 八九三〇     燥   は質より往くを以て 而して其の氣は麁なり         (者を欠くか。)
 八九三一     結ばる者は重にして密なり 結びて密なりと雖も 而も
 八九三二     地の堅凝にして不動なるがごときこと能わざれば 則ち
 八九三三     勢は水ならざること能わず 
 八九三四     解くる者は輕にして散なり                     (PB 552, I 473a)
 八九三五     輕にして散ずと雖も 而も
 八九三六     天の精融にして不濁なるがごときこと能わざれば 則ち
 八九三七     勢は燥ならざること能わず 
 八九三八    天を占むる者は 昜物侌氣なり 
 八九三九    地を占むる者は 侌物昜氣なり 
 八九四〇    水燥の地は 則ち湿火を微と爲す 而して
 八九四一    湿は則ち水の散なり 
 八九四二    火は則ち燥の發なり 故に
 八九四三    地に於ては則ち火を客と爲す 
 八九四四     地ならざる者は則ち天なり 
 八九四五     水ならざる者は則ち燥なり 
 八九四六     水燥は相い拒む。性の反するを以てなり。
 八九四七~四八  天地を合して之を言えば則ち天散の中にては火は之に懸く 
 八九四九                  地結の上にては水は之に布く 
 八九五〇     日と影と歳を爲す 
 八九五一     水と燥と運を爲す 
 八九五二     天に於ては則ち水を客と爲す 
 八九五三     地に於ては則ち水を雌と爲す 故に
 八九五四     火なる者は虚體の昜氣よりして 發して象を見すなり 
 八九五五     湿なる者は實體の侌質よりして 解けて體を失すなり 故に
 八九五六     水は燥に偶す 
 八九五七     火は質に對す 蓋し
 八九五八     火なる者は燥中に體有り。以て水外の解體に偶す。
 八九五九     比すれば則ち能く水に對す。
 八九六〇     再び剖析する所に比すれば。則ち燥の火は猶お水の氷のごとし。
 八九六一     燥は昜にして解く 
 八九六二     水は侌にして結ぶ 
 八九六三     水は結體を以て潤う 
 八九六四     火は解體を以て乾く 
 八九六五     燥は 其の氣 溫なり 甚しければ則ち熱して火を爲す 
 八九六六     水は 其の氣 冷なり 甚しければ則ち寒して氷を爲す 
 八九六七     地火の體は微なり。未だ能く水と竝び立ちて。
 八九六八     解結の用を專らにすること能わず。然りと雖も。
 八九六九     體體は相い比して。能く體を結び體を解けば。則ち
 八九七〇     氣質の端は此に見る。是を以て
 八九七一     火なる者は質の氣に之くなり 故に體は清にして色暗し 故に
 八九七二     水なる者は氣の質に之くなり 故に體は清にして氣濁る 
 八九七三     水は質密を以て 能く麁解に入る 
 八九七四     火は氣麁を以て 能く堅密に入る 
 八九七五     水は苔を生じ蟲を化す 無をして有に之かしむ               (PB 553)
 八九七六     火は水を涸し木を食う 有をして無に之かしむ 是を以て
 八九七七     水は高きより卑きに就く 
 八九七八     火は地を出でて天に歸す 
 八九七九     水なる者は氣の動きて結ばるなり 
 八九八〇     火なる者は質の動きて解くるなり 故に
 八九八一     結びて質を成す者は 先ず水に始る 
 八九八二     解けて質を失う者は 皆な火に由る 
 八九八三     水は能く收む 故に塵垢を洗う可し 是を以て
 八九八四     能く其の内を見して外を照さず 
 八九八五     漬れば則ち物色をして深からしむ 
 八九八六     滌げば則ち物質をして白からしむ 
 八九八七     火は能く散ず 故に實體を化す可し     (「是を以て」を欠くか。)
 八九八八       能く外を照して内を見ず        (「其の」を欠くか。)      (I 473b)
 八九八九     燥けば則ち物色をして淺からしむ 
 八九九〇     燒けば則ち物質をして黒からしむ 
 八九九一     水は質に就きて住まえば則ち青し 
 八九九二     火は質に就きて住まえば則ち赤し 
 八九九三     水は日に値えば則ち明なり 
 八九九四       影に値えば則ち暗なり 
 八九九五     火は日に値えば則ち暗なり 
 八九九六       影に値えば則ち明なり 
 八九九七     水の體や實なり 其の氣や收なり 
 八九九八     收めて質成れば則ち凝す 故に融けて流るる者は 氣の動なり 
 八九九九     火の體や虚なり 其の氣や散なり 
 九〇〇〇     散じて虚すれば則ち竭く 故に動きて住まう者は 質の持なり 故に
 九〇〇一     烟なる者は湿の燥中に居ること能わず  火を兼ねて散るなり 
 九〇〇二     雲なる者は燥の湿中に處すること能わず 水を帯びて上るなり 
 九〇〇三    日影の處は 則ち月景を微と爲す 而して 
 九〇〇四    影は則ち昜の散なり 
 九〇〇五    月は則ち侌の結なり 故に天に於ては則ち月を雌と爲す 
 九〇〇六     景湿なる者は 氣の體より生ずるなり 
 九〇〇七     月火なる者は 體の氣より生ずるなり 是を以て
 九〇〇八     日影水燥の用は 天地に雄にして 
 九〇〇九     月景湿火の用は 天地に雌なり 故に
 九〇一〇     水は燥を措きて火に對す 
 九〇一一     日は影を措きて月に對す 對の比なる者なり。是を以て
 九〇一二     日月は明暗を異にすと雖も 
 九〇一三     水火は明暗を異にすと雖も 共に是れ有體の物なり。是を以て        (PB 554)
 九〇一四     水火と日月と。湿燥と景影と。天地虚實は相い隔たると雖も。
 九〇一五     體を反して性を同じくするなり。
 九〇一六     水は能く收む 故に  火氣をして冷に 火象をして暗ならしむこと能わず 
 九〇一七     火は能く發す 故に亦た水氣をして熱に 水質をして照ならしむこと能わず 
 九〇一八     一收一發は侌昜の道なり。
 九〇一九     日は暗中に在り 而して  暗寒を受けず      (能を欠くか。)
 九〇二〇     猶お炬を暗中に秉りて 而して暗寒の自から遠ざかるがごときなり 
 九〇二一     月は景中に居る 而して能く明瑩を受く 
 九〇二二     猶お水の火邊に在りて 而して其の光耀を受けるがごときなり 
 九〇二三     鏡は炬の明を受けて。一邊を照す。
 九〇二四     傍觀の人は。鏡と炬とを竝べ觀て。以て同物と爲す。
 九〇二五     是れ見る所に由りて誤るなり。故に。
 九〇二六     月なる者は蝕を正とす 
 九〇二七     日なる者は蝕を蔽とす 蓋し
 九〇二八~二九  月は水を體すれば 則ち月に屬するの象にして景中に在る者は 皆な水を體するなり 
 九〇三〇~三一  日は火を體すれば 則ち日に屬するの象にして影中に在る者は 皆な火を體するなり 
 九〇三二     然りと雖も。月は地の水の實するが如くんば 則ち滴りて地に歸らん 
 九〇三三           日は地の火の麁なるが如くんば 則ち降りて之に著かん 
 九〇三四     日は無質の侌を食す 
 九〇三五     月は虚體の天に浮く 
 九〇三六     火は則ち質を食す 地を離れて燃ること能わず 
 九〇三七     水は則ち地に依る 虚に在りて居ること能わず 然り而して
 九〇三八     月の天に在るは 諸を日の象に比すれば 則ち質なり 
 九〇三九     地質より之を觀れば 則ち氣は精にして體は虚にして 象に幾し 
 九〇四〇     火の地に在るは 諸を水の質に比すれば 則ち象なり 
 九〇四一     天象より之を觀れば 則ち氣は麁にして體は實にして 質に幾し 是を以て。
 九〇四二     水質は亦た象中の質なり         
 九〇四三     火象は亦た質中の象なり 夫れ。
 九〇四四     月なる者は 明中の物なり 天に在りて地に近し 
 九〇四五     日に近きを以て 而して其の體暗し 
 九〇四六     天に在るを以て 而して其の氣光る 
 九〇四七     火なる者は 暗中の物なり 地に發して天に之く 
 九〇四八     天に之くを以て 而して其の體光る 
 九〇四九     地を發すを以て 而して其の氣暗し 是を以て。              (PB 555)
 九〇五〇     水は能く地に充つ 
 九〇五一     火は天に充ること能わず 
 九〇五二     日は能く晝を爲す 
 九〇五三     月は夜を爲すこと能わず 
 九〇五四     水なる者は侌を結ぶ 
 九〇五五     燥なる者は昜を解く 
 九〇五六     水は常に萬物を液す 
 九〇五七     燥は常に萬物を煦む 
 九〇五八     日なる者は聚昜なり 
 九〇五九     影なる者は散侌なり 
 九〇六〇     日は天下をして晝ならしむ 
 九〇六一     影は天下をして夜ならしむ 蓋し
 九〇六二     氣體の交は。其の道同じからず。
 九〇六三     體は相い交る 之を接と爲す 
 九〇六四     氣は相い交る 之を交と爲す 
 九〇六五     體接は混ぜず 
 九〇六六     氣交は分せず 故に
 九〇六七     地日は體を隔つ 
 九〇六八     天影は氣を混ず 
 九〇六九     燥なる者は 地に居るの氣なり 持中の天を爲す 
 九〇七〇     轉なる者は 天に在るの氣なり 轉中の天を爲す 而して
 九〇七一     轉の天なる者は 清なり 精なり 
 九〇七二     持の天なる者は 濁なり 麁なり 故に
 九〇七三     月は乾燥の象に在りと雖も 而も天中に質を爲し 性を地中の水に比す 
 九〇七四     火は潤湿の質に居ると雖も 亦た地中に象を爲し 性を天中の日に比す 而して
 九〇七五     月 暗體を以て光り 
 九〇七六     火 光體を以て暗なる者は 各おの其の藩囲を出でざればなり。
 九〇七七     地は  自から照すこと能わず 一半の光を日より受けて 晝を爲す 
 九〇七八     月も亦た自から照すこと能わず 一半の光を日より受けて 明を爲す 
 九〇七九     其の光を受けざるの處は。地に於て夜と謂う 
 九〇八〇                 月に於て魄と謂う                 (I 474b)
 九〇八一     日の地を照すこと一周は 之を一日と謂う 
 九〇八二     日の月を照すこと一周は 之を一月と謂う 
 九〇八三     雌なりと雖も而も敵を爲す。
 九〇八四~八五  燥と水と持中に充ちて 生化解結の用を爲す 火の燥に在るは 猶お氷の水に在るがごとし 
 九〇八六~八七  影と日と轉中に充ちて 寒暑晝夜の用を爲す 月の影に於るは 猶お火の景に於るがごとし 
 九〇八八     是を以て。燥も亦た火なり 解くるを以て火より精なり 
 九〇八九          火も亦た燥なり 發するを以て燥より麁なり  
 九〇九〇          水も亦た湿なり 結ばるを以て湿より實なり 
 九〇九一          湿も亦た水なり 解くるを以て水より虚なり 故に
 九〇九二     燥は常に充つ 火は時に發す 
 九〇九三     湿は時に動く 水は常に有り                       (PB 556)
 九〇九四     燥は常に燥く 火は時に燒く 
 九〇九五     湿は時に冷ゆ 水は常に湿る 
 九〇九六     物を燥かせて其の跡無し 故に燥は火より精なり 
 九〇九七     物を湿らせて體を見さず 故に湿は水より虚なり 是を以て。
 九〇九八     影の日に於るは 月より切なり 
 九〇九九     燥の水に於るは 火より切なり 故に
 九一〇〇     水は一檐と雖も 猶お化育を助く 
 九一〇一     火は則ち大なりと雖も 而も物を育む能わず 
 九一〇二     故に曰く。生化解結は。水燥に非ざれば則ち成らざるなり。
 九一〇三    正偶は反す 
 九一〇四    傍偶は比す 
 九一〇五    日影水燥は 偶の正なり 
 九一〇六    日月水火は 偶の比なり 
 九一〇七     質を有質の中に於て解きて 而して天に散ずる者は 火なり 
 九一〇八     質を無質の中に於て結びて 而して地に聚まる者は 水なり 
 九一〇九     火を以て物を煨す 熱囲んで侌を散ずること能わず 潤は其の中に生ず 
 九一一〇     玉を以て火を取る 影囲んで昜を出だすこと能わず 火は中に於て起る 
 九一一一     分かつ者は二なり 
 九一一二     統ぶる者は一なり 
 九一一三     水は火を待ちて質を結ぶ 
 九一一四     火は水を待ちて氣を起す 
 九一一五     水は火を見して質を散ず 
 九一一六     火は水を見して象を斂す 
 九一一七     水の未だ質を結ばず 火の未だ象を發せざるを觀る 
 九一一八     水の既に質を散じて 火の既に象を斂めるを觀る 
 九一一九     其の未だ始めて二を有せざるを知る。
 九一二〇     今夫れ假りに月を除かしむとも 而も晝夜寒暑は則ち有らん 
 九一二一     今夫れ假りに火を除かしむとも 而も山水雲雨は則ち有らん 故に
 九一二二     影と日と 
 九一二三     水と燥と 
 九一二四     氣物を反す 而して
 九一二五     侌昜を對す 
 九一二六     以て生化を爲す。
 九一二七     物なる者は立す 
 九一二八     神なる者は活す 故に
 九一二九     性物は活して通ず 
 九一三〇     體物は立して塞ぐ                             (I 475a)
 九一三一     活通の中は。其の活通を以て 而して日影は常に其の處を移す 
 九一三二           其の立塞を以て 而して水燥は常に其の處を占む 夫れ
 九一三三     天地なる者は。虚實は居を同じくす 
 九一三四            動止は界を分かつ 
 九一三五     居を同じくする者は何ぞ 天は能く地に在り 地は能く天に居る        (PB 557)
 九一三六     界を分かつ者は何ぞ   轉は能く天に在り 持は能く地に在る 
 九一三七     輪轉の到らざる處 之を内と謂う 
 九一三八     輻持の及ばざる處 之を外と謂う 
 九一三九     外は則ち日影整齋して 地を周り天を周る 
 九一四〇     内は則ち水燥錯雜して 天に之き地に之く 
 九一四一     整齋の期は歳を爲す 
 九一四二     錯雜の變は運を爲す 蓋し
 九一四三     地は上下表裏有り 天は之に居る 
 九一四四     天は東西南北有り 地は之を奉ず 故に
 九一四五     兩端は嘑噏に從う 
 九一四六     中線は運轉に依る 
 九一四七     兩端は日に遠し 
 九一四八     中線は日に近し 蓋し
 九一四九     物は必ず一體にして二用を具す。
 九一五〇     中分は南北して  而して春秋冬夏は代がわる行わる 
 九一五一     日は面背を分ちて 而して昏暁晝夜は迭いに成る 經緯の異なり。
 九一五二    日影は明暗寒熱を以て政を爲す。而して
 九一五三    水燥なる者は日影の反物なり。
 九一五四    明暗寒熱を以て。清濁溫冷を爲す。清濁は本と天地の色なり。
 九一五五    天地の清濁は。日影より大なり。
 九一五六    水燥の清濁は。日影より小なり。是を以て
 九一五七    水質は清なること天の如くなれども 天の透徹に及ばず 
 九一五八    燥氣は濁なること地の如くなれども 地の隔遮に若かず 是に於て
 九一五九    濁中水燥の清濁なる者は 淡にして素なり 
 九一六〇    清中日影の明暗なる者は 濃にして色なり 
 九一六一    水は解けて湿を爲す 
 九一六二    燥は發して火を爲す                             (PB 558)
 九一六三    燥中に火の有るは 猶お
 九一六四    水中に氷の有るがごとし 皆な其の極なり。
 九一六五(次行)
   [吹火珠]  水火珠を得て之を弄するに。一銅空丸に一繊孔を鑿つ。
 九一六六    之を火にすれば則ち丸中の氣を發し盡す。
 九一六七    水に投ずれば則ち氣を發し盡くすを以て。水を噏いて實す。
 九一六八    水を實して火に投ずれば。則ち結質を解きて風を爲して竭く。故に
 九一六九    侌質は將に結ばんとすれば 則ち麁昜を排して實を搾成す 
 九一七〇    昜象は將に發せんとすれば 則ち密侌を衝いて虚を發成す 
 九一七一    小を熟觀して。之を大に推すに。
 九一七二    地侌の轉を以て天に達する 
 九一七三    天昜の運を以て持に鬱する 
 九一七四    風飆の地下の畜鬱に發する                          (I 475b)
 九一七五    霪霖の天下の淫質に疏する 以て想像す可し。
 九一七六    日なる者は昜宗なり 中位を得て 而して發す 
 九一七七    迸する者は嘒嘒として布列す 
 九一七八    散ずる者は其の象を失す 
 九一七九    昜鬱は噴發すれば 則ち結侌を求めて之を噏う 
 九一八〇    昜は求めて噏えば 則ち侌は輒く從う 
 九一八一    從うと雖も而も乾熱の發象を食すれば                     (PB 559)
 九一八二    則ち其の中に存すること能わざるなり 
 九一八三    從いて涌く 
 九一八四    適きて没す 
 九一八五    適没は已に其の物を没す 
 九一八六    從涌は正に其の質を露す 
 九一八七    從えば則ち冷なり 
 九一八八    涌けば則ち潤なり 
 九一八九    水なる者は其の宗なり 拗處を得て瀦る 
 九一九〇    適く者は津津として下り灑ぐ 
 九一九一    結ぶ者は其の質を凝す 
 九一九二     通塞より之を觀れば 機なる者は侌なり 
 九一九三     氣物より之を觀れば 性なる者は昜なり 
 九一九四     轉ずる者は侌に達して色を没す 而して冷動して火を鼓す 
 九一九五     日なる者は昜に鬱して明を醸す 而して發熱して風を御す 故に
 九一九六     火は風の鼓するに由りて燃ゆ 
 九一九七     水は土の戴だくに由りて湛う 是を以て
 九一九八     竪軸なる者は 保氣を轉ずるの根なり 而して
 九一九九     東規なる者は 鬱昜を洩するの方なり 
 九二〇〇     侌なる者は下に聚る 故に昜は收侌の罅隙無きに搾排せらる 
 九二〇一     昜なる者は上に散ず 故に侌は發昜の充塞する所に疏なる所なり        (PB 560)
 九二〇二     滋液なる者は 昜華の噏う所なり 從涌して化す 故に
 九二〇三~〇五  轉中にては質に之くの雨 山中にては原に發すの水 合して一體を爲す 
 九二〇六     乾明なる者は 侌液の排す所なり 噴發して出づ 故に
 九二〇七~〇九  地中にては昜を洩すの竅 影中にては光を發すの象 散じて蜂窠の如し 
 九二一〇     火は侌の搾排に遭いて發すと雖も 亦た能く其の液を噏いて立つ 
 九二一一     水は昜の求噏に遭いて涌くと雖も 亦た能く其の氣を排して立つ 
 九二一二     火の薪を食するを觀れば 則ち火は木を離れて立つ者に非ず 
 九二一三     火は物を離る可くんば 赫赫焔焔 外に向いて散ず 
 九二一四~一五  象行の本位に於て升降せざるを觀れば 則ち地を以て薪と爲すや識る可きなり 
 九二一六~一七  夏にして水の溢るるを觀れば 則ち水は火を離れて立つ者に非ず 
 九二一八     水は日に從がわざれば 洪洪蕩蕩 下に在りて結ぶ 
 九二一九~二〇  水液の能く持中に升降するを觀れば  則ち火を以て原と爲すや識る可きなり 故に
 九二二一     火なる者は 地に食して 而して天に燃ゆ 
 九二二二     水なる者は 天に生じて 而して地に瀦る                  (I 476a)
 九二二二1復元  ■■。轉持分界而水火相層     (判読困難)
 九二二二2復元  轉中 則水火■東         (同)
 九二二二3復元  持中 則水降火升 ■亦來■■。  (同)
 九二二三     夫れ地中の物は 地に親しみて地に居る 
 九二二四       天中の物は 天に親しみて東に行く 
 九二二五     火なる者は。膩液に向いて進む。
 九二二六     其の尾は能く天に向う。
 九二二七     其の實は升る能わず。
 九二二八     升れば則ち其の象を失す。
 九二二九     火の膩液に向いて進むと 
 九二三〇     水の地質に就きて止るは 
 九二三一     共に下に就く有り 而して
 九二三二       升り去る無し 故に
 九二三三     日月は共に東行す 之を分てば 則ち月は東に行く 
 九二三四                      日は西に行く 
 九二三五     水火は共に地居す 之を分てば 則ち水は退きて居る 
 九二三六                      火は進みて居る 故に
 九二三七    氣は散ずれば則ち物結ぶ 結ばる者は中に歸る 
 九二三八    物は結ばれば則ち氣散ず 散ずる者は外に向う                 (PB 561)
 九二三九    散中にては侌 收む 
 九二四〇    結中にては昜 發す 
 九二四一    發中にては侌を噏う 
 九二四二    收中にては昜を噴く 
 九二四三    水は大物に液す 
 九二四四    火は一氣に華す 故に
 九二四五~四六 收侌天中の影 從涌景中の月より 雨露河海 水氷汞臟に至りて 水に非ざる靡きなり 
 九二四七~四八 搾排海中の氣 鬱發持中の燥より 燐火雷電 日景星漢に至りて 火に非ざる靡きなり 
 九二四九    一瓶の水 
 九二五〇    一炉の火 人の用に資る所の者なり。
 九二五一    火は噴けば則ち質を解く 質は亡すれば 則ち噴く所の火を失す 
 九二五二    侌は涌けば則ち質を結ぶ 質は存すれば 則ち噴く所の火を繼ぐ 故に
 九二五三    天華は盡きざるの侌を薪にす 
 九二五四    地液は已まざるの昜を原にす 
 九二五五    侌と昜とは同壽なり。彼此は給資す。華液は常住す。
 九二五六    瓶水炉火の。仰給する所無くして竭絶する者とは異なるなり。
 九二五七     大物の火を發するは。小物と同じからざる有り。夫れ
 九二五八     大物なる者は體を攸遠に於て持す 
 九二五九     小物なる者は物を前後に於て換う 
 九二六〇     體を攸遠に於て持する者は 侌昜の力抗す 故に
 九二六一     發する者は收不斷の中に於て發す 
 九二六二     鬱は其の縫に由りて發す 
 九二六三     物を前後に於て換える者は 收絶え發盡る 故に
 九二六四     發する者は收不斷の處に於て發す 
 九二六五     鬱發は體を食して盡くす 
 九二六六     之を水に於て言はば。昜は醸の水を有す。
 九二六七     袞袞は盡きず。汲みて甕中に納む。
 九二六八     既に其の本を絶す。上鼎下木。火は竭る可し。
 九二六九     水なる者は 融物なり 
 九二七〇     氷雪なる者は凝物なり 
 九二七一     氷雪の晛に澌きるは。其の結の固からざればなり。              (I 476b)
 九二七二     是を以て其の物有りて凝する。若し氷雪より固ければ。則ち
 九二七三     其の寒の氷雪より甚しきや知る可し。
 九二七四(次行)
  [乾潤滋煦] 一氣は本と全なり 
 九二七五    侌昜は背走す 
 九二七六    背するや反す 
 九二七七    面するや合す 故に                             (PB 562)
 九二七八    地氣は收めて暗なり 
 九二七九    天象は發して明なり 
 九二八〇    天氣は乾きて噏う 
 九二八一    地質は潤いて噴く 
 九二八二    天象は地氣を得て 而して日影は上に相い偶し 以て其の歳を成す 
 九二八三    地質は天氣を得て 而して水燥は下に相い偶し 以て其の運を成す 
 九二八四    天影地湿は 同一の侌氣なり 
 九二八五    地燥天景は 同一の昜氣なり 
 九二八六    乾華潤液は。境を隔てれば則ち其の氣も亦た異なるなり。故に
 九二八七    景と燥と同じく乾物なり 唯だ燥なる者は潤中に噴く所の昜を以て 而も     (PB 563)
 九二八八    乾と雖も而も煦を以て徳と爲す 而して其の溫や 熱して地寒に和するなり 
 九二八九    月と水と同じく潤物なり 唯だ水なる者は乾中に噏う所の侌を以て 
 九二九〇    潤と雖も而も滋を以て徳と爲す 而して其の冷や 寒して天熱に和するなり 
 九二九一    聚結は歸して一ならざるを得ず 
 九二九二    迸散は散じて布かざるを得ず 
 九二九三    津津は地に合す 
 九二九四    嘒嘒は天に分つ 故に
 九二九五    水なる者は 清虚の中より 乾熱の噏に涌きて 而して蒸騰の中に結ぶ 
 九二九六    氣より質に之くを以て 而して其の氣や清なり 
 九二九七    燥なる者は 濁質の中より 潤寒の排に噴きて 而して收肅の中に發す 
 九二九八    質より氣に之くを以て 而して其の物や濁なり 故に
 九二九九    水は則ち融して冷 寒凝して氷を爲すなり 
 九三〇〇    燥は則ち鬱して溫 發熱して火を爲すなり 故に
 九三〇一    水燥は滋煦の悦を有す 
 九三〇二    氷火は凍焚の惨を有す 
 九三〇三     燥は或いは持中に居る 或いは地中に居る 
 九三〇四     地に居る者は 質の爲に收斂せらるるを以て 激して發す           (PB 564)
 九三〇五     持中に居る者の處を得て和するが如くならず 
 九三〇六     水は或いは地中に居る 或いは持中に居る 
 九三〇七     地に居る者は 氣の煎熬を受けて 清にして濃なり 
 九三〇八     持中に居る者の清にして淡なるが如くならず 是を以て
 九三〇九     同じく是れ燥なり 而して天燥なる者は和なり 地燥なる者は激なり 
 九三一〇     同じく是れ水なり 而して天水なる者は淡なり 地水なる者は濃なり 是を以て
 九三一一     燥に和激有り 
 九三一二     水に淡鹹有り 
 九三一三     風なる者は動天なり                            (I 477a)
 九三一四     燥なる者は靜天なり 
 九三一五     水なる者は動地なり 
 九三一六     地なる者は靜地なり 
 九三一七     燥の地に在りて 密質の爲に排せられ 空穴に由て其の氣を醸して發するは 猶お
 九三一八     水の天に在りて 清氣の爲に疏せられ 而して其の質を醸すがごとし 是を以て
 九三一九     燥の持中に發する者は 風なり 
 九三二〇                雲なり 
 九三二一                烟なり 
 九三二二                霧なり 
 九三二三                雷なり 
 九三二四                火なり 
 九三二五     水の持中に醸す者は  雨なり 
 九三二六                露なり 
 九三二七                雪なり 
 九三二八                霜なり 
 九三二九                泉なり 
 九三三〇     動地と靜地とは。靜地は高低を有し 燥に居りて水の養を受く 
 九三三一             動地は深淺を有し 水に居りて燥の煦を受く 
 九三三二     陸は平原・長流・火穴・風孔を有す 
 九三三三     水は平海・長流・潮汐の吐納を有す 而して
 九三三四     我が爲に造化す。柔和を爲す者は。持なり。
 九三三五    水は融すと雖も而も本と收物なり 
 九三三六    火は微かと雖も而も亦た發物なり 
 九三三七    給資を通じて立つ 
 九三三八    乾潤を反して成る 
 九三三九    之に逆えば則ち相い食す 
 九三四〇    之に順えば則ち相い生ず 
 九三四一    讎敵を爲す者は 
 九三四二    能く親昵を爲す 
 九三四三     收むる者は寒なり 
 九三四四     發する者は熱なり 
 九三四五     微甚に從いて寒冷溫熱を分つ。
 九三四六     地なる者は收の極なり 而して
 九三四七     水なる者は氣の始めて質に之くなり 故に水冷は地寒に若かず 
 九三四八     火なる者は發の極なり 而して
 九三四九     燥なる者は質の始めて氣に之くなり 故に燥溫は火熱に若かず         (PB 565)
 九三五〇     侌は肅結すれば則ち昜は鬱す 
 九三五一     鬱せざる者は上に達して地に保す 是に於て
 九三五二     日は鬱して熱なり 
 九三五三     轉は達して涼なり 
 九三五四     昜は鬱達すれば則ち侌は結ぶ 
 九三五五     結ばざる者は下に生じて天に營す 是に於て
 九三五六     侌は結びて寒なり 
 九三五七     持は止りて溫なり 
 九三五八     氣物の動靜に從いて其の氣を見すや此の如し。是を以て
 九三五九     火は能く水に給す 
 九三六〇     水は能く火に給す 
 九三六一     無原の水は 有餘の火に會えば則ち涸る 
 九三六二     無根の火は 有餘の水に會えば則ち滅す 
 九三六三    溫煦冷滋。動植の生化は。絪縕を此に假る。
 九三六四[水火]水火なる者は發收の物なり。
 九三六五    比すと雖も而も造化の端は此に於て漏す。
 九三六六    水 濯いで物をして潔からしむる者は 塵垢を兼ねて此を收むればなり 
 九三六七    物の映る所 影をして含ましむる者は 其の色を收むればなり 
 九三六八    火 焚きて物をして盡くさしむる者は 形質を兼ねて之を發すればなり      (I 477b)
 九三六九    物の照す所 彩をして呈せしむる者は 其の彩を發すればなり 
 九三七〇    收むる者は 之を靜止に歸すのみ 
 九三七一    發する者は 之を動散に輸るのみ 故に
 九三七二    散ずる者は天に之きて化す 
 九三七三    結ばる者は地に歸して造す 
 九三七四    生ずる者は化して來る 
 九三七五    化する者は化して往く 
 九三七六    生ずる者は新を食す 
 九三七七    化する者は故を吐す                             (PB 566)
 九三七八    水は潤中の柄を執る 是を以て
 九三七九    水功は天に及ばず 
 九三八〇    火は乾中の柄を執る 故に
 九三八一    火功は地に及ばず 是を以て
 九三八二    日は影を以て乾中の偶と爲す 
 九三八三    水は燥を以て潤中の偶と爲す 此に於て
 九三八四    華液は天地に合す 
 九三八五    水燥は地中に偶す 故に
 九三八六    持中の造化は。火燒は陳腐を去り 
 九三八七           水滋は新鮮を出す 
 九三八八    大物を合して之を觀れば。火は走りて外に燒し 恒に以て其の故を去る 
 九三八九                水は融して内に液し 恒に以て其の新を出す 
 九三九〇    燒して盡さず 嘒嘒は布列す 
 九三九一    液して已まず 津津は淋漓す 故に
 九三九二    火は水に資る 
 九三九三    水は火に資る 
 九三九四    火は有より無に之くの跡を觀る 
 九三九五    水は無より有に之くの跡を觀る 
 九三九六    之を天に發すれば則ち華なり 日は乃ち諸火の宗なり 
 九三九七    之を地に收むるは則ち液なり 海は  諸水の歸を爲す 是を以て
 九三九八    性物は是れ象なりと雖も。既に其の居る所に類す。是を以て
 九三九九    日影なる者は氣象なり                           (PB 567)
 九四〇〇    水燥なる者は氣質なり 亦た其の分なり。
 九四〇一     天なる者は氣にして象を華に發す 
 九四〇二     地なる者は物にして質を液に收む 
 九四〇三     華液なる者は侌昜の文なり。彼此は給資す。常恒に相い持す。
 九四〇四     天地相い望むは。眞成の本偶なり。然り而して
 九四〇五     天に在る者は與を天に於て得る 
 九四〇六     地に在る者は與を地に於て得る 是に於て
 九四〇七     日は影に偶して上に照蔽す 
 九四〇八     水は燥に偶して下に滋煦す 
 九四〇九     燥煦めざれば則ち水 融せず 
 九四一〇     水滋さざれば則ち燥 長ぜず 
 九四一一     水は極して氷を結ぶ 
 九四一二     燥は極して火を發す 是を以て
