木構造モデルによる自然語辞典の構築と地球環境保全への技術的応用について
                  ---三浦梅園とBTRON---


<はじめに>
 本論は、知識工学の先駆的業績とみなされる三浦梅園(1723-1789)の主著『玄語』と
東京大学の坂村健教授が開発したBTRON-OSを応用して、地球生態系の論理像をなす自
然語辞典の構築と、地球環境保全のための環境管理技術への応用をめざすための試論
である。木構造モデルによる地球生態系の論理像としての『玄語』をBTRONの仮身
ネットワークに置換し、さらにそれをマルチメディアデータのリンク関係に置換する
ことで、電子空間上に地球生態系をモデリングすることが可能となるはずである。当
研究所では、2バイト文字圏で生まれた唯一のOSであるBTRONによる地球生態
系の情報化の道を探りたい。

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【1】木構造モデルによる自然語辞典構築の可能性

 1-1.自然界は如何に把握されるべきか(発表時省略)

 自然という言葉が意味するものは決して一義的なものではない。素朴に経験される
自然と近代自然科学という語の中に現われる自然とは明らかに異なるものある。
 しかしながら、知性によってこれを論ずるにおいては、論理の力を借りる外はない。
知性によって世界を把握する方法は種々あるが、本論では三浦梅園(1723-1789)が
試みた二分木による自然界の名辞付け(ラベリング)を採択する。三浦梅園は、江戸
中期に大分県国東半島に生まれた思想家であるが、彼ひとりにおいて日本独自の合理
思想が集約されているといって過言ではない。
 これに加えて、本論では東京大学坂村健教授によって開発されたBTRON-OSを用いて
三浦梅園の思想をコンピュータ上に展開し、さらにその技術的応用の可能性を見出そ
うとするものである。両者は、何の影響関係もなく日本人の頭脳から生まれたもので
あるから、それに共通するものは「日本人に特有の思考法」であると考えて良いであ
ろう。実際、三浦梅園の思想とBTRON-OSには、次のような共通点がある。
 1.ネットワーク構造を持っている。

 2.ハイパーテキストである。

 3.絵(図)と文字が混在している(あるいは混在させうる)。

「日本人に特有の思考法」については、東京大学名誉教授である末木剛博氏の考察が
ある。それによれば、それは、
 1.全体性の論理
 2.情況の合理性
であり、この2点は原則を優先する西欧の思想には見られない日本の思想であると述
べられている(注2)。三浦梅園の思想にもBTRON-OSにも、このような特質があると
考えられるのであるが、両者には、異なる点もあるのでそれを記す

 1.三浦梅園の構築した概念ネットワーク(第一主著『玄語』に顕著である)は、
   地球生態系の論理的な描写であるが、BTRON-OSのネットワーク構造は特にその
   ような目的を持って作られたものではない。

 2.三浦梅園の思想は、生態系が本来あるべき姿を示しうるという特質を持つ点で、
   現代文明に対して生態系保全の立場からの提言を行ないうるが、BTRON-OSはそ
   れ自体がそのような機能を持ちうるものではない。

 3.BTRON-OSには、それ自体が志向する目的性がない。(これが優秀でありながら
   普及しない原因の一つであると考えられる。要するに何に使えるのかが判然と
   しないのである。

 しかしながら、BTRON-OS上で『玄語』の思想を展開することは、両者の持つ限界を
相互に補完する作業になると予測される。これによって以下のことが可能になると考
えられる。

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 1.200年以上にわたって解読されなかった三浦梅園の思想を容易に理解し得る
   ようにできる。

 2.BTRON-OSの持つ機能を最大限に発揮させうる。それによって得られる成果が、
   未来に対して何か寄与するところがあるとするならば、それこそが未来世界に
   おける日本の技術的役割であろう。