 九四一三     燥は自から潤意有り。
 九四一四     乾は則ち潤意を絶す。
 九四一五~一六  乾なる者は天華にして之を全有す 地火は則ち潤中に在るを以て 其の全を有さず 猶お
 九四一七~一八  潤なる者は地液にして之を全有す 天水は則ち乾中に在るを以て 其の眞を有さず 故に
 九四一九     天火地水は。爲眞の本偶を成すと雖も。而も
 九四二〇     天中 日の影を以て自から偶し 
 九四二一     地中 水の燥を以て自から偶するより之を觀れば 則ち
 九四二二     天中 日の月に對し 
 九四二三     地中 水の火に對するは 
 九四二四     猶お叔の姪に對するがごとし。是を以て                   (I 478a)
 九四二五     天中の水なる者は 滋すと雖も而も能く乾く 
 九四二六     地中の火なる者は 乾くと雖も而も能く潤う 
 九四二七    收めて塞がる者は 侌の氣なり 
 九四二八    發して熱する者は 昜の物なり 
 九四二九    寒熱なる者は 絪縕の見氣なり 
 九四三〇    明暗なる者は 絪縕の著形なり 是を以て
 九四三一    溫動冷植は 昜熱侌寒の間に介す 
 九四三二          水冷燥溫の中に居る 
 九四三三    燥溫の煦と 
 九四三四    水冷の滋とは                                (PB 568)
 九四三五    之を 春暖秋涼 
 九四三六       夏暑冬寒の經に於て織る 
 九四三七~三八(次行)
  [天象地質] 體は析して天地轉持なり 體の小なる者は 風恬水陸を爲す 
 九四三九~四〇 氣は析して明暗寒熱なり 氣の標なる者は 晝夜冬夏を爲す 
 九四四一    天侌は影を以て收め 月を以て結ぶ 
 九四四二    地侌は水を以て結び 湿を以て融す 
 九四四三    天昜は日を以て發し 景を以て散ず 
 九四四四    地昜は燥を以て解け 火を以て發す 
 九四四五    相い類する有りと雖も。而も天地を隔てれば。則ち
 九四四六    潤濁乾清。輕虚重實の同じからざるなり。是を以て
 九四四七    月は能く天に浮きて明なり 
 九四四八    火は能く地に沈みて暗なり 
 九四四九    燥は郤って潤を含む 
 九四五〇    影は郤って乾を含む 故に
 九四五一    地中の火は 大は雷を起し 
 九四五二          小は薪に著き 
 九四五三          昜にして焔焔 
 九四五四          侌にして耿耿と雖も 
 九四五五    猶お自から湿を食す 而して首は地に向うがごとし 
 九四五六    之を推して天に至る 天火も亦た其の理を同じくす 
 九四五七    地中の水は 大は鹹を湛え 
 九四五八          小は淡を疏し 
 九四五九          昜に遇いて光を假り                       (PB 569)
 九四六〇          侌に居りて清を含むと雖も 
 九四六一    猶お自から燥に由る 而して尾は地に向うがごとし 
 九四六二    之を推して天に至る 天水も亦た其の理を同じくす 故に
 九四六三    條理の態は。跡を反して理を同じくす。是を以て
 九四六四    天物の乾を以て體を爲すは 猶お地物の潤を以て體を爲すがごとし 
 九四六五    地物の體を換うるは    猶お天物の體を常にするがごときなり 
 九四六六(次行)
   [經通緯塞]故に鬱昜は迸散し 轉に居りて通物を爲し 乾光は常に一體を持す 
 九四六七      收侌は聚結し 持に居りて塞物を爲し 潤濁は毎に其の體を換う 故に
 九四六八    氣の聚散 
 九四六九    質の解結 
 九四七〇    反すると雖も。亦た比して應ず。
 九四七一    比して應ずるより之を觀れば。則ち
 九四七二    聚散解結は 大物の塞なり 而して
 九四七三    來去生化は 一氣の通なり 
 九四七四    塞すれば則ち宇の天地なり                          (I 478b)
 九四七五    通ずれば則ち宙の前後なり 
 九四七六    洪曠攸遠の中。東西南北は方を紀す 
 九四七七           晝夜冬夏は節を紀す 
 九四七八    天物なる者は精にして 生化を没して體を通ず 通ずと雖も亦た緯に充つ     (PB 570)
 九四七九    地物なる者は麁にして 生化を露して體を塞す 塞すと雖も亦た經に從う 
 九四八〇    杳眇は識り難しと雖も。而も撫摩は以て之を推す。
 九四八一    此に反して彼を觀る。彼は焉んぞ廋さんや。
 九四八二    地著潤濁の質 水燥を分ちて居るを觀て 
 九四八三    天麗乾光の象 景影を分ちて居るを知る 故に
 九四八四    物は虚實 其の地を爲す 而して
 九四八五      水燥 各おの其の天を爲す 
 九四八六    水物は水氣を以て其の天を爲す 
 九四八七~八八    水質を以て其の地を爲す 天地を混して其の混中に遊ぶ 
 九四八九    燥物は燥を以て其の天を爲す 
 九四九〇~九一    土を以て其の地を爲す  天地を分ちて其の粲中に遊ぶ 
 九四九二    天物は常に其の體を一にす 而して歳は能く整齋す 
 九四九三    地物は毎に其の體を換にす 而して運は能く錯雜す 是に於て
 九四九四    物は獨り成らず。水燥の事を用するに。之を日影に於て仰ぐ。故に
 九四九五    陸水は日に由りて溢涸す 
 九四九六    海水は月に從いて消長す 
 九四九七     日は正に影に對す 是を以て一寒一暑は 冬夏を上に爲す 
 九四九八     燥は正に水に對す 是を以て一長一消は 發收を下に爲す          (PB 571)
 九四九九~〇〇  日來りて燥煦かし 燥煦かくして地澤は融す 
 九五〇一~〇二  影來りて地肅す  地肅して  水澤は凝す 故に
 九五〇三     日は能く水を乾かすと雖も 而も發昜は鼓して 鬱昜は煦かし 故に
 九五〇四     水澤は暑候を以て溢る 
 九五〇五     影は能く水に和すと雖も  而も散侌は鼓して 結侌は肅す 故に
 九五〇六     水液は寒候を以て涸る 
 九五〇七     日なる者は天の昜象なり 
 九五〇八     月なる者は天の侌質なり 而して
 九五〇九     日月は天中に相い比す 
 九五一〇     陸なる者は地の昜質なり 
 九五一一     海なる者は地の侌象なり 而して
 九五一二     海陸は地中に相い比す 夫れ
 九五一三     天地なる者は類を以て應ずる者なり。故に
 九五一四     日は能く燥中の物を率ゆ 
 九五一五     月は能く水中の物を率ゆ 
 九五一六     陸は發收を以て日に從う 
 九五一七     海は潮汐を以て月に從う 
 九五一八     陸水は發收 氣中に在り 
 九五一九     海氣は潮汐 質中に在り 
 九五二〇     日行は冬夏を爲す 
 九五二一     月行は晦望を爲す 蓋し
 九五二二     日影なる者は侌昜の兩物なり 
 九五二三     明魄なる者は一侌の月體なり 
 九五二四     陸水は夏にして燥煦を得て溢る 
 九五二五     冬にして地肅を得て涸る 蓋し
 九五二六     明暗は兩物なり 
 九五二七     月の海水に於けるは 
 九五二八     正に衝けば則ち昜鬱甚だしくして溢る                    (I 479a)
 九五二九     傍に衝けば則ち昜鬱微かにして涸る 蓋し
 九五三〇     明の正衝 魄の正衝 
 九五三一     其の方を專らにすれば則ち水の應ずる所同じ。是を以て
 九五三二     朔望の潮汐は其の勢を同じくす。
 九五三三     上弦下弦は。明魄相い半ばす。是を以て
 九五三四     其の力 駁りて鬱勢は微なり。是を以て
 九五三五     潮汐も亦た勢は盛んならず。
 九五三六     陸物は夏にして長ず 
 九五三七        冬にして消す 
 九五三八     海物は晦にして肥ゆ 
 九五三九        望にして痩す 是れ晦望の冬夏に等しき所なり。
 九五四〇    日は燥中の物を率いて 燥物は能く冬夏を知る 
 九五四一    月は水中の物を率いて 水物は能く晦望を知る 故に              (PB 572)
 九五四二    水は天に生ずれば則ち疏れて雨を爲す 
 九五四三      地に老すれば則ち醸して海を爲す 
 九五四四~四五 燥は陸に達すれば則ち風を爲す 海に鬱すれば則ち湖を噴く 
 九五四六     陸なる者は氣を上に煦め 水を下に滋す 
 九五四七     海なる者は水を上に和す 燥を下に鬱す 
 九五四八     滋液は能く通ず 
 九五四九     氣鬱は能く發す 
 九五五〇     水通の路は 之を川と謂う 
 九五五一     氣發の路は 之を窖と謂う 
 九五五二     水は氣中より注ぎて海を爲す 
 九五五三     氣は水中より泝りて潮を爲す 
 九五五四     是れ海水の月に從うなり。夫れ
 九五五五     水なる者は侌物なり 
 九五五六     氣なる者は昜物なり 
 九五五七     水と月と相い應ず。故に月は上に在れば則ち
 九五五八     昜氣は勢を屈して。而して水中に鬱す。故に
 九五五九     鬱昜は月の兩邊に洩して。而して潮汐を爲す。
 九五六〇     朔望にては 則ち月體は正に衝く 
 九五六一     兩弦にては 則ち月體は斜に衝く 故に
 九五六二     昜氣の鬱發。勢は同じからざるなり。是を以て濤の大小は齋しからず。
 九五六三     或るひと曰く。然らば則ち海氣は日を以て洩せず。
 九五六四     月を以て鬱する者は。何ぞやと。
 九五六五     曰く日は燥に和す 故に陸物は之に應ず 
 九五六六       月は水に和す 故に水物は之に應ず 
 九五六七     海中の氣は 月を見て屈す 猶お
 九五六八     陸中の水は 火を見て乾くがごときなり 
 九五六九    夫れ地上一層なる者は 水の毬なり 
 九五七〇      水上一層なる者は 燥の毬なり 
 九五七一    水毬の燥なる者は其の氣濁す 其の性悍く水を衝きて上る 是を以て
 九五七二    雨露の下るは 陸燥の和に由る 
 九五七三    潮汐の泝るは 海氣の悍に由る                        (I 479b)
 九五七四    海味の濃は 水底の鬱蒸に由る 
 九五七五    陸氣の濁は 地面の湿濁に由る 故に
 九五七六    天中は燥 疏すれば 則ち水 結びて川谷其の通路を爲す 
 九五七七    地中は燥 鬱すれば 則ち火 發して窖穴其の達路を爲す 
 九五七八     天中燥疏の盛んなる 水は滂孛を爲す 
 九五七九     地中燥鬱の甚だしき 火は山嶽を裂く 
 九五八〇    燥なる者は猶お體を没す 火は其の鬱して發するなり 故に
 九五八一    地昜は地氣を鼓舞して 水湿を蒸騰す 
 九五八二    濁りて清に入らず 升りて轉に入る能わざれば 則ち
 九五八三    俯覆して雲霧を爲す 
 九五八四     雲なる者は水土の氣。濁りて靄靄なり。
 九五八五     其の白くして玲瓏たる者は 象と映ずるなり                 (PB 573)
 九五八六     其の黒くして惨澹なる者は 象と隔たるなり 
 九五八七     赤にして亦た空に映る者は 日光と斜に射るなり 
 九五八八     昏にして地に俯す者は 上面の氣 清なり 
 九五八九     風無ければ則ち綿の如く練の如し。
 九五九〇     風有れば 則ち鱗の如く翼の如し。
 九五九一     雲霧なる者は。氣の質を帯びるなり。
 九五九二     其の結や。雨雪を爲す。其の解や散ず。
 九五九三     散ずる者は質の氣に之くなり 
 九五九四     結ばる者は氣の質に之くなり 是を以て
 九五九五     升る者は則ち其の氣を以て能く升る 
 九五九六     降る者は則ち其の質を以て能く降る 
 九五九七     質を有すと雖も 而も氣に勝る者は升る 升ると雖も而も其の質は終に降る 
 九五九八     氣を有すと雖も 而も質に勝る者は降る 降ると雖も而も其の氣は終に升る 
 九五九九    水火は相い撃ちて 而して怒れば則ち雷電を爲す 
 九六〇〇     氣は通ずれば則ち巳む。鬱すれば則ち火を發す。
 九六〇一     爆竹を以て之を言わんに。其の氣は鬱して迫る。
 九六〇二     撃して發するや。轟然として響を爲す。是を以て侌氣 地を封ずれば。
 九六〇三     則ち昜は下に鬱す。鬱昜は迫りて發し。衝きて出づれば。則ち
 九六〇四     地に震有り。
 九六〇五       鳴有り。
 九六〇六       裂有り。
 九六〇七       火出有り。
 九六〇八     衝きて直ちに升らんと欲して。
 九六〇九     中間侌氣の壅閉に遇えば。則ち
 九六一〇     火勢は愈いよ鬱し愈いよ屈す。
 九六一一        愈いよ迫り愈いよ激す。
 九六一二     出でんことを求めて縱横相い衝く。
 九六一三     闘いて相い撃てば。則ち雷を爲し電を爲す。
 九六一四     秋夜の暑さ將に退かんとし。涼しさ將に至らんとするの交は。
 九六一五     必ず閃電有り。俗に稻郎と曰う。
 九六一六     言うこころは此の物夜に來れば。則ち稻は必ず子を結ぶ。是れ亦た鬱火なり。
 九六一七     唯だ發する者は輕く。閉ずる者は密ならず。                (I 480a)
 九六一八     物と激すること能わずして散ずるのみ。                  (PB 574)
 九六一九    侌質に逆すれば 則ち野馬澤燄 火井熱池の氣を起す 
 九六二〇    侌性に順すれば 則ち涼燄湖光 龍燈鬼燐の象を爲す 
 九六二一     侌は閉ずれば則ち昜は鬱して氣を起す 火山熱池なり 
 九六二二     暗は深ければ則ち淺なる者は色を爲す 野火湖光なり 蓋し
 九六二三     至暗の間は。氣有りて暗と融せず。其の氣は青くして燄の如し。
 九六二四     見なる者は鬼龍の爲す所と爲す。
 九六二五     龍は未だ 龍燈を挑げず 
 九六二六     鬼は焉んぞ鬼火を解かん 
 九六二七    其の變に至りては 則ち火體は能く天象を爭う 
 九六二八     火は。或いは地に在りて火を爲す 
 九六二九        或いは天に在りて象の如し 然りと雖も。皆な一なるのみ。而して
 九六三〇     地火は質を食する 故に其の火は時に發す 然りと雖も
 九六三一     地膩の結ばる所 則ち  火は常に有り 
 九六三二     天火は侌に圍まる 故に其の火は常に見る 然り而して
 九六三三     侌守の疏する所 則ち其の火は時に滅す 
 九六三四     麁濁の昜は 精清の中に散ずること能わざれば 則ち
 九六三五     日と暉を爭う 
 九六三六     月と共に繋る 
 九六三七     彗と化し孛と化す 
 九六三八     轉中の動なる者なり 象に類する有り 
 九六三九     聲有りて天狗と爲す 
 九六四〇     聲無くて抂矢と爲す 
 九六四一     飛びて流星を爲す 
 九六四二     隕ちて星雨の如し 
 九六四三     持中の動なる者なり 麁火の類なり 
 九六四四    水なる者は 已に質を有す 湿なる者は 其の解けて融するなり 
 九六四五    清氣は相い逼る 
 九六四六    雲霧は相い感ず 
 九六四七    獨氣は重を爲す 
 九六四八    湿體は相い引く 則ち
 九六四九    降結して雨露を爲す 
 九六五〇     雲霧なる者は 氣の蒸蒸として濁中より升るなり 猶お氣の鏡を呵するがごとし (PB 575)
 九六五一     雨雪なる者は 質の津津として清中より來るなり 猶お露の鏡面に結ぶがごとし 
 九六五二    寒溫は相い逼りて肅すれば 則ち雪霜なり 
 九六五三    昜象に逆らえば 則ち烟霞虹暈の彩を發す 
 九六五四     地氣蒸蒸の暗濁は。
 九六五五     升浮披布して散ずれば 則ち
 九六五六     其の氣は茫茫として 而して烟靄を爲す 
 九六五七     降低分靡して結べば 則ち
 九六五八     其の質は紛紛として 而して霡霂を爲す 
 九六五九     烟靄は雲より疎なり                            (I 480b)
 九六六〇     霡霂は雨より密なり 
 九六六一     日月の光。其の薄處より。直に茫茫の烟靄を射れば則ち暈を爲す 
 九六六二                 斜に紛紛の霡霂を射れば則ち虹を爲す 
 九六六三     其の輪は則ち明の暗を衝き。暗の明を抱くの界なり。故に
 九六六四     日月は至高なれば 則ち虹を爲し易からず 
 九六六五     至低なれば 則ち暈を爲し易からず 
 九六六六    昜性に從がえば 則ち硫礬膏膩の物を爲す 
 九六六七    其の變に至れば 則ち水氣は能く物象を奪す 
 九六六八     清にして體を没する者は能く色を透す 
 九六六九     清にして體を露する者は能く色を受く 
 九六七〇     明にして體を有する者は能く光る 
 九六七一     明にして體を没する者は能く見る 是の故に
 九六七二     明なる者は色を外に施す
 九六七三     清なる者は色を内に受く 是の故に
 九六七四     水は天間に遊んで 能く地の物影を受く 之を天開と謂う 
 九六七五       水面に遊んで 能く傍の物影を受く 之を海市と謂う 
 九六七六    景影中に物有り 能く循環を爲す 
 九六七七    影物を影曜と曰う 
 九六七八    景物を景曜と曰う 
 九六七九    水燥中に物有り 能く鱗比を爲す 
 九六八〇    燥物を燥生と曰う 
 九六八一    水物を水生と曰う 蓋し
 九六八二    寒熱なる者は 發收の氣なり                         (PB 576)
 九六八三    滋煦なる者は 噏噴の性なり 
 九六八四    天は先んじ地は後れ。天は唱し地は和す。
 九六八五    春夏は滋煦す 
 九六八六    秋冬は寒收す 
 九六八七    燥煦にして生育す 
 九六八八    水液にして聚結す 
 九六八九    其の神は斯に活す 
 九六九〇    其の物は斯に立す 
 九六九一    天は動きて歳は定まる 
 九六九二    地は靜して運は變する 
 九六九三    晝夜は本神の開閉を爲す 
 九六九四    冬夏は生化の活息を爲す 
 九六九五     地物の生は。潤えば則ち結ぶ 
 九六九六           乾けば則ち化す 
 九六九七     火の燒きて質を散じ 
 九六九八     水の潤いて質を結ぶは 
 九六九九     亦た其の徴なり。艸木は土氣に長ず 
 九七〇〇             禽獸は食息に長ず 是の故に
 九七〇一     生を爲す者は解結よりす 
 九七〇二     生を養う者は乾潤よりす 夫れ
 九七〇三     寒熱の爲す所は則ち冬夏なり 
 九七〇四     明暗の爲す所は則ち晝夜なり 是を以て
 九七〇五     生は。明暗に随いて睡覺す 
 九七〇六        寒熱に随いて榮枯す 
 九七〇七     覺なる者は神の旺なり 
 九七〇八     睡なる者は本の旺なり 
 九七〇九     榮なる者は 精華の發なり 
 九七一〇     枯なる者は 本根の復なり 而して
 九七一一     艸木は榮枯の氣に顯なり 
 九七一二     鳥獸は睡覺の氣に顯なり 
 九七一三     華葉の夜閉じ晝開くを觀れば 則ち
 九七一四     彼れ亦た睡覺を具する者なり 
 九七一五     禽獸の暖にして孳尾し 
 九七一六        寒にして氄毛するを觀れば 則ち                   (I 481a)
 九七一七     此れ亦た榮枯を具する者なり 
 九七一八     唯だ人は神氣に長ず 故に
 九七一九     羽毛の用を假らず。
 九七二〇     孳尾の時。故に見難しと爲す。
 九七二一     猶お松柏の本氣に長じ。而して
 九七二二     榮枯の時の見難きがごときなり。
 九七二三    動植の用は氣液にして活立すなり                       (PB 577)
 九七二四    水燥の滋煦を以て絪縕すればなり                    (PB 578, I 481b)
 七七八二~八三(次行) 
     [用] 蓋し其の成る所は。侌は收を以てして結ぶ 
 七七八四             昜は發を以てして散ず 
 七七八五    燥火は同性にして 火は天に走り 燥は地に居る 
 七七八六    水影は同性にして 水は地に浮き 影は地に沈む 
 七七八七    影の常に斂まるや 以て火を束ねる所なり 
 七七八八    火の常に發するや 以て影を排する所なり 
 七七八九     物を發するを以て 而して明は常に暗分に進む 
 七七九〇     物を收むるを以て 而して暗は常に明熱を抱く 
 七七九一    聚散解結は 體成の用なり 
 七七九二    發收排噏は 性成の用なり 
 七七九三    鬱達肅舒。發斂凝融は。其の間に變化するなり。
 七七九四     天なる者は精なり。萬物を容れて有餘を見さず。
 七七九五              萬物を除きて不足を見さず。故に
 七七九六     聚散解結なる者は。其の中に遊ぶ。蓋し
 七七九七     氣は能く聚散す 
 七七九八     質は能く解結す 然り而して
 七七九九     氣は聚らざれば則ち質結ばず 
 七八〇〇     氣は散ぜざれば則ち質通ぜず 
 七八〇一     此の氣や。分明に聚散す。
 七八〇二     若し彼に間無くんば 則ち何ぞ此に聚まらん 
 七八〇三     此に聚まる可くんば 則ち何ぞ彼に間無からん 
 七八〇四~〇五  已に能く聚散す。而して能く聚散する者を容る。精ならざるを得んや。
 七八〇六~〇七  水注を以て水を弄するに。水は出でざれば 則ち氣は入らず 
 七八〇八                 氣は入らざれば 則ち水は出でず 
 七八〇九     毫末の間無きを見るが如し。
 七八一〇     然りと雖も蘆莩を取りて之に風し。
 七八一一     兩端を撚りて之を縮むれば。
 七八一二     則ち其の脹るは小にして堅なり。
 七八一三     之を緩むれば則ち其の脹は大にして輭なり。
 七八一四     是に於て間無き者も亦た活縮脹を有するを觀る。是を以て            (PB 487)
 七八一五     發する者は有餘に噴く 
 七八一六     今 径尺の鼓は 聲を數里に徹す
 七八一七       數寸の燈は 明を百歩に致す 
 七八一八     收むる者は不足に噏う 
 七八一九     一滴の水は 百歩を照すの明を收む 
 七八二〇     鼓に灑ぐの雨は 數里に徹するの聲を鈍らす 故に
 七八二一     發收なる者は 相い資るの道なり 
 七八二二     散結なる者は 體を成すの用なり 是を以て
 七八二三     氣の聚散 
 七八二四     質の解結 
 七八二五     經緯有りと雖も。亦た生化の事なり。
 七八二六     物の將に生ずるや 其の氣は聚る 
 七八二七     物の已に生ずるや 其の質は結ぶ 
 七八二八     物の將に化するや 其の氣は散ず 
 七八二九     物の已に化するや 其の質は解く 故に
 七八三〇     雨は將に結ばんとすれば 則ち侌湿 先に動く 
 七八三一     子は將に結ばんとすれば 則ち感悦 先に動く 是の故に
 七八三二~三三  將に此の物を生ぜんとすれば 則ち此の氣 聚る 聚まれば則ち質 結ぶ 
 七八三四~三五  將に此の物を化さんとすれば 則ち此の氣 散ず 散ずれば則ち質 盡く 
 七八三六     生化の端。水火は其の徴す可き者なり。蓋し
 七八三七     持中は。氣なる者は燥なり 
 七八三八         質なる者は水なり 而して
 七八三九         水氣は好く收む 
 七八四〇         燥氣は好く發す 是れ乃ち
 七八四一     氣の常に升り。
 七八四二     質の常に降る所なり。
 七八四三     收の極や凝なり 
 七八四四     發の極や散なり 故に
 七八四五~四六  甕中の儲水は 凝すること甚だしくして氣を聚斂すれば 終に其の器を碎く    (I 462a)
 七八四七~四八  爆竹の鬱火は 逼ること急にして氣を發出すれば    以て其の質を裂く 故に
 七八四九     收めて之を收むれば 氷の大きさは 水より小なり 
 七八五〇     發して之を發すれば 火の大きさは 薪より大なり 是を以て
 七八五一     氷の體を水よりも小にするは 氣の散ずるに非ざるなり 氣の内に收まればなり 
 七八五二     火の體を薪よりも大にするは 氣の聚まるに非ざるなり 氣の外に發すればなり 是の故に
 七八五三     水を鑵中に置き 火を以て之を煎ずれば 則ち水は鑵中に沸く 
 七八五四     綿を匏内に燒き 之を瘡口に置けば   則ち膿は匏内に入る 
 七八五五     水の鑵中に沸くは 則ち火の其の收物を發散すればなり             (PB 488)
 七八五六     膿の匏内に入るは 則ち水の其の發氣を收斂すればなり 故に
 七八五七     燥は結鬱により成る 
 七八五八     水は解發により融す 故に
 七八五九     充つる者は徒らに充たず 
 七八六〇     結ばる者は徒らに結ばず 
 七八六一     皆な天中に遊ぶ。
一〇四九一         給資
一〇四九二(復元)昜縕侌絪  
一〇四九三(復元)一給一資 
一〇四九四(復元)體立ちて用成る。
一〇四九五    萬物の擾擾。態を變ずること窮まり無しと雖も。而も
一〇四九六    諸を天地に資るは則ち一なり。是の故に。
一〇四九七    資る者は能く給する者に應ず 
一〇四九八    給する者は能く資る者を變ず 蓋し
一〇四九九    大物は能く統ぶ 
一〇五〇〇    小物は能く散ず 
一〇五〇一    統ぶるは則ち混有の天地なり 
一〇五〇二    散ずるは則ち各立の氣物なり 
一〇五〇三    各立は變を盡くすと雖も。而も之を混有に資るは則ち同じ。
一〇五〇四    資れば 則ち應ずる有り 
一〇五〇五    變ずれば則ち反する有り 
一〇五〇六    變を盡くして一に居る。是に於てか。
一〇五〇七    萬物擾擾。以て反し以て依る。
一〇五〇八    夫れ物の相い散ずる。萬不同と雖も。
一〇五〇九    天地水火。其の化する所は。惟だ一動一植なり。
一〇五一〇     火は熱して升る 
一〇五一一     水は冷えて降る 然り而して
一〇五一二     水なる者は 火を以てして成る 
一〇五一三     火なる者は 水を以てして成る 是れ相い反にして相い依るなり。
一〇五一四     動は則ち溫動有意なり 
一〇五一五     植は則ち冷止無意なり 然り而して
一〇五一六     蔬穀は人に依りて立す 
一〇五一七     人は蔬穀に依りて存す 
一〇五一八     獸は多く艸に依る 
一〇五一九     鳥は多く木に依る                             (PA 041)
一〇五二〇     大にして之を言えば 則ち
一〇五二一     人と物は天に依らざれば則ち居らず 
一〇五二二         地に依らざれば則ち立たず 
一〇五二三     小にして之を言えば 則ち
一〇五二四     鴨は雞の伏を假りて孚す 
一〇五二五     蠶は人の養を待ちて生く 
一〇五二六    神は活し本は立す 
一〇五二七    動は熱し止は寒す 
一〇五二八    大物は同じく有りと雖も。動植は能く分れて資る。
一〇五二九    其の生化の跡は。精なれば則ち之を没す 
一〇五三〇            麁なれば則ち循環鱗比を分つ 
一〇五三一          (削除。朱筆にて行間に追記。)
一〇五三二    昜縕侌絪 
一〇五三三    一給一資 造化の成る所なり。
一〇五三四~三九       (削除。朱筆にて行間に追記。)
一〇五四〇    艸木は之に資りて 華實に絪縕す 其の天と其の與とに給資す
一〇五四一    鳥獸は之に資りて 牝牡に絪縕す 其の天と其の與とに給資す 而して
一〇五四二    其の一箇の活立の間も。亦た此の營養を用いざる所莫し。是に於て
一〇五四三    大は給し小は資る。而して我が有は天に應ずる有り。故に
一〇五四四    我の軀は 身生を以て天地に應ず                        (I 490a)
一〇五四五    我の神は 心性を以て天神に應ず 
一〇五四六    天に東西南北有り 
一〇五四七    我に前後左右有り 
一〇五四八    天に内外本末有り 
一〇五四九    我に内外本末有り 
一〇五五〇    天は氣を外に於て運す                             (PA 042)
一〇五五一        内に於て保す 
一〇五五二    我は氣を内に於て運す 
一〇五五三        外に於て保す 然り而して
一〇五五四    我は則ち前後左右を具す 
一〇五五五    植は則ち猶お其の方を混ず 
一〇五五六    我は則ち本を上にし末を下にす 
一〇五五七    植は則ち末を上にし本を下にす 
一〇五五八    我は則ち氣溫體動なり 
一〇五五九    植は則ち氣冷體止なり 
一〇五六〇    給資に非ざる所莫ければ。盡く數う可きに非ざるなり。然り而して
一〇五六一    天人の給資は相い反す。則ち
一〇五六二    我は則ち有限なり 
一〇五六三    天は則ち無限なり 
一〇五六四    我は則ち須臾なり 
一〇五六五    天は則ち攸久なり 
一〇五六六    我は則ち有意にして作す 
一〇五六七    天は則ち無意にして成す 
一〇五六八     天は則ち自然なり 不揜なり 成なり 常なり 
一〇五六九     神は則ち使然なり 不測なり 爲なり 變なり 故に
一〇五七〇     我に非ざる者は 則ち無意を以て天を爲す 
一〇五七一               氣爲を以て神を爲す 
一〇五七二     我に於ては   則ち氣爲を以て天を爲す 
一〇五七三               有意を以て神を爲す 何となれば。則ち
一〇五七四     其の我の天地を維持するの氣は 天に非ずして何ぞ 
一〇五七五     其の我の天地を鼓舞するの心は 神に非ずして何ぞ 
一〇五七六     蓋し我の天地なる者は。神の爲す所なり。
一〇五七七     神の爲す所を受けて。以て己の天と爲す。是に於て。
一〇五七八     心は其の神を爲す。是の故に
一〇五七九     無意なる者は 靈を以て能と爲さず 爲す者は 變を以て不測を爲す (爲者 を抹消。)
一〇五八〇     有意なる者は 氣を以て變を爲さず      意を以て不測を爲す 故に
一〇五八一     神爲を以て天に屬すれば。則ち人爲は作を爲す。今 夫れ人は。
一〇五八二     衣食せざれば 則ち凍餒 揜わず 是れ氣なり 人の天性なり         (PA 043)
一〇五八三     凍餒すと雖も 而も之を衣食すると 之に衣食せざると 
一〇五八四     惟だ其の欲する所の者は 是れ意なり 人の神爲なり 是の故に。
一〇五八五     天人の間。亦た天神の辨有り。
一〇五八六     且つ天は以て人を容る 
一〇五八七     人は以て天に容れらる 
一〇五八八     天は人を以て意を爲す 人外に意を有するに非ず 
一〇五八九     人は天を以て神を爲す 人神は天を外にするに非ず 是に於て。
一〇五九〇     天人の反する所は。一を以て其の分を觀る 
一〇五九一              一を以て其の合を觀る                   (I 490b)
一〇五九二    天は公にして人は私なり 
一〇五九三    天は誠にして人は僞なり 然りと雖も。
一〇五九四    人は則ち私を其の公に於て資る 
一〇五九五        僞を其の誠に於て資る 
一〇五九六    無意は有意を我に於て給す 
一〇五九七    無爲は有作を我に於て給す 
一〇五九八    資りて應じ變じて反す。給資の道は然り。
一〇五九九~〇〇 天の給は我に反す 故に我より天地を觀れば 泥めば窺窬を爲す 
一〇六〇一~〇二 我の資は天よりす 故に天地より物を觀れば 漸やく條理を得る 
一〇六〇三     造化は 侌昜の絪縕に成る 
一〇六〇四     活立は 天地の給資に成る 
一〇六〇五     資りて應ず 
一〇六〇六     變じて反す 
一〇六〇七     正視せざる者は。其の目を眩まさざること能わざるなり。此の故に。
一〇六〇八     絪縕の道は。天は則ち其の跡を没す 
一〇六〇九           動植は則ち華實牝牡を露す 
一〇六一〇     形化は此に於て假る有り 
一〇六一一     氣化は此に於て假る無し 
一〇六一二     又た姑く資を行止に於て言うに。
一〇六一三     天は行を運轉に資る 
一〇六一四     地は行を升降に資る 
一〇六一五     鳥飛魚游 人歩獸走 數えて盡きず 
一〇六一六     天は止を環守に於て資る 
一〇六一七     地は止を方位に於て資る 
一〇六一八     鳥棲魚潛 人寐獸伏 數えて窮まり無し                    (PA 044)
一〇六一九     縱い物に随いて其の態を異にするとも。
一〇六二〇     給資に通ずる有らば。又た何ぞ隔てん。
一〇六二一丨二八     (削除。欄外上段に朱筆にて追記。)
一〇六二九~三〇 惟だ人のみ。有限の身生。意爲を以て其の能を爲す。
一〇六三一    聲色臭味の中に長ず 
一〇六三二    器地配嗣の間に遊ぶ 
一〇六三三    囿する所有り。而して以て洞視に苦しむ。
一〇六三四    動植は神本を分つ。
一〇六三五    竝び起りて袞袞を追う。
一〇六三六    作止は體を換え。魚鱗に相い比す。惟だ
一〇六三七    人は己を有するを以て。而して鱗比を造化に於て疑う。
一〇六三八    天なる者は 物を成し事を跡す 
一〇六三九    神なる者は 往きて感じ來りて應ず 
一〇六四〇    人は有意に執して。天神を窺窬す。
一〇六四一    不揜不測なる者を觀て。之を有意に比す。是を以て。
一〇六四二    神も亦た之を人にす。
一〇六四三    天も亦た之を人にす。
一〇六四四    其の意智情欲を人にす。
一〇六四五    其の酬醋黜陟を人にす。                            (I 491a)
一〇六四六    其の容貌を人にす。
一〇六四七    其の冠冕を人にす。
一〇六四八    資の給に於て變ずるを知らず。
一〇六四九    妄に執して眞を説く。人なる哉 人なる哉。
一〇六五〇    縱い通を以て自から許すも。其の實は則ち塞す。蓋し夫れ
一〇六五一    混淪たる一天地。其の體は清浄なり。                     (PA 045)
一〇六五二    水浸燥煦の際は。濁して穢す。
一〇六五三    絪縕は物を醸し。動植を解結す。
一〇六五四    其の體を鱗比す 
一〇六五五    其の神を相換す 
一〇六五六    穢濁麁脆。
一〇六五七    新鮮舊敗。
一〇六五八    絪縕に通ぜざれば 則ち造化を識らず 
一〇六五九    給資に通ぜざれば 則ち人物を識らず 
一〇六六〇    身生を穢濁に痼す 
一〇六六一    意想を虚妄に醸す 
一〇六六二    明なる者の爲に蔽わる 
一〇六六三    通なる者の爲に蔽わる 知の貴からざるなり。
一〇六六四    一は此の如く混成す 
一〇六六五    二は此の如く粲立す 
一〇六六六    天は之を蔽うこと莫し。人は聾瞽を致す。
一〇六六七    苟くも給資する所に通ずれば。則ち
一〇六六八    天人は本と一にして。造化 何ぞ隔てん。                  (PA 046)
一〇六七〇      言動
一〇六七一    人なる者は。生を以て身を保す
一〇六七二          意を以て爲を爲す 
一〇六七三          意は則ち知感なり 
一〇六七四          爲は則ち言動なり 
一〇六七五    言動なる者は。知感の運する所。含靈は同じく有す。
一〇六七六    聲技の發するを之れ言と爲れば。則ち惟だ人のみ之を有す。蓋し
一〇六七七    人の言を爲すや。動に精なり 而して
一〇六七八            意に麁なり 故に
一〇六七九    言は意を盡くすこと能わず 而して爲は則ち言に盡くす 夫れ
一〇六八〇    言なる者は。主に由りて聲を命ず。
一〇六八一    聲主を運爲して。緒を抽きて之を引く。是に於て。
一〇六八二    其の主を有して 而して之を口に上る可し 
一〇六八三    其の主無くして 亦た 之を口に上る可し 
一〇六八四    主を認めて之を聲にす。聲の善なる者なり。是の故に。
一〇六八五    主なる者は 天なり 
一〇六八六    之を聲にする者は 人なり 
一〇六八七    呼は未だ其の主を知らず。
一〇六八八    應は其の主に非ず。
一〇六八九    善は其の主を知り    以て之を呼べば 隣人の應を受けず 
一〇六九〇    未だ其の主を知らずして 以て之を呼べば 隣人と應ずと雖も而も之を信ず    (PA 047)
一〇六九一~九二 聲なる者は 人なり 轉ずるなり 舟は亦た以て車と呼ぶ可からざるなり 
一〇六九三~九四 主なる者は 天なり 定まるなり 舟は  以て車と爲す可からざるなり 
一〇六九五    主は實を得るを貴しとす 
一〇六九六    聲は相い稱うを善しとす 
一〇六九七    車を車とし舟を舟とす。實は當り聲は稱う。                  (I 491b)
一〇六九八     意は内に於て有す 
一〇六九九     技は外に於て施す 故に
一〇七〇〇     意智は内に運す 
一〇七〇一     言動は外に露す 
一〇七〇二     動なる者は。一守一禦。之を以て酬醋す。
一〇七〇三     聲に發する者は。正誕信僞なり。
一〇七〇四     造化の間は 常有り變有り 正有り妖有り 
一〇七〇五     言動の間は 正有り誕有り 眞有り妄有り 
一〇七〇六     之を審かにせざれば。則ち妄誕と變妖と混ず。
一〇七〇七     信僞と眞妄と配行せず 
一〇七〇八     是非と正誕と配立せず 
一〇七〇九     大瞽は衆瞽を欺く 
一〇七一〇     大聾は小聾に聽く 
一〇七一一    是を以て。徳に就きて之を呼べば 無意を天と爲す 有意を人と爲す 
一〇七一二         道に就きて之を呼べば 爲を 神と爲す 成を 天と爲す 
一〇七一三    一一は各を爲す 
一〇七一四    道を反して處を混ず。必ずしも相い先後雄雌せざるなり。故に
一〇七一五    然らざるを得ざる者に聲して。勢と曰う。
一〇七一六    之をして然ら使る者に聲して。力と曰う。
一〇七一七    然る所の者は。故と聲す。
一〇七一八    以て然る者は。理と聲す。
一〇七一九    之に駕して以て往く。聲主に於て失する所莫し。
一〇七二〇    主は 實なり 天成なり 人爲を竢たざるなり                 (PA 048)
一〇七二一    聲は 名なり 言有りて後に成る 人の事なり 
一〇七二二    名なる者は 實の聲なり 
一〇七二三    實なる者は 聲の主なり 
一〇七二四    名を知りて主を知らず 門に入りて盤桓す 
一〇七二五    主を知りて名を知らず 門を出でて彷徨す 
一〇七二六    主は之を言に於て得る            (言を見せ消ちにして心に訂正。)
一〇七二七    聲は之を言に於て得る 
一〇七二八    諸を思言に失して。向背。途を異にす。是の故に。
一〇七二九    無意は。主なり。天とは。無意なる者に於て聲す。
一〇七三〇    有意は。主なり。人とは。有意なる者に於て聲す。
一〇七三一    爲成は。主なり。天神とは。爲成なる者に於て聲す。故に
一〇七三二    名を以て之を求むれば 實は之の解を爲す 
一〇七三三    實を以て之を言えば  名は乃ち其の解なり 
一〇七三四     良馬を得て神龍と名づくる者有り 
一〇七三五     神龍至ると聞きて 識らざる者は驚走す 
一〇七三六     死鼠を函にして諸を人に贈る者有り 
一〇七三七     曰く璞を贈ると 其の人 以て未だ磨かざるの玉と爲す 以て之を擇ぶ 
一〇七三八     之を呼ぶこと異なれば 則ち其の主の同異を察せず 而して先ず之を疑う 
一〇七三九     之を呼ぶこと同なれば 則ち其の主の眞假を辨ぜず 而して先ず之を信ず 
一〇七四〇     名に邪正有り 擇ばずんばある可からず                   (I 492a)
一〇七四一     主に美惡有り 察せずんばある可からず 
一〇七四二     名なる者は 人の命ずる所なり 
一〇七四三     實なる者は 天の爲す所なり 
一〇七四四     或いは聲主を亂す 
一〇七四五     或いは聲主を繆る 厲階の生ずる所なり。                  (PA 049)
一〇七四六     事は固に之を呼ぶこと同じくして 而して實の異なる者有り 
一〇七四七     信ずれば 則ち其の名の同じきに因りて 而して其の主を愛す 
一〇七四八     疑えば  則ち其の名の同じきに因りて 而して其の主を惡む 
一〇七四九     又た之を呼ぶこと異にして 而して實の同じき者有り 
一〇七五〇     惡めば 則ち其の名の醜を以て 同主の美を掩う 
一〇七五一     愛せば 則ち其の名の美を以て 同主の醜を掩う 
一〇七五二     徒らに其の名を譽めて 而して其の實を察せず 
一〇七五三     之を榮すること能わず 還って辱を其の主に遺す 
一〇七五四     徒らに其の名を毀りて 而して其の實を察せず 
一〇七五五     其の病を医すこと能わず 還って佗の侮を致す 
一〇七五六     名實の義は。大なり。
一〇七五七     宜しく之を審擇し明察すべし。是の故に。
一〇七五八    天と呼び人と呼び。天神と呼び。云云と呼ぶ。
一〇七五九    跡を以て指さして之を示せば。則ち各主は各聲を爲す。然れども
一〇七六〇    各なる者は 統の分なり 
一〇七六一    統なる者は 各の體なり 
一〇七六二    豈に轅輿輪輻を數えて。彼の車を知らざらんや。
一〇七六三     言は以て動に盡きる可し 
一〇七六四     動は以て言に盡きる可し 則ち其の技を爲すや。固に一なり。然り而して
一〇七六五     意を以て技に比すれば。則ち言動の態を爲すや。門戸を以て出入す。
一〇七六六     業 已に門戸を以て出入すれば。則ち其の麁なるや知る可し。
一〇七六七     麁と雖も而も其の指揮は神明に出づ。
一〇七六八     麁跡の定を認め。精主の活に逢わんことを求むるは。難し。故に
一〇七六九     技を施すの道にては 其の善は 善か惡か 
一〇七七〇               其の非は 非か是か 
一〇七七一     語を下すの道にては 其の汎は 汎か切か 
一〇七七二               其の正は 正か誕か 
一〇七七三     活主は其の麁を御して。定中 變化を爲す。
一〇七七四     耳は聡にして目は明なり 
一〇七七五     手は巧にして足は健なり 
一〇七七六    天なる者は 神 營みて物を爲す 
一〇七七七    人なる者は 意 營みて之を物に於て爲す 故に                (PA 050)
一〇七七八    天なる者は 之を言動す 
一〇七七九    人なる者は 此に言動す 故に
一〇七八〇    意の運する所は。口す可く身す可し。
一〇七八一    之を物に於て爲す者は。物を成さんと欲するなり。故に             (I 492b)
一〇七八二    事の天人なる者は。物を爲すと。之を物に於て爲すとなり。夫れ
一〇七八三    物なる者は 畜藏を服食に於て用いず 
一〇七八四          耕を 居宅に於て營せず 
一〇七八五          玩を 肢體に於て好まず 
一〇七八六          離合を群醜に於て用いず 人は則ち之を用う 故に
一〇七八七    人と相い輔け 
一〇七八八    物を將けて自から足る 故に
一〇七八九    天地萬物を以て。皆な我の用と爲す。是を以て。
一〇七九〇    能く之を物に於て爲すなり。故に天は數を爲す 
一〇七九一                   人は之を數う 
一〇七九二                   天は運轉を有す 
一〇七九三                   人は之を暦象にす 
一〇七九四                   天は親子を爲す 
一〇七九五                   人は之を尊卑にす 
一〇七九六                   天は男女を爲す 
一〇七九七                   人は之を配偶にす 
一〇七九八                   天は土壌を爲す 
一〇七九九                   人は之を都邑にす 
一〇八〇〇    統べて治め。依りて養う。故に之を君民に於て爲す。
一〇八〇一    材を治め用を爲す。故に之を士農工賈に於て爲す。
一〇八〇二    之を愛するに徳を以てす 
一〇八〇三    之を征するに兵を以てす 
一〇八〇四    之を知るに思と學とを以てす                         (PA 051)
一〇八〇五    之を行うに勤と禮とを以てす 蓋し
一〇八〇六    天地は活立す。故に其の用も亦た活用す。
一〇八〇七    我は隔散の生を以て。偏に有意の神を用う。故に
一〇八〇八    未だ通じて活すること能わず。
一〇八〇九    思い泥み。其の用に死す。
一〇八一〇    夫れ 一分一合なる者は。體なり。
一〇八一一    之を分ち之を合する者は。氣なり。
一〇八一二    元氣は本と一なり 故に分つ 
一〇八一三    侌昜は本と二なり 故に合す 
一〇八一四    分なる者は 天性の活なり 
一〇八一五    合なる者は 神才の通なり 
一〇八一六    之を用いて其の通に達せず 二の反に罔す 
一〇八一七     通ずれば則ち聖なり 
一〇八一八     執すれば則ち頑なり 
一〇八一九     通なる者は 天下の至美 
一〇八二〇     執なる者は 天下の通患 是の故に。
一〇八二一     愛なる者は 令徳なり 而して小人の愛や愛に溺る 
一〇八二二     惡なる者は 醜徳なり 而して君子の惡や愛に歸す 
一〇八二三     活なる者は 美事なり 而して小人の活や禍に醸す 
一〇八二四     殺なる者は 醜事なり 而して君子の殺や福に布す 
一〇八二五     執すれば 則ち通に於て此にすと雖も 而れども塞に於て彼にす 
一〇八二六            恩に於て此にすと雖も 而れども怨に於て彼にす 
一〇八二七     通ずれば 伸を屈外に於て求めず 
一〇八二八          利を義外に於て謀らず 
一〇八二九          困中に於て樂しむ 
一〇八三〇          窮中に於て達す 是を以て。
一〇八三一     凛乎として奪う可からずと雖も  雍容として餘裕有り 
一〇八三二     企て及ぶ可からざるが如しと雖も 岸崖有る莫し 
一〇八三三     觀る可しと雖も 而も之を測ること能わず 
一〇八三四     賁然たりと雖も 端倪す可からず                     (I 493a)
一〇八三五    之を運して其の活に至らず 一の合に間あり 
一〇八三六     通なる者は 天成の才なり                        (PA 052)
一〇八三七     活なる者は 神爲の性なり 
一〇八三八     良医は毒を以て病を治す 
一〇八三九     良將は弱を以て強を制す 
一〇八四〇     拙工は藥を以て病を致す 
一〇八四一~四二  怯將は強を以て弱を畏る 是に於て。強弱は名を失う 
一〇八四三                      毒藥は用を易う 
一〇八四四     人は有意を以て之を運す 
一〇八四五     天は無意を以て之を運す 是を以て。
一〇八四六     世は或いは禍を福とし福を禍とし。歓を悲しみ悲を歓ぶ有り。
一〇八四七     皆な運轉の常無き所なり。
一〇八四八     事は偏行せず 
一〇八四九     物は雙立せず 
一〇八五〇     皆な二の間に成る。故に
一〇八五一     順と曰えば 則ち其の聲は美なり 
一〇八五二     逆と曰えば 則ち其の聲は醜なり 
一〇八五三     然れども徒順徒逆は。用を爲さざるなり。故に
一〇八五四     剛直諌規は 逆にして美なり 
一〇八五五     阿諛足恭は 順にして醜なり 
一〇八五六     順なる者は 随いて之を將る 
一〇八五七     逆なる者は 向いて之を迎う 
一〇八五八     事物は必ず向迎の間に成る。是の故に。
一〇八五九     地載は天覆に向い 萬物は皆な其の間に成る 
一〇八六〇     左手は右手に向い 萬技は盡く其の間に出づ 
一〇八六一     順にして反かず 逆にして之を戻し 同じく不美に歸す 奚んぞ順逆を擇ばん 
一〇八六二     逆にして爭わず 順にして能く守る 同じく善に歸す 徳の相い得て全きなり 
一〇八六三     順の專らに行い難きは 柔に流るればなり 
一〇八六四     逆の徳と名づけ難きは 戻に至ればなり 
一〇八六五     如し未だ其の活に達せざれば。則ち
一〇八六六     美も亦た行い難し 
一〇八六七     醜も亦た避け難し 故に
一〇八六八     人は。必ず物を見ては 則ち塞と爲す 
一〇八六九          己を見ては 則ち通と爲す 
一〇八七〇     其の塞や 我の通ずる所に於て塞す 
一〇八七一     其の通や 彼の塞する所に於て通ず 
一〇八七二     若し彼の通ずる所を以て。我の塞する所を觀れば。
一〇八七三     禽獸は。教えずして能く搏撃し。學ぶこと無くして能く毒藥を辨ず。且つ
一〇八七四     猫狗の能く齅ぐ 
一〇八七五     狐狸の能く魅す 
一〇八七六     豈に我の通ずる所ならんや。是を以て
一〇八七七     貴人は顰蹙の饌 餓える者は朶頤の食なり 
一〇八七八     我の憂苦鬱悶の時は 
一〇八七九     讐家抃躍の日なり 是の故に。
一〇八八〇     我を以て地を觀れば。 地は大なり。                   (PA 053)
一〇八八一     天を以て地を觀れば。 地は小なり。
一〇八八二     地を以て我を觀れば。 我は小なり。
一〇八八三     蚊虻を以て我を觀れば。我は大なり。而して
一〇八八四     其の大は天に於て止まらず 
一〇八八五     其の小は蚊虻に於て盡きず 
一〇八八六     然れば則ち通塞順逆。 強弱小大。 奚れを以てか之を定めん。是を以て     (I 493b)
一〇八八七     旋轉して之を觀れば 所として左ならざる無く 所として右ならざる無し 
一〇八八八     上下して之を觀れば 所として高からざる無く 所として卑からざる無し 
一〇八八九     執すれば則ち塞す 
一〇八九〇     通ずれば則ち活す 
一〇八九一     跡を尋ぬる者は 跡無きに至れば 則ち塗に迷う 
一〇八九二     粲を數うる者は 混に至れば   則ち手を拱く 
一〇八九三     安んぞ活 斯に之れ達せん。是の故に
一〇八九四     昏主も亦た必ず人の言を用う 
一〇八九五     聡主も亦た必ず人の言を禦ぐ 惟だ
一〇八九六     昏主に活權衡無し 故に
一〇八九七     此を容るを以て 而して彼の昌言を禦ぐ 聡主に活權衡有り 故に
一〇八九八     此を禦ぐを以て 而して彼の昌言を容る 故に
一〇八九九     賢者    古訓を以て之を規すれば 則ち
一〇九〇〇     不肖者も亦た古訓を以て之を飾る 
一〇九〇一     正士は  法言を引きて以て之を正す 
一〇九〇二     亂人も亦た法言を引きて以て之を亂す 故に
一〇九〇三     物を觀て物に於て活せず。 將に物に於て病まんとす。
一〇九〇四     書を觀て書に於て活せず。 將に書に於て病まんとす。
一〇九〇五     理を説きて理に於て活せず。將に理に於て病まんとす。是を以て
一〇九〇六     義以て宜しく。禮以て中り。智以て通じ。應以て變ずるは。用の活する所なり。
一〇九〇七     運用は苟くも活せずんば。則ち技能有りと雖も。奚れを以てか用うることを爲さん。
一〇九〇八    惟だ混焉として一なり 孰れか二を執りて以て事に應ぜん 
一〇九〇九     天地は位を異にすと雖も。相い成ること二に非ず。
一〇九一〇     耳目兩兩たりと雖も。
一〇九一一     手脚隻隻たりと雖も。
一〇九一二     作用は則ち二に非ざるなり。故に
一〇九一三     左脚を駐むるは 右脚を運ぶが爲なり 
一〇九一四     昏夜に於て息うは 朝日に於て動かんが爲なり 
一〇九一五     物の動靜。心の善惡。触るれば則ち二を跡す。
一〇九一六     孰れか一を其の外に於て求めん。
一〇九一七     二は直ちに以て二と爲す可くんば。則ち左は方を畫す 
一〇九一八                       右は圓を畫す             (PA 054)
一〇九一九                       前は東呉の話に接す 
一〇九二〇                       後は西秦の報に聽く 
一〇九二一                       吹けば冷なり 
一〇九二二                       嘘せば溫なり 
一〇九二三     機触れて跡反す。孰れか其の由りて來る所を知らん。是を以て
一〇九二四     能く一を奉ずる者は。能く其の機を慎しむ。故に
一〇九二五     其の事物に應ずるや窮まり無し。
一〇九二六    惟だ粲然として二なり 孰れか一を執りて以て物を御せん 
一〇九二七     跡を認めて固執し。通に於て病む。
一〇九二八     北人は再登の國を疑う 
一〇九二九     南人は常夜の國を信ぜず 然りと雖も。                   (I 494a)
一〇九三〇     無なる者は 有の待つ所なり 
一〇九三一     實なる者は 虚の偶する所なり 故に
一〇九三二     好んで明を欲するや必ず昏なり 
一〇九三三     好んで美に處するや必ず醜なり 
一〇九三四     全を欲すれば則ち欠く 
一〇九三五     譽を欲すれば則ち毀らる 
一〇九三六     長を欲すれば則ち短く 
一〇九三七     治を欲すれば則ち紊る 
一〇九三八     之を勞せんと欲すれば   則ち逸す 
一〇九三九     之を悦ばしめんと欲すれば 則ち怒る 故に
一〇九四〇     自ら智と爲す者は必ずしも智ならず。
一〇九四一     自ら賢と爲す者は必ずしも賢ならず。是を以て。
一〇九四二     能く文を成す者は。質なり。
一〇九四三     能く剛を爲す者は。柔なり。
一〇九四四     怯を養う者は能く勇む。
一〇九四五     卑を積む者は能く高し。是を以て。
一〇九四六     能く變ずる者は常なり。
一〇九四七     能く動く者は止まるなり。
一〇九四八     能く危ぶむ者は安んず。
一〇九四九     能く黙する者は言う。是を以て。
一〇九五〇     能く明なる者は赫赫たらず 
一〇九五一     能く晦なる者は昏昏たらず 
一〇九五二     至清は濁るが如し。
一〇九五三     至巧は拙きが如し。
一〇九五四     能知は愚なるが如し。
一〇九五五     能慮は迂なるが如し。
一〇九五六     反を以て偏を濟う。以て一の美を成す所なり。
一〇九五七     苟くも其の道を亡くせば則ち囹圄湯鑊 姦凶を懲らすこと能わず 
一〇九五八     能く其の道に由らば 則ち朽索して以て駻馬を馭す可し 是の故に。
一〇九五九     二に通ぜざれば 則ち
一〇九六〇     一を奉ずる能わず 
一〇九六一    二卽一なれば 親疏は和す 
一〇九六二    一卽二なれば 上下は序す 
一〇九六三    事は經を爲す 
一〇九六四    物は緯を爲す 
一〇九六五    經は氣物を没す 
一〇九六六    緯は氣物を露す 
一〇九六七    没は天神の用を爲す                             (PA 055)
一〇九六八    露は天地の體を爲す 
一〇九六九    孰れか能く之を没せん 
一〇九七〇    孰れか能く之を露せん 
一〇九七一    混として縫無し  其の一や全なり 
一〇九七二    粲として跡を反す 其の二や立なり 
一〇九七三    一なる者は 二の全なり 二外の一無し 
一〇九七四    二なる者は 一の分なり 一外の二無し 
一〇九七五    而るを茲に及ばず。
一〇九七六    有限の智を以て 將に無窮の爲を窮めんとす 
一〇九七七    終に之を窮むること能わず 見て不測と爲す 
一〇九七八    有作の變を以て 定常の成を觀る 
一〇九七九    終に之を易うること能わず 呼んで以て不揜と爲す 蓋し
一〇九八〇    物なる者は 無意なり   知すれば則ち運す    (故を欠くか。)
一〇九八一                 感ずれば則ち應ず 
一〇九八二    人なる者は 有意なり 故に知りて或いは運せず 
一〇九八三                 感じて或いは應ぜず 
一〇九八四    以て能く變を盡くす所なり。視聽云爲。感應の文は。
一〇九八五    之を神に於て變化す 而して思辨好惡す 
一〇九八六    之を爲に於て錯雜す 而して運用言動す 
一〇九八七     物は意を具せず 
一〇九八八     人にして意を具す 故に
一〇九八九     物は精神の分に混然として                        (I 494b)
一〇九九〇     人は則ち其の間に粲然たり 故に
一〇九九一     好惡の性 
一〇九九二     運爲の意 
一〇九九三     其の有無を反して。事も亦た以て異なる。蓋し
一〇九九四     物成れば則ち氣を具するなり。
一〇九九五     具するの氣は。之を性と謂う。                      (PA 056)
一〇九九六     具して華なる。之を神と謂う。是の故に。
一〇九九七     情なる者は 好惡なり 之を分てば則ち慾と偶す 
一〇九九八     意なる者は 運爲なり 之を分てば則ち智と偶す 故に。
一〇九九九     情慾なる者は 性の具する所なり 
一一〇〇〇     意智なる者は 神の華する所なり 
一一〇〇一     性は以て生に具す 
一一〇〇二     神は以て體を使む 
一一〇〇三     體は各なれば則ち隔つ 
一一〇〇四     氣は同なれば則ち通ず 
一一〇〇五     神の能く通ずるは。體の隔を以てなり。
一一〇〇六    往くとして感應に匪ざる者莫し。是を以て。
一一〇〇七    怨を以て衆に感ずれば 衆は怨を以て應ず 
一一〇〇八    徳を以て人に感ずれば 人は悦を以て應ず 
一一〇〇九    涙を垂れて命を授く 
一一〇一〇    歯を切して相い賊す 
一一〇一一    孰れか之をして然ら使めん。
一一〇一二    或いは患難の感 己に切なり 
一一〇一三    或いは喜樂の應 彼に反するなり 
一一〇一四    桴を以て鼓に感ず 鼓は響を以てして應ず 
一一〇一五    形を以て鏡に感ず 鏡は影を以てして應ず 
一一〇一六    治亂興亡の途は判ず 
一一〇一七    安危榮辱の機は決す 
一一〇一八    而るを識らず。爾より出づる者を以て。
一一〇一九    天人を怨尤す。是を以て。
一一〇二〇    意智能く通ずれば則ち聖なり 
一一〇二一     能く體すれば則ち通ず。君子の事なり。是に於て。
一一〇二二     知する者は自から明に 
一一〇二三     處する者は自から到る 
一一〇二四     體して通ずること能わざれば。則ち己を專らにして人を忘る。
一一〇二五     己が爲にして人を榮辱す。我れ之を聞く。君子は專らにすること無し。
一一〇二六     孝を專らにすれば 兄弟に友ならず 
一一〇二七     忠を專らにすれば 同僚に良ならず 
一一〇二八     功を專らにすれば害に近づく 
一一〇二九     恵を專らにすれば疑を招く 
一一〇三〇     是れ蓋し未だ人と通じて善を爲すこと能わざるなり。             (PA 057)
一一〇三一     美事 猶お且つ專らにす可からざるなり。
一一〇三二     而るを況んや其の不美なる者をや。
一一〇三三     之を非とすれば 則ち其の辞を以て 其の意を害す 
一一〇三四     之を是とすれば 則ち其の意を以て 其の辞に足る 
一一〇三五     佗無し。物に通ずること能わざるは。他の情慾と隔たればなり。
一一〇三六    感應は能く鼓すれば則ち神なり 
一一〇三七     紛は解け難は結ぶ 
一一〇三八     福は市し禍は嫁す 
一一〇三九     絃歌は鼓鼙に代る 
一一〇四〇     呻吟は舞踏に轉ず                              (I 495a)
一一〇四一~四二  機は之をして然ら使む。利は則ち制を爲す 
一一〇四三~四四             鈍は則ち制を受く 安危治亂は此に決す。
一一〇四五     勢の走る所 虎も鼠と爲る 
一一〇四六           爵も鸇と爲る 
一一〇四七~四八  故に之を鼓し之を舞すれば。則ち怯者も勇まざること能わず 
一一〇四九                    懦者も力まざること能わず 
一一〇五〇     勇にして且つ力めば。則ち
一一〇五一~五二  孰れか敢えて之を怯懦と謂わん。之をして反せざるを得ざらしむ 
一一〇五三                    反すれば則ち從いて其の族を赤す 
一一〇五四                    之をして怨まざるを得ざら使む 
一一〇五五~五六                 怨めば則ち從いて其の人を賊す 亦た冤ならずや。
一一〇五七     或いは倜儻慷慨の士をして 行を玷し名を垢さしむ 
一一〇五八     或いは放蕩狡黠の徒をして 身を撿し面を革めしむ 故に
一一〇五九     有才をして其の能を倒用せしむるは 秉勢者の罪なり 
一一〇六〇     駑馬をして其の能を盡くさしむるは 執轡者の良なり 
一一〇六一    天地は 物なり 
一一〇六二    感應は 事なり 
一一〇六三    物有れば則ち事有り 
一一〇六四    事有れば則ち物有り 
一一〇六五    物を觀て天地を知る 
一一〇六六    事を觀て天神を知る 
一一〇六七     鬼神なる者は 物を用いる者なり 物の體に非ざるなり 
一一〇六八     天地なる者は 用に體する者なり 氣の用に非ざるなり 
一一〇六九     體に非ざれば則ち耳目は得て及ばず 
一一〇七〇     用なれば  則ち感應は得て揜わず 是を以て。
一一〇七一     祭祀は必ず至誠を主とし。感格を事とす。
一一〇七二     風雨雷霆の變より。厲鬼妖孽の怪に至りて。
一一〇七三     感應の致す所にして。變化は測る可からず。
一一〇七四     之を信ぜざらんと欲すれば 則ち的然として驗有り 
一一〇七五     之を信ぜんと欲すれば   則ち没焉として跡無し 是れ           (PA 058)
一一〇七六     辨ずる者の辨に窮し 
一一〇七七     以て惑する者の惑に淫する所なり 
一一〇七八     譬えば猶お衆の戯場に在るがごとし。
一一〇七九     優人の爲す所。辛苦 相い逼るに至りては。則ち觀る者は之が爲に。
一一〇八〇     或いは悽愴。或いは欷歔。或いは還って自若たり。是れ
一一〇八一     感ずる者の異なるに非ざるなり。
一一〇八二     應ずる者の同じからざるなり。又た轉じて嬉戯に入れば。則ち
一一〇八三     前の悽愴欷歔する者も。捧腹解頤す。是れ
一一〇八四     應ずる者の同じからざるに非ざるなり。感ずる者の異なるなり。故に
一一〇八五     或いは相い感應す 
一一〇八六     或いは相い感應せず 
一一〇八七     或いは感じて應ぜず 
一一〇八八     或いは應ぜんと欲して感ぜず 
一一〇八九     異同厚薄。千變萬化。是に於て。
一一〇九〇     祭禱の驗。報應の道。妖怪の事は。
一一〇九一     有無存亡。是れ乃ち無意の爲す所なり。
一一〇九二     有意を以て之を測り之を必とす可からず。
一一〇九三     世の感ずる者は。測る可からざる者に於て之を測る   (感を見せ消ちにして惑に訂正。)
一一〇九四             必とす可からざる者に於て之を必にす 
一一〇九五     神を涜し鬼に媚び。城を爲し郭を爲す。
一一〇九六     上は日月星辰 風雲雷霆より 
一一〇九七     下は山海艸木 水火蛇龍に至るまで 
一一〇九八     皆な泥塑木偶。冠冕を戴き。衣裳を垂れ。以て其の神に形す。
一一〇九九     之を望むに嚴然として人なり。故に
一一一〇〇     之に事うる者は。之を人として事え。
一一一〇一     之を祈る者は。之を人として祈る。
一一一〇二     物を知らざるの致す所なり。                        (PA 059)
一一一〇四     爲技 (小細字にて右に設施と傍記。)
一一一〇五    桴鼓は相い當れば 則ち聲は其の中に成る 
一一一〇六    形鏡は相い當れば 則ち影は其の中に成る 故に
一一一〇七    火は金石を相い摩るに成る
一一一〇八    水は燥湿を相い結ぶに成る 
一一一〇九    成れば則ち酒は麹糵に非ず 
一一一一〇         子は父母に非ず 是を以て。
一一一一一    氣象運轉すれば 則ち日月歳年 其の中に成る 