 1-2.三浦梅園の主著『玄語』について

 歴史的人物としての三浦梅園については、ここでは論じない。本論において言及さ
れるのはその第一主著『玄語』のみである。『玄語』は漢文で書かれた全8巻の書物
である。梅園は30歳の時にこれを起草し、67歳で没するまで24回改訂をしたが、
ついに完成しなかった。没後にこれを長男である三浦黄鶴が校訂したが、明治45年
に出版されるまで一般には公開されなかった。東京大学教授井上哲次郎によって『玄
語』が学界に紹介されてから一部の識者によって研究が開始され、その後約100年
に亘る研究史があるがことごとく解読に失敗した。以下、その原因について記す。

なぜ、『玄語』は理解されなかったか

 1.旧来の研究では、この書物が、情報処理的もしくは知識工学的観点から書かれ
   たものであることに気づかず、中国古典の延長上にあるものとして読んだ。
   
 2.それは日本においては、漢文研究者=中国古典研究者であるので、上記のよう
   な誤解が生じたのは、歴史上の必然であった。
   
 3.そのため、中国古典の枠組みから離脱した近世日本独自の合理思想であるこの
   書物の解読にことごとく失敗した。(以下略)

 4.情報処理・知識工学という学問がわが国において誕生したあとは、そのような
   視点から世界モデルの構築を試みた書物が江戸中期に漢文で書かれていること
   を何人も予想し得なかった。

 1-3.『玄語』の基本の論理について(発表時省略)

 『玄語』が極めて論理的に書かれた書物であることは、三浦梅園研究者において一
致した見解である。その論理は「条理」と言われるが、「条理」についてはいくつか
の異なった解釈があり、意見は統一されていない。それについて箇条書きにする。

 1.「条理」はヘーゲル弁証法と同型の論理であるという説。(ただし、類似点と
   相違点が末木剛博氏によって指摘されている。)

 2.「条理」は排中律であるという説。(末木剛博氏の説)

 3.「条理」は中国哲学の淵源である易(えき)の論理を最も抽象化したものであ
   るという説。

 4.ある種の関数であるという説。

しかしながら、これらはすべて思想界・哲学界において為された考察であって知識工
学的な観点からのものではない。今後は知識工学的な観点からの考察を継続的に行な
っていく必要がある。知識工学的観点からの現段階の作業状況を以下に記す。

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 1.『玄語』の解読について   ---ほぼ終了した。

 2.『玄語』の電子文書化について---基本資料は作成した。(電子文献処理)

 3.研究内容の公開について   ---web上の「三浦梅園研究所」において順次
   公開しているが、BTRON上での展開とその応用研究が期待される。


『玄語』は梅園没後200年以上に亘って解読されなかった書物であるが、今日では
その概要は理解できている。ただしそれは哲学界一般の見解ではない。
 以下、一部重複するが、旧来の哲学的見地からの研究から離れて『玄語』に関する
現在の見解を以下に示す。

 1.『玄語』は、地球生態系の論理モデルである。地球に対して地球儀があるよう
   に、地球生態系に対して『玄語』という論理モデルが存在する。

 2.木構造モデルによる世界把握を企図した書物である。それは『玄語』に描かれた
   図(「玄語図」と言われる)を見れば明らかである。

 3.それは明確な「樹形モデル」によって記述されている。(注3)

 4.概念のネットワーク構造を意識して書かれている。そのため記述が極めて錯綜
   している。

 5.語と自然界との一対一対応を原則として持っている。そのため自然界の事物の
   関係が語の関係として反映されるようになっている。

 6.論理的に構築された思想を歴史的言語である漢文によって表出しているため、
   語の詳細な使い分けに苦慮しており、同字異語が頻出する。同じ文字であって
   も指示する対象がまったく異なる場合が多い。

 7.この問題は、語に対応するマルチメディア・データを呼び出せるようにすれば
   解決できると考えられる。

 8.文は、概念(「条理語」と言われる)の定義と、そのリンク関係を示している。

 9.したがって、『玄語』の思想は、マルチメディアデータとそのリンク関係に置
   換できる。これから電子空間上の「地球生態儀」を構築しうると予測され、さ
   らに地球生態系の管理システムを構築しうると予測される。

 1-4.『玄語』が持つ現代的意義について(哲学的内容につき発表時は省略)