一一一一二    氣質嘑噏すれば 則ち風雲雨雷 其の中に成る 故に
一一一一三    爲せば則ち成る 
一一一一四    成れば則ち爲す 是を以て
一一一一五    運轉嘑噏の中。動植 成る。
一一一一六    人なる者は。含靈の長なり。
一一一一七    天に成る 而して
一一一一八    人に爲す 
一一一一九    人に爲す 而して
一一一二〇    人に沈む 
一一一二一    人に爲す 而して
一一一二二    天に法る 
一一一二三    賢愚の以て分るる所なり。蓋し
一一一二四    人は。生に厚薄強弱有り 
一一一二五       身に美醜小大有り 是を以て。
一一一二六    智は明暗蔽悟無きこと能わず 以て利鈍賢愚の生ずる所なり             (PA 061)
一一一二七    思は公私誠僞無きこと能わず 以て善惡邪正の分るる所なり 
一一一二八    天人の事は。反して合す。是を以て。
一一一二九    天の常變露没は 之を言に於て弄して 而して正誕護訐す 
一一一三〇    天の通塞生化は 之を行に於て露して 而して予奪殺活す 是に於て
一一一三一    天人芸芸。會違千萬なり。    (「芸芸」は自筆のまま。一一四五九に「曲藝」の用例あり)
一一一三二    千萬なりと雖も。一言以て之を盡くす。曰く安と。
一一一三三    仁は以て人を安んず 
一一一三四    義は以て己を安んず 夫れ
一一一三五    人は。類に男女有り 
一一一三六       等に尊卑有り 而して相い合交す。
一一一三七    其の合に天人有り 故に                            (I 496a)
一一一三八    交も亦た天人有り 
一一一三九    人の天を以て合する者は 父子なり 兄弟なり 是れよりして叔姪宗族の交も自から成る 
一一一四〇      人を以て合する者は 君臣なり 夫婦なり 是れよりして上下内外の交も自から成る 
一一一四一    之を拡ぐれば則ち窮まり無しと雖も。
一一一四二    之を約すれば則ち四なり。是を以て
一一一四三    子の父に於る。
一一一四四    臣の君に於る。
一一一四五    各おの將に之を安んぜんとす。                        (PA 062)
一一一四六    父子なる者は 家の君臣なり 
一一一四七~四八 君臣なる者は 國の父子なり 而して孝なる者は親に事うるの名なり 
一一一四九                     忠なる者は君に事うるの名なり 
一一一五〇    愛敬は之を盡くして。天下和睦す。
一一一五一     心を用うれば 則ち誠僞は其の中に成る 
一一一五二     事に服すれば 則ち怠勤は其の中に成る 
一一一五三     夫婦は相い配すれば 則ち姻亜は其の間に成る 
一一一五四     兄弟は相い繼すれば 則ち叔姪は其の間に成る 故に
一一一五五     事物の間。爲す者は數う可し 
一一一五六          成る者は限り無し 是を以て。
一一一五七     師弟は父子を道に於て成す 
一一一五八     夫婦は兄弟を室に於て成す 
一一一五九     親に親しむは愛に在り 
一一一六〇     疏を和するは敬に在り 
一一一六一    道は異なると雖も 而も徳は一なり 
一一一六二    徳は一なりと雖も 施設は各おの當る所有り 
一一一六三    其の義を知る 
一一一六四    其の禮を考う 
一一一六五    交接廣しと雖も。其の徳は佗ならざるなり。
一一一六六    夫れ人なる者は。感應を以て之を運爲す。
一一一六七    未だ衆心の適する所にして 而して徳を失う者有らず 
一一一六八    未だ事宜の失する所にして 而して道に之く者有らず 
一一一六九     人情の適して悦ぶ所と 敵せざる所にして怨むとは 
一一一七〇     安危の關する所なり 之を善惡と謂う 
一一一七一     事宜の當りて美とする所と 失いて醜とする所とは 
一一一七二     榮辱の繋がる所なり 之を是非と謂う 蓋し
一一一七三     事爲の多態と。誠僞と。敬慢と。譲奪と。勤怠と。隠忍と。勞逸とは。
一一一七四     苟くも善是に就かんと欲すれば。
一一一七五     擇びて之を修めざることある可からず。擇びて之を修む。            (PA 063)
一一一七六     毀譽褒貶。殺活予奪。衆の同じくする所を得て。而して人は之を悦美す。
一一一七七     修めざれば則ち荒む 
一一一七八     擇ばざれば則ち雜る 
一一一七九     善を修むれば則ち仁なり 
一一一八〇     是を修むれば則ち義なり                           (I 496b)
一一一八一     之を擇ぶが爲にして 而して學を爲して之を教う 師の任なり 
一一一八二     之を修むが爲にして 而して禮を作して之に由る 君の業なり 
一一一八三     學禮他無し。仁義の修具なり。故に
一一一八四     善惡是非なる者は。悦怨榮辱の本なり。
一一一八五     悦怨榮辱なる者は。治亂存亡の機なり。
一一一八六    故に仁義の成る所は。
一一一八七     意智は思辨を以て運爲す 
一一一八八     情慾は好惡を以て感應す 
一一一八九     好惡なる者は 性の自然なり 
一一一九〇     思辨なる者は 心の使然なり 是を以て。
一一一九一     自ら處する者は 好惡 思辨に勝る 故に能く恕す 
一一一九二     人を觀る者は 我の思辨を以て 人の情慾を律す 故に能く責む 
一一一九三     自ら恕する者を以て 人に恕し 
一一一九四     人を責むる者を以て 自らを責む 是れ好惡思辨を修むるなり。
一一一九五     人悦べば則ち親しむ 親しめば 則ち天下歸す 
一一一九六     人怨めば則ち疏んず 疏んずれば則ち親戚棄つ 
一一一九七     己の醜 知りて惡めば 則ち慚意を生ず 
一一一九八     人の美 知りて愛せば 則ち讃意を生ず 
一一一九九     讃は嘆を爲し 嘆は榮を爲す 
一一二〇〇     慚は笑を爲し 笑は辱を爲す 
一一二〇一     悦怨榮辱なる者は。仁義の生ずる所なり。
一一二〇二    乃ち道徳の全き所なり。
一一二〇三     徳は 有なり 
一一二〇四     道は 發なり 
一一二〇五     能く其の有する者を養う者は。其の發を慎む。
一一二〇六     心なる者は混然たり。善惡は機に分る。故に
一一二〇七     能く其の有を養えば 則ち善は油然として長ず 
一一二〇八     能く其の發を慎めば 則ち惡は兆朕を消す 
一一二〇九     徳は得なり 
一一二一〇     道は行なり 
一一二一一     得なる者は之を行に於て得る 
一一二一二     行なる者は之を得に於て行う 
一一二一三     徳なる者は 行の主なり 得は學に由りて得る 
一一二一四     道なる者は 得の賓なり 道は禮に由りて行う 
一一二一五     得て有する者は 混然として目す可からず 
一一二一六     由て行なう者は 粲然として目す可し 
一一二一七     名に由りて論ずる者は 其の實を失い易し                   (PA 064)
一一二一八     實に由りて行なう者は 其の名を妄失せず 故に
一一二一九     君子は。得る者を奉ず 
一一二二〇         行う者を慎む 
一一二二一     得て有する所の者 善なれば 則ち
一一二二二     由て行なう所の者 正し 
一一二二三~二五  忠は以て君に事う 孝は以て父に事う 由りて行う所の目なり          (I 497a)
一一二二六~二八  君に事うるは則ち忠なり 父に事うるは則ち孝なり 得て有する者の目す可からざるなり 
一一二二九     目に非ずんば焉んぞ斯の道を載せん 
一一二三〇     徳に非ずんば焉んぞ斯の目を總べん 此の故に。
一一二三一     之を安んぜんと欲するを以て心と爲れば。則ち其の徳を保つ。
一一二三二     之を安んずるに道有り。愛と曰う。敬と曰う。
一一二三三     之を安んぜんと欲して。而も未だ其の道を得ん。
一一二三四     姑息諂佞。之を危害す。是れ
一一二三五     古の君子。學を設け禮を制す。以て人を教化の中に於て模範する所なり。
一一二三六     得は善惡を有す 
一一二三七     行は邪正を發す 
一一二三八     其の得る可き者を得て  之を善と爲す 
一一二三九     其の行う可き者を行いて 之を正と爲す 
一一二四〇     名は實を載す 
一一二四一     實は名を有す 故に
一一二四二     君子は。實有りて名を有さず 
一一二四三         名を奉じて實に由る 
一一二四四    夫れ人の情慾は。呥呥たり (PDF版参照のこと)
一一二四五            郷郷たり 
一一二四六            守防は之を務む 
一一二四七            利害は之を謀る 
一一二四八    我の欲する所は 人の欲する所なり 
一一二四九    我の謀る所は  人の謀る所なり 是に於て。
一一二五〇    相い怨み相い惡む 
一一二五一    相い奪い相い殺す 蓋し。
一一二五二    物の相い怨み 惡み 殺し 奪うは 身に於て止まる 
一一二五三    人の相い怨み 惡み 殺し 奪うは 結びて勢を爲す 
一一二五四    一怨起りて天下随う。故に
一一二五五    其の呥呥郷郷を治むる者は。人の聡明なり。故に (PDF版参照のこと)       (PA 065)
一一二五六    群醜有れば 則ち之を治めざるを得ず 
一一二五七    情慾有れば 則ち之を教えざるを得ず 
一一二五八    之を治むる者は君なり 
一一二五九    之を教うる者は師なり 
一一二六〇    君師立ちて。天下同然として。悦愛豫活す。
一一二六一    悦愛豫活は同然たらざれば。則ち怨惡殺奪す。
一一二六二     天は容れざる所莫くして 而して誠に逃れず 
一一二六三     人は具せざる所莫くして 而して同じくする所に違わず 
一一二六四     物を以て人を觀れば 人なる者は 各中の一物なり 
一一二六五     人を以て我を觀れば 我なる者は 同中の各なり 
一一二六六     物一なれば則ち氣一なり 是を以て
一一二六七     善を好み惡を惡む 天下と一なる可し 
一一二六八     物は各なれば則ち氣も各なり 是を以て
一一二六九     趨舍嗜好は 未だ天下を以て通ず可からず 
一一二七〇     同じく欲する者は善なり 獨り欲する者は惡なり 
一一二七一     同じく思う者は正しく  獨り思う者は邪なり 故に
一一二七二     衆の同くする所を修むは 君子なり 
一一二七三     己の獨りする所に荒むは 小人なり 
一一二七四     己の獨りする所を舍てて 衆の同くする所に從うは 勤なり 
一一二七五     衆の同くする所を舎てて 己の獨りする所に從うは 放なり 惟だ       (I 497b)
一一二七六     冀望する所有りて道に志せば 則ち求めて已まず 
一一二七七     廻避する所有りて善に遷れば 則ち行きて屡しば顧みる 
一一二七八     求めて已まざる者は   報に期する有り 
一一二七九     行いて屡しば顧みる者は 利に於て忘れず 惟だ
一一二八〇     大人は天下を以て一身と爲す。故に忠 以て己を盡す 
一一二八一                     恕 以て己を推す 蓋し
一一二八二     同なる者は。異の偶なり。
一一二八三     横目竪鼻は 各 同じからざる者莫し 而して
一一二八四     聲音容貌は 各 異ならざる者莫きなり 
一一二八五     其の同じき者も亦た人人 之を有す 
一一二八六     其の異なる者も亦た人人 之を有す 蓋し
一一二八七     同じく天を載せ地を履むの人にして。而して
一一二八八     同じく圓顱方趾の形なり                          (PA 066)
一一二八九     同じく君臣父子・夫婦兄弟を倫とし。
一一二九〇     同じく水穀を服し。同じく葛裘を著く。
一一二九一     一人の好む所は 則ち天下の好む所にして 
一一二九二     一人の惡む所は 則ち天下の惡む所なり 
一一二九三     然りと雖も。意智の向う所は。趨舍嗜好。各おの同じからず。故に
一一二九四     或いは萬乘を輕視す。
一一二九五     或いは一諾に慷慨す。
一一二九六     或いは浮沈して世を弄す。
一一二九七     或いは顰蹙して人を避く。
一一二九八     或いは機を見て勢を弄す。
一一二九九     或いは道を守り節を踐む。
一一三〇〇     或いは狷介して自ら守る。
一一三〇一     或いは傲蕩して爲す無し。
一一三〇二     或いは顯曄して身を赫す。
一一三〇三     或いは栖遲して光を韜む。
一一三〇四     皆な豪傑の態にして。是非の興る所なり。唯だ
一一三〇五     大人は。樂しめば 則ち天下と偕に樂しむ 
一一三〇六         安んずれば則ち天下と偕に安んず 故に
一一三〇七     其の功は 則ち天下の功なり 
一一三〇八     其の道は 則ち天下の道なり 故に
一一三〇九     豪傑の能は乃ち大人の資なり。
一一三一〇    蓋し之を悦ばしむるに道有り 時有りてか 怨も亦た避けず 
一一三一一      之を豫うるに道有り   時有りてか 奪も亦た厭わず 
一一三一二    善惡是非の存する所なり。是を以て。
一一三一三    道を忘れて愛憎欲惡を人に於て任ずれば  能く人の私 に適す 
一一三一四    勢に據りて予奪殺活を人に於て縱にすれば 能く人の志 に賊す 此の故に。
一一三一五    天下の事は。一治一亂一興一亡なり。
一一三一六    或いは相い亡ぶ。或いは相い持す。
一一三一七    勢は然るなり。惟だ勢を囘らす者は。力なり。故に
一一三一八    有力の者は。亂を囘らして治を爲し。亡を轉じて存を致す。
一一三一九    凶は吉に換る                                (PA 067)
一一三二〇    惡は善に變ず 故に
一一三二一    情慾なる者は 呥呥郷郷  荒めば則ち凶に走る (PDF版参照のこと)
一一三二二    意智は之が役を爲せば 姦邪放僻 惟だ私のみ之を謀る 
一一三二三    意智なる者は 思惟分辨 修むれば則ち道に至る                 (I 498a)
一一三二四    情慾は之が命を聽けば 視聽言動 惟だ命のみ之に從う 
一一三二五    戰に勝ちて吉凶 分る。故に
一一三二六    自修の道は 思辨に在り 
一一三二七    治人の道は 保通に在り 
一一三二八    情慾の私なる者は 身に便なる所なり 故に自ら之を好む 
一一三二九    意智の公なる者は 人に宜なる所なり 故に必ず佗を律す 
一一三三〇    佗に律する者を以て 自ら修む 
一一三三一    身に便なる者を以て 衆を望む 此の故に。
一一三三二    徳は身を修むるより善なるは莫し 
一一三三三    功は物を濟するより大なるは莫し 故に。
一一三三四    情慾は 之を保し之を通ぜよ  之を傷なうこと勿れ 之を塞ぐこと勿れ 
一一三三五    意智は 之を正し之を明にせよ 之を頗すること勿れ 之を晦すこと勿れ 
一一三三六    保通の道は 安んず 和する 養する 疏するなり 
一一三三七     是非なる者は 意智の断 截然たる者なり 
一一三三八     善惡なる者は 情慾の成 未だ恝ならざる者なり               (PA 068)
一一三三九     截然を未恝の間に於て行いて 察察たれば則ち人情失す 
一一三四〇     邪人は邪を信じて 而して正を信ぜず 
一一三四一     正人は正を信じて 而して邪を信ぜず 
一一三四二     各おの自から信ずる者を佗の信ぜざる者の上に於て伸ばさんと欲す 
一一三四三     皦皦たれば則ち凶機逼る 
一一三四四     人情 失えば 則ち和氣傷つく 
一一三四五     凶機 逼れば 則ち顚沛近づく 
一一三四六    正明の道は 思う 學ぶ 擇ぶ 修む 
一一三四七    衆の同じく思慾する所を通ず 
一一三四八    衆の同じく斁惡する所を疏すれば 則ち衆情 悦ぶ 
一一三四九    之を政に於て擧ぐれば 則ち
一一三五〇    勧懲は化に漸む 
一一三五一     心の物爲るや。動きて住せず。
一一三五二            往きて反り難し。
一一三五三            見る所に拘わる。
一一三五四            習う所に牽かる。
一一三五五            處する所に著く。
一一三五六            之く所に遷る。
一一三五七            好む所に淫す。
一一三五八            惡む所に塞がる。
一一三五九            終に耳をして敢て聡ならず。
一一三六〇            目をして敢て明ならざらしむ。是を以て。
一一三六一     善惡は 習う所に於て長じ 廢する所に於て塞す 
一一三六二     是非は 擇ぶ所に於て明に 棄つる所に於て昏す 惟だ
一一三六三     習は人を移す。慾は智を晦ます。
一一三六四     惑う者の多ければ 則ち同じく好惡する所の者も 亦た或いは未だ心の本然より出でず 
一一三六五     不肖者の多ければ 則ち同じく是非する所の者も 亦た或いは未だ事の正より出でず 
一一三六六     人は則ち天地の人なり                            (I 498b)
一一三六七     道は則ち天地の道なり 
一一三六八     善惡は則ち天地の善惡なり 
一一三六九     是非は則ち天地の是非なり 
一一三七〇     正視は目を眩さず 
一一三七一     正履は歩を失わず 大丈夫の事なり。
一一三七二     是非は明ならざれば 則ち怨怒 作る 
一一三七三     善惡は分たれざれば 則ち昏亂 極む 
一一三七四     是非皦皦たれば 則ち人情 藏る 
一一三七五     善惡察察たれば 則ち凶機 逼る 
一一三七六     不明不分に論ずる勿れ。
一一三七七     皦皦察察。豈に喜ぶ可けんや。惟だ能く體す。故に能く處す。
一一三七八     人情に屈せず。凶機に激さず。
一一三七九     是非に明に 
一一三八〇     善惡に審に                                (PA 069)
一一三八一     從容として自から適せざる莫し。亦た大人の事なり。
一一三八二    天地の是を是とす 
一一三八三    天地の非を非とす 
一一三八四    天地の正を誘い 
一一三八五    天地の邪を防げば 則ち衆心 悦ぶ 
一一三八六    之を教に於て施せば 則ち撰擇修むる有り 
一一三八七    未だ能く天下の胸臆を以て之を思量し 
一一三八八        天下の好惡を以て之を黜陟せずして 
一一三八九    己の得て有する所を徳とし 
一一三九〇    己の由て行なう所を道とす 
一一三九一    或いは一个の聡明に依る。
一一三九二    或いは一時の利害に依る。
一一三九三    或いは相い抗衡す。
一一三九四    或いは相い守禦す。
一一三九五    或いは以て自から断ず。
一一三九六    或いは以て區畫を爲す。
一一三九七     断じて聽く者は 其の言に通じ 其の意を量る能わず 
一一三九八     猶お權衡の定まって物を量るがごとし 
一一三九九     聽きて断ずる者は 能く通じ能く量る 
一一四〇〇     猶お物に随いて權を移すがごとし 是を以て
一一四〇一     人の言を容れざる者は 聡明なること能わず 以て人に上たり難し 
一一四〇二     私を以てする者は   事に通ずる能わず  以て人に師たり難し 是の故に
一一四〇三     君子なる者は 明能く是非を断じ 公能く是非に處し 
一一四〇四     教を以て正を誘い 禮を以て邪を防ぐ 
一一四〇五    見は各是非に定まる。未だ之を齋しくするに在るを免れず。
一一四〇六    烏んぞ天地の物を成すに肖ん。
一一四〇七     一尺の面 同じからず 
一一四〇八     億兆の情 焉んぞ齋しからん 
一一四〇九     同じからざるも亦た横目竪鼻なり 
一一四一〇     齋しからざるも亦た好惡善惡なり 故に
一一四一一     政なる者は 其の同じき者を同じくし                    (PA 070)
一一四一二     教なる者は 其の齋しからざる者を齋しくせず 
一一四一三     政は以て道を闢く 
一一四一四     教は以て徳を成す 
一一四一五     政は善ならざれば則ち才を壊す 
一一四一六     教は善ならざれば則ち道を壅ぐ                       (I 499a)
一一四一七     壅がりて通ぜず 
一一四一八     壊れて復し難し 
一一四一九     道立ち物成るに於てか病む。
一一四二〇     政教なる者は。上人なる者の柄。偏廢す可からず。
一一四二一     教を舍てて政に任ず 民は肅すと雖も方を知らず 
一一四二二     況んや謀計を挾みて 私智に任せ 文を舞し法を弄し 
一一四二三     其の齋しからん者を齋しくせんと欲するをや 
一一四二四     政無くして教を爲す 善と雖も而も徴せず 
一一四二五     況んや其の所見を執りて 而して門戸を立て 
一一四二六     衆の同じき者を察せず 
一一四二七     己の欲する所の者に同じから遣めんと欲するをや 
一一四二八     人は獨りする者無きこと能わず 
一一四二九     同じく欲する者無くんばあらず 
一一四三〇     獨り 欲する者と雖も 恕す可き者有り 
一一四三一     同じく欲する者と雖も 才に長短有り 故に
一一四三二     天地なる者は。同じきものを同じくし 
一一四三三            齋しからざる者を齋しくせず 是に於てか
一一四三四     能く物を成す。譬えば金鐵は利鈍を齋しくせず。而して
一一四三五     各おの能く其の才を成し。其の成才に依りて。乃ち
一一四三六     還って各各の用有るがごとし。
一一四三七     長なる者は 長を以て之を成す 
一一四三八     短なる者は 短を以て之を成す 
一一四三九     安んぞ能く己を執りて彼を責むるを得ん。
一一四四〇     東家の子は 肥えて美なり 
一一四四一     西隣の女は 瘠せて艶なり 
一一四四二     苟くも其の肥瘠の相い同じきを欲し 
一一四四三        其の長短の相い齋しきを欲すれば 則ち人を戕賊す 
一一四四四                          物を殘害す 故に
一一四四五     能く政教を執る者は。其の能くする所を助く 
一一四四六               其の能くせざる所を措く 
一一四四七               其の同じくする所を同じくす 
一一四四八               其の齋しからざる所を齋しくせず 是に於てか。
一一四四九     道立ち物成る。如し物を成すこと能わざれば。則ち政教道徳。世に益する無し。
一一四五〇     櫽栝修治は 固なり 而して物は汪洋の中に於て成る 
一一四五一     規諭訓誨は 固なり 而して才は寛容の中に於て成る 
一一四五二    紛紛の是非に眩まず 
一一四五三     是非の紛紛は。各おのの好尚なり。彼の天地の物を成すを觀るに。
一一四五四     短なる者は短を以て之を成す                        (PA 071)
一一四五五     長なる者は長を以て之を成す 
一一四五六     大なる者は大を以て之を成す 
一一四五七     小なる者は小を以て之を成す 是の故に
一一四五八     人を陶冶の中に置く者は。之を成すに務めて。而して
一一四五九     其の異を咎めず。士農工賈より。諸子百家曲藝の徒に至るまで。
一一四六〇     其の人を得れば。則ち功は天地に肖る。                   (I 499b)
一一四六一     而るを知らず。是非を以て天下を律せんと欲す。
一一四六二     以て勞して功の寡なき所なり。
一一四六三    滔滔の邪正に惑わず 
一一四六四    忘れて通ずれば 則ち親しみて和す 
一一四六五    宿りて隔つれば 則ち疏んじて賊す 
一一四六六     忘るれば則ち通ず 
一一四六七     忘れざれば則ち隔つ 
一一四六八     忘れずとは。心に宿すの謂なり。
一一四六九     喜べば則ち喜を宿す 
一一四七〇     怒れば則ち怒を宿す 
一一四七一     愛せば則ち愛を宿す 
一一四七二     憎めば則ち憎を宿す 
一一四七三     宿喜の機は喜ぶ 
一一四七四     宿怒の機は怒る 
一一四七五     宿愛の機は愛す 
一一四七六     宿憎の機は憎む 惟だ
一一四七七     富貴を忘るる者は 王公の前に正立す 
一一四七八     威武を忘るる者は 能く干戈の中に行く 
一一四七九     百結の衣も 服して厭わざる者は 衣を忘るるなり 
一一四八〇     一箪の食も 食いて足る者は   味を忘るるなり 
一一四八一     功成りて功を忘れざれば 必ずや伐る 
一一四八二     恵成りて恵を忘れざれば 必ずや倨る 
一一四八三     富んで忘れざれば 必ずや物を輕んず 
一一四八四     貧して忘れざれば 必ずや物を貪る 故に
一一四八五     妬む者は 物の美を忘れざるなり 
一一四八六     方ぶ者は 己の能を忘れざるなり 
一一四八七     功成り恵成る 而して能く相い忘る。
一一四八八     何を以てか矜伐の色有るを得ん。
一一四八九     物、我れ意に介すれば。則ち忘るること能わず。是に於て。
一一四九〇     蚊虻も雷を爲し涓埃も山と成る。何となれば則ち
一一四九一     彼に酬いる者薄くして 自から以て厚と爲す 
一一四九二     我に報いる者大にして 自から以て小と爲す 
一一四九三     難易の物、我に由りて相い隔たるなり。故に。
一一四九四     徳は川流江浸を待ちて 纔に以て罪咎を免かる 
一一四九五     惡は羽毛の如しと雖も 瑕疵は価を損ず 
一一四九六     片激は千場の歓を棄つ                            (PA 072)
一一四九七     一怒は百年の恩を賊す 
一一四九八     善惡成敗の難易なり。
一一四九九     忘れて通ずれば。則ち其の榮辱窮達に於るは。
一一五〇〇     猶お同肆の水火を相い救うがごとし。
一一五〇一     宿憤宿怒有りと雖も。相い扶くること手足の相い護るが如し。
一一五〇二     通は其の身に切なれば。
一一五〇三     則ち忘れざらんと欲するも。
一一五〇四     而も豈に得んや。
一一五〇五     化する者は。忘通の跡無きなり。
一一五〇六     或ひと曰く。我が功を忘る可くんば 則ち人の功も 亦た忘る可し 
一一五〇七           我が恵を忘る可くんば 則ち人の恵も 亦た忘る可しと 
一一五〇八     曰く。忘は豈に徒忘ならんやと。
一一五〇九     安んじて之を有し 
一一五一〇     正しくして之を行えば 
一一五一一     町畦有ること無し。
一一五一二     勇士は陳に臨みて身を忘る 
一一五一三     怯者は敵を見て主を忘る                           (I 500a)
一一五一四     其の能く其の身を忘るる者は 其の主を忘るること能わざるを以てなり 
一一五一五     其の能く其の主を忘るる者は 其の身を忘るること能わざるを以てなり 
一一五一六     豈に其の主を忘れて 又た其の身を忘るる者有らんや 
一一五一七     豈に其の身を忘れず 又た其の主を忘れざる者有らんや 
一一五一八     忘なる者は 天徳なり 故に通ず 
一一五一九     徒忘の者の若きは 則ち心疾の人なり 噫 又た何をか言わんや 
一一五二〇    而して之を以て之を文章す。
一一五二一       之を以て之を品節す。
一一五二二       之を以て之を和樂す。
一一五二三       之を以て之を次序す。
一一五二四       之を以て之を號令す。
一一五二五       之を以て之を鼓舞す。
一一五二六    化の被ること深し。
一一五二七    道の行わるること遠し。
一一五二八    老幼は其の養を受く 
一一五二九    少壯は其の職を奉ず 
一一五三〇    熈熈たり。雍雍たり。
一一五三一    人人 其の同じからざる者を慎む。
一一五三二       其の同じき者を務む。
一一五三三    之を大同と謂うなり。
一一五三四    君師の任なる哉。
一一五三五    大有力に非ずんば。                             (PA 073)
一一五三六    將に孰れか之を能くせんとす。
一一五三七     人に食を予うる者は 未だ人をして飽か使むること能わず 
一一五三八     人に貨を予うる者は 未だ人をして富ま使むること能わず 
一一五三九     其の業を奪わず。其の時を奪わざれば。則ち。
一一五四〇     人は且に富みて飽く。是の故に。
一一五四一     善を以て人に勝る者は 人未だ全く之に服せず 
一一五四二     善を以て人に下る者は 人必ず悦んで服す 
一一五四三     是に由りて之を觀れば。
一一五四四     彼の人をして孝弟忠信なら使むる者は。
一一五四五     豈に家に説き戸に諭す者ならんや。                     (PA 074)
一一五四七      人道
一一五四八    動轉止持は。境を清濁に於て分つ。
一一五四九    清境なる者は 神 天に雌なり 
一一五五〇    濁境なる者は 神 天に雄なり 故に。
一一五五一    轉中は變動に由りて定む 
一一五五二    持中は定常に由りて變ず 故に
一一五五三    道に爲成すれば 其の主を則ち天神と曰う 
一一五五四    情に感應すれば     則ち鬼神と曰う 
一一五五五    情道は聲を異にすと雖も。其の主は一なり。
一一五五六    神は雌なるを以て 而して爲成は天事を爲す 
一一五五七    神は雄なるを以て 而して感應は地事を爲す 故に
一一五五八    地は嘑噏して 而して東規 南北し 
一一五五九~六〇 日は南北して 而して地物 發收すれば 則ち天は其の感應を成すなり      (I 500b)
一一五六一    日は順行して 而して冬夏斯に成り 
一一五六二~六三 日は逆行して 而して晝夜斯に成れば 則ち神は其の爲成に從うなり 是の故に。
一一五六四    天中の爲は 則ち神 天に於て聽す 
一一五六五    地中の成は 則ち天 神に於て從う 故に。                  (PA 075)
一一五六六    天物の態は 則ち錯行して其の體を軋せず  氣氣は相い交り 感應は常有り 
一一五六七    地物の態は 則ち錯行して其の體を相い軋す 氣物は交接して 感應は常無し 是を以て。
一一五六八    地なる者は穢濁にして。彩聲臭味を醸す 
一一五六九               交接生化を事す 是を以て。
一一五七〇    濁境にして。而して事物錯綜し。鬼神變化の府を爲す。
一一五七一    濁境の竝立は。一動一植なり。
一一五七二    天に於ては則ち同じく資ると雖も 而も
一一五七三~七四 物に於ては則ち分有り 植に於ては 則ち運用を無意に於て給す 
一一五七五               動に於ては 則ち運用を有意に於て給す 
一一五七六    給せられて意を有す 而して
一一五七七    給する者は則ち無意なり 
一一五七八    反して合する者を觀る。故に。
一一五七九    彩聲臭味の境。
一一五八〇    交接生化の地。
一一五八一    舎意有意。其の間に相い依る。
一一五八二    有意は。内に其の意を有す 
一一五八三        外に其の技を發す 
一一五八四    意は。則ち思惟分辨。愛憎欲惡なり。
一一五八五    我は我が境を開きて。人の天地を立す。
一一五八六    愛憎欲惡は 物と類す                           (PA 076)   
一一五八七    思惟分辨は 物に長ず 
一一五八八    思惟は 意なり 
一一五八九    分辨は 智なり 之を合して心と爲す 
一一五九〇    愛憎は 情なり 
一一五九一    欲惡は 慾なり 之を合して性と爲す 
一一五九二    心性は相い和すれば。則ち其の情慾も。亦た物と異なるなり。故に
一一五九三    人心の適否は。離合の勢を作る。
一一五九四    合すれば則ち億兆 心を結ぶ 而して上下和同す 
一一五九五    離るれば則ち天下 心を散ず 而して彼此乖戻す 是を以て。
一一五九六    等は貴賤を辨ず 
一一五九七    類は親疏を辨ず 
一一五九八    天に順じて其の則を奉ず 
一一五九九    人に由りて其の道を立す 
一一六〇〇    衆を安んずるは 人の大功なり 
一一六〇一    自から安んずるは 我の廣居なり 是を以て。
一一六〇二    人は。其の分を守る 
一一六〇三       其の職を勤む 
一一六〇四    分を守らざれば則ち僨亂す 
一一六〇五    職を勤めざれば則ち荒廢す 
一一六〇六    職に士農工賈有りと雖も。而も
一一六〇七    上は一人より 下は億兆に至るまで 造化を贊するを以て職と爲す 
一一六〇八    上は一人より 下は億兆に至るまで 其の地を守るを以て分と爲す 
一一六〇九    天功を貪り 天物を費す 之を汰と謂う                    (PA 077)
一一六一〇    人功を偸み 人物を費す 之を賊と爲す 
一一六一一    仁義學禮は 道の綱なり 
一一六一二    殺活予奪は 政の柄なり 
一一六一三    鰥寡孤獨は之を愍む                             (I 501a)
一一六一四    士農工賈は之を用う 
一一六一五    才良を甄抜す 
一一六一六    蟊賊を沙汰す 
一一六一七    水にして之に舟し 渓にして之に梁す 
一一六一八    春にして之を啓き 秋にして之を閉ず 故に。
一一六一九    人の志ざす所は 則ち家國安寧なり 
一一六二〇    人の辨ずる所は 則ち尊卑親疏なり 
一一六二一    天功を貪らざれば 則ち欺を用うる所莫し 
一一六二二    天物を費さざれば 則ち奢を用うる所莫し 
一一六二三    人功を偸しむ者は 勤を用うる所莫し 
一一六二四    人物を費やす者は 儉を用うる所莫し 
一一六二五    夫れ人は交接廣しと雖も。人際は之を務め。餘力は物に及ぼす。道の序なり。
一一六二六    人際は廣しと雖も。望衆自修に過ぎず。
一一六二七    自修は惟だ嚴なれ 
一一六二八    望衆は惟だ寛なれ 蓋し夫れ
一一六二九    人の生を爲すや。善惡正邪 
一一六三〇            智愚利鈍 共に天より來るなり。
一一六三一    造化を贊するを以て心と爲さば。人を安んずるに於て愉び            (PA 078)
一一六三二                   人に通ずるに於て樂しむ 
一一六三三    安を欲する者は 其の危を安んじ 其の覆を扶く 
一一六三四    兩ながら全し難きを以て 而して其の莠を鋤し 其の苗を培う 
一一六三五    通を欲する者は 其の塞を啓きて 其の蔽を通ず 
一一六三六    盡く通じ難きを以て   而して其の情を疏み 其の弊を懲む 
一一六三七    君師の任なり。
一一六三八    父 則ち家にして君なり 
一一六三九    君 則ち國にして父なり 故に。
一一六四〇    慈は以て子を愛す 
一一六四一    孝は以て父を敬す 
一一六四二    孝慈なれば 安んぜざるの家無し 
一一六四三    愛敬なれば 安んぜざるの國無し 
一一六四四    學に於て之を知る 
一一六四五    禮に於て之を修む 
一一六四六    才徳は。艸木の異類別能なるが如し。故に。
一一六四七    啻に人に於て其の才徳を知るのみならず 
一一六四八    身に於ても亦た宜しく其の才徳を揣るべし 故に。
一一六四九    力を伸ばし 濟物に於て務め 
一一六五〇    能わざれば則ち退きて自から善とす 故に
一一六五一    大人は 國を量りて用う 
一一六五二    小人は 腹を量りて食う 
一一六五三    人をして盡く己の向かう所に向わしめんと欲する者は 癡なり 
一一六五四    人をして盡く己の欲する所に欲せしめんと欲する者は 仁なり 夫れ
一一六五五    衆智は。明に乏しく 通に病む                       (PA 079)
一一六五六    耿耿を得て明と爲す 
一一六五七    滴滴を得て通と爲す 
一一六五八    迷悟混淆し 眞妄朦朧す 故に
一一六五九    智の事は。之を廓にするに天を以てす。
一一六六〇     天は萬物を成す 
一一六六一     神は萬神を用す 
一一六六二     物 萬なれば則ち其の形も萬なり 
一一六六三     神 萬なれば則ち其の情も萬なり 
一一六六四     萬なる者は一に資る 
一一六六五     一なる者は萬に給す 故に原は一にして派は別なり。            (I 501b)
一一六六六     同じと雖も亦た異なる。蓋し天地なる者は。大物なり。
一一六六七     然りと雖も猶お且つ相い依りて給資す。
一一六六八     一一は絪縕す。萬の神物。其の間に成る。人は之を萬に資る。
一一六六九     而して人は其の一に居る。故に一元氣より之を觀れば。
一一六七〇     天地水火は 變じて雲雷雨雪に之く 
一一六七一     水陸動植は 碎して菌寓蟲豸に至る 
一一六七二     偕に我の與るに非ざる莫し。而して
一一六七三     雲雷雨雪は 水火に屬す 
一一六七四     風恬山壑は 天地に屬す 則ち
一一六七五     此の爲具に於て絪縕す。而して醸成する者は。動植なり。然り而して
一一六七六     天地水火は 則ち清浄の府に居りて 循環の生を活す 
一一六七七     水陸動植は 則ち穢濁の境に居りて 鱗比の生を活す 
一一六七八     鱗比は生を堅輭に於て立す 
一一六七九        意を有無に於て活す 故に。
一一六八〇     我より類を分てば 則ち大に異なると雖も 而れども
一一六八一     天より物を成せば 則ち合して一を成す 
一一六八二     天の此の生を醸する。植は本氣に資るに勝る 
一一六八三               動は神氣に資るに勝る 
一一六八四     醸し得て分るる所は。乃ち有意無意なり。
一一六八五     動植は。意に於ては則ち有無すと雖も。而も
一一六八六     生に於ては則ち彼此同じ。故に
一一六八七     其の所謂體用性才は。彼此同じく之を有す。而して
一一六八八     其の體用性才なる者は。彼此 各 其の態を異にす。故に
一一六八九     天に天物精神と曰う者は 
一一六九〇     我に身生心性と曰う 
一一六九一     天に精靈鬼神と曰う者は 
一一六九二     我に情慾意智と曰う 是を以て
一一六九三     其の用の絪縕給資は                           (PA 080)
一一六九四       性の保持立役なり 
一一六九五     聲を以て之を求むれば 則ち若く混焉たりと雖も 
一一六九六     而も態を以て之を察すれば 則ち天人異なるなり 
一一六九七     既已に態を異にすれば則ち其の技は何ぞ又た同じからん。
一一六九八     萬物の絪縕の間に於て醸す。生なる者は 天の營なり 
一一六九九                  育なる者は 與の養なり 
一一七〇〇     天地は絪縕して。水を成し火を成す。
一一七〇一     水火は天地を隔つと雖も。而も
一一七〇二     同じく其の地に立す 
一一七〇三     同じく其の天に居る 
一一七〇四     水は火を食すに於て育す 
一一七〇五     火は水を食すに於て育す 
一一七〇六     動植は又た其の間に醸す。散じて萬品を爲す。
一一七〇七     又た用を天地水火に於て資る。
一一七〇八     故に人の境より之を言えば。其の人の世に寓するや。
一一七〇九     之を無意の天に於て資る 
一一七一〇     之を有意の物に於て成す 
一一七一一     地に立す 
一一七一二     天に居る 
一一七一三     水に於て液す 
一一七一四     燥に於て煦す 
一一七一五     竝立する者と。相い依りて與を爲す。是を以て
一一七一六     神は保運化持に於て活す 
一一七一七     氣は聲色臭味に於て交る 
一一七一八     物は配嗣器地に於て立つ                         (I 502a)
一一七一九     質は飮哺便溺に於て依る 
一一七二〇     保する者は 天の給する所に資る 外より内を衛護するなり 
一一七二一     運する者は 與の通ずる所に依る 内より外を營養するなり 是を以て。
一一七二二     物の始めて生ずる。
一一七二三     目は未だ色を辨ぜず 耳は未だ聲を辨ぜず 
一一七二四     嘑噏は直ちに通ず 乳哺は從いて辨ず 
一一七二五     嘑噏は未だ足らず 外は羽毛鱗甲を以て保す 
一一七二六     乳哺は未だ足らず 他の艸木鳥獸を假て養う 
一一七二七     人なる者は。神氣に長じて 而して
一一七二八           本氣に不足す 
一一七二九     神氣の有餘を以て 
一一七三〇     本氣の不足を補う 
一一七三一     飮啄の養は 水火の調を待ちて食う 
一一七三二     羽毛の防は 布帛の工を假りて補う 
一一七三三     此れ猶お足らず。宮室を爲し。城郭を營し。
一一七三四     医藥を爲し。鍼焫を用う。夫れ
一一七三五     物の剖析して散ずるや。
一一七三六     散ずれば則ち盡く變ず。故に
一一七三七     之を植と謂えば則ち一なり 植に就きて之を析けば 則ち有らざるの形無し 
一一七三八     之を動と謂えば則ち一なり 動に就きて之を析けば 則ち有らざるの物無し   (PA 081)
一一七三九     故に人の有意を以て長を天地の間に於て恃む。亦た萬變中の一態なり。
一一七四〇     其の意技を以て。能く自から天地間に於て貴しとす。
一一七四一     天の人を私するに非ざるなり。
一一七四二     天の人を私するに非ざると雖も。而も
一一七四三     天に於て資る所の意技を以て。
一一七四四     能く自から天地間に於て貴きを得る。故に其の稟るや。
一一七四五     本氣に雌なり 
一一七四六     神氣に雄なり 
一一七四七     能く其の雄を取り 
一一七四八     以て其の雌を補う 故に
一一七四九     服御の用は廣し 
一一七五〇     調和の求は冗なり 是に於て。
一一七五一     地を墾して穀を取り。海を煮て鹽を取る。
一一七五二     艸木土石は 見れば則ち取りて以て之を材にす 
一一七五三     其の材に當らざる者は 之を糞壌に用う 
一一七五四     鳥獸魚鼈は 遇えば則ち殺して之を啗う 
一一七五五     其の啗う可からざる者は 之を服飾に當てる 
一一七五六     竟に其の力の萬物を役するに恃み。天地を取りて。以て己の有と爲す。夫れ
一一七五七     人は己の境を開きて。以て己を貴しと爲す。
一一七五八     終に其の智を以て。以て天を窺う。
一一七五九     人の身は 萬物中の一物にして 而して
一一七六〇     其の意は 萬神中の一神なるを知らず 
一一七六一     以て天獨り人に私すと爲す。蓋し
一一七六二     人の技は 鼓舞に巧なりと雖も 亦た惟だ人の巧む所に於て巧むのみなり 而して
一一七六三     其の意は 思辨に長ずると雖も 亦た惟だ人の長ずる所に於て長ずるのみなり 
一一七六四~六五     (写本939からの転記につき削除。)
一一七六六     諸を其の竝び立つ所に方れば。                      (I 502b)
一一七六七     互いに工拙通塞有り。
一一七六八     若し之をして傍觀せしむれば惡んぞ群才に抽して跳出するを視ん。夫れ
一一七六九     無意の境を爲すは。廼ち清浄の府なり。
一一七七〇     其の無意を以て 以て善惡愛憎を畜えず 
一一七七一     其の清浄を以て 以て聲臭配嗣を用いず 
一一七七二     天人の反なり。反せざれば合せず。
一一七七三     合せざれば則ち天地支離す。故に
一一七七四     死生を觀て 而して天地に融せず 
一一七七五     無意を觀て 而して有意に反せず 
一一七七六     造化の中より己を觀ずして。其の造化を觀るに。己より始む。
一一七七七     魚は躍って水を出でず。賊を捉えて其の子を逐う。
一一七七八     夫れ人なる者は。生を濁穢に於て資る 
一一七七九             物を鱗比に於て成す                     (PA 082)
一一七八〇             養うに竝立の與に依れば。則ち
一一七八一             聲色臭味と配嗣器地とに求めざること能わず。
一一七八二     多智多技を以て。用廣く求冗なるに遭う。
一一七八三     物に遇いて殺さざる所無ければ。則ち其の殺を嗜むや。虎狼より熾んなり。
一一七八四     修飾して以て垢穢を掩えば。則ち其の不浄や。鳥獸より甚し。
一一七八五     而して妄惑の念も。亦た人より甚しきは莫し。是を以て知る。
一一七八六     夫れ麝臍を屠りて。其の臭を愛し。魚腸を醢にして。其の味を甘にす。
一一七八七     傍觀すれば夫れ狗の臭を逐い。烏の穢を貪ると奚んぞ擇ばん。
一一七八八     故に人と物と各おの其の境を開けば。
一一七八九     則ち其の美醜も亦た各おの其の愛憎に從う。故に
一一七九〇     思想技巧の運 之を無爲の巧に比ぶれば 則ち惟だ其の煩を觀る 是を以て。
一一七九一     羽毛骨角の美 之を清浄の府に納むれば 則ち惟だ其の穢を觀るのみ 
一一七九二     是を以て。人の境を開くや。
一一七九三     其の思慮知辨。愛憎欲惡を以て。其の技を施す。此の故に。人なる者は。
一一七九四     物に通ずるの智有るを以て。終に通ぜざるの智を有す。
一一七九五     事を決するの断を以て。還って不断の惑を抱く。
一一七九六     沾沾の窺窬を好み 
一一七九七     反合の達觀に罔し 
一一七九八     欲は求むる所有り 
一一七九九     智は勞する所有り 
一一八〇〇     鳥を燓にし獸を檻にし。味を調え服を文る。之を己に營して足らず。
一一八〇一     亦た之を類に求む。有力は無力を執え。驅使鞭苔す。
一一八〇二     之をして稼せ使む 而して其の粋を食う 
一一八〇三     之をして織ら使む 而して其の精を衣る 
一一八〇四     其の粋を食い 其の精を衣る者は 則ち君爲り 
一一八〇五     其の糲を食い 其の麁を衣る者は 則ち民爲り 是に於て。
一一八〇六     有力は 自から衣食すること能わず 奉を民に恃る             (I 503a)
一一八〇七     無力は 自から守禦すること能わず 保を君に依る 是に於て。
一一八〇八     君民は勢を通じ。相い共に奉保す。以て迭いに其の役を執る。故に
一一八〇九     民は其の君に奉ずるを職とす 
一一八一〇     君は其の民を保するを職とす 而して
一一八一一     民は君に格いて悛めず 
一一八一二     君は民に取りて已まず                          (PA 083)
一一八一三     下なる者は則ち誅せらる 
一一八一四     上なる者は則ち移る 故に
一一八一五     天人なる者は反を以て合一す。夫れ反の態を爲す。
一一八一六     彼に没する者は 此に露す 
一一八一七     此に隠るる者は 彼に見る 
一一八一八     之を一に資ると雖も 而も
一一八一九     二に反す 是の故に。
一一八二〇     善惡に悦怨し 
一一八二一     是非に分辨するが如きは 
一一八二二     惟だ意の有する所にして。而して天は與らざるなり。是の故に。
一一八二三     天の神爲 
一一八二四     人の意作 
一一八二五     其の態は固より反す。惟だ其の資るや應ずる有り。故に
一一八二六     天に卑高を有す 人は資りて尊卑の態を爲す 
一一八二七     天に親疏を有す 人亦た親疏の態を爲す 蓋し
一一八二八     水火なる者は 兄弟なり 人は觀て以て疏と爲す 
一一八二九     水魚なる者は 疏屬なり 人は觀て以て親と爲す 蓋し
一一八三〇     人の倫は。之を約すれば。則ち親疏尊卑なり。
一一八三一     夫婦は 則ち疏より親に來る 
一一八三二     兄弟は 則ち親より疏に之く 
一一八三三     親より以上は 我より尊を爲す 
一一八三四     子より以下は 我より卑を爲す 
一一八三五     家を國に推せば 則ち君民卽父子なり 
一一八三六     己を物に推せば 則ち萬物皆同胞なり 是の故に。
一一八三七     人性は自から奉戴臨御の意有り。
一一八三八     夫の造化感應の爲を觀て   以て神道を建つ 
一一八三九     始を感じ本を思うの心を以て 以て祭祀を設く 
一一八四〇     是の故を以て。人は能く天を尊び地を卑しむ。噫。
一一八四一     高下は 天なり 
一一八四二     尊卑は 人なり 是を以て。
一一八四三     天は人の之を仰ぐが爲にして 尊からず 
一一八四四     地は人の之を臨むが爲にして 卑しからず 
一一八四五     且つ姑く天地の體に就きて之を言わんか。夫れ
一一八四六     戴く所を奉ず 
一一八四七     履む所に臨む 人の態なり。而して
一一八四八     人は能く天を戴き地を履めば。則ち尊卑は我より定まる。故に
一一八四九     枢紐は極を守る。衆象は之に共す。是に於てか。
一一八五〇     帝所に擬す可し。地の穢濁を受けて。至卑に居ると懸隔す。
一一八五一     若し全天地より之を觀れば。則ち
一一八五二     人物は則ち立ちて地を履む 
一一八五三     天象は則ち循りて地を拱く                        (PA 084)
一一八五四     人は極辰を尊ぶと雖も。亦た惟だ中の兩端なり。然れば則ち
一一八五五     地物は天を戴く
一一八五六     天象は中を奉ず                             (I 503b)
一一八五七     中外は未だ高卑を定めず。如何んぞ果たして尊卑を定めん。
一一八五八     如し惟だ其の鬼神造化を索むれば。天地は有せざる所無し。此の故に。
一一八五九     天神は尊卑の囿する所に非ず。
一一八六〇     人は天神に囿せらる。囿せらるるを以て。而して
一一八六一     敬仰を此に用うる有り。是を以て。
一一八六二     人は弾丸の地に環居し。洲壌を畫して。各おの其の國を爲す。
一一八六三     是に於て。各おの其の君臣を設け。各おの其の衣冠を製す。
一一八六四     意匠の營する所。其の用は則ち一にして。而して
一一八六五     其の巧は變化す。是の故に。其の天神奉戴の意は則ち同一なり 
一一八六六                    天神奉戴の設は則ち各異なり 是の故に。
一一八六七     泥塑木偶は。人を以て體を建つるなり。
一一八六八     鐘鼓犠牲は。人を以て之を饗するなり。
一一八六九     賞善罰惡は。人を以て之を望むなり。
一一八七〇     宮室几筵は。人を以て之を安んずるなり。是の故に。
一一八七一     天徳の洪蕩は 我を眷するに意無ければ 則ち亦た我を棄つるに意無し 
一一八七二     惟だ天道の揜わざる 經は一須臾を失わざれば 則ち亦た
一一八七三               緯も亦た一秋毫を遺さず 
一一八七四     明を以て著を爲さず 
一一八七五     冥を以て晦を爲さず 
一一八七六     上より臨むに嚴なり 
一一八七七     傍より觀るに察なり 
一一八七八     其の微をして顯なら使む 是を以て。
一一八七九     其の長をして消なら使む 
一一八八〇     惟だ誠の在る所にす。故に天徳は未だ私する所に有らず 
一一八八一                 天道は未だ揜おう所に有らず 是の故に。
一一八八二     天地に天神たる者は。像形に寓せず。
一一八八三               祭祀に食せず。
一一八八四               善惡黜陟を用いず。
一一八八五               明暗幽明を揜わず。
一一八八六     物物は竝び立つ 
一一八八七     神神は相い交る 
一一八八八     往來酬醋し。感應は鬼神を見す。
一一八八九     鬼神の態は。向う。背く。順う。逆らう。有り。無し。存す。亡す。
一一八九〇     意を以て之を索むれば 能く意外に遊ぶ 
一一八九一     常を以て之を求むれば 常中に居らず 是に於て。
一一八九二     人は。此の如く思辨を有す 
一一八九三        此の如く技巧を行う                       (PA 085)
一一八九四     此の思辨技巧を以て。意外に遊び。常中に居らざる者を索む。
一一八九五     其の不測に惑いて。而して得る可からず。竟に人を提げて漸む。漸んで已まず。
一一八九六     私僞を執る 
一一八九七     公誠を談ず 
一一八九八     知解は愈いよ巧む 
一一八九九     蠱惑は益ます深し 
一一九〇〇    之を通ずるに人を以てす                         (I 504a)
一一九〇一     小物の大分は。廼ち一動一植なり。是に於て。
一一九〇二     植の無意は 天に異なる有り 
一一九〇三     動の有意は 人に同じからず 
一一九〇四     是の故に。人の天地に於ける。其の有する所を有す 
一一九〇五                   其の行なう所を行う 
一一九〇六     其の有は 卽ち有意の私なり 
一一九〇七     其の行は 卽ち有作の僞なり 
一一九〇八     我の有する所を以て。我に無き所を天に望む。
一一九〇九     是に於て無意の公。不揜の誠を。天に於て觀る。
一一九一〇     是れ蓋し人を以て天に望むを以てなり。故に
一一九一一     公誠を天に得て。苟くも人を以て天に望まざれば。則ち
一一九一二     公誠を併せて失す。故に
一一九一三     公誠は則ち人に非ずと雖も。而も
一一九一四     人を以て天を食すなり。是を以て。
一一九一五     人を知らざれば 則ち天を知らず 
一一九一六     天を知らざれば 則ち人を知らず 
一一九一七     是の故に。諸動は營營として。同じく意智情慾を用うと雖も。而も
一一九一八     我は則ち我の愛憎欲惡を以て。其の知解分辨を用う。
一一九一九     以て其の技巧を其の能くする所に於て施す。蓋し人の性は。多く外に求む。是に於て。
一一九二〇     情慾を愛憎欲惡に於て運す 
一一九二一     愛せば則ち護して其の長を望む 
一一九二二     憎めば則ち厭いて其の消を願う 
一一九二三     守禦を思慮知辨に於て技す 
一一九二四     愛憎は辨に動く 
一一九二五     安危は慮に運す 
一一九二六     是に於て群醜は連結して。勢は萬里を動揺す。
一一九二七     彼の鳥獸と各各其の喜怒愛憎を行うと異なるなり。
一一九二八     且つ我は神に長じ 
一一九二九         本に薄きを以て 而して
一一九三〇     水火土石。艸木鳥獸。其の求むるや亦た甚だ廣し。是に於て。
一一九三一     無意は禁ずる所無し 
一一九三二     有意は恣まに取りて有す 故に
一一九三三     勢の走る所は。國を君臣に於て建て 
一一九三四            家を夫婦に於て成し 
一一九三五            尊卑を父子に於て分け                  (PA 086)
一一九三六            交際を師友に於て講ぜざるを得ず 
一一九三七     彼の鳥獸の如きは。乳に因りて唯だ所生を知る 
一一九三八              乳を辞せば則ち同胞を忘る 
一一九三九     人は則ち知りて之を辨ずる者有り 
一一九四〇         思いて之を慮る者有り 是に於て。
一一九四一     親親は内に昵く 
一一九四二     疏疏は外に會う 是に於て。
一一九四三     群醜は其の思辨を忘れ。各おの其の情慾を恣まにす。
一一九四四     相い奪い相い食み。多知多求す。
一一九四五     勢は然らざるを得ざれば 則ち
一一九四六     教方を以て之を矜式せざる能わざるなり。蓋し
一一九四七     人心は。思えば 則ち自から安んずるを以て佗を苦しむに忍びざる有り 
一一九四八         感ぜば 則ち苟生を以て其の辱に易えざる有り 
一一九四九         悦べば 則ち之を奉戴せんと欲す                (I 504b)
一一九五〇         惡めば 則ち之を消滅せんと欲す 是れ乃ち。
一一九五一     物の無き所にして 而して
一一九五二     人の有する所なり 
一一九五三     人は。此の性を以て 此の勢に由り 
一一九五四        此の心を以て 此の智を用す 
一一九五五     假い其の國をして境域を同じくせず。舟楫を通ぜざら令むとも。
一一九五六     人にして人の意を具せざる有らば。則ち知らず。
一一九五七     若し其の意を具する有らば。何に往くとしてか此の設無からん。
一一九五八~五九  此の設は則ち有りと雖も。人は窺窬の通惑を以て 
一一九六〇                   技巧の異を用う 
一一九六一     教は一同ならず。月を指す所の地に於て爭う。
一一九六二     教は一同ならず。月を指す所の地に於て爭うと雖も。而も
一一九六三     各おの其の情慾を恣まにし。相い奪い相い食うが爲に之を設くるは。則ち一なり。
一一九六四     小事を擧げて之を例するに。衣服飮食の如きは。
一一九六五     方に從い其の製を異にし 
一一九六六     地を以て其の調を異にすと雖も 
一一九六七     饑寒の爲に之を設くるは則ち一なるのみ。
一一九六八     人は窺窬の通惑に由りて。
一一九六九     己を推して天を觀て。智解すること一ならず。
一一九七〇     技巧の之に同じきこと察せざる能わず。
一一九七一     故に規規として己に同じからざるに吠ゆ。
一一九七二     我も亦た猶お其の中に居るなり。是の故に。
一一九七三     天地に觀る者は。慣れたる所に執して 慣れざる所を疑わず 
一一九七四             習いたる所に黨して 習わざる所に驚かず 
一一九七五     諸を天地に表して。而して依る可き者は。修を以て自ら安んず 
一一九七六                        治を以て人を安んず 是の故に。
一一九七七     親疏尊卑の倫は 之を天下に達す可し                   (PA 087)
一一九七八     士農工賈の利は 之を四海に通ず可し 
一一九七九     善惡は天より來たる 
一一九八〇     是非は智を以て分る 故に
一一九八一     人の世に處するに。
一一九八二     勢は此に事うること有らざるを得ず。
一一九八三     善を修め惡を除く 
一一九八四     非を去り是に就く 
一一九八五     符を悦怨榮辱に於て合す。
一一九八六     姑く之を農に於て言うに。
一一九八七     苗の養を爲し 莠の害を爲す 天地は同じく之を有す 
一一九八八     苗は則ち之を愛し 莠は則ち之を惡む 人は獨り之を持す 
一一九八九     愛惡は奉棄の態を生ず。
一一九九〇     愛養棄除。設施に當否有り。
一一九九一     設施は苟くも其の當を得ざれば。則ち
一一九九二     事と情と乖馳す。是の故に。
一一九九三     親は相い愛し 疏は相い敬す 通天下の情なり 
一一九九四     善は則ち賞し 惡は則ち懲す 通天下の義なり 是を以て
一一九九五     衆と安んずることを思う者は 思う所を得て思う者なり 
一一九九六     衆と利することを行う者は  行う所を得て行う者なり 蓋し       (I 505a)
一一九九七     地の艸木を生ずる。形性千萬なり。是に於て。
一一九九八     以て柱梁と爲す可し 
一一九九九     以て椽桷と爲す可し 
一二〇〇〇     以て屋を葺く可し 
一二〇〇一     以て席を織る可し 
一二〇〇二     以て饑寒を禦ぐ可し 
一二〇〇三     以て痛痒を医す可し 
一二〇〇四     不齋の能なり。一の散じて相い千萬するは。
一二〇〇五     人の才を成す亦た同じく其の中に在り。則ち
一二〇〇六     孰れか得て之を一にせん。
一二〇〇七     不一を以て。能く天下の用を濟す。是の故に。
一二〇〇八     天下の道は 愛敬に盡く 
一二〇〇九     天下の樂は 安利に歸す 
一二〇一〇     學なる者は 以て之を知る所の者なり 
一二〇一一     禮なる者は 以て之を行う所の者なり 
一二〇一二     義なる者は 其の宜なり 
一二〇一三     仁なる者は 其の安なり 
一二〇一四     君なる者は 此を以て衆を御する者なり 
一二〇一五     臣なる者は 此を以て君を輔くる者なり 
一二〇一六     衆庶なる者は。此を以て世に處する者なり。
一二〇一七     善惡の天よりすると。天よりせざるとを爭うに非ざるなり。
一二〇一八     苟くも此に用いずんば。則ち衆情は適せず。天下は鼎沸す。是の故に。
一二〇一九     天下の思行は。善惡是非にして。而して之を散ずれば。則ち其の情は千萬なり。
一二〇二〇     善にして情 適す 
一二〇二一     是にして智 感ず                         (PA 088)
一二〇二二     而るを奚んぞ又た或いは又た惡。或いは非なる。蓋し
一二〇二三     思慮の念は 自他 用を反す 
一二〇二四     是非の途は 智愚 一ならざるなり 是を以て。
一二〇二五     惡は自から處するに便なり 
一二〇二六     非は自から辨ずるに可なり 
一二〇二七     自から便なりと雖も 而も衆情に於て適せず 
一二〇二八     自から可なりと雖も 而も憾を衆智に於て致す 
一二〇二九     不適を以てして自から適とす 
一二〇三〇     致憾を以てして自から是とす 
一二〇三一     終に其の私に陥る。是の故に。
一二〇三二     善是は則ち天下奉戴す 
一二〇三三     惡非は則ち四海厭棄す 
一二〇三四     夫の各性の才を運し。各智の技を異にするが若きに至りては。是れ乃ち
一二〇三五     天下の用を濟す所にして。而して達者は好尚の一を衆に望まず。
一二〇三六     將に保して之を持し。疏して之を通ぜんと欲するのみ。蓋し
一二〇三七     生物の態は。美材は鮮少にして 而して散材は衆多なり 
一二〇三八           聡明は得難くして 而して聾瞽は群を成す 故に
一二〇三九       (編集による空白)
一二〇四〇     愚は衆く哲は孤なるは 擧世の通態なり 
一二〇四一     自を利し他を遺るるは 彼我の通病なり 是の故に。
一二〇四二     天下の爲に。教を立て道を設け。其の倫を正し。其の材を生ず。
一二〇四三     自から安んじ人を利す。各好は害を爲さず。各才は交ごも用を濟す。
一二〇四四     是の若きのみ。是の故に。
一二〇四五     褒賞貶抑は 惟だ其れ榮利のみ 
一二〇四六     鞭笞刀鋸は 皆な其の鍼焫なり                      (I 505b)
一二〇四七     若し之を置きて教を立て道を開かんと欲するも。
一二〇四八     高明幽玄に非ざれば。則ち愚に適し惑に應ずる者は。衆を安んずる者の用に非ず。
一二〇四九     又た彼の衆を安んぜんと欲する者は。疏通保養を知らず。
一二〇五〇     夫の人をして好尚を齋しく使めんと欲するも。人を病ましむるに過ぎず。
一二〇五一     女子の粧を爲るを見ざるか。
一二〇五二     髪は膏を以て其の黒を澤す。
一二〇五三     面は粉を以て其の白を増す。
一二〇五四     脣は臙脂以て其の紅を添う。
一二〇五五     小事を以て大事を説く可し。
一二〇五六     故に人道は其の性を戕賊して以て之が器を爲さず。是に於て
一二〇五七     稻を水に種え 
一二〇五八     禾を陸に播く 
一二〇五九     善く其の性に熟して。以て其の物を養う。是の故に
一二〇六〇     志業 自佗の安利に於て立つる者は。之を尚しと爲す。          (PA 089)
一二〇六一     自から安んず。孰れか妨げん。佗を安んずるに至りては。則ち
一二〇六二     時有り。命有り。
一二〇六三     勢有り。才有り。此に獲ざること有り。
一二〇六四     退きて自から善とす。思いて位を出でず。
一二〇六五     謹んで其の分を守る。時に可否有り。
一二〇六六     命は如何ともす可からず。勢は爭う可からず。
一二〇六七     才は天より得る有り。然れば則ち或いは能くし或いは能くせず。
一二〇六八     苟くも其の道を得れば。天に於て良民たることは則ち一なり。是の故に。
一二〇六九     是の故に。或いは天命を樂しんで而して韜晦し彼此を爭わざる者有り。
一二〇七〇     或いは智を天地に融して。形骸相い忘るる者有り。是よりして下は。則ち
一二〇七一     紛若盡くす所に非ざるなり。今。紛若の態を以て。
一二〇七二     己に於て同じからざる者を尤む。狗の人を尤むると同じきこと無きを得んや。