 以上の考察から『玄語』が今日の科学化された世界に対して持つ意義を推測できる。
もし上記(9)が可能であるならば、我々は地球生態系の論理モデルをコンピュータ
・ネットワーク上に構築しうるからである。地球生態系は刻々変化している。しかし
その変化は観測衛星その他の観測機器によってリアルタイムに把握可能であろうから、
我々は必要に応じて個々の端末からデータを取得できるようなシステムを構築しうる
可能性がある。
 現代の西欧近代科学が地球環境に対して破壊的な作用を及ぼしているのは、それが
生活的な自然と何らかの本質的乖離を有しているからである。その本質的乖離につい
ての考察は哲学領域においてはエドムント・フッサール(1859-1938)のいわゆる「生
活世界の学」において探求されている。以下、簡単に示す。
 1.ヨーロッパ的人間の根本的な生活危機は既に学問の危機として表出していた。
 2.ガリレオ・ガリレイによって初めて、それ自体において実在的に完結した物体
   界としての自然という理念が歴史上に現われてきた。
 3.しかしそれは理念化された自然であり、生活的自然の持つ諸性質が捨象された
 
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   ものである。近代自然科学文明は、その根底に「理念化された自然」を持って
   いる。自然科学と言うときの自然は、それである。
 4.しかしながら、このような理念的な客観化が「具体的な世界一般にも可能なの
   ではないであろうか」(中央公論社「世界の名著」62、P392)と彼は問いかけ
   ている。
4.は必然的に「生活世界」の理念的な客観化を意味することになる。本論では、そ
の可能性を三浦梅園が『玄語』において記述した「木構造モデルによる地球生態系モデ
ル」に見ている。それは、基本的に言って生活的自然の論理的把握の試みであり、コ
ンピュータネットワークへの応用が可能であるようなものであり、現代においては地
球環境管理への技術的応用が望まれるような性質のものであると考えられる。

【2】BTRON-OSの仮身ネットワークと地球生態系モデル

 BTRON-OSは、東京大学坂村研究室の坂村健教授が開発したものである。本原稿執筆
時点(97/12)では、16bit 版の1B/B3がパーソナルメディア社から発売されているが、
98年4月には、OADG仕様のパーソナルコンピュータ用にプログラミングされた32bit版
の3B/Vが発売される見通しである。このOSによって『玄語』の構造を記録していくこ
との意味を以下に述べる。

 1.およそ10万字の漢字を実装する(3B/V)ため、外字を使う必要がない。(1B
   でも補助漢字はサポートされている。)

 2.そのため、『玄語』の思想的先駆としての明代・清代の中国自然哲学との思想
   的連関の研究を、外字に惑わされずに行なうことが出来る。これは漢字文化圏
   独自の情報処理的思想を文献上で探るうえで必要である。

 3.「玄語図」に書かれた「条理語」相互の関係を仮身ネットワークによって示す
   ことが出来る。つまり漢文で書かれた『玄語』の文は、リンク関係に置換でき
   る。もっともリンク関係への置換だけであれば、HTML文書その他でも可能であ
   るが、ネットワーク構造を視覚的に確認出来るという点、および『玄語』の文
   献上の取り扱いと、リンクされたマルチメディアデータへの置換を、相互補完
   的に行ないうるという点では、3B/Vが最適であると予測される。(基本作業は
   1B/Vでも可能である。)

 4.BTRON 専用サーバを設置して、『玄語』に記述された世界モデルの考察を共同
   で進めると仮定した場合、通常のOADG仕様のパーソナルコンピュータ(いわゆ
   るDOS/V)のハードディスクに、BTRON専用区画を適当な容量だけ確保すればよ
   いから、専用のハードウェアを必要としない。(ただしこのような試みが可能
   であるかどうかは、3B/Vの仕様が明らかになるまでは分からない。)

 5.『玄語』が地球生態系の論理モデルであり、それをBTRONの仮身ネットワークに
   置換できるとするならば、仮身ネットワークによって地球生態系のモデリング
   が可能である。

 6.もし、リンクの自動生成が可能であるならば、我々は「地球生態儀」とでも言
   うべきものを、短期間に電子空間上に創造することが出来る。それは人間的諸
   活動に対して、地球環境保全の立場からの提言を行ないうる。

 BTRONは、一般的なOADG仕様のパーソナルコンピュータおよびNECのPC98NXシリーズ
で稼働する(稼働しない機種もある)。新たなハード資源を必要としないという点は、

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重要なファクターである。

【3】『玄語』の図と文および仮身ネットワークの例

1.『玄語』の図(図の番号は、岩波「日本思想大系・三浦梅園」で用いられた通し
番号である。)

007「剖対反比図一合」(ぼうたいはんひずいちごう)




 この図が平衡二分探索木を示していることは明かである。「一合」とはふたつ
で一組の図という意味である。この図は『玄語』の理念を明確に示している。そ
れは「完全平衡二分木」による世界把握である。しかしながら『玄語』の実際の
記述は探査深度に最大で3の開きがあり、理念と記述の間にギャップがあること
がわかる。
 末木剛博氏によれば、『玄語』の基本を為す「反合」(あるいは「反合成全」)
は排中律であり、したがって tautologyであることになる。この説が正しければ、
二分木相互の関係は「排中律」であることになる。当然ながら、上図と下図の関
係も排中律であることになる。
 この図と対(つい)を為すものとして 006「分合図一合」があるが紙幅の都合
によって本論には掲載しない。本図が論理的な図であるとするならば、 006「分
合図一合」は事物の相反的な関係を集合論的に示したものである。梅園は論理的
な図示と、集合論的な図示を使い分けている。


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009「経緯剖対図」(けいいぼうたいず)




 この図も『玄語』の基本の論理を示すものである。007「剖対反比図一合」が
構造(structure)を示しているのに対し、本図は『玄語』の数理を示している。
『玄語』の数理は「一即一一」・「一一即一」と書かれている。
 「即」は論理的演算子という性格を持っている。これについては記号論理学の
専門家である末木剛博氏の同意を得ている。しかしながら、演算子としての性格
がいかなるものであるのかについては、まだ詳細な検討が為されていない。しか
しながらこれをストローク関数であると解釈できる可能性もある。それが正しけ
れば、各「一」から外周の円に向けて引かれた細線は、シェファーの棒(Sheffer's
stroke)と同一であることになる。
 『玄語』の記述から「一即一一」は、
 一反(一反一)
と書き換えることが可能である。いま「反」を棒記号と同じく「拒否」(rejection)
という機能を持つ演算子であると仮定すると「一即一一」は、
 一|(一|一)
であることになり、形式的には
 t|(t|t) と同じであることになる。後者は「tはそれ自身を含む」(B.Russel
『数理哲学序説』 P198、岩波文庫)と読むが、それになぞらえれば前者は「一はそれ
自身を含む」と読むことになり、本図と矛盾しない。しかし、これは証明を得ていない
ので推測の域を出ない。

015「神物剖析図」(しんぶつぼうせきず)




 この図は「経緯剖対図」の各「一」に自然界(地球生態系)を構成する諸要素を
マッピングしたものである。図名の下に「天神はすなわち天冊に説く所・天地はす
なわち地冊に説く所」と2行分かち書きに書かれている。「天冊」と「地冊」を合
わせて「大冊」(だいさつ)という。これに対して地上界の事物を論じる「小冊」
があり、『玄語』の記述の半分を占めるが、解読にはなはだ苦慮するのは「大冊」
である。その意味で、天地両冊を一図に示したこの図はきわめて重要なものである。
左上象限の「天容」は下出023「宇宙」にリンクし、「機没」は024「転持図」にリ
ンクする。

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023「宇宙」(うちゅう)




 015「神物剖析図」の「天容」とリンクづけされる白紙の図である。「宇」とは空
間のこと、「宙」とは時間のことである。時空間は、無形象のものなので図示不可
能である。しかし、これらにも二分木による分析は適用可能であって、梅園はその
詳細な記述を行っている。『玄語』の中でもっとも記述が整然としているのが時空
間論であるが、あくまでも二分木によってその分析を行っている点が、他のいかな
る時空間論とも異なっている。