一二〇七三     且つ人を以て天を觀れば。天なる者は公誠にして。而して人なる者は私僞なり。
一二〇七四     有意を離れて。善惡是非無ければ。則ち其の善惡是非は。乃ち
一二〇七五     私僞中の事なり。之を天に法れば。則ち
一二〇七六     以て其の公を成し 
一二〇七七     以て其の誠を成す 然りと雖も。
一二〇七八     天は 則ち無意して爲し 無爲して成る 
一二〇七九     人は 則ち有意して作し 有爲して成る 是を以て。
一二〇八〇     天は自から天境を有す 
一二〇八一     人は自から人境を有す 
一二〇八二     人。已に人境を開く。亦た自から人の義有り。
一二〇八三     人。已に人境を開けば。又た天地と勢を張る。
一二〇八四     事は亦た何ぞ天と一ならん。是を以て
一二〇八五     人は其の智巧を以て。萬物に勝りて直ちに上る。是に於て
一二〇八六     天地も亦た己の有と爲せば。則ち
一二〇八七     人。天地を食して。天地 翻りて人中に在らん。是の故に。
一二〇八八     天地を以て之を觀れば。虎狼の人を食うと 人の虎狼に寢處すると      (I 506a)
一二〇八九                豬鹿の稼を侵すと 人の豬鹿の居を奪うと 奚んぞ擇ばん。唯だ
一二〇九〇     人は其の境を開き。天地を取りて。我の有と爲す。是に於て。
一二〇九一     虎狼豬鹿は嫉む可し 
一二〇九二     牛羊鶏犬は愛す可し 
一二〇九三     若し牛羊鶏犬をして。人の意を具せば。彼の人を觀ること。
一二〇九四     豈に人の虎狼豬鹿に於るより異なりと謂わんや。是の故に。
一二〇九五     慣れたる所に執し。習いたる所に黨す。                 (PA 090)
一二〇九六     未だ達と謂う可からざるなり。是を以て。
一二〇九七     人の。人の境を開くや。本氣に於て乏しきを以て。
一二〇九八     用を水火土木に資る。水火土木にして。而して足らず。
一二〇九九     之を鳥獸魚鼈に資る。
一二一〇〇     天は公を以て 而して之を惡むに意無く 之を愛すに意無し 
一二一〇一     人は私を以て 而して之を愛すに意有り 之を惡むに意有り 
一二一〇二     人は己を私するに塞がる。故に
一二一〇三     我が好む所を潔とす 
一二一〇四     我が厭う所を穢とす 
一二一〇五     物の惨に怒る 
一二一〇六     人の惨に恕す 
一二一〇七     己の境よりして然り。また。勢なり。
一二一〇八     故に人は人境を開き。萬物を取りて。以て己の有と爲し。
一二一〇九     物を殺して用を通ぜざること能わず。
一二一一〇     故に殺害の中に。義を建て道を論ず。
一二一一一     人の事なり。天に非ざるなり。豈に翅栽の一事然らんかな。之を推して貴と爲す。
一二一一二     蓋し人を以て天を知る 反せざれば則ち得ず 
一二一一三~一四    人を以て人を知る 推せざれば則ち得ず 反比の分なり。
一二一一五~一六  苟くも思い此に至らざれば。將に天に罔くして。而して人の義に誤らんとす。
一二一一七    人事に切ならざるを以て。人事の急と爲す。
一二一一八    噫。人にして人に切なるは。彝倫を外にして何ぞ。
一二一一九    明は進照に巧にして 反照に拙なり 
一二一二〇    情は自から恕するに便にして 人を律するに刻なり 故に
一二一二一    辱は背に燭し 禍は睫に巢くう 
一二一二二    始に感じ本を思うは 人の本心なり 蓋し
一二一二三     人の萬物を驅りて。以て之を役使するは。
一二一二四     智技の巧の勝れるを以てなり。蓋し智巧の物に勝るは。
一二一二五     思辨の運。睿明を抱く有るを以てなり。
一二一二六     思は鬼神を行す 而して情は適否を抱く 
一二一二七     事は絪縕を運す 而して辨は當否を有す 夫れ
一二一二八     物は。始を有せざる靡し。                        (I 506b)
一二一二九        本を有せざる靡し。                        (PA 091)
一二一三〇     已に思辨の明有りて。愛敬を酬醋に運すれば。則ち
一二一三一     靄然として以て其の始に感じ 其の本を思う。是れ乃ち人心なり。
一二一三二     天神に祗肅す 
一二一三三     君父に眷恋す 
一二一三四     幽明を隔てず。以て奉事して肯畔せざる所の者なり。惟だ
一二一三五     利害の心。安危の慮。得るを務め失うを憂う。
一二一三六     順忤激縱。終に之に畔く有り。
一二一三七     明に反するを幽と曰う 
一二一三八     生に反するを死と曰う 
一二一三九     人に非ざるに天と稱す 
一二一四〇     生に非ざるに鬼と稱す 
一二一四一     古えよりの定言なり。
一二一四二     人に反して其の天を知る可ければ 則ち
一二一四三     明に反して其の鬼を窺う可し 蓋し
一二一四四     一大地球は。舟楫の探る所なり。
一二一四五     大壌は二つにして。小壌は數を知らず。
一二一四六     其の國を爲すや亦た衆し。
一二一四七     其の萬國を歷視するに。智技の巧は同じからずと雖も。
一二一四八     神道を設けざる者無ければ。則ち始に感じ本を思う。
一二一四九     靄然の情。同じき者観る可きなり。
一二一五〇     而して其の所謂神なる者は。
一二一五一     或いは神なり。
一二一五二     或いは天なり。
一二一五三     或いは鬼なり。
一二一五四     或いは妖なり。
一二一五五     惑者は惑に由りて之を有す。
一二一五六     達者は達に由りて之を有す。是の故に。
一二一五七     人の死生は。一氣の通なり。
一二一五八     結ばれば則ち隔つ 
一二一五九     解くれば則ち融す 
一二一六〇     天地と生化すれば。痕の著る可き無し。
一二一六一     天は誠を成す 
一二一六二     神は玅を爲す 
一二一六三     誠玅は意を用いず。能く爲し能く成る。
一二一六四     彼は眷念を用いずと雖も      我は則ち始を感じ本を思う 
一二一六五     彼は之を徳とすること有らずと雖も 我は則ち恩を感じ報を思う 
一二一六六     君父に愛敬す 
一二一六七     鬼神に祭奠す 
一二一六八     其の事は一なり。是の故に。
一二一六九     人は感じて思う有らば。則ち將に報いて謝せんとす。是に於て。
一二一七〇     死生の間は。蘋蘩鐘鼓。車馬玉帛。
一二一七一     貧苦も材を棄て 
一二一七二     患難に身を献ず 
一二一七三     如し之に反すれば。則ち呪咀毒殺す。
一二一七四     皆な此に外ならざるなり。是の故に。
一二一七五     人は苟くも始を感じ本を思う者を亡わば。則ち
一二一七六     何れの處としてか 父に事え君に奉ぜん 
一二一七七     何れに適くとしてか天を尊び神を敬せん 
一二一七八     天は我を覆い 日は我を煦む 
一二一七九     地は我を載せ 水は我に液す                       (PA 092)
一二一八〇     外にして山川雨露なり 
一二一八一     内にして功業恩徳なり 
一二一八二     奚んぞ我れ從いて奉ぜざるを得ん。是の故に。
一二一八三     神道の設 
一二一八四     人道の義 厚し。至れり。
一二一八五     人にして始に感じ本に思う者を亡わば。奚れを以てか人と爲さん。      (I 507a)
一二一八六     明の孤にして愚の衆きは。天下の通態なり。
一二一八七     夫の積もる者 誠に發し。
一二一八八     禍福の感應に動くを觀て。其の酬醋の態に駭き。
一二一八九     財を棄て身を賊いて。媚を求め涜を致す。
一二一九〇     衆愚は此に痼して。殆ど医す可からず。
一二一九一     誠を積めば則ち冥加照然たり 
一二一九二     意無ければ則ち吉凶參差なり 
一二一九三     瞽にして之を視る 
一二一九四     聾にして之を聽く 
一二一九五     宜なる哉。其の朦朧。是の故に。
一二一九六     我は則ち其の祀を過ぎて其の公誠を欽ず。
一二一九七     奚んぞ意技の巧拙を將って。
一二一九八     衆人と闘うことを爲さんや。
一二一九九    禍を惡み辱を羞づるは 人の良智なり 
一二二〇〇    不忍と之を敢えてすると。惟だ義之れ察す。故に
一二二〇一    規矩を失せざれば 則ち其の履は正し 
一二二〇二    榮利を慕わざれば 則ち其の操は高し 
一二二〇三    乞より賤しきは莫く 偸より辱なるは莫し 
一二二〇四    奪より暴なるは莫く 殺より惨なるは莫し 
一二二〇五    四莫の醜は。時有りて之を敢てす。惟だ
一二二〇六    已むことを得ざるに出づ。故に
一二二〇七    志は操を以てして立つ 
一二二〇八    行は勢を以てして定む 
一二二〇九    操は剛毅に成る 
一二二一〇    行は時勢に權す 蓋し
一二二一一    衆情は。愛する所に溺る 
一二二一二        好する所に淫す 
一二二一三        敬する所に憚る 
一二二一四        逸する所に怠る 
一二二一五        利を見て爭う                          (PA 093)
一二二一六        害を見て遯る 
一二二一七    智は此に蒙きこと有れば。則ち
一二二一八    交わるに當りて人を尤め 
一二二一九    御するに當りて自から躓く 
一二二二〇    鬼神の出没は。惟だ是れ感應なり。
一二二二一    之を揮すれば絃誦に上る  
一二二二二    之を驅れば 水火に趨る 鼓舞の玅なり。                 (I 507b)
一二二二三    火は焚け水は流る 
一二二二四    鳥は飛び魚は潛む 
一二二二五    天地は容れざる所無し。而して其の序を亂す所無し。故に
一二二二六    道を険隘に立つれば。觀る可きが如くと雖も。濟衆に病ましむ。故に
一二二二七    君師は各好尚を以て衆を率いること母し。終に大同を害す。
一二二二八    天地は物を生じて。用を此に資る。
一二二二九    無益を爲して 
一二二三〇    有益を害すれば 
一二二三一    造化の徳に背く。故に
一二二三二    其の善惡は 則ち天地の善惡なり 
一二二三三    其の是非は 則ち天地の是非なり 故に
一二二三四    其の道を開く 
一二二三五    其の黨を結ぶ 
一二二三六    其の徒を率ゆ 
一二二三七    其の業を餬す 
一二二三八    大人は。保して與らず。是の故に。
一二二三九    君臣は。天に順い誠を奉じ。仁に居り命に由る。
一二二四〇     人と物と。同じく喜怒愛憎の情を抱きて。而して
一二二四一     物。戒令教訓無くして立ち。
一二二四二     人。戒令教訓を待ちて治まるは何ぞや。蓋し
一二二四三     思辨の巧。鼓舞の玅。物は之を有せず。
一二二四四     人は惟だ之を有する。人は惟だ之を有するを以て。能く離合の勢を挾む。     (PA 094)
一二二四五     已に離合の勢を挾む。合せざれば則ち壊亂至る。故に
一二二四六     君子は。世の爲に 憂えざること能わず。
一二二四七         不肖の爲に教えざること能わず。
一二二四八     人境は一たび開けば。上は一を奉じて 而して其の平を掌る 
一二二四九               下は一を御して 而して其の役を執る 
一二二五〇     勢の至る所なり。勢は則ち至る。而して
一二二五一     人の智解意匠は。則ち一ならず。
一二二五二     一ならざれば則ち世の爲に憂え。不肖の爲に教うるは。則ち
一二二五三     一なりと雖も。其の設は或いは趣きを異にす。
一二二五四     是れ亦た事の態なり。勢の至る所なり。蓋し人の群を爲すや。
一二二五五     喜怒愛憎を抱きて。離合の勢を挾めば。則ち勢は。
一二二五六     上は一を奉じて 而して其の平を 掌り 
一二二五七     下は一を御して 而して其の役を執ら使めざるを得ず 
一二二五八     若し剖して散ずるや。千萬盡さず。故に其の憂えて人を教うるは。
一二二五九     一君一臣。以て教え以て賞で 
一二二六〇          以て戒め以て殺す 
一二二六一     若し其の事を悉せば。孰れか能く其の終を極めん。是の故に。
一二二六二     其の上なる者は 赤子に父母たり 
一二二六三     其の下なる者は 身首に手足たり 
一二二六四     已に身首の爲に 手足と爲る 
一二二六五     口の食う所 目の視る所 痛痒饑寒 百役執らざる所莫し 而して
一二二六六     亦た其の命を祗まざる所莫し 
一二二六七     已に衆人の爲に 父母と爲る 
一二二六八     兒の生養す可き所の者 防禦す可き所の者は 
一二二六九     吉凶驩虞 百事 慮らざる所莫し 而して
一二二七〇     亦た其の事を敬わざる所莫し 故に。
一二二七一     下なる者は上を養いて 而して我が平を此に掌る 
一二二七二     上なる者は下を御して 而して其の養を此に恃む 是に於て。
一二二七三     其の君なる者は 位 上に尊し 
一二二七四       臣なる者は 位 下に卑し 而して
一二二七五     尊卑の道は。人人 之を知る。人人 已に之を知ると雖も。
一二二七六     其の天人の分に於て。世に稱せられて識者と稱する者も。猶お其の分に罔し。
一二二七七     其の分は如何。蓋し
一二二七八     人境は 自ら尊卑に用有り 上は尊く下は卑し              (PA 095)
一二二七九     天境は 本と尊卑に意無し 交も其の役に執る
一二二八〇~八一  苟くも愚にして 思い天境に及ばざれば 
一二二八一     自から君位に傲り 凌虐 暴掠 終に其の尊を失す            (I 508a)
一二二八二     罔くして義 人境に明ならざれば 
一二二八三     下職を供せず 怨望 悖逆  禍 子孫に延ぶ 是の故に。
一二二八四     君は民を安ずるを以て職と爲す 
一二二八五     臣は君を奉ずるを以て義と爲す 而して
一二二八六     四民は君の職を相けて。而して其の蔭に息する者なり。故に
一二二八七     君は能く其の柄を執る 
一二二八八     師は能く其の義を用う 
一二二八九     苟くも君 其の柄を舎て 
一二二九〇        師 其の義を亂せば 
一二二九一        毒 無窮に流る。此の故に。
一二二九二        智 未だ天に通ぜず 
一二二九三        行 未だ人に適せず 
一二二九四     規規として法度を執りて相い鬩ぐ。
一二二九五     達者と稱するに足らざるなり。蓋し
一二二九六     生れて或いは上と爲り 或いは下と爲るは 各おの分有るなり 
一二二九七     或いは事に任じ 或いは閑に處すは 各おの地有るなり 
一二二九八     何ぞ擾擾として其の守を廢せんや。
一二二九九     敢えて其の守を廢するに非ず。惟だ人を善に誘う者は。已む可からず。
一二三〇〇     彼の世の爲に憂え。不肖の爲に教える者は。將に他と此の樂を樂しまんとす。
一二三〇一     食有れば之を推す 
一二三〇二     衣有れば之を解く 
一二三〇三     豈に此の樂有りて。而して人と偕にせざる可けんや。
一二三〇四     古より仁者の心は同じく然り。然りと雖も。誘善の意は。已む可からずして。
一二三〇五     而も事の態。勢の至る所。軌を同じくして騁すること能わず。
一二三〇六     道は口舌に上りて。聚訟騒然。終に敵讎と爲る。蓋し
一二三〇七     人の將に眞を証せんとするや。必ず天を引きて証と爲す。然り而して
一二三〇八     天人の道は反す。反を以て類を証す。
一二三〇九     其の一中に居る者異ならずと雖も。而も類を反する者。
一二三一〇     豈に誤らざるを得んや。蓋し
一二三一一     人の人を知る 其の術は推拡を貴ぶ 而して其の反を舍てず 
一二三一二     人の天を知る 其の術は反觀を貴ぶ 而して其の比を舍てず 
一二三一三     而るを若く爲さず。惟だ推拡のみ之れ務め。
一二三一四     終に自から以て天を極め地を悉し。幽に入り玄を鉤す。
一二三一五     然れども天地は洪蕩たり。其の向う者は向うに任す 
一二三一六                 其の背く者は背くに從う 
一二三一七     我れ此れを容るるに憚らずと雖も。                   (PA 096)
一二三一八     若し之を天に順じ人に應ずと言わば。則ち未だなり。
一二三一九     今の學を習う者は。其の主に從いて。其の門を守る。
一二三二〇     彼の主に從いて。彼の門を守る者と。
一二三二一     各おの其の徒を率い。相い共に巷に爭う。
一二三二二     傍觀する者をして。終に歸する所を知らざらしむ。
一二三二三     噫 人は。七尺の身 
一二三二四          百年の生 眇として斯の世に立つ。
一二三二五     其の日月の逾邁を傷い 江山の依稀を感ず 生を惜しむの情なり       (I 508b)
一二三二六     往り其の化の窮まる所を思う 
一二三二七     終に其の神の託する所を索む 
一二三二八     生を持するの疑なり  
一二三二九     之を經に推す者は此の如し 
一二三三〇     之を緯に推すも亦た又た此の如し 
一二三三一     其の情疑を執して。自から智解を生ず。
一二三三二     其の心の安んずる所を獲て。之を天地に拡ぐ。
一二三三三     其の師とする所の者は心。人を持して天を索む。
一二三三四     天は逾いよ遠し。因循薫蒸。往きて復らず。
一二三三五     苟くも膠固執泥に非ざれば。則ち此を餬する者 此に感ずるなり。
一二三三六    道を人に盡す 
一二三三七    命を天に待つ                              (PA 097)
一二三四二      天命
一二三四三    天より之を言えば 則ち爲す者は氣なり 成る者は天なり 
一二三四四    人より之を言えば 則ち致す者は我なり 至る者は彼なり 
一二三四五    我なる者は 善惡を機す 
一二三四六    彼なる者は 吉凶を事す 
一二三四七    我なる者は 之を如何ともす可きなり 
一二三四八    彼なる者は 之を如何ともす可からざるなり
一二三四九    之を如何ともす可きは則ち人 
一二三五〇    之を如何ともす可からざるは則ち天 人中の天人なり。
一二三五一    死生通塞なる者は 天よりす 
一二三五二    殺活予奪なる者は 人よりす 
一二三五三    天よりする者は 氣は爲し天は成る 
一二三五四    人よりする者は 我は致し彼は至る 
一二三五五    爲成致至。來りて當る者は時なり 
一二三五六         處して遇う者は地なり 
一二三五七    來當するよりして之を觀れば 則ち天に非ざる者無し 
一二三五八    處遇するよりして之を觀れば 則ち命に非ざる者無し 故に
一二三五九    天は其の時に當れば 夏す 冬す 古す 今す                  (PA 103)
一二三六〇    物は其の時に遇えば 榮す 枯す 生す 化す 故に
一二三六一    時は來りて當る 
一二三六二    人は往きて當る 
一二三六三    彼は來りて當る 
一二三六四    我は往きて遇う 
一二三六五    當るよりして天と曰う 
一二三六六    遇うよりして命と曰う 
一二三六七     統べて之を言えば 則ち人も亦た天なり 天も亦た氣なり 
一二三六八     分ちて之を言えば 則ち天は天神を分ち 人は彼我を分つ 故に。
一二三六九     之を天と謂うは 有意を以て 無意に任ずればなり 
一二三七〇     之を命と謂うは 有作を以て 有爲を受くればなり 
一二三七一     惟だ能く其の無意を知る 是を以て之を天に委す 
一二三七二     惟だ能く其の成を知る  是を以て其の地に安んず 
一二三七三     有意よりして遇と謂う 
一二三七四     受よりして命と謂う                             (I 509a)
一二三七五     惟だ能く其の有意を知る 故に其の同を己に求めず 
一二三七六     惟だ能く其の受を知る  是を以て其の外に詭遇せず 
一二三七七     已往は諌す可からず 
一二三七八     來る者は猶お追う可し 
一二三七九     當る者に安んず 
一二三八〇     遇う者に慎しむ 
一二三八一    故に天人は。氣を同すれば 則ち爲 同なり 
一二三八二          意を反すれば 則ち態 異なり 是に於て
一二三八三    爲作は分る。是を以て。來る者は當る 
一二三八四               往く者は遇う 則ち
一二三八五    爲成致至は。參差として錯綜す。市人の相い面するが如きや然り。
一二三八六    來るや 機に發す 
一二三八七    往くや 跡に成る 
一二三八八    機なる者は 侌なる可し 
一二三八九          昜なる可し 
一二三九〇          天なる可し 
一二三九一          地なる可し 
一二三九二          修む可し 
一二三九三          荒む可し 
一二三九四          活す可し 
一二三九五          殺す可し 
一二三九六    由りて來る所を知らず 
一二三九七    触れて變ずる所を測らず                            (PA 104)
一二三九八    跡なる者は 侌なり 
一二三九九          昜なり 
一二四〇〇          天なり 
一二四〇一          地なり 
一二四〇二          修なり 
一二四〇三          荒なり 
一二四〇四          殺なり 
一二四〇五          活なり 
一二四〇六    變ずる所に成る 
一二四〇七    触るる所を揜わず 
一二四〇八     機は其れ射か。意は未だ触れざれば。則ち殺活相い忘る。
一二四〇九     触るれば則ち殺活の跡を成す。是の故に。
一二四一〇     機。触るれば則ち跡有り。跡有れば。則ち窺う可し。是を以て
一二四一一     機触れ跡成りて。對待。分る。
一二四一二     對待既に分るれば。柔は剛に非ず。剛は柔に非ず。惟だ其の一なり。
一二四一三     天を轉じて已まず 
一二四一四     地を持して息まず 
一二四一五     目の明を蔽わず 
一二四一六     耳の聡を隔てず 
一二四一七     寒暑は相い通ず 
一二四一八     升降は碍げず 
一二四一九     剛ならず柔ならず。剛柔ならざるに非ず。
一二四二〇     或ひと曰く。火は無より生じて有り。
一二四二一     有よりして無に歸す。斯の若きは如何と。
一二四二二     曰く。無なれば則ち火に非ず 有なれば則ち無に非ず 
一二四二三        燃ゆれば則ち暗に非ず 滅すれば則ち明に非ず 
一二四二四     跡は則ち二なり 
一二四二五     跡を爲す者は二に非ず 
一二四二六    是の故に。來れば則ち當らざる靡し 
一二四二七         往けば則ち遇わざる靡し 
一二四二八    吉に遇うを福と曰う 
一二四二九    凶に遇うを禍と曰う 
一二四三〇    吉に遇わざれば則ち凶に遇う 
一二四三一    凶に遇わざれば則ち吉に遇う 
一二四三二    勢は平を持し難く。力は兩全たること難し。
一二四三三    勢力は同じからず。而して時機の變は預し難し。
一二四三四     弧矢を以て之を喩えるに。
一二四三五     弧矢は。物なり。
一二四三六     弛張は。事なり。                               (I 509b)
一二四三七     弛張せざることを得ざる者は。勢なり。
一二四三八     弛張に勝る者は。力なり。
一二四三九     以て弛張す可く。以て弛張す可からざる者は。時なり。
一二四四〇     以て弛張す可く。以て弛張せざる可き者は。機なり。是の故に。
一二四四一     機の触るるに由りて時なる者は。哲者も之を預すること能わず。是れ       (PA 105)
一二四四二     時變の以て無窮なる所なり。事の勢に随いて赴く者は。庸人も必ず察す。
一二四四三     是れ以て事理の二無き所なり。
一二四四四     時機は知る可からず。事勢は如何ともす可からず。故に
一二四四五     時を權りて動き。機を見て作る者は。其の身を辱しめず。
一二四四六     勢に随いて上下し。事に臨みて揣摩する者は。將に其の身を辱しめんとす。
一二四四七     故に哲者は。機を慎しみ。有力の者は機を囘らす。
一二四四八    是の故に。姦邪暴虐は 衆を擧げて目を反すれども 而も之をして窮せ使むること能わず 
一二四四九         溫厚慈愛は 世を擧げて目を注すれども 而も之をして達せ使むること能わず 
一二四五〇    苦節は人以て之を愛し 衛生は自から以て之を護すれども 而も之をして壽なら使むること能わず
一二四五一    悖徳は世以て之を厭い 縱慾は自から以て之を棄つれども 而も之をして夭なら使むること能わず
一二四五二    故に。其の事に意無くして 而して能く其の事を爲す者は 氣なり 
一二四五三       其の事に意無くして 而して  其の事を成す者は 天なり 
一二四五四    愛せば則ち之を奉ず 
一二四五五    惡めば則ち之を棄つ 
一二四五六    思惟謀慮して。以て殺活予奪を爲す者は。乃ち人なり。然り而して殺活予奪の。
一二四五七    我よりする者は 養う可きなり 慎しむ可きなり 故に之を修む 
一二四五八    彼よりする者は 養い難し   慎しみ難し   故に之を俟つ          (PA 106)
一二四五九    是を以て。修荒は天に在らず 志行を以て之を言う 
一二四六〇         禍福は己に在らず 天命を以て之を言う 
一二四六一    機は触れ勢は走る 
一二四六二    力は持し跡は成る 故に。
一二四六三    触るる者は測る可からず 
一二四六四    走る者は囘らす可からず    
一二四六五    持する者は爭う可からず。
一二四六六    定まる者は變る可からず。
一二四六七     譬えば暗に棊子を取りて以て之を擲つが如し。
一二四六八     奇偶參差し。我の欲する所に或いは會い或いは否す。
一二四六九     奇偶ならざるを得ざる者は 勢なり 
一二四七〇     之を奇偶にする者は    力なり 
一二四七一     奇を發し偶を發する者は。機なり。奇偶は成りて揜わず。             (I 510a)
一二四七二     跡 已に定まる。然り而して奇を欲し偶を欲する者は。人の私なり。
一二四七三     奇偶は己の欲するが爲にして來るに非ず 
一二四七四        己の欲する所に違いて來らざるに非ず 
一二四七五     其の然る者は。己の求むる所の者と。會う有り。違う有り。是れ
一二四七六     時の避く可からず。命の以て遁るる可からざる所なり。惟だ
一二四七七     天を以て徒然と爲す 故に
一二四七八     無意を侮り 誠を信ぜず 其の蔽や放なり 
一二四七九     惟だ神を觀て有意と爲す 故に
一二四八〇     鬼神に於て役せられ 因果に陥る 
一二四八一     之を數に問い 之を前定に委ぬ 其の蔽や愚なり 
一二四八二    善惡の歸する有る者は 誠なり 
一二四八三    治亂の定まらざる者は 勢なり 
一二四八四    我は有意の爲を以て 
一二四八五      無意の成を觀る 
一二四八六    成は意の期する所に會すれば  則ち順を爲す 
一二四八七      意の期する所に會せざれば 則ち逆を爲す 此の故に。            (PA 107)
一二四八八    遇の順逆は。無意に成る 
一二四八九          有意に分る 
一二四九〇     世 或いは意う。命なる者は。天の賦する所にして。
一二四九一     人人生前預じめ定まる。人は各おの之を負荷して行き。
一二四九二     天なる者は。穆然として上に居り。以て命を物に於て賦し。
一二四九三     又た能く臧否を察して。賞罰を降すと。
一二四九四     是に於て。水火兵歳の人に災いするに。
一二四九五     千萬人を兼ねて一時に竭する者を見て。之に惑う。
一二四九六     譬えば茲に二臣有らんに。
一二四九七     同じく君命を危難の際に奉じ。將に東西に使いせんとす。而して
一二四九八     舟を港口に繋ぎて。風を待たんに。
一二四九九     時。方に西風起り。東舟乃ち發せん。
一二五〇〇     二臣。各齋しく忠を懷い。各齋しく急を憂う。然り而して
一二五〇一     東使は忠懷以て伸び。功名 以て遂ぐ。
一二五〇二     西使は忠懷伸びず。功名遂げず。
一二五〇三     風は豈に意有らんや。風に遇う者に意有るのみ。
一二五〇四     縱使東使以て天 己を獲ると爲し。
一二五〇五       西使以て天 己を棄つと爲すも。亦た有意の窺窬のみ。
一二五〇六     其の成る者 己の欲する所に會えば 則ち我に順うなり 
一二五〇七           己の欲する所に違えば 則ち我に逆うなり 
一二五〇八           天は果たして預じめ命を定むるか 
一二五〇九     何ぞ西使を惡み 何ぞ東使を愛するか 
一二五一〇     至る者は 命の正なり 豈に多寡の事ならんや                 (I 510b)
一二五一一     水の漲ぎるを視て渉る 
一二五一二     火の熾なるを視て踏む 
一二五一三     寇を招きて致す 
一二五一四     耕さずして餒す 
一二五一五     致す者は 命の非なり 豈に多寡の事ならんや 
一二五一六     下なる者は。命を上に受く。
一二五一七     士は顚沛の厄に死す 
一二五一八     民は饑荒の歳に餓す 
一二五一九     我は之を如何ともす可からず。
一二五二〇     上なる者は。命を下に制す。
一二五二一     其の將牧たる者は。失策を悔いず。倉を發くことを知らず。
一二五二二     手を之を如何ともす可きに拱す。故に
一二五二三     天なる者は 下を觀監して 賞罰を降す者に非ず 惟だ誠の揜う可からざる有り 
一二五二四     命なる者は 生前預じめ之を各各に賦するに非ず 惟だ當遇の事を定むるのみ  (PA 108)
一二五二五     天人を以て之を分てば 則ち爲成なる者は 天なり 
一二五二六                  致至なる者は 人なり 
一二五二七     我より之を言えば 至る者も亦た成る者なり 惟だ
一二五二八     致す者にして我の爲す者なり 
一二五二九    孝悌の父兄に親しまれ 忠信の君上に信ぜられ 
一二五三〇    自から修むれば人は從い 徳を施せば福の随うは 
一二五三一    是れ遇の順 事の當然にして 有意の愉とする所の者なり 
一二五三二    孝悌の父兄に親しまれず 忠信の君上に信ぜられず 
一二五三三    自から修めて人に悖られ 徳を施して禍を結ぶは 
一二五三四    是れ遇の逆 事の不當然にして 有意の不平とする者なり 是の故に。
一二五三五    意を以て之を分かてば 則ち順逆有り 
一二五三六    道を以て之を修むれば 則ち正非有り 
一二五三七    爲す者は己れよりす 
一二五三八    成る者は我に在らず 故に。
一二五三九    爲す者を盡くして 遇う者の順逆を問わず 惟だ命有りと曰う 
一二五四〇    己を修めて遇う所に於て安んず 惟だ命を俟つと曰う 蓋し。
一二五四一    君子の命に於る 俟ちて謀らず 正しく之に當る 
一二五四二    小人の命に於る 謀りて俟たず 詭りて之に遇う 故に惟だ            (PA 109)
一二五四三    君子にして 以て天と曰い命と曰う可し 
一二五四四    小人にして 未だ以て天と曰い命と曰う可からず 正非の分なり。
一二五四五     君子は 正履の外に於て冀遇せず 
一二五四六     小人は 幸を詭遇の中に於て謀る 蓋し
一二五四七     農の田に於る。種植すること時に後れず 
一二五四八            耕耘すること力を省かず 
一二五四九            當に稼の多きに遇うべし 
一二五五〇     然れども其の多寡は猶お自から必とす可からず 
一二五五一     若し獲の寡きを惡んで 而して種植を時にせず 耕耘に力せずんば 
一二五五二     縱い之を獲る有りとも 幸なり 故に
一二五五三     穡の寡きを以て   稼の務めを改めず 之を良農と爲す    (而を欠くか。)
一二五五四     稼の事に倦んで 而して穡の多きを望む 之を惰農と爲す 是を以て。     (I 511a)