 リンクを示す文は、検索によって得られる。

576: 天機は已(すで)に分す〉而して宇宙転持は相い成す〉(「〉」は黒点を示す記号。数
字は行番号。) 文中、「天」が「宇宙」に、「機」が「転持」にリンクしている。
つまり、

 (天)&(機)は已に分す〉而して(宇宙)&(転持)は相い成す〉で、
 
 天→宇宙(「一即一一」にしたがって「天即宇宙」)
 機→転持(「一即一一」にしたがって「機即転持」)

となるわけである。

024「転持図」(てんじず)



図の技術的応用はこちらへ



 上記 576:から、015「神物剖析図」の「機没」とリンクする図であることがわ
かる。「転」は外周に描かれた同心円のことで、これは天体類が回転運動をする
領域のことである。ここに存在するものを「日月星辰」という。これは太陽・月
・恒星・惑星のことである。
 「持」とは、中央に閉ざされた放射状の直線の領域である。領域のことを「圏」
というので「転圏」「持圏」という。「持圏」では「雲雨昇降」が起きる。つ
まり事物の昇降運動が起きる範囲のことで、一般に言われる気象現象はこの範囲
で起きる。地球の温暖化はこの範囲で起きる。オゾンホールの破壊は境界領域で
起きる。この破壊作用がどこまで進行するのかは判らない。しかし、地球環境に、
諸生物にとって生存可能な範囲での定常性を与えるためには、定常性の上限が定
められねばならない。そのためには、地球生態系の定常的なモデルと、定常性を
維持するための何らかのシステムが構築されねばならない。

2.仮身ネットワークの例(サンプルは1B/V2の「おさかな漢字辞典」)
 この仮身ネットワーク図を見るとハイパーリンクの様子がプリント基板の回路
網のように表示されていることが分かる。(図形)と書かれた四角の枠の左端を
クリックすると対応する魚の絵が出てくる。この図を「玄語図」に置き換え、検

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索された『玄語』の文(条理文という)から、リンクづけを行なえば、『玄語』
の図と文は、工学的な処理が可能な範囲でこのようなハイパーリンク構造に置換
できる。『玄語』の工学的処理においては、思想的側面を考慮する必要はない。
「玄語図」を各部分に分解し、図の中の語をリンクづけることもできる。
 さらに重要であるのは、これにマルチメディアデータを対応させることであり、
現在観測されている地球環境の全データを把握できるようなダイナミックなデー
タベースシステムに発展させて「地球生態儀」を電子の空間上に創り、その諸要
素の保全を道を可能な限り探ることである。


(注1)
 末木剛博著『東洋の合理思想』(講談社現代新書P13)に次のように書かれ
ている。「インド論理学の特徴は終始一貫して宗教的解脱をめざしているとこ
ろにある。アリストテレスにはじまる西洋の論理学は科学のためのオルガノン
(organon, 機関)であるが、インド論理学は解脱のためのオルガノンなのであ
る。」
(注2)
 末木剛博氏の日本哲学界での特別報告記録「西田幾太郎と三浦梅園」(哲学
35,P67)に以下のように記述されている。
 2.5.2 このように梅園も西田も共に場所的な内在論を唱える。そしてそれは
    単純な内在論と違って、大宇宙の中に小宇宙が入れ籠になって居ると
    いう構造であり、前節で用いた用語で言えば「重層的内在論」である。
    「場所」とは重層的内在論のことである。
2.5.5.3 したがって「全体性の論理」は実践的には「情況の合理性」というこ
    とになる。
(注3)
 『玄語』は、2分木の反復から多分木へと移り、多分木のフォルダにファイ
ルが付属するようになっている。2分木を<木>treeといい、多分木を<葉>
leafと呼ぶようにしている。白点と黒点でシンメトリーに書かれた文は葉脈を
模し、図は花を模している。




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