一二五五五     命なる者は俟つ可し 
一二五五六     謀る可からざるなり 
一二五五七     俟つとは 從容として之に當るの謂にして 而して期するの謂に非ず 
一二五五八     忠信孝悌なる者は 天の則なり 我れ從いて之を履む 
一二五五九     親疏信否なる者は 人の機なり 我れ正しく之に當る 
一二五六〇     謀なる者は 冀遇して之を求めるの謂にして 而して慮の謂に非ず 
一二五六一     親信を阿順に迎え 忌諱を足恭に避く 
一二五六二     履む可きを履まず 而して幸を外よりする者に 冀う 
一二五六三     足恭阿順の時に遇うや。必ず忠信孝悌の世に容れられざるを笑わん。
一二五六四     世に容れられざる者は 命なり 
一二五六五     時に遇する者は    幸なり 
一二五六六     詭遇の遇 君子は迎えず 
一二五六七     正履の厄 丈夫は寧んぞ之を避けんや 是れ
一二五六八     以て其の俟ちて謀らざる所なり。謀れば則ち俟たず。
一二五六九     俟たざれば則ち詭遇す。詭遇すれば則ち至らざる所莫し。故に
一二五七〇     爲す者は己に在りて 而して之を如何ともす可き者なり 故に
一二五七一     遇を正非に於て分つ 
一二五七二     成る者は我に在らずして 而して之を如何ともす可からざる者なり 故に
一二五七三     遇の順逆に從う 
一二五七四     譬えば此に二人有らんに。其の一人は 飯を餐して死す 
一二五七五                 其の一人は 酖を飮んで死なず            (PA 110)
一二五七六     人は親しく之を見ると雖も。何ぞ飯之を舎てん 酖之を飮まん 故に
一二五七七     之を 之を如何ともす可からざる者に於て問わず。故に
一二五七八     寧ろ正を得て斃るとも。而も不正を以てして存するを希わず。
一二五七九     貧賤は常に憤憤たり 
一二五八〇     富貴は猶お怏怏たり 
一二五八一     纔に払戻する所有れば。則ち色を起して曰く。善に利無し。命は言うに足らず。
一二五八二     天は報い無し。惡を縱まにす可きと。是れ乃ち
一二五八三     正に天と市とを爲すを欲するなり。
一二五八四     出處の操守を忘れ 
一二五八五     取捨の爭奪を致し 
一二五八六     禍の伏す所を知らず 
一二五八七     辱の從う所を顧みず 
一二五八八     頑然として動き 
一二五八九     敖然として畏るること無きは 是れ乃ち天を以て既に休すと爲すなり。
一二五九〇     君子は豈に富貴を惡み 而して貧賤に就く 
一二五九一     安佚を厭いて 而して艱難に從う者ならんや 
一二五九二     則を履みて正しく立てば。來る者は之に當る 
一二五九三                 去る者は追わず 
一二五九四    身を失する者は 好んで危の地に立つ 
一二五九五    義を失する者は 好んで利の所在に就く                       (I 511b)
一二五九六    好んで危の地に立つ者は 之を如何ともす可き者に於て 
一二五九七    而も之を如何ともせず 
一二五九八    好んで利の在る所に就く者は 之を如何ともす可からざる者に於て 
一二五九九    將に之を如何ともせんとす 
一二六〇〇    慾を縱まにして養を忘る 
一二六〇一    情を蕩して身を忘る 
一二六〇二    難を見て散ず 
一二六〇三    利を逐いて聚まる 
一二六〇四    得喪存亡は。則ち同じからずと雖も。而も正を失するは則ち同じ。
一二六〇五    有する者は 徳なり 
一二六〇六    發する者は 道なり 
一二六〇七    車を推す者は之を竪にす 
一二六〇八    布を織る者は之を横にす 
一二六〇九    物の以て則を有する所なり。                           (PA 111)
一二六一〇    無意なる者は 自から道に随う 
一二六一一    有意なる者は 則に由ら使む 
一二六一二    則に由るは 之を修と謂う 
一二六一三    則を棄るは 之を荒と謂う 
一二六一四    君子は未だ其の荒を以て。道徳と爲さず。是の故に。
一二六一五    道に随う者は 天福を得る 
一二六一六     高を極むる者は 足を立つるに難し 
一二六一七     満を持する者は 手に失するに易し 
一二六一八     美味は毒を含む 
一二六一九     美器は禍を載す 
一二六二〇     味と器と。美なれば則ち美なり。其の禍機を熟察すれば。則ち
一二六二一     奚んぞ鴆を玉饌に和し 
一二六二二     火を錦嚢に裹むに異ならん 
一二六二三     貧富は相い從う 
一二六二四     貴賤は相い伴う 
一二六二五     富貴は何ぞ必ずしも之を天福と謂わん。是の故に。
一二六二六     痒を掻きて痛快と呼ぶ 惟だ同病の人のみ之に和す 
一二六二七     藿を羹にするも亦た聊か足れり 獨り爽口の人のみ之を愍む 
一二六二八     苟くも地の爲に遷らされ 
一二六二九~三〇     物の爲に轉ぜらるれば 則ち烏んぞ其の憂樂する所を憂樂するを得ん。
一二六三一     掻痒の快を樂しみ 
一二六三二     羹藿の味を憂うるは 此れ世人の憂樂なり。
一二六三三     其の天福を福とせず 
一二六三四     其の人禍を禍とせず 
一二六三五     富貴に朶頤す 
一二六三六     歓樂に引涎す 
一二六三七     蔬食藍縷 疾苦の地と爲す 
一二六三八     快意縱慾 得意の地と爲す 夫れ
一二六三九     名譽は人を動かせば 則ち人は必ず垢を洗いて瘢を求む 
一二六四〇     功業は世を蓋うれば 則ち世は必ず膽を墜して後を畏る 
一二六四一     甘と雖も毒を含む 
一二六四二     美と雖も禍を載す 
一二六四三     未だ其の道に達せず。而して
一二六四四     毒は饌より出で 火は嚢より發すれば 則ち悟ると雖も亦た既に晩し。
一二六四五    勢に忤う者は 人禍に遇う 
一二六四六     君子は間暇を從容す。
一二六四七     道に離れず 
一二六四八     勢に忤わず                                 (I 512a)
一二六四九     如し二者を全うすることを得ざれば。則ち勢を問わず。
一二六五〇     志士は 激励憤發 守を遜にして勢に處すること能わず 
一二六五一     身を殺して義を害する有り                         (PA 112)
一二六五二     怯者は 勢を畏れて邪正を問う無し 
一二六五三     利者は 勢に走りて可否を問わず 
一二六五四    天禍を安んじ 人福に矜らざるは  君子の恬なり 
一二六五五    人福に喜こび 天禍に安んぜざるは 小人の操なり 
一二六五六     天人。機は常に触れ。勢は常に走る。故に
一二六五七     人と無く。物と無く。智愚と無く。強弱と無く。
一二六五八     紛若として此の中に遊ぶ。
一二六五九     道なる者は 徳の發なり 
一二六六〇     徳なる者は 道の有なり 
一二六六一     勢なる者は 力の走る所なり 
一二六六二     力なる者は 勢の立つ所なり 
一二六六三     天人は各おの然り。故に
一二六六四     徳は至れりと雖も 而も勢に據らずば則ち困す 
一二六六五     道は正なりと雖も 而も力 無ければ則ち窮す 惟だ
一二六六六     上なる者は 宜しく之に據るべし 
一二六六七     下なる者は 宜しく之に從うべし 
一二六六八     宜しく之に據るべくして 而して之を縱まにすれば 則ち上下の情離る 
一二六六九     宜しく之に從うべくして 而して之を竊めば    則ち上下の道亂る 是を以て。
一二六七〇     道を舎てて勢に從えば 廉恥の心を用うる所無し 
一二六七一     道を離れて勢を弄せば 縱肆の慾を逞しくせざる所無し 
一二六七二     道に厭飫し 勢に從容たれば 則ち處に随いて樂しむ 
一二六七三     勢に揣摩し 道に婆娑たれば 則ち樂地有りと雖も 得て安んぜず 故に
一二六七四     勢力に事うる者は 道を見ず 
一二六七五     道徳を修むる者は 勢を忘る 
一二六七六     勢は力を以て強なり 故に理の上に於て伸び易し 
一二六七七     理は道を以て明なり 故に勢の下に於て屈せず 
一二六七八     爲に可否有り 
一二六七九     遇に幸不幸有り 
一二六八〇     爲の可否は  素より事の前に於て定まる 
一二六八一     遇の幸不幸は 更に 事の後に於て定まる 
一二六八二     爲す者は預じめす可く 
一二六八三     遇う者は預じめす可からず 
一二六八四     預じめ遇う者を謀れば 
一二六八五     可否を擇ぶに意無し 
一二六八六     預じめ爲す者を擇べば 
一二六八七     幸不幸を問うに遑あらず 故に
一二六八八     遇う所の幸不幸の跡を執り 
一二六八九     爲す所の可否の實を察せず 
一二六九〇     毀譽是非する所。未だ聲主の道を得ず。故に               (PA 113, I 512b)
一二六九一    有意に務めて 而して無意に任す者は 天を怨まず 
一二六九二    有作に務めて 而して有爲を受く者は 人を尤めず 
一二六九三     致す者は 我が機なり 
一二六九四     至る者は 他が機なり 故に
一二六九五     諸を人に在るの機に求めず 而して
一二六九六     己よりするの機に慎しむ 
一二六九七     苟くも此の機を察せざれば。則ち
一二六九八     過ちを己に於て恕す 
一二六九九     備えを人に於て求む 
一二七〇〇     柔を責むるに剛を以てす 
一二七〇一     剛を責むるに柔を以てす 是れ乃ち人を恐るるなり。
一二七〇二     人なる者は 有意にして爲す 
一二七〇三     天なる者は 無意にして成る 故に
一二七〇四     殺活予奪の爲 
一二七〇五     死生通塞の成 參差にして遇す。豈に天を怨まんや。
一二七〇六     道を履めば 則ち仰ぎて怍る無し 
一二七〇七     徳を修めば 則ち内省して疚しからず 
一二七〇八     是れ乃ち天を樂しむ者なり。
一二七〇九    履むや則に循う 遇は焉んぞ正ならざらん 
一二七一〇    履むや則に失す 遇は焉んぞ非ならざらん 惟だ
一二七一一    目を病めば則ち亂花を大虚に於て看る 
一二七一二    耳を病めば則ち蟬噪を空漠に於て聽く 窺窬の病を爲すなり。
一二七一三     福は必ず善人に於てし 
一二七一四     禍は必ず不善人に於てするか 否なり 
一二七一五     藿福は果たして善人に於て期せずして 
一二七一六     禍は果たして不善人に於て期せざるか 否なり 
一二七一七     蓋し天人は各おの其の能くする所を有す。惟だ
一二七一八     能く天を轉じて人を爲す 其の有意を以て 而して
一二七一九     喜怒愛憎 殺活予奪は 是れ人の能くする所なり 
一二七二〇     惟だ人を容れて天を成す 其の無意を以て 而して
一二七二一     聚散往來 死生通塞は 是れ天の能くする所なり 
一二七二二     憎みて其の亡びんことを思う 
一二七二三     愛して其の榮えんことを思う 
一二七二四     縱使 其の事の正に出づるも。亦た有意の私なり。
一二七二五     況んや其の未だ全く正に出でざるをや。
一二七二六     無意を窺うに 
一二七二七     有意を以てす 故に
一二七二八     報應に惑い。又た其の必とし難きに疑う。                   (PA 114)
一二七二九     無意にして爲す者は 天なり 
一二七三〇     無作にして成る者は 誠なり 
一二七三一     往きて停らざる者は 勢なり 
一二七三二     來りて當たる者は  時なり 
一二七三三     往きて囘らす可からず 
一二七三四     當りて避ける可からず 是を以て。
一二七三五     機を轉じ勢を囘らす者は 人の能なり 
一二七三六     機轉じ勢囘る者は    人の能とする所に非ざるなり 是の故に。
一二七三七     死生通塞なる者は  天なり                         (I 513b)
一二七三八     之を死し之を生し 之を通じ之を塞する者は 氣なり 
一二七三九     死生通塞を致す者は 人なり 
一二七四〇     今 將に一定の理數報應を以て。以て命を論ず。
一二七四一     辨は懸河の如しと雖も。亦た識者惑わざるなり。
一二七四二    或いは有意を天に於て望み。或いは禍福を理に歸す。
一二七四三    或いは諸を自使に偏にし。爲成の分に罔し。而して天命の事に惑うなり。
一二七四四    慎みて天人を辨ず 
一二七四五    能く 致至を分つ 
一二七四六    熟しく之を古に稽う 
一二七四七    深く 之を今に量る 
一二七四八    可否を知りて 
一二七四九    損益を審かにす 
一二七五〇    衆の 好惡する所を察す 
一二七五一    百家の是非する所を考う 
一二七五二    能く體し能く忖る 
一二七五三    容るること廣く擇ぶこと審かにして 
一二七五四    諸を事物に推して謬らず 
一二七五五    諸を天地に試みて差わず 
一二七五六    權は經に合し。義は宜に適す。禮は中り。智は通じ。用は活し。應は變ず。
一二七五七    内に於て有する者は安んず 
一二七五八    外に於て行なう者は歉たり 
一二七五九     有する者は發す 
一二七六〇     發すれば則ち行わる 
一二七六一     有は 徳なり 
一二七六二     行は 道なり 
一二七六三     天は無意を徳とし 成を道とす                        (PA 115)
一二七六四     人は有意を徳とし 爲を道とす 
一二七六五     人は 爲して成る能わず 
一二七六六     天は 成りて爲す無し 故に
一二七六七     君子は爲に務めて 成に謀らず 
一二七六八     小人は成に求めて 爲に務めず 
一二七六九     成るを求めて爲す者は 悔いること多し 
一二七七〇     爲して成るを望む者は 尤めること多し 
一二七七一     意は善惡を統ぶ 
一二七七二     爲は邪正を具す 有す宜くして有す。
一二七七三     行う宜くして行う。而して後 君子の道徳なり。是の故に。君子は。
一二七七四     人の同じく欲せざる所の者を徳とせず 
一二七七五     己の獨りする所の者を   道とせず 
一二七七六     人の同じく欲する所を得れば 則ち其の徳や美なり 
一二七七七     己の獨りする所に由れば   則ち其の道や偏なり 
一二七七八     嘉穀美材有りと雖も。耘耔灌培せざれば。則ち成らず。故に
一二七七九     道徳も修めざれば。我の所謂道徳に非ず。
一二七八〇     修とは。耘耔灌培の謂なり。耘耔灌培せざれば。則ち長ぜず。
一二七八一     如し果たして長ぜざる可くんば。則ち孰れか敢て耘耔灌培せん。
一二七八二     内交外修して。而して偏廢せず。
一二七八三     安んぞ之を有し。正しくして之を行わんや。
一二七八四     耘耔灌培の功は大なり。
一二七八五     修を觀て目して僞と爲る者有り 是れ
一二七八六     將に秕檿を甘んじて食いて 而して耘耔灌培に荒せんとす 
一二七八七     修を以て聖を誣る者有り。
一二七八八     將に櫲樟の天に參するを禾苗に於て望まんとす 
一二七八九     有する者は己に足れば 則ち外に務めて物に徇わず 
一二七九〇     行う者は則に循えば 則ち荊棘を披き 岸崖を冒さず 
一二七九一     徳や 諸を天地に求めて 有らぬ所無し 
一二七九二        諸を毛髪に尋ねて 得ざる所無し 
一二七九三     道や 諸を宇宙に放ちて 行せざる所無し 
一二七九四        諸を涓埃に置きて 發せざる所無し 
一二七九五     天地は既に之を舍つること能わず 
一二七九六     鬼神は安んぞ之を外にす可きや 
一二七九七     物有れば必ず則有り。則なる者は理の所在なり。
一二七九八     則を得て徳 成る 
一二七九九     則に由て道 立つ 
一二八〇〇     得を以て徳を爲す  猶お善惡の心に戰うなり 故に
一二八〇一     成徳なる者は 之を己に於て有する在り 
一二八〇二     由るを以て道と爲す 猶お邪正の前に爭うなり 故に
一二八〇三       (傍記につき削除。)
一二八〇四     得る者は宜しく擇ぶべし 
一二八〇五     由る者は宜しく審かにすべし 
一二八〇六     有る者は宜しく養うべし 
一二八〇七     行う者は宜しく慎しむべし 
一二八〇八     仁者は 得て之に居る 
一二八〇九     義者は 由て之を行う 
一二八一〇     智者は之を知る 
一二八一一     能者は之を能くす 
一二八一二     之を得んと欲して教を信ぜず 
一二八一三     之に由んと欲して則を求めず 
一二八一四     志は則ち是なり 
一二八一五     爲す所は則ち非なり 故に
一二八一六     之を得て之に由るは 問學に在り 
一二八一七     之を有し之を行うは 自達に在り 而して
一二八一八     徳は衆を安んずるより大なるは莫し 
一二八一九     道は物を濟すより  大なるは莫し 天下の成功なり。
一二八二〇     夷険は一ならず 
一二八二一     情態は各おの異なるなり 故に
一二八二二     大道は小道を廢せず 狹斜隘巷も 以て資る所有り 
一二八二三     大徳は小徳を舍てず 硜硜嘐嘐も 以て用いる所有り 惟だ
一二八二四     沾沾として小徳に甘んじ 
一二八二五     規規として小道を求むるは 大人なれば爲さず。
一二八二六     涼徳は人を害す 故に之を懲す 
一二八二七     左道は衆を惑す 故に之を塞ぐ 
一二八二八     左道 塞がれば 則ち衆望正し 故に濟物の功立つ 
一二八二九     涼徳 懲すれば 則ち衆害弭む 故に安衆の澤成る 故に
一二八三〇     之を以って勢に據る者は 大に制作して以て化を世に被る 禮樂は是に於てか成る 
一二八三一     勢無くして之に任す者は 能く祖述して以て教を後に垂る 法度は是に於てか傳る 
一二八三二     制作する者は 君の事なり 
一二八三三     祖述する者は 師の任なり 
一二八三四     之に志す者は 志士なり 
一二八三五     之を爲す者は 聖者なり 
一二八三六     損益を知らざる者は 制作する能わず 
一二八三七     小大を辨ぜざる者は 教えを垂るること能わず 故に
一二八三八     人をして雍雍の化を被ら使めざるは 君の不能なり               (I 514a)
一二八三九     人をして正大の道を履ま使めざるは 師の不良なり 故に
一二八四〇    天を知り命を知るは 學者の務めなり 
一二八四一    命に安んじ天を樂しむ者は 聖者の事なり 
一二八四二    事に於て聖に從わずんば。難きかな免かれんことを。            (PA 117, I 514b)
一二八四三     
一二八四四    玄語人部
一二八五三     玄 語
一二八五四      日本 鎮西 三浦晉 安貞 著
一二八五五     小冊 物部大小
一二八五六      大物
一二八五七    天なる者は精なり 時を經にし  處を緯にす 
一二八五八    物なる者は麁なり 神は經に通じ 物は緯に塞る 
一二八五九    神は體無し 體を物に於て露す 
一二八六〇    物は主有り 主を神に於て見す 是を以て。
一二八六一    天地は物にして立す 
一二八六二    天神は氣にして活す 
一二八六三~六四 天地は大なり。偏を立てて一を全す。一の全にして成る 
一二八六五~六六                  二の偏にして立つ 偏は成具を立す。
一二八六七    一一は絪縕す。絪縕は物を化す。小は大に散ず。
一二八六八    剖析して散ず 
一二八六九    對待して偶す 
一二八七〇    統散有りと雖も。而も同じく物を爲すなり。                   (PB 125)
一二八七一    物なる者は。天地なり。
一二八七二    天地は相い得て。物は能く全たり。是を以て
一二八七三    小なる者は大の含む所と雖も。而も
一二八七四    各おの天地を全す。同じく彼此の勢を張る。夫れ                 (I 515a)
一二八七五    天地は體にして成る。
一二八七六    象質は性にして成る。
一二八七七    成具は偏を合す 
一二八七八    大物は一を全す 
一二八七九    神は活して用す 
一二八八〇    物は立して體す 
一二八八一    轉は外を保す 
一二八八二    持は内を運す 
一二八八三    實は止して體を持す 
一二八八四    虚は動して地を化す 
一二八八五    大物の核子は 潤濁の體を以て 寒を結びて暗を散ず 蓋し。
一二八八六    天なる者は 一氣の本幹なり 
一二八八七          乾清の氣を以て 熱を聚めて明を播す 
一二八八八    明熱は聚まれば則ち火なり 解れば燥にして能く煦む 
一二八八九    暗寒は散ずれば則ち影なり 結べば則ち水にして能く液す 
一二八九〇    燥は物を煦む 燥中は火を發す 
一二八九一    水は物を液す 水外は湿を解く 
一二八九二    日月景影は 上に旋轉す 
一二八九三    水火湿燥は 下に絪縕す 故に
一二八九四    物は一圓球を露し。地は結び天は散ず。
一二八九五    性體の物は 没露隠見す                            (PB 126)
一二八九六    經緯の氣は 運轉嘑噏す 
一二八九七    火は發し水は收む 
一二八九八    氣は升り質は降る 
一二八九九    其の氣は則ち鬱發達斂。凝融肅舒す。
一二九〇〇    天の處を爲す者は 則ち景影なり 星辰は象を其の間に鋪く
一二九〇一    地の處を爲す者は 則ち水燥なり 雲雨は質を其の中に散ず 
一二九〇二    天時は上に行す 
一二九〇三    歳運は下に旋る 
一二九〇四    日は轉じ影は追う 
一二九〇五    水は滋い燥は煦む 
一二九〇六    色を成す者は 更るがわる晝夜を行す 
一二九〇七    氣を爲す者は 代るがわる冬夏を爲す 
一二九〇八    地は拗突して山水を列す 
一二九〇九    氣は動止して風恬を爲す 
一二九一〇    端を南北に奉して 而して地の兩極を定む 
一二九一一    線を東西に環して 而して地の中線を分つ 
一二九一二    然り而して物と我と。能く其の中に遊ぶなり。故に
一二九一三    天なる者は 清浄の府なり 
一二九一四    地なる者は 穢濁の藏なり 而して
一二九一五    其の穢濁の中は。處を水陸に分つ。
一二九一六    水なる者は地に居る 
一二九一七    陸なる者は天に居る 
一二九一八    天中は 氣 守れば則ち恬なり 雲雨は茲に路す 
一二九一九        氣 旋れば則ち風なり 侌晴は茲に任す 
一二九二〇~二一  同じく是れ一氣なり。動なれば則ち麁も能く横旋す                (PB 127)
一二九二二~二三            靜なれば則ち精も能く竪立す 風恬の成る所なり。
一二九二四~二五  靜なれば則ち能く竪立す 故に升降なる者を容れて 而して能く此に路す 是を以て 
一二九二六     雲は之に從いて升る 
一二九二七     雨は之に從いて降る 
一二九二八     升は降を碍げず 以て恬の靜を觀る 
一二九二九~三〇  麁なれば則ち能く横旋す 故に縱横は相い拒みて 而して物を己に靡かす 故に
一二九三一     或いは雲雨を率いて縱す 
一二九三二     或いは雲雨を率いて横す                            (I 515b)
一二九三三     縱は横を容れず 以て風の麁を觀る 
一二九三四     地なる者は天に資る 故に天の有する者は 地能く之を有す 
一二九三五     天なる者は 地と竝立す 故に
一二九三六     一の有する者は一能く之を反す 是の故に
一二九三七     持の風恬に於るは 猶お天の轉持に於るがごとし 是を以て。
一二九三八     其の天に大なる者は 地に小なり 
一二九三九       地に大なる者は 天に小なり 
一二九四〇     天なる者は 動の分なり 故に動は天より大なり 
一二九四一     地なる者は 靜の分なり 故に恬は地より大なり 
一二九四二     大小有りと雖も。亦た各おの之を有す。故に
一二九四三     氣は持中に動きて風を爲す 之を天の轉に比すれば則ち微なり 
一二九四四     質は持中に止りて恬を爲す 之を天の極に比すれば則ち大なり 
一二九四五~四六  動靜なる者は。虚實の用を爲す所なり。氣體は各おの之に由る。夫れ
一二九四七     持中の事。風恬は猶お轉持のごとし 
一二九四八          雲雨は猶お日月のごとし 
一二九四九~五〇  天は質を容れず  乾燥は性を爲す 故に象熱にして乾燥す 
一二九五一                        轉冷にして乾燥す 
一二九五二~五三  地は象を主とせず 潤湿は物を結ぶ 故に質冷にして潤湿す 
一二九五四                        持溫にして潤湿す 是を以て。
一二九五五     月は水に似たると雖も 而も地水の潤湿に於て異なる 
一二九五六     火は日に似たると雖も 而も天日の乾燥に於て異なる 故に
一二九五七     竪氣は溫潤にして 雲を升し雨を降す 其の氣は濁なり 
一二九五八     横氣は冷燥にして 侌を招き晴を致す 其の氣は清なり 是の故に。
一二九五九     植なる者は止質 故に其の氣は冷なり 枯るれば則ち溫なり 
一二九六〇     動なる者は動質 故に其の氣は溫なり 死すれば則ち冷なり 
一二九六一    持中は 體の止るは則ち陸なり 燥生は之に居る                 (PB 128)
一二九六二     體の動くは則ち水なり 水生は之に居る 
一二九六三     雨水は積りて海を爲す 
一二九六四     土石は積りて山を爲す 此の故に
一二九六五     海に在りて鹹を醸もす者は 水底の氣なり 
一二九六六     陸に在りて液を化する者は 地面の氣なり 
一二九六七     液を化して氣を疏する者は 陸中の水なり 
一二九六八     流を積みて氣を鬱する者は 海中の水なり 
一二九六九~七〇 水陸の生は。之を動植と謂う。夫れ日月星辰の常に其の體を持し          (I 516a)
一二九七一~七二                 雲雨動植の毎に其の體を換るは 精麁の然ら使むるなり。
一二九七三     日影は明暗を布く 
一二九七四     水燥は乾潤を布く 
一二九七五     天物は明暗を以て其の處を爲して居る 
一二九七六     地物は乾潤を以て其の處を爲して居る 
一二九七七     明は 景なり 
一二九七八     暗は 影なり 
一二九七九     潤は 水なり 
一二九八〇~八一  乾は 燥なり 而して
一二九八一     乾なる者は天に之く 
一二九八二     暗なる者は地に歸す 
一二九八三     景影は氣を侌昜に分つ 故に星辰も亦た侌昜に分る 
一二九八四     水燥は性を侌昜に分つ 故に雲雨も亦た侌昜に分る 故に
一二九八五     天なる者は 乾燥光明の處なり 
一二九八六     明暗を相い分つと雖も 而も天に懸る者は 虚動を以て乾燥光明なり 
一二九八七     地なる者は 潤湿暗澹の處なり 
一二九八八     乾潤を相い分つと雖も 而も地に著く者は 實重を以て潤湿暗澹なり 
一二九八九     天物なる者は 常に一體を持し  循環を以て其の期と爲す 
一二九九〇     地物なる者は 毎に其の體を換え 鱗比を以て其の期と爲す 
一二九九一     辰なる者は 侌物なり 景中に居る 而して順逆の行は參差す 
一二九九二     星なる者は 昜物なり 影中に居る 而して順逆の行は整齋す 
一二九九三     動なる者は 侌物なり 天中に居る 而して能く横行す (侌物 不可解。)
一二九九四     植なる者は 昜物なり 地中に居る 而して能く竪立す (昜物 不可解。)  (PB 129)
一二九九五    同じく物を解結塞中に居く 
一二九九六    同じく氣を生化通中に行す 
一二九九七    精は常に其の體を持すれば 則ち古は猶お今のごとし 
一二九九八    麁は毎に其の體を換えれば 則ち今は古に非ざるなり 
一二九九九    天地なる者は 大物なり 
一三〇〇〇    萬物なる者は 小物なり 
一三〇〇一    大小は分有りと雖も。而も同じく是れ物なり。同じく是れ物なれば。則ち
一三〇〇二    同じく其の經の率いるに從う 
一三〇〇三    同じく其の緯の容るるに居る 之を一に有せらると謂うなり。
一三〇〇四    大物は成具を以て。而して經緯の中に成る。
一三〇〇五    成具は絪縕して。小物は化生す。故に
一三〇〇六    小なる者は 大の所有なり 
一三〇〇七    彼なる者は 此の所偶なり 故に
一三〇〇八    小の大に於る 資りて成る 
一三〇〇九    此の彼に於る 依りて立つ 
一三〇一〇    小の資る所は 廼ち大の給うる所なり 
一三〇一一    彼の依る所は 廼ち此の通ずる所なり 是に於て。
一三〇一二    成る者は我に於て足る 
一三〇一三    立つ者は彼に於て敵す 蓋し
一三〇一四    成る者は徒に成らず 其の具を得て成る                     (PB 130)
一三〇一五    立つ者は獨り立たず 其の與を得て依る 
一三〇一六    依る者は全たり 二は己に足る                         (I 516b)
一三〇一七    二なる者は偏たり 一は佗に待つ 故に。
一三〇一八    立てば則ち彼此相い持す 而して一は一に依る 
一三〇一九    成れば則ち大小竝び分る 而して 各 一を成す 是を以て。
一三〇二〇    萬物は萬天地を有す。以て大物と勢を張る。
一三〇二一    彼此は相い持す。而して更るがわる其の不足を贍う。是を以て。
一三〇二二    各散天地は。一有の中に在るも。亦た能く萬不同を爲すなり。故に。
一三〇二三    其の大より 剖析して其の小を觀る 
一三〇二四    其の麁より 尋繹して其の精を察す 
一三〇二五    之を比し之を反す。以て髣髴を觀る。是を以て。
一三〇二六    小も亦た各おの一有を發す。而して
一三〇二七    其の徳を有す 
一三〇二八    其の道を發す 
一三〇二九    其の天に居る 
一三〇三〇    其の物を成す 
一三〇三一    日影通具は 彼の袞袞に從いて 而して節序を刻す 
一三〇三二    此れ則ち袞袞と節序とを竝せて 此の時を爲す 
一三〇三三    之に就きて始めて生じ 及ばずして便ち化す 
一三〇三四    天地塞具は 彼の坱坱に依りて 而して方位を鋪く                (PB 131)
一三〇三五    此れ則ち坱坱と方位とを竝せて 此の處を爲す 
一三〇三六    立つ所にして地を得る 
一三〇三七    居る所にして天を得る 
一三〇三八    物は。則ち神 體を没して 而して其の氣の神を見す 
一三〇三九         物 體を露して 而して其の氣の本を隠す 是に於て。
一三〇四〇    神なれば則ち天神なり 
一三〇四一    物なれば則ち天地なり 
一三〇四二    神は之を爲す 
一三〇四三    天は之を成す 
一三〇四四    天は之を没す 
一三〇四五    地は之を露す 
一三〇四六    大は則ち素より之を有す 
一三〇四七    小は則ち資りて之を有す 
一三〇四八    成れば則ち大小は氣物を有して 而して其の勢 相い張る 
一三〇四九    立てば則ち彼此は一一を反して 而して其の勢 相い敵す 
一三〇五〇    資れば則ち大に於て有する者は 皆な小に於て有す 
一三〇五一    依れば則ち彼に於て見るる者は 皆な此に於て隠る 
一三〇五二     大物は 則ち自から中を爲して立ち 自から外を爲して居る 
一三〇五三     小物は 中を立する地に依りて立ち 外に居る天を得て居る 
一三〇五四     大物は 則ち自ずから理を爲して形を成し 自ずから氣を爲して物を成す 
一三〇五五     小物は 則ち其の爲に理せられて形を布き 其の爲に氣せられて物を成す 是れ乃ち
一三〇五六     小は諸を大に資りて自から之を有するなり。
一三〇五七     大の立するや 佗に假ること無し 
一三〇五八     小の立するや 相い依ること有り 
一三〇五九     大なれば則ち一中に天地侌昜を具す 而して以て絪縕す 
一三〇六〇     小なれば則ち天地侌昜に絪縕せられ 而して以て一を成す 
一三〇六一     水は地に由て止る 
一三〇六二     火は膩に由て存す                              (I 517a)
一三〇六三     植は水無ければ則ち生ぜず                         (PB 132)
一三〇六四~六五  動は穀無ければ則ち存せず 是れ小の佗に依りて立する所なり 
一三〇六六     大は能く天地侌昜を具す 
一三〇六七     小も亦た天地侌昜を具す 
一三〇六八     大は能く本根華實を具す 
一三〇六九     小も亦た本根華實を具す 
一三〇七〇     大は偏を小に於て分つ 而して
一三〇七一~七二  小は大に異ならず 是れ物の各自に一を成する所なり 
一三〇七三    是に於て。乾潤土石に資りて 而して氣液骨肉有り 
一三〇七四         神靈感運に資りて 而して心性爲技有り 
一三〇七五    侌昜を雌雄にす 
一三〇七六    天地を身生にす 
一三〇七七    保運化持。嘑噏吐納は。資りて成る 
一三〇七八               反して立つ 
一三〇七九    天は精を以て 而して清浄にして府を爲す 
一三〇八〇    地は麁を以て 而して穢濁にして藏を爲す 然り而して
一三〇八一    時通處塞の天地は 清にして清なり 
一三〇八二    象循質隔の天地は 清にして濁なり 
一三〇八三    日照し影蔽い 燥煦め水潤おうの中は 濁にして浄す 
一三〇八四    熱蒸し水漬し 象起り質滅するの中は 濁にして穢す 故に
一三〇八五    濁中。大境は 則ち色性氣性 始めて濁す 
一三〇八六       小境は 則ち彩聲氣性 漸みて穢す 
一三〇八七     精界は未だ彩聲氣性の窺う可き有らず。                    (PB 133)
一三〇八八     氣麁にして後 彩聲氣性有り。
一三〇八九     麁中は浄穢を分ちて。而して
一三〇九〇     大體は浄を爲す 
一三〇九一     小體は穢を爲す 
一三〇九二     浄は色聲氣性を爲す 
一三〇九三     穢は彩聲臭味を爲す 
一三〇九四     浄中は則ち定常の氣を充たす 
一三〇九五     穢中は則ち變化の氣を充たす 蓋し
一三〇九六     天は清濁の素を有し 以て通隔を爲す 
一三〇九七     象は明暗の色を有し 以て照蔽を爲す 是に於て。
一三〇九八     物は隔に由て彩を呈す 
一三〇九九       通に由て彩を受く 
一三一〇〇     照されて其の呈彩を見す 
一三一〇一     蔽われて其の呈彩を隠す 
一三一〇二     天地は動止を爲す。動く者は清虚を行る 
一三一〇三              止る者は濁實に居る 未だ嘗て相い軋せず。
一三一〇四     持中。氣質は相い雑す。以て鬱達を爲す。故に
一三一〇五     氣は質に由りて鬱達す 
一三一〇六     質は氣に随いて激發す 閴を爲し聲を爲す。
一三一〇七     寒乾は氣 淡なり 
一三一〇八     潤熱は氣 濃なり 
一三一〇九     潤熱の相い醸すに。或は離れ或は著く。
一三一一〇~一一   (朱書欄外追記につき削除)
一三一一二     著く者は性を爲す 
一三一一三     離る者は氣を爲す 
一三一一四     天に於て成る 之を氣性と謂う                    (I 517b)
一三一一五     人に於て覺す 之を臭味と謂う 
一三一一六     彩なる者は 物を持するの氣 之れ達して發するなり 
一三一一七     聲なる者は 質を持するの氣 之れ鬱して發するなり 故に
一三一一八     物は持すれば則ち必ず彩を呈す。是を以て。
一三一一九     天地日影も。亦た 各 其の物を持すれば。則ち黒白清濁有り。惟だ
一三一二〇     彼は定常を爲す 
一三一二一     此は變化を爲す 濃中は精麁有り。
一三一二二     而して彩色の辨有り。
一三一二三     聲は色に比すれば。則ち麁小を爲す。故に
一三一二四     彩なる者は 物の持する所 有らざる所莫し 
一三一二五     聲なる者は 氣の發する所 質と軋して發す 
一三一二六     故に夫れ雷風水火と。金石動植と。
一三一二七     持せざる所無くば 則ち彩を呈せざる所莫し 
一三一二八     軋せざる所有れば 則ち聲を發せざる所有り 
一三一二九     潤熱は質中に相い醸す。之を氣性と爲す。
一三一三〇     氣は昜の爲に發せらる 
一三一三一     性は侌の爲に畜えらる 故に。
一三一三二     聲は物を離る 
一三一三三     彩は物に依る 
一三一三四     氣は質を離る 
一三一三五     性は質を畜う 
一三一三六     各おの精麁の分有り。彩聲氣性は。物に於て各有り。
一三一三七     彩は黒白より散ず                              (PB 134)
一三一三八     聲は清濁より散ず 
一三一三九     氣は浄穢より散ず 
一三一四〇     性は濃淡より散ず 
一三一四一     熱蒸し潤醸し。各物成る。而して各各彩聲氣性有り。
一三一四二~四三    (欄外朱書追記につき削除。)
一三一四四     故に散じて竟に統無きなり。人の知覺は。
一三一四五     彩は目を以て通ず 
一三一四六     聲は耳を以て通ず 
一三一四七     氣は鼻を以て通ず 人に於て臭と曰う 
一三一四八     性は舌を以て通ず 人に於て味と曰う 
一三一四九     故何んとなれば。則ち耳目を假らずと雖も 而も 
一三一五〇     彩聲は則ち自から其の名を持つ 
一三一五一     若し鼻舌を假らずんば 則ち
一三一五二     氣性は臭味を爲す可からず 故に
一三一五三     海魚は水に入る可からず 
一三一五四     河魚は海に居る可からず 
一三一五五     酸は紅を和す 
一三一五六     香は穢を逐う 
一三一五七    蓋し清濁なる者は。精麁の分なり。
一三一五八    氣なる者は精 故に清なり 
一三一五九    質なる者は麁 故に濁なり 
一三一六〇    清なれば則ち其の氣に跡無し 
一三一六一    濁なれば則ち其の氣に狀有り 是の故に。
一三一六二    持中。機體没露の間 物は實するを以て隔て 動を以て軋む 
一三一六三    水火絪縕の中 氣は蒸するを以て薫し 醸を以て畜う 故に
一三一六四    氣は清ければ則ち通ず 濁にして隔つや 彩の成る所なり             (I 518a)
一三一六五    機は清ければ則ち闃す 麁にして触るや 聲の成る所なり 
一三一六六    氣は清ければ則ち恬たり 麁にして醸すなり 氣の成る所なり 
一三一六七~六八 性は清ければ則ち澹たり 麁にして言うなり 性の成る所なり 是の故に。     (PB 135)
一三一六九    精麁絪縕して。通隔闃触。恬醸澹畜を爲す。
一三一七〇    通闃恬澹は 混として跡無し 
一三一七一    隔触醸畜は 粲立して彩聲氣性を立す 
一三一七二    是れ境の清濁を分つ所なり。是を以て。
一三一七三    清なれば則ち天機氣物を立す 
一三一七四    濁なれば則ち彩聲氣性を醸す 
一三一七五(復元)然り而して色は華を發するに成る 
一三一七六(復元)     聲は機に觸るるに成る 
一三一七七(復元)氣は氣に發す 
一三一七八(復元)性は質に畜う 精麁大小の成る所なり。
一三一七九(復元)故に聲色氣性は。天機氣物に醸す。
一三一八〇(復元)我の聲色臭味は。天の彩聲氣性を用うなり。
一三一八一(復元)是れ大境の最も瑣なる者にして。而して小境の最も要なる者なり。故に
一三一八二(復元)物は彩聲氣性を畜う 
一三一八三(復元)動は耳目鼻舌を開く 蓋し
一三一八四(復元)氣體なる者は清なり 
一三一八五(復元)物體なる者は濁なり 
一三一八六(復元)清は素に通じて濁隔に和さず。
一三一八七(復元)故に體氣發露して。各各自ずから彩す。
一三一八八(復元)活氣なる者は動なり 
一三一八九(復元)立體なる者は靜なり 
一三一九〇(復元)大物なる者は 活動 閴す 靜體に軋せず 
一三一九一1復元 小物なる者は 氣物軋激す 各各鳴を爲す 
一三一九一2復元 乾寒は浄を爲す 
一三一九一3復元 潤熱は穢を爲す 
一三一九五4復元 火性は水を蒸す 
一三一九六5復元 水性は火を醸す 是を以て                            (PB 136)
一三一九二    滋液は津津として性を畜う 
一三一九三    煦熱は蒸蒸として氣を起す 
一三一九四     大は則ち充たざる無し 
一三一九五     小は則ち充たざる所有り 故に
一三一九六     色は則ち有らざる所莫くして 而して彩は則ち偏に其の物に著く          (PB 136)
一三一九七     濁に成して 而して清に成さざるなり 
一三一九八     動は則ち有らざる所莫くして 而して聲は則ち偏に其の物に依る 
一三一九九     軋に激して 而して動に激せざるなり 
一三二〇〇     臭は熱に起る 
一三二〇一1    味は乾を除きて潤に成る 
一三二〇一2復元  故に彩聲臭味。清靜寒乾の浄を除きて。而して散小の各體に成る。故に
一三二〇二     彩は清に無し 
一三二〇三     聲は闃に無し 是を以て。
一三二〇四     氣は香臭を發すの外に恬なり 
一三二〇五     性は苦甘を醸すの外に淡なり 
一三二〇六     然れども持中の物は。其の本を天の天機氣物に資りて。
一三二〇七     以て此の彩聲氣性を爲すなり。蓋し
一三二〇八     精なれば則ち生化の跡を露せず 壽を悠久に引く 故に清浄なり 
一三二〇九     麁なれば則ち生化の跡を露す  體を旦夕に換う 故に穢濁なり         (I 518b)
一三二一〇     噫 清浄の府に入らずんば。則ち烏んぞ穢濁の物を辨ぜん。
一三二一一    生と老とを以て。新陳を分つ。
一三二一二    新と敗とを以て。鮮腐を分つ者は。
一三二一三    是れ穢濁中の浄穢なり。
一三二一四        (欄外追記につき削除。朱筆。)
一三二一五     生ずる者は必ず長ず 
一三二一六     滅する者は先ず老ゆ 
一三二一七     將に長ぜんとする者は 色澤鮮膩 之に順えば則ち其の聲は朗洞なり       (PB 137)
一三二一八     將に滅せんとする者は 色彩枯澹 之に逆えば則ち其の聲は湮鬱なり 
一三二一九     其の臭味に於るも亦た然り 然り而して
一三二二〇     人なる者は萬物と竝立す。故に好惡は物と反する有り。故に
一三二二一     人を以て彩聲臭味を断ずる者は。人に可なるの彩聲臭味なり。故に
一三二二二     雀矢竜涎は 人鼻に可なり 而して
一三二二三     人屎壊肉は 狗口に可なり 
一三二二四    且つ大物の宇宙に在るは。一反一比 偶を得て居る 
一三二二五                没體露體 繼を得て從う 而して
一三二二六    天氣の運は 日月を幹轉す 
一三二二七    地氣の爲は 事物を經營す 
一三二二八    偶繼するは 物なり 經緯を分つ 
一三二二九    運爲するは 氣なり 天地を分つ 然り而して
一三二三〇    小物は此の氣物の分に依る。
一三二三一     反すれば則ち物を以て氣に偶す 
一三二三二     比すれば則ち類類相い偶す 
一三二三三     體を没すれば 則ち既にする者は去り 將にせんとする者は來る 
一三二三四     體を露すれば 則ち前なる者は斃れ 後なる者は生ず 
一三二三五     氣は運して日月を幹轉す 
一三二三六     氣は爲して事物を經營す 
一三二三七     大は則ち地を以て天に偶す 小の偶 則ち植は華實を偶す 
一三二三八                        動は牝牡を偶す 
一三二三九     大は則ち今を以て古に繼ぐ 小の繼 則ち植は子苗を繼ぐ 
一三二四〇                        動は子母を繼ぐ 
一三二四一     大は則ち氣を轉じ質を持す 小は則ち植 幹を以て持す 
一三二四二                      動 足を以て行く 
一三二四三     大は則ち神は運し精は爲す 小は則ち植 營爲 跡を没す 
一三二四四                      動 意技營爲す 
一三二四五    常に一體を持する者は 體に成壊無し 日月土石は皆な然り            (PB 138)
一三二四六    先後に體を換する者は 體に成壊有り 雲雨動植は同く然り 
一三二四七    麁より之を觀れば體を常にする者は 生化せず 
一三二四八            體を換える者にして 而して生化を露す             (I 519a)
一三二四九    精より之を觀れば同一生化 没露 跡を異にするに過ぎず 是の故に。
一三二五〇    宇宙は袞袞たり 
一三二五一    覆載は攸攸たり 
一三二五二    雲雨は倏忽たり 
一三二五三~五四 動植は斯須たり 亦た途の異なるに非ざるなり。故に。
一三二五五    雲雷雨雪 或いは聚り或いは散ず 未だ天に在る者の精なるに及ばず 
一三二五六    艸木鳥獸 或いは結び或いは解く 未だ地を爲す者の實なるに及ばず 
一三二五七    大物は無窮なり 
一三二五八    小物は有窮なり 
一三二五九    經緯は同じく然り 是を以て。
一三二六〇    物の將に結ばんとするや 氣は浡乎として興る 
一三二六一    其の將に盡きんとするや 體は頽乎として壊る 故に
一三二六二    上にして雲雷雨雪なり 物を水燥に資る 
一三二六三    下にして艸木鳥獸なり 物を土石に資る 
一三二六四    明暗は天地を上に於て分つ 
一三二六五    水土は天地を下に於て分つ 
一三二六六    天地は愈いよ分る 
一三二六七    生物は愈いよ蕃る 
一三二六八    艸木鳥獸 は 燥居す                              (PB 139)
一三二六九    魚龍藻樹 は 水居す 夫れ
一三二七〇    動植の天地を有するは。氣液骨肉を物にす 
一三二七一               神靈感運を神にす 
一三二七二               偶繼運爲に依る 
一三二七三               彩聲臭味を用う 
一三二七四    植は有意の文を没す 
一三二七五    動は有意の文を露す 
一三二七六    質實の地を同するを以て 其の物を爲するや同なり 
一三二七七    水燥の居を隔てるを以て 其の生を成するや異なり 故に。
一三二七八    毛羽は氣中に生じて 而して氣に活す 水を飮むと雖も 而も水に死す 
一三二七九    鱗甲は水中に生じて 而して水に活す 氣を噞すと雖も 而も氣に死す 
一三二八〇    跡は反すと雖も。嘑噏吐納。飛走游潛。其の理は一なり。
一三二八一    理は一なりと雖も。物は則ち相い隔つ。
一三二八二    資る所有りて竝立するなり。
一三二八三     變せざれば則ち常ならず 
一三二八四     常ならざれば則ち變せず 
一三二八五     明は往き暗は來る 
一三二八六     寒は謝し暑は至す 
一三二八七     常なる者も能く變ず 
一三二八八     變なる者も能く常す 
一三二八九     變ずる者よりして之を推せば 則ち皆な變なり 
一三二九〇     常なる者よりして之を推せば 則ち皆な常なり 惟だ
一三二九一     往く者を常とすれば 則ち來る者は變なり 
一三二九二     來る者を常とすれば 則ち往く者は變なり 
一三二九三     魚の水に潛む 
一三二九四     鳥の天に翔く 
一三二九五     一は常なれば則ち一は變す。故に
一三二九六     植は本を下にし末を上にす 
一三二九七     動は本を上にし末を下にす 
一三二九八     跡は則ち反すと雖も。而も名は則ち資る所有り。                (PB 140)
一三二九九     反すれば則ち一を分つ 
一三三〇〇     同なれば則ち異を合す 
一三三〇一    天地を成す者は一なり 
一三三〇二    天地に成る者は各なり 
一三三〇三    一なる者は此を有す 
一三三〇四    各なる者は此に立す                              (I 519b)
一三三〇五    大の有する所は 則ち小の資る所なり 
一三三〇六    各の立する所は 則ち一の成る所なり 故に
一三三〇七    大物は萬物を有す 
一三三〇八    萬物は大物に異なる 
一三三〇九     天地を成す者は一なり 
一三三一〇     天地に成る者は各なり 故に
一三三一一     機體象質 聲聲氣性は 天地の成具なり 
一三三一二     氣液骨肉 心性爲技は 人の 成具なり 
一三三一三     成具は。則ち一を闕けば則ち其の物に成らざる有り。
一三三一四     天地に成ること有る者は。
一三三一五     譬えば鳥と我との如く。松と竹との如し。
一三三一六     彼を闕くと雖も。而も此に於て已に成る。故に
一三三一七     彼我は各おの其の天地を成し。此の大物中に遊ぶ。
一三三一八     彼此は生を異にす 故に其の物や立す 
一三三一九     彼此は交接す   故に其の事や活す 
一三三二〇    夫れ人なる者は。萬物中の一物なり 
一三三二一            各氣中の一氣なり 是を以て
一三三二二      天地曁物は。我と竝び立つ 
一三三二三            我と竝び行く 
一三三二四    此の如きの天地に立す 
一三三二五    此の如きの天神に活す 故に
一三三二六    其の體は則ち歧然たり。
一三三二七    氣を彩聲氣性に交す 
一三三二八    質を繼偶運爲に接す                               (PB 141)
一三三二九    其の神は則ち浡乎として本を保運化持に運し 
一三三三〇               神を情慾意智の氣に爲すを用す 
一三三三一    眇眇の體に局す 
一三三三二~三三 耿耿の智に囿す 夫の意なる者は。
一三三三四    索に巧にして 得に拙なり 
一三三三五    度に精にして 通に麁なり 是の故に。
一三三三六    意を以て物を索む 索めて得ざれば 則ち疑う 
一三三三七    智を以て事を度る 度りて通ぜざれば則ち惑う 
一三三三八    失得有亡は之を累る。
一三三三九    憂悲苦歓は之に繋る。
一三三四〇    己を有するに於て隔たる 
一三三四一    意を有するに於て塞がる 
一三三四二    小物を以て大物に置かず 
一三三四三    有意を以て神爲に任せず 
一三三四四    終に窺窬して以て天地に觀る。
一三三四五    幽明は 氣なり 
一三三四六    有無は 物なり 
一三三四七    幽明を物に尋ね 
一三三四八    有無を氣に繹ぬるも 遠し。
一三三四九    幽明を氣に求め 
一三三五〇    有無を物に繹ね 
一三三五一    有意を無意に於て通じ 
一三三五二    無意を有意に於て體すれば 
一三三五三    則ち相い換る者に何ぞ隔てん。
一三三五四     已に生を此に寓す。然り而して
一三三五五     由りて來る所を知らず 
一三三五六     往きて變る所を測らず 
一三三五七     眇眇を須臾に寄す 
一三三五八     耿耿を攸久に窮めんと欲す 
一三三五九     啻に其の死後の知る可からざるのみならず                    (I 520a)
一三三六〇     生前も亦た之を如何ともする無し 
一三三六一     啻に生前死後の然るにあらず 
一三三六二     此の生も亦た知る可からざるなり 蓋し                     (PB 142)
一三三六三     此の生爲る。已に其の寓を有す 
一三三六四           亦た其の知を智にす 
一三三六五     其の有は 則ち實に其の有なり 
一三三六六     其の智は 則ち實に其の智なり 
一三三六七     知らず。素より有して 而して今も亦た之を有すか 
一三三六八     素より知りて 而して今も亦た之を知るか 
一三三六九     今 始めて其の寓を得て 以て之を有すか 
一三三七〇     今 始めて其の智を得て 以て之を知るか 
一三三七一     既に其の有を有す 
一三三七二     既に其の智を智にす 是に於て。
一三三七三     有の有せざる所を疑う 
一三三七四     智の知らざる所に惑う 
一三三七五     無なる者は 有の分外なり 
一三三七六     幽なる者は 明の分外なり 而して
一三三七七     幽明は有無に非ず 
一三三七八     有無は幽明に非ず 
一三三七九     外なる者は能く内と反す 
一三三八〇     猶お晝の夜を外にし 
一三三八一     夜の晝を外にするがごとし 今
一三三八二     明を執りて以て幽を窺う 
一三三八三     有を執りて以て無を思う 
一三三八四     猶お晝の色を執りて 以て夜の若何んが物を蔽うと疑い 
一三三八五       夜の色を執りて 以て晝の若何んが明を通ずと疑うがごとし 又た
一三三八六     猶お目を閉じて以て明の所在を尋ね 
一三三八七     炬を秉りて以て暗の所在を探るがごとし 故に
一三三八八     明中に暗を尋ねば 姑く見る所の者を屏けて 
一三三八九     思いを冥晦の中に致し 以て暗を知るに如かず              
一三三九〇     暗を知らざれば 則ち其の明を知るも亦た審かならず  
一三三九一     暗中に明を探れば 姑く晦ます所の者を舎て 
一三三九二     思いを明朗の中に致し 以て明を知るべきなり 
一三三九三~九七    (写本からの転記につき削除。)
一三三九八     明を知らざれば 則ち其の暗を知るも亦た審かならず 
一三三九九     明中 明を屏けて暗に通ず 
一三四〇〇     暗中 暗を忘れて明に通ず 
一三四〇一     之を融通と謂う。
一三四〇二     明中 思いを暗に致す 其の暗を以て 能く我の在る所の明を知る 
一三四〇三     暗中 思いを明に致す 其の明を以て 能く我の在る所の暗を知る 
一三四〇四     之を反觀と謂う。
一三四〇五     猶お鏡を鑑るの我が身を身の外に體し。
一三四〇六     身の外なる者を以て反觀すれば。則ち彼に通じて我を知るがごとし。
一三四〇七     通ぜざれば則ち鏡に體すること能わず。
一三四〇八     鏡に體すること能わざれば。則ち以て己を知る無きなり。
一三四〇九     有を以て無に體し 無を以て有を反觀し                    (PB 143)
一三四一〇     明を以て幽に體し 幽を以て明を反觀せば 
一三四一一     則ち何の通に病むことか之れ有らん    
一三四一二     今 有を執りて以て無を窺う 
一三四一三       明を執りて以て幽を窺う 
一三四一四     質を幽明に尋ぬ 
一三四一五     氣を有無に求む 
一三四一六     猶お目を閉じて明を追い                           (I 520b)
一三四一七       炬を秉りて暗を追うがごとし 
一三四一八     釣竿は狐兎を捕うの具に非ず 
一三四一九     瓦缶は鳳鳴を爲すの器に非ず 
一三四二〇     苦なりと雖も而も無益なり。
一三四二一    諸を一氣に結ぶ 
一三四二二    諸を一氣に解く 
一三四二三     物の天地を有するは 猶お
一三四二四     車の輪輻を有するがごとし 
一三四二五     車は輪輻無ければ 則ち行く可からず 
一三四二六     物は天地無ければ 則ち立つ可からず 
一三四二七     物の氣を有するは 猶お
一三四二八     車の御者を有するがごとし 
一三四二九     御無ければ則ち車は用を爲さず 
一三四三〇     氣無ければ則ち物は立つこと有らず 
一三四三一     一氣の應用。猶お心の喜怒哀樂に痕無く。而して
一三四三二     應接盡きること無きがごとし。是を以て。
一三四三三     膏梁を食する者は 其の人や肥ゆ 
一三四三四     糞壌を培する者は 其の苗や長ず 而して
一三四三五     膏梁は人の肌膚に非ず 
一三四三六     糞壌は苗の枝葉に非ず 
一三四三七     惟だ相い依るの間に。彼此の給資するを見る。然りと雖も。
一三四三八     人は死して蘇る可からず 
一三四三九     物は化して收る可からず 
一三四四〇     生化粲立。唯だ混有の一を有す。則ち
一三四四一     解も亦た一氣なり 
一三四四二     結も亦た一氣なり 
一三四四三     生は之を得るに非ず 
一三四四四     死は之を歸するに非ず 
一三四四五    終を始に反すれば  則ち洋洋乎たり 
一三四四六    前後を今に求むれば 則ち滾滾然たり 
一三四四七    粲と混と 其の中に機す 
一三四四八    幽と明と 其の間に跡す 
一三四四九    神明何物ぞ。一肉団の氣は一結物なり。
一三四五〇    其の智通を天の氣感に還す。
一三四五一    忘して通じ。通じて化す。                           (PB 144)
一三四五二    生ずれば則ち生ず 
一三四五三    化すれば則ち化す 
一三四五四    惟だ其れ然るのみ。孰れか之を蔽塞せん。
一三四五五     生ずる者は生ず 故に之を生と謂う 
一三四五六     化する者は化す 故に之を化と謂う 
一三四五七     化する者は 生 到らざるして化す 
一三四五八     生ずる者は 化 行われずして生ず 
一三四五九     生は化を爲す可からず 
一三四六〇     化は生を爲す可からず 故に
一三四六一     生化は迭いに行わるるを得て。而して同じく行わるるを得ず。
一三四六二     動は子を生じ 植は種を生じ 聯綿として已まず 
一三四六三     動は息む   植は斃る   陸續として收らず 
一三四六四     收る可ければ則ち化に非ず 
一三四六五     已む可ければ則ち生に非ず 
一三四六六     生ずる者は必ず化す 其の一なる所なり 
一三四六七     生は必ず化に非ず  其の二なる所なり                 (PB 145, I 521a)
一三四八二     小物
一三四八三    夫れ轉中の萬物は 日影を以て天地と爲す 
一三四八四      持中の萬物は 水燥を以て天地と爲す 
一三四八五    轉中に居るを以て 天物は常に動く 
一三四八六    持中に居るを以て 地物は常に止る 是の故に。
一三四八七~八八 日月は水火を天に於て爲す 迸りて散ずる者は 昜にして星漢なり 明を發して東行に勝る 
一三四八九                          侌にして月辰なり 暗を含んで運行に勝る 
一三四九〇~九一 水燥は天地を地に於て爲す 分れて散ずる者は 上にして雲雨なり 清を以て竪動を爲す 
一三四九二                          下にして動植なり 濁を以て横動を爲す 
一三四九三~九四  蓋し天物なる者は 箇箇圓成なり 昜象は影に居りて光を發す 
一三四九五                     侌象は景に居りて光を受く 
一三四九六     昜象なる者は星漢にして 東運は至って微なり 轉と伴うが如し 
一三四九七     侌象なる者は辰沫にして 東運は甚だ速きなり 遲速留退す 
一三四九八~九九  地物なる者は 箇箇異形なり 昜質なる者は天に在りて清を爲す 
一三五〇〇                   侌質なる者は地に在りて濁を爲す 
一三五〇一     昜質なる者は雲雨なり 升降 最も著るし 横旋は客氣なり 
一三五〇二     侌質なる者は動植なり 横竪 最も著るし 升降は客氣なり           (PB 155)
一三五〇三    蓋し天なる者は 杳渺にして測驗に闕くる有り 
一三五〇四      地なる者は 撫摩にして交接に熟する有り 故に
一三五〇五    其の説や。天を略し地を悉す。蓋し
一三五〇六~〇七 大は轉持覆載有り 此れも亦た風恬水陸有り 
一三五〇八    風恬水陸は天地を開く 而して
一三五〇九    雲雷雨雪は象質を爲す 
一三五一〇    絪縕摩盪して。物は其の間に化す。
一三五一一    物の其の間に化する。其の體を毎換し。
一三五一二    成敗を以て鮮腐を爲す。蓋し
一三五一三    小なる者は居りて資る 
一三五一四    大なる者は容れて給す 是に於て
一三五一五    轉は則ち理を規矩に於て成す 
一三五一六    持は則ち理を横竪に於て成す 
一三五一七    此に理を資るを以て。而して恬は立ちて風は旋る 
一三五一八                 山は峙して海は俯す 
一三五一九(復元)是の故に物の其の間に成るや。横竪大小。變化は盡きず。
一三五二〇(復元)神爲の玅と雖も。亦た資給の中に居る。
一三五二一(復元)是を以て。風恬水陸の間。上は雲雨有り 
一三五二二(復元)            下は動植有り 
一三五二三(復元)            動は偏に神を專らにす 
一三五二四(復元)            植は偏に本を專らにす 故に              (PB 156)
一三五二五(復元)動は則ち質を以て動す 神を以て營す 故に其の體は則ち温かし 其の神は則ち意を爲す 
一三五二六(復元)植は則ち質を以て止る 本を以て運す 故に其の體は則ち冷たし 其の神は則ち意を没す 
一三五二七(復元)動は則ち内を虚にして天中に横行す 
一三五二八(復元)植は則ち内を實して 地中に竪立す 
一三五二九(復元)生に動植有り。類を堅輭に剖く 
一三五三〇(復元)       處を水燥に分つ 故に植は則ち堅植輭植なり 
一三五三一(復元)                 動は則ち堅動輭動なり 而して
一三五三二(復元)水陸相い有れば。則ち其の數は相い乘す。
一三五三三(復元)堅植は則ち土石なり 土は鹵を發し  石は金を収む 
一三五三四1復元 堅動は則ち介甲なり 甲は龜蟹を分ち 介は螺蛤を分つ 
一三五三四2復元 輭植は 則ち陸にして艸木なり 
一三五三四3復元       水にして藻樹なり 
一三五三四4復元 輭動は 則ち陸にして鳥獸なり 
一三五三四5復元       水にして魚龍なり 
一三五三四6復元 輭は則ち氣に勝る 
一三五三四7復元 堅は則ち質に勝る 
一三五三四8復元 大物は 氣を外にして質を内にす 故に
一三五三四9復元     内は土石を以て固し 外は運轉を以て保す 
一三五三四10復 小物は 質を外にして氣を内にす 故に
一三五三四11復     外は皮肉を以て固し 内は營衛を以て保す                (PB 157)
一三五三四12復 土氣は表に解く 故に氣物は發生に饒かなり 
一三五三四13復 石質は下に結ぶ 故に質物は収凝に成るなり 
一三五三四14復 天物は景影に居る 
一三五三四15復 地物は水燥に居る 
一三五三四16復 動植の生 
一三五三四17復 堅輭の類 
一三五三四18復 水燥は相い隔つと雖も。亦た 各 有り。
一三五三四19復 各 有ると雖も。富乏無きこと能わざるなり。
一三五三四20復  動植は 各 堅輭有り 而して又た水燥有り 是を以て。
一三五三四21復  輭生は 水陸 各 富む 
一三五三四22復  剛生は 水陸偏りて富む 
一三五三四23復  水陸の動植は 各 二つなり。鳥獸なり 魚龍なり 
一三五三四24復                艸木なり 藻樹なり 
一三五三四25復  堅動は二つなり 螺蛤なり 龜蟹なり 水に富む 
一三五三四26復  堅植は二つなり 土鹵なり 金石なり 陸に富む 
一三五三四27復 蓋し天地轉持の體は。虚實剛柔を爲す。 
一三五三四28復 風恬水燥の形は。以て横竪俯立を爲す。 
一三五三四29復  水なる者は横質なり 氣は下に鬱して 而して水は上に和す  
一三五三四30復  山なる者は竪質なり 燥は下に煦して 而して氣は上に達す 
一三五三四31復  氣は下に鬱す 故に其の植は鮮少なり 水は上に和す 
一三五三四32復         故に其の動は蕃滋なり 燥は下に和す 
一三五三四33復         故に其の植は衆多なり 氣は上に達す 
一三五三四34復         故に其の動は鮮少なり 是の故に。
一三五三四35復  動は水に多し 而して燥に少し 
一三五三四36復  植は燥に多し 而して水に少し 
一三五三四37復  水物は吐納を以て息を爲す  
一三五三四38復  陸物は嘑噏を以て息を爲す 
一三五三五     鳥獸艸木は 竪中に在りて而して其の體は立つ 
一三五三六     魚龍藻樹は 横中に在りて而して其の體は俯す 然り而して
一三五三七     動行は迂曲なり 
一三五三八     竪立は邪長なり 
一三五三九     動なれば則ち其の體は横俯す                         (PB 158)
一三五四〇     植なれば則ち其の體は竪立す 而して
一三五四一     其の